JPH09307917A - 画像有彩化装置 - Google Patents

画像有彩化装置

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JPH09307917A
JPH09307917A JP12348096A JP12348096A JPH09307917A JP H09307917 A JPH09307917 A JP H09307917A JP 12348096 A JP12348096 A JP 12348096A JP 12348096 A JP12348096 A JP 12348096A JP H09307917 A JPH09307917 A JP H09307917A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モノクロ画像に対する彩色作業において、色
空間上での写像または補間演算を利用して自然な彩色を
行いながら、彩色作業の効率化を図る。 【解決手段】 モノクロ画像上の任意の無彩色を記録す
る指定色記録メモリ101と、彩色後に得たい色(以
下、調整色と示す)を記録する調整色記録メモリ102
を持ち、メモリに記録された複数個の無彩色と調整色の
組に基づいた色空間上での入力画像の画素に対する写像
を行うためのプリ演算部103と写像パラメータ記録部
104および写像部105を備え、無彩色を色空間上で
写像することにより、モノクロ画像への彩色を行う画像
有彩化装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はモノクロ画像に対し
て彩色を行う画像有彩化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】明治、大正、昭和初期等に撮影された歴
史的に貴重な写真や映像は、当時の技術的な理由により
モノクロである。創世期の名作と呼ばれる映画もモノク
ロである。このようにモノクロで記録された写真や映像
を有彩化したいという要望は出版業界や放送業界等にお
いて非常に根強い。このような要望に鑑み、近年急速な
進歩を遂げた色彩調整技術や画像処理技術を駆使してモ
ノクロ画像をカラー化する手法が研究されつつある。
【0003】一般にカラー画像は、明度(Lightness)
・彩度(Chroma)・色相(Hue)の三属性によって表現
されているが、モノクロ画像は、無彩色の画素で表現さ
れている。例えば、頬,着衣,唇,額が一様に無彩色のみ
で表現された歴史上の人物像の写真を有彩化する場合、
スキャナ等の光学的読み取り機器によってこれをパソコ
ン上に読み取り、ポインティングデバイスを用いて頬,
着衣,唇,額等同一色を彩色する部分毎に領域指定し、指
定された領域全体の色の彩度、色相等を調整する。この
調整によって頬や額は肌色系の色相、彩度を与え、唇に
は朱色系の色相、彩度を与える。
【0004】色彩調整技術や画像処理技術における近年
の傾向としては、高解像度化やフルカラー化、処理の高
速化もさることながら、対話編集における操作性も重要
視されている。これは色彩調整においては、デザイナー
やカラーコーディネーターが、その印象通りの色あいを
求めるために試行錯誤を繰り返すからであり、従来の色
彩調整装置や画像処理装置は、グラフィカルユーザイン
タフェース(一般に、GUIと略称される。)を導入す
ることにより、よりビジュアルな対話編集を実現してい
る。GUIを用いての対話編集とは、具体例で言うと、
スライドバーにより加減算量を設定しての画素値の書き
換えやポインティングデバイスを用いての画像上の領域
指定等である。
【0005】従来の画像有彩化装置はGUIを導入する
ことにより、出版関係者や放送関係者等による有彩化作
業の効率化を支援している。従来の画像有彩化装置を内
部構成を図26の機能ブロック図を用いて説明を行う。
図26において従来の画像有彩化装置は、読み出し/書
込部810、フレームバッファ811、ディスプレィ8
12、入力部813、ポィンティングデバイス814、
及び画素有彩化装置815からなる。画素有彩化装置8
15は、入力スイッチ802、第1変換部803、加減
算処理部804〜加減算処理部806、加減算制御部8
07、第2変換部808、及び出力スイッチ809から
なる。
【0006】フレームバッファ811は1フレームのモ
ノクロ画像を作業用に記憶する。読み出し/書込部81
0はフレームバッファ811から画素値を1画素ずつ画
素有彩化装置815に読み出し、画素有彩化装置815
から出力された画素値をフレームバッファ811に書き
込む。ディスプレィ812は、フレームバッファ811
に記憶されているモノクロ画像を表示する。入力部81
3はポインティングデバイスの操作に応じてカーソルの
軌跡座標を画素有彩化装置815内の領域指定部801
に出力し、スライドバーに対してなされた加減算量を画
素有彩化装置815内の加減算制御部807に出力す
る。
【0007】入力スイッチ802は読み出された画素の
座標が領域指定された領域内側であるか外側であるかで
切替わる。領域指定部801は読み出し/書込部810
によって読み出された画素値がポインティングデバイス
によって指定された領域の内側に位置するか、外側に位
置するかを判定する。第1変換部803は、読み出され
た画像の画素値を明度、彩度、色相という三軸で構成さ
れる色空間へと変換し、加減算処理部804、805、
806に出力する。加減算制御部807は操作者がスラ
イドバーに対して行った変化量を加減算処理部804、
805及び806に与える。加減算処理部804、80
5および806は入力された画素の明度、彩度、色相
に、加減算制御部807から与えられた変化量を加減算
する。出力スイッチ809は入力画素が指定された領域
内側か外側かで出力先が切り替わる。
【0008】以上のように構成された従来の画像有彩化
装置の動作について以下に説明する。操作者がポインテ
ィングデバイスを用いてディスプレィ812上でカーソ
ルを移動させ、モノクロ画像の何れかの部分を囲むと、
入力部813は囲まれた部分の座標を取得する。操作者
が囲んだ部分の有彩化を指示すると、読み出し/書込部
810はフレームバッファ811に記憶されている画素
値を一画素ずつ読み出してゆく。読み出された画素は逐
一入力スイッチ802に与えられる。
【0009】領域指定部801は入力スイッチ802に
与えられた画素の座標を参照し、その座標から、その画
素指定された領域内であるか、外側にあるかを判定す
る。この判定結果に応じて領域指定部801は、入力ス
イッチ802および出力スイッチ809に切替信号を送
出する。切替信号が領域内を示していれば、入力スイッ
チ802を出力先を第1変換部803側へ切り替え、出
力スイッチ809は入力元を第2変換部808側に切り
替える。また、切替信号が領域外を示すものであれば入
力スイッチ802および出力スイッチ803は逆の方向
に切り替えられる。これにより入力画像値がスルー出力
される。
【0010】入力スイッチ802が領域内に切り替えら
れた場合、第1変換部803では入力画像の画素データ
を受け取り、画素データを明度、彩度、色相という三軸
で構成される色空間へと変換する。明度成分、彩度成
分、色相成分はそれぞれ加減算処理部804、805、
806に入力される。加減算処理部804〜806で
は、加減算制御部807から与えられる変化量を、入力
された明度成分、彩度成分、色相成分に加算しその結果
を第2変換部808に出力する。加減算処理部804〜
806での演算結果を受け取った第2変換部808は、
色空間の変換を行って結果を809へ出力する。以上の
結果、領域指定部801で指定された領域内の画素値に
スライドバーに応じた明度、彩度、色相が加えられるた
め、有彩化されることになる。
【0011】入力されたモノクロ画像をカラー画像に変
換するには、領域選択と各変化量を変えながら上記にあ
げた画像有彩化装置を繰り返し利用する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
技術では、領域指定した閉領域の画素の画素値を一律に
書き換えるので、顔,着衣,唇等、色合いが異なる部分
を、個別に領域指定しなければならない。このような領
域指定を繰り返すにあたって、既に彩色された部分と、
次に領域指定した部分との間が確実に一致していないと
無彩色の塗り残しが表れる。ポインティングデバイスの
精度や操作者の技量等によりこの不一致部が多く表れる
と、無彩色の輪郭線があちこちに表れるという問題点が
ある。
【0013】この問題点を図27(a)(b)の一例を
参照しながら説明する。例えば、人の顔を彩色する場合
において、唇とそれ以外の顔の部分とは、色が違う訳だ
から先ずポインティングデバイスを走行し、カーソル跡
h1によって唇を囲む。囲むとカーソル跡h1内の閉領域の
画素値を赤色系の彩度、色相に書き換える。続いて図2
7(b)に示すカーソル跡h2によって唇の周りを囲
み、図27(b)に示すカーソル跡h3によって顔を囲
む。ここでカーソル跡h2,h3によって挟まれる閉領域が
指定される。唇を除く顔の部分が領域指定されるので、
その閉領域の画素値を肌色系の彩度、色相に書き換え
る。この際、図27(a)における唇の軌跡h1と、図2
7(b)における唇の軌跡h2とが確実に一致していない
と、その一致していない部分は有彩化されず、無彩色の
塗り残しとして表れてしまう。この塗り残しによって有
彩化後の画像には、唇の周りに輪郭線があるように見え
る。領域指定の回数が多いと、髪の毛と肌の境目、着衣
と肌の境目等あちこちの箇所において、無彩色の輪郭線
が表れてくる。
【0014】本発明の目的は、領域指定の有彩化と繰り
返しによってモノクロ画像を有彩化する場合に、無彩色
の塗り残しをより少なくすることができる画像有彩化装
置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明では、操作者が有
彩化を行うにあたって、既に有彩化されている部分を含
むように領域指定を行うことができる画像有彩化装置を
提供している。
【0016】
【発明の実施の形態】上記目的を達成するために請求項
1に記載の発明は、画面上においてカーソルの移動軌跡
によって囲まれた閉領域内部の画素値を所定の変換パラ
メータを用いて書き換えることにより、モノクロ画像を
有彩化する画像有彩化装置であって、カーソルの軌跡に
よって指定された閉領域が有彩化済みの部分を含んでい
ると、有彩化済部分に対する画素値の書き換えを禁止す
る禁止手段を備えることを特徴としたものであり、操作
者がポインティングデバイスを操作することにより、カ
ーソルの移動軌跡によって画面上の閉領域内部が囲まれ
ている。この閉領域の画素値が所定の変換パラメータが
用いて書き換えられる。以上のカーソル移動・画素値書
き換えの繰り返しにより、モノクロ画像が部分的に有彩
化されている。ここでカーソルの軌跡によって指定され
た閉領域が有彩化済みの部分が含んでいると、禁止手段
によって有彩化済部分に対される画素値の書き換えが禁
止される。このようにして操作者は、有彩化済み部分を
気にせずに、カーソルで閉領域を指定することができ
る。
【0017】また請求項2に記載の画像有彩化装置は画
像を構成する画素の画素値は、赤色成分Rxと、緑色成
分Gxと、青色成分Bxとからなり、禁止手段は、指定さ
れた閉領域に含まれる各画素の画素値の各成分がRx≒
Gx≒Bxの関係を満たしているが否かを判定することに
より、無彩色のままの画素であるか、既に有彩化されて
いる画素であるかを判定する無彩色判定部を備えること
を特徴としたものであり、カーソル軌跡によって指定さ
れた閉領域に含まれる各画素の画素値の各成分がRx≒
Gx≒Bxの関係が満たしているが否かが無彩色判定部に
よって判定されることにより、無彩色のままの画素であ
るか、既に有彩化されている画素であるかが判定され
る。
【0018】また請求項3記載の画像有彩化装置は更
に、カーソルの軌跡によって指定された閉領域内の画素
値を1画素ずつ読み出す読出手段と、所定の変換パラメ
ータに基づいて、読み出された画素値を構成する各成分
を増減し、出力する増減手段と、増減手段によって出力
された画素値を用いて、閉領域内部の画素値を書き換え
る書き換え手段とを備え、禁止手段は、増減手段による
各成分に対する増減が開始されると、無彩色判定部を起
動して無彩色のままの画素であるか、既に有彩化されて
いる画素であるかの判定を開始させる起動部と、無彩色
判定部が既に有彩化済みであると判定すると、書き換え
手段による書き換えを禁止する禁止部とを備えることを
特徴としたものであり、カーソルの軌跡によって指定さ
れた閉領域内の画素値が読出手段によって一画素ずつ読
み出される。所定の変換パラメータに基づいて、読み出
された画素値が構成される各成分が増減手段によって増
減され、出力される。増減手段によって出力された画素
値を用いて、閉領域内部の画素値が書き換え手段によっ
て書き換えられる。増減手段による各成分に対する増減
が開始されると起動部によって無彩色判定部が起動さ
れ、無彩色のままの画素であるか、既に有彩化されてい
る画素であるかの判定が開始させられる。無彩色判定部
が既に有彩化済みであると判定されると禁止部によっ
て、書き換え手段による書き換えが禁止される。
【0019】また請求項4記載の画像有彩化装置は更
に、操作者による指示を仰ぎ、操作者による指示内容に
応じてモノクロ画素値とカラー画素値とからなる組み合
わせを何組か決定する決定手段と、決定された組み合わ
せにおける全てのモノクロ画素値を、まとめてカラー画
素値に変換する変換パラメータを算出する変換パラメー
タ算出手段とを備え、増減手段は、変換パラメータ算出
手段によって算出された変換パラメータに基づいて閉領
域内の画素値を構成する各成分を増減して出力すること
を特徴としたものであり、操作者による指示が仰ぎ、操
作者による指示内容に応じてモノクロ画素値とカラー画
素値とからなる組み合わせが決定手段によって何組か決
定される。変換パラメータ算出手段は、この組み合わせ
について変換パラメータを算出する。変換パラメータ算
出手段によって算出される変換パラメータは、決定され
た組み合わせにおける全てのモノクロ画素値が、まとめ
てカラー画素値に変換されるものであり、変換パラメー
タ算出手段によって算出された変換パラメータに基づい
て閉領域内の画素値を構成している各成分が増減されて
出力される。
【0020】また請求項5に記載の発明は、請求項4記
載の画像有彩化装置において更に、決定手段によって決
定されたモノクロ画素値及びカラー画素値の組み合わせ
をA属性、B属性、C属性を含む色空間のモノクロ画素値
(ASi、BSi、CSi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)、カラー画
素値(ADi、BDi、CDi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)として
記憶する画素値記憶手段を備え、変換パラメータ算出手
段は、モノクロ画素値(ASi、BSi、CSi)(i=0,1,2,
3,4,5・・・n)と、カラー画素値(ADi、BDi、CDi)(i=
0,1,2,3,4,5・・・n)との色空間における距離dij(i,j=0,
1,2,3,4,5・・・n)を計測し、距離dij(i,j=0,1,2,3,4,5・・
・n)に応じて単調減少する距離関数Lij(i,j=0,1,2,3,4,
5・・・n)を算出する距離関数算出部と、モノクロ画素値
(ASi、BSi、CSi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)から、カラ
ー画素値(ADi、BDi、CDi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)ま
での変位量(AQi,BQi,CQi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)を
算出する変位量算出部と、距離関数Lij(i,j=0,1,2,3,
4,5・・・n)と、変位量(AQi,BQi,CQi)(i=0,1,2,3,4,5
・・・n)とから以下の{数1}の演算を行うことにより、
変換パラメータPi(i=0,1,2,3,4,5・・・n)を算出する算出
部とを備え、増減手段は、カーソルの軌跡によって指定
された閉領域内のモノクロ画素の画素値(ASx、BSx、
CSx)に対して以下の{数2}の演算を行うことによ
り、カラー画素値(ADx、BDx、CDx)を得る演算部と
を備えることを特徴としたものであり、画素値記憶手段
には、決定手段によって決定されたモノクロ画素値及び
カラー画素値の組み合わせがA属性、B属性、C属性を含
んでいる色空間のモノクロ画素値(ASi、BSi、CSi)
(i=0,1,2,3,4,5・・・n)、カラー画素値(ADi、BDi、CD
i)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)として記憶されている。モノク
ロ画素値(ASi、BSi、CSi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)
と、カラー画素値(ADi、BDi、CDi)(i=0,1,2,3,4,5
・・・n)との色空間における距離dij(i,j=0,1,2,3,4,5・・・
n)が計測され、距離dij(i,j=0,1,2,3,4,5・・・n)に応じ
て単調減少する距離関数Lij(i,j=0,1,2,3,4,5・・・n)が
距離関数算出部によって算出される。モノクロ画素値
(ASi、BSi、CSi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)から、カラ
ー画素値(ADi、BDi、CDi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)ま
での変位量(AQi,BQi,CQi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)が
変位量算出部によって算出される。距離関数Lij(i,j=
0,1,2,3,4,5・・・n)と、変位量(AQi,BQi,CQi)(i=0,
1,2,3,4,5・・・n)とから{数1}の演算が算出部によって
行われることにより、変換パラメータPi(i=0,1,2,3,4,
5・・・n)が算出される。カーソルの軌跡によって指定され
た閉領域内のモノクロ画素の画素値(ASx、BSx、CS
x)に対して{数2}の演算が演算部によって行われる
ことにより、カラー画素値(ADx、BDx、CDx)が得ら
れる。
【0021】また請求項6記載の画像有彩化装置は、操
作者による指示を仰ぎその指示内容に基づいて、モノク
ロ画素値とカラー画素値とからなる組み合わせを何組か
決定する決定手段と、決定手段によってモノクロ画素
値、カラー画素値の組み合わせが決定されると、決定さ
れたモノクロ画素値における各属性成分をX座標とし、
それらの成分に対応するカラー画素の各属性成分をY座
標として表現したXY座標を通過する補間直線或は補間
曲線の補間式を算出する補間式算出手段とを備え、増減
手段は、閉領域内部の画素値の各属性成分を、算出され
た補間直線或は補間曲線上に射影し、射影された曲線上
の点のY座標をカラー画素値の成分として出力する射影
部を備えることを特徴としたものであり、操作者による
指示が仰ぎその指示内容に基づいて、モノクロ画素値と
カラー画素値とからなる組み合わせが決定手段によって
何組か決定される。
【0022】決定手段によってモノクロ画素値、カラー
画素値の組み合わせが決定されると、決定されたモノク
ロ画素値における各属性成分がX座標とみなされ、それ
らの成分に対応がとられているカラー画素の各属性成分
がY座標とみなされて表現されたXY座標を通過する補
間直線或は補間曲線の補間式が補間式算出手段によって
算出される。
【0023】閉領域内部の画素値の各属性成分が射影部
によって、算出された補間直線或は補間曲線上に射影さ
れ、射影された曲線上の点のY座標がカラー画素値の成
分として出力される。また請求項7記載の画像有彩化装
置は、操作者による指示を仰ぎその指示内容に応じて、
モノクロ画素値とカラー画素値とからなる組み合わせを
何組か決定する決定手段と、決定手段によってモノクロ
画素値、カラー画素値の組み合わせが決定されると、決
定されたモノクロ画素値における各属性成分をX座標と
し、それらの成分に対応するカラー画素の各属性成分を
Y座標として表現したXY座標を通過する補間直線或は
補間曲線の補間式を算出する補間式算出手段と、補間式
が算出されると、補間式算出手段によって算出された補
間式に、モノクロ画像に含まれ得る全てのモノクロ画素
値の各属性成分を与えて、算出された補間直線或は補間
曲線上に射影し、射影された曲線上の点のY座標をカラ
ー画素値の成分として出力する射影部と、射影部に与え
た全てのモノクロ画素値の各属性成分に対応づけて、射
影部による射影で得られたカラー画素値の各属性成分を
記憶するカラー画素値記憶手段とを備え、増減手段は、
閉領域内部の画素値の各属性成分をキーにして、カラー
画素値記憶手段の記憶内容を探索し、一致するモノクロ
画素値の各属性成分に対応するカラー画素値の各属性成
分を取り出して出力する取出部を備えることを特徴とし
たものであり、操作者による指示が仰ぎその指示内容に
応じて、モノクロ画素値とカラー画素値とからなる組み
合わせが決定手段によって何組か決定される。決定手段
によってモノクロ画素値、カラー画素値の組み合わせが
決定されると、決定されたモノクロ画素値における各属
性成分がX座標とみなし、それらの成分に対応がとられ
ているカラー画素の各属性成分がY座標とみなして表現
したXY座標を通過する補間直線或は補間曲線の補間式
が補間式算出手段によって算出される。補間式が算出さ
れると、補間式算出手段によって算出された補間式に射
影部によってモノクロ画像に含まれ得る全てのモノクロ
画素値の各属性成分が与えられ、算出された補間直線或
は補間曲線上に射影がなされる。射影された曲線上の点
のY座標がカラー画素値の成分として出力される。カラ
ー画素値記憶手段には射影部に与えた全てのモノクロ画
素値の各属性成分に対応づけられて、射影部による射影
で得られたカラー画素値の各属性成分が記憶されてい
る。カラー画素値記憶手段の記憶内容は、閉領域内部の
画素値の各属性成分をキーにして探索され、一致するモ
ノクロ画素値の各属性成分に対応がとられているカラー
画素値の各属性成分が取出部によって取り出されて出力
される。
【0024】また請求項8記載の画像有彩化装置は、色
空間において操作者が指定した基準軸と、基準軸に対し
て半径方向を占める所定の幅とによって表現された範囲
を、原画の画素値が分布し得る第1範囲として記憶する
分布範囲記憶手段と、カーソルの軌跡によって指定され
た閉領域内の画素値のうち、色空間における各成分が第
1範囲内に含まれる画素値を、記憶されている基準軸上
に射影する射影手段とを備え、取出部は、射影された基
準軸上の各成分をキーにして、カラー画素値記憶手段の
記憶内容を探索し、一致するモノクロ画素値に対応する
カラー画素値を取り出して出力することを特徴としたも
のであり、分布範囲記憶手段には、色空間において操作
者が指定した基準軸と、基準軸に対して半径方向が占め
られる所定の幅とによって表現された範囲が、原画の画
素値が分布し得る第1範囲として記憶されている。カー
ソルの軌跡によって指定された閉領域内の画素値のう
ち、色空間における各成分が第1範囲内に含まれる画素
値が射影手段によって、記憶されている基準軸上に射影
される。射影された基準軸上の各成分をキーにしたカラ
ー画素値記憶手段の記憶内容が探索が、取出部によって
なされ、一致されるモノクロ画素値に対応がとられてい
るカラー画素値が出力される。
【0025】また請求項9記載の何れかの画像有彩化装
置は、増減手段を迂回して、読出手段によって読み出さ
れた画素値をそのまま転送するバイパス経路を備え、禁
止手段は、増減手段が書き換えた画素値、或はバイパス
経路から転送された画素値の何れか一方を選択的に出力
するスイッチを有し、禁止部は、無彩色判定部が無彩色
と判定した場合にスイッチを増減手段側に切り替え、有
彩化済みと判定した場合にスイッチをバイパス経路側に
切り替えて、書き換え手段は、切り替え出力された画素
値を用いて、閉領域内を書き換えることを特徴としたも
のであり、スイッチによって増減手段が書き換えた画素
値、或はバイパス経路から転送された画素値の何れか一
方が選択的に出力される。バイパス経路を経由すると、
増減手段が迂回されて、読出手段によって読み出された
画素値がそのまま転送されるので、元の画素値が書き換
え手段に与えられることになる。禁止部は、無彩色判定
部が無彩色と判定した場合にスイッチが増減手段側に切
り替え、有彩化済みと判定した場合にスイッチがバイパ
ス経路側に切り替える。
【0026】また請求項10記載の画像有彩化装置はポ
インティングデバイスを接続するインターフェィスを有
し、決定手段は、複数のモノクロ画素値及び/又はカラ
ー画素値の色見本を表示する色見本表示部と、色見本表
示部によって表示された色見本に対するポインティング
デバイスによる指定を検出することにより、操作者が望
むモノクロ画素値、カラー画素値の組み合わせを決定す
る決定部とを備えることを特徴としたものであり、複数
のモノクロ画素値及び/又はカラー画素値の色見本が色
見本表示部によって表示される。色見本表示部によって
表示された色見本に対するポインティングデバイスによ
る指定が検出されることにより決定部によって、操作者
が望むモノクロ画素値、カラー画素値の組み合わせが決
定される。
【0027】また請求項11記載の画像有彩化装置はポ
インティングデバイスを接続するインターフェィスを有
し、モノクロ画像を表示するモノクロ画像表示部と、モ
ノクロ画像の画素に対するポインティングデバイスによ
る指定を検出することにより、操作者が望むモノクロ画
素値を検出する検出部と、検出された全てのモノクロ画
素値を一覧表示する一覧表示部と、一覧表示されたモノ
クロ画素値に対する加減算量の入力を受け付けて、受け
付けた加減算量分だけその画素値を加減算する加減算部
と画素値が加減算された画素値をカラー画素値として検
出されたモノクロ画素値に組み合わせることにより、モ
ノクロ画素値、カラー画素値の組み合わせを決定する決
定部とを備えることを特徴としたものであり、モノクロ
画像表示部によってモノクロ画像が表示され、モノクロ
画像の画素に対するポインティングデバイスによる指定
が検出されることにより、検出部によって操作者が望む
モノクロ画素値が検出される。一覧表示部によって検出
された全てのモノクロ画素値が一覧表示される。一覧表
示されたモノクロ画素値に対する加減算量の入力が受け
付けられ、受け付けた加減算量分だけその画素値が加減
算部によって加減算される。画素値が加減算された画素
値がカラー画素値として検出されたモノクロ画素値に組
み合わせられることにより、モノクロ画素値、カラー画
素値の組み合わせが決定部によって決定される。
【0028】(第1実施形態)以下本実施形態について
図面を参照しながら説明する。図1に、本実施形態の画
像有彩化装置のハードウェア構成を示す。本実施形態の
画像有彩化装置は、モノクロ写真を光学的に読み取るス
キャナ21、モノクロ画像及び有彩化途中の画像を表示
するディスプレィ22、グラフィックエディタを起動す
るパソコン23、マウス、ペンとタブレット、タッチパ
ネル、キーボードからなるポインティングデバイス2
4、モノクロ映像を収録したビデオカセットを再生する
ビデオデッキ25等から構成される。ディスプレイの表
示は、GUI上で行われており、操作者はスクロールウ
ィンドウや、プルダウンメニュー、スライドバー、ラジ
オボタン等を用いて対話的にカラー画像の有彩化を行う
ことができる。
【0029】パソコン23の内部構成を図2の機能ブロ
ックに示す。パソコン23は、1フレームの画像を作業
用に記憶するフレームバッファ31、ビデオデッキ25
からの再生出力であるNTSC信号をRGB信号に変換するNTS
C・RGB変換部32、ポインティングデバイスの操作に応
じてイベント信号を出力する入力部33、パソコン23
の基盤制御を行いつつも、GUIによる対話編集の環境を
操作者に提供するオペレーティングシステム34(スキ
ャナ21、ポインティングデバイス24、NTSC・RGB変換
部32等のハードウェアに対する設定は、オペレーティ
ングシステム34上のコンフィグレーションファイルに
設定されている。)、オペレーティングシステム34上
で動作するアプリケ−ションプログラムであり、画像有
彩化装置の制御モジュール38を含むグラフィックエデ
ィタ35、内蔵型のハードディスク装置、光ディスク、
光磁気ディスク等で構成されるディスク装置36、及び
プロセッサ37から構成される。本図においてイベント
発生に応じた入力信号が流れる経路、画素値が流れる経
路を矢印で示している。即ち、これらは、矢印で指示さ
れる構成要素間を通過する。本図において矢印y1,y2は
画素が流れる経路を示しており、この実線の矢印がフレ
ームバッファ31、画素有彩化装置40を通過している
が、フレームバッファ31から画素有彩化装置40に読
み出されて、画素有彩化装置40から出力された画素値
がフレームバッファ31に書き込まれることを意味す
る。また本図において矢印y3,y4,y5は、入力信号が流れ
る経路を示しており、これが入力部33から画素有彩化
装置40に向いているが、これはポインティングデバイ
スによるイベントが入力部33を経由して流れてゆくこ
とを意味する。
【0030】フレームバッファ31の他にもフレームバ
ッファは何枚分も設けられており、(図中のフレームバ
ッファ41、42、43、44・・・・)複数枚の画像
を記憶させることができる。この複数枚のフレームバッ
ファのうち一枚を原画用に割り当てたり、他の一枚を作
業用に割り当たりして、これらの複数枚のフレームバッ
ファを用途に応じて使い分けることができる。本実施の
形態においては、フレームバッファ41が原画の保存用
に用いられ、フレームバッファ42がディスプレィ22
の表示データの展開用に用いられている。画像有彩化装
置は、所定の切り替え手順により、ディスプレィ22上
の画像を、フレームバッファの何れかに記憶されている
画像に切り替えることができる。
【0031】画素有彩化装置40によって有彩化された
カラー画像は、図示しないSCSIインターフェィス及びプ
リンタインターフェィスを介してカラープリンタで印字
出力したり、静止画形式或は動画形式のデータファイル
に変換して保存する。これらの構成において、本実施の
形態のために新規に開発したのは画素有彩化装置40及
び制御モジュール38であり、これらを既存のシステム
上で動作させることにより、図1に示したシステムは画
像有彩化装置として機能する。
【0032】画素有彩化装置40及び制御モジュール3
8は、ゲートアレイを実装したパソコン23の拡張ボー
ドとして構成してもよいし、汎用オペレーティングシス
テム上で起動するアプリケ−ションプログラムの形態で
構成してもよい。アプリケ−ションプログラムの形態で
構成する場合は、オペレーティングシステムが読み取り
可能なフォーマットに初期化されたフロッピーディス
ク、或は、光ディスクに、実行ファイル形式で記録して
持ち運んでも良い。
【0033】フレームバッファ31の記憶内容の一例を
図4に示す。参照符号y11に指示するように、フレーム
バッファ31に記憶された各画素の位置は、画面左端を
原点(0,0)としたXY座標で表現される。X座標は右
側方向に(X=0,Y=0)(X=1,Y=0)(X=2,Y=0)(X=3,Y=
0)(X=4,Y=0)というように増加してゆき、0〜639の値
をとる。Y座標は下側方向に(X=0,Y=0)(X=0,Y=1)
(X=0,Y=2)(X=0,Y=3)(X=0,Y=4)というように増加
してゆき、0〜399の値をとる。XY座標の最大値はディ
スプレィ22の解像度640×400に準じて設定されてい
る。
【0034】参照符号y12は、フレームバッファ31に
記憶されている画素値の成分を示している。本図におい
て、四角形□は各X-Y座標の画素を意味し、その中の
(000,000,000)(016,016,016)(032,032,032)といった数
値は、(RED,GREEN,BLUE)の並びで、各画素の画素値のR
GB成分を示している。本実施形態における、RGBの
それぞれの成分は、0〜255の値をとるので256段階の階
調を与えることができ、ディスプレィ22はきめ細かい
色彩表現を行うことができる。尚、本図の記憶内容はモ
ノクロ画像の記憶内容を表しているため、(255,255,25
5)(064,064,064)(000,000,000)(016,016,016)というよ
うに、RGBの各成分は一致した値をとっている。
【0035】RGB色空間における画素値の表現を参照
符号y13に示す。RGBの各成分は一致した値をとって
いるため、RGB色空間においてその画素値は全て、直線
Rx=Gx=Bx上にプロットされる。HCL色空間における画
素値の表現を参照符号y14で指示する。HCL色空間におい
ては、モノクロ画像の画素値には、彩度成分、色相成分
が存在しないため、明度軸上にプロットされる。以上で
フレームバッファ31の記憶内容についての説明を終わ
る。
【0036】図5はディスプレィ22上の表示例を示す
図である。本図において、参照符号a1で指示する枠は、
スキャナによって読み取られたモノクロの原画及び有彩
化途中のカラー画像を表示するための枠である。この枠
内の画像に対して、操作者は有彩化作業を行う。この原
画上の矢印『←』は、マウスなどのポインティングデバ
イスの操作によって移動するカーソルであり、原画上で
ポインティングデバイスをクリックすると、カーソルで
指示された画素は、指定点としてその画素値がサンプリ
ングされる。このサンプリング処理は、ポインティング
デバイスから入力されてくる入力量からカーソルで指示
された画素値の座標を特定し、特定された座標のRGB
成分をフレームバッファ31から読み出すことで行われ
る。またカーソルをドラッグすると、カーソルが通った
軌跡を曲線で描画する。軌跡の描画により、操作者はど
の範囲を領域指定しているかを把握することができる。
軌跡と原画とを見間違える恐れがあるので、曲線は赤色
等で派手な色で描画したり点滅表示させたりして目立た
せるのが望ましい。操作者はこのカーソル跡を見なが
ら、ポインティングデバイス24を走行操作してディス
プレィ22上に閉領域を囲む。
【0037】枠の右には、四角形”□□□□□□□□”
が、上下2段に渡って表示されている。上段はグレイス
ケールによって塗り潰される指定色子窓であり、下段は
色見本で塗り潰される調整色子窓である。指定色とは、
グレイスケール内に用意された画素値、或は、読み取ら
れた画像上の指定点をサンプリングして得られた画素値
であり、調整色とは、指定色に対して色相、明度、彩度
を与えた画素値のことをいう。これらの小窓のそれぞれ
は、左端から第1欄,第2欄,第3欄,・・・第n欄というように
個別に指示される。グレイスケールとは、幾つもの無彩
色を明暗順に並べた色見本であり、表示面の指定色子窓
において一覧表示される。上段の四角形”□□□□□□
□□”と下段の四角形”□□□□□□□□”とは、上下
に隣り合うもの同士で対応しあっている。
【0038】表示例における指定色子窓i欄、調整色子
窓i欄の総数は8個であるが、その下のスクロールバーb
17をドラッグすることにより、指定色・調整色を9個以
上設定することもできる。『128』『0』『0』の数
値を表示している数値欄b14,b15,b16は、カーソルで指
定された指定色の色相、彩度、明度の値を表すインディ
ケータである。無彩色であるので彩度は『0』になって
いる(尚彩度が0(ゼロ)ならばどのような色相が設定
されていても無彩色になる。)。ここでは0〜255を
数値を入力することができるが、入力された明度、彩度
は0.000〜1.000の小数値に正規化され、色相は、0°〜3
60°の角度に正規化される。
【0039】その右隣のスライドバーb11,b12,b13は、
色相、彩度、明度の値を増減させるものであり、これを
マウスドラッグによって左右に移動させると、指定色の
画素値にはスライドバーの増減分の変化量が与えられ
る。他にもこの表示例では『指定点サンプリング』『領
域指定』『指定色調整』『有彩化実行』『有彩化キャン
セル』等をポインティングデバイスを用いて指定するた
めのアイコンが存在している。これらのアイコンは、画
像有彩化装置に対する操作を全てのペン、マウスのみで
行わせることを意図している。尚、図5における表示例
は既存のウィンドウ式のオペレーティングシステムを用
いれば実現可能なものであり、これらを表示させるため
の詳細な説明は省略する。以上でディスプレィ22上の
表示例についての説明を終わる。
【0040】本実施形態の画像有彩化装置は、有彩化し
たい領域を領域指定し、指定された閉領域を有彩化す
る。操作面において従来の画像有彩化装置と大きく異な
るのは、第1には、本実施形態における画像有彩化装置
が既に有彩化されている部分を含むように領域指定を行
える点である。第2には、『暗い部分は××色系に設定
し、明るい部分は○○色系、真ん中の明るさは、●●色
系に設定する。』というように、有彩化したい対象に合
わせて大まかな無彩色−有彩色の対応づけが可能であ
り、この対応づけに準じて領域指定された閉領域が有彩
化される点である。
【0041】画素有彩化装置40の内部構成を図3に示
す。制御モジュール38は、有彩化の指示があると、フ
レームバッファ内の画像を構成する画素を先頭から末尾
へと読み出してゆき、順次画素有彩化装置40に与え
る。画素有彩化装置40は、フレームバッファ31から
読み出された画素のうちポインティングデバイスによっ
て指定された閉領域内部を、指定色と調整色との組み合
わせに応じて有彩化し、フレームバッファ31に出力す
る。出力された画素は制御モジュール38によってフレ
ームバッファ31に書き込まれる。
【0042】画素有彩化装置40は、図3の構成図に示
すように、指定色記録メモリ101、調整色記録メモリ
102、プリ演算部103、写像パラメータ記録部10
4、写像部105、無彩色判定部106、無彩-有彩切
換スイッチ107、領域指定部108、及び領域内外切
換スイッチ109A,109Bから構成される。本図に
おいて実線の矢印c13〜c18は画素値が流れる経路を示し
ており、この実線の矢印c14,c15,c16が領域内外切換ス
イッチ109A、写像部105、無彩-有彩切換スイッ
チ107、領域内外切換スイッチ109Bを通過してい
るが、これは画素値が領域内外切換スイッチ109Aを
経て写像部105に与えられ、写像部105が出力した
画素値が無彩-有彩切換スイッチ107、領域内外切換
スイッチ109Bを経由して出力されることを意味す
る。この実線の矢印c14,c15,c16とは別に、領域内外切
換スイッチ109Aから無彩-有彩切換スイッチ107
に向かう経路を矢印c17で指示している。この矢印c17で
指示される経路は、画素有彩化装置40に入力されてく
る画素を無彩-有彩切換スイッチ107にスルー出力す
る迂回路である。この実線の矢印c17とは別に、領域内
外切換スイッチ109Aから領域内外切換スイッチ10
9Bに向かう経路を矢印c19で指示している。この矢印c
19で指示される経路は、画素有彩化装置40に入力され
てくる画素を領域内外切換スイッチ109BA-領域内
外切換スイッチ109B間でスルー出力する迂回路であ
る。
【0043】以降、参照符号の順を追って、図3に示し
た画素有彩化装置40の構成要素を説明する。指定色記
録メモリ101は、表示面におけるグレイスケールの情
報や指定色を記憶する。図中に示すように指定色記録メ
モリ101の記憶領域は第1欄,第2欄,第3欄,・・・第n欄と
いうように区分され、各欄には指定色が書き込まれる。
【0044】調整色記録メモリ102は、表示面におけ
る色見本や調整色の情報を記憶する。図中に示すように
調整色記録メモリ102の記憶領域は第1欄,第2欄,第3
欄,・・・第n欄というように区分され、各欄には調整色が
書き込まれる。プリ演算部103では、画素値をLCH
系に変換し、指定色記録メモリ101および調整色記録
メモリ102に記録された指定色と調整色の組から以下
の数式3〜5に示す演算を行い、演算結果として得られ
る写像パラメータP0,P1,P2,P3・・・・・Pnを写像パラメータ
記録部104に記録する。
【0045】具体的にはプリ演算部103は、指定色記
録メモリ101−調整色記録メモリ102に対応づけら
れて記憶されている複数個(n個)の指定色(HS1,CS
1,LS1)〜(HSn,CSn,LSn)及びそれらに対応する複
数個(n個)の調整色(HD1,CD1,LD1)〜(HDn,CD
n,LDn)を読み出し、調整色Diと指定色Siとの間にお
いて(HDi−HSi,CDi−CSi,LDi−LSi)の計算を
行うことにより、指定色記録メモリ101に記録された
指定色を、調整色記録メモリ102に記録された調整色
にまで変位させるための変位量(HQi,CQi,LQi)(i=
0,1,2,3,4,5・・・n)を算出する。
【0046】算出後、プリ演算部103は、指定色記録
メモリ101に記録されたn個の指定色(HS,CS,L
S)を読み出し、LCH空間系おける指定色Siと指定
色Sjとの間の全ての組み合わせの距離dij(i,j=0,1,2,
3,4,5・・・n)を算出する。即ち、指定色(HS1,CS1,LS
1)と指定色(HS1,CS1,LS1)との距離d11、指定色
(HS1,CS1,LS1)と指定色(HS2,CS2,LS2)との距
離d12、…、指定色(HSi,CSi,LSi)と指定色(HS
j,CSj,LSj)との距離dij、…、指定色(HSn,CSn,L
Sn)と指定色(HSn,CSn,LSn)との距離dnnという
ように、全ての組み合わせの距離dijを求める。
【0047】得られたn×n個の距離dijの集合は、以
下の数式3の式に示される通り、行列[F]として表現
することができる。
【0048】
【数3】 次に、プリ演算部105は、得られた行列[F]に対応
する重み係数の行列[L]を算出する。重み係数行列
[L]は、数式4に示される式の通り表現することがで
きる。
【0049】
【数4】 図6(a)は、重み係数関数を示すグラフであり、1つ
の距離dが与えられると、一義的に重み係数f(d)が
決定される。このグラフにおいては、重み係数f(d)
は、d=0からd=1までは単調減少し、1以上のdに対
して0となる。尚重み係数関数f(d)は、一次式及び
二次曲線や標準偏差、サイン関数やコサイン関数を利用
した関数であり、単調減少の特性の関数ならば他の関数
を用いても同様の効果が期待できる。
【0050】図6(b)は、図6(a)に示した距離関
数Lの変化を立体的に表現している。距離関数Lは(0,
0,1)を頂点とした凸部を形成している。この凸部は、
距離dが0となるd00において頂点(0,0,1)となり、矢
印『→』に示す方向に向かうにつれ(図中の矢印『→』
は、(0,0,0)からの距離が増大していることを示して
いる。)、その高さはなだらかに『0』に近付く。
【0051】行列を算出するとプリ演算部105は重み
係数の行列[L]の逆行列[L]-1を算出し、以下の
{数5}に示される式に従って、前記逆行列と、調整量
との積を算出して、LCH空間系における写像パラメー
タPi=(HPi,CPi,LPi)として写像パラメータ記録
部104に記録する。このように指定色Si、調整色Si
の1回当たりの設定につき、1通りの写像パラメータP
0,P1,P2,P3・・・・・Pnが生成され、写像パラメータ記録部
104に記録される。
【0052】
【数5】 尚グラフを用いて後述するが、写像パラメータPi(i=0,
1,2,3,4,5・・・n)は、指定色記録メモリ101に記録され
た無彩色Snと同じ値の画素値が入力され、Sx=Snを
満たした場合に調整色記録メモリに記録された色Dnが
出力されることを保証している。
【0053】設定した指定色、調整色の数が多い程写像
パラメータP0,P1,P2,P3・・・・・Pnの総数nは多くなる。つ
まり、写像部105によって生成される写像パラメータ
P0,P1,P2,P3・・・・・Pnの次元数が高くなる訳である。次元
数が高くなる程自由度が高い有彩化が行われるが、その
分演算の負荷は大きくなる。指定色、調整色の数は、パ
ソコン23の処理速度に応じて妥当なものを設定するの
が良い。通常は何度か有彩化の速度を試して見て、指定
色・調整色の数を調整する。
【0054】プリ演算部103は指定色記録メモリ10
1および調整色記録メモリ102に記録された色の色空
間が写像演算を行う色空間と異なれば、各記録メモリに
記録された色空間から写像演算を行う色空間への変換も
同時に行う。色空間として広く使われているものには、
赤、緑、青の3属性で表現されるRGB空間、明度、彩
度、色相の3属性で表現されるHCL空間、HSV空間、HLS
空間、その他の属性で表現される空間としてXYZ空
間、YUV空間、均等空間であるCIE−LUV空間、
CIE−La*b*空間およびCMY空間などが挙げら
れる。なお指定色記録メモリ101および調整色記録メ
モリ102が記録を行う色空間と、プリ演算部103お
よび写像部105で演算を行う色空間および入力画素と
出力画素の色空間がどの様な組み合わせ、または、どの
ような色空間であっても、プリ演算部103および写像
部105で適当な色空間変換を行うことで、本実施形態
と同様の効果が期待できる。以上でプリ演算部103に
ついての説明を終わる。
【0055】写像パラメータ記録部104は、その記憶
領域が第1欄,第2欄,第3欄,・・・第n欄というように区分さ
れ、各欄に写像パラメータが個別に書き込まれるメモリ
である。写像部105は、RGB空間で表現されている
入力画素値SxをHCL空間座標系に変換し、写像パラメー
タ記録部104に記録された写像パラメータP0,P1,P2,P
3・・・・・Pnに基づいて、以下の{数6}に示す写像関数に
よる写像を行う。写像結果を再びRGB空間に色空間変
換して出力画素Dxとして出力する
【0056】
【数6】 {数6}の写像関数は、写像パラメータP0,P1,P2,P3・・・
・・Pn及び距離関数Lに基づいて算出される。写像パラメ
ータP0,P1,P2,P3・・・・・Pnの算出処理について説明する。
有彩化の指示が操作者によって行われると、写像部10
5は第1に指定色記録メモリ101に記録されたn個の
指定色(HSi,CSi,LSi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)を読み
出し、入力された画素xと、指定色(HSi,CSi,LSi)
との距離xi(i=0,1,2,3,4,5・・・n)を求める。具体的に
は、指定色(HS1,CS1,LS1)との距離dx1、入力色
(HSx,CSx,LSx)と指定色(HS2,CS2,LS2)との距
離dx2、…、入力色(HSx,CSx,LSx)と指定色(HS
3,CS3,LS3)との距離dx3、…、入力色(HSx,CSx,L
Sx)と指定色(HSn,CSn,LSn)との距離dxnという
ように、指定色記録メモリ101に記憶されている全て
の指定色Siまでの距離を求める。
【0057】求めた距離dxi(i=0,1,2,3,4,5・・・n)に対
して、距離関数LをL(Sx,S0),L(Sx,S1),
L(Sx,S2),L(Sx,S4),L(Sx,S5),L
(Sx,S6)・・・・・というように個別に求める。以上の
計算によって指定色記録メモリ101に記憶されている
各無彩色画素についての距離関数が算出されると、写像
パラメータ記録部104から写像パラメータP0,P1,P2,P
3・・・・・Pnを読み出す。
【0058】第2に読み出した写像パラメータP0,P1,P
2,P3・・・・・Pnと、距離関数Lとから、L(Sx,S0)・P
0+L(Sx,S1)・P1+L(Sx,S2)・P2+L(S
x,S4)・P4+L(Sx,S5)・P5+L(Sx,S6)・
P6・・・・・+Sxの計算を行う。この計算が写像計算であ
り、計算結果を調整色Dxの画素値とする。ここで行わ
れる写像は、距離関数LXn=L(Sx,Sn)に写像パ
ラメータPnを掛け合わせた分だけ、色空間における入
力画素Sxの位置を移動させる内容である。ここでは色
空間の色相軸(H軸)についてのみ考えるが、明度軸
(L軸)、彩度軸(C軸)についても同様の処理が行わ
れる。
【0059】指定色記録メモリおよび調整色記録メモリ
に記録されている無彩色および調整色の組の数を3と
し、指定色記録メモリに記録されている無彩色の黒から
の距離をX軸、写像パラメータの値をY軸とした場合の
{数6}の演算結果を図7(a)のグラフに示す。破線
のグラフc1は、指定色S1において、極大点をとるグラフ
である。その極大点は写像パラメータP1の値をとり、指
定色S1から遠ざかるにつれ単調減少してゆく。このよう
な特徴から、破線のグラフc1は、L(Sx,S1)・P1を
表していることがわかる。
【0060】破線のグラフc2は、指定色S3において、極
大点をとるグラフである。その極大点は写像パラメータ
P3であり、指定色S3から遠ざかるにつれ単調減少してゆ
く。このような特徴から破線のグラフc2は、L(Sx,
S3)・P3を表していることがわかる。破線のグラフc3
は、指定色S2において、極小点をとるグラフである。そ
の極大点は負の値の写像パラメータP2であり、指定色S2
から遠ざかるにつれ単調減少してゆく。このような特徴
から、破線のグラフc3は、L(Sx,S2)・P2を表して
いることがわかる。
【0061】実線のグラフD1は、指定色S1において、破
線のグラフc1,c2,c3を足し合わせた値をとる。入力色S
xが指定色S1と一致すると、L(Sx,S1)は1とな
る。これに写像パラメータP1が掛け合わされると、L
(Sx,S1)・P1は、写像パラメータP1の大きさにな
り、調整色D1の大きさに満たない。これにL(Sx,S
3)・P3を加算し、L(Sx,S2)・P2を減算すること
により、{数6}は調整色D1の値をとることになる。結
果として指定色S1は、調整色D1に写像されることになる
(写像パラメータP0,P1,P2,P3は、元々変位量Q1、Q
2、Q3と、距離関数L11、L12、L13、L22・・・・
・との逆行列の積から決定されているから、指定色SX=
指定色S1の場合は、調整色D1が調整色Dxとして出力さ
れる。)。
【0062】入力色Sxが指定色S3と一致すると、L
(Sx,S3)は1となる。これに写像パラメータP0,P1,
P2,P3・・・・・Pnが掛け合わされると、L(Sx,S3)・P3
は、写像パラメータP3の大きさになり、調整色Siの大
きさに満たない。{数6}の演算では、調整色Dxの決
定には、L(Sx,S2)・P2+L(Sx,S1)・P1の成
分が加算される。これらの和により、L(S1,S1)・
P1+L(S2,S3)・P2はQ3の値をとることにな
る。結果として指定色S3は、調整色D3に写像されること
になる。
【0063】S1<S4<S3であり、Sx=S4を満たす
場合は、入力色SxはD4の値をとる。指定色S4は、調整
色D4に写像されることになる。S3<S5<S2であり、
Sx=S5を満たす場合は、入力色SxはD5の値をとる。
結果として指定色S5は、調整色D5に写像されることにな
る。即ち、入力色Sx<指定色S1、指定色S1<入力色Sx
<指定色S3、指定色S3<入力色Sx<指定色S2、指定色S
3<入力色Sxの何れの値をとる場合、調整色Dxは、グ
ラフ上の値を取ることになる。これが、写像部105に
よる写像である。
【0064】{数6}のグラフを立体的に表現すると、
図7(b)のようになる。指定色S1、指定色S3なだらか
な凸部を形成し、指定色S2付近は、なだらかな凹部を形
成する。{数6}の曲線がこのような形状をなすのは、
距離関数Lの形状を足し合わせて形成されているからで
ある。尚図7(b)の立体は指定色・調整色の任意の組
み合わせから形成されたものであり、指定色・調整色の
組み合わせを変えると、{数6}は異なった形状を形成
する。例えば変位量Qiを大きくして立体の勾配を急激
にしたり、平坦にすることもできる。指定色・調整色の
数を多くして、多くの凹凸を用いて立体を形成させるこ
ともできる。操作者は、指定色・調整色の組み合わせを
変えることにより、この立体を自在に変化させることが
できる。以上で写像部105についての説明を終わる。
【0065】無彩色判定部106は、入力画素Sxの画
素値を検証することにより、入力画素Sxの画素値が無
彩色であるかどうか判定し、無彩色であれば無彩-有彩
切換スイッチ107を写像部105側に切り替え、無彩
色でなければ迂回路c17側に切替える。入力画素Sxの
R,G,Bの成分がそれぞれの0〜255の範囲の整数
値である場合、無彩色の画素値は、RGB成分が全て一
致する画素値、即ち、(0,0,0)(1,1,1)(2,
2,2)〜(255,255,255)として表現される
から、無彩色か否かの検証は、無彩色判定部106は入
力画素Sxの画素値のRGB成分がRx=Gx=Bxの関係
を満たせばよい。但しスキャナ21によって読み取られ
たモノクロ画像やNTSC・RGB変換部32によってデジタル
に変換されたモノクロ画像の画素値は、誤差によってR
x=Gx=Bxの関係を満たしていないことがある。この
ような誤差を踏まえて本実施形態では、無彩色であるこ
との条件をRx≒Gx≒Bxとしている。即ち、無彩色で
あるための条件を緩和しているのである。Rx≒Gx≒B
xの関係は、RxとGxとの差分、GxとBxとの差分、Rx
とBxとの差分が所定の値以下であれば、成立している
とみなすことができる。これらの差分が所定の値以下で
あれば、無彩色判定部106はRx≒Gx≒Bxの関係が
成立しているものとして、無彩であると判定結果を下
す。
【0066】検証に基づく切り替えの結果、写像部10
5による有彩化結果の画素のうち、元々無彩色だったも
ののみが出力される。従来技術では、図27に示したよ
うに上記の人の顔を彩色する場合において、先ず唇を領
域指定して赤色系の色で有彩化し、続いて、唇を除く顔
の部分を領域指定していたが、本実施形態では、写像部
105の出力結果のうち、元々無彩色であったもののみ
が出力され、有彩化済みの画素値はスルー出力される。
即ち有彩化済みの部分が上塗りされることはない。顔を
有彩化する場合は、唇を覆う形で顔をまるごと領域指定
して、図25に示すように上記の人の顔全体に有彩化を
行えばよい。この無彩色判定部106による切り替えに
より、操作者は上塗りを意識せずに、前に塗った部分を
包含してゆくように有彩化を繰り返してゆけばよい。以
上で無彩色判定部106についての説明を終わる。
【0067】領域指定部108は、入力部33から閉領
域の輪郭線のXY座標を取得すると共に、フレームバッフ
ァ31から読み出されてくる入力画素のXY座標を参照し
て、その入力画素が、カーソル跡によって囲まれた閉領
域の内側であるか、外側であるかを判定する。閉領域外
であれば領域内外切換スイッチ109A,109Bを写
像部105、無彩-有彩切換スイッチ107側に切り替
え、閉領域内であれば領域内外切換スイッチ109A,
109Bを迂回路側c19に切り替える。以上で領域指定
部108についての説明を終わる。
【0068】本実施の形態における画像有彩化装置を用
いて、図24(a)に示す白黒リンゴを有彩化する場合
を説明する。このリンゴの右半分は濃い黒で表現され、
左に向かうにつれ黒の濃さは薄くなってゆく。これは、
このリンゴは、右側程良く熟れており、左側程未熟なこ
とを示している。図24(b)は、白黒リンゴを有彩化
する場合の指定色−調整色の対応関係を示す図表であ
る。本図において、指定色には、指定点A、指定点B、
指定点Cの無彩色がサンプリングされる。サンプリング
値は以下のようになっている。 指定点A(明度,彩度,色相)(0.44,0,0) 指定点B(明度,彩度,色相)(0.98,0,0) 指定点C(明度,彩度,色相)(0.15,0,0) スライドバーを操作してサンプリングされた指定点に図
表の数値の明度、彩度、色相を与える、 指定点A(明度,彩度,色相)(0.36,0.80,117) 指定点B(明度,彩度,色相)(0.88,0.36,155) 指定点C(明度,彩度,色相)(0.16,0.30,108) 熟した指定点Aに高い鮮やかさを与え(彩度0.80)、指
定点B、指定点Cには、より低い鮮やかさを与えている
(彩度 0.36 0.30)。
【0069】熟している指定点A、指定点Cに赤の色合
いを与え(色相117,108)、指定点Bには、より薄い黄
色を与えている(色相 155)。指定点A、指定点Cは、
モノクロ画像において暗い濃淡で表現されている。該当
部分の画素には、その濃淡に応じて117〜108の範囲の色
相が写像部105によって与えられる。写像部105に
よって与えられる色相変化は、指定色との距離に応じて
図7(b)に示したような曲線を描くので、リンゴが熟
した部分は、曲線状に色相が変わる赤味が与えられる。
【0070】未熟な部分は、モノクロ画像において白っ
ぽい濃淡で表現されている。この濃淡に応じて該当部分
の画素には、117〜155の範囲の色相が与えられる。写像
部105によって与えられる117〜155におけるの色相変
化は、図7(b)に示したような指定色との距離に応じ
て曲線を描くので、リンゴの未熟部分は、曲線状に色相
が変わる黄色が与えられる。
【0071】物体表面の明るい箇所、暗い箇所をどう有
彩化すべきかを指定色−調整色の組み合わせによって何
組かを指定しておくと、写像部105は、モノクロ画像
において明暗として表れている物体表面の曲がり具合や
物体表面の起伏を色合いの変化で表現する。このカラー
画像による表現は、図7(b)グラフの曲線の形状に示
すかの如く、モノクロ画素の明暗に比例した滑らかなも
のであり、白黒リンゴの上に赤いセロハンを覆い被せた
ような平面的な色合いではなく、立体感のある色合いと
なる。以上でリンゴを有彩化する場合の指定色・調整色
の設定例についての説明を終わる。
【0072】制御モジュール38は図11〜図18のフ
ロ−チャ−トに示す手順をコーディングした実行形式の
プログラムであり、これらの手順は、プロセッサ37に
よって逐一解読される。以降、画像有彩化装置の処理を
図11〜図18のフロ−チャ−トを参照しながら説明す
る。尚図11から図18までのフロ−チャ−トの内訳
は、図11がメインフローであり、図12のフロ−チャ
−トが指定点のサンプリング処理のフロ−チャ−トであ
る。同じく図13のフロ−チャ−トが調整色調整処理の
フロ−チャ−トであり、図14のフロ−チャ−トが閉領
域の領域指定処理のサブフロ−チャ−トである。図11
のフロ−チャ−トにおけるステップならステップM、図
12、図13、図14のフロ−チャ−トにおけるステッ
プならステップN、図15、図16のフロ−チャ−トに
おけるステップならステップPというように、異なるア
ルファベットの参照符号を用いて互いに区別する。
【0073】先ず図11のフロ−チャ−トを参照しなが
ら画像有彩化装置のメインフロ−チャ−トについて説明
を行う。今、電源の投入によって既にオペレーティング
システム34が起動している。ディスプレィ22の表示
は、ディスク装置に記憶されているアプリケ−ションの
選択を仰ぐ状態になっている。この状態で操作者がポイ
ンティングデバイスを操作すれば、その操作に応じてこ
のカーソル位置は移動する。そしてクリック操作やリタ
ーンキーの押下が行われればカーソル位置の項目が選択
される。ここで、グラフィックエディタを示すアイコン
がクリックされて、図11のフロ−チャ−トのステップ
M1へと移行する。アプリケ−ションが起動されると、
プロセッサ37はステップM2においてアイコン、スク
ロールバー、プルダウンメニュ−を表示し、制御モジュ
ール38を主記憶にロードする。図5に示した表示例は
図11のフロ−チャ−トに示された処理がステップM2
に進行した場合ディスプレィに映じるものである。
【0074】ステップM2の実行後、ステップM3に移
行する。ステップM3では、プロセッサ37はイベント
待機状態になっている。もしイベントが入力されれば、
ステップM3からステップM4へと移行する。ステップ
M4では、入力イベントから実行すべき処理を特定す
る。ここで、実行すべき処理には、ステップM5〜ステ
ップM10の6通りがある。ステップM5が特定される
と、ディスク装置36から原画の画像をフレームバッフ
ァ31に読み出す。ステップM6が特定されると、ポイ
ンティングデバイスによる指定点画素値のサンプリング
を行う。ステップM7が特定されると、サンプリングさ
れた指定点に対する調整色を設定する。ステップM8が
特定されると、画像上の閉領域の領域指定を開始する。
ステップM9が特定されると、領域指定された閉領域の
有彩化を実行する。ステップM7が特定されると、指定
色子窓i欄に表示された指定色の選択処理を行い、ステ
ップM10が特定されると、スライドバーを用いての加
減算の調整処理を行う。以上で図11に示したメインフ
ロ−チャ−トについての説明を終わる。
【0075】次に、図12のフロ−チャ−トを参照しな
がら指定色のサンプリング処理について説明を行う。
今、ステップM4での入力イベントからの特定処理によ
ってサンプリング処理が選択されており、プロセッサ3
7はポインティングデバイスからの入力待機状態になっ
ている。フロ−チャ−トのステップN1では、マウスク
リックがなされたか否かを判定する。もしなされればス
テップN2に移行し、なされてなければステップN1に
移行して待機状態を継続する。
【0076】待機状態を継続している間に、操作者がポ
インティングデバイスを用いてカーソルを画像上に移動
し、モノクロ画像上でクリックを行うと、プロセッサ3
7は初めてステップN2へと移行する。ステップN2で
は、カーソルの位置のRGB成分を読み出す。ステップ
N2の実行後、ステップN3に移行し、読み出された全
ての画素値を指定点の画素値としてLCH空間系に変換し
て、指定色(HSi,CSi,LSi)として指定色記録メモリ
101に記録する。ステップN3の実行後、プロセッサ
37はステップN4に移行して指定色子窓i欄を読み出
された各画素値で塗り潰す。ステップN4の実行後、ス
テップM3に移行する。本フロ−チャ−トの処理を繰り
返すと、指定色子窓が幾つもの指定色によって塗り潰さ
れてゆく。以上で図12の指定色のサンプリング処理に
ついての説明を終わる。
【0077】次に、図13(a)のフロ−チャ−トを参
照しながら調整色Diの設定処理について説明を行う。
図12のフロ−チャ−トによって、指定色子窓i欄は、
幾つもの無彩色を用いて塗り潰されている。この状態
で、ステップM4からステップN5へと移行するとステ
ップN5では、プロセッサ37は一覧表示された何れか
の指定色子窓に対するクリックの待機状態になってい
る。なされてなければステップN5において待機状態を
継続する。待機状態を継続している間に、操作者がポイ
ンティングデバイスを用いて操作を行うと、初めてステ
ップN7へと移行する。ステップN7では、クリックさ
れた指定色子窓i欄の画素値kを指定色記録メモリ101
から読み出す。
【0078】ステップN7の実行後、ステップN8に移
行する。ステップN8では、プロセッサ37は読み出さ
れた画素値kのHCL成分を数値欄に表示する。この表示に
より、操作者は、サンプリングした画素値がだいたいど
の位の大きさなのかを理解することができる。次に、図
13(b)のフロ−チャ−トを参照しながらスライドバ
ーを用いての画素値の調整処理について説明を行う。図
13(a)のフロ−チャ−トによって、指定色子窓i欄
がクリックされ、クリックされた指定色子窓i欄の画素
値が数値欄に表示されている。この状態で、ステップM
4からステップN9へと移行するとステップN9では、
プロセッサ37はスライドバーに対する操作がなされた
か否かを判定する。もしなされればステップN10に移
行し、なされてなければステップN9に戻って待機状態
を継続する。待機状態を継続している間に、操作者がポ
インティングデバイスを用いてスライドバーを左右に動
かすと、初めてステップN10へと移行する。ステップ
N10では、スライドバーに対するドラッグ量から、L
CH空間系における各成分についての加減算量を測定す
る。ステップN10の実行後、ステップN11に移行す
る。ステップN11では、測定された加減算量で画素値
kで数値欄を更新し、ステップN14において、決定さ
れた画素値kをRGB成分に変換する。ステップN15
においては、変換された調整色Dkの画素値で、調整色
子窓i欄を塗り潰し、ステップN13では、そのカラー
画素の画素値kを調整色記録メモリ102のうち、それ
に対応する調整色Dkの欄に書き込む。
【0079】カラーで塗り潰された調整色子窓i欄を見
て操作者が納得すれば、調整色が設定されたことになる
が、そうでなければ、操作者は再度ステップM10を選
択して、スライドバーに対する入力操作を行う。スライ
ドバーに対する操作が何度も行われて、操作者が納得す
るカラーで調整色子窓i欄が描画される。以上の処理を
図12のフロ−チャ−トでサンプリングされた全ての指
定色について繰り返し、調整色記録メモリ102のi=0,
1,2,3,4,5・・・n欄にカラー化された調整色を設定するこ
とにより、指定色子窓i欄に一覧表されている各指定色
に色を割り当てる。以上で図13(a)(b)に示した
調整色の調整処理についての説明を終わる。
【0080】次に、図14のフロ−チャ−トを参照しな
がらマウスドラッグによる閉領域の領域指定について説
明を行う。今、ステップM4での入力イベントからの特
定処理によって領域指定処理が選択されており、プロセ
ッサ37はステップP1において、マウスドラッグがな
されたか否か判定することにより、マウスドラッグの入
力待ちになっている。マウスドラッグがもしなされれば
ステップP2に移行し、なされてなければ待機状態を継
続する。待機状態を継続している間に、操作者がポイン
ティングデバイスを用いて操作を行うと、初めてステッ
プP2へと移行する。ステップP2では、入力ポートか
ら発せられるデジタル入力量を入力部33が座標値に変
換することにより、カーソルが通った画像上の座標を記
憶する。カーソルがたどった軌跡はA/D変換の精度等
により、(0,110)(10,150)(20,180)(40,230)・・・(40,230)
のように飛び飛びの座標値で表現される。
【0081】ステップP2の実行後、ステップP3に移
行する。ステップP3ではマウスのボタンから指が離れ
たかを判定する。もしそうであればステップP4に移行
し、異なればステップP1に移行する。ポインティング
デバイスを把持して、画像上でカーソルを移動させる
と、ステップP2において、カーソルが通った座標が順
々に記憶されてゆく。カーソルを移動させて、ボタンか
ら指を離すとステップP3においてこれが判定される。
ボタンから指が離れたことが判定されると、ステップP
4においてカーソル軌跡の始点・終点を結び閉領域を作
成する。以上で図14に示したフロ−チャ−トの領域指
定処理についての説明を終わる。
【0082】次に、図15のフロ−チャ−トを参照しな
がら指定された閉領域内の画素値の書き換え処理の概要
について説明を行う。今、ステップM4での入力イベン
トからの特定処理によって閉領域内部の有彩化が選択さ
れている。ステップP4では、プロセッサ37は有彩化
実行の指示がなされたか否かを判定する。もしなされれ
ばステップP5に移行し、なされてなければステップP
4に戻って待機状態を継続する。待機状態を継続してい
る間に、操作者がポインティングデバイスを用いて操作
を行うと、初めてステップP5へと移行する。ステップ
P5では、プロセッサ37は画素有彩化装置40を起動
する。ステップP5の実行後、ステップP6に移行す
る。ステップP6では、指定色記録メモリ101、調整
色記録メモリ102から指定色i、調整色i(i=0,1,2,3,
4,5・・・n)を全て読み出す。ステップP6の実行後、ステ
ップP7に移行する。ステップP7では、プリ演算部1
03に読み出された指定色、調整色から写像パラメータ
Pi(i=0,1,2,3,4,5・・・n)を作成させ、写像パラメータ記
録部104に記憶させる。以上で閉領域内の書き換え処
理の概要についての説明を終わる。
【0083】次に、図16のフロ−チャ−トを参照しな
がら画素値の書き換え処理について詳細に説明する。
尚、以降のフロ−チャ−トにおいて、変数X,Yは、画素
値を読み出すべき画素を特定するための変数であり、変
数i,jは、指定色記録メモリ101に記憶されたそれぞ
れの指定色の画素値や調整色記録メモリ102に記録さ
れたそれぞれの調整色の画素値を特定するための変数で
ある。
【0084】本フロ−チャ−トは、全てのX座標の全て
について、以降のステップP10〜ステップP18の処
理を繰り返すループ構造になっており、このステップP
10〜P18によって構成される繰り返し処理を更に、
全てのY座標の全てについて繰り返すループ構造になっ
ている。ステップP10では、プロセッサ37はRGB
成分で表現された座標(X,Y)の画素値をフレームバッ
ファ31から読み出す。ステップP10の実行後、ステ
ップP11に移行する。ステップP11では、読み出さ
れた画素(X,Y)の座標(X,Y)がマウスによって指定され
た閉領域の内側であるか外側であるか否かを判定する。
もし内側であればステップP12に移行し、外側であれ
ばステップP19に移行する。閉領域の外側の画素の画
素値が読み出されている間は、ステップP19におい
て、領域内外切換スイッチ109は迂回路側に切り替え
られる。ステップP12では、閉領域の内側の画素値が
読み出され始めると、画素有彩化装置40側に切り替え
られる。ステップP12で画素有彩化装置40側に切り
替えられると、ステップP13に移行する。ステップP
13では、画素(X,Y)の画素値をLCH空間系に変換する。
ステップP13の実行後、ステップP14に移行する。
ステップP14では、写像部にカラー化された調整色
(HDx,CDx,LDx)を作成させる。ステップP14の実
行後、ステップP15に移行する。ステップP15で
は、調整色(HDx,CDx,LDx)をRGB空間系に変換す
る。
【0085】ステップP13における画素値変換が行わ
れている間に、ステップP16では、無彩色判定部10
6が起動され、画素(X,Y)の赤色成分Rxと、緑色成分G
xと、青色成分BxがRx≒Gx≒Bxの関係を満たしてい
るが否かが判定される。ステップP16における写像部
105の起動により、ステップP13、P14、P15
における調整色の算出が行われている間に、画素(X,Y)
の画素値の無彩色判定が行われる。
【0086】ステップP15、P16の終了後、ステッ
プP17に移行する。ステップP17では、無彩-有彩
切換スイッチ107の切り替えを行う。ここで無彩色な
らば無彩-有彩切換スイッチ107は写像部側に切り替
えられ、カラー画素ならば、迂回路側に切り替えられ
る。この切り替えによって無彩色であれば写像部105
からの出力がフレームバッファ31側に出力され、無彩
色でなければ入力画素値がそのまま出力画素値として出
力される。
【0087】ステップP18では、プロセッサ37はス
テップP17において無彩-有彩切換スイッチ107か
ら、出力された調整色の画素値で、座標(x,y)の画素
値を上書きする。以上のステップP12〜ステップP1
9が一通り実行されると、X座標は1だけインクリメン
トされて、画素値を読み出すべき座標がインクリメント
される。これを1行分のX座標だけ繰り返して、ステッ
プP10〜ステップP18のループ処理は終わる。
【0088】以上のX座標についてのループ処理が一通
り実行されると、Y座標は1だけインクリメントされ
る。全てのY座標について、ステップP9におけるルー
プ処理が繰り返されると、画像上の全ての画素が走査さ
れ、その画素値が書き換えられたことになる。次に、図
17のフロ−チャ−トを参照しながらプリ演算部103
の処理を説明する。今、閉領域が領域指定され、指定色
・調整色の組み合わせが決定されたためプリ演算部10
3が起動されている。プリ演算部103が起動される
と、ステップQ1において、指定色記録メモリ101に
記憶された無彩色画素値間の相互距離(LCH空間系にお
ける指定色(HSi,CSi,LSi)と指定色(HSj,CSj,L
Sj)との間の距離dij)を計測する。ステップQ1の実
行後、ステップQ2に移行する。ステップQ2では、計
測した距離dijに対して距離関数Lを算出し、マトリッ
クス状に記憶する。そして、このように記憶した距離関
数Lの逆行列式L-1を算出する。ステップQ2の実行
後、ステップQ3に移行する。ステップQ3では、指定
色(HSi,CSi,LSi)と調整色(HDi,CDi,LDi)との
間の変位量(HQi,CQi,LQi)を計算する。ステップQ
3の実行後、ステップQ4に移行する。ステップQ4は
初期化ステップであり、具体的には、写像パラメータ記
録部104の記憶内容をゼロクリアする((HPj,CPj,
LPj)←0(j=0,1,2,3,4,5・・・n))。ステップQ4にお
ける初期化後、ステップQ5〜ステップQ7の二重ルー
プ処理で写像パラメータの作成を行う。ステップQ6の
ループ処理は、i=0,1,2,3,4,5・・・nの全てについて、以
降のステップQ7の処理を更に繰り返すループ構造にな
っている。ステップQ6のループ処理は、j=0,1,2,3,4,
5・・・nの全てについて繰り返される二重ループ構造にな
っている。
【0089】ステップQ7の処理は、逆行列L-1におけ
るi行j列の成分L-1ijと、(HQi,CQi,LQi)との掛け
算を行い、その結果を(HPj,CPj,LPj)と足し合わせ
て、足し合わせた結果を(HPj,CPj,LPj)に代入する
という内容であり、ステップQ6によってこれを全ての
iについて繰り返すと、{数4}における1行×1列の
演算が実行され、ステップQ7を全てのjについて繰り
返すと、{数4}におけるn行×1列の演算が実行され
る。
【0090】変数i,jの全てについて、ステップQ5、
Q6が繰り返されるとループ処理は終わる。この結果、
n個の成分からなる写像パラメータ(HPj,CPj,LPj)
(j=0,1,2,3,4,5・・・n)が生成されたので、これを写像パ
ラメータ記録部104に記録する。以上で図17のフロ
−チャ−トに示したプリ演算部103の処理についての
説明を終わる。
【0091】次に、図18のフロ−チャ−トを参照しな
がら写像部105による調整色(HDx,HDx,HDx)の画
素値の写像処理について説明を行う。本フロ−チャ−ト
のステップR1は、初期化処理であり、調整色の格納の
ために設けられた変数(HDx,HDx,HDx)に入力色(H
Sx,CSx,LSx)の成分を代入する。ステップR1の実
行後、ステップR2に移行する。ステップR2では、i=
0,1,2,3,4,5・・・nの指定色の全てについて、以降のステ
ップR3〜ステップR5の処理を繰り返すループ構造に
なっている。ステップR3では、色空間における入力色
(HSx,CSx,LSx)と、指定色(HSi,CSi,LSi)との
間の距離dxiを計測する。これにより、入力された画素x
の入力色(HSx,CSx,LSx)と指定色(HS1,CS1,LS
1)との距離dx1、入力色(HSx,CSx,LSx)と指定色
(HS2,CS2,LS2)との距離dx2、…、入力色(HSx,C
Sx,LSx)と指定色(HS3,CS3,LS3)との距離dx3、
…、入力色(HSx,CSx,LSx)と指定色(HSn,CSn,L
Sn)との距離dxnというように、指定色記録メモリ1
01に記憶されている全ての指定色Siまでの距離を求
める。
【0092】求めた距離を用いて、L(Sx,Si)を算
出する。これによって、距離関数Lを、L(Sx,S
0),L(Sx,S1),L(Sx,S2),L(Sx,S
4),L(Sx,S5),L(Sx,S6)・・・・・というよう
に、距離関数Lが個別に求まる。ステップR3の実行
後、ステップR4に移行する。ステップR4では、写像
パラメータ記録部から写像パラメータ(HPi,CPi,LP
i)を読み出す。ステップR4の実行後、ステップR5
に移行する。ステップR5では、L(Sx,Si)と(HP
i,CPi,LPi)とを掛け合わせ、この掛け算結果をこれ
まで記憶されている調整色(HDx,HDx,HDx)に足し合
わせて、調整色(HDx,HDx,HDx)に代入する。以上の
ステップR1〜ステップR5が一通り実行されると、座
標は1だけインクリメントされる。この掛け算・足し算
の組み合わせにより、L(Sx,S0)・P0+L(Sx,
S1)・P1+L(Sx,S2)・P2+L(Sx,S4)・P4
+L(Sx,S5)・P5+L(Sx,S6)・P6・・・・・+Sx
の計算が行われてゆく。これを全てのiについて繰り返
して、ステップR2〜ステップR5のループ処理は終わ
る。このように、ステップR2〜ステップR5の一連の
処理が行われると、{数6}に示した演算は行われる。
以上で写像部105のフロ−チャ−トに示した写像処理
についての説明を終わる。
【0093】以上のフロ−チャ−トで実現されている画
像有彩化装置の機能を用いて、モノクロ画像を有彩化す
る実例を説明する。ここで対象となるモノクロ画像は、
テーブルの上にリンゴ、梨、オレンジ、レモンが皿の上
に陳列されている静物画である。リンゴ、梨は、オレン
ジ、レモンより手前側に配されている。このモノクロ画
像におけるリンゴは、黒っぽく映じた熟したリンゴであ
る。操作者は先ず調整色及びスライドバーを操作して、
最も明い部分は黄緑色に設定し、暗い部分は濃い赤に設
定する。また真中の明るさの部分は朱色に設定する。設
定後、リンゴを領域指定して有彩化を実行する。有彩化
を実行すると枠内のリンゴに色合いが与えられる。この
色合いが気に入らなければ、これをキャンセルして、指
定色及び調整色を設定し直し、再度有彩化を実行する。
【0094】梨を有彩化する場合は、暗い部分は黄緑色
に設定する。最も明い部分は薄い青に設定し、また真中
の明るさの部分は薄い黄色に設定する。設定後、梨を領
域指定して有彩化を実行する。有彩化を実行すると枠内
の梨に色合いが与えられる。この色合いが気に入らなけ
ればこれをキャンセルして、指定色及び調整色を設定し
直し、再度有彩化を実行する。本実施の形態における画
像有彩化装置は、領域指定と、有彩化したい対象に合わ
せた指定色−調整色の大まかな対応づけとを繰り返し行
うことにより、操作者の感性にあった有彩化を行ってゆ
く。
【0095】このように、梨なら梨、リンゴならリンゴ
というように指定色−調整色の組み合わせを個別に設定
して領域指定することも可能であるが、本実施の形態で
は写像部105による写像が働くので、暗い部分は黄緑
色に設定し、最も明い部分は赤に設定しておき、梨とリ
ンゴをまとめて領域指定して、果実を陳列した静物画の
うちリンゴ・梨をまとめて有彩化することも可能であ
る。リンゴ、梨が納得する色になると、操作者は、リン
ゴ・梨の背後に陳列されているオレンジ、レモンを領域
指定する。この領域指定は、有彩化済みのリンゴ、梨を
まるごと含んでいても良い。たとえ含んでいても、無彩
色判定部106がリンゴ、梨部の有彩化をスキップする
からである。指定色子窓i欄・調整色子窓i欄を暗い部分
は柿色系に設定し、明るい部分は黄色系に設定する。有
彩化を実行すると、図7(b)のグラフに示したよう
な、なだらかに曲面状に変化する色合いが与えられる。
オレンジ、レモンの有彩化を終えると、その背景の領域
指定を開始する。この背景部の領域指定も、有彩化済み
のオレンジ、リンゴを一部含んでいても良い。背景部
は、手前側に比べて低く設定し、リンゴ、梨、オレン
ジ、レモンが浮き立つようにする。このような作業を繰
り返すと、モノクロ画像は徐々に有彩化されてゆき、美
しいカラー画像が得られる。以上で本画像有彩化装置に
よる有彩化の実例についての説明を終わる。
【0096】以上の本実施の形態によれば、有彩化済み
の部分を含むように領域指定しても、有彩化済みの画素
値書き換えは禁止され、モノクロ部分に含まれる画素の
画素値が書き換えられる。このように、モノクロ画像部
分のみが書き換えられるので、既に有彩化された箇所を
覆うように領域指定を行ってゆけば、塗り残しの無い有
彩化を実現することができる。
【0097】図27に示したのと同様の有彩化を本実施
の形態の画像有彩化装置用いて実現してみる。図25は
図27に示したのと同様の有彩化作業を説明するための
説明図である。カーソル跡によって唇を囲み、カーソル
跡h1内の閉領域の画素値を赤色系の彩度、色相に書き換
える点は図27と同様だが、続く顔の領域指定は、有彩
化済みの唇を覆うようにして行う。図27(b)に示
したようにカーソル跡h2によって唇の周りを囲む必要は
無い。
【0098】人の顔を彩色する場合において、有彩化さ
れた箇所を覆うように顔,着衣,唇等、色合いが異なる部
分を塗り分けてゆけば、塗り残しの無い有彩化を実現す
ることができる。そのため、たとえ領域指定の回数が多
くても、髪の毛と肌の境目、着衣と肌の境目等がきれい
に見える。このように既に彩色された部分を覆うように
領域指定してゆけばよいので、ポインティングデバイス
の精度や操作者の技量等に影響されることなく、モノク
ロ画像を徐々に有彩化してゆくことができる。写像部1
05によって与えられる色合いの変化は、グラフの曲線
の形状に示すかの如く、モノクロ画素の明暗に比例した
滑らかなものとなる。白黒リンゴの上に赤いセロハンを
覆い被せたような平面的な色合いではなく、立体感のあ
る色合いとなり、モノクロ画像において明暗として表れ
ている物体表面の曲がり具合や物体表面の起伏を、なめ
らかな彩度変化、色相変化で表現することができる。
【0099】(第2実施形態)第2実施形態では、より
高速な有彩化を行うことを意図しており、画像有彩化装
置には図3に示した構成の画素有彩化装置40に代えて
図8の構成の画素有彩化装置50が備えられている。以
下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しな
がら説明する。図8において、画素有彩化装置50は、
無彩-有彩切換スイッチ107、領域指定部108、領
域内外切換スイッチ109A,Bが備えられている点は
画素有彩化装置40と変わらないが、その他の構成が指
定色記録メモリ401、調整色記録メモリ402、プリ
演算部403、写像パラメータ記録部404、写像部1
05、入力側切換スイッチ406、無彩色指定部408
に置き換っている(尚、簡略を期するため、領域指定部
108、領域内外切換スイッチ109A,Bを図外とし
ている。)。
【0100】指定色記録メモリ401、調整色記録メモ
リ402が第1実施形態のものと異なるのは、指定色−
調整色の画素値がYUV空間座標系の属性で表現されてい
る点である。ここでYUV空間とは、カラーTVにおけ
る色を特定する信号(輝度信号(Y),色差信号(U,
V))に基づく軸からなる色空間の一つである。YUV空
間座標系において、無彩色の画素値は色差信号UVが0の
画素値として表される。このようにYUV空間座標系にお
ける画素値表現で有彩化を行うので、第2実施形態は、
モノクロで表現されているTV映像の有彩化に好適であ
る。指定色記録メモリに記録されている無彩色と調整色
記録メモリに記録されている調整色の組の輝度成分を
(YSi,YDi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)と表現する。こ
こでは指定色・調整色の組み合わせが設定されたことに
より、指定色記録メモリおよび調整色記録メモリに(Y
S1,YD1)、(YS2,YD2)、(YS3,YD
3)、(YS4,YD4)の4つの組が記録されている
ものとする。指定色をX軸座標とし、調整色をY軸座標
として指定色、調整色をプロットしたグラフを図9
(a)に示す。指定色記録メモリ401、調整色記録メ
モリ402が画素値をYUV空間座標系で記憶しているた
め、第2実施形態における指定色記録メモリ401、調
整色記録メモリ402に対する読み出し時或は書き込み
時において制御モジュール38は、YUV-RGB変換を行
う。
【0101】プリ演算部403は、第2実施形態におい
て、プリ演算部103の代わりに備えられている。その
機能は、指定色記録メモリ401および調整色記録メモ
リ402に記録された情報を利用して各軸成分Y,U,
V毎に独立して補間式を算出して、その結果を写像パラ
メータ記録部404に記録することである。プリ演算部
403の処理について図面を参照しながら説明を行う。
以降色空間のY軸(以下、輝度軸と示す)に対してのみ説
明を行うが、プリ演算部403の処理はU,V軸につい
ても同様である。指定色記録メモリ401に記録されて
いる無彩色のYUV色空間上の輝度軸に対する値をYS
i(i=1,2,3,4)とする。また、調整色記録メモリ402に
記録されている調整色の輝度軸に対する値をYDi(i=1,
2,3,4)とする。ここで、横軸に指定色記録メモリに記録
されている指定色の輝度軸をとり、縦軸に調整色記録メ
モリに記録されている調整色の輝度軸をとる。
【0102】図9(a)においてプリ演算部403は、
各頂点間を直線で、また、両端はY軸一定とするような
式で各YS1,YS2,YS3,YS4間を補間する。この補
間によって図6に示される各入力画素値に対する出力値
のグラフを得ることができる。尚、直線補間式を以外に
も、スプライン補間や補間多項式、およびラグランジェ
の補間などを利用しても本実施の形態と同様の効果が期
待できる。
【0103】写像部405は、写像部105の代わりに
備えられており、写像パラメータ記録部404に記憶さ
れた画像有彩化装置における各成分の補間式を用いて入
力画素の補間を行い、その補間結果を出力画像の色空間
であるRGB空間に変換して出力する。入力画素値の輝
度成分YSxに対応する出力画素の輝度成分YDxは、
図9(b)に示す上記の補間式により求めることができ
る。
【0104】入力側切換スイッチ406は、無彩-有彩
切換スイッチ107と同一構成であるが、無彩-有彩切
換スイッチ107との違いは、写像部105が画素有彩
化装置50における入力側に備えられている点である。
無彩色判定部408が無彩色であると判定した場合に写
像部405側(A)に切り替えられ、無彩色でない場合
には入力画素値をそのまま出力する迂回路側(B)に切
り替えられる。
【0105】無彩色判定部408は、入力された入力画
素値が無彩色かどうか判定する点は無彩色判定部106
と同一である。唯一異なる点は切替信号を入力側切換ス
イッチ406に送ることである。次に、図19のフロ−
チャ−トを参照しながら写像部405による補間式の算
出処理について説明を行う。画素有彩化装置40が起動
され、スライドバーを用いて指定色、調整色を設定した
とする。ここで、操作者がポインティングデバイスを用
いて有彩化の指示を行うと、ステップS1に移行する。
【0106】ステップS1では、プロセッサ37は指定
色記録メモリ、調整色記録メモリから指定色(YSi,US
i,VSi)、調整色(YDi,UDi,VDi)(i=0,1,2,3,4,5・・
・n)を読み出す。ステップS2、S3は、Si=0,1,2,3,
4,5・・・nの全てについて、以降のステップS3の処理を
繰り返すループ構造になっている。ステップS3では、
XY座標系に指定色(YSi,YDi)をプロットする。ス
テップS3が一回実行されると、変数iは1だけインク
リメントされる。これをi=0,1,2,3,4,5から・・・nまで繰
り返して、ステップS3のループ処理は終わる。続い
て、ステップS4では、プロットされた座標(YS1,YD
2),(YS2,YD2)(YS3,YD3)・・・・(YSn,YDn)を
通過する補間式Y=HY(X)を算出して、ステップS4で
は、算出した補間式Y=HY(X)を記録する。
【0107】続くステップS6も、i=0,1,2,3,4,5・・・n
の全てについて、以降のステップS7の処理を繰り返す
ループ構造になっている。ステップS7では、XY座標
系に指定色(USi,UDi)をプロットする。ステップS
7が一回実行されると、座標は1だけインクリメントさ
れる。これをi=0,1,2,3,4,5・・・nだけ繰り返して、ステ
ップS7のループ処理は終わる。
【0108】続いて、ステップS8に移行し、プロット
された座標(US1,UD2),(US2,UD2)(US3,UD3)
・・・・(USn,UDn)を通過する補間式Y=HU(X)を算出
する。ステップS8の実行後、ステップS9に移行す
る。ステップS9では、算出した補間式Y=HU(X)を記
録する。ステップS10のループ処理は、i=0,1,2,3,4,
5・・・nの全てについて、以降のステップS11の処理を
繰り返すループ構造になっている。ステップS11で
は、プロセッサ37はXY座標系に指定色(VSi,VD
i)をプロットする。ステップS11が一回実行される
と、座標は1だけインクリメントされる。これをi=0,1,
2,3,4,5・・・nだけ繰り返して、ステップS10のループ
処理は終わる。ステップS12では、プロットされた座
標(VS1,VD2),(VS2,VD2)(VS3,VD3)・・・・(V
Sn,VDn)を通過する補間式Y=HV(X)を算出する。ス
テップS12の実行後、ステップS13に移行する。ス
テップS13では、算出した補間式Y=HV(X)を記録す
る。以上の一連のステップにより、操作者がポインティ
ングデバイスを用いて設定した指定色−調整色の組み合
わせから、補間式が算出される。以上で図19のフロ−
チャ−トについての説明を終わる。
【0109】次に、図20のフロ−チャ−トを参照しな
がらプリ演算部403による調整色の算出処理について
説明を行う。既に操作者がポインティングデバイスを操
作することにより、画像上の閉領域が指定されている。
ここで、閉領域についての有彩化の操作がなされると、
プリ演算部403が起動され、フロ−チャ−トのステッ
プT1へと移行する。
【0110】ステップT1では、プロセッサ37は画素
(X,Y)のRGB成分をYUV空間座標系の成分(YSX,USX,
VSX)に変換する。ステップT1の実行後、ステップT
2、T3、T4に移行する。ステップT2では、成分Y
SXをX座標にして、補間式Y=HY(YSX)の計算を実行
し、計算結果をYDxとして出力する。ステップT3で
は、成分USXをX座標にして、補間式Y=HU(USX)の計
算を実行し、計算結果をUDxとして出力する。ステップ
T4では、成分VSXをX座標にして、補間式Y=HV(VS
X)の計算を実行し、計算結果をVDxとして出力する。ス
テップT2、T3、T4を同時に実行した後、ステップ
T5に移行する。ステップT5では、プロセッサ37は
計算結果を調整色(YDx,UDx,VDx)として出力する。
ステップT5の実行後、ステップT6に移行する。ステ
ップT6では、(YDX,UDX,VDX)をRGB成分に変換
する。以上の変換は、領域指定された閉領域内の各画素
について繰り返される。ここで補間式Y=H(X)が直線式
であるので、有彩化によって与えられる色合いはシャー
プな印象を見るものに与える。
【0111】以上のように本実施の形態によれば、操作
者の指示に応じて決定された指定色・調整色の組み合わ
せから補間直線或は補間曲線の補間式を算出し、算出し
た補間直線或は補間曲線上への射影により閉領域内の画
素を有彩化するので、既存の補間アルゴリズムを利用し
た高速な補間を実現することができる。この補間演算は
色空間の各成分に対して独立に行われ、無彩色部分以外
の補間演算はスキップされるので演算量は非常に少な
い。このように演算量を削減しながら無彩色の画像に対
して自然な彩色を実現することができる。
【0112】第2実施形態の画像有彩化装置は、第1実
施形態と同様の有彩化作業を実現できるが、第2実施形
態における画像有彩化装置はビデオカセットに収録され
たモノクロTV映像を有彩化する『カラーフィルタ』と
して用いることもできる。『カラーフィルタ』として用
いる場合、ビデオカセットに収録されたモノクロTV映
像をビデオデッキ25によって再生する。再生されたモ
ノクロTV映像はデジタル化されずに画素有彩化装置4
0に入力される。写像部405は、指定色記録メモリ4
01・調整色記録メモリ402に記憶されている指定色
・調整色の組み合わせにより、入力されてくる画素をYUV
色空間において写像して出力する(RGB→YUV変換は行う
必要がない)。写像部405の処理は、YUVの各成分に
ついて独立に行われるから、非常に高速である。従っ
て、ビデオデッキ25による再生に充分追従することが
でき、モノクロ画像をリアルタイムに有彩化することも
できる。
【0113】(第3実施形態)第3実施形態では、フィ
ルムや写真がセピア色等に変色している場合や、読み取
りによってモノクロ画像が青色・黄色等、希望しない色
を帯びている場合を考慮した構成である(変色や読み取
りによって、画素値に与えられる彩度及び色相をノイズ
という。)。第3実施形態における画素有彩化装置60
の構成を図10に示す。同図において画素有彩化装置6
0は、指定色記録メモリ401及び調整色記録メモリ4
02を備える点は画素有彩化装置50と共通している
が、後の構成は、プリ演算部703、無彩色軸設定部7
05、無彩色軸調整部706、補間テーブル記憶部71
0、及びテーブル検索部711に置き換わっている。
【0114】無彩色軸設定部705は、操作者の指示に
応じて無彩色軸を自在に変化させる。RGB空間におけ
る無彩色軸は(0,0,0)(1,1,1)(2,2,2)〜
(255,255,255)の計256個が通るRx=Gx
=Bxであるが、無彩色軸設定部705は、RGB色空
間上の2点を操作者に入力させることにより、RGB色
空間内における無彩色軸の位置を自在に移動する。無彩
色軸設定部705は更にこのように設定した無彩色軸に
ノイズ幅を設定する。ここで設定されるノイズ幅とは、
フィルムや写真の変色よって生じている彩度、色相の閾
値である。無彩色軸を中心にして半径方向にノイズ幅が
占める円柱状の空間は無彩色空間を形成する。RGB色空
間系においてこの無彩色空間内にプロットされる画素値
は、たとえノイズによって彩度、色相を持っていても画
素有彩化装置60によって無彩色として扱われる。ノイ
ズ幅の長短は、操作者がスライドバーを操作することに
より可変するから、これを可変させて無彩色空間の大き
さを変化させることもできる。
【0115】無彩色軸調整部706は、利用者が無彩色
軸の幅を閾値として設定した場合は、この閾値に入る無
彩色軸周辺の色を全て無彩色軸上の点へと写像する。入
力されたモノクロ画像の画素値を、利用者が無彩色軸設
定部705を用いて設定した無彩色軸上に移動する。こ
のように、無彩色軸設定部および無彩色軸調整部の組み
合わせにより、任意の色空間上の直線を無彩色軸に設定
することを可能とするとともに、無彩軸の幅の閾値を設
定できることで、無彩色軸がノイズなどによって一定の
幅を持って存在している場合にノイズの彩色に対する影
響を緩和することができる。以上で無彩色軸調整部70
6についての説明を終わる。
【0116】プリ演算部703は、実施の形態2の画像
有彩化装置のプリ演算部403とほぼ同じものである
が、異なるのは無彩色軸が設定されると、無彩色軸上の
全ての点に対して補間演算を行い、その補間で得られる
有彩色を補間テーブル記憶部710に記録する点であ
る。このようにプリ演算部703が補間結果を補間テー
ブル記憶部710に記録しておくのは、入力画素値が全
て無彩色軸に写像されることが判っているからである。
【0117】図23の説明図を参照しながら補間テーブ
ル記憶部710の記憶内容について説明を行う。本図に
おいて、先頭の横の並びには、先ず『YD1 UD1 VD
1』があり、その右隣に『 YD2 UD2 VD2』があり、
その右隣に『 YD3 UD3 VD3』があるが、これは補
間テーブル記憶部710の記憶領域が無彩色軸上の1番
目、2番目、3番目の空間座標を格納するために区分け
されており、それぞれのの内部構成が更に、Y成分、U
成分、V成分を格納するために区分けされていることを
示している。
【0118】本図において、その下の横の並びには、先
ず『YD4 UD4 VD4』があり、その右隣に『 YD5 U
D5 VD5』があり、その右隣に『 YD6 UD6 VD6』
があるが、これは補間テーブル記憶部710の記憶領域
が無彩色軸上の4番目、5番目、6番目の空間座標を格
納するために区分けされており、それぞれの内部が更
に、Y成分、U成分、V成分を格納するために区分けさ
れていることを示している。
【0119】テーブル検索部711は、写像部105に
代えて備えられている構成であり、入力画素値を受け取
り、入力画素値を基にして補間テーブル記憶部710に
記録されている補間テーブルを検索し、入力された無彩
色に対応する有彩色を出力する。次に、図21のフロ−
チャ−トを参照しながら第3実施形態における画像有彩
化装置の動作について説明を行う。既に操作者がポイン
ティングデバイスを操作することにより、閉領域につい
ての有彩化の操作がなされ、プリ演算部703が起動さ
れて、補間式Y=Hy(X)、補間式Y=Hu(X)、補間式Y=
Hv(X)が算出されている。これらの補間式が算出される
と、プロセッサ37は図21のフロ−チャ−トのステッ
プV1へと移行する。
【0120】ステップV1では、無彩色軸上のm番目の
点(m=0,1,2,3,4,5・・・n)の全てについて、以降のステ
ップV5、V2〜ステップV4の処理を繰り返すループ
構造になっている。ステップV5では、無彩色軸上のm
番目の点(Rm,Gm,Bm)をYUV空間座標系に変換して、
(YSm,USm,VSm)を得る。ステップV2では、成分Y
SmをX座標にして、補間式Y=HY(YSm)の計算を実行
し、計算結果をYDmとして、補間テーブルのm番目の欄
のY成分に書き込む。ステップV2の実行後、ステップ
V3に移行する。ステップV3では、成分USmをX座標
にして、補間式Y=HU(USm)の計算を実行し、計算結果
をUDmとして、補間テーブルのm番目の欄のU成分に書
き込む。ステップV3の実行後、ステップV4に移行す
る。ステップV4では、成分VSmをX座標にして、補間
式Y=HV(VSm)の計算を実行し、計算結果をVDmとし
て、補間テーブルのm番目の欄のV成分に書き込む。ス
テップV5,V2〜ステップV4が一通り実行される
と、変数mは1だけインクリメントされる。これをm=
0,1,2,3,4,5・・・nだけ繰り返して、ステップV2〜ステ
ップV4のループ処理は終わる。この繰り返しにより補
間テーブル記録部内の各欄は調整色の画素値で充填され
る。
【0121】次に、図22のフロ−チャ−トを参照しな
がら、無彩色軸調整部706及びテーブル検索部711
の処理ついて説明を行う。画素有彩化装置40が起動さ
れ、スライドバーを用いて指定色、調整色を設定したと
する。ここで、操作者がポインティングデバイスを用い
て有彩化の指示を行うと、ステップW1へと移行する。
【0122】ステップW2は、全てのX座標の全てにつ
いて、以降のステップW3〜W9の処理を繰り返すルー
プ構造になっている。このステップW2におけるループ
処理が、ステップW1でのループ処理によって全てのY
座標の全てについて繰り返される2重ループ構造になっ
ている。ステップW3では、座標(X,Y)の画素をフレ
ームバッファ31から読み出す。ステップW3の実行
後、ステップW5に移行する。ステップW5に移行す
る。ステップW5では、変換された空間座標(YSX,US
X,VSX)が無彩色軸とノイズ幅とから構成される無彩色
空間内に存在するか否かを判定する。もし存在すればス
テップW6に移行し、存在しなければステップW6〜W
8をスキップする。既に有彩化されている部分はステッ
プW5でNoと判定されるのでステップW6〜W8はスキ
ップされる。ステップW6では無彩色空間内に存在する
画素の画素値を無彩色軸上の何番目かの点に射影する
(射影された点をm番目の点とする)。ステップW6の
実行後、ステップW7において補間テーブルのm番目欄
に書き込まれている画素値(YDm UDm VDm)を取得
し、ステップW8に移行する。ステップW8では、画素
値(YDm,UDm,VDm)をRGB空間座標系に変換する。ス
テップW8の実行後、ステップW9に移行して、変換さ
れた画素値を座標(X,Y)に書き込む。
【0123】以上のステップW3〜ステップW9が一通
り実行されると、X座標は1だけインクリメントされ
る。これをi=0,1,2,3,4,5・・・nだけ繰り返して、ステッ
プW3〜ステップW9のループ処理は終わる。ステップ
W3〜W9が全てのX座標について、一通り実行される
と、座標は1だけインクリメントされる。これを全ての
Y座標について繰り返して、ステップW1のループ処理
は終わる。
【0124】本フロ−チャ−トの処理により、読み取ら
れた原画の画素は無彩色軸調整部706によって無彩色
軸上に写像され、補間テーブル記憶部710においてm
番目に記録されている調整色がテーブル検索部711に
よって読み出される。以上の処理により、たとえ原画が
部分的に変色している場合でも、有彩化が好適に行われ
る。
【0125】このように本実施の形態によれば、色空間
において操作者が指定した無彩色軸と、無彩色軸に対し
て半径方向を占める所定の幅とによって表現された無彩
色の画素を無彩色軸上に射影するので、フィルムや写真
がセピア色等に変色している場合や、読み取りによって
モノクロ画像が青色・黄色等、希望しない色を帯びてい
る場合でも、これらが一旦無彩色に変換されることにな
る。この変換により、読み取りや変色によるノイズが緩
和され、好適な条件の下で有彩化を実行してゆくことが
できる。補間直線或は補間曲線上の点が予めテーブル化
され、画素の有彩化は、このテーブルの検索によって行
われるので、カラー画素値の決定をテーブル検索で実現
することができる。テーブル検索によって有彩化を高速
に行うことができる。尚、図10の内部構成に図3に示
した無彩色判定部106、無彩・有彩切換スイッチ10
7を設けて良いことはゆうまでもない。
【0126】上記実施形態に基づいて説明してきたが、
現状において効果が期待できるシステム例として提示し
たに過ぎない。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で変
更実施することができる。即ち画像処理、色彩調整を意
図したであればどのようなシステムに適用できることは
いうまでもない。
【0127】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の画像
有彩化装置によれば、有彩化済みの部分を含むように領
域指定しても、有彩化済みの画素値書き換えは禁止さ
れ、モノクロ部分に含まれる画素の画素値が書き換えら
れる。このように、モノクロ画像部分のみが書き換えら
れるので、既に塗られた箇所を覆うように領域指定を行
ってゆけば、塗り残しの無い有彩化を実現することがで
きる。
【0128】例えば、人の顔を彩色する場合において、
唇とそれ以外の顔の部分とは、色が違う訳だから、先ず
唇を領域指定して、指定された閉領域の画素値を赤色系
の彩度、色相に書き換える。続いて、唇を覆うように顔
の部分を領域指定して、指定された閉領域の画素値を肌
色系の彩度、色相に書き換える(図25(a)(b)参
照)。この際、唇を覆うように顔の範囲が領域指定され
るから無彩色の塗り残しは表れず、輪郭線を確実に一致
させる必要はない。この要領で顔,着衣,唇等、色合いが
異なる部分を塗り分けてゆけば、塗り残しの無い有彩化
を実現することができる。そのため、たとえ領域指定の
回数が多くても、髪の毛と肌の境目、着衣と肌の境目等
がきれいに見える。
【0129】このように既に彩色された部分を覆うよう
に領域指定してゆけばよいので、ポインティングデバイ
スの精度や操作者の技量等に影響されることなく、モノ
クロ画像を徐々に有彩化してゆくことができる。また、
請求項2に記載の画像有彩化装置によれば、指定された
閉領域に含まれる各画素の画素値の各成分がRx≒Gx≒
Bxの関係を満たしているが否かを判定することによ
り、無彩・有彩の判定を行うので、RGBの3原色で表
現された画像の無彩色部分を好適に選別することがで
き、既存のVRAM,フレームバッファを用いて、モノクロ
画像の有彩化作業を進行させることができる。
【0130】請求項3記載の画像有彩化装置によれば、
所定の変換パラメータに基づいて閉領域内の画素値を構
成する各成分を増減している間にモノクロ・カラー判定
を行う。この判定結果に応じて加減算で閉領域内を書き
換えるか禁止するかを決定するので、1画素当たりのモ
ノクロ・カラー判定・画素値の増減に要する時間を短縮す
ることができる。1画素当りの処理時間が短縮されるの
で、閉領域を有彩化する時間が短くなり、処理速度を上
げることができる。
【0131】請求項3記載の画像有彩化装置によれば、
モノクロ画素値とカラー画素値とからなる組み合わせが
決定すると、その組み合わせに応じた変換パラメータが
算出される。操作者は、領域指定と、有彩化したい対象
に合わせたモノクロ画素値・カラー画素値の大まかな対
応づけとをおこなえば、それに応じた変換パラメータが
算出される。こうして算出された変換パラメータを用い
て画素値の加減算が行われるので、閉領域の有彩化に操
作者の指示を範囲させることができる。このようなモノ
クロ画素値・カラー画素値の組み合わせの決定と、それ
を用いた有彩化とを繰り返し行うことにより、操作者の
感性にあった有彩化を行ってゆくことができる。
【0132】請求項5記載の画像有彩化装置は更に、閉
領域内のモノクロ画素と決定手段によって決定されたモ
ノクロ画素との相互距離に基づいて変換パラメータを算
出するので、これによって与えられる色合いの変化は、
グラフの曲線の形状に示すかの如く、モノクロ画素の明
暗に比例した滑らかなものとなる。白黒リンゴの上に赤
いセロハンを覆い被せたような平面的な色合いではな
く、立体感のある色合いとなり、モノクロ画像において
明暗として表れている物体表面の曲がり具合や物体表面
の起伏を、なめらかな彩度、色相で表現することができ
る。
【0133】請求項6記載の画像有彩化装置によれば、
操作者の指示に応じて決定されたノクロ画素値、カラー
画素値の組み合わせから補間直線或は補間曲線の補間式
が算出され、算出された補間直線或は補間曲線上への射
影により閉領域内の画素を有彩化するので、既存の補間
アルゴリズムを利用した高速な補間を実現することがで
き、汎用パソコンに組み込むような形態で、有彩化を実
現することができる。
【0134】請求項7記載の画像有彩化装置によれば、
補間直線或は補間曲線上の点が予めテーブル化され、画
素の有彩化は、このテーブルの検索によって行われるの
で、カラー画素値の決定をテーブル検索で実現すること
ができる。テーブル検索により、閉領域内を有彩化する
ことができるので、高速な補間を実現することができ
る。
【0135】請求項8記載の画像有彩化装置によれば、
色空間において操作者が指定した基準軸と、基準軸に対
して半径方向を占める所定の幅とによって表現された範
囲内の画素を基準軸上に射影して、補間式を用いた閉領
域の有彩化を実行するので、フィルムや写真がセピア色
等に変色している場合や、読み取りによってモノクロ画
像が青色・黄色等、希望しない色を帯びている場合で
も、これらが一旦無彩色に変換されることになる。この
変換により、読み取るや変色によるノイズが緩和され、
好適な条件の下で有彩化を実行してゆくことができる。
【0136】請求項10記載の画像有彩化装置によれ
ば、色見本表示部によって複数のモノクロ画素値及び/
又はカラー画素値の色見本が表示され、この色見本に対
するポインティングデバイスによる指定を検出すること
により、操作者が望むモノクロ画素値、カラー画素値の
組み合わせを決定するので、無彩色・有彩化の組み合わ
せを対話的に決定することができる。色見本の提示によ
るビジュアルな対話編集により、操作者による有彩化作
業を効率化することができる。
【0137】請求項11記載の画像有彩化装置によれ
ば、モノクロ画像の画素に対するポインティングデバイ
スによる指定を検出することにより、操作者が望むモノ
クロ画素値を検出され、検出されたモノクロ画素値に対
して加減算量を与えることで、モノクロ画像・カラー画
素値の組み合わせが得られるので、モノクロ画素値、カ
ラー画素値の組み合わせを対話的に決定することができ
る。色見本の提示によるビジュアルな対話編集により、
操作者による有彩化作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における画像有彩化装置のシステム
構成を示す図である。
【図2】本実施形態における画像有彩化装置の機能ブロ
ックを示す図である。
【図3】第1実施形態における画素有彩化装置40の内
部構成を示す図である。
【図4】RGB色空間における画素値の表現、RGB色
空間における画素値の表現、方向L色空間における画素
値の対応関係を示す図である。
【図5】ディスプレィ22におけるGUIの表示例を示す
図である。
【図6】(a)(b)本発明の第1の実施の形態におけ
る距離関数Lの例を示す図である。
【図7】数式5を表したグラフである。
【図8】第2実施形態における画素有彩化装置40の内
部構成を示す図である。
【図9】(a)無彩色をX座標とし、調整色をY座標と
してプロットしたグラフである。 (b)(a)でプロットされたグラフを通過する補間式
の一例を示す図である。
【図10】第3実施形態における画素有彩化装置40の
構成図である。
【図11】第1実施形態における画像有彩化装置の制御
内容のメインフロ−チャ−トである。
【図12】指定色のサンプリング処理のフロ−チャ−ト
である。
【図13】(a)調整色子窓i欄の調整処理のフロ−チ
ャ−トである。 (b)調整色子窓i欄の画素値算出処理のフロ−チャ−
トである。
【図14】マウスドラッグによる閉領域の領域指定処理
のフロ−チャ−トである。
【図15】有彩化実行時における、画像有彩化装置のフ
ロ−チャ−トである。
【図16】有彩化実行時における、画像有彩化装置のフ
ロ−チャ−トである。
【図17】プリ演算部103の処理内容を示すフロ−チ
ャ−トである。
【図18】写像部105の処理内容を示すフロ−チャ−
トである。
【図19】第2実施形態におけるプリ演算部403の処
理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図20】第2実施形態における写像部105の処理内
容を示すフロ−チャ−トである。
【図21】第3実施形態におけるプリ演算部703の処
理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図22】第3実施形態における無彩色軸調整部70
6、テーブル検索部711の処理内容を示すフロ−チャ
−トである。
【図23】第3実施形態における補間テーブル記録部7
10の記憶内容の一例を示す説明図である。
【図24】指定点のサンプリング及び、サンプリングさ
れた指定点に対する指定色、調整色の設定例を示す説明
図である。
【図25】本実施の形態における領域指定作業を説明す
るための説明図である。
【図26】従来の画像有彩化装置の一例を示す構成図で
ある。
【図27】従来の画像有彩化装置において生じていた有
彩化作業の問題点を指摘するための説明図である。
【符号の説明】
21 スキャナ 22 ディスプレィ 23 パソコン 24 ポインティングデバイス 25 ビデオデッキ 31 フレームバッファ 33 入力部 34 オペレーティングシステム 36 ディスク装置 37 プロセッサ 38 制御モジュール 40 画素有彩化装置 50 画素有彩化装置 60 画素有彩化装置 101 指定色記録メモリ 102 調整色記録メモリ 103 プリ演算部 104 写像パラメータ記録部 105 写像部 106 無彩色判定部 107 無彩・有彩切換スイッチ 108 領域指定部 109 領域内外切換スイッチ 401 指定色記録メモリ 402 調整色記録メモリ 403 プリ演算部 404 写像パラメータ記録部 405 写像部 406 入力側切換スイッチ 408 無彩色判定部 703 プリ演算部 705 無彩色軸設定部 706 無彩色軸調整部 710 補間テーブル記憶部 711 テーブル検索部 801 領域指定部 802 入力スイッチ 803 出力スイッチ 803 変換部 804〜806 加減算処理部 807 加減算制御部 808 変換部 809 出力スイッチ 810 読み出し/書込部 811 フレームバッファ 812 ディスプレィ 813 入力部 814 ポィンティングデバイス 815 画素有彩化装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画面上においてカーソルの移動軌跡によ
    って囲まれた閉領域内部の画素値を所定の変換パラメー
    タを用いて書き換えることにより、モノクロ画像を有彩
    化する画像有彩化装置であって、 カーソルの軌跡によって指定された閉領域が有彩化済み
    の部分を含んでいると、有彩化済部分に対する画素値の
    書き換えを禁止する禁止手段を備えることを特徴とする
    画像有彩化装置。
  2. 【請求項2】 画像を構成する画素の画素値は、赤色成
    分Rxと、緑色成分Gxと、青色成分Bxとからなり、 請求項1記載の禁止手段は、 指定された閉領域に含まれる各画素の画素値の各成分が
    Rx≒Gx≒Bxの関係を満たしているが否かを判定する
    ことにより、無彩色のままの画素であるか、既に有彩化
    されている画素であるかを判定する無彩色判定部を備え
    ることを特徴とする画像有彩化装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の画像有彩化装置は更に、 カーソルの軌跡によって指定された閉領域内の画素値を
    1画素ずつ読み出す読出手段と、 所定の変換パラメータに基づいて、読み出された画素値
    を構成する各成分を増減し、出力する増減手段と、 増減手段によって出力された画素値を用いて、閉領域内
    部の画素値を書き換える書き換え手段とを備え、 禁止手段は、 増減手段による各成分に対する増減が開始されると、無
    彩色判定部を起動して無彩色のままの画素であるか、既
    に有彩化されている画素であるかの判定を開始させる起
    動部と、 無彩色判定部が既に有彩化済みであると判定すると、書
    き換え手段による書き換えを禁止する禁止部とを備える
    ことを特徴とする画像有彩化装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の何れかの画像有彩化
    装置は更に、 操作者による指示を仰ぎ、操作者による指示内容に応じ
    てモノクロ画素値とカラー画素値とからなる組み合わせ
    を何組か決定する決定手段と、 決定された組み合わせにおける全てのモノクロ画素値
    を、まとめてカラー画素値に変換する変換パラメータを
    算出する変換パラメータ算出手段とを備え、 増減手段は、 変換パラメータ算出手段によって算出された変換パラメ
    ータに基づいて閉領域内の画素値を構成する各成分を増
    減して出力することを特徴とする画像有彩化装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の画像有彩化装置は更に、 決定手段によって決定されたモノクロ画素値及びカラー
    画素値の組み合わせをA属性、B属性、C属性を含む色空
    間のモノクロ画素値(ASi、BSi、CSi)(i=0,1,2,3,
    4,5・・・n)、カラー画素値(ADi、BDi、CDi)(i=0,1,
    2,3,4,5・・・n)として記憶する画素値記憶手段を備え、 変換パラメータ算出手段は、 モノクロ画素値(ASi、BSi、CSi)(i=0,1,2,3,4,5・・
    ・n)と、カラー画素値(ADi、BDi、CDi)(i=0,1,2,3,
    4,5・・・n)との色空間における距離dij(i,j=0,1,2,3,4,5
    ・・・n)を計測し、距離dij(i,j=0,1,2,3,4,5・・・n)に応じ
    て単調減少する距離関数Lij(i,j=0,1,2,3,4,5・・・n)を
    算出する距離関数算出部と、 モノクロ画素値(ASi、BSi、CSi)(i=0,1,2,3,4,5・・
    ・n)から、カラー画素値(ADi、BDi、CDi)(i=0,1,2,
    3,4,5・・・n)までの変位量(AQi,BQi,CQi)(i=0,1,2,
    3,4,5・・・n)を算出する変位量算出部と、 距離関数Lij(i,j=0,1,2,3,4,5・・・n)と、変位量(AQi,
    BQi,CQi)(i=0,1,2,3,4,5・・・n)とから以下の{数1}
    の演算を行うことにより、変換パラメータPi(i=0,1,2,
    3,4,5・・・n)を算出する算出部とを備え、 増減手段は、 カーソルの軌跡によって指定された閉領域内のモノクロ
    画素の画素値(ASx、BSx、CSx)に対して以下の{数
    2}の演算を行うことにより、カラー画素値(ADx、B
    Dx、CDx)を得る演算部とを備えることを特徴とする
    画像有彩化装置 【数1】 【数2】 但しL(SX,Sk)Sk(k=0,1,2,3,4,5・・・n)は、 画素値Sxと画素値Skとの色空間における距離に応じ
    て、単調減少する距離関数であり、Pk(k=0,1,2,3,4,5・
    ・・n)は、 変換パラメータ算出手段によって算出された変換パラメ
    ータである
  6. 【請求項6】 請求項1〜3記載の何れかの画像有彩化
    装置は更に、 操作者による指示を仰ぎその指示内容に基づいて、モノ
    クロ画素値とカラー画素値とからなる組み合わせを何組
    か決定する決定手段と、 決定手段によってモノクロ画素値、カラー画素値の組み
    合わせが決定されると、決定されたモノクロ画素値にお
    ける各属性成分をX座標とし、それらの成分に対応する
    カラー画素の各属性成分をY座標として表現したXY座
    標を通過する補間直線或は補間曲線の補間式を算出する
    補間式算出手段とを備え、 増減手段は、 閉領域内部の画素値の各属性成分を、算出された補間直
    線或は補間曲線上に射影し、射影された曲線上の点のY
    座標をカラー画素値の成分として出力する射影部を備え
    ることを特徴とする画像有彩化装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3記載の何れかの画像有彩化
    装置は更に、 操作者による指示を仰ぎその指示内容に応じて、モノク
    ロ画素値とカラー画素値とからなる組み合わせを何組か
    決定する決定手段と、 決定手段によってモノクロ画素値、カラー画素値の組み
    合わせが決定されると、決定されたモノクロ画素値にお
    ける各属性成分をX座標とし、それらの成分に対応する
    カラー画素の各属性成分をY座標として表現したXY座
    標を通過する補間直線或は補間曲線の補間式を算出する
    補間式算出手段と、 補間式が算出されると、補間式算出手段によって算出さ
    れた補間式に、モノクロ画像に含まれ得る全てのモノク
    ロ画素値の各属性成分を与えて、算出された補間直線或
    は補間曲線上に射影し、射影された曲線上の点のY座標
    をカラー画素値の成分として出力する射影部と、 射影部に与えた全てのモノクロ画素値の各属性成分に対
    応づけて、射影部による射影で得られたカラー画素値の
    各属性成分を記憶するカラー画素値記憶手段とを備え、 増減手段は、 閉領域内部の画素値の各属性成分をキーにして、カラー
    画素値記憶手段の記憶内容を探索し、一致するモノクロ
    画素値の各属性成分に対応するカラー画素値の各属性成
    分を取り出して出力する取出部を備えることを特徴とす
    る画像有彩化装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の画像有彩化装置は更に、 色空間において操作者が指定した基準軸と、基準軸に対
    して半径方向を占める所定の幅とによって表現された範
    囲を、原画の画素値が分布し得る第1範囲として記憶す
    る分布範囲記憶手段と、 カーソルの軌跡によって指定された閉領域内の画素値の
    うち、色空間における各成分が第1範囲内に含まれる画
    素値を、記憶されている基準軸上に射影する射影手段と
    を備え、 取出部は、 射影された基準軸上の各成分をキーにして、カラー画素
    値記憶手段の記憶内容を探索し、一致するモノクロ画素
    値に対応するカラー画素値を取り出して出力することを
    特徴とする画像有彩化装置。
  9. 【請求項9】 請求項3〜5記載の何れかの画像有彩化
    装置は、 増減手段を迂回して、読出手段によって読み出された画
    素値をそのまま転送するバイパス経路を備え、 禁止手段は、 増減手段が書き換えた画素値、或はバイパス経路から転
    送された画素値の何れか一方を選択的に出力するスイッ
    チを有し、 禁止部は、 無彩色判定部が無彩色と判定した場合にスイッチを増減
    手段側に切り替え、有彩化済みと判定した場合にスイッ
    チをバイパス経路側に切り替えて、 書き換え手段は、 切り替え出力された画素値を用いて、閉領域内を書き換
    えることを特徴とする画像有彩化装置。
  10. 【請求項10】 請求項4〜8記載の何れかの画像有彩
    化装置はポインティングデバイスを接続するインターフ
    ェィスを有し、 決定手段は、 複数のモノクロ画素値及び/又はカラー画素値の色見本
    を表示する色見本表示部と、 色見本表示部によって表示された色見本に対するポイン
    ティングデバイスによる指定を検出することにより、操
    作者が望むモノクロ画素値、カラー画素値の組み合わせ
    を決定する決定部とを備えることを特徴とする画像有彩
    化装置
  11. 【請求項11】 請求項4〜8記載の何れかの画像有彩
    化装置はポインティングデバイスを接続するインターフ
    ェィスを有し、 モノクロ画像を表示するモノクロ画像表示部と、 モノクロ画像の画素に対するポインティングデバイスに
    よる指定を検出することにより、操作者が望むモノクロ
    画素値を検出する検出部と、 検出された全てのモノクロ画素値を一覧表示する一覧表
    示部と、 一覧表示されたモノクロ画素値に対する加減算量の入力
    を受け付けて、受け付けた加減算量分だけその画素値を
    加減算する加減算部とを備え、 決定手段は、 画素値が加減算された画素値をカラー画素値として検出
    されたモノクロ画素値に組み合わせることにより、モノ
    クロ画素値、カラー画素値の組み合わせを決定する決定
    部とを備えることを特徴とする画像有彩化装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000221957A (ja) * 1999-02-02 2000-08-11 Hitachi Medical Corp カラー表示方法
JP2002152496A (ja) * 2000-11-15 2002-05-24 Seiko Epson Corp 画像処理装置およびその方法、並びに、そのための記録媒体
JP2011259039A (ja) * 2010-06-04 2011-12-22 Hot Album Com Inc 画像処理方法

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