JPH09299843A - 金属帯のロールコーター法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属帯のライン速度を高速化してもスプラッ
シュ現象が起こることなくローピング防止可能な金属帯
のロールコーター法および装置を提供する。 【解決手段】 塗布液２をピックアップ３で汲み上げた
後、アプリケーターロール４を介して金属帯５表面に転
写する金属帯のロールコーター法において、前記アプリ
ケーターロール４面上の塗布液２膜または前記金属帯５
表面に転写された塗布液２膜に膜面に対し垂直な方向か
ら膜面に向かって電磁力を付与することを特徴とする金
属帯のロールコーター法など。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋼帯などの金属帯
表面に塗膜形成する金属帯のロールコーター法および装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】鋼板の耐食性、加工性、意匠性などを向
上させるために金属帯表面に液体を塗布して塗膜形成を
行う下記のような金属帯のロールコーター法が広く用い
られている。

【０００３】図３に、従来の２本のロールを用いる２ロ
ールコーター装置を、また、図４に従来の３本のロール
を用いる３ロールコーター装置を示す。図で、１はパ
ン、２は塗布液、３はピックアップロール、４はアプリ
ケーターロール、５は金属帯、６はメタリングロールを
表す。以後の図においても、同一の番号は同一のものを
表す。

【０００４】パン１に入っている塗布液２をピックアッ
プロール３により汲み上げ、アプリケーターロール４を
介して金属帯５へ転写させる。このときメタリングロー
ル６を用いれば塗布液２の塗布量を調整できる。

【０００５】このようなロールコーター法には、塗布液
の粘度の適用範囲が極めて広い、塗膜厚制御が比較的容
易であるといった利点があるが、金属帯のライン速度が
速くなるとローピングと呼ばれる規則的間隔のうねりが
走行方向に沿って塗膜に発生し、色むらの外観欠陥とな
る。

【０００６】図５はローピングを模式的に表した図であ
る。ローピングの原因は、ロール間をすり抜ける箇所に
おいて生ずる塗布液２の圧力勾配により塗布液２の流動
が不安定になり、ロール間の液溜まりの表面が畝状にな
ることによる。図３に示すような２ロールコーターで
は、ピックアップロール３とアプリケーターロール４の
間で塗布液２の膜にローピングが発生してそのまま金属
帯に転写される。図４に示す３ロールコーターでは、ピ
ックアップロール３とメタリングロール６の間で塗布液
２の膜にローピングが発生してそのままアプリケーター
ロール４に転写され、金属帯にも転写される。

【０００７】ローピングを防ぐ方法は、特開昭６２ー２
１００７８号公報や特開平７ー６２４４５号公報などに
提案されている。

【０００８】図６に、特開昭６２ー２１００７８号公報
に記載されたローピングの防止方法を示す。図で、８は
気体ノズルを表す。ローピングが発生するロール３とロ
ール４の間やロール４の表面に気体ノズル８から気体を
噴射して金属帯５への転写前にローピングの発生を防ぐ
方法である。

【０００９】図７に、特開平７ー６２４４５号公報に記
載されたローピングの防止方法を示す。図で、８は気体
ノズル、９は塗布ノズルを表す。ロールコーターあるい
は塗布ノズル９により塗布されたローピングの発生した
金属帯表面の塗布液２の膜に気体ノズル８から気体を噴
射して塗膜厚を均一化し、ローピングを解消する方法で
ある。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
６２ー２１００７８号公報や特開平７ー６２４４５号公
報などに記載されている気体噴射によるローピングの防
止方法では、ライン速度が高速になると塗布液が飛散す
るスプラッシュ現象が起こり、所定の膜厚が得られなく
なる。特に、図７に示すように金属帯の表裏面から気体
噴射を行うと、金属帯エッジからのスプラッシュが激し
く起こる。

【００１１】本発明はこのような課題を解決するために
なされたもので、金属帯のライン速度を高速化してもス
プラッシュ現象が起こることなくローピング防止可能な
金属帯のロールコーター法および装置を提供することを
目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題は、塗布液をピ
ックアップロールで汲み上げた後、アプリケーターロー
ルを介して金属帯表面に転写する金属帯のロールコータ
ー法において、前記アプリケーターロール面上の塗布液
膜または前記金属帯表面に転写された塗布液膜に膜面に
対し垂直な方向から膜面に向かって電磁力を付与するこ
とを特徴とする金属帯のロールコーター法により解決さ
れる。

【００１３】ピックアップロールで汲み上げられアプリ
ケーターロール面上に付着している塗布液の膜に膜面に
対し垂直な方向から膜面に向かって電磁力を付加するこ
とにより、塗布液の一部がせき止められ、ある程度滞留
することによって幅方向に均一な塗膜が得られる。した
がって、アプリケーターロール面上の塗布液膜のローピ
ングが解消されているので、金属帯に転写されてもロー
ピングが発生することはない。また、電磁力を用いてい
るため、気体噴射のような外部から作用する力とは異な
り、膜自体がロール表面に拘束されるような力が働くた
めスプラッシュ現象が起こることはない。

【００１４】金属帯表面に転写した後の塗布液の膜に膜
面に対し垂直な方向から膜面に向かって電磁力を付加し
ても、同様な効果が得られる。

【００１５】こうした塗布液の膜に膜面に対し垂直な方
向から膜面に向かって電磁力を付加することは、ピック
アップロールとアプリケーターロールを有してなる金属
帯のロールコーター装置おいて、高周波電流を通電可能
なコイルが下記のように配設されていることを特徴とす
る金属帯のロールコーター装置によって可能となる。

【００１６】（イ）前記アプリケーターロールの表面近
傍に配設され、コイル軸方向が前記アプリケーターロー
ルの胴長方向に平行である。

【００１７】または、（ロ）前記アプリケーターロール
を通過後の前記金属帯の表裏面近傍に配設され、コイル
軸方向が前記金属帯の幅方向に平行である。

【００１８】コイルをアプリケーターロールの表面近傍
にその軸方向がロールの胴長方向に平行になるように配
設したり、アプリケーターロールを通過後の金属帯の表
裏面近傍にその軸方向が金属帯の幅方向に平行になるよ
うに配設して、高周波電流を流すと、コイルに発生する
磁場と塗布液膜に誘導される電流の相互作用により塗布
液膜に膜面に対し垂直な方向から膜面に向かって電磁力
（ローレンツ力）を付与できる。

【００１９】なお、コイルの大きさ、その配設位置、コ
イルに流す高周波電流の周波数や電流値は塗布液の種類
や塗布量、金属帯のライン速度によって適宜調整する必
要がある。

【００２０】

【発明の実施の形態】図１に、本発明であるロールコー
ター装置の１実施の形態を示す。

【００２１】パン１より塗布液２を汲み上げるピックア
ップロール３と、ピックアップロール３上の塗布液２量
を調整するメタリングロール６と、ピックアップロール
３から金属帯５に転写するアプリケーターロール４から
なる３ロールコーター装置のアプリケーターロール４の
表面近傍にコイル７が、その軸方向がアプリケーターロ
ール４の胴長方向に平行になるように配設されている。

【００２２】図２に、本発明であるロールコーター装置
の別の１実施の形態を示す。図１と同様な３ロールコー
ター装置において、アプリケーターロール４により塗布
液２が転写された金属帯５の表裏面近傍にコイル７が、
その軸方向が金属帯５の幅方向に平行になるように配設
されている。この場合は、表裏面の異なる位置にコイル
７が配設されているが、同一箇所にコイル７を設けても
よい。

【００２３】コイル７は金属製の中空コイルで構成さ
れ、内部に水などの冷却媒体を循環させることが、コイ
ル７の発熱を防ぐために好ましい。

【００２４】

【実施例】

（実施例１）図１に示すアプリケーターロールの表面近
傍にコイルを配設した３ロールコーター装置を用い、表
１に示すライン速度、各ロールの周速、コイルに流す高
周波電流の周波数と電流値にて、幅１５００ｍｍの鋼帯
に粘度４ｍＰａ・ｓの水溶性塗布液を膜厚２μｍとなる
ように塗布した。

【００２５】コイルは肉厚３ｍｍの中空銅管からなり、
その断面は２５×３０ｍｍの矩形で、その長さは１８０
０ｍｍであり、アプリケーターロール表面上５ｍｍの位
置に設けられ、内部は水冷されている。また、各ロール
の胴長は２０００ｍｍである。

【００２６】そして、鋼帯表面の外観観察を行い、ロー
ピングの発生状況を次の３段階で評価した。 〇：目視ではローピングが確認できない。 △：目視で僅かにローピングが確認できる。 ×：目視で顕著にローピングが確認できる。

【００２７】結果を表１に示す。本発明のロールコータ
ー装置を用いて本発明法でロールコーターすれば、目視
ではローピングが確認できず、膜厚変動も非常に小さい
ことがわかる。また、スプラッシュ現象も全く起きなか
った。

【００２８】

【表１】

【００２９】（実施例２）図２のようにコイルを配設し
た３ロールコーター装置を用い、表２に示すライン速
度、各ロールの周速、コイルに流す高周波電流の周波数
と電流値にて、実施例１と同様な試験を行った。用いた
鋼帯、塗布液、コイル、各ロールは実施例１の場合と同
じものである。

【００３０】結果を表２に示す。実施例１の場合と同
様、本発明のロールコーター装置を用いて本発明法でロ
ールコーターすれば、目視ではローピングが確認でき
ず、膜厚変動も非常に小さいことがわかる。また、スプ
ラッシュ現象も全く起きなかった。

【００３１】

【表２】

【００３２】

【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、金属帯のライン速度を高速化してもスプラッ
シュ現象が起こることなくローピング防止可能な金属帯
のロールコーター法および装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明であるロールコーター装置の１実施の形
態を示す図である。

【図２】本発明であるロールコーター装置の別の１実施
の形態を示す図である。

【図３】従来の２本のロールを用いる２ロールコーター
装置を示す図である。

【図４】従来の３本のロールを用いる３ロールコーター
装置を示す図である。

【図５】ローピングの模式図である。

【図６】特開昭６２ー２１００７８号公報に記載された
ローピングの防止方法を示す図である。

【図７】特開平７ー６２４４５号公報に記載されたロー
ピングの防止方法を示す図である。

【符号の説明】

１ パン ２ 塗布液 ３ ピックアップロール ４ アプリケーターロール ５ 金属帯 ６ メタリングロール ７ コイル ８ 気体ノズル ９ 塗布ノズル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 塗布液をピックアップロールで汲み上げ
   た後、アプリケーターロールを介して金属帯表面に転写
   する金属帯のロールコーター法において、前記アプリケ
   ーターロール面上の塗布液膜あるいは前記金属帯表面に
   転写された塗布液膜に膜面に対し垂直な方向から膜面に
   向かって電磁力を付与することを特徴とする金属帯のロ
   ールコーター法。
2. 【請求項２】 ピックアップロールとアプリケーターロ
   ールを有してなる金属帯のロールコーター装置におい
   て、高周波電流を通電可能なコイルが下記のように配設
   されていることを特徴とする金属帯のロールコーター装
   置。 （イ）前記アプリケーターロールの表面近傍に配設さ
   れ、コイル軸方向が前記アプリケーターロールの胴長方
   向に平行である。または、 （ロ）前記アプリケーターロールを通過後の前記金属帯
   の表裏面近傍に配設され、コイル軸方向が前記金属帯の
   幅方向に平行である。