JPH0930898A - Bi置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法 - Google Patents

Bi置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法

Info

Publication number
JPH0930898A
JPH0930898A JP20735195A JP20735195A JPH0930898A JP H0930898 A JPH0930898 A JP H0930898A JP 20735195 A JP20735195 A JP 20735195A JP 20735195 A JP20735195 A JP 20735195A JP H0930898 A JPH0930898 A JP H0930898A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
melt
composition
iron garnet
film
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP20735195A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromitsu Umezawa
浩光 梅澤
Yasuhiro Yasuma
康浩 安間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
FDK Corp
Original Assignee
FDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by FDK Corp filed Critical FDK Corp
Priority to JP20735195A priority Critical patent/JPH0930898A/ja
Publication of JPH0930898A publication Critical patent/JPH0930898A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望のBi置換鉄ガーネット膜を製造するた
めに適した過飽和温度ΔTを得るためのメルト組成を少
ない回数で決定する調整方法を提供すること 【解決手段】 R=PbO/B2 3 ,RBi=Bi2
3 /(Tb2 3 +Lu2 3 )とした場合、R
一定であると、RBiが大きいほどΔTが小さくなり、ま
たRBiが一定であるとRが大きいほどΔTが大きくな
る。そこで、ある組成のメルトを生成し、それを用いて
基板表面に膜を育成し、その時の前記基板と前記膜の格
子定数が一致する育成温度T0 と飽和温度Tsの差であ
るΔTを求め、そのΔTが所定の温度範囲内にない場合
に、RとRBiの2つのパラメータのうち少なくとも一
方を増加または減少させることにより、ΔTが所定温度
範囲内になるようにする。両パラメータとΔTの相関が
既知であるので、ΔTを増減させるに必要なパラメータ
の変更方向がわかり、調整が容易になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信や光情報処
理分野に用いられ光アイソレータ,光スイッチ,光サー
キュレータ等の構成要素の一つである磁気光学素子を製
造する際に必要な条件を求め、メルトの組成の調整を行
うBi置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気光学素子として、液相エピタキシャ
ル成長させたBi置換鉄ガーネット膜を用いて構成され
たものがある。よく知られているように、係るBi置換
鉄ガーネット膜は、LPE法により製造され、その具体
的な製造方法は、ガーネット原料とPbO,Bi
2 3 ,B2 3 のフラックス原料を白金るつぼに入れ
高温で融解してメルトを生成し、その後温度を下げて過
飽和状態に保つ。その状態で種結晶(ガーネット基板)
をメルトの液面に対して水平に保持し、回転させながら
浸す。すると、その種結晶の下面に所定の組成からなる
膜がエピタキシャル成長する。そして、その成長にした
がって回転させることにより、所定厚さの膜を形成す
る。
【0003】ところで、係る成長した膜は、基板の性質
を引き継ぐため、高品質の膜を形成するためには、基板
自体に高品質なものを用いることが必要であるが、それ
に加えてメルト組成及び育成条件(温度条件や引き上げ
速度)も重要なファクターの一つとなる。そして、最適
な条件を決定するために、従来はメルト中の各原料のモ
ル比や、温度条件を替えて実験を行い、所望の条件を決
定するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】メルトの温度に対する
成長状態及び格子定数差の関係の一例を示すと、図1に
示すようになっている。図示の例では、基板は一般に使
用される(GdCa)3(MgZrGa)5 12(格子
定数a=1.2496nm)を用い、その基板に(Tb
Lu)1.8 Bi1.2 Fe5 12を育成した時の実験結果
であり、このメルトの飽和温度Tsは855℃である。
【0005】そして、図から明らかなように、温度と成
長速度との関係では飽和温度に近いと成長速度が遅く育
成に時間がかかるので好ましくない。逆に、飽和温度よ
りも低いと成長速度が速くなり、短時間で膜を育成する
ことができるものの、育成中にメルト中に自然核生成
(析出)が生じてしまい、メルトの成分が変化するので
好ましくない。
【0006】さらに、温度が低くなると膜のBi量が増
え、膜の格子定数が増加する。そして、室温で基板と同
じ格子定数になるように膜を成長させるのが高品質の膜
を得るのに好ましく、実験の結果この例では、822℃
で育成すると格子定数が基板と膜とで一致する。従っ
て、その後同一組成の膜を成長させる際の育成温度T0
は、822℃となる。そして、上記育成温度T0 と、飽
和温度Tsとの差が、過飽和度ΔTとなり、この例では
33℃となる。
【0007】従って、上記育成時間と育成中での析出の
問題を同時に解決するために、過飽和度ΔTが一定の温
度範囲内(例えば10〜50℃)になるように、メルト
の組成を決定する必要があり、従来特開昭61−179
415,特開昭62−70288,特開平3−6049
9,特開平3−65598等にて、各種の膜を製造する
に適した条件についての発明が開示されている。
【0008】しかしながら、上記各種の条件は、例えば
下記式1に示すように6つのパラメータ(本明細書では
「Rパラメータ」と称する)により決定され、各パラメ
ータを決定するための原料も重複して使用されるので、
あるRパラメータを調整すると、それにともない他のR
パラメータも変動してしまうことがあるため、調整が煩
雑となる。
【0009】
【数2】 さらに、所定のRパラメータの増減による上記T0 とT
sの変更の傾向はある程度わかっているものの、係るT
0 とTsは同時に変動するため、各Rパラメータの変更
により与えるΔTへの影響が不明確であった。そのた
め、新たな組成の膜を育成する場合には、経験と試行錯
誤によって組成や温度条件等を替えながら実際に膜の育
成を行う実験を繰り返し行い、所望の条件(メルト組
成)を決めているので、決定するまでに非常に時間を要
するばかりでなく、必ずしも目的のメルト組成が得られ
るとも限らなかった。
【0010】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、上記した問題を解決
し、実験を行わないか、或いは仮に実験を行ったとして
も少ない回数で所望のΔTを得るためのメルト組成を決
定することができるBi置換鉄ガーネット膜育成用メル
トの組成調整方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明に係るBi置換鉄ガーネット膜育成用メル
トの組成調整方法では、Bi置換鉄ガーネットを液相エ
ピタキシャル成長させる際に使用するメルトの組成を決
定するために行う調整方法であって、ある組成のメルト
を生成し、それを用いて所定の基板表面にBi置換鉄ガ
ーネットの膜を育成し、その時の前記基板と前記膜の格
子定数が一致する育成温度T0 と飽和温度Tsの差であ
る過飽和温度ΔTを求め、そのΔTが所定の温度範囲内
にない場合に、 R=PbO/B2 3Bi=Bi2 3 /ΣR2 3 但しRはYおよび希土類元素(実施例ではTb,Lu) で規定されるRとRBiの2つのパラメータのうち少な
くとも一方を増加または減少させることにより、ΔTが
所定温度範囲内になるようにした(請求項1)。
【0012】ここで所定の温度範囲は、例えば仕様を満
たすための温度条件であり、一例を示すと10〜50℃
でより好ましくは20〜40℃となる。そして、本明細
書でいう温度範囲とは、下限温度をA℃とし上限温度を
B℃とした場合に、A≦Bの関係にあるものをいい、A
=Bすなわち、温度範囲が0も含む概念である。係る場
合には、過飽和温度を所定の温度になるように調整する
ことになる。
【0013】そして各種実験を繰り返し行ったところ、
ΔTに影響を与えるのは図4に示すように、Rパラメー
タのうちのRとRBiだけであることが分かった。すな
わち、R,RBiが一定であれば、R,RBiに関係な
い組成のモル比を変更してもΔTは変化しない(Ts,
T0 が同一量だけシフトする)。しかも、RBiを増加さ
せるとΔTは減少し、Rを増加させるとΔTは増加す
る傾向にある。
【0014】従って、実際に所定の組成からなるメルト
を用いて膜を育成し、そのときのΔTを測定し、目的の
温度との大小関係やそのずれ量を求め、上記したR
Biの増減に対するΔTの増減の関係に基づいて、
,RBiのいずれを増減すれば目的とするΔTに近づ
くかが容易に推定できる。従って、必要なパラメータ
(R及びまたはRBi)を規定する組成を変更すること
によりパラメータを増減すると、所望のΔTとなるメル
トの組成になる。
【0015】そして、従来は経験に基づき各パラメータ
を変更していたが、本発明では対象となるパラメータは
2つとなり、しかも、一方を固定していても調整が可能
となるので、多くても数回程度の実験により調整が完了
する。しかも、係る調整はR,RBiの増減とΔTの増
減の対応が明確であるので、経験がさほどなくても容易
にパラメータの変更の指針を求めることができる。
【0016】そして、上記調整方法を具体的に示すと、
前記RとRBiの調整が、ΔTが所定の温度範囲よりも
小さい場合に、 RBiを一定にしてRを増加させる; Rを一定にしてRBiを減少させる; RBiを減少させるとともにRを増加または減少させ
る; Rを増加させるとともにRBiを増加または減少させ
る; のうちのいずれかの方法を採ることができる(請求項
2)。
【0017】一方、ΔTが所定の温度範囲よりも大きい
場合には、 ′RBiを一定にしてRを減少させる; ′Rを一定にしてRBiを増加させる; ′RBiを増加させるとともにRを増加または減少さ
せる; ′Rを減少させるとともにRBiを増加または減少さ
せる; のうちのいずれかの方法を採ることができる(請求項
3)。
【0018】そして、実際に使用する場合には、請求項
2,3に規定する方法を適宜に組み合わせて調整を行う
ことになり、その組み合わせの方法は、と′という
ように対応する番号同士(この場合には、例えば変更対
象がRのみ等となり、変更後のΔTが予測しやすいと
ともに、仮に1回の調整で目的とするΔTが得られない
場合にも、前回のパラメータの変更量と実際のΔTの変
位量から次に行うべきパラメータの変更量も容易に決定
できる)の場合はもちろんのこと、対応しない番号同士
の組み合わせでももちろんよい。さらに、,,
′,′のようにRとRBiを同時に変更するような
場合には、増減方向を逆にすること(Rを増加でRBi
を減少或いはその逆)により、目的とするΔTを大きく
変位させることができ、増減方向を同じにすると、R
の変更によるΔTの変位方向とRBiの変更によるΔTの
変位方向とが逆向きになり、一部が相殺されるので、微
調整が可能となる。
【0019】さらに、RまたはRBiのうち一方を固定
した状態で他方を変更させてその時のΔTをプロット
し、そのプロットされた値に基づいて2つのRパラメー
タとΔTの相関を示すカーブを求め、そのカーブを用い
てΔTが所定の温度になるRパラメータを決定するよう
にしてもよい(請求項4)。
【0020】すなわち、特性のカーブを求めると、視覚
的に所望のΔTになるべきパラメータの値が直観的に理
解できるので、より簡単で少ない回数で調整処理が完了
することになる。
【0021】そして、具体的な膜の育成条件としてはた
とえば前記基板が、(GdCa)3(MgZrGa)5
12で、育成する前記膜が(TbLu)1.8 Bi1.2
512とすると、
【0022】
【数3】 で規定される各Rパラメータが 12≦R≦23 0.11≦R≦0.17 1.0≦R≦2.3 の条件を満たす範囲内で、RとRBiの少なくとも一方
を上記した請求項1〜4のいずれかの方法により調整
し、それら決定されたR,R,R,R,RBi
満たすモル比で構成されるようにメルトを形成し、その
メルトを用いて膜を育成すると、高品質の膜が育成され
る(請求項5)。
【0023】ここでR,R,Rの各パラメータの
意義及び上記した範囲内にした理由は、以下に示すよう
になっている。まずRは、ガーネット相の生成を決め
るパラメータで、小さすぎるとオルソフェライトが生成
され、大きすぎるとマグネトプランバイトが生成する。
従って、上記した範囲内がいずれも生成されない範囲と
なる。
【0024】Rはメルト中のガーネット成分の割合を
表し、Rが大きいと飽和温度が上昇し成長速度は大き
くなる。そして、上記範囲内にしたのは、0.11より
小さいと成長速度が小さすぎて生産性が低く、0.17
より大きいとT0 が高くなりすぎて基板と膜の熱膨脹係
数差に起因する育成時のミスマッチが大きくなり、割れ
やすくなるためである。
【0025】Rはフラックス中のBi2 3 の量を決
めるもので、小さいほどメルト中のBi量が増えるの
で、Bi置換量が増加する。しかし小さくしすぎると膜
との濡れ性が高くなるため、育成終了後にフラックスを
振り切れなくなる、そこで係る問題がない上記範囲内に
設定した。
【0026】なお、Rはフラックス中のB2 3 の量
を決めるもので、Rが小さい(B2 3 が多い)と、
飽和温度が低下しBiの偏析係数が大きくなりBi置換
量が増加する一方、成長速度が低下する。一方Rが大
きいとBiの偏析係数が小さくなり、必要なBi置換量
が得にくくなる。そこで好ましくはRは2〜10の範
囲にすることである。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明を、(GdCa)3 (Mg
ZrGa)5 12の基板を用い、LPE法により当該基
板に(TbLu)1.8 Bi1.2 Fe5 12の膜を育成す
る場合に適用した例を説明する。
【0028】まず新たな組成の膜を形成しようとした場
合には、適当な組成比からなるメルトを生成する。この
時、好ましくは、各Rパラメータが、
【0029】
【数4】 12≦R≦23 2≦R≦10 0.11≦R≦0.17 1.0≦R≦2.3 の範囲内におさまるように設定する。
【0030】上記設定に基づき、所定の組成比になるよ
うに各原料(ガーネット原料,フラックス原料)を秤量
し、白金るつぼに入れ高温で融解してメルトを生成し、
その後所定温度に保ち、基板下面に膜を育成する。そし
てそのときの過飽和温度ΔTを求める。
【0031】なお、最初から過飽和温度はわからないの
で、所定の温度で実際に膜を育成し、そのとき得られた
膜の格子定数を測定し、基板の格子定数(1.2496
nm)との差を求める。そして、同一の組成のメルトを
用い、育成温度を替えて膜を育成し、そのときの基板と
の格子定数の差を求める。少なくとも2点以上測定し、
その結果をプロットする。すると、図1に示すように温
度と格子定数の関係は直線性を有するので、上記複数の
プロットした点に基づいて、各点を通る(できるだけ近
づく)ような直線を求め、その直線と格子定数が0の軸
との交点の温度を求め、それを育成温度T0 とする。さ
らに、その組成からなるメルトの飽和温度Tsを求め
る。そして、Ts−T0 を求めることにより、過飽和温
度ΔTを求める。
【0032】そして、ΔTが予め定めた温度範囲(例え
ば10〜50℃)を外れている場合には、RまたはR
Biの少なくとも一方を変化させてΔTが温度範囲内にく
るように調整を図る。具体的には、ΔTが50℃よりも
大きい場合には例えばRを一定にしつつRBiを大きく
する。
【0033】このとき、RBiを大きくするには、Bi2
3 を増加するか、或いは(Tb23 とLu2 3
の総量を減少すればよいが、例えばBi2 3 を増加す
ると、そのままでは(Bi2 3 以外は変えない)その
増加にともないRやRも変化する。そして、場合に
よってはRやRの値が上記した範囲外になるおそれ
もある。したがって、その他のRパラメータが範囲内に
なるように必要に応じてBi2 3 以外の原料のモル比
も調整する。また、(Tb2 3 とLu2 3)の総量
を減少させる場合にも、同様のことがいえる。
【0034】具体的には記載しないが、ΔTが10℃よ
りも小さい場合には上記と逆方向に調整を図ればよい。
さらに、ΔTが所定の温度範囲を越えた場合の調整方法
としては、RBiを一定にしてRを変更する(必要に応
じてその他のパラメータ調整も行う)ようにしてもよ
く、さらにはRBiとRを同時に変更してもよい。
【0035】*実験結果 本発明の作用効果を実証するために、各Rパラメータを
変更し、そのときの成長速度と格子定数を求める実験を
行なった。基板及び育成する膜は、上記した実施の形態
で説明したものと同じものとした。さらにRパラメータ
として、以下に規定するRを設け、Rを4.5で一
定にした。
【0036】R=Tb2 3 /Lu2 3 これにより、膜に含まれるTbとLuの比がほぼ同じと
考えられるので、基板と膜の格子定数が等しい育成温度
T0 で育成すると、どのメルトであってもほぼ同一組成
の膜が得られる。さらに基板の直径は1インチで基板回
転速度は50〜100rpmとし、育成膜厚は3〜10
0μmとした。
【0037】各Rパラメータを表1に示すように適宜変
更し、その組成のメルトを用いて上記した実施の形態で
も述べた方法によりTs,T0 を求め、ΔTを算出し
た。すなわち、図2に示すようにサンプルA〜Sの各組
成のメルトを用い、それぞれ成長温度を替えて実際に膜
を育成した。その時の格子定数差Δa(基板の格子定数
と膜の格子定数の差)を求めるとともに成長温度に対す
る格子定数差の相関を求め、その結果を図2に示す。そ
して、同一サンプルについての測定点を結ぶ直線を引
き、その直線と格子定数差=0の軸の交点の成長温度を
育成温度T0 とした。
【0038】また、上記各サンプルに対する各成長温度
により膜を育成した時の成長速度も合わせて測定し、そ
の成長温度に対する成長速度の相関を求め、その結果を
図3に示す。そして、同一サンプルについての測定点を
結ぶ線と成長速度=0の軸との交点が飽和温度Tsとな
る。
【0039】
【表1】 このようにして求めた表1に示す実験結果に基づき、R
,RBi並びにΔTの各値を抽出し、Rを替えたとき
のΔTとRBiの関係を図4に示す。そして、同図中に記
載したカーブは同一のRを結ぶ線であり、同図から明
らかなようにR が一定であると、RBiが大きいほどΔ
Tが小さくなり、またRBiが一定であるとRが大きい
ほどΔTが大きくなることがわかる。
【0040】しかも、この図と表1中の他のRパラメー
タ並びにT0 ,Tsを見ると、R,RBi以外のRパラ
メータやTs,T0 は様々な値をとっており、ΔTとの
相関はない。このように、他のRパラメータなどが様々
な値をとるにもかかわらず、RとRBiがΔTに対して
与える影響が上記したような傾向にあることから、ΔT
がR及びまたはRBiにより制御できることにほかなら
ず、よって本発明が成り立つといえる。
【0041】なお、RとRBiのうち一方を固定(図示
の例ではRを固定)し、他方(RBi)を変化させたと
きのΔTの値をプロットし、それらを結ぶカーブを求め
ると、目標とするΔTになるRBiの値が容易にしかも精
度良く求めることができる。したがって、少なくとも2
〜3点の測定点を求めるだけで最終的に必要なRパラメ
ータの条件を決定することが可能となる。
【0042】なおまた、上記した例では(GdCa)3
(MgZrGa)5 12の基板を用い、LPE法により
当該基板に(TbLu)1.8 Bi1.2 Fe5 12の膜を
育成する場合について説明したが、本発明はこれに限る
ことなく、Bi置換鉄ガーネット膜であれば何にでも適
用できる。但し、Rパラメータの最適な範囲は適宜変更
される。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るBi置換鉄
ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法では、R
Biの少なくとも一方を増減することによりΔTを精度
良く制御できる。したがって、一度所定の組成比からな
るメルトを用いて膜を育成するとともに、その膜のΔT
を求め、そのΔTが所定の温度範囲内か否かを判定し範
囲外の場合には、ΔTと温度範囲との大小関係に基づき
,RBiを増減させることによりΔTを所定温度範囲
に近付ける(或いは範囲内にする)ことができる。すな
わち、調整方向を正しく行うことができ、収束する方向
(目標とするΔTの値)に向かって調整処理が進むた
め、少ない回数で確実に所望の条件を導き出すことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成長温度と成長速度/格子定数差の関係を説明
する図である。
【図2】成長温度に対する格子定数差の関係を示す図で
ある。
【図3】成長温度に対する成長速度の関係を示す図であ
る。
【図4】R,RBiとΔTの相関を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bi置換鉄ガーネットを液相エピタキシ
    ャル成長させる際に使用するメルトの組成を決定するた
    めに行う調整方法であって、 ある組成のメルトを生成し、それを用いて所定の基板表
    面にBi置換鉄ガーネットの膜を育成し、その時の前記
    基板と前記膜の格子定数が一致する育成温度T0 と飽和
    温度Tsの差である過飽和温度ΔTを求め、そのΔTが
    所定の温度範囲内にない場合に、 R=PbO/B2 3Bi=Bi2 3 /ΣR2 3 RはYおよび希土類元素 で規定されるRとRBiの2つのパラメータのうち少な
    くとも一方を増加または減少させることにより、ΔTが
    所定温度範囲内になるようにしたことを特徴とするBi
    置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法。
  2. 【請求項2】 前記RとRBiの調整が、ΔTが所定の
    温度範囲よりも小さい場合に、 RBiを一定にしてRを増加させるか、 Rを一定にしてRBiを減少させるか、 RBiを減少させるとともにRを増加または減少させる
    か、 或いはRを増加させるとともにRBiを増加または減少
    させる方法のうちのいずれかを行うようにしたことを特
    徴とする請求項1に記載のBi置換鉄ガーネット膜育成
    用メルトの組成調整方法。
  3. 【請求項3】 前記RとRBiの調整が、ΔTが所定の
    温度範囲よりも大きい場合に、 RBiを一定にしてRを減少させるか、 Rを一定にしてRBiを増加させるか、 RBiを増加させるとともにRを増加または減少させる
    か、 或いはRを減少させるとともにRBiを増加または減少
    させる方法のうちのいずれかを行うようにしたことを特
    徴とする請求項1または2に記載のBi置換鉄ガーネッ
    ト膜育成用メルトの組成調整方法。
  4. 【請求項4】 RまたはRBiのうち一方を固定した状
    態で他方を変更させてその時のΔTをプロットし、 そのプロットされた値に基づいて2つのRパラメータと
    ΔTの相関を示すカーブを求め、 そのカーブを用いてΔTが所定の温度になるRパラメー
    タを決定するようにした請求項1に記載のBi置換鉄ガ
    ーネット膜育成用メルトの組成調整方法。
  5. 【請求項5】 前記基板が、(GdCa)3 (MgZr
    Ga)5 12で、育成する前記膜が(TbLu)1.8
    1.2 Fe5 12であって、 かつ、前記メルトが、 【数1】 で規定されるRパラメータが 13≦R≦23 0.11≦R≦0.17 1.0≦R≦2.7 の条件を満たすモル比で構成されることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか1項に記載のBi置換鉄ガーネッ
    ト膜育成用メルトの組成調整方法。
JP20735195A 1995-07-24 1995-07-24 Bi置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法 Withdrawn JPH0930898A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20735195A JPH0930898A (ja) 1995-07-24 1995-07-24 Bi置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20735195A JPH0930898A (ja) 1995-07-24 1995-07-24 Bi置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0930898A true JPH0930898A (ja) 1997-02-04

Family

ID=16538305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20735195A Withdrawn JPH0930898A (ja) 1995-07-24 1995-07-24 Bi置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0930898A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100437440B1 (ko) * 2000-03-22 2004-06-23 티디케이가부시기가이샤 자성 석류석 단결정막 및 그 제조 방법, 및 그것을 사용한 패러데이 회전자
JP2006133775A (ja) * 2005-11-02 2006-05-25 Tdk Corp 磁性ガーネット単結晶膜及びその製造方法、及びそれを用いたファラデー回転子
JP2021098618A (ja) * 2019-12-20 2021-07-01 住友金属鉱山株式会社 ビスマス置換希土類−鉄ガーネット膜の液相エピタキシャル育成方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100437440B1 (ko) * 2000-03-22 2004-06-23 티디케이가부시기가이샤 자성 석류석 단결정막 및 그 제조 방법, 및 그것을 사용한 패러데이 회전자
JP2006133775A (ja) * 2005-11-02 2006-05-25 Tdk Corp 磁性ガーネット単結晶膜及びその製造方法、及びそれを用いたファラデー回転子
JP4572810B2 (ja) * 2005-11-02 2010-11-04 Tdk株式会社 磁性ガーネット単結晶膜及びその製造方法、及びそれを用いたファラデー回転子
JP2021098618A (ja) * 2019-12-20 2021-07-01 住友金属鉱山株式会社 ビスマス置換希土類−鉄ガーネット膜の液相エピタキシャル育成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4417943A (en) Method for controlling the oxygen level of silicon rods pulled according to the Czochralski technique
JPH0930898A (ja) Bi置換鉄ガーネット膜育成用メルトの組成調整方法
US4057458A (en) Method of making nickel zinc ferrite by liquid-phase epitaxial growth
JP3197383B2 (ja) エピタキシャル成長による薄膜の製造法
US5662740A (en) Process for producing thin film by epitaxial growth
JPS6033291A (ja) 単結晶シリコンの製造方法
CA1055818A (en) Isothermal growth of bubble domain garnet films
JP3152322B2 (ja) 無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法
US4468438A (en) Garnet epitaxial films with high Curie temperatures
US3880984A (en) Method of producing plate single-crystal of gadolinium molybdate
US4354254A (en) Devices depending on garnet materials
JPS6199318A (ja) 磁性ガ−ネツト膜の作製方法
JP3171476B2 (ja) 磁性ガーネット単結晶膜の製造方法
JPS62216310A (ja) 磁気光学結晶育成法
JPS6129914B2 (ja)
JP3419208B2 (ja) 単結晶製造方法
JPH07206594A (ja) 磁性ガーネットの製造方法
JPH0867600A (ja) ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の製造方法
JPH03199199A (ja) ランタンガレート単結晶基板およびランタンガレート単結晶ならびにランタンガレート単結晶基板の製造方法
JP2756273B2 (ja) 酸化物ガーネット単結晶およびその製造方法
JPS63228443A (ja) 光磁気記録材料の製造方法
JPS62182190A (ja) 化合物半導体単結晶の製造方法
JPH06206790A (ja) 酸化物磁性ガーネット単結晶薄膜の製造方法
JP2770572B2 (ja) 半絶縁性GaAs単結晶の製造方法
JPH01138195A (ja) 半導体製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20021001