JPH09309396A - エアバッグ用ノンコート織物基布 - Google Patents

エアバッグ用ノンコート織物基布

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JPH09309396A
JPH09309396A JP13023496A JP13023496A JPH09309396A JP H09309396 A JPH09309396 A JP H09309396A JP 13023496 A JP13023496 A JP 13023496A JP 13023496 A JP13023496 A JP 13023496A JP H09309396 A JPH09309396 A JP H09309396A
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薫 伴
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隆宏 倉本
Tomohisa Kimura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型車等の様に、収納スペースを大きく取る
ことのできない車に装備する為には、従来のエアバッグ
用織物基布では不十分である。また助手席用のエアバッ
グは、バッグの使用基布量が多い為、収納性の向上が強
く望まれている。そこで本発明は、軽量、柔軟で折畳性
が良好であって、優れた収納性を示し、且つ膨張応答性
等にも優れたエアバッグ用ノンコート織物基布を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 合成繊維フィラメントで構成され、該フ
ィラメントの繊度が100〜400d、フィラメントを
構成する単繊維の繊度が3〜6dであり、織物基布の単
位面積当りの繊維量が200g/m2以下、通気度が0.5
〜3.0cc/cm2/s、厚みが0.3mm以下、カンチレバー
法で測定した剛軟度が100mm以下であることを要旨と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
装備されているエアバッグに使用するエアバッグ用織物
基布に関するものであり、特にノンコート織物基布に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】エアバッグは、自動車の衝突事故等に伴
う人身障害の防止の為に装備される安全装置であり、近
年めざましく普及している。エアバッグは、定常運転中
にはステアリングハンドルやダッシュボード部分等に収
納されており、自動車が衝突した時には、そのショック
をセンサーが感知して高圧ガスを発生させ、該ガスで上
記エアバッグを瞬時に膨らませるというものであり、こ
の膨らんだエアバッグによって、乗員がハンドル等に衝
突するのを防いでいる。
【0003】従って、上記エアバッグに使用されるバッ
グ素材としては、まず第1にガス漏れを極力防ぐことの
できる高気密性が要求され、第2に適切な強度が必要で
あり、第3に、上述の如くエアバッグは車内の限られた
小さなスペースに収納されることから、コンパクトに折
り畳むことのできる柔軟性が要求され、また第4にバッ
グが膨張する際に素早く膨らむといった応答性に優れ、
軽量であることが要求される。
【0004】従来のバッグ素材としては、合成繊維から
なる織物にゴム等の樹脂をコーティングしてガスバリヤ
ー性能を向上させたエアバッグ用樹脂コート織物基布が
ある(従来例)。しかし、上記従来例は、厚みが厚
く、また目付け量が多くて硬い為、小さく折り畳むこと
が難しく、従って収納性の点で劣るものであった。
【0005】そこで、樹脂をコーティングしないノンコ
ート織物基布が探索され、例えば、高密度に織上げて極
めて低い通気度としたものが提案されている(従来例
)。また他に、エアバッグ用のノンコート織物基布と
して、通気量を0.5〜7.5cc/cm2/sで、単位面積当
りの繊維量を40530〜65520d/インチとし、
軽量化、柔軟性,折畳性の改善、及び収納時の容積低減
を図ったものが提案されている(特開平4-56653 号;従
来例)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以前は、比較的大きな
収納スペースを取ることのできる大型の高級車のみにエ
アバッグが装備されていたが、最近では、中型車や小型
車、更に軽乗用車にもエアバッグが装備される様になっ
てきた。これら収納スペースを大きく取ることのできな
い中・小型車に装備する為には、上記従来例〜では
不十分であり、より一層柔軟で折畳性に優れた基布が望
まれる様になった。特に助手席用のエアバッグに関して
は、バッグ内容量を大きくする必要があり、この容量増
大に伴って使用基布量が多くなる為、上記収納性の向上
が強く望まれている。そこで本発明は、軽量、柔軟で折
畳性が良好であって、優れた収納性を示し、且つ、エア
バッグについての他の要求特性である膨張応答性等にも
優れたエアバッグ用ノンコート織物基布を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエアバッグ
用ノンコート織物基布は、合成繊維フィラメントで構成
されるものであって、前記フィラメントの繊度が100
〜400d、該フィラメントを構成する単繊維の繊度が
3〜6dであり、前記織物基布の単位面積当りの繊維量
が200g/m2以下、通気度が0.5〜3.0cc/cm2/s、
厚みが0.3mm以下、カンチレバー法(JIS L1096 )で
測定した剛軟度が100mm以下であることを要旨とす
る。
【0008】本発明者等は、上述する収納性の向上等の
目的を達成させる為には、フィラメントを構成する単繊
維の繊度、フィラメントの繊度、基布の通気度、単位面
積当りの繊維量、基布の剛軟度等を特定の範囲に規定す
れば良いということを見出した。特に、フィラメントの
単繊維の繊度については、従来何ら考慮されていない要
素であったが、より優れた折畳性が要求される場合には
重要な要素であることを見出した。
【0009】上述の如く、単繊維の繊度は3〜6dであ
ることが必要である。3d未満の場合は、単繊維の強力
が低くなる為に、製織や後加工工程の際に、繊維が損傷
を受け易くなるからであり、損傷を受けず満足な品位の
基布を得る対策として、製織速度等を下げることも考え
られるが、この場合には、生産性が低くなり、生産コス
トの高いものになる。一方、6dを超える場合は、織物
基布としたときに、柔軟性が不十分となって、折畳性が
悪くなるからである。
【0010】合成繊維フィラメントの繊度は、上述の如
く、100〜400dであることが必要で、100d未
満の場合は、引張強力や耐破裂強力等の機械特性が不十
分となり、エアバッグとしての要求に答えられないから
であり、一方、400d超の場合は、織物とした際に、
柔軟性が乏しく、折畳性が悪くなるからである。
【0011】織物基布の単位面積当りの繊維量として
は、200g/m2以下にする必要があり、200g/m2を超
える場合は、基布密度が大きくなり、従って柔軟な基布
とならず、折畳性が悪くなるからである。
【0012】また、フラジール法(JIS L1096 )による
測定で、通気度が0.5〜3.0cc/cm2/sである必要が
ある。通気度が0.5cc/cm2/s未満の場合は、目がつま
り硬くなって柔軟性が不十分となるからであり、一方、
3.0cc/cm2/s超の場合は、膨張時に基布から漏れ出る
ガス量が多くなって、膨張応答性が低下するからであ
る。
【0013】織物基布の厚みは、0.3mm以下であり、
0.3mmを超えた場合は、折り畳んだ時に嵩高くなっ
て、小さなスペースに収納し難くなるからである。織物
基布の剛軟度は、カンチレバー法(JIS L1096 )による
測定で100mm以下である必要があり、100mmを超え
た場合は硬く折畳み難くなるからである。
【0014】本発明に係るエアバッグ用ノンコート織物
基布に用いられる合成繊維フィラメントとしては、熱可
塑性の合成繊維フィラメントが好ましく、例えばポリエ
ステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロ
ピレン繊維等が挙げられる。このうち特にポリエステル
繊維は、力学特性や経済性が良いことから最も好まし
い。
【0015】上記合成繊維フィラメント糸条の強度とし
ては、6g/d 以上であることが好ましい。強度が6g/d
未満の場合は、引張強力,引裂強力等の機械特性を満足
することができないから、エアバッグの膨張作動時に破
損する危険があるからである。より好ましくは8g/d 以
上である。
【0016】本発明の織物基布の組織としては、特定の
ものに限定されないが、好ましくは1/1の平織物であ
る。その他、2/2のマット織物、2/1または2/2
の綾織物やリップストップ織物であっても良い。
【0017】
【発明の実施の形態、及び実施例】強度が8.5g/d で
繊度の異なる2種のポリエステル繊維フィラメントを用
いて、平組織の織物を製織し、常法に従って精錬、ヒー
トセットを行い、エアバッグ用ノンコート織物基布を作
製した。
【0018】これら織物基布No. 1〜14について、織
密度、単位面積当りの繊維量、厚み、通気度、剛軟度、
及び折畳性を測定した。また、得られた織物基布No. 1
〜14から糸を取り出し、該構成糸のフィラメント繊
度、フィラメント数、及び単繊維の繊度を測定した。
【0019】尚、これらの測定は下記の方法で行った。 単位面積当りの繊維量:JIS L1096 6.4.2 厚み :JIS L1096 6.5 通気度:JIS L1096 5.27A (フラジール法) 剛軟度:JIS L1096 6.19.1A (カンチレバー法) 折畳性:20cm四方の基布を四つに折った時の嵩高さの
パラメーター また上記織物基布No. 1〜14を用いて容量60リット
ルのバッグを縫製し、バッグ展開性試験として、伊藤精
機製のエアバッグ展開試験機を用いて、ピーク圧を測定
した。上記各測定の結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1から分かる様に、本発明の上記要件を
満足する織物基布No. 1〜3,6,10,12は、良好
な折畳性を示し、且つ良好なバッグ展開性を示した。こ
れに対し、フィラメント繊度が本発明の要件より小さい
織物基布No. 4は、バッグ展開中の破損が大きく、展開
データが得られない程であった。一方、フィラメント繊
度が本発明の要件より大きい織物基布No. 5は、折畳ん
だ後の嵩高性が大きなものであった。単繊維の繊度が本
発明の要件より小さい織物基布No. 7は、製織性が悪
く、欠点が多発し、製品として品位の劣るものであり、
評価に供する基布が得られなかった。一方、単繊維の繊
度が本発明の要件より大きい織物基布No. 8は、折畳ん
だ後の嵩高性が不満足なものであった。また、単位面積
当りの重量が本発明の要件より大きい織物基布No. 9
も、折畳んだ時の嵩高性が不満足なものとなった。本発
明の要件より大きな通気度の織物基布No. 11は、バッ
グの展開性能が不十分なものであった。また、織物基布
No. 12の基布を185℃、85トン・160cm幅の
加圧下でカレンダー加工した織物基布No. 13は、本発
明の要件より通気度が小さくなり、剛軟が大きいもので
あったが、この基布は折畳む際の作業性が悪く、嵩高性
も大きくなる傾向のものとなった。
【0022】
【発明の効果】本発明に係るエアバッグ用ノンコート織
物基布は、軽量、柔軟で折畳性,収納性に優れ、且つエ
アバッグが作動して膨張する際に優れた応答性を示す。
従って、小さな収納スペースの小型車にもエアバッグを
装備することが可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成繊維フィラメントで構成されるエア
    バッグ用ノンコート織物基布において、 前記フィラメントの繊度が100〜400d、該フィラ
    メントを構成する単繊維の繊度が3〜6dであり、前記
    織物基布の単位面積当りの繊維量が200g/m2以下、通
    気度が0.5〜3.0cc/cm2/s、厚みが0.3mm以下、
    カンチレバー法(JIS L1096 )で測定した剛軟度が10
    0mm以下であることを特徴とするエアバッグ用ノンコー
    ト織物基布。
  2. 【請求項2】 前記合成繊維フィラメントがポリエステ
    ル繊維である請求項1に記載のエアバッグ用ノンコート
    織物基布。
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Cited By (4)

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