JPH09304380A - 抗原の取得方法および使用方法 - Google Patents

抗原の取得方法および使用方法

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JPH09304380A
JPH09304380A JP11587096A JP11587096A JPH09304380A JP H09304380 A JPH09304380 A JP H09304380A JP 11587096 A JP11587096 A JP 11587096A JP 11587096 A JP11587096 A JP 11587096A JP H09304380 A JPH09304380 A JP H09304380A
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JP
Japan
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streptolidine
steroid compound
carrier
solution
streptolysin
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JP11587096A
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English (en)
Inventor
Kenji Arai
健司 新井
Yoshitaka Kagimoto
佳孝 鍵本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗ストレプトリジンO抗体と反応特異的に結
合でき、かつ、ストレプトリジンOのもつ溶血毒素とし
ての性質が中和された安全性の高いストレプトリジンO
ステロイド化合物複合体を提供し、ストレプトリジンO
ステロイド化合物複合体の使用方法を提供する。 【解決手段】 ストレプトリジンOのステロイド化合物
結合能を利用することを特徴とするストレプトリジンO
ステロイド化合物複合体の取得方法、取得されたストレ
プトリジンOステロイド化合物複合体およびその使用方
法。 【効果】 ストレプトリジンOステロイド化合物複合体
を抗原として用いることによって被検液中の抗ストレプ
トリジンO抗体を反応特異的かつ簡便に決定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体の取得方法、ストレプトリジ
ンOステロイド化合物複合体、ストレプトリジンOステ
ロイド化合物複合体を抗原物質として使用する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ストレプトリジンO(streptol
ysin O)は、例えば、ランスフィールド(Lan
cefield)の血清学的分類(Lancefiel
d,R.C.、J.Exp.Med.、第57巻、57
1頁〜595頁、1933年)によるA群溶血性連鎖球
菌(group A hemolytic strep
tococci)の産生する毒素の一つである。この毒
素は、一般に還元状態下、例えば、2−メルカプトエタ
ノールの存在下、赤血球の溶血を生じせしめる分子量5
0000〜70000の範囲に含まれるタンパク質とし
て知られているものであり、コレステロールに対する親
和性が高く、細胞膜と結合して細胞を溶解せしめる活性
を有し、小動物の心臓に毒性と致死性を示す(レンサ球
菌感染症〔上〕−その基礎と臨床−、塩川優一・吉岡守
正・浜田茂幸編集、88頁〜97頁、廣川書店(株)、
1992年6月5日発行)。
【0003】A群溶血性連鎖球菌は、扁桃炎、咽頭炎、
皮膚化膿症、猩紅熱や続発症としてのリウマチ熱、糸球
体腎炎をはじめとする多くの疾患群を惹起する病原菌で
ある。A群溶血性連鎖球菌に感染した患者の血清ではス
トレプトリジンOに対する反応特異的な抗体である抗ス
トレプトリジンO抗体価が上昇することが知られてお
り、A群溶血性連鎖球菌感染症の診断のために抗ストレ
プトリジンO抗体の確認およびその抗体価の測定が広く
用いられている(長田富香、臨床検査、第23巻、臨時
増刊、1172頁〜1175頁、1979年)。
【0004】抗ストレプトリジンO抗体価を測定する方
法としては、ウサギ赤血球、ヒツジ赤血球またはヒトO
型赤血球を用いるランツ・ランダール法(Rantz,
L.A.ら、Proc.Soc.Exp.Biol.M
ed.、第59巻、22頁〜25頁、1945年)およ
びその変法であるマイクロタイター法(Edward
s,E.A.、J.Bacteriol.、第87巻、
1254頁〜1255頁、1964年)が従来から日常
検査に広く用いられてきた。これらの測定法はいずれも
ストレプトリジンOが有する溶血活性を被検液中の抗ス
トレプトリジンO抗体が中和することを原理とする測定
法である。
【0005】生体に感染したA群溶血性連鎖球菌はスト
レプトリジンOを含む多様な抗原、例えば、発赤毒素、
ストレプトキナーゼ、ストレプトドルナーゼ、ヒアルロ
ン酸分解酵素、リボ核酸分解酵素、ノイラミン酸分解酵
素等を産生しており、これに対応して血中に出現する抗
体も多様である(レンサ球菌感染症〔中〕−その基礎と
臨床−、塩川優一・吉岡守正・浜田茂幸編集、317頁
〜359頁、廣川書店(株)、1992年6月25日発
行)が、ストレプトリジンOに特徴的な生物活性である
溶血活性を利用したこれらの測定法では、測定用試薬と
して必ずしも精製されたストレプトリジンOを用いる必
要はなく、多数の抗原物質の中でストレプトリジンOに
対する反応特異的な抗体すなわち抗ストレプトリジンO
抗体のみを測定できる(藤本秀江ら、臨床病理、第40
巻、21頁〜27頁、1992年)。
【0006】しかしながら、これらの測定法では必然的
に新鮮な赤血球を必要とするため、用いる赤血球の安定
性、ロット差等により測定値のバラツキが生じやすく、
また、操作法も煩雑であり、自動化は極めて困難であっ
た(特開平6−186233号公報)。近年、ストレプ
トリジンOを固相化させたラテックス粒子等の担体を用
いた免疫凝集反応を原理とする被検液の抗ストレプトリ
ジンO抗体価の測定法が用いられるようになり(三浦利
彦ら、衛生検査、第36巻、36頁〜40頁、1987
年)、前述のストレプトリジンOの溶血活性を利用した
測定法に比し、不安定な赤血球を必要としない点や自動
化分析が可能になった点等が改善された。
【0007】しかし、一方では、固相化させるストレプ
トリジンOがA群溶血性連鎖球菌の培養液から調製さ
れ、ストレプトリジンOの精製の困難さから高純度のス
トレプトリジンOを得ることが極めて難かしく、通常、
ストレプトリジンOとともにA群溶血性連鎖球菌の産生
する上記の多様な抗原物質が同時に担体上に固相化され
る問題があった。従ってまた、測定される抗体価は、ス
トレプトリジンOの他に固相化されたすべての抗原物質
に対する被検液中の抗体を総合的に測定したものであり
(藤本秀江ら、臨床病理、第40巻、21頁〜27頁、
1992年)、抗ストレプトリジンO抗体のみを特異的
に決定し得るものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらの抗ストレプト
リジンO抗体価測定法が抱える問題点を解決すべく、ス
トレプトリジンOを含有する溶液からストレプトリジン
Oの抗原活性を有する物質を簡便に取得できる方法を提
供し、また、これを抗原物質として用いることによって
抗ストレプトリジンO抗体を反応特異的かつ簡便に決定
でき、また、用手法に限らず自動化分析にも対応できる
免疫学的決定方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、下記一般式[1]
【0010】
【化2】
【0011】(ただし式中、R1は置換されたあるいは
非置換の、不飽和のあるいは飽和された、コレステロー
ル側鎖基またはコール酸側鎖基、R2は水素原子または
水酸基、破線部位は飽和または二重結合部位を示す。)
で表されるステロイド化合物を物理的もしくは化学的に
結合させた担体(A)とA群溶血性連鎖球菌由来のスト
レプトリジンO含有溶液とを接触させることによって、
ストレプトリジンO含有溶液中のストレプトリジンOの
みを特異的に担体上に結合せしめることができること、
担体(A)からストレプトリジンOステロイド化合物複
合体として溶離せしめることができること、このように
して得られたストレプトリジンOステロイド化合物複合
体が抗ストレプトリジンO抗体との免疫反応性を保持
し、抗ストレプトリジンO抗体取得用の免疫アフィニテ
ィークロマトグラフィーにおけるリガンドや免疫感作用
抗原物質として使用できることを見い出し、かつ、全く
意外にも溶血活性が欠損した安全性の高い抗原物質とし
て得られること、およびこの性質を利用すれば被検液中
の抗ストレプトリジンO抗体を免疫学的に決定すること
ができること、を見い出し本発明を完成するに至った。
【0012】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たもので、下記(1)〜(3)の工程を順次経ることを
特徴とするストレプトリジンOステロイド化合物複合体
の取得方法である。 (1)ストレプトリジンOを含有する溶液と下記一般式
[1]
【0013】
【化3】
【0014】(ただし式中、R1は置換されたあるいは
非置換の、不飽和のあるいは飽和された、コレステロー
ル側鎖基またはコール酸側鎖基、R2は水素原子または
水酸基、破線部位は飽和または二重結合部位を示す。)
で表されるステロイド化合物の一種以上を結合した担体
(A)とを反応せしめてストレプトリジンOステロイド
化合物複合体を形成せしめる工程、(2)非結合物を分
離する工程、(3)担体(A)からストレプトリジンO
ステロイド化合物複合体を溶離せしめる工程。
【0015】また、本発明は、上記方法により得られる
ストレプトリジンOステロイド化合物複合体、および、
上記方法により得られるストレプトリジンOステロイド
化合物複合体を抗原物質として使用する方法である。本
発明に係わるステロイド化合物としては、上記一般式
[1]で表されるもので、その式中、R1は置換された
あるいは非置換の、不飽和のあるいは飽和された、コレ
ステロール側鎖基またはコール酸側鎖基を示し、R2は
水素原子または水酸基を示し、破線部位は飽和または二
重結合部位である。また、基R1の具体的説明として
は、例えば、水酸基、低級アルキル基または低級アシル
基で置換あるいは非置換の、1または2個の二重結合を
もつ不飽和のあるいは飽和された、コレステロール側鎖
基またはコール酸側鎖基である。
【0016】コレステロール側鎖基としては、下記一般
式[2]
【0017】
【化4】
【0018】(ただし式中、R3は水素原子、水酸基、
低級アルキル基または低級アシル基を示し、R4は水素
原子、水酸基、低級アルキル基または低級アシル基を示
し、R5は水素原子、水酸基、低級アルキル基または低
級アシル基を示し、破線部位は飽和または二重結合部位
を示す。)で表されるコレステロール側鎖基が挙げら
れ、好ましくは、上記一般式[2]において、R3およ
びR4が水素原子であり、R5が水素原子、水酸基、メ
チル基もしくはエチル基であることを特徴とするコレス
テロール側鎖基が挙げられ、具体的には、例えば、コレ
ステロール側鎖基、β−シトステロール側鎖基、スチグ
マステロール側鎖基、カンペステロール側鎖基、エルゴ
ステロール側鎖基、セレブロステロール側鎖基、デスモ
ステロール側鎖基等が挙げられる。
【0019】また、コール酸側鎖基としては、下記一般
式[3]
【0020】
【化5】
【0021】(ただし式中、破線部位は飽和または二重
結合部位を示す。)で表されるコール酸側鎖基が挙げら
れる。上記一般式[1]で表されるステロイド化合物の
具体的化合物としては、例えば、コレステロール(ch
olesterol)、7−デヒドロコレステロール
(7−dehydrocholesterol)、コレ
スタノール(cholestanol)、コプロスタノ
ール(coprostanol)、Δ7 −コレステノー
ル(Δ7 −cholestenol)、Δ7 −コプロス
テノール(Δ7 −coprostenol)、β−シト
ステロール(β−sitosterol)、7−デヒド
ロ−β−シトステロール(7−dehydro−β−s
itosterol)、スチグマステロール(stig
masterol)、7−デヒドロスチグマステロール
(7−dehydrostigmasterol)、カ
ンペステロール(campesterol)、7−デヒ
ドロカンペステロール(7−dehydrocampe
sterol)、スチグマスタノール(stigmas
tanol)、Δ7 −スチグマステノール(Δ7 −st
igmastenol)、11α−ヒドロキシコレステ
ロール(11α−hydroxycholestero
l)、Δ22−スチグマステノール(Δ22−stigma
stenol)、α−スピナステロール(α−spin
asterol)、カンペスタノール(campest
anol)、Δ7 −カンペステノール(Δ7 −camp
estenol)、20α−ヒドロキシコレステロール
(20α−hydroxycholesterol)、
ブラシカステロール(brassicastero
l)、エルゴステロール(ergosterol)、セ
レブロステロール(cerebrosterol)、7
−デヒドロセレブロステロール(7−dehydroc
erebrosterol)、セレブロスタノール(c
erebrostanol)、Δ7 −セレブロステノー
ル(Δ7 −cerebrostenol)、デスモステ
ロール(desmosterol)、7−デヒドロデス
モステロール(7−dehydrodesmoster
ol)、3β−ヒドロキシコラン酸(3β−hydro
xycholanic acid)または3β−ヒドロ
キシ−Δ5−コレン酸(3β−hydroxy−Δ5
cholenic acid)等が挙げられる。
【0022】好ましくは、コレステロール、7−デヒド
ロコレステロール、コレスタノール、コプロスタノー
ル、Δ7 −コレステノール、Δ7 −コプロステノール、
β−シトステロール、7−デヒドロ−β−シトステロー
ル、スチグマステロール、7−デヒドロスチグマステロ
ール、カンペステロールまたは7−デヒドロカンペステ
ロール等が挙げられる。
【0023】より好ましくは、コレステロール、7−デ
ヒドロコレステロール、コレスタノール、コプロスタノ
ール、Δ7 −コレステノールまたはΔ7 −コプロステノ
ール等が挙げられる。最も好ましくは、コレステロール
が挙げられる。これらのステロイド化合物において、1
種または2種以上を含有するものが挙げられる。
【0024】本発明に係わる担体(A)としては、本発
明を実施可能なものであれば、その材質、形状および大
きさ等については何ら制限されなく、例えば、ポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリ
ルブタジエンスチレン共重合体、ブタジエンスチレン共
重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリアミド、ポリメチルメタアクリレー
ト、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリビニル
アセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラ
ール、ポリイソブチレン、塩化ビニル酢酸ビニル共重合
体、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、テトラ
フルオロエチレンエチレン共重合体、パーフルオロアル
コキシ共重合体等)、ポリエーテルスルホン、ポリオレ
フィン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンアクリレ
ート、スチレンジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
ウレタン、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリカゲ
ル、シリコン、セルロース、ニトロセルロース、セルロ
ースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピ
オネート、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ースまたはポリビニリデンジフルオリド等の成形された
ポリマー、また、ポリマーにアルキル基、アシル基、カ
ルボキシル基、ニトリル基、一級アミノ基または二級ア
ミノ基等の官応基をもたせることを目的として、上記の
ポリマー合成時にこれらの官能基を有する物質がさらに
共重合されてなる成形されたポリマー、あるいは、上記
のポリマー形成後に表面処理によってこれらの官応基が
導入されてなる成形されたポリマー、また、成形された
ガラスまたは金属等が使用できる。
【0025】上記の材質よりなる微粉末、粒子、プレー
ト、容器またはメンブレン等を使用できる。また、本発
明の担体(A)として、例えば、ステロイド類を吸脱着
できるクロマトグラフィー用担体、好ましくは、当業者
によく知られた無極性吸着剤または中極性吸着剤等、例
えば、バイオビーズSM−2(バイオラッド社製)、バ
イオビーズSM−4(バイオラッド社製)、バイオビー
ズSM−16(バイオラッド社製)またはバイオビーズ
SM−7(バイオラッド社製)等を使用できる。
【0026】本発明の実施において、一般式[1]で表
されるステロイド化合物(以下、単に本ステロイド化合
物という)を結合させてある担体(A)の有利な態様と
しては、本ステロイド化合物が担体単位面積(cm2
あたりに通常1nmol〜1mmol、好ましくは、1
0nmol〜100μmolの範囲で結合している担体
(A)を挙げることができる。
【0027】本ステロイド化合物を結合させてある担体
(A)は、当業者によく知られた方法、好ましくは、担
体(A)表面に本ステロイド化合物を物理的に吸着させ
ることによって、あるいは、本ステロイド化合物の反応
性誘導体をこれと反応可能な官能基を有する担体(A)
表面または活性化された担体(A)表面へ化学的に結合
させることによって得ることができる。簡便には、担体
(A)表面上に本ステロイド化合物を物理的に吸着させ
ることによって行えばよい。
【0028】本ステロイド化合物を担体(A)に物理的
に吸着させることによって本ステロイド化合物を担体
(A)に結合させる具体的方法の例としては、例えば、
ウエル内容量が300μlであるマイクロタイタープレ
ートを担体(A)とする場合には、本ステロイド化合物
を、使用するマイクロタイタープレートの構造等を損な
わず、かつ、本ステロイド化合物を溶解、分散または懸
濁せしめることができる、親水性あるいは親油性の溶
剤、最適には、エタノールまたはメタノール溶液に通常
1μg/ml〜100mg/ml、好ましくは、10μ
g/ml〜10mg/mlの濃度範囲で溶解、分散ある
いは懸濁させ、マイクロタイタープレートのウエルにウ
エルあたり通常25μl〜300μl、好ましくは、5
0μl〜200μl添加し、通常0℃〜70℃、好まし
くは、4℃〜40℃の温度範囲で、通常10分間〜24
時間、好ましくは、30分間〜6時間の時間範囲で静
置、撹拌あるいは振とうして反応させた後、ウエルを水
または適当な緩衝液で洗浄することによって本ステロイ
ド化合物を結合させる方法を挙げることができる。
【0029】あるいは、本ステロイド化合物を通常10
0ng/ml〜10mg/ml、好ましくは、1μg/
ml〜1mg/mlの濃度範囲で、使用するマイクロタ
イタープレートの構造等を損なわず、かつ、本ステロイ
ド化合物を溶解、分散または懸濁せしめることができ
る、親水性あるいは親油性の溶剤、最適には、エタノー
ルまたはメタノール溶液に溶解、分散または懸濁せしめ
た液をマイクロタイタープレートのウエルにウエルあた
り通常25μl〜300μl、好ましくは、50μl〜
200μl添加し、通常20℃〜90℃、好ましくは、
40℃〜70℃の温度範囲で静置して溶媒を蒸発留去さ
せた後、ウエルを水または適当な緩衝液で洗浄すること
によって本ステロイド化合物を結合させる方法も便利で
よい。
【0030】また、例えば、テストチューブ等の容器を
担体(A)とする場合には、使用するテストチューブ等
の容器の構造等を損なわない条件下において、テストチ
ューブ等の容器の容積、容量およびその他の要因を考慮
して、マイクロタイタープレートの方法に準じて行えば
よい。また、例えば、微粉末または粒子等を担体(A)
とする場合には、任意の反応容器中で、担体(A)であ
る微粉末または粒子等、および反応容器等の構造を損な
わない条件下において、微粉末または粒子等の表面積、
個数、反応容器等の容量およびその他の要因を考慮し
て、マイクロタイタープレートの方法に準じて行えばよ
い。
【0031】また、例えば、メンブレン等を担体(A)
とする場合には、使用するメンブレン等の構造等を損な
わず、かつ、本ステロイド化合物を溶解、分散または懸
濁せしめることができる、親水性あるいは親油性の溶
剤、最適には、エタノールまたはメタノール溶液に溶
解、分散または懸濁させた本ステロイド化合物をメンブ
レン単位面積(cm2 )あたり通常1nmol〜1mm
ol、好ましくは、10nmol〜100μmolの量
範囲でメンブレン等と接触させ、任意の時間静置、撹拌
あるいは振とうして本ステロイド化合物を結合させる方
法を挙げることができる。
【0032】さらに、例えば、ステロイド類を吸脱着で
きるクロマトグラフィー用担体を担体(A)とする場合
には、使用するクロマトグラフィー用担体と本ステロイ
ド化合物との吸着特性、担体使用量等を考慮し、本ステ
ロイド化合物が吸着可能な条件下で、通常のクロマトグ
ラフィー操作、あるいは、バッチ分離操作等により本ス
テロイド化合物をクロマトグラフィー用担体に接触さ
せ、本ステロイド化合物を結合させる方法を挙げること
ができる。
【0033】上記の本ステロイド化合物を担体(A)に
物理的に吸着させることによって本ステロイド化合物を
担体(A)に結合させる方法において、本ステロイド化
合物を溶解、分散または懸濁した溶液は、水を含んでい
てもよく、また、使用する担体、容器またはカラム等の
構造を損なわず、かつ、本ステロイド化合物と担体
(A)との結合に大きな影響を与えない濃度範囲のクロ
ロホルム、アセトン、ヘキサン、ジクロロエタン、プロ
パノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベ
ンゼン、エーテル、石油エーテル、酢酸メチル、酢酸エ
チルまたはその他の溶剤等を含んでいてもよい。
【0034】本発明に係わるストレプトリジンOを含有
する溶液は、本発明におけるステロイド化合物との結合
能を保持し、かつ、抗ストレプトリジンO抗体と免疫反
応するものを含む液であれば何れでもよく、例えば、A
群、C群またはG群に属する溶血性連鎖球菌によって生
産された、あるいは、遺伝子組み換え技術を用いること
によって大腸菌、酵母、その他の宿主によって生産され
た、ストレプトリジンOあるいはその誘導体または変異
体等を含む溶液を挙げることができる。また、当然のこ
とながら、本発明におけるステロイド化合物との結合能
を保持し、かつ、抗ストレプトリジンO抗体と免疫反応
するストレプトリジンO様のもの、例えば、ストレプト
リジンO分子上のコレステロール結合部位以外の部位を
一部または全部欠損せしめた合成タンパク質または合成
ペプチド等、プロテアーゼとの接触によりストレプトリ
ジンO分子上のコレステロール結合部位以外の部位を一
部または全部欠損したもの、あるいは、ストレプトリジ
ンOを酸化または加熱処理等により溶血活性を失わせし
めたもの等を含む溶液を挙げることができる。
【0035】また、市販のストレプトリジンO、例え
ば、旭化成工業(株)製、栄研化学(株)製、日水製薬
(株)製、日本凍結乾燥研究所(株)製、DIFCO社
製、シグマ社製等のストレプトリジンOを含む溶液を挙
げることができる。本発明において、ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体を取得する方法は、基本的
に、ストレプトリジンOを含有する溶液と本ステロイド
化合物の一種以上を結合した担体(A)とを水または適
当な緩衝液中で一定下記する条件下で接触させ、次に、
担体(A)を水または適当な緩衝液で洗浄することによ
って非結合物を分離し、さらに、担体(A)を適当な溶
離剤、例えば、界面活性剤、有機溶剤等で処理すること
によって担体(A)からストレプトリジンOステロイド
化合物複合体を溶離させて行われる。
【0036】上記の具体的方法は、ストレプトリジンO
を含有する溶液およびその量、ストレプトリジンOの濃
度、または、本ステロイド化合物を結合した担体(A)
等の違いにより自ずと異なるが、これらの要因を勘案し
て下記に示す具体的方法の例に準じて行えばよい。上記
の、ストレプトリジンOを含有する溶液と本ステロイド
化合物の一種以上を結合した担体(A)とを接触、担体
(A)を洗浄、または、担体(A)からストレプトリジ
ンOステロイド化合物複合体を溶離させる工程において
使用される緩衝液としては、通常用いられる緩衝液であ
れば特に限定されないが、通常pH4〜10、好ましく
は、pH5〜9の範囲である緩衝液を用いることが望ま
しく、例えば、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝
液、トリス緩衝液、ベロナール緩衝液、グッド(Goo
d’s)緩衝液(例えば、ヘペス(HEPES)緩衝
液、ピペス(PIPES)緩衝液、メス(MES)緩衝
液等)等を用いることができる。
【0037】また、上記の各工程において使用される水
または緩衝液中に、ストレプトリジンOまたはストレプ
トリジンOステロイド化合物複合体の安定化等を目的と
して、添加剤、例えば、糖、グリセロール、エチレング
リコール、キレート剤、還元剤、防腐剤、プロテアーゼ
インヒビター等を適宜添加することは任意である。その
濃度範囲等は、自体公知のストレプトリジンOの安定化
のために通常用いられる濃度範囲等から適宜選択すれば
足りる。また、担体(A)からストレプトリジンOステ
ロイド化合物複合体の溶離を促進させる等の目的で、例
えば、エタノール等の溶剤を適宜添加してもよい。
【0038】さらに、上記の担体(A)からストレプト
リジンOステロイド化合物複合体を溶離させる工程にお
いて使用される界面活性剤としては、担体(A)の材質
等の違いにより本ステロイド化合物との結合力が担体
(A)毎に異なるため、これを溶離させるために選択さ
れるべき最適な界面活性剤も自ずと担体(A)毎に異な
るが、通常当業者によく知られた界面活性剤、例えば、
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキ
シエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の
ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン
ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソル
ビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノオレエート等のポリオキシエチレンアルキルエス
テル類、ソルビタンラウレート、ソルビタンミリステー
ト、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステアレ
ート、ソルビタンオレエート、ソルビタントリオレエー
ト等のソルビタンアルキルエステル類、オクチルグルコ
シド、ノニルグルコシド等のアルキルグルコシド類、ヘ
プチルチオグルコシド、オクチルチオグルコシド等のア
ルキルチオグルコシド類、ノナノイル−N−メチルグル
カミド、デカノイル−N−メチルグルカミド等のメチル
グルカミド誘導体類等の非イオン性界面活性剤、好まし
くは、HLB値が8以上、より好ましくは、HLB値が
10以上である非イオン性界面活性剤、または、例え
ば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナト
リウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、コール酸塩、
デオキシコール酸塩、タウロコール酸塩等の陰イオン性
界面活性剤、または、例えば、ドデシルトリメチルアン
モニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムク
ロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等の陽
イオン性界面活性剤、さらに、例えば、3−[(3−コ
ラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン
スルホネート、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチ
ルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホ
ネート等の両性界面活性剤の中から適宜選択されれば足
りる。
【0039】次いで、ストレプトリジンOステロイド化
合物複合体を取得する具体的方法の例としては、例え
ば、本ステロイド化合物を結合した、ウエル内容量が3
00μlであるマイクロタイタープレートと、例えば、
ストレプトリジンOの濃度として0.01mg/ml〜
10mg/mlであるストレプトリジンO含有溶液を使
用する場合には、まず、ストレプトリジンO含有溶液を
本ステロイド化合物を結合したマイクロタイタープレー
トの反応ウエルにウエルあたり通常25μl〜300μ
l、好ましくは、50μl〜200μl添加し、通常0
℃〜70℃、好ましくは、4℃〜40℃の温度範囲で、
通常10分間〜24時間、好ましくは、30分間〜12
時間の時間範囲で静置、撹拌あるいは振とうする。次
に、ウエルを水または適当な緩衝液で洗浄する。さら
に、通常0.01%〜10%(w/v)、好ましくは、
0.05%〜5%(w/v)の濃度範囲の界面活性剤を
含む水または適当な緩衝液をウエルあたり通常25μl
〜300μl、好ましくは、50μl〜200μl添加
し、通常0℃〜70℃、好ましくは、4℃〜40℃の温
度範囲で、任意の時間静置、撹拌あるいは振とうして、
ストレプトリジンOステロイド化合物複合体を溶離させ
る方法を挙げることができる。
【0040】また、例えば、本ステロイド化合物を結合
したテストチューブ等の容器と、例えば、ストレプトリ
ジンOの濃度として0.01mg/ml〜10mg/m
lであるストレプトリジンO含有溶液を使用する場合に
は、該担体の容積、容量およびその他の要因を考慮し
て、マイクロタイタープレートの方法に準じて行えばよ
い。
【0041】また、例えば、本ステロイド化合物を結合
した微粉末または粒子等と、例えば、ストレプトリジン
Oの濃度として0.01mg/ml〜10mg/mlで
あるストレプトリジンO含有溶液を使用する場合には、
任意の反応容器中で、該担体の表面積、個数、反応容器
等の容量およびその他の要因を考慮して、マイクロタイ
タープレートの方法に準じて行えばよい。
【0042】また、例えば、本ステロイド化合物を結合
したメンブレン等と、例えば、ストレプトリジンOの濃
度として0.01mg/ml〜10mg/mlであるス
トレプトリジンO含有溶液を使用する場合には、任意の
反応容器中で、該担体の表面積、枚数、反応容器等の容
量およびその他の要因を考慮して、マイクロタイタープ
レートの方法に準じて行えばよい。
【0043】さらに、ストレプトリジンOステロイド化
合物複合体を取得する具体的方法の例として、本ステロ
イド化合物を結合したステロイド類を吸脱着できるクロ
マトグラフィー用担体と、例えば、ストレプトリジンO
の濃度として0.01mg/ml〜10mg/mlであ
るストレプトリジンO含有溶液を使用する場合には、該
担体と本ステロイド化合物との吸着特性を考慮し、通常
のクロマトグラフィー操作により、あるいは、バッチ分
離操作等により、まず、本ステロイド化合物が溶離しな
い条件下で、水または適当な緩衝液で洗浄した該担体と
ストレプトリジンO含有溶液を一定時間接触させた後、
該担体を水または適当な緩衝液で洗浄して非結合物を分
離する。次に、本ステロイド化合物を溶離可能な溶離
剤、例えば、有機溶剤等、と該担体とを接触させ、スト
レプトリジンOステロイド化合物複合体を溶離させる方
法を挙げることができる。
【0044】より具体的な方法の例としては、カラムに
充填された無極性吸着剤、例えば、バイオビーズSM−
2、バイオビーズSM−4、バイオビーズSM−16
等、または、中極性吸着剤、例えば、SM−7等が担体
(A)として10ml使用され、10%(v/v)エタ
ノール水溶液に本ステロイド化合物を100μg/ml
の濃度で溶解、分散または懸濁せしめた液50mlが該
カラムに10ml/minの流速で流された後、10%
(v/v)エタノール水溶液100mlで洗浄されて本
ステロイド化合物が結合した上記カラムクロマトグラフ
ィー用担体と、例えば、ストレプトリジンOの濃度とし
て1mg/mlであるストレプトリジンO含有溶液10
mlを使用する場合には、まず、該カラムにストレプト
リジンO含有溶液10mlを通常0℃〜70℃、好まし
くは、4℃〜40℃の温度範囲で、通常1ml/min
〜30ml/minの範囲の流速で流した後、該カラム
に水または適当な緩衝液を通常10ml〜100ml流
して該カラムを洗浄し非結合物を分離する。次に、通常
50%〜100%(v/v)エタノール水溶液を流し、
ストレプトリジンOステロイド化合物複合体を溶離させ
る方法を挙げることができる。
【0045】本発明によって取得されたストレプトリジ
ンOステロイド化合物複合体は、高純度に精製されてお
り、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS
−PAGE)法で分子量50000〜70000の範囲
に検出され、詳しくは例えば分子量66000〜690
00および分子量55000〜58000のものが挙げ
られる。また、このストレプトリジンOステロイド化合
物複合体は、溶血活性が欠損した特徴を有するものであ
り、さらに、抗ストレプトリジンO抗体と反応特異的に
結合することが見い出された。これは、当業者によく知
られた免疫学的手法、例えば、エンザイムイムノアッセ
イ法、イムノステイニング法等によっても容易に確認す
ることができる。従って、本発明によって取得されたス
トレプトリジンOステロイド化合物複合体は抗原物質と
して使用できる。
【0046】さらに、本発明によって取得されたストレ
プトリジンOステロイド化合物複合体(以下、本ストレ
プトリジンOステロイド化合物複合体という)は、溶血
活性を完全に欠損していた。すなわち、ストレプトリジ
ンOのもつ溶血毒素としての性質が中和されていること
が本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体の特徴
の一つである。従って、本ストレプトリジンOステロイ
ド化合物複合体は、従来抗原物質として使用されてきた
ストレプトリジンOに比し、より安全に取り扱うことが
でき、かつ、その溶血毒素としての性質により従来困難
であった小動物への免疫源としての投与が問題なく可能
となることより、例えば、ストレプトリジンOに対する
反応特異的な抗体(抗ストレプトリジンO抗体)を取得
するための、免疫アフィニティークロマトグラフィーに
おけるリガンド、または、免疫感作用抗原物質として好
適に使用できる。また、被検液中の抗ストレプトリジン
O抗体の免疫学的決定方法における抗原物質として好適
に使用できる。
【0047】本ストレプトリジンOステロイド化合物複
合体を用いて被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を免
疫学的に決定する方法は、抗原抗体複合体を形成せしめ
る条件下で、本ストレプトリジンOステロイド化合物複
合体と被検液とを反応させ、形成された抗原抗体反応の
生成物を確認または定量することにより特徴づけられ
る。このとき、本ストレプトリジンOステロイド化合物
複合体を担体(B)に固相化させた状態で被検液と反応
させてもよく、また、遊離させた状態で被検液と反応さ
せてもよい。
【0048】本発明に係わる被検液とは抗ストレプトリ
ジンO抗体を含有するものであればよく、例えば、血
清、血漿、唾液、尿等の生体体液、組織抽出液または組
織培養上清等が挙げられ、これらの被検液は、本発明に
おいて用いられる抗ストレプトリジンO抗体の決定法の
原理、検出感度、測定レンジあるいは他の要因を考慮し
て、被検液原液で、あるいは、被検液原液を水または適
当な緩衝液等により適宜希釈して本発明に用いられる。
【0049】本発明における被検液中の抗ストレプトリ
ジンO抗体の免疫学的決定方法において使用される緩衝
液としては、通常用いられる緩衝液であれば特に限定さ
れないが、通常pH4〜10、好ましくは、pH5〜9
の範囲である緩衝液を用いることが望ましく、例えば、
リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝
液、ベロナール緩衝液、グッド(Good’s)緩衝液
(例えば、ヘペス(HEPES)緩衝液、ピペス(PI
PES)緩衝液、メス(MES)緩衝液等)等を用いる
ことができ、本ストレプトリジンOステロイド化合物複
合体の安定化または本ストレプトリジンOステロイド化
合物複合体固相化担体へのタンパク質等の非特異的吸着
の防止等を目的として、自体公知の抗原抗体反応を利用
した抗原または抗体の免疫学的決定法において通常用い
られる、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラ
チン、スキムミルクまたはミルク由来タンパク質、植物
由来タンパク質等のタンパク質等を、通常0.01%〜
1%(w/v)、好ましくは、0.1%〜0.5%(w
/v)の濃度範囲で含んでいてもよい。
【0050】また、本ストレプトリジンOステロイド化
合物複合体または抗原抗体反応の安定化、あるいは、免
疫凝集反応の促進等の目的で、添加剤として、例えば、
糖、グリセロール、エチレングリコール、キレート剤、
還元剤、防腐剤、プロテアーゼインヒビター、ポリエチ
レングリコール類(例えば、ポリエチレングリコール6
000等)等を水または緩衝液中に適宜添加することは
任意である。その濃度範囲等は、自体公知のストレプト
リジンOまたは抗原抗体反応の安定化、あるいは、免疫
凝集反応の促進等のために通常用いられる濃度範囲等か
ら適宜選択すれば足りる。
【0051】本発明に係わる担体(B)としては、本発
明を実施可能なものであれば、その材質、形状および大
きさ等については何ら制限されなく、例えば、ポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリ
ルブタジエンスチレン共重合体、ブタジエンスチレン共
重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリアミド、ポリメチルメタアクリレー
ト、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリビニル
アセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラ
ール、ポリイソブチレン、塩化ビニル酢酸ビニル共重合
体、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、テトラ
フルオロエチレンエチレン共重合体、パーフルオロアル
コキシ共重合体等)、ポリエーテルスルホン、ポリオレ
フィン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンアクリレ
ート、スチレンジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
ウレタン、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリカゲ
ル、シリコン、セルロース、ニトロセルロース、セルロ
ースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピ
オネート、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ースまたはポリビニリデンジフルオリド等の成形された
ポリマー、また、ポリマーにアルキル基、アシル基、カ
ルボキシル基、ニトリル基、一級アミノ基または二級ア
ミノ基等の官応基をもたせることを目的として、上記の
ポリマー合成時にこれらの官能基を有する物質がさらに
共重合されてなる成形されたポリマー、あるいは、上記
のポリマー形成後に表面処理によってこれらの官応基が
導入されてなる成形されたポリマー、また、成形された
ガラスまたは金属等が使用できる。
【0052】また、本発明において、当業者によく知ら
れた免疫学的決定法において通常使用される材質、形状
および大きさ等を有する、例えば、ラテックス粒子、ビ
ーズ、ボール、マイクロタイタープレート、テストチュ
ーブまたはメンブレン等を担体(B)として使用すると
有利であるが、粒径が0.01μm〜100μm、より
好ましくは、0.05μm〜10μmの範囲であるポリ
スチレンラテックス粒子を担体(B)として使用すると
特に有利である。
【0053】本ストレプトリジンOステロイド化合物複
合体の担体(B)への固相化は、当業者によく知られた
方法、好ましくは、担体(B)表面に本ストレプトリジ
ンOステロイド化合物複合体を物理的に吸着させること
によって、あるいは、本ストレプトリジンOステロイド
化合物複合体の反応性誘導体をこれと反応可能な官能基
を有する担体(B)表面または活性化された担体(B)
表面へ化学的に結合させることによって行うことができ
るが、簡便には、担体(B)表面上に本ストレプトリジ
ンOステロイド化合物複合体を物理的に吸着させること
によって行えばよい。
【0054】本ストレプトリジンOステロイド化合物複
合体を用いて被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を免
疫学的に決定する方法の実施において、本ストレプトリ
ジンOステロイド化合物複合体を固相化した担体(B)
の有利な態様としては、本ストレプトリジンOステロイ
ド化合物複合体が担体(B)単位面積(cm2 )あたり
に通常0.001pmol〜10nmol、好ましく
は、0.01pmol〜1nmolの範囲で結合してい
る担体(B)を挙げることができる。
【0055】以下に本ストレプトリジンOステロイド化
合物複合体を使用して被検液中の抗ストレプトリジンO
抗体を免疫学的に決定する具体的方法の例を示すが、基
本的に、反応条件等は、本ストレプトリジンOステロイ
ド化合物複合体の担体(B)への吸着あるいは抗原抗体
反応等を阻害せず、かつ、用いられる試薬類の性質(例
えば、標識物質が用いられる場合においては、標識物質
の有する検出可能な性質等)等を失活させない条件であ
れば特に限定されず、それぞれの決定法の原理、あるい
は他の要因を考慮して、最適と思われる条件をそれぞれ
の決定法に通常用いられる公知の反応条件から選択すれ
ばよい。
【0056】本ストレプトリジンOステロイド化合物複
合体を使用して被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を
免疫学的に決定する具体的方法の例としては、例えば、
粒径が0.01μm〜100μmの範囲であるラテック
ス粒子を担体(B)として使用する場合には、本ストレ
プトリジンOステロイド化合物複合体をタンパク質濃度
として通常0.05mg/ml〜5mg/ml、好まし
くは、0.1mg/ml〜2mg/mlの範囲で水また
は適当な緩衝液に溶解させた溶液に該担体を通常0.1
%〜10%(w/v)、好ましくは、0.5%〜5%
(w/v)の濃度範囲になるよう懸濁させ、通常0℃〜
60℃、好ましくは、4℃〜40℃の温度範囲で、通常
10分間〜48時間、好ましくは、30分間〜24時間
の時間範囲で静置、撹拌あるいは振とうした後、必要に
応じて該担体を、例えば、当業者によく知られた遠心洗
浄法または膜ろ過法等により水または適当な緩衝液で洗
浄し、本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体固
相化ラテックス粒子を得ることができる。
【0057】この工程の後、必要に応じて、該担体への
タンパク質等の非特異的吸着の防止を目的として、自体
公知の抗原抗体反応を利用した抗原または抗体の免疫学
的決定法において通常用いられる方法で、例えば、ウシ
血清アルブミン(BSA),ゼラチン、スキムミルクま
たはミルク由来タンパク質、植物由来タンパク質等のタ
ンパク質等で該担体を処理することは任意である。
【0058】次に、当業者によく知られた免疫学的決定
法、例えば、ラテックス凝集光学的免疫測定(late
x photometric immunoassa
y)法(櫻林郁之介ら、日本臨床、第48巻、増刊号
(下巻)、1356頁〜1361頁、1990年)に準
じて、該担体と被検液または希釈された被検液とを混合
(このとき、反応液中の該担体濃度が0.01%〜1%
(w/v)、好ましくは、0.05%〜0.5%(w/
v)の範囲であることが望ましい)し、抗原抗体反応の
結果生じる濁りを光学的に測定、例えば、任意の波長、
好適には400nm〜1800nmの範囲の適宜な波長
にて、一定時間範囲内の吸光度変化量または一定の吸光
度に達するまでの時間を測定する。
【0059】この結果と抗ストレプトリジンO抗体標準
液で求めた検量線とを比較することによって被検液中の
抗ストレプトリジンO抗体を決定する方法、免疫比ろう
測定(nephelometric immunoas
say)法(山岸安子、臨床検査、第23巻、臨時増
刊、1286頁〜1289頁、1979年)に準じて、
該担体と被検液または希釈された被検液とを混合するこ
とにより生じた抗原抗体複合体に光(レーザー光)を照
射し、その散乱光の強度の変化量を測定し、この結果と
抗ストレプトリジンO抗体標準液で求めた検量線とを比
較することによって被検液中の抗ストレプトリジンO抗
体を決定する方法、ラテックススライド凝集法(Bac
h,G.L.ら、Amer.J.Clin.Pat
h.、第52巻、126頁〜128頁、1969年)に
準じて、該担体と被検液または希釈された被検液とを判
定板上で混合し、抗原抗体反応によるラテックス粒子の
凝集の有無を目視で確認することによって被検液中の抗
ストレプトリジンO抗体を決定する方法、または、カウ
ンティングイムノアッセイ(counting imm
unoassay)法(橋本好一ら、検査と技術、第2
2巻、第5号、増刊号、67頁〜68頁、1994年)
に準じて、該担体と被検液または希釈された被検液とを
混合し、抗原抗体反応の結果生じる凝集物の大きさおよ
び数を測定し、この結果と抗ストレプトリジンO抗体標
準液で求めた検量線とを比較することによって被検液中
の抗ストレプトリジンO抗体を決定する方法等を挙げる
ことができる。
【0060】また、例えば、ウエル内容量が300μl
であるマイクロタイタープレートを担体(B)として使
用する場合には、本ストレプトリジンOステロイド化合
物複合体をタンパク質濃度として通常0.1μg/ml
〜10mg/ml、好ましくは1μg/ml〜1mg/
mlの範囲で水または適当な緩衝液に溶解させた溶液を
該担体のウエルにウエルあたり通常25μl〜300μ
l、好ましくは、50μl〜200μl添加し、通常0
℃〜70℃、好ましくは、4℃〜40℃の温度範囲で、
通常10分間〜48時間、好ましくは、30分間〜24
時間の時間範囲で静置、撹拌あるいは振とうして反応さ
せた後、ウエルを水または適当な緩衝液で洗浄すること
によって本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体
を該担体に固相化させる。
【0061】次に、該担体へのタンパク質等の非特異的
吸着の防止を目的として、自体公知の抗原抗体反応を利
用した抗原または抗体の免疫学的決定法において通常用
いられる、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼ
ラチン、スキムミルクまたはミルク由来タンパク質、植
物由来タンパク質等のタンパク質等を、通常0.05%
〜10%、好ましくは、0.5%〜5%の濃度範囲で水
または適当な緩衝液に溶解した液を該担体のウエルにウ
エルあたり通常25μl〜300μl、好ましくは、5
0μl〜200μl添加し、通常0℃〜70℃、好まし
くは、4℃〜40℃の温度範囲で、通常10分間〜48
時間、好ましくは、30分間〜24時間の時間範囲で静
置、撹拌あるいは振とうして反応させた後、ウエルを水
または適当な緩衝液で洗浄する。
【0062】さらに、当業者によく知られた免疫学的決
定法、例えば、エンザイムイムノアッセイ(enzym
eimmunoassay)法(酵素免疫測定法、石川
榮治・河合 忠・宮井 潔編集、第3版、31頁〜54
頁、医学書院(株)、1987年5月15日発行)に準
じて、該担体のウエルに被検液または希釈された被検液
をウエルあたり通常25μl〜300μl、好ましく
は、50μl〜200μlを添加し、通常0℃〜70
℃、好ましくは、4℃〜40℃の温度範囲で、通常5分
間〜48時間、好ましくは、10分間〜24時間の時間
範囲で静置、撹拌あるいは振とうして反応させた後、ウ
エルを水または適当な緩衝液で洗浄する。次いで、標識
剤(例えば、エンザイムイムノアッセイ法において通常
使用されるすべての酵素から、好ましくは、ペルオキシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダ
ーゼまたはグルコースオキシダーゼ等から適宜選択され
た標識剤)で標識された、測定対象である被検液中の抗
ストレプトリジンO抗体と結合する抗体(例えば、被検
液中の抗ストレプトリジンO抗体と結合する、ポリクロ
ーナル抗体、モノクローナル抗体、または、これらの酵
素分解フラグメント(例えば、F( ab')2 、F( a
b)2、Fab' 、Fab等)等の抗体)を含有する溶液
をウエルあたり通常25μl〜300μl、好ましく
は、50μl〜200μlを添加し、通常0℃〜70
℃、好ましくは、4℃〜40℃の温度範囲で、通常5分
間〜48時間、好ましくは、10分間〜24時間の時間
範囲で静置、撹拌あるいは振とうして反応させた後、ウ
エルを水または適当な緩衝液で洗浄する。
【0063】次いで、抗原抗体複合体を介して該担体に
結合した標識剤の活性を測定し、この結果と抗ストレプ
トリジンO抗体標準液で求めた検量線とを比較すること
によって被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を決定す
る方法、免疫蛍光(fluoroimmunoassa
y)法に準じて、該担体と被検液または希釈された被検
液とを反応させ、次いで、蛍光物質(例えば、フルオレ
セインイソチオシアネート(fluorescein
isothiocyanate)、テトラメチルローダ
ミンイソチオシアネート(tetramethyl r
hodamine isothiocyanate)等
の蛍光物質)で標識された、測定対象である被検液中の
抗ストレプトリジンO抗体と結合する抗体を反応させ、
次いで、抗原抗体複合体を介して該担体に結合した蛍光
物質の活性を測定する。
【0064】この結果と抗ストレプトリジンO抗体標準
液で求めた検量線とを比較することによって被検液中の
抗ストレプトリジンO抗体を決定する方法、ラジオイム
ノアッセイ(radioimmunoassay)法に
準じて、該担体と被検液または希釈された被検液とを反
応させ、次いで、放射性物質(例えば、ヨード−12
5、ヨード−131、インジウム−111、テクネチウ
ム−99m等の放射性物質)で標識された、測定対象で
ある被検液中の抗ストレプトリジンO抗体と結合する抗
体を反応させ、次いで、抗原抗体複合体を介して該担体
に結合した蛍光物質の活性を測定し、この結果と抗スト
レプトリジンO抗体標準液で求めた検量線とを比較する
ことによって被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を決
定する方法等を挙げることができる。
【0065】また、例えば、テストチューブ等の容器を
担体(B)として使用する場合には、該担体の容積、容
量およびその他の要因を考慮して、マイクロタイタープ
レートの方法に準じて行えばよい。また、例えば、ビー
ズまたはボール等を担体(B)として使用する場合に
は、任意の反応容器中で、該担体の表面積、個数、反応
容器等の容量およびその他の要因を考慮して、マイクロ
タイタープレートの方法に準じて行えばよい。
【0066】また、例えば、メンブレン等を担体(B)
として使用する場合には、任意の反応容器中で、該担体
の表面積、枚数、反応容器等の容量およびその他の要因
を考慮して、マイクロタイタープレートの方法に準じて
行えばよい。さらに、本ストレプトリジンOステロイド
化合物複合体を使用して被検液中の抗ストレプトリジン
O抗体を免疫学的に決定する具体的方法の例として、例
えば、当業者によく知られた免疫比濁測定(turbi
dimetric immunoassay)法(富山
哲雄、臨床病理、第35巻、868頁〜873頁、19
87年)に準じて、本ストレプトリジンOステロイド化
合物複合体を通常0.01mg/ml〜10mg/m
l、好ましくは、0.1mg/ml〜1mg/mlの範
囲で含む溶液と被検液または希釈された被検液とを反応
セル中で混合し、任意の波長、好適には300nm〜4
00nmの範囲の適宜な波長、最適には340nmの波
長にて、一定時間範囲内の吸光度の変化量または一定の
吸光度に達するまでの時間を測定し、この結果と抗スト
レプトリジンO抗体標準液で求めた検量線とを比較する
ことによって被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を決
定する方法等を挙げることができる。
【0067】本発明における抗原抗体反応の生成物を確
認または定量する方法は、用手法に限らず、自動分析装
置を利用した方法であってもよい。本発明において、例
えば、ラテックス凝集光学的免疫測定(latex p
hotometric immunoassay)法に
より、本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体固
相化ラテックス粒子を用いて被検液中の抗ストレプトリ
ジンO抗体を決定する場合においては、例えば、被検液
分注、被検液希釈、試薬分注、吸光度測定、データ処理
等を自動システム化した装置である日立705、705
0、7150、736、7070等の自動分析機が利用
でき、詳しくは、例えば、粒径0.01μm〜1.6μ
m、好ましくは、0.05μm〜1μmの本ストレプト
リジンOステロイド化合物複合体固相化ラテックス粒子
を0.01%〜1%(w/v)、好ましくは、0.05
%〜0.5%(w/v)の範囲で含む溶液と被検液また
は希釈された被検液とを反応セル中で混合し、任意の波
長、好適には400nm〜1800nmの範囲の適宜な
波長にて、一定時間範囲内の吸光度の変化量または一定
の吸光度に達するまでの時間を測定し、この結果と抗ス
トレプトリジンO抗体標準液で求めた検量線とを比較す
ることによって被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を
決定できる。
【0068】また、例えば、エンザイムイムノアッセイ
法により、本ストレプトリジンOステロイド化合物複合
体固相化マイクロタイタープレートまたは本ストレプト
リジンOステロイド化合物複合体固相化テストチューブ
等を用いて被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を決定
する場合においては、例えば、被検液希釈、被検液分
注、試薬分注、担体洗浄、吸光度測定、データ処理等を
自動システム化した装置であるBECKMAN Bio
mek 1000 Automated Labora
tory Workstation(ベックマン社
製)、CELL ASSAY−2000 ROBOTI
C ASSAY SYSTEM(モリテックス(株)
製)等が利用でき、詳しくは、本ストレプトリジンOス
テロイド化合物複合体固相化マイクロタイタープレート
または本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体固
相化テストチューブに被検液または希釈された被検液、
酵素標識抗体および基質液を洗浄操作を挿んで順次反応
させ、必要に応じて酵素反応停止液を反応させた後、標
識酵素と用いた基質との関係による酵素反応での発色を
公知の測定条件から選択された任意の波長にて測定し、
この結果と抗ストレプトリジンO抗体標準液で求めた検
量線とを比較することによって被検液中の抗ストレプト
リジンO抗体を決定できる。
【0069】また、例えば、エンザイムイムノアッセイ
法により、本ストレプトリジンOステロイド化合物複合
体固相化ビーズ等を用いて被検液中の抗ストレプトリジ
ンO抗体を決定する場合においては、例えば、被検液希
釈、被検液分注、試薬分注、洗浄操作、吸光度測定、デ
ータ処理等を自動システム化した装置であるアロカAE
C−2000 POSEIDON II(アロカ社製)
等が利用でき、詳しくは、本ストレプトリジンOステロ
イド化合物複合体固相化ビーズに被検液または希釈され
た被検液、酵素標識抗体および基質液を洗浄操作を挿ん
で順次反応させ、必要に応じて酵素反応停止液を反応さ
せた後、標識酵素と用いた基質との関係による酵素反応
での発色を公知の測定条件から選択された任意の波長に
て測定し、この結果と抗ストレプトリジンO抗体標準液
で求めた検量線とを比較することによって被検液中の抗
ストレプトリジンO抗体を決定できる。
【0070】さらに、例えば、免疫比濁測定(turb
idimetric immunoassay)法によ
り、被検液中の抗ストレプトリジンO抗体を決定する場
合においては、例えば、被検液分注、被検液希釈、試薬
分注、吸光度測定、データ処理等を自動システム化した
装置である日立705、7050、7150、736、
7070等の自動分析機が利用でき、詳しくは、例え
ば、本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体を通
常0.01mg/ml〜10mg/ml、好ましくは、
0.1mg/ml〜1mg/mlの範囲で含む溶液と被
検液または希釈された被検液とを反応セル中で混合し、
任意の波長、好適には300nm〜400nmの範囲の
適宜な波長、最適には340nmの波長にて、一定時間
範囲内の吸光度の変化量または一定の吸光度に達するま
での時間を測定し、この結果と抗ストレプトリジンO抗
体標準液で求めた検量線とを比較することによって被検
液中の抗ストレプトリジンO抗体を決定することができ
る。
【0071】本発明による被検液中の抗ストレプトリジ
ンO抗体を免疫学的に決定する方法は、その実施に必要
な試薬類をキットにしておくと、操作がさらに容易とな
る。また、自動分析装置を使って本発明を実施する場合
においても有利である。上記キットは、本ストレプトリ
ジンOステロイド化合物複合体固相化担体または本スト
レプトリジンOステロイド化合物複合体がキット構成試
薬の一つとなっていると特に有利である。また、当然の
ことながら、上記の他に本発明の実施に必要なその他の
試薬類(例えば、緩衝剤、標準抗ストレプトリジンO抗
体、標識抗体、基質、基質溶解剤、反応停止剤等)がキ
ットの構成試薬として適宜含まれていてもよい。
【0072】本発明によって取得されるストレプトリジ
ンOステロイド化合物複合体は、また、抗ストレプトリ
ジンO抗体を取得するための免疫アフィニティークロマ
トグラフィーにおけるリガンドとして好適に使用でき、
これは、例えば、物理的吸着あるいは化学的結合を利用
して本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体を不
溶性担体、例えば、CNBr活性化セファロース4B
(CNBr−Activated Sepharose
4B、ファルマシア社製)等に常法に従ってリガンド
として結合させ、これと分離したい抗ストレプトリジン
O抗体を含有する溶液を反応させた後、水または適当な
緩衝液で該担体を洗浄して非結合物を分離する。次い
で、当業者によく知られた抗原抗体複合体の解離剤、例
えば、グリシン塩酸緩衝液(pH2.5)、4.5M塩
化マグネシウム溶液(pH7.5)、50%(v/v)
エチレングリコール溶液、1Mプロピオン酸溶液(pH
2.5)、8M尿素溶液(pH6.0)、または、6M
塩酸グアニジン溶液(pH3.1)等を反応させること
により、迅速に抗ストレプトリジンO抗体を効率よく取
り出すことができる。
【0073】本発明によって取得されるストレプトリジ
ンOステロイド化合物複合体は、さらに、免疫感作用抗
原物質として好適に使用でき、これによって、抗ストレ
プトリジンO血清、抗ストレプトリジンOポリクローナ
ル抗体の取得、または、抗ストレプトリジンOモノクロ
ーナル抗体作製のための抗ストレプトリジンO抗体産生
B細胞を、例えば、免疫感作した小動物の脾臓等から取
得できる。本ストレプトリジンOステロイド化合物複合
体の免疫感作用抗原物質としての使用方法の例として
は、例えば、ヒツジ、ヤギ、あるいは、ウサギ等に対し
て免疫感作を行う場合には、本ストレプトリジンOステ
ロイド化合物複合体とフロイント完全アジュバントまた
はフロイント不完全アジュバントのエマルジョンを1匹
あたり本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体の
量として通常10μg〜500μgの範囲で皮下、腹
腔、または、筋注投与し、これを7日〜30日毎に2〜
10回程度行えばよい。また、例えば、マウス、ラッ
ト、あるいは、ハムスター等に対して免疫感作を行う場
合には、本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体
とフロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全
アジュバントのエマルジョンを1匹あたり本ストレプト
リジンOステロイド化合物複合体の量として通常1μg
〜50μgの範囲で皮下、腹腔、または、筋注投与し、
これを7日〜30日毎に2〜10回程度行えばよい。
【0074】
【発明の実施の形態】以下に実施例によりさらに詳しく
説明するが、本発明は、これらによって限定されるもの
ではない。
【0075】
【実施例1】コレステロール固定化担体とストレプトリ
ジンOとの反応性の検討 (1)ストレプトリジンO含有溶液の調製 トッド−ヘウイトブロス(Todd−Hewitt B
roth:Difco社製)培地2.5リットルにてA
群溶血性連鎖球菌(Streptococcus py
ogenes)3型菌D58X株(ATCC1238
3)を37℃で16時間培養した後、遠心分離およびろ
過にて除菌培養液を回収した。この除菌培養液に飽和硫
安を添加して40%飽和とし、生じた沈澱を100ml
の精製水に溶解した。この液を精製水およびPBSに対
して透析を行って硫安を除去した後、PBSで平衡化し
たセファデックスG−100(ゲル量1リットル)にて
ゲルろ過を行い、溶血活性を指標にしてストレプトリジ
ンO分画を回収した。濃縮により、280nmにて測定
される吸光度が0.825を示し、溶血活性が8192
溶血単位(HU)/mlを示すストレプトリジンO含有
液12mlを得た。溶血活性の測定は、新鮮なウサギ脱
繊維赤血球(日本バイオテスト研究所(株)製)をPB
Sにて5回遠心洗浄した後、1%(v/v)赤血球懸濁
液になるようPBSにて調製した液2mlとストレプト
リジンO含有溶液をPBSにて等比希釈した液1mlと
をガラス試験管中で混合し、37℃で30分間インキュ
ベートした後、100%溶血を示すストレプトリジンO
含有溶液の最高希釈倍数を確認し、それをストレプトリ
ジンO含有溶液1mlあたりのHU値と定めた。 (2)コレステロール固定化担体の作製 マイクロタイタープレート(住友ベークライト(株)
製)に1mg/ml濃度のコレステロール(半井化学薬
品(株)製)エタノール溶液をウエルあたり100μl
添加し、60℃で2時間静置し、溶媒を留去させること
によってコレステロール固定化マイクロタイタープレー
トを作製した。また、対照としてコレステロールを含ま
ないエタノール溶液を用いて同様に処理したコレステロ
ール非固定化マイクロタイタープレートを作製した。 (3−1)コレステロール固定化担体とストレプトリジ
ンO含有溶液との反応1 (1)により調製されたストレプトリジンO含有溶液を
PBSにて20培希釈し、(2)により作製されたコレ
ステロール固定化マイクロタイタープレートおよびコレ
ステロール非固定化マイクロタイタープレートの各ウエ
ルにウエルあたり50μlずつ添加し、室温で2時間反
応させた。反応液を各ウエルから回収し、各回収液につ
いてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS
−PAGE)分析および溶血活性の測定(実施例1
(1)に記載の方法)を行い、反応前と比較した。
【0076】SDS−PAGEは、12.5%ポリアク
リルアミドゲルを用い、ラエンムリ(Laemmli,
U.K.、Nature、第227巻、680頁〜68
5頁、1970年)の方法に準じて行った。同一のゲル
において、SDS−PAGE分子量スタンダードローレ
ンジ(ホスフォリラーゼB:92500、ウシ血清アル
ブミン:66200、オボアルブミン:45000、カ
ルボニックアンヒドラーゼ:31000、ソイビーント
リプシンインヒビター:21500、リゾチーム:14
400;バイオラッド社製)を泳動し、SDS−PAG
Eにより分離された各回収液および反応前液の各タンパ
クバンドの分子量を確認するための目安とした(図1
中、レーン1)。泳動後のゲルは、銀染色キットワコー
(和光純薬工業(株)製)にて銀染色を施した。 (3−2)コレステロール固定化担体とストレプトリジ
ンO含有溶液との反応2 (1)により調製されたストレプトリジンO含有溶液を
PBSにて20培希釈し、(2)により作製されたコレ
ステロール固定化マイクロタイタープレートのウエルに
ウエルあたり100μl添加し、室温で4時間反応させ
た。反応液をウエルから除去し、PBSでウエルを3回
洗浄した後、0.1%(w/v)の濃度でドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)(和光純薬工業(株)製)を含む
PBSをウエルあたり100μl添加し、室温で1時間
プレートを振とうさせて吸着物質を溶出した。この溶出
液についてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(SDS−PAGE)分析を行い、反応前と比較した。
SDS−PAGEは、12.5%ポリアクリルアミドゲ
ルを用い、ラエンムリ(Laemmli,U.K.、N
ature、第227巻、680頁〜685頁、197
0年)の方法に準じて行った。同一のゲルにおいて、S
DS−PAGE分子量スタンダードローレンジ(ホスフ
ォリラーゼB:92500、ウシ血清アルブミン:66
200、オボアルブミン:45000、カルボニックア
ンヒドラーゼ:31000、ソイビーントリプシンイン
ヒビター:21500、リゾチーム:14400;バイ
オラッド社製)を泳動し、SDS−PAGEにより分離
された溶出液および反応前液の各タンパクバンドの分子
量を確認するための目安とした(図2中、レーン3)。
泳動後のゲルは、銀染色キットワコー(和光純薬工業
(株)製)にて銀染色を施した。 (4)結果 (3−1)の結果、図1に示すSDS−PAGEパター
ンを得た。図1中、レーン2はコレステロール固定化マ
イクロタイタープレートまたはコレステロール非固定化
マイクロタイタープレートに反応させる前の液(反応前
液)、すなわち(1)により調製されたストレプトリジ
ンO含有溶液をPBSにて20培希釈した液に含まれる
タンパク質の分離パターンを意味し、また、図1中、レ
ーン3はコレステロール固定化マイクロタイタープレー
トから回収された回収液に含まれるタンパク質の分離パ
ターンを意味し、さらに、図1中、レーン4はコレステ
ロール非固定化マイクロタイタープレートから回収され
た回収液に含まれるタンパク質の分離パターンを意味す
るもので、この結果から、(3−1)の結果分子量66
000〜69000および55000〜58000を示
すストレプトリジンOのバンドが、コレステロール固定
化担体と反応させることによって選択的に結合して消失
したことが確認された。また、コレステロール固定化マ
イクロタイタープレートからの回収液残渣の溶血活性
は、反応前の活性の0.8%が回収されたにすぎなかっ
た。
【0077】一方、(3−2)の結果、図2に示すSD
S−PAGEパターンを得た。図2中、レーン1はコレ
ステロール固定化マイクロタイタープレートから(3−
2)の方法によって溶出された溶出液に含まれるタンパ
ク質の分離パターンを意味し、また、図2中、レーン2
はコレステロール固定化マイクロタイタープレートに反
応させる前の液(反応前液)、すなわち(1)により調
製されたストレプトリジンO含有溶液をPBSにて20
培希釈した液に含まれるタンパク質の分離パターンを意
味するもので、この結果から、(3−1)の結果ストレ
プトリジンO含有溶液中から消失した分子量66000
〜69000および55000〜58000を示すスト
レプトリジンOが、実際にコレステロール固定化担体に
結合していたことが確認された。
【0078】以上の結果より、ストレプトリジンO含有
溶液中の溶血活性を有するストレプトリジンOだけを特
異的にコレステロール固定化担体に結合させ、かつ、結
合成分を回収できることが判明した。
【0079】
【実施例2】 抗ストレプトリジンO抗体との反応性の検討 (1)本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体の
調製方法 実施例1(1)により調製されたストレプトリジンO含
有溶液をPBSにて20培希釈した溶液または対照液と
してのPBSを実施例1(2)に記載の方法で作製した
コレステロール固定化マイクロタイタープレートのウエ
ルにウエルあたり100μl添加し、室温で2時間反応
させた。反応液をウエルから除去し、PBSで各ウエル
を3回洗浄した後、0.1%(v/v)濃度のポリオキ
シエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(和光純
薬工業(株)製)、0.1%(v/v)濃度のポリオキ
シエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(和光純
薬工業(株)製)、0.1%(w/v)濃度のドデシル
硫酸ナトリウム(SDS)(和光純薬工業(株)製)ま
たは2%(w/v)濃度の3−[(3−コラミドプロピ
ル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート
(ナカライテスク(株)製)を含むPBS溶液、また
は、PBSをウエルあたり100μl添加し、4℃で1
時間プレートを振とうさせて吸着物質を溶離させた。 (2)免疫複合体の検出方法 (1)により得られた吸着物質を溶離させた溶液をPB
Sにて800倍に希釈し、これを新しく用意された未処
理のマイクロタイタープレート(住友ベークライト
(株)製)のウエルにウエルあたり50μl添加し、室
温で4時間反応させた。PBSにてウエルを7回洗浄し
た後、5%(w/v)濃度のスキムミルク(雪印乳業
(株)製)を含むPBSをウエルあたり100μl添加
し、室温で2時間反応させた。PBSにてウエルを2回
洗浄した後、抗ストレプトリジンO抗体国内標準品(1
31IU/ml、国立予防衛生研究所より入手)を0.
5%(w/v)濃度のスキムミルクを含むPBSにて5
00培希釈した溶液をウエルあたり50μl添加し、室
温で1時間反応させた。PBSにてウエルを7回洗浄し
た後、酵素標識抗体としてアルカリホスファターゼ標識
ヤギF( ab')2 抗ヒトIgG(タゴ社製)を0.5%
(w/v)濃度のスキムミルクを含むPBSにて100
0倍希釈した溶液をウエルあたり50μl添加し、室温
で1時間反応させた。次いで、PBSでウエルを7回洗
浄した後、基質液としてp−ニトロフェニルリン酸(和
光純薬工業(株)製)を0.5mg/ml濃度となるよ
うにジエタノールアミン緩衝液(pH9.5)にて溶解
した溶液をウエルあたり100μl添加し、室温で15
分間反応させた。次いで、0.5N水酸化ナトリウム水
溶液をウエルあたり100μl添加して酵素反応を停止
させ、405nmの吸光度(ΔE)を測定した。 (3)結果 (2)の結果を図3に示した。この結果から、ストレプ
トリジンO含有溶液から取得された成分は抗ストレプト
リジンO抗体との免疫反応性を保持し、抗原として使用
できることが判明した。
【0080】
【実施例3】 本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体の溶血活
性の確認 (1)本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体の
調製方法 実施例1(1)により調製されたストレプトリジンO含
有溶液5mlをPBS5mlと混合し、実施例1(2)
に記載の方法により調製されたコレステロール固定化マ
イクロタイタープレート1枚にウエルあたり100μl
ずつ均等に分注、室温で4時間反応させた。反応液をウ
エルから除去し、PBSでウエルを3回洗浄した後、2
%(w/v)3−[(3−コラミドプロピル)ジメチル
アンモニオ]−1−プロパンスルホネート(ナカライテ
スク(株)製)PBS溶液をウエルあたり100μl添
加し、4℃で1時間プレートを振とうさせて吸着物質を
溶離させた。吸着物質を溶離させた溶液を集め、本スト
レプトリジンOステロイド化合物複合体溶液とした。ま
た、実施例1(1)により調製されたストレプトリジン
O含有溶液0.5mlを4%(w/v)3−[(3−コ
ラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン
スルホネートPBS溶液0.5mlと混合し、対照スト
レプトリジンO溶液とした。 (2)溶血活性確認方法 MonoQカラム(Mono Q prepacked
HR5/5、ファルマシア LKB バイオテクノロ
ジー社製)を接続させた、L−6200形ポンプ、1ポ
ンプ(低圧)グラジエントユニット、L−4000形U
V検出器、D−2500形データ処理装置、インジェク
タ等を組み合わせた日立1ポンプ(低圧)グラジエント
システムを用い、0.02%(w/v)アジ化ナトリウ
ム(和光純薬工業(株)製)および0.05%(w/
v)3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニ
オ]−1−プロパンスルホネート(ナカライテスク
(株)製)を含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
6)(以下、溶離液Aという)で平衡化させたMono
Qカラムに、(1)に記載の本ストレプトリジンOステ
ロイド化合物複合体溶液、または、対照ストレプトリジ
ンO溶液1mlをかけた後、溶離液Aを流して非吸着分
を溶出させ、次に、0.5M塩化ナトリウム(和光純薬
工業(株)製)を含む溶離液A(以下、溶離液Bとい
う)を流し、溶出タンパク分画を回収した。流速は1m
l/minで、タンパクの検出はUV検出器により28
0nmの波長で行った。次に、本ストレプトリジンOス
テロイド化合物複合体溶液または対照ストレプトリジン
O溶液からの溶離液Bによる溶出タンパク分画中に、遊
離コレステロールが存在しないことをコレステロールC
II−テストワコー(和光純薬工業(株)製)にて確認
すると同時に、本ストレプトリジンOステロイド化合物
複合体、または、対照ストレプトリジンOが存在するこ
とを実施例2(2)に記載の方法に準じて確認した後、
本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体溶液、ま
たは、対照ストレプトリジンO溶液からの溶離液Bによ
る溶出タンパク分画液の溶血活性を実施例1(1)に記
載の溶血活性測定法で確認した。 (3)結果 (2)の結果、対照ストレプトリジンO溶液からの溶離
液Bによる溶出タンパク分画液に溶血活性が確認された
(4096HU/ml)のに対し、本ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体溶液からの溶離液Bによる溶
出タンパク分画液では溶血活性が確認されなかった(1
HU/ml以下)。このことから、本ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体は、溶血毒素としての性質が
完全に中和されていることが判明した。
【0081】
【実施例4】 抗ストレプトリジンO抗体価の測定 (1)本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体固
相化ラテックス粒子の作製 粒径0.12μmのポリスチレン製ラテックス粒子(積
水化学工業(株)製)をPBSにて1%(w/v)懸濁
液となるよう調製し、このラテックス粒子懸濁液1容量
部に対し、実施例3(1)により調製された本ストレプ
トリジンOステロイド化合物複合体溶液をPBSにて
0.5mg/ml濃度に調製した溶液1容量部を添加
し、室温で4時間反応させた。反応後、16000回転
で20分間遠心してラテックス粒子を回収し、1%(w
/v)ラテックス粒子懸濁液となるようPBSに再懸濁
した。次に、このラテックス粒子懸濁液1容量部に対
し、4%(w/v)濃度のウシ血清アルブミン(シグマ
社製)PBS溶液1容量部を添加し、室温で2時間反応
させた。反応後、16000回転で20分間遠心してラ
テックス粒子を回収した後、1%(w/v)ラテックス
粒子懸濁液となるようPBSに再懸濁し、16000回
転で20分間遠心してラテックス粒子を洗浄した。回収
したラテックス粒子を0.15%(w/v)ラテックス
懸濁液となるようPBSに再懸濁し本ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体固相化ラテックス粒子を得
た。 (2)被検液中の抗ストレプトリジンO抗体価の測定 (1)により作製された本ストレプトリジンOステロイ
ド化合物複合体固相化ラテックス粒子懸濁液200μl
に対し、PBS290μlおよび血清被検液10μlを
添加し、37℃温度条件下で添加直後から5分間までの
700nmにおける吸光度変化(ΔE)を測定した。血
清被検液の抗ストレプトリジンO抗体価は、あらかじめ
抗ストレプトリジンO抗体国内標準品(国立予防衛生研
究所より入手)を用いて本法により作製された検量線か
ら求めた。また、同血清被検液について、株式会社日本
凍結乾燥研究所製の抗ストレプトリジンO抗体価測定用
試薬ストレプトリジンO(KW)を用い、その使用法に
基づいてランツ・ランダール法による抗ストレプトリジ
ンO抗体価を求めた。 (3)結果 本法での抗ストレプトリジンO抗体価の検量線を図4に
示した。図4の結果から、本発明の方法により良好な検
量線が得られることが判明した。また、本法と従来法で
あるランツ・ランダール法との相関を図5に示した。図
5の結果から、本発明による方法は、ランツ・ランダー
ル法と良好な相関関係を示すことが判明した。
【0082】
【実施例5】 免疫感作試験 (1)免疫感作方法 実施例3(1)により調製された本ストレプトリジンO
ステロイド化合物複合体溶液をPBSに40μg/ml
濃度に調製した溶液2mlとフロイント完全アジュバン
ト(DIFCO社製)2mlを混和し、油中水型エマル
ジョンを作製した。このエマルジョンを0.5mlずつ
1mlツベルクリン用注射筒(0.45x13mm注射
針付、テルモ(株)製)にとり、メス4週齢のバルブ/
cマウス7匹のうち5匹に0.5mlずつ皮下投与し
(初回免疫感作)、残り2匹を対照マウスとした。初回
免疫感作後7日目に、実施例3(1)により調製された
本ストレプトリジンOステロイド化合物複合体溶液をP
BSに40μg/ml濃度に調製した溶液2mlとフロ
イント不完全アジュバント(DIFCO社製)2mlを
混和し、油中水型エマルジョンを作製し、初回免疫感作
時と同様の方法で0.5mlずつ2回目の免疫感作を行
った。さらに7日後、2回目免疫感作時と同様の方法で
3回目の免疫感作を行った。以後7日おきに2回目以降
と同様の方法で免疫感作を繰り返し、初回免疫感作から
42日目に眼底採血法により5匹全てから血液を得、血
清を分離した。同時に、免疫感作を行っていない対照マ
ウス2匹からも同様の方法で血液を採取し、血清を分離
した。 (2)血清中のマウス抗ストレプトリジンO抗体の確認
方法 実施例1(1)により調製されたストレプトリジンO含
有溶液をPBSにて100倍に希釈し、これをマイクロ
タイタープレート(住友ベークライト(株)製)のウエ
ルにウエルあたり50μlずつ添加し、室温で4時間反
応させた。PBSにてウエルを7回洗浄した後、5%
(w/v)濃度のスキムミルク(雪印乳業(株)製)を
含むPBSをウエルあたり100μl添加し、室温で2
時間反応させた。PBSにてウエルを2回洗浄した後、
(1)により得られた各血清を0.5%(w/v)濃度
のスキムミルクを含むPBSにて500培希釈し、ウエ
ルあたり50μl添加し、室温で1時間反応させた。P
BSにてウエルを7回洗浄した後、酵素標識抗体として
アルカリホスファターゼ標識ヤギF( ab')2 抗マウス
IgG(タゴ社製)を0.5%(w/v)濃度のスキム
ミルクを含むPBSにて2000倍希釈した溶液をウエ
ルあたり50μl添加し、室温で1時間反応させた。次
いで、PBSでウエルを7回洗浄した後、基質液として
p−ニトロフェニルリン酸(和光純薬工業(株)製)を
0.5mg/ml濃度となるようにジエタノールアミン
緩衝液(pH9.5)にて溶解した溶液をウエルあたり
100μl添加し、室温で15分間反応させた。次い
で、0.5N水酸化ナトリウム水溶液をウエルあたり1
00μl添加して酵素反応を停止させ、405nmの吸
光度(ΔE)を測定した。 (3)結果 各血清のストレプトリジンOとの反応性を図6に示し
た。この結果より、免疫感作したマウス5匹から得られ
た血清では抗ストレプトリジンO抗体価が上昇している
ことが確認された。また、免疫感作期間中において5匹
すべてのマウスが生存したことから、本ストレプトリジ
ンOステロイド化合物複合体は、免疫感作用抗原物質と
して好適であることが判明した。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、抗ストレプトリジンO
抗体と反応特異的に結合でき、かつ、ストレプトリジン
Oのもつ溶血毒素としての性質が中和された安全性の高
いストレプトリジンOステロイド化合物複合体を簡便に
取得でき、かつ、本ストレプトリジンOステロイド化合
物複合体を抗原として用いることによってA群溶血性連
鎖球菌の感染により体液中に出現する多様な抗体群の中
から抗ストレプトリジンO抗体を反応特異的かつ簡便に
測定できる。しかも不安定な赤血球を必要とせず、か
つ、自動化が可能な測定法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1(3−1)によりコレステロ
ール固定化担体とストレプトリジンO含有溶液とを接触
させた後の回収液の電気泳動パターンを示す。
【図2】図2は、実施例1(3−2)によりコレステロ
ール固定化担体とストレプトリジンO含有溶液とを接触
させた結果、担体に結合した成分の電気泳動パターンを
示す。
【図3】図3は、実施例2における本ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体−抗ストレプトリジンO抗体
免疫複合体の検出結果を示す。
【図4】図4は、実施例4における本ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体固相化ラテックス粒子を用い
た抗ストレプトリジンO抗体価測定法による検量線を示
す。
【図5】図5は、実施例4における本ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体固相化ラテックス粒子を用い
た本発明による測定法と従来法(ランツ・ランダール
法)との相関を示す。
【図6】図6は、実施例5における本ストレプトリジン
Oステロイド化合物複合体を免疫感作したマウスおよび
対照マウスから採取された血清のストレプトリジンOと
の反応性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/569 G01N 33/569 C

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)〜(3)の工程を順次経るこ
    とを特徴とするストレプトリジンOステロイド化合物複
    合体の取得方法。 (1)ストレプトリジンOを含有する溶液と下記一般式
    [1] 【化1】 (ただし式中、R1は置換されたあるいは非置換の、不
    飽和のあるいは飽和された、コレステロール側鎖基また
    はコール酸側鎖基、R2は水素原子または水酸基、破線
    部位は飽和または二重結合部位を示す。)で表されるス
    テロイド化合物の一種以上を結合した担体(A)とを反
    応せしめてストレプトリジンOステロイド化合物複合体
    を形成せしめる工程、(2)非結合物を分離する工程、
    (3)担体(A)からストレプトリジンOステロイド化
    合物複合体を溶離せしめる工程。
  2. 【請求項2】 ステロイド化合物が、担体(A)単位面
    積あたり1nmol/cm2 〜1mmol/cm2 の結
    合量である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 一般式[1]におけるステロイド化合物
    が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、コ
    レスタノール、コプロスタノール、Δ7 −コレステノー
    ル、Δ7 −コプロステノール、β−シトステロール、7
    −デヒドロ−β−シトステロール、スチグマステロー
    ル、7−デヒドロスチグマステロール、カンペステロー
    ル、7−デヒドロカンペステロール、スチグマスタノー
    ル、Δ7−スチグマステノール、11α−ヒドロキシコ
    レステロール、Δ22−スチグマステノール、α−スピナ
    ステロール、カンペスタノール、Δ7 −カンペステノー
    ル、20α−ヒドロキシコレステロール、ブラシカステ
    ロール、エルゴステロール、セレブロステロール、7−
    デヒドロセレブロステロール、セレブロスタノール、Δ
    7 −セレブロステノール、デスモステロール、7−デヒ
    ドロデスモステロール、3β−ヒドロキシコラン酸また
    は3β−ヒドロキシ−Δ5 −コレン酸である請求項1に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 担体(A)が、微粉末、粒子、プレー
    ト、容器、メンブレンまたはクロマトグラフィー用担体
    である請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 担体(A)からストレプトリジンOステ
    ロイド化合物複合体を溶離せしめる工程が、界面活性剤
    を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 界面活性剤が、HLB値8以上である界
    面活性剤を0.01%〜10%(w/v)の濃度範囲で
    使用することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 担体(A)からストレプトリジンOステ
    ロイド化合物複合体を溶離せしめる工程が、有機溶剤を
    使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 有機溶剤が、エタノールである請求項7
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の方法により得られるス
    トレプトリジンOステロイド化合物複合体。
  10. 【請求項10】 ストレプトリジンOステロイド化合物
    複合体が、溶血活性が欠損した、分子量50000〜7
    0000である請求項9に記載のストレプトリジンOス
    テロイド化合物複合体。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の方法により得られる
    ストレプトリジンOステロイド化合物複合体を抗原物質
    として使用する方法。
  12. 【請求項12】 抗原物質が、抗ストレプトリジンO抗
    体を取得するための免疫アフィニティークロマトグラフ
    ィーにおけるリガンドとして使用する請求項11に記載
    の方法。
  13. 【請求項13】 抗原物質が、免疫感作用抗原物質とし
    て使用する請求項11に記載の方法。
  14. 【請求項14】 抗原物質が、被検液中の抗ストレプト
    リジンO抗体の免疫学的決定方法における抗原物質とし
    て使用する請求項11に記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007174977A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Japan Clinical Laboratories Inc Adamts13の分離精製方法
CN116272708A (zh) * 2023-03-16 2023-06-23 海南医学院 一种量子点-抗体复合物微球及其制备方法、应用

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