JPH09309902A - イソフラボン誘導体の包接物及び該包接物を含む可食性組成物 - Google Patents

イソフラボン誘導体の包接物及び該包接物を含む可食性組成物

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JPH09309902A
JPH09309902A JP9037443A JP3744397A JPH09309902A JP H09309902 A JPH09309902 A JP H09309902A JP 9037443 A JP9037443 A JP 9037443A JP 3744397 A JP3744397 A JP 3744397A JP H09309902 A JPH09309902 A JP H09309902A
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JP
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cyclodextrin
isoflavone
derivative
isoflavone derivative
soybean
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JP9037443A
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Satomi Kaneoka
里美 金岡
Takehiko Uesugi
岳彦 植杉
Kunimasa Hirai
邦昌 平井
Toshiya Toda
登志也 戸田
Takenori Okudaira
武則 奥平
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Fujicco Co Ltd
Original Assignee
Fujicco Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水に対する溶解度が高く、かつ苦味、渋味、
収斂味が抑制された、可食性組成物に好適に利用されう
るイソフラボン誘導体を提供する。 【解決手段】 イソフラボン誘導体をサイクロデキスト
リンで包接させて、包接物を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大豆または納豆に
含まれるイソフラボン誘導体のサイクロデキストリン包
接物及び該包接物を含む可食性組成物に関する。さらに
詳細には、イソフラボン誘導体をサイクロデキストリン
で包接することにより、元来イソフラボン誘導体が有す
る苦味、渋味、収斂味が抑制され、且つ水に対する溶解
度が向上されて、可食性組成物への利用に好適となり、
さらには、イソフラボン誘導体の人体への吸収を向上さ
せることにより、その作用を向上させたイソフラボン誘
導体の包接物に関する。
【0002】
【従来の技術】イソフラボン誘導体は、豆科の植物に含
まれるフラボノイド配糖体の一つであり、その生理活性
については、一般にエストロジェン作用、抗酸化作用、
抗菌作用が知られている。
【0003】また、日本人の乳癌及び前立腺癌の死亡率
が欧米人に比べてかなり低いことは周知の事実である
が、疫学的調査により、日本人女性のダイズインの尿中
排出量が、ボストンやヘルシンキの女性の約10倍であ
ること、及び、日本人男性の血中イソフラボン誘導体濃
度が、フィンランド人男性の約40倍と非常に高いこと
が確認され、従って、日本人がイソフラボン誘導体を高
摂取するために、乳癌や前立腺癌による死亡率が低値に
抑えられているとの報告がなされた(H.Adlercreutz,
H.Honjo, A.Higashi, T.Fotsis, E.Hamalaimen, T.Hase
gawa and H.Okada: Am. J. Clin. Nutr., 54,1093(199
1)、H.Adlercreutz, H.Markkanen and S.Watanabe: Lan
cet, 342,1209(1993))。しかして、イソフラボン誘導
体の有する抗癌作用が示唆されるところとなった。
【0004】このように日本人の尿中及び血中のイソフ
ラボン誘導体濃度が高いことは、日本人が伝統的に大豆
食品を多く食していることに起因していると考えられて
いる。
【0005】さらにイソフラボン誘導体は、カルシウム
欠乏下の卵巣摘出ラットにおける骨密度低下を抑制する
ことが確認され、骨粗鬆症を予防する化合物としても大
いに注目されているものである(特願平7-36598号)。
【0006】上記のごとくイソフラボン誘導体は多くの
有用な作用を持ち、これを食することが健康維持、増進
において重要な役割を果たすものと考えられる。
【0007】イソフラボン誘導体は大豆または納豆等か
ら、水またはアルコール等の溶媒で抽出されるが、この
抽出物中に含まれるイソフラボン誘導体の大部分は、ダ
イズインとゲニスチンである。ダイズイン、ゲニスチ
ン、およびグリシチンの呈味閾値は、それぞれ10-2mM、
10-1mM及び10-3mMであり、マロニル体やアセチル体、ア
グリコンではさらに低い呈味閾値を示す傾向となる(大
久保一良、吉城由美子、吉越昌樹、塚本知玄、工藤重
光:New Food Industry, 36(1994))。
【0008】このようにイソフラボン誘導体は、苦味、
渋味、収斂味の呈味閾値が低いうえ水に対して難溶性で
ある。従って、これらの原因からイソフラボン誘導体の
可食性組成物への応用が妨げられてきたといえる。
【0009】また、従来、豆乳や豆腐など、主に大豆を
原料とした加工食品では、呈味性改善のため、その製造
工程中で、前記のように健康維持上有効な成分であるイ
ソフラボン誘導体を、むしろ積極的に除去してしまう例
が見られる。
【0010】さらには、水に対する溶解性が低いことか
ら、人の体内への吸収も低いものとなっており、十分な
効果を得るためには、多量に摂取しなければならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにイソフラ
ボン誘導体は優れた作用を有しているにもかかわらず、
官能面の問題および水への溶解性の低さから、可食性組
成物にあまり活用されていなかった。
【0012】本発明は、イソフラボン誘導体の有する苦
味、渋味、収斂味の抑制と、水に対する溶解度の向上を
図ることにより、イソフラボン誘導体の可食性組成物へ
の積極的な応用を可能ならしめ、かつ体内への吸収を高
めることによりその生理的作用を向上させることを目的
とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意の研究
の結果、イソフラボン誘導体をサイクロデキストリンに
包接することで、イソフラボン誘導体の有する苦味、渋
味、収斂味が抑制され、かつ水に対する溶解度が向上す
ること、また、体内への吸収を向上させ、生理的作用を
向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、以下の(1)から
(4)を特徴とする。
【0015】(1) β−サイクリロデキストリンまた
はγ−サイクロデキストリンの少なくとも一方により包
接された、イソフラボン誘導体の包接物。
【0016】(2) 前記イソフラボン誘導体が、ダイ
ゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、ダイズイン、ゲ
ニスチン、グリシチン、6"-0-マロニルダイズイン、6"-
0-マロニルゲニスチン、6"-0-マロニルグリシチン、6"-
0-アセチルダイズイン、6"-0-アセチルゲニスチン、6"-
0-アセチルグリシチン、6"-0-サクシニルダイズイン、
6"-0-サクシニルゲニスチン及び6"-0-サクシニルグリシ
チンからなる群より選択されるイソフラボン誘導体であ
る、前記(1)の包接物。
【0017】(3) 前記β−サイクリロデキストリン
またはγ−サイクロデキストリンの少なくとも一方が、
前記イソフラボン誘導体と0.1:1〜50:1の比率で用い
られて包接されることにより得られる、前記(1)また
は(2)の包接物。
【0018】(4) 前記(1)乃至(3)のいずれか
に記載のイソフラボン誘導体の包接物を含有することを
特徴とする可食性組成物。
【0019】
【発明の実施の形態】大豆及びその発酵食品である納豆
に含まれるイソフラボン誘導体としては、現在までのと
ころ15種類の化合物が確認されている。これら各イソ
フラボン誘導体は、いずれも苦味、渋味、収斂味等と表
現される味を呈し、食するとしばらくして後、喉にいが
らっぽさを感じるものである。
【0020】かかる15種類のイソフラボン誘導体の名
称及びその構造を、以下の表1及び2ならびに化学式
[I]及び[II]により示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【化1】
【0023】
【表2】
【0024】
【化2】
【0025】本発明のイソフラボン誘導体としては、上
記15種類の化合物が使用可能である。これらは、大豆
または納豆等から、水またはアルコール等の溶媒で抽出
し、適宜精製することにより得られるが、かかる抽出物
中に含まれるイソフラボン誘導体の大部分は、ダイズイ
ン及びゲニスチンである。
【0026】一方、サイクロデキストリンは、6〜12
個のグルコース分子がα-1,4グルコシド結合で環状に連
なった非還元性マルトオリゴ糖であり、バチルス・マセ
ランス(Bacillus macerans)等のサイクロデキストリ
ン生成酵素をデンプンに作用させることによって製造さ
れる。一般的なサイクロデキストリンとしては、グルコ
ース分子6個からなるα−サイクロデキストリン、7個
のグルコース分子からなるβ−サイクロデキストリン及
び8個のグルコース分子からなるγ−サイクロデキスト
リンが知られている。本発明では特にβ−サイクロデキ
ストリン及びγ−サイクロデキストリンの二種類が本発
明のイソフラボン誘導体に良好に包接でき、所望の効果
を発揮すると考えられる(図1〜8参照)。
【0027】これらサイクロデキストリンは、単独でま
たは併用して使用することができる。また、溶解度を向
上させた分岐型やメチル型のβ−サイクロデキストリ
ン、γ−サイクロデキストリンを使用するのも効果的で
ある。
【0028】以下、前記イソフラボン誘導体に前記サイ
クロデキストリンを包接させる工程について記載する。
【0029】イソフラボン誘導体をサイクロデキストリ
ンに包接せしめる方法は種々あるが、その代表的な方法
は混練法である。サイクロデキストリンに、約0.1〜6重
量部の水を加え、よく混練してペースト状にした後、イ
ソフラボン誘導体を加えて充分に混練する。イソフラボ
ン誘導体とサイクロデキストリンとは、乾燥重量比で、
1:0.1〜1:50、好ましくは1:3〜1:10の割合にて用い
るとよい。混練する時間は約30分から3時間でよく、混
練するための装置は、擂潰機、ボールシール、乳化機等
が使用できる。包接が終了したペーストは、そのまま噴
霧乾燥するか、減圧乾燥、ドラム乾燥法等によって乾燥
する。
【0030】このようにして得られたイソフラボン誘導
体の包接物は、元来イソフラボン誘導体が有する苦味、
渋味、収斂味が抑制され、且つ水に対する溶解度が向上
されたものであり、可食性組成物への利用に極めて好適
であり、かつ、体内への吸収の向上及びその生理作用の
向上が得られる。
【0031】本発明のイソフラボン誘導体の包接物は、
可食性組成物に配合され、摂取されうるが、その摂取量
は、摂取対象者の状態や年齢等により異なるものの、通
常、イソフラボン誘導体として0.1〜4 mg/kg体重/
日、好ましくは0.2〜1 mg/kg体重/日が用いられる。
摂取は、一日一回、または必要に応じて複数回に分ける
こともできる。
【0032】可食性組成物の形態としては、例えば、飲
料、菓子、加工食品、調味料等に適した、種々の形態と
することが可能であり、特に限定されるものではない。
可食性組成物とするために、通常使用される賦形剤、増
量剤、安定化剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、着色剤及び
発色剤等を、適宜、有効成分に対して好ましくない影響
を及ぼさない限りにおいて配合し、製造すればよい。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】包接物形成試験 まず、種々のサイクロデキストリンにより各種イソフラ
ボン誘導体を包接させて包接物を得、それぞれの包接物
の水に対する溶解度を調べるために、以下の実験を行っ
た。
【0035】15種のイソフラボン誘導体、すなわち、
ダイズイン(図1);ゲニスチン((図2);ダイゼイ
ン(図3);ゲニステイン(図4);6"-0-マロニルダ
イズイン、6"-0-マロニルゲニスチン及び6"-0-マロニル
グリシチン(図5);6"-0-アセチルダイズイン、6"-0-
アセチルゲニスチン及び6"-0-アセチルグリシチン
((図6);6"-0-サクシニルダイズイン、6"-0-サクシ
ニルゲニスチン及び6"-0-サクシニルグリシチン(図
7);ならびに、グリシチン及びグリシテイン(図8)
各10mgと、α−、β−またはγ−サイクロデキストリン
とを各々図1〜8に示される量の範囲(0〜1.2 g)で蒸
留水10mlとともに試験管に入れ、室温で一晩撹拌し
た。その後、各溶液をガラスフィルターで濾過し、濾液
を高速液体クロマトグラフィーにより分析した。高速液
体クロマトグラフィーには、SC−8020(東ソー社
製)を用い、カラムはYMC pack ODS-AM-303(ワイエム
シイ社製、φ4.6×200 mm)を使用した。流量1.0 ml/分
にて、15%アセトニトリル/0.1%酢酸水溶液から35%
アセトニトリル/0.1%酢酸水溶液への直線濃度勾配に
より、254 nmで吸光度を検出して、溶出したイソフラボ
ン誘導体のピーク面積を求めた。その分析結果を図1〜
8に示す。
【0036】イソフラボン誘導体は各サイクロデキスト
リンにより包接され、包接物を形成するが、この包接物
の増加は、図1〜8にみられる種々のイソフラボン誘導
体のピーク面積の増加によって示されている。各種イソ
フラボン誘導体の溶解度変化の傾向は類似しており、β
−サイクロデキストリンを用いた場合に、もっとも包接
物が増加して、溶解度の向上効果が高くなることが示さ
れた。
【0037】次にこれらのイソフラボン誘導体包接物に
ついて、その体内への吸収率及び生理活性について検討
した。
【0038】(実施例1)各種イソフラボン誘導体のβ
-サイクロデキストリン包接物の体内吸収と生理作用の
比較 閉経後骨粗鬆症モデルとして、卵巣摘出後10日後の80日
齢のSprague-Dawley系ラットを、5〜6匹を一群として
カルシウム欠乏飼料(Ca:0.004%、P:0.3%)で28日
間飼育した。飼育期間中、1%ヒドロキシプロピルセル
ロース水溶液に溶解或いは懸濁した各種イソフラボン誘
導体またはそのβ−サイクロデキストリン包接物(表3
及び4参照)を経口投与した。最終投与の前日に24時間
尿の採尿を行なった。次いで最終投与から4時間後に下
大静脈より採血を行ない、大腿骨を摘出した。採血液
は、常法により血清を分離した。採取した尿及び血清試
料中のイソフラボン誘導体量を定量するために、各試料
1mlに対し、50 Units/mlのスルファターゼ(EC3.1.6.1;
SIGMA CHEMICAL Co. LTD.)を含む酢酸緩衝液(0.1M、pH
4.5)溶液1mlを加えて37℃で2時間反応した。これに200
Units/mlのβ-Glucuronidase(EC 3.2.1.31、和光純薬
工業株式会社)を含む酢酸緩衝液(0.1M,pH4.5)溶液1mlを
加えて37℃で2時間反応した。これをSep-Pak(Waters
社製)処理して、上記包接物形成試験におけると同様
に、高速液体クロマトグラフィーにより分析した。それ
ぞれの濃度はダイゼイン、ゲニステインまたはグリシテ
インを標準として換算することによって求めた。摘出し
た大腿骨は、湿重量及び、ピクノメーターにより測定し
た体積から、骨密度を算出した。これらの結果を下記表
3及び4に示した。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】この結果、各種イソフラボン誘導体のβ−
サイクロデキストリン包接物投与から4時間後の血清中
のイソフラボン誘導体濃度は、包接していないものを投
与した場合に比べて約8〜12倍の高濃度であることが
示された。また、包接物を投与した場合にイソフラボン
誘導体の尿中排泄率も約2倍に上昇しており、イソフラ
ボン誘導体をサイクロデキストリンで包接することによ
り体内への吸収効率が高くなることが分かった。また、
大腿骨の骨密度は、包接物及び非包接物とも、すべての
イソフラボン誘導体投与群で対照群に比べて上昇してお
り、イソフラボン誘導体投与により骨粗鬆症を予防また
は治療することができる可能性が示唆された。そして、
サイクロデキストリン包接物の投与群は、その効果がよ
り強いことが分かった。
【0042】次いで、本発明の包接物を調製し、その可
食性組成物への利用を検討した。
【0043】(実施例2)ダイズインのβ−サイクロデ
キストリン包接物 ダイズイン2.0gとβ−サイクロデキストリン10.0gを8
0℃の50%エタノール300mlに溶解し、60℃〜
80℃に維持した状態で2時間撹拌した。その後室温で
一晩放置し、減圧乾燥したのち粉末体11.8gを得た。得
られたβ−サイクロデキストリン包接物の苦味、収斂
味、ざらつきをパネラー10人にて評価した。
【0044】(実施例3)ダイズインのγ−サイクロデ
キストリン包接物 前記β−サイクロデキストリンの代わりにγ−サイクロ
デキストリンを用いて実施例2と同様の操作を行い、γ
−サイクロデキストリン包接物を得た。得られたγ−サ
イクロデキストリン包接物の苦味、収斂味、ざらつきを
パネラー10人にて評価した。
【0045】(比較例1)ダイズインのα−サイクロデ
キストリン包接物 β−サイクロデキストリンの代わりにα−サイクロデキ
ストリンを用いて、実施例2と同様の操作を行い、α−
サイクロデキストリン包接物を得た。得られたα−サイ
クロデキストリン包接物の苦味、収斂味、ざらつきをパ
ネラー10人にて評価した。
【0046】(比較例2)ダイズイン ダイズインの粉末体の苦味、収斂味、ざらつきをパネラ
ー10人にて評価した。
【0047】上記の実施例2から比較例2までの評価結
果を以下の表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】表5から、β−サイクロデキストリン及び
γ−サイクロデキストリンにより包接した場合に、ダイ
ズインの苦味、収斂味、ざらつきが抑制されることが明
らかである。またβ−サイクロデキストリンで包接した
場合に、ダイズインの苦味、収斂味、ざらつきの抑制が
特に高いことが解る。
【0050】(実施例4)イソフラボン誘導体のα-、
β-またはγ-サイクロデキストリン包接物 実施例2及び3ならびに比較例1に記載したと同様の操
作を行い、表6及び7に示されるイソフラボン誘導体の
β-、γ-またはα-サイクロデキストリン包接物を得
た。得られた包接物の苦み、収斂味、ざらつきをパネラ
ー10人にて評価した。表6及び7に評価結果を示し
た。
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】表6及び7より、いずれのイソフラボン誘
導体もβ-及びγ-サイクロデキストリンで包接した場合
に苦み、収斂味、ざらつきが抑制されることが明らかに
なった。
【0054】(実施例5)イソフラボン誘導体のサイク
ロデキストリン包接物を含む飲料 実施例2により得たダイズインのβ−サイクロデキスト
リン包接物120mgを水90mlに溶解し、この溶液に果汁9
g、グラニュー糖5g、クエン酸0.5g、香料0.1gを加え、
攪拌した。その後122〜138℃で瞬間殺菌し、10
0cc容のガラス瓶に瓶詰めし、ダイズインの包接物入
り飲料を調整した。この飲料の苦味、収斂味、ざらつき
をパネラー10人にて評価した。
【0055】(比較例3)イソフラボン誘導体を含む飲
実施例2により得た包接物の代わりに、ダイズインの粉
末体20mgを用いて実施例5と同様の操作を行い、ダイズ
イン入り飲料を調整した。この飲料の苦味、収斂味、ざ
らつきをパネラー10人にて評価した。
【0056】実施例5及び比較例3の評価結果を以下の
表8に示す。
【0057】
【表8】
【0058】表8から、ダイズインの粉末体を添加した
飲料(比較例3)は苦味、収斂味、ざらつきが感じられ
るのに対し、β−サイクロデキストリンで包接されたダ
イズインを添加した飲料(実施例5)には苦味、収斂
味、ざらつきが全く感じられないのが解る。また、比較
例3では、調整直後から析出物が確認されたのに対し、
実施例5では3ヶ月保存した後も析出物が確認されず、
包接物の方が水に対する溶解度が高いことが示唆され
た。
【0059】(実施例6)イソフラボン誘導体のサイク
ロデキストリン包接物を含むクッキー バター80gと塩0.1gを泡立て器でクリーム状にし、粉砂
糖40gを加えてすり合わせた。これに卵1個をほぐした
ものを加えて混ぜ、ふるいにかけた小麦粉100gを実施例
2により得たダイズインのβ−サイクロデキストリン包
接物480mgを加えて、混ぜ合わせた。その後麺棒で4mm厚
さにのばし、抜き型で形を取り、160℃〜170℃の
オーブンで12〜13分焼いた。
【0060】このようにして作ったクッキーは、苦味、
収斂味が全くなく、非常に美味であった。
【0061】(実施例7)粗イソフラボン誘導体のβ−
サイクロデキストリン包接物 β−サイクロデキストリン10.0 gに水20 mlを加え、30
分間混練してペースト状にした。その後、大豆より熱水
抽出して合成吸着剤により精製した粗イソフラボン誘導
体(イソフラボン誘導体含有率70%)2.0 gを加え、2
時間混練したものを減圧乾燥し、粉末体11.6 gを得た。
得られたβ−サイクロデキストリン包接物の苦味、収斂
味、ざらつきをパネラー10人にて評価した。
【0062】(実施例8)粗イソフラボン誘導体のγ−
サイクロデキストリン包接物 β−サイクロデキストリンの代わりにγ−サイクロデキ
ストリンを用いて、実施例7と同様の操作を行い、γ−
サイクロデキストリン包接物を得た。得られたγ−サイ
クロデキストリン包接物の苦味、収斂味、ざらつきをパ
ネラー10人にて評価した。
【0063】(比較例4)粗イソフラボン誘導体のα−
サイクロデキストリン包接物 β−サイクロデキストリンの代わりにα−サイクロデキ
ストリンを用いて、実施例7と同様の操作を行い、α−
サイクロデキストリン包接物を得た。得られたα−サイ
クロデキストリン包接物の苦味、収斂味、ざらつきをパ
ネラー10人にて評価した。
【0064】(比較例5)粗イソフラボン誘導体 粗イソフラボン誘導体の苦味、収斂味、ざらつきをパネ
ラー10人にて評価した。
【0065】以上実施例7から比較例5までの評価結果
を表9に示す。
【0066】
【表9】
【0067】表9から、β−サイクロデキストリン及び
γ−サイクロデキストリンで包接することにより、粗イ
ソフラボン誘導体の苦味、収斂味、ざらつきが抑制され
ることが明らかである。特に、β−サイクロデキストリ
ンで包接した場合に、粗イソフラボン誘導体の苦味、収
斂味、ざらつきが高度に抑制されることが示され、この
結果は前述の実施例2及び3ならびに比較例1及び2に
おいて得られた結果に類似するものである。
【0068】(実施例9)粗イソフラボン誘導体のサイ
クロデキストリン包接物を含んだゼリー 水150mlに、実施例7において得られた粗イソフラボン
誘導体のβ−サイクロデキストリン包接物360mgを溶解
し、この溶液に果汁50g、グラニュー糖50gを加え撹拌し
た。この溶液に寒天2.5gを加え、よく混ぜながら90℃
まで加熱し、寒天を溶かした。これを50ml容のプラスチ
ックカップに分注し、5〜10℃で冷却して凝固させ、
イソフラボン誘導体入りのゼリーを調整した。
【0069】このゼリーの苦味、収斂味、ざらつきをパ
ネラー10人にて評価した。結果は表10に示す通りで
あり、このようにして作ったゼリーは、苦味、収斂味、
ざらつきが全くなく、非常に美味であり、透明で析出物
が見られなかった。
【0070】(比較例6)粗イソフラボン誘導体を含ん
だゼリー β−サイクロデキストリン包接物の代わりに、粗イソフ
ラボン誘導体の粉末体60mgを用いて、実施例9と同様の
操作を行い、イソフラボン誘導体入りゼリーを調整し
た。このゼリーの苦味、収斂味、ざらつきをパネラー1
0人にて評価した。結果を表10に示す。
【0071】
【表10】
【0072】表10から、β−サイクロデキストリンに
より包接されていない粗イソフラボン誘導体を配合した
ゼリーは、苦味、収斂味、ざらつきが感じられるのに対
し、β−サイクロデキストリンで包接された粗イソフラ
ボン誘導体を含むゼリーは、苦味、収斂味、ざらつきが
全く感じられないのが解る。また、比較例6では析出物
が確認されたのに対し、実施例9では、析出物が確認さ
れなかったので、粗イソフラボン誘導体も、サイクロデ
キストリン包接物とすることによって、溶解性が向上す
ると考えられた。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、イソフラボン誘導体を
サイクロデキストリンで包接することによって、イソフ
ラボン誘導体の水に対する溶解度を向上させ、かつ苦
味、収斂味を抑制することが可能になる。これにより、
イソフラボン誘導体を可食性組成物に応用することがで
き、摂取時に不快味を伴わないイソフラボン誘導体含有
可食性組成物が提供される。従って、本発明により、イ
ソフラボン誘導体の摂取及び体内吸収が容易ならしめら
れ、これにより、イソフラボン誘導体が有する効果をヒ
ト体内で充分に発揮させて、人々の健康維持、増進に大
きく寄与できるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイズインの各種サイクロデキストリン包接物
形成を示すグラフである。
【図2】ゲニスチンの各種サイクロデキストリン包接物
形成を示すグラフである。
【図3】ダイゼインの各種サイクロデキストリン包接物
形成を示すグラフである。
【図4】ゲニステインの各種サイクロデキストリン包接
物形成を示すグラフである。
【図5】6"-0-マロニルダイズイン、6"-0-マロニルゲニ
スチンまたは6"-0-マロニルグリシチンの各種サイクロ
デキストリン包接物形成を示すグラフである。
【図6】6"-0-アセチルダイズイン、6"-0-アセチルゲニ
スチンまたは6"-0-アセチルグリシチンの各種サイクロ
デキストリンの包接物形成を示すグラフである。
【図7】6"-0-サクシニルダイズイン、6"-0-サクシニル
ゲニスチンまたは6"-0-サクシニルグリシチンの各種サ
イクロデキストリンの包接物形成を示すグラフである。
【図8】グリシチンまたはグリシテインの各種サイクロ
デキストリンの包接物形成を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 311/36 A23L 2/00 A C07H 17/07 2/26 (72)発明者 戸田 登志也 兵庫県西宮市大社町2−12−201 (72)発明者 奥平 武則 兵庫県神戸市北区惣山町4−6−8

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−サイクリロデキストリンまたはγ−
    サイクロデキストリンの少なくとも一方により包接され
    た、イソフラボン誘導体の包接物。
  2. 【請求項2】 前記イソフラボン誘導体が、ダイゼイ
    ン、ゲニステイン、グリシテイン、ダイズイン、ゲニス
    チン、グリシチン、6"-0-マロニルダイズイン、6"-0-マ
    ロニルゲニスチン、6"-0-マロニルグリシチン、6"-0-ア
    セチルダイズイン、6"-0-アセチルゲニスチン、6"-0-ア
    セチルグリシチン、6"-0-サクシニルダイズイン、6"-0-
    サクシニルゲニスチン及び6"-0-サクシニルグリシチン
    からなる群より選択されるイソフラボン誘導体である、
    請求項1記載の包接物。
  3. 【請求項3】 前記β−サイクリロデキストリンまたは
    γ−サイクロデキストリンの少なくとも一方が、前記イ
    ソフラボン誘導体と0.1:1〜50:1の比率で用いられて
    包接されることにより得られる、請求項1または2記載
    の包接物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイソ
    フラボン誘導体の包接物を含有することを特徴とする可
    食性組成物。
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