JPH09306929A - 化合物半導体装置 - Google Patents

化合物半導体装置

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JPH09306929A
JPH09306929A JP12205396A JP12205396A JPH09306929A JP H09306929 A JPH09306929 A JP H09306929A JP 12205396 A JP12205396 A JP 12205396A JP 12205396 A JP12205396 A JP 12205396A JP H09306929 A JPH09306929 A JP H09306929A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピエゾ電荷を、FET101を構成する基板
1のゲート電極5及びドレイン電極7間のG−D間部分
と、該基板の、ゲート電極5及びソース電極6間のG−
S間部分とにその大きさが異なるよう発生させることに
より、寄生容量の増大を招くことなく、ゲート長の短縮
による基板への漏れ電流の増大を抑えて、FETの特性
を向上する。 【解決手段】 化合物半導体MESFET101におい
て、基板1のG−D間部分及び基板のG−S間部分を、
これらの部分に生ずる応力が異なるよう絶縁膜11及び
10により被覆した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化合物半導体装置に
関し、特に、イオン注入型GaAs電界効果トランジス
タ(以下、FETと略記する。)に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来、最も良く用いられている
FETのLDD(Lightly Doped Drain)の断面構造
を示している。図において、201は従来のLDD構造
を有するショットキーゲート型FET(MESFET)
で、その半絶縁性基板1の主表面には、チャネル領域を
構成するn型不純物を含むN型動作層2が形成され、該
N型動作層2の両側には、ソース領域及びドレイン領域
を構成するN+層3が形成されている。このN+層3は、
ソース直列抵抗およびドレイン直列抵抗を低減させるた
めのn型不純物を高密度に含んでいる。
【0003】また、上記基板の主表面のN+層3とN型
動作層2との間には、該N+層3より浅いN’層4が形
成されている。このN’層4のn型不純物濃度はN+
3より低くかつ上記N型動作層2より高くなっている。
【0004】そして、上記基板1の表面上には、上記N
型動作層2に対向するよう、該基板との間にショットキ
ー接合を形成するゲート電極5が配置され、上記N+
3上には、オーミック性のソース電極6及びドレイン電
極7が配置されており、さらに、これらソース,ドレイ
ン電極6,7とゲート電極5との間には、基板表面を保
護するための絶縁膜9が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
構造のFET201では、応答速度を高速化するために
ゲート長を短くすると、半絶縁性基板に流れる漏れ電流
が増大し、ショートチャネル効果が顕著になるという問
題がある。
【0006】また、このような問題に対する対策を講じ
た改良型のFETがすでに考えられている。図5は、こ
の改良型のFETの断面構造を示している。図中、20
2は改良型FETで、図4と同一符号は上記FET20
1と同一のものを示す。このFET202では、上記N
+層3、N’層4、及びN型能動層2の下側にP型埋込
層8が埋め込まれており、該P型埋込層8と上記N型層
2,3,4との間にはPN接合が形成されている。
【0007】このような構造のFET202では、上記
PN接合による空乏層により基板漏れ電流が阻止される
こととなり、ゲート長の短縮による基板漏れ電流の増大
を防止することができる。
【0008】しかしながら、上記改良型のFET202
のようにP型埋込層8を用いた素子構造では、このP型
埋込層8とN+層3、 N’層4、N層2との界面部分に
PN接合による空乏層が形成されるため、寄生容量が増
加することとなり、FETの高周波特性が悪くなるとい
う問題点がある。
【0009】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたものであり、寄生容量の増大を招くことな
く、ゲート長の短縮による基板への漏れ電流の増大を抑
えることができ、FETの特性を向上することができる
化合物半導体装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明(請求項1)に
係る化合物半導体装置は、化合物半絶縁性基板と、該基
板表面の所定領域上に形成されたゲート電極と、該基板
表面の、該ゲート電極両側の領域に形成されたソース領
域及びドレイン領域と、該ソース領域及びドレイン領域
上に、該ゲート電極から所定距離離して設けられたソー
ス電極及びドレイン電極とを備えている。
【0011】そして、本化合物半導体装置は、該化合物
半絶縁性基板の表面領域における、該ゲート電極とドレ
イン電極との間に位置するG−D間部分と、該化合物半
絶縁性基板の表面領域における、該ゲート電極とソース
電極との間に位置するG−S間部分とには、互いに異な
る応力が発生するよう構成されている。そのことにより
上記目的が達成される。
【0012】この発明(請求項2)は、請求項1記載の
化合物半導体装置において、前記化合物半絶縁性基板の
G−D間部分を被覆するよう形成されたドレイン側絶縁
膜と、前記化合物半絶縁性基板のG−S間部分を被覆す
るよう形成されたソース側絶縁膜とを備え、該ドレイン
側絶縁膜とソース側絶縁膜とを、該G−D間部分とG−
S間部分とでは大きさの異なる応力が発生するよう、互
いに特性の異なったものとしたものである。
【0013】この発明(請求項3)は、請求項1記載の
化合物半導体装置において、前記化合物半絶縁性基板の
G−D間部分を被覆するよう形成されたドレイン側絶縁
膜と、前記化合物半絶縁性基板のG−S間部分を被覆す
るよう形成されたソース側絶縁膜とを備え、該ドレイン
側絶縁膜とソース側絶縁膜とを、該G−D間部分とG−
S間部分とでは大きさの異なる応力が発生するよう、互
いに膜厚の異なったものとしたものである。
【0014】この発明(請求項4)は、請求項2記載の
化合物半導体装置において、前記ゲート電極を、前記化
合物半絶縁性基板の(100)面上に、その長手方向が
該基板の[011]方向と平行になるよう形成し、前記
ソース側絶縁膜を、該基板の表面領域におけるG−S間
部分に引張応力を発生させるものとし、前記ドレイン側
絶縁膜を、該基板の表面領域におけるG−D間部分に、
該G−S間部分に比べて大きい引張応力を発生させるも
のとしたものである。
【0015】この発明(請求項5)は、請求項2記載の
化合物半導体装置において、前記ゲート電極を、前記化
合物半絶縁性基板の(100)面上に、その長手方向が
該基板の、下記式(1)に示す軸方位Bの方向と平行に
なるよう形成し、
【0016】
【数4】
【0017】前記ソース側絶縁膜を、該基板の表面領域
におけるG−S間部分に圧縮応力を発生させるものと
し、前記ドレイン側絶縁膜を、該基板の表面領域におけ
るG−D間部分に、該G−S間部分に比べて大きい圧縮
応力を発生させるものとしたものである。
【0018】この発明(請求項6)は、請求項2記載の
化合物半導体装置において、前記ゲート電極を、前記化
合物半絶縁性基板の(100)面上に、その長手方向が
該基板の[011]方向と平行になるよう形成し、前記
ソース側絶縁膜を、該基板の表面領域におけるG−S間
部分に圧縮応力を発生させるものとし、前記ドレイン側
絶縁膜を、該基板の表面領域におけるG−D間部分に引
張応力を発生させるものとしたものである。
【0019】この発明(請求項7)は、請求項2記載の
化合物半導体装置において、前記ゲート電極を、前記化
合物半絶縁性基板の(100)面上に、その長手方向が
該基板の、下記式(1)に示す軸方位Bの方向と平行に
なるよう形成し、
【0020】
【数5】
【0021】前記ソース側絶縁膜を、該基板の表面領域
におけるG−S間部分に引張応力を発生させるものと
し、前記ドレイン側絶縁膜を、該基板の表面領域におけ
るG−D間部分に圧縮応力を発生させるものとしたもの
である。
【0022】この発明(請求項8)は、請求項3記載の
化合物半導体装置において、前記ゲート電極を、前記化
合物半絶縁性基板の(100)面上に、その長手方向が
該基板の[011]方向と平行になるよう形成し、前記
ソース側絶縁膜を、該基板の表面領域におけるG−S間
部分に引張応力を発生させるものとし、前記ドレイン側
絶縁膜を、該基板の表面領域におけるG−D間部分に、
該G−S間部分に比べて大きい引張応力を発生させるよ
う、該ソース側絶縁膜より膜厚の厚いものとしたもので
ある。
【0023】この発明(請求項9)は、請求項3記載の
化合物半導体装置において、前記ゲート電極を、前記化
合物半絶縁性基板の(100)面上に、その長手方向が
該基板の、下記式(1)に示す軸方位Bの方向と平行に
なるよう形成し、
【0024】
【数6】
【0025】前記ソース側絶縁膜を、該基板の表面領域
におけるG−S間部分に圧縮応力を発生させるものと
し、前記ドレイン側絶縁膜を、該基板の表面領域におけ
るG−D間部分に、該G−S間部分に比べて大きい圧縮
応力を発生させるよう、該ソース側絶縁膜より膜厚の厚
いものとしたものである。
【0026】この発明(請求項10)は、請求項4,
6,7,8のいずれかに記載の化合物半導体装置におい
て、前記化合物半絶縁性基板をGaAs基板とし、該G
aAs基板に引張応力を発生させる絶縁膜を、窒化珪素
膜あるいは酸窒化珪素膜から構成したものである。
【0027】この発明(請求項11)は、請求項5,
6,7,9のいずれかに記載の化合物半導体装置におい
て、前記化合物半絶縁性基板をGaAs基板とし、該G
aAs基板に圧縮応力を発生させる絶縁膜を、酸化珪素
膜あるいは酸窒化珪素膜から構成したものである。
【0028】以下、本発明の作用について説明する。こ
の発明(請求項1)においては、化合物半絶縁性基板の
表面領域における、ゲート電極とドレイン電極との間に
位置するG−D間部分と、該化合物半絶縁性基板の表面
領域における、該ゲート電極とソース電極との間に位置
するG−S間部分とには、互いに異なる応力が発生する
ようにしたから、ピエゾ電荷により、基板表面のゲート
電極直下の部分での電界強度を効果的に弱めることが可
能となる。つまり、ピエゾ電荷を、上記基板のG−D間
部分と、該基板のG−S間部分とにその大きさが異なる
よう発生させることができる。これにより、ゲート長短
縮による基板への漏れ電流の増大を、チャネル領域及び
ソース,ドレイン領域の下側にこれらの領域との間でP
N接合を形成する半導体領域を形成することなく、抑制
することができる。
【0029】この発明(請求項2)においては、基板表
面のG−D間部分及びG−S間部分に特性の異なる絶縁
膜を形成して、これらの基板部分に大きさが異なる応力
が発生するようにしたので、ゲート長の短縮により高速
化され、しかも基板の漏れ電流を寄生容量の増大なく低
減した素子構造のFETを簡単に得ることができる。
【0030】この発明(請求項3)においては、基板表
面のG−D間部分及びG−S間部分に膜厚の異なる絶縁
膜を形成して、これらの基板部分に大きさが異なる応力
が発生するようにしたので、ゲート長の短縮により高速
化され、しかも基板の漏れ電流を寄生容量の増大なく低
減した素子構造のFETを、その形成プロセスにてG−
D間部分とG−S間部分とで絶縁膜の堆積時間を変える
だけで実現することができる。
【0031】この発明(請求項4,6,8)において
は、基板のG−D間部分に引張応力を発生させ、基板の
G−S間部分に、該G−D間部分に比べて小さい引張応
力、あるいは圧縮応力を発生させるようにしたので、ゲ
ート方位、つまりゲート電極の長手方向が化合物半絶縁
性基板の(100)面の[011]方向と平行なFET
を、ゲート長の短縮により高速化され、しかも基板の漏
れ電流を寄生容量の増大なく低減したものとできる。
【0032】この発明(請求項5,7,9)において
は、基板のG−D間部分に圧縮応力を発生させ、該基板
のG−S間部分に、該G−D間部分に比べて小さい圧縮
応力、あるいは引張応力を発生させるようにしたので、
ゲート方位、つまりゲート電極の長手方向が化合物半絶
縁性基板の(100)面の上記軸方位Bの方向と平行な
FETを、ゲート長の短縮により高速化され、しかも基
板の漏れ電流を寄生容量の増大なく低減したものとでき
る。
【0033】この発明(請求項10,11)において
は、GaAs基板に引張応力を発生させる絶縁膜、及び
GaAs基板に圧縮応力を発生させる絶縁膜として、酸
窒化珪素膜を用いるので、酸窒化珪素膜中のNとOの比
率を変えることにより、基板に発生する応力を引張性の
ものから圧縮性のものまで自由に制御できるばかりでな
く、応力が5×107dyn/cm2程度と非常に小さい
絶縁膜でも制御性よく形成できる。
【0034】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基本原理について
説明する。本発明では、化合物半絶縁性基板における、
FETのゲート電極とドレイン電極との間の部分(G−
D間部分)と、該基板における、FETのゲート電極と
ソース電極との間の部分(G−S間部分)とを、それぞ
れ膜厚あるいは特性の異なる絶縁膜で被覆することによ
り、該基板のG−D間部分とG−S間部分とに異なる応
力が発生するようにしている。
【0035】具体的には、FETのゲート方位がGaA
s基板の(100)面上の軸方位A([011])の方
向である場合は、つまりGaAs基板の(100)面上
にFETのゲート電極がその長手方向が[011]方向
(図9の矢印Aの方向)に平行となるよう形成されてい
る場合は、上記基板のG−D間部分には、そのG−S間
部分より大きな引張応力がかかるよう、引張応力の絶縁
膜(基板部分に引張応力を発生させる絶縁膜)を形成す
る。
【0036】また、FETのゲート方位(ゲート電極の
長手方向)がGaAs基板の(100)面上の、下記式
(1)に示す軸方位Bの方向(図9の矢印Bの方向)で
ある場合は、基板のG−D間部分に、そのG−S間部分
より大きな圧縮応力がかかるよう、圧縮応力の絶縁膜
(基板部分に圧縮応力を発生させる絶縁膜)を形成す
る。
【0037】
【数7】
【0038】これにより本発明では、基板のG−S間部
分およびG−D間部分に全く応力がかかってない場合に
比べて、FET動作時のドレイン電流はあまり低減させ
ることなく、FET遮断時の基板漏れ電流を低減するこ
とができる。
【0039】以下、詳述すると、絶縁膜の応力とGaA
s FETの特性との関係については、先行技術文献
(“Piezo Effect in GaAs FET's and Thei
r Role in Orientation‐Dependent Device Chara
cteristics", Peter M. Asbeck, IEEE TRANSACTIONS
ON ELECTRON DEVICE, VOL. ED‐31,No.10,1984)に記
載されている。
【0040】ここでは、第1には、上記G−D間部分及
びG−S間部分を、両者がゲート電極に対して全く対称
な構造となるよう絶縁膜で被覆した場合における、絶縁
膜によって基板部分に生ずる応力とGaAs FETの
特性との関係について開示されており、第2には、絶縁
膜によってGaAs基板内に生ずる応力の極性、該応力
によって発生するピエゾ電荷の極性、FET特性、およ
びGaAs基板方位のそれぞれの関連について開示され
ている。
【0041】上記第2の開示内容に関してさらに詳しく
説明する。
【0042】(A)その表面を絶縁膜で覆ったGaAs
FETでは、GaAsが異方性結晶であるため、Ga
As基板の(100)面上でのゲート方位が[011]
方向である場合と、該ゲート方位が軸方位B(上記式
(1)に示す方位)の方向である場合とで、応力によっ
て基板内に発生するピエゾ電荷の極性がそれぞれ逆にな
る。
【0043】(B)ゲート方位が軸方位A([01
1])であるFETを、引張応力の絶縁膜により被覆し
た場合と、ゲート方位が軸方位B(上記式(1)に示す
方位)であるFETを、圧縮応力の絶縁膜により被覆し
た場合とでは、応力がFETにおよぼす作用は全く同じ
である。つまりFETの閾値電圧,飽和電流について
は、上記両者の場合では同じになる。
【0044】(C)一方、ゲート方位が軸方位A([0
11])であるFETを、圧縮応力の絶縁膜により被覆
した場合と、ゲート方位が軸方位B(上記式(1)に示
す方位)であるFETを、引張応力の絶縁膜により被覆
した場合とでは、応力がFETにおよぼす作用は全く同
じである。つまりFETの閾値電圧,飽和電流について
は、上記両者の場合では同じになる。
【0045】以上(A)〜(C)で説明した内容が上記
文献にて述べられている。
【0046】そして、本件発明者は、上記ピエゾ電荷の
漏れ電流への影響に着目し、ピエゾ電荷と漏れ電流との
関係について検討し、以下の結果を得た。
【0047】基板のG−D間部分及びG−S間部分を被
覆する絶縁膜について、それぞれの膜厚や応力をゲート
電極に対して非対称となる構造とした場合でも、ゲート
方位が[011]であるFETにおける引張応力の絶縁
膜の作用と、ゲート方位が上記軸方位BであるFETに
おける圧縮応力の絶縁膜の作用とは全く同じであり、ま
た、ゲート方位が[011]であるFETにおける圧縮
応力の絶縁膜の作用と、ゲート方位が上記軸方位Bであ
るFETにおける引張応力の絶縁膜の作用とは全く同じ
であることが判った。
【0048】以下、ゲート方位が[011]のFETに
おける引張応力の絶縁膜と、ゲート方位が上記軸方位B
のFETにおける圧縮応力の絶縁膜を総称して、−ピエ
ゾ膜という。また、ゲート方位が[011]のFETに
おける圧縮応力の絶縁膜と、ゲート方位が上記軸方位B
のFETにおける引張応力の絶縁膜を総称して、+ピエ
ゾ膜という。
【0049】
【表1】
【0050】上記の表1には、FETのG−D間部分及
びG−S間部分とをこれらがゲート電極に対して非対称
な構造となるよう絶縁膜で覆った場合の、絶縁膜とFE
T特性の関係の検討結果の一例を示している。具体的に
は、この表1には、エンハンスメントモードFETにお
ける動作時(Vg=0.6V)のドレイン電流(オン電
流)、遮断時(Vg=0V)の基板漏れ電流(オフ電
流)、及びオンオフ比(オン電流/オフ電流)を示して
いる。
【0051】ここでは、G−S間部分あるいはG−D間
部分の絶縁膜をいろいろ変えた場合の上記オン電流,オ
フ電流,及びオンオフ比を比較して示している。また、
絶縁膜なしというのは、基板にかかる応力が0というこ
とに等しい。なお、絶縁膜の膜厚は10000オングス
トローム、+ピエゾ膜及び−ピエゾ膜の応力の絶対値は
1×109dyn/cm2である。
【0052】この表1から分かるように、G−D間部分
のみを−ピエゾ膜で被覆したFETでは、オン電流は、
G−S間部分およびG−D間部分を絶縁膜で覆っていな
いFETのオン電流とあまり変わらないのに対して、オ
フ電流は、G−S間部分およびG−D間部分を絶縁膜で
覆っていない場合のFETのオフ電流に比べて激減し、
オンオフ比が最も大きくなっている。つまり、本件発明
者は、G−D間部分のみを−ピエゾ膜で覆った場合に漏
れ電流が最も少なくなることを見いだした。
【0053】また、図6(a)は、G−D間部分のみを
−ピエゾ膜で被覆したFETにおける、動作時(Vg=
0.6V)のドレイン電流Ids(オン電流)、及び遮断
時(Vg=0V)の基板漏れ電流Ids(オフ電流)の絶
縁膜厚依存性を示し、図6(b)は、G−D間部分のみ
を−ピエゾ膜で被覆した場合におけるオンオフ比の絶縁
膜厚依存性を示している。なお、図6(a)及び図6
(b)では、比較のためにG−S間部分およびG−D間
部分の両側を−ピエゾ膜で被覆したFET(上記先行技
術文献に記載のもの)における、上記オン電流,オフ電
流,及びオンオフ比の絶縁膜厚依存性も載せてある。
【0054】上記図6(a)では、白抜きの△印を結ぶ
線、及び黒塗りの△印を結ぶ線は、G−D間部分のみを
−ピエゾ膜で被覆したFETにおけるオン電流(Io
n),及びオフ電流(Ioff)の絶縁膜厚依存性を示し、
白抜きの○印を結ぶ線、及び黒塗りの○印を結ぶ線は、
G−D間部分及びG−S間部分を−ピエゾ膜で被覆した
FETにおけるオン電流(Ion),及びオフ電流(Iof
f)の絶縁膜厚依存性を示している。さらに、上記図6
(b)では、黒塗りの△印を結ぶ線、及び黒塗りの△印
を結ぶ線は、それぞれG−D間部分のみを−ピエゾ膜で
被覆したFET、及びG−D間部分及びG−S間部分を
−ピエゾ膜で被覆したFETにおけるオンオフ比(Ion
/Ioff)の絶縁膜厚依存性を示している。
【0055】図6に示すように、絶縁膜が厚いほどGa
As基板に大きな応力がかかるため、オンオフ比が大き
くなるが、G−D間部分のみを−ピエゾ膜で被覆したF
ETでは、G−D間部分及びG−S間部分の両方を−ピ
エゾ膜で被覆したFETに比べて、オンオフ比増大の比
率ははるかに大きい。上記GaAs基板にかかる応力
は、絶縁膜の単位厚さでの応力と膜厚との積で決まるた
め、絶縁膜厚を一定にして絶縁膜の特性をこれにより基
板に発生する応力が大きくなるよう調整しても、基板に
対する作用は同じである。
【0056】このようなことから、本件発明者は、絶縁
膜の膜厚を変化させることと、膜厚を一定にして絶縁膜
そのものの応力特性を変化させることとは同じ作用があ
ることを見いだした。
【0057】次に、このような基板で発生する応力によ
りオンオフ比が変化する原因について説明する。
【0058】図7(a)は、絶縁膜なしのFETにおけ
る遮断時(ゲート電圧Vg=0V)のゲート直下の電界
強度分布、図7(b)は、G−D間部分のみを厚さ10
000オングストロームの−ピエゾ膜で被覆したFET
における遮断時(ゲート電圧Vg=0V)のゲート直下
の電界強度分布を示している。図8(a)は、絶縁膜な
しのFETにおける動作時(ゲート電圧Vg=0.6
V)のゲート直下の電界強度分布、図8(b)は、G−
D間部分のみを厚さ10000オングストロームの−ピ
エゾ膜で被覆したFETにおける動作時(ゲート電圧V
g=0.6V)のゲート直下の電界強度分布を示してい
る。ここでは、ドレイン印加電圧VdはVd=3Vと
し、ソース印加電圧VsはVs=0Vとしている。
【0059】図7に示すように、FET遮断時の場合、
G−D間部分のみを−ピエゾ膜で被覆しているFET
は、−ピエゾ膜で被覆していないFETに比べて、ゲー
ト直下の半絶縁基板部分の電界強度が弱められている。
その結果、半絶縁性基板に流れる漏れ電流が低減するも
のと考える。
【0060】一方、図8に示すように、FET動作時の
場合、G−D間部分のみを−ピエゾ膜で被覆しているF
ETの動作層付近の電界強度は、該−ピエゾ膜で被覆し
ていないFETのものと比べて著しい違いは見られな
い。したがって、FET動作状態では、動作層を流れる
電流はあまり変わらない。
【0061】以下、本発明の実施形態について説明す
る。
【0062】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1によるLDD構造を有するFETの断面構造を示す図
であり、図において、101は、本実施形態1のFET
であり、図4と同一符号は従来のLDD構造のFET2
01と同一のものを示している。
【0063】そして、この実施形態1のFET101で
は、基板表面の、ゲート電極5とソース電極6との間の
領域(G−S間部分)、及び基板表面の、ゲート電極5
とドレイン電極7との間の領域(G−D間部分)には、
これらの領域にかかる応力が異なったものとなるよう、
構成材料,特性,層厚等の異なるG−S間絶縁膜10、
及びG−D間絶縁膜11が形成されている。
【0064】ここで、上記各絶縁膜10,11として
は、窒化珪素膜(SiNx)及び酸化珪素膜(SiO
x)を用いることができる。上記窒化珪素膜(SiN
x)は、GaAs基板に引張応力を発生させるもの、酸
化珪素膜(SiOx)はGaAs基板に対して圧縮応力
を発生させるものであり、また、これらの応力の大きさ
は、それぞれの絶縁膜の堆積条件により1×108〜5
×109dyn/cm2の範囲内で自由に設定することが
できる。
【0065】下記の表2は、上記表1に示す測定結果に
基づいて、ゲート方位が[011]であるFET、及び
ゲート方位が上記軸方位BであるFETに対して、G−
S間絶縁膜10及びG−D間絶縁膜11として用いられ
る絶縁膜の種類,層厚,特性(応力の大きさ)の有効な
組み合わせを示している。
【0066】
【表2】
【0067】この表2では、基板に発生させる応力が小
さいSiNX膜及びSiOX膜を、それぞれSiNX(応
力小),SiOX(応力小)とし、基板に発生させる応
力が大きいSiNX膜及びSiOX膜をSiNX(応力
大),SiOX(応力大)として示しており、SiN
X(応力小)は、SiNX(応力大)に比べて、上記Ga
As基板に発生させる引張応力が小さいものであり、
SiOX(応力小)は、 SiOX(応力大)に比べて、
上記GaAs基板に発生させる圧縮応力が小さいもので
ある。
【0068】また、表2では、層厚が薄いSiNX膜,
SiOX膜をそれぞれSiNX(薄),SiOX(薄)と
し、層厚が厚いSiNX膜,SiOX膜をそれぞれSiN
X(厚),SiOX(厚)として示しており、SiN
X(薄)は、SiNX(厚)に比べて、その層厚が薄く、
上記GaAs基板に発生させる引張応力が小さいもので
あり、 SiOX(薄)は、 SiOX(厚)に比べて、そ
の層厚が薄く、上記GaAs基板に発生させる圧縮応力
が小さいものである。
【0069】次に上記G−S間絶縁膜及びG−D間絶縁
膜の作成プロセスについて簡単に説明する。
【0070】まず、GaAs基板1上にN型能動層2,
+層3及びN’層4を形成し、さらにゲート電極5,
ソース電極6及びドレイン電極7を形成した後、G−D
間絶縁膜11の構成材料をFETの全面に堆積し、その
ゲート電極5及びドレイン電極7間の部分を例えばレジ
スト膜で覆い、そのレジスト膜で覆った部分以外の領域
をエッチングする。これにより上記G−D間絶縁膜11
を形成する。
【0071】次に,G−S間絶縁膜10の構成材料を全
面に堆積し、そのゲート電極5,ソース電極6間の部分
を例えばレジストで覆い、そのレジスト膜で覆った部分
以外の領域をエッチングして、G−S間絶縁膜10を形
成する。
【0072】次に作用効果について説明する。通常、F
ETはソース電極6を接地(Vs=0V)し、ドレイン
電極7には正電圧(Vd=3V)を印加して動作させ
る。
【0073】上記表2に示すゲート方位[011]のF
ETにおける、G−S間絶縁膜及びG−D間絶縁膜の組
み合わせでは、いずれの組み合わせの場合も、基板表面
のG−D間部分に引張応力を発生させる絶縁膜(SiN
X膜)が存在し、かつ基板表面のG−S間部分には、上
記G−D間部分の絶縁膜に比べて相対的に引張応力が小
さい絶縁膜が存在するものとなっている。従って、上記
表1の測定結果に示すように、基板の漏れ電流を小さく
抑えることができる。
【0074】また、上記表2に示すゲート方位が上記軸
方位BのFETにおけるG−S間絶縁膜及びG−D間絶
縁膜の組み合わせでは、いずれの組み合わせの場合も、
基板表面のG−D間部分に圧縮応力を発生させる絶縁膜
(SiOX膜)が存在し、かつ基板表面のG−S間部分
には、上記G−D間部分の絶縁膜に比べて相対的に圧縮
応力が小さい絶縁膜が存在するものとなっている。従っ
て、上記表1の測定結果に示すように、基板の漏れ電流
を小さく抑えることができる。
【0075】また、G−S間絶縁膜及びG−D間絶縁膜
に同一材料の絶縁膜を用いた場合には、SiNX(応力
小),SiOX(応力小)の応力の大きさを1〜5×1
8dyn/cm2の範囲に設定し、かつSiNX(応カ
大),SiOX(応力大)の応力の大きさを1〜5×1
9dyn/cm2の範囲に設定することにより、LDD
構造のFETにおけるショートチャネル効果を良好に抑
制することができた。
【0076】また、G−S間絶縁膜及びG−D間絶縁膜
に同一材料の絶縁膜を用いた場合には、SiN
X(薄),SiOX(薄)の膜厚を0〜2000オングス
トロームの範囲に設定し、SiNX(厚),SiO
X(厚)の膜厚を5000〜10000オングストロー
ムの範囲に設定することにより、上記と同様、LDD構
造のFETにおけるショートチャネル効果を良好に抑制
することができた。
【0077】さらに、G−S間絶縁膜とG−D間絶縁膜
とに異なる材料の絶縁膜、つまりSiNX膜及びSiOX
膜を用いた場合には、その膜厚を5000〜10000
オングストロームの範囲に、その応力を1〜5×109
dyn/cm2の範囲に設定することにより、上記と同
様、LDD構造のFETにおけるショートチャネル効果
を良好に抑制することができた。
【0078】例えば、FETのオン電流は43.9mA
(Vg=0.6V)、オフ電流は0.00568mA
(Vg=0V)となり、基板漏れ電流を抑えることがで
きた。
【0079】なお、上記実施形態1では、G−S間絶縁
膜とG−D間絶縁膜の構成材料としてSiNX及びSi
Xを用いたが、これらの絶縁膜の構成材料としては、
酸窒化珪素膜(SiOXY)を用いてもよい。この場
合、SiOXY膜中のNとOの比率を変えることによ
り、基板に発生する応力を引張性のものから圧縮性のも
のまで自由に制御できるばかりでなく、応力が5×10
7dyn/cm2程度と非常に小さい絶縁膜でも制御性よ
く形成できる。従って、上記実施形態1で用いたSiN
X膜およびSiOX膜を、それぞれに対応する応力を有す
る、引張性のSiOXY膜と圧縮性のSiOXY膜とに
そのまま置き換えることができる。
【0080】(実施形態2)図2は、本発明の実施形態
2によるLDD構造を有するFETの断面構造を示す図
であり、図において、102は、本実施形態2のFET
であり、図4と同一符号は従来のLDD構造のFET2
01と同一のものを示している。
【0081】そして、この実施形態2のFET102で
は、ゲート方位が[011]方向となっており、図2に
示すGaAs基板の断面の面方位は、下記式(2)に示
す面方位Cとなっている。
【0082】
【数8】
【0083】また、基板表面の、ゲート電極5とドレイ
ン電極7との間の領域には、厚さ5000〜10000
オングストロームのSiNx膜12が形成されている。
また、基板表面の、ゲート電極5とソース電極6との間
の領域,ゲート電極5,及び上記SiNX膜12上に
は、該SiNX膜12に比べて、基板に発生させる応力
の小さい、厚さ1000〜5000オングストロームの
SiNX膜13が形成されている。
【0084】次に上記G−S間絶縁膜及びG−D間絶縁
膜の作成プロセスについて簡単に説明する。
【0085】まず、GaAs基板1上にN型能動層2,
+層3及びN’層4を形成し、さらにゲート電極5,
ソース電極6及びドレイン電極7を形成した後、ゲート
電極とドレイン電極との間に、例えば、基板に生ずる引
張応力が1〜5×109dyn/cm2程度となるようS
iNX膜12を5000〜10000オングストローム
の厚さに形成する。これは、例えば、FETの全面にS
iNX膜を堆積し、その後、該SiNX膜のG−D間部分
を例えばレジスト膜で覆い、該SiNX膜の、レジスト
膜で覆った部分以外の領域をエッチングすることにより
形成する。
【0086】次に、例えば基板に生ずる引張応力が1〜
5×108dyn/cm2程度となるようSiNX膜13
を全面に1000〜5000オングストロームの厚さに
堆積する。ここで、SiNX膜13の代わりに、SiOX
膜を、基板に生ずる圧縮応力が1〜5×108dyn/
cm2程度となるよう所定の厚さに形成してもよい。
【0087】そして最後に、ソース電極およびドレイン
電極上の絶縁膜をレジストマスク等を用いてエッチング
により取り除く。これにより上記絶縁膜13を形成す
る。
【0088】このような構成の実施形態2のFET10
2では、基板表面のG−D間部分に引張応力を発生させ
る絶縁膜(SiNX膜)が存在し、かつ基板表面のG−
S間部分には、上記G−D間部分の絶縁膜(−ピエゾ
膜)に比べて相対的に引張応力が小さい絶縁膜が存在す
るものとなっている。従って、上記表1の測定結果に示
すように基板の漏れ電流を小さく抑えることができ、し
かも寄生容量の増大を招くこともない。
【0089】(実施形態3)図3は、本発明の実施形態
3によるLDD構造を有するFETの断面構造を示す図
であり、図において、103は、本実施形態3のFET
であり、図4と同一符号は従来のLDD構造のFET2
01と同一のものを示している。
【0090】そして、この実施形態3のFET103で
は、ゲート方位が上記式(1)に示す軸方位Bの方向と
なっており、図3に示すGaAs基板の断面の面方位
は、下記式(3)に示す面方位Dとなっている。
【0091】
【数9】
【0092】また、基板表面の、ゲート電極5とドレイ
ン電極7との間の領域には、厚さ5000〜10000
オングストロームのSiOX膜(G−D間絶縁膜)14
が形成されている。また、基板表面の、ゲート電極5と
ソース電極6との間の領域,ゲート電極5,及び上記S
iOX膜14の上には、該SiOX膜14に比べて基板に
発生させる応力の小さい、厚さ1000〜5000オン
グストロームのSiOX膜(G−S間絶縁膜)15が形
成されている。
【0093】次に、上記G−S間絶縁膜及びG−D間絶
縁膜の作成プロセスについて簡単に説明する。
【0094】まず、GaAs基板1上にN型能動層2,
+層3及びN’層4を形成し、さらにゲート電極5,
ソース電極6及びドレイン電極7を形成した後、ゲート
電極とドレイン電極との間に、例えばSiOX膜14
を、基板に発生する圧縮応力が1〜5×109dyn/
cm2程度となるよう5000〜10000オングスト
ロームの厚さに形成する。これは、例えば、FETの全
面にSiOX膜を堆積し、その後、該SiOX膜のG−D
間部分をレジスト膜で覆い、該SiOX膜の、レジスト
膜で覆った部分以外の領域をエッチングすることにより
形成する。
【0095】次に、例えばSiOX膜15を、基板に発
生する圧縮応力が1〜5×108dyn/cm2程度とな
るよう全面に1000〜5000オングストロームの厚
さに堆積する。ここで、SiOX膜15の代わりに、S
iNX膜を、基板に発生する圧縮応力が1〜5×108
yn/cm2程度となるよう所定の厚さに形成してもよ
い。
【0096】そして最後に、ソース電極およびドレイン
電極上の絶縁膜をレジストマスク等を用いてエッチング
により取り除く。これにより上記絶縁膜15を形成す
る。
【0097】このような構成の実施形態3のFET10
3では、基板表面のG−D間部分にに圧縮応力を発生さ
せる絶縁膜(SiOX膜)が存在し、かつ基板表面のG
−S間部分には、上記G−D間部分の絶縁膜(−ピエゾ
膜)に比べて相対的に圧縮応力が小さい絶縁膜が存在す
るものとなっている。従って、上記表1の測定結果に示
すように、基板の漏れ電流を小さく抑えることができ、
しかも寄生容量の増大を招くこともない。
【0098】
【発明の効果】以上のようにこの発明(請求項1)に係
る化合物半導体装置によれば、ゲート電極とドレイン電
極との間に位置するG−D間部分と、該ゲート電極とソ
ース電極との間に位置するG−S間部分とでは、互いに
異なる応力が発生するようにしたので、寄生容量の増大
を招くことなく、ゲート長の短縮による基板への漏れ電
流の増大を抑えて、FETの特性を向上することができ
る効果がある。
【0099】この発明(請求項2)によれば、基板表面
のG−D間部分及びG−S間部分に、互いに特性の異な
る絶縁膜を形成して、これらの基板部分に大きさが異な
る応力が発生するようにしたので、ゲート長の短縮によ
り高速化され、しかも基板の漏れ電流を寄生容量の増大
なく低減した素子構造のFETを簡単に得ることができ
る。
【0100】この発明(請求項3)によれば、基板表面
のG−D間部分及びG−S間部分に、互いに膜厚の異な
る絶縁膜を形成して、これらの基板部分に大きさが異な
る応力が発生するようにしたので、ゲート長の短縮によ
り高速化され、しかも基板の漏れ電流を寄生容量の増大
なく低減した素子構造のFETを、その形成プロセスに
てG−D間部分とG−S間部分とで絶縁膜の堆積時間を
変えるだけで簡単に実現することができる。
【0101】この発明(請求項4,6,8)によれば、
基板のG−D間部分に引張応力を発生させ、基板のG−
S間部分に、該G−D間部分に比べて小さい引張応力、
あるいは圧縮応力を発生させるようにしたので、ゲート
方位が化合物半絶縁性基板の[011]方向と平行なF
ETを、ゲート長の短縮により高速化され、しかも基板
の漏れ電流を寄生容量の増大なく低減したものとでき
る。
【0102】この発明(請求項5,7,9)によれば、
基板のG−D間部分に圧縮応力を発生させ、該基板のG
−S間部分に、該G−D間部分に比べて小さい圧縮応
力、あるいは引張応力を発生させるようにしたので、ゲ
ート方位が化合物半絶縁性基板の、上記式(1)に示す
軸方位Bの方向と平行なFETを、ゲート長の短縮によ
り高速化され、しかも基板の漏れ電流を寄生容量の増大
なく低減したものとできる。
【0103】この発明(請求項10,11)によれば、
GaAs基板に引張応力を発生させる絶縁膜、及びGa
As基板に圧縮応力を発生させる絶縁膜として、酸窒化
珪素膜を用いるので、酸窒化珪素膜中のNとOの比率を
変えることにより、基板に発生する応力を引張性のもの
から圧縮性のものまで自由に制御でき、しかも応力が5
×107dyn/cm2程度と非常に小さい絶縁膜でも制
御性よく形成できる効果がある。
【0104】このように本発明によれば、PN接合を用
いずにショートチャネル効果が抑制できるため、FET
の特性を大きく向上させることができるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1によるLDD構造のFET
の断面構造を示す図である。
【図2】本発明の実施形態2によるLDD構造のFET
の断面構造を示す図である。
【図3】本発明の実施形態3によるLDD構造のFET
の断面構造を示す図である。
【図4】従来のLDD構造のFETの断面構造を示す図
である。
【図5】従来の改良型のLDD構造のFETの断面構造
を示す図である。
【図6】図6(a)は、基板のG−D間部分のみを−ピ
エゾ膜で被覆した場合における、動作時(Vg=0.6
V)のドレイン電流(オン電流)、及び遮断時(Vg=
0V)の基板漏れ電流(オフ電流)の絶縁膜厚依存性を
示し、図6(b)は、基板のG−D間部分のみを−ピエ
ゾ膜で被覆した場合におけるオンオフ比の絶縁膜厚依存
性を示している。
【図7】図7(a)は、基板のG−D間部分及びG−S
間部分に応力がかかっていない絶縁膜なしのFETにお
ける遮断時のゲート直下の電界強度分布を示す図、図7
(b)は、基板のG−D間部分のみを−ピエゾ膜で被覆
したFETにおける遮断時のゲート直下の電界強度分布
を示す図である。
【図8】図8(a)は、基板のG−D間部分及びG−S
間部分に応力がかかっていない絶縁膜なしのFETにお
ける動作時のゲート直下の電界強度分布を示す図、図8
(b)は、基板のG−D間部分のみを−ピエゾ膜で被覆
したFETにおける動作時のゲート直下の電界強度分布
を示す図である。
【図9】本発明に係る化合物半導体装置(FET)のゲ
ート方位を説明するための図であり、GaAs基板の
(100)面上での結晶方位を示している。
【符号の説明】
1 半絶縁性GaAs基板 2 N型動作層 3 N+層 4 N’層 5 ゲート電極 6 ソース電極 7 ドレイン電極 10 G−S間絶縁膜 11 G−D間絶縁膜 12,13 SiNx膜 14,15 SiOx膜 101,102,103 FET

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化合物半絶縁性基板と、 該基板表面の所定領域上に形成されたゲート電極と、 該基板表面の、該ゲート電極両側の領域に形成されたソ
    ース領域及びドレイン領域と、 該ソース領域及びドレイン領域上に、該ゲート電極から
    所定距離離して設けられたソース電極及びドレイン電極
    とを備え、 該化合物半絶縁性基板の表面領域における、該ゲート電
    極とドレイン電極との間に位置するG−D間部分と、該
    化合物半絶縁性基板の表面領域における、該ゲート電極
    とソース電極との間に位置するG−S間部分とには、互
    いに異なる応力が発生するよう構成した化合物半導体装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の化合物半導体装置におい
    て、 前記化合物半絶縁性基板のG−D間部分を被覆するよう
    形成されたドレイン側絶縁膜と、 前記化合物半絶縁性基板のG−S間部分を被覆するよう
    形成されたソース側絶縁膜とを備え、 該ドレイン側絶縁膜とソース側絶縁膜とは、該G−D間
    部分とG−S間部分とでは大きさの異なる応力が発生す
    るよう、互いに特性の異なったものとなっている化合物
    半導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の化合物半導体装置におい
    て、 前記化合物半絶縁性基板のG−D間部分を被覆するよう
    形成されたドレイン側絶縁膜と、 前記化合物半絶縁性基板のG−S間部分を被覆するよう
    形成されたソース側絶縁膜とを備え、 該ドレイン側絶縁膜とソース側絶縁膜とは、該G−D間
    部分とG−S間部分とでは大きさの異なる応力が発生す
    るよう、互いに膜厚の異なったものとなっている化合物
    半導体装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の化合物半導体装置におい
    て、 前記ゲート電極は、前記化合物半絶縁性基板の(10
    0)面上に、その長手方向が該基板の[011]方向と
    平行になるよう形成されており、 前記ソース側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG−
    S間部分に引張応力を発生させるものであり、 前記ドレイン側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG
    −D間部分に、該G−S間部分に比べて大きい引張応力
    を発生させるものである化合物半導体装置。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の化合物半導体装置におい
    て、 前記ゲート電極は、前記化合物半絶縁性基板の(10
    0)面上に、その長手方向が該基板の、下記式(1)に
    示す軸方位Bの方向と平行になるよう形成されており、 【数1】 前記ソース側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG−
    S間部分に圧縮応力を発生させるものであり、 前記ドレイン側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG
    −D間部分に、該G−S間部分に比べて大きい圧縮応力
    を発生させるものである化合物半導体装置。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の化合物半導体装置におい
    て、 前記ゲート電極は、前記化合物半絶縁性基板の(10
    0)面上に、その長手方向が該基板の[011]方向と
    平行になるよう形成されており、 前記ソース側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG−
    S間部分に圧縮応力を発生させるものであり、 前記ドレイン側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG
    −D間部分に引張応力を発生させるものである化合物半
    導体装置。
  7. 【請求項7】 請求項2記載の化合物半導体装置におい
    て、 前記ゲート電極は、前記化合物半絶縁性基板の(10
    0)面上に、その長手方向が該基板の、下記式(1)に
    示す軸方位Bの方向と平行になるよう形成されており、 【数2】 前記ソース側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG−
    S間部分に引張応力を発生させるものであり、 前記ドレイン側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG
    −D間部分に圧縮応力を発生させるものである化合物半
    導体装置。
  8. 【請求項8】 請求項3記載の化合物半導体装置におい
    て、 前記ゲート電極は、前記化合物半絶縁性基板の(10
    0)面上に、その長手方向が該基板の[011]方向と
    平行になるよう形成されており、 前記ソース側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG−
    S間部分に引張応力を発生させるものであり、 前記ドレイン側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG
    −D間部分に、該G−S間部分に比べて大きい引張応力
    を発生させるよう、該ソース側絶縁膜より膜厚の厚いも
    のとなっている化合物半導体装置。
  9. 【請求項9】 請求項3記載の化合物半導体装置におい
    て、 前記ゲート電極は、前記化合物半絶縁性基板の(10
    0)面上に、その長手方向が該基板の、下記式(1)に
    示す軸方位Bの方向と平行になるよう形成されており、 【数3】 前記ソース側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG−
    S間部分に圧縮応力を発生させるものであり、 前記ドレイン側絶縁膜は、該基板の表面領域におけるG
    −D間部分に、該G−S間部分に比べて大きい圧縮応力
    を発生させるよう、該ソース側絶縁膜より膜厚の厚いも
    のとなっている化合物半導体装置。
  10. 【請求項10】 請求項4,6,7,8のいずれかに記
    載の化合物半導体装置において、 前記化合物半絶縁性基板はGaAs基板であり、 該GaAs基板に引張応力を発生させる絶縁膜は、窒化
    珪素膜あるいは酸窒化珪素膜から構成されている化合物
    半導体装置。
  11. 【請求項11】 請求項5,6,7,9のいずれかに記
    載の化合物半導体装置において、 前記化合物半絶縁性基板はGaAs基板であり、 該GaAs基板に圧縮応力を発生させる絶縁膜は、酸化
    珪素膜あるいは酸窒化珪素膜から構成されている化合物
    半導体装置。
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