JPH09301786A - 炭素質成形体、炭素質成形体の酸化防止剤およびその酸化防止方法 - Google Patents

炭素質成形体、炭素質成形体の酸化防止剤およびその酸化防止方法

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JPH09301786A
JPH09301786A JP11805396A JP11805396A JPH09301786A JP H09301786 A JPH09301786 A JP H09301786A JP 11805396 A JP11805396 A JP 11805396A JP 11805396 A JP11805396 A JP 11805396A JP H09301786 A JPH09301786 A JP H09301786A
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carbonaceous
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oxidation
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JP11805396A
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Kenji Ushigoe
憲治 牛越
Yoshio Inoue
良男 井上
Mitsunobu Nikaido
光信 二階堂
Mitsutaka Kamiyama
光登 上山
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性等といった炭素自体の有する良好な
特性を低下させることなく、耐酸化性を向上させると共
に耐剥離性も改善された炭素質成形体を提供する。 【解決手段】 炭素質材料からなる成形体の表面に酸化
防止用ガラス皮膜を形成した耐酸化性に優れた炭素質成
形体である。この酸化防止用ガラス皮膜はホウ酸塩を含
有することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黒鉛電極,るつ
ぼ,炉等の構造材料;耐熱材料;ブレーキ材料等の如く
炭素/炭素複合材料からなる成形体(以下、炭素質成形
体と呼ぶ場合がある)の酸化を防止することのできる酸
化防止剤、および該酸化防止剤で処理された炭素質成形
体、並びにその酸化防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素質材料からなる成形体は、その主成
分である炭素が耐熱性に優れているので有用であるが、
高温で比較的容易に酸化され易いという欠点を有してい
る。そこで、この様な欠点を克服すべく様々な提案がさ
れている。
【0003】例えば、炭素質成形体を、SiO2 ,Al
23 ,TiO2 ,MgO等の金属酸化物;B4 C,S
iC等の金属炭化物;BN等の金属窒化物;金属ケイ化
物等といった耐酸化性物質の水懸濁液に含浸したり、或
いは該水懸濁液を炭素質成形体の表面に塗布する等の方
法が提案されている。ところが、上記水懸濁液は炭素質
成形体に対する密着性が悪く、その為、良好な耐酸化性
能を発揮することができないという問題があった。
【0004】そこで、炭素質成形体に対する密着性の向
上を目的として、溶射方法や気相蒸着法等により上記耐
酸化性物質を被覆する方法が行われている。しかしなが
ら、これらの方法を採用するには大規模な処理設備を必
要とし、処理費用も高くつく等、炭素材料等の一般工業
材料に適用するには極めて不経済である。
【0005】その他、ホウ酸をグリセリンに溶解した酸
化防止剤を製鋼用黒鉛電極の表面に施す方法が提案され
ている(特公昭64−6129号)。この方法は、ホウ
酸が熱分解して生じる酸化ホウ素による酸化防止作用を
期待するものであり、溶媒として、ホウ酸の溶解度が大
きいグリセリンを使用することにより高濃度の均質溶液
とし、十分な酸化防止作用を与えると共に、黒鉛電極へ
の浸透性・濡れ性を改善しようとするものである。しか
しながら、ホウ酸を熱処理して得られる酸化ホウ素の融
点は約577℃であるから、それよりも高温では酸化ホ
ウ素が液体となって黒鉛電極内部にまで侵入し、炭素自
体の有する耐摩耗性等に悪影響を及ぼす様になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、その目的は、耐摩耗性等
といった炭素自体の有する良好な特性を低下させること
なく、耐酸化性を向上させると共に耐剥離性も改善され
た炭素質成形体および該成形体の酸化防止剤、並びに該
炭素質成形体の酸化防止方法を提供しようとするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る炭素質成形体とは、炭素質材料か
らなる成形体の表面に酸化防止用ガラス皮膜を形成した
ところに要旨を有するものである。上記酸化防止用ガラ
ス皮膜がホウ酸塩を含有するものや、該皮膜の膜厚が1
0〜400μmであるものは、本発明の好ましい実施態
様である。
【0008】また、上記課題を解決することのできた炭
素質成形体の酸化防止剤は、ホウ酸塩ガラス形成性材料
を含有するところに要旨を有するものである。この材料
は、ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウムが好ましい。
更に、耐酸化性と共に耐剥離性の改善を図ることのでき
た炭素質成形体の酸化防止剤は、以下の組成成分を水に
懸濁させたところに要旨を有する。
【0009】ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウム:
70〜89.4重量部 金属窒化物,金属炭化物,金属酸化物,金属ケイ化物
よりなる群から選択される少なくとも1種の耐酸化性物
質:10〜30重量部 有機粘結剤:0.1〜2重量部 界面活性剤:0.5〜2重量部 ここで、上記耐酸化性物質としては、窒化ホウ素及び/
又は炭化ケイ素の使用が推奨される。
【0010】更に、上記課題を解決することのできた炭
素質成形体の酸化防止方法とは、上記〜の成分組成
となる様に、まず、ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニ
ウム、並びに耐酸化性物質を水中に懸濁させた後、
有機粘結剤および界面活性剤を加えたものを炭素質成
形体に塗布してから、580〜800℃で焼き付けると
ころに要旨を有するものである。耐剥離性の更なる向上
という観点からすれば、焼き付け処理により10〜40
0μmの酸化防止用ガラス皮膜を形成することが推奨さ
れる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、炭素質材料からなる成
形体の表面に酸化防止用ガラス皮膜を形成したものであ
る点に技術的思想を有する。具体的には、炭素質成形体
の酸化防止剤としてガラス形成性材料を用い、炭素質成
形体を非結晶質のガラスで被覆することにより、高度の
酸化防止作用を付与するものであり、更に、耐剥離性の
向上を目的として、後記する如く他の成分を所定量配合
することにより、成形体との密着性も高められた炭素質
成形体を得るものである。
【0012】尚、既知の酸化防止剤の一つであるSiO
2 も、熱処理すればガラス質化する物質であると言える
が、従来技術においては、炭素質成形体の表面にSiO
2 からなるガラス質酸化防止皮膜を形成させようという
思想は全くなかった。SiO 2 をガラス質化するには、
本発明における熱処理温度(好ましくは580〜800
℃、後記する)よりも高い温度(1700℃以上)で熱
処理しなければならないが、従来はこの様な高温で処理
しておらず、せいぜい900〜1500℃の低温レベル
で処理していたに過ぎず、その様な従来技術に、本発明
の技術思想を見出すことはできない。従って、炭素質成
形体の表面に酸化防止用ガラス皮膜を形成するという技
術的思想は、本発明独自のものと言うことができ、本発
明では、その技術思想を具現化する為に種々の検討を加
え、発明として完成させたのである。
【0013】また、本発明に用いられるガラス形成性材
料の代表例としては、ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニ
ウムが挙げられる。このうち、ホウ酸を含有する炭素質
成形体用酸化防止剤は既に開示されている(特公昭64
−6129号公報)ことは既に述べた通りである。しか
しながら、前述した様に、その組成はホウ酸をグリセリ
ンに溶解してなるものであり、約300℃で熱分解して
生じる酸化ホウ素による酸化防止作用を期待するもので
ある為、酸化ホウ素の融点(約577℃)よりも高い温
度領域では酸化ホウ素が溶解してしまい、耐摩耗性が著
しく損なわれるという問題があった。これに対して、本
発明ではホウ酸塩に代表される如くガラス質化させた酸
化防止皮膜を施すものであり、この様な非結晶質の固体
物質で炭素質成形体を被覆する点で、上記従来方法とは
全く異なるものである。更に、本発明によれば、上記公
報における問題点、即ち炭素が本来有する特性(耐摩耗
性等)を低下させるといった不都合を招くことなく耐酸
化性の向上が得られる点でも非常に有用である。以下、
本発明における代表的なガラス皮膜であるホウ酸塩ガラ
スを形成させる場合を例に挙げ、本発明を詳述する。
【0014】まず、耐酸化性および耐剥離性の両作用を
発揮させることのできる酸化防止剤の成分組成は、以下
の通りである。 ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウム:70〜89.
4重量部 金属窒化物,金属炭化物,金属酸化物,金属ケイ化物
よりなる群から選択される少なくとも1種の耐酸化性物
質:10〜30重量部 有機粘結剤 :0.1〜2重量部 界面活性剤 :0.5〜2重量部 本発明の酸化防止剤は、上記〜を水に懸濁させたも
のであり、以下各成分について詳述する。
【0015】ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウム:
70〜89.4重量部 ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウムは、熱処理により
ガラス質に転換し、耐酸化作用を発揮させる主要成分で
ある。本発明では、高度の耐酸化性を得る為におよび
後記するを添加するものであり、両成分による耐酸化
作用を十分発揮させるには、各成分の含有量を適切に調
整する必要がある。
【0016】ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウムが7
0重量部未満では、皮膜全体がガラス質化し、炭素成形
体を覆うことができない。好ましくは75重量部以上で
あり、より好ましくは79重量部以上である。また、そ
の上限は、他の成分(〜)による作用を有効に発揮
させる為に特定したものであり、89.4重量部を超え
て過剰に添加すると、他の耐酸化性物質であるの含有
量が少なくなり、その耐酸化作用が十分得られない。好
ましくは89重量部以下であり、より好ましくは88重
量部以下である。尚、本発明では、上記範囲内であれ
ば、ホウ酸/ホウ酸アンモニウムを夫々単独で使用して
も良いし、或いは併用しても構わない。また、その種類
もホウ酸/ホウ酸アンモニウムに限定する必要はなく、
熱処理によりしてガラス質化し得るものであれば、他の
ホウ酸塩を使用できることは言うまでもない。
【0017】耐酸化性物質:10〜30重量部 この物質は、本発明において上記と共に耐酸化性作用
を発揮するものである。この様な物質としては既知の耐
酸化性物質、例えば、SiO2 ,Al23 ,TiO
2 ,MgO等の金属酸化物や、B4 C,SiC等の金属
炭化物、BN等の金属窒化物、金属ケイ化物等が挙げら
れるが、高温での安定性および炭素質成形体との密着性
を考慮すれば、窒化ホウ素及び/又は炭化ケイ素の使用
が推奨される。
【0018】これらの物質による耐酸化作用を有効に発
揮させる為には10重量部以上添加しなければならな
い。好ましくは11重量部以上であり、より好ましくは
12重量部以上である。しかし、30重量部を超えて添
加すると必然的にの添加量が少なくなり、その結果、
の添加によるガラス質の生成が阻害される。好ましく
は25重量部以下であり、より好ましくは20重量部以
下である。
【0019】有機粘結剤:0.1〜2重量部 有機粘結剤は、炭素質成形体に対する密着性の向上に有
用である。詳細には、上記およびの粉末を炭素質成
形体の表面に塗布してからがガラス質化するまでの
間、これらの粉末が成形体表面から剥離しない様、接着
させる役割を有する。この様な作用を有する有機粘結剤
としては、例えばCMC(Sodium Carboxymethyl Cellu
lose)、PVA(Polyvinyl Alcohol )、MC(Methyl
Cellulose)、HEC(Hidroxyethyl Cellulose)等が
挙げられる。これらの有機粘結剤を用いる場合には、そ
の添加量を0.1〜0.5重量部にする必要がある。
0.1重量部未満では上記作用を十分発揮させることが
できず、全成分を常温で塗布した後に熱処理すると、炭
素質成形体表面から剥離してしまう。但し、0.5重量
部を超えて添加すると懸濁液の粘度が高くなり、塗布す
るのが困難になる。尚、有機粘結剤として澱粉やアルギ
ン酸塩を使用することもできるが、その場合には、上記
と同様の観点から1〜2重量部とすることが必要であ
る。
【0020】界面活性剤:0.5〜2重量部 界面活性剤は、上記〜を炭素質成形体表面に塗布す
るに当たり、濡れ性を改善し、均一な耐酸化保護皮膜を
得るのに有用である。この様な作用を有する界面活性剤
としては特に限定されないが、例えばアルキルフェニル
エーテル、脂肪酸エステル、硬化ひまし油、ラノリン、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、中性洗剤等が
挙げられる。その添加量が0.5重量部未満では上記作
用を十分発揮させることができない。但し、2重量部を
超えて添加しても濡れ性に対する向上効果は飽和してし
まい、逆に焼き付け時に、ガラス質皮膜が成形体から剥
離してしまう。
【0021】次に、上記成分組成からなる本発明酸化防
止剤を用い、炭素質成形体を酸化防止する方法について
説明する。まず、所定量のホウ酸及び/又はホウ酸ア
ンモニウムと耐酸化性物質を水中に懸濁させる。水の
添加量は、及びの種類や含有量によっても左右され
るが、概して、及びの合計量に対して2〜20倍、
より好ましくは4〜10倍添加することが好ましい。
【0022】次に、上記懸濁液中に、所定量の有機粘
結剤および界面活性剤を加える。この様に、本発明法
では〜の成分を一度に混合するのではなく、二段階
に分けて添加しており、それによって、これらの成分を
成形体表面に均一に塗布させることができるのである。
【0023】その次に、上記懸濁液を炭素質成形体の表
面に塗布した後、580〜800℃の焼き付け処理を行
う。この様な温度領域で熱処理することにより、ホウ酸
及び/又はホウ酸アンモニウムがガラス質に転換し、強
固な酸化防止皮膜を形成することができる。焼き付け温
度が580℃未満では、ホウ酸及び/又はホウ酸アンモ
ニウムが完全にガラス質化せず、密着性が不十分であ
る。好ましくは600℃以上であり、より好ましくは7
00℃以上である。しかし、800℃を超えて加熱して
もその作用は飽和してしまい、経済的に無駄である。但
し、上記温度範囲では炭素の酸化が起こり易くなるの
で、所望のガラス質皮膜が形成されるまでの間、不活性
雰囲気下にすることが望ましい。
【0024】この様にして形成された酸化防止用ガラス
質皮膜の厚さは10〜400μmとすることが好まし
い。10μm未満では、十分な酸化防止作用が得られな
い。好ましくは20μm以上であり、より好ましくは3
0μm以上である。しかし、400μmを超えるとガラ
ス質皮膜と炭素質成形体の熱膨張率の差が大きくなって
剥離し易くなる。好ましくは300μm以下であり、よ
り好ましくは250μm以下である。
【0025】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を
受けるものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲
で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それら
は全て本発明の技術範囲に包含される。
【0026】
【実施例】表1に示す組成からなる配合物に、該配合物
全量に対して1.5倍の水を加え、得られた懸濁液を、
炭素/炭素複合材料(80mm×30mm×8mm)に
スプレーで塗布した(15mg乾燥重量/cm2 )後、
窒素雰囲気下、600℃または800℃で焼き付けた。
尚、ホウ酸及びホウ酸アンモニウムは、スプレー噴霧す
る際の簡便性という観点から、200メッシュ(75μ
m)以下に粉砕したものを使用した。同様の観点から、
BNやSiCも微細化したものを使用した。CMCは
「セロゲン」(第一工業製薬株式会社製)を、界面活性
剤としては、アルキルフェニルエーテル、脂肪酸エステ
ルまたは硬化ひまし油を使用した。
【0027】
【表1】
【0028】この様にして得られた各試料について、空
気中で700℃、900℃、および1200℃の各温度
で夫々1時間保持したときの酸化消耗量を測定し、酸化
消耗速度(%/h)を算出することにより耐酸化性の指
標とした。また、密着性を評価するに当たっては、90
0℃での酸化消耗試験を行った後の試料表面に、Xの切
り込みを入れ、セロテープを貼ってから剥がした場合
に、この試料がテープに張り付いて剥がれるかどうかを
観察した(JIS K5400Xカットテープ法)。こ
れらの結果を表2に記載する。尚、表中「−」は測定不
能を示す。
【0029】
【表2】
【0030】表2の結果から以下の様に考察することが
できる。本発明の要件を満足する実施例1〜5は、いず
れも700℃から高温の1200℃に至る全温度領域に
おいて、優れた耐酸化性を示すと共に、密着性も良好で
あった。
【0031】これに対して、ホウ酸及び/又はホウ酸ア
ンモニウムの含有量が少ない比較例1及び2は、700
℃における耐酸化性能は本発明例と同程度/若干劣る程
度であったが、900℃では、耐酸化性が本発明例に比
べて著しく低下し、1200℃では測定不能になった。
また、900℃での剥離試験では、セロテープに試料が
張り付いて剥がれてしまった。
【0032】比較例3及び4は既知の耐酸化性物質を用
いた従来例に相当するものであるが、900℃における
耐酸化性は本発明例に比べて低く、1200℃では測定
不能になった。また、成形体に対する密着性も比較例1
〜2と同様、悪かった。比較例5は、ホウ酸のみを塗布
した例であるが、1200℃における耐酸化性が大きく
低下し、且つ密着性も悪かった。
【0033】比較例6は、SiCとBNを添加しない例
であるが、比較例5と同様、1200℃における耐酸化
性が大きく低下し、且つ密着性も悪かった。比較例7
は、炭素質成形体に何も塗布しなかった例であるが、全
温度領域において耐酸化性に劣り、且つ密着性も悪いこ
とが分かる。尚、上記実施例では、いずれも耐摩耗性等
といった炭素質成形体が元々有する優れた諸特性はその
まま保持できることを確認している。
【0034】即ち、炭素/炭素複合材の摩擦面を除いた
部分の表面に、実施例1の酸化防止剤を塗布し(被覆膜
の厚さは300μmとした)、800℃で焼き付けた
後、摩擦特性を測定した。この材料と、未処理の炭素/
炭素複合材の摩擦特性を測定したところ、両者ともに摩
擦係数は0.4であった。これに対して炭素/炭素複合
材に亜リン酸を1%含浸したものにおける摩擦係数は
0.8であり、未処理のものと大きく異なることが分か
った。この様に、炭素材料全体に酸化防止材を含浸した
場合は摩擦特性に大きな影響を与えるのに対し、本発明
では、優れた摩擦特性を保持しつつ、且つ炭素材料の耐
酸化特性を向上させることが可能である。また、摩擦面
に処理を施した場合には、摩耗量を減らすことも可能で
ある。
【0035】また、比較例では、いずれも焼付温度を4
00℃で行っているが、その後に施す酸化消耗試験(7
00℃)が、実質的に焼付と同様の熱履歴を与えること
になる。400℃を超える高い焼付温度で実験しても、
それ以上の酸化防止効果は期待できなかった(表には示
さず)。
【0036】更に、実施例において焼付温度を400℃
で行った場合、ホウ酸・ホウ酸アンモニウムがガラス質
に変化せず、酸化防止皮膜の密着性が悪くて炭素成形体
から容易に剥がれてしまい、測定不能であった(表に示
さず)。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、耐
摩耗性等といった炭素自体の有する良好な特性を低下さ
せることなく、耐酸化性(特に高温での耐酸化性)およ
び耐剥離性に優れる炭素質成形体およびその酸化防止剤
を提供することができた。また、上記酸化防止剤を用い
た本発明の酸化防止方法は、本発明の炭素質成形体を効
率よく得ることのできる方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上山 光登 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質材料からなる成形体の表面に酸化
    防止用ガラス皮膜を形成したものであることを特徴とす
    る耐酸化性に優れた炭素質成形体。
  2. 【請求項2】 前記酸化防止用ガラス皮膜がホウ酸塩を
    含有するものである請求項1に記載の成形体。
  3. 【請求項3】 前記酸化防止用ガラス皮膜の厚さが10
    〜400μmである請求項1または2に記載の成形体。
  4. 【請求項4】 ホウ酸塩ガラス形成性材料を含有するこ
    とを特徴とする炭素質成形体の酸化防止剤。
  5. 【請求項5】 前記材料が、ホウ酸及び/又はホウ酸ア
    ンモニウムである請求項4に記載の酸化防止剤。
  6. 【請求項6】 ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウム:
    70〜89.4重量部;金属窒化物,金属炭化物,金属
    酸化物,金属ケイ化物よりなる群から選択される少なく
    とも1種の耐酸化性物質:10〜30重量部;有機粘結
    剤:0.1〜2重量部および界面活性剤:0.5〜2重
    量部を水に懸濁させたものであることを特徴とする耐剥
    離性に優れた炭素質成形体の酸化防止剤。
  7. 【請求項7】 前記耐酸化性物質が窒化ホウ素及び/又
    は炭化ケイ素である請求項6に記載の酸化防止剤。
  8. 【請求項8】 ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウム:
    70〜89.4重量部;金属窒化物,金属炭化物,金属
    酸化物,金属ケイ化物よりなる群から選択される少なく
    とも1種の耐酸化性物質:10〜30重量部;有機粘結
    剤:0.1〜2重量部および界面活性剤:0.5〜2重
    量部となる様に、 まず、ホウ酸及び/又はホウ酸アンモニウム、並びに前
    記耐酸化性物質を水中に懸濁させた後、次いで有機粘結
    剤および界面活性剤を加えたものを炭素質成形体に塗布
    してから、580〜800℃で焼き付けることを特徴と
    する炭素質成形体の酸化防止方法。
  9. 【請求項9】 前記焼き付け処理により、10〜400
    μmの酸化防止用ガラス皮膜が形成されるものである請
    求項8に記載の酸化防止方法。
JP11805396A 1996-05-13 1996-05-13 炭素質成形体、炭素質成形体の酸化防止剤およびその酸化防止方法 Withdrawn JPH09301786A (ja)

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