JPH09306447A - 電池パック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数個の電池からなる電池列が複数個並び、
その電池列間に仕切板を配置して全体を容器内に収納し
た電池パックにおいて、放電時等での電池の熱こもりを
解消して発熱による電池の性能劣化を防止するととも
に、耐衝撃性や電池列および電池相互間の電気的絶縁性
に優れたコンパクトな電池パックを提供する。 【解決手段】 円筒型電池２からなる複数列の電池列２
ａ間に、この列に沿って表裏両面に円弧状の波形凹部１
ａを交互に設けた波板形状の仕切板１を位置させ、その
波形凹部のそれぞれには、円筒型電池２がその長さ方向
に沿って周面の一部が密着した状態で容器内に収納され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電池パックに関するも
のであり、電動補助付自転車や電動車いすなどの電源と
して用いるもので、複数個の電池からなる電池列が複数
列並び、その電池列間に仕切板が位置し、これら全体を
容器内に収納した電池パックの改良に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、電動補助付自転車や電動車いすな
どの身近で使用頻度の高い製品が普及してきており、こ
れらの電源として複数個の二次電池を接続した電池パッ
クが使用されている。

【０００３】従来、このような電池パックは、図４に示
すような複数個の円筒型電池２がその径方向に一直線状
に並んだ電池列を複数列用意し、それぞれの電池列を各
電池が俵積み状態となるよう直接交互に配置する構成を
取っていたが、各電池列間および列を構成する電池相互
間の電気絶縁が不十分であった。そのため、電池パック
として電池列方向の寸法は俵積みによりコンパクトにで
きる反面、電池相互が直に接触し、電池間の接続リード
片も電池端子部に接近して位置するため、衝撃等で電池
間の短絡が生じ易い。また多数の電池が密集した状態で
あるため特に中央部の電池は、大電流放電時に温度上昇
し易く、電池特性を劣化させることがあった。

【０００４】このような電池列間の電気絶縁性の不十分
さを解決するため、図５に示すよう電池列間に電気絶縁
性の平板１１を配置する対策が取られていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この構成では、平板１
１により各電池列間の電気的絶縁は確保でき、異なった
列間での電池相互の短絡は防止できるが、一つの電池列
を構成する各電池の固定と電気的絶縁は十分でなく、振
動や衝撃により一つの電池列間を構成する電池相互間で
の断線や短絡等の問題があった。また平板１１を電池列
間に配置したために電池パックとしての電池列方向の寸
法は、先の各電池を俵積み状態で集合したものよりも大
きくなり、コンパクト化も難しくなるという問題があっ
た。

【０００６】本発明は、このような課題を解決するもの
であり、耐衝撃性と電池列間および電池相互間の電気絶
縁性に優れたコンパクトな電池パックを提供することを
目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の電池パックは、複数列の電池列間に、この列
に沿って表裏両面に円弧状の波形凹部を交互に設けた波
板形状の仕切板を位置させたものであり、その波形凹部
のそれぞれには、円筒型電池がその長さ方向に沿って周
面の一部が密着しており、これら全体をケースとカバー
からなる容器内に収納する構成としたものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１記載の発明は、
複数個の円筒型電池がその径方向に一直線状に並んだ電
池列が複数列あり、その電池列間にはこの列に沿って電
気絶縁性を持った表裏両面に円弧状の波形凹部を交互に
設けた波板形状の仕切板が位置し、その波形凹部のそれ
ぞれには電池の周面の一部が密着している構成にしたも
のである。

【０００９】このことによって、波板形状の仕切板の波
形凹部のそれぞれに各電池が固定されるために、その電
池に振動や衝撃を受けても、電池列間の電気的絶縁と一
つの電池列を構成する電池相互間での電気的絶縁を十分
に確保することができる。また、電池列間に波板形状の
仕切板を配してその波形凹部に電池を密着させたことに
より、従来の電池列間に平板を配したものよりも仕切板
と電池が接触する面積を大きくすることができるため
に、大電流放電した時の電池の熱が仕切板に伝わり易
く、容易に放熱させることができ、電池列の中央部およ
び各列の中央部の電池の温度上昇を防ぐことができるの
で電池特性の劣化を防止することができる。さらに、波
板形状の仕切板には、表裏両面に円弧状の波形凹部が交
互に設けられており、その波形凹部のそれぞれに各電池
が密着し、俵積み状態で集合したものに近くなっている
ために、電池パックとしての電池列方向の寸法は、従来
の電池列間に平板を用いたものよりもコンパクトにする
ことができる。

【００１０】請求項２に記載の発明は、波板形状の仕切
板が熱伝導性の良い金属酸化物を含んだ電気絶縁性の合
成樹脂で形成されているものであり、合成樹脂だけで形
成されたものより、熱伝導性が良くなるために、大電流
放電した時の電池の熱を仕切板により伝え易くなり、放
熱を向上させることができる。

【００１１】請求項３に記載の発明は、電池列に沿った
波板形状の仕切板の上部と下部の少なくともいずれかに
これと直角に電気絶縁性を持った平板が密着または一体
となっているものであり、大電流放電した時の電池の熱
が仕切板に伝わりさらにこの平板に伝わることにより、
仕切板だけのものより放熱面積を大きくすることができ
るので、放熱をより向上させることができる。

【００１２】請求項４に記載の発明は、電池を収納する
ケースとカバーとからなる容器の外側に複数のリブを設
けたものであり、収納容器の表面積を大きくして、収納
容器内の熱を外に放散し易くしたものである。また、自
転車側などの機器本体にこの収納容器のリブに合わせた
形状の溝を設けることにより、電池パックと機器本体の
嵌合をよくし、電池パックの耐振動性や耐衝撃性を向上
させることもできる。

【００１３】以下、本発明の実施の形態について、図１
から図３を用いて説明する。 （実施の形態１）図１は本発明の電池パックの要部であ
る電池列と仕切板の構成を示す。図１において波板形状
の仕切板１は、複数の電池２からなり、ニッケルリード
８で直列接続される電池列２ａ間の電気的絶縁と一つの
電池列を構成する電池２相互の電気的絶縁を行う作用
と、各電池の長さ方向の周面の一部に密着して大電流放
電時等の各電池の発熱が伝わり、これを速やかに放熱さ
せて列中央部の電池の温度上昇を防ぎ、電池劣化を防ぐ
ものである。この仕切板１は、ＡＢＳ樹脂から構成され
ている。また、この波板形状の仕切板１の材料は、ＡＢ
Ｓ樹脂だけでも良いが、アルミナや酸化亜鉛などの熱伝
導性の良い金属酸化物をＡＢＳ樹脂に含めると、大電流
放電時等の各電池の熱がより伝わり易く、放熱し易くな
って列中央部の電池の温度上昇を防止できる。なお、Ａ
ＢＳ樹脂に対してこの金属酸化物の混入量は、熱伝導性
と電気絶縁性を考慮して１０重量％から３０重量％の範
囲であることが好ましい。

【００１４】また、図１の波板形状の仕切板１には、表
裏両面の円弧状の波形凹部１が交互に設けられており、
そのそれぞれには各電池２の長さ方向の周面の一部が密
着している。従って仕切板１が存在しても各電池２は、
俵積み状態で集合したものとほぼ同様なものになる、電
池２相互の固定は確実で、電池列間に平板１１を配置し
たものよりも寸法的にコンパクトにすることができると
ともに電池パックとして落下などの衝撃や振動に対して
も強くなり、各電池の電気的絶縁と接続状態の確保がで
きるものである。

【００１５】（実施の形態２）図２は本発明の電池パッ
クの構成を示す分解図である。図２において平板３は、
電池列２ａに沿った波板形状の仕切板１の下部に直角に
密着したものであり、大電流放電時の各電池の熱が仕切
板１に伝わりさらにその熱を平板３に伝えることによ
り、放熱面積を大きくしより放熱し易くして列中央部の
電池の温度上昇を防止できる。この平板３もＡＢＳ樹脂
から構成されている。４は端子５を形成したケース、６
はこのケース４と一体化されるカバーであり外装容器を
構成する。なお、この例では平板３を電池列に沿った波
板仕切板の下部に直角に密着させた場合を説明したが、
仕切板の上部と下部の少なくともいずれかに直角にこの
平板３が密着または一体となっていれば、同様かそれ以
上の効果が得られる。

【００１６】（実施の形態３）図３は本発明の容器で外
装された電池パックを示し、ケース４とカバー６からな
る容器は、それぞれの外側にその長さ方向に沿ってリブ
７を付けたものであり、各容器の表面積を大きくして大
電流放電時の電池パック内の熱を容器の外側に放熱し易
くしたものであり、熱ごもりによる電池の特性劣化を防
止する作用をもったものである。ケース４とカバー６は
ＡＢＳ樹脂から構成されている。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の具体例を説明する。

【００１８】図２に示すように、電池２としてＤサイズ
の円筒型のニッケル−カドミウム蓄電池を用いて、その
径方向に一直線状に７個と６個を一列状態に並べて、計
３列の電池列２ａを形成する。この電池列２ａに沿って
表裏両面に円弧状の波形凹部ａを交互に設けたＡＢＳ樹
脂製の波板形状の仕切板１を配置し、それぞれの波形凹
部１ａには電池２の長さ方向に沿ってその周面の一部を
密着させ、各電池が直列接続状態となるようにニッケル
リード８をスポット溶接して１個の電池ブロックを形成
する。また電池列に沿った波板形状の仕切板１の下部に
はＡＢＳ樹脂製の平板３を密着させている。ニッケル板
が取付けられたリード線９の一本の一方をこの電池ブロ
ックの最先端の電池のプラス端子に、他方のリード線１
０の同様のニッケル板を最後端の電池のマイナス端子に
それぞれスポット溶接し、２本のリード線９，１０の他
方の先端を収納容器のリブの付いたケース４のステンレ
ス鋼に金メッキした出力端子５にそれぞれスポット溶接
して、ケース４に電池ブロックを収納する。そして、ケ
ース４の上部をリブ７の付いたカバー６でふたして、ケ
ース４とカバー６を超音波溶着することで図３に示す電
池パックが構成される。

【００１９】この本発明の電池パックと、平板１１を電
池列間に配置した従来の電池パックをそれぞれ１０Ａの
大電流で放電した。このときの電池の最高温度を計る
と、中央部の列の電池熱は６０℃であり、端部の列の電
池の温度は４８℃であって、１２℃中央部の列の方が端
部より高くも電池の温度熱が上昇しており、放熱性が悪
く、電池劣化の要因となるものであった。一方本実施例
の電池パックを同様に１０Ａで放電したときの電池の最
高温度熱を計ると中央部の列のそれは４９℃であり、端
部の列のそれは４８℃であって、わずか１℃しか違わず
放熱性のよいという効果が得られている。また、電池パ
ックとしての電池列方向の寸法は、上記のＤサイズの電
池の３列構成では、従来の電池列間に平板を配置したも
のよりも本発明の実施例の構成の方がおよそ５％小さく
なり、コンパクトにすることができた。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、複数列の
電池列間に、この列に沿って表裏両面に円弧状の波形凹
部を交互に設けた電気絶縁性の波板形状の仕切板を位置
させたことにより、各波形凹部のそれぞれには、電池が
長さ方向に沿って周面の一部が密着しているので電池の
保持効果がよく耐衝撃性や耐振動性に強くなるととも
に、電池列間と電池相互間の電気絶縁性に優れ、大電流
放電時等の電池の放熱も良くして電池の劣化を防止でき
るとともに、コンパクトな電池パックを構成できるとい
う効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における電池列と仕切板の関係
を示す斜視図

【図２】本発明の実施例における電池パックの構成を示
す分解斜視図

【図３】本発明の実施例における電池パックの斜視図

【図４】従来の電池パックの電池列の配置を示す斜視図

【図５】同従来の電池パックの電池列と平板との関係を
示す斜視図

【符号の説明】

１ 波板形状の仕切板 １ａ 波状凹部 ２ 円筒型電池 ２ａ 電池列 ３ 平板 ４ ケース ５ 出力端子 ６ カバー ７ リブ ８ ニッケルリード ９ リード線 １０ リード線 １１ 平板

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数個の円筒型電池がその径方向に一直線
   状に並んだ電池列が複数列あり、その電池列間には前記
   列に沿って電気絶縁性を持った仕切板が位置し、この仕
   切板にはそれぞれの電池がその長さ方向に沿って周面の
   一部が接しており、各電池の前後端がほぼ直線状に並ん
   だ状態であり、これら全体が容器内に収納された電池パ
   ックにおいて、前記複数列の電池間にはこの列に沿って
   表裏両面に円弧状の波形凹部を交互に設けた波板形状の
   仕切板が位置し、その波形凹部のそれぞれには電池の周
   面の一部が密着しており、これら全体がケースとカバー
   からなる容器内に収納されている電池パック。
2. 【請求項２】波板形状の仕切板は、熱伝導性の良い金属
   酸化物を含んだ電気絶縁性の合成樹脂で形成されている
   ことを特徴とする請求項１記載の電池パック。
3. 【請求項３】電池列に沿った波板形状の仕切板には、そ
   の上部と下部の少なくともいずれかに直角に電気絶縁性
   を持った平板が密着または一体となっていることを特徴
   とする請求項１または２記載の電池パック。
4. 【請求項４】電池を収納するケースとカバーとからなる
   容器は、その外側に複数のリブを設けたものであること
   を特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の電池パ
   ック。