JPH0929978A - インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッド及び該インクジェット記録ヘッドを具備した記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッド及び該インクジェット記録ヘッドを具備した記録装置

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JPH0929978A
JPH0929978A JP18148195A JP18148195A JPH0929978A JP H0929978 A JPH0929978 A JP H0929978A JP 18148195 A JP18148195 A JP 18148195A JP 18148195 A JP18148195 A JP 18148195A JP H0929978 A JPH0929978 A JP H0929978A
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resin
ink
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solid layer
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Keiichi Murakami
圭一 村上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 注入樹脂の漏れがなく、樹脂への気泡の混入
もなく、注入速度早く真空引き時間も短縮できるインク
ジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘ
ッド及び該インクジェット記録ヘッドを具備した記録装
置を提供する。 【解決手段】 第2の基体5に荷重15をかけた状態で
第1の基体1と第2の基体5との空間を減圧する工程、
次に硬化樹脂8を供給する工程、その後大気で硬化性樹
脂を押し出し注入する工程を含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式に用いる記録液滴を発生するためのインクジェッ
ト記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッド及
び該記録ヘッドを具備した記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録ヘッドの製造
方法として、例えば特開昭62−253457には、基
体上に液路となる固体層を形成し、しかる後、活性エネ
ルギー線硬化性材料層及び第2の基体とを積層し、その
後、液室予定部位以外の領域に活性エネルギー線を照射
した後、該液室予定部位の未硬化の活性エネルギー線硬
化材料層を除去して液室を形成し、その後、液室予定部
位に形成された固体層を除去する方法が提案されてい
る。
【0003】しかしながら、前記のような製造方法によ
れば、以下のような問題があった。 1)液路の壁を構成する材料は、液室部がパターニング
可能な活性エネルギー線硬化材料に限定され上記材料を
選定する上で大きな制約があった。
【0004】2)インクジェットヘッドのインク滴の吐
出性能上、共通液室の高さを大きく取りたい場合、前記
活性エネルギー線硬化材料層が厚くなるため、液室部を
パターニングする際に精度が悪化したり、高価な露光装
置を長時間占有してしまいコストアップの要因となって
いた。
【0005】これらの問題点を解決する手段として、図
5(a)〜図5(g)に示すような方法がある。
【0006】まず、吐出圧発生素子が設けられた基体1
上に液路予定部位及び液室予定部位に第1の固体層2が
パターニング等により選択的に形成される。
【0007】次いで、液室の容積を充分確保すべく、ま
た、前記基体1と後述する第2の基体の空隙を確保すべ
く第2の固体層3が少なくとも液室予定部位に印刷等の
方法により形成される。
【0008】次いで、後にインク供給口となる穴4を有
する第2の基体5が載置される。次いで、図5(b)に
示す如くノズル配列方向の不要部に配置された樹脂供給
口7より前記第1の基体1と第2の基体5の空隙に後に
硬化し液路の壁となる樹脂8が注入される。
【0009】しかしながら、前記第2の固体層3上に前
記第2の基体5を載置する際に、第1の基体及び第2の
基体5の反りやうねり、前記第2の固体層3の平坦性や
平面内の厚さの均一性等の影響で該第2の固体層3と第
2の基体5との接触部位にわずかな隙間6が発生し、前
記硬化性樹脂8を注入する際に、毛管現象により該隙間
6に前記硬化性樹脂8が侵入するという現象が発生し
た。
【0010】上記のように隙間6に侵入した硬化性樹脂
8は極めて薄いため、硬化した後に第1の固体層2及び
第2の固体層3を除去する際に除去液で、あるいはヘッ
ド完成後使用中インク、により膨潤し第2の基体5より
剥離し、ノズルを詰まらせるゴミとなったり、剥離しな
い場合でも、インク供給口4の周囲にバリ状に残ったも
のはインクのリファイル特性を大幅に低下させるといっ
た問題点があった。
【0011】更に甚だしい場合、前記の硬化性樹脂が該
第2の固体層3の上面にはみ出して、後に、該第2の固
体層3を除去する際の妨げとなる問題があった。
【0012】また、注入する樹脂は粘度が数百から数万
cpsと高く、かつ注入領域のギャップが50μmから
300μm程度と狭いため、樹脂を注入するのに時間が
非常にかかり生産効率が悪かった。例えば、粘度800
cpsのエポキシ系樹脂をギャップ150μmでヘッド
長さ210mmの場合、注入時間は8時間程度要してい
た。室温硬化型樹脂の場合等は、主剤と硬化剤を混合し
注入を開始し途中で樹脂が硬化して最後まで注入されな
いということもあり、樹脂の選定の自由度がかなり制約
されていた。
【0013】更に、常圧下で樹脂を注入する場合には、
ヘッド内に気泡が混入してしまうという問題もあった。
【0014】これには減圧雰囲気中で樹脂を注入すると
いう方法もあるが、減圧雰囲気でワークを扱わなければ
ならないため装置コストが高くなる。また、樹脂の注入
は毛管現象により行われるため注入に時間がかかりフル
ラインタイプの長尺ヘッドには適用が困難であった。
【0015】本出願人は特願平6−304516により
液流路の一部を形成する活性エネルギー線硬化材料を基
体と蓋板間に減圧雰囲気中で毛細管現象により注入する
ようにしたインクジェット記録ヘッドの製造方法を提案
した。
【0016】この方法によれば真空装置は従来に比べ接
合機構が不要となりかなり小型化が可能となり、生産性
が非常に改善された。
【0017】しかしながら、更なる工程時間の短縮、生
産性の向上が望まれていた。
【0018】また、液晶デバイスの製造においては液晶
の注入を行うのに、上下の平板の間にスペーサを入れ加
圧プレスで加圧し接着剤で接着し更に封止剤で回りを封
止し、減圧下で液晶を供給しその後常圧に戻して注入す
るといった方法がとられている。
【0019】しかし、インクジェット記録ヘッドの第2
の基体は、インク供給口となる開口部があったり、ヘッ
ドの実装部となる領域が開口していたり、更に、開口部
を通して固体層の除去を行うため開口部はできるだけ大
きくまた第2の基体と第2の固体層とのオーバーラップ
をできるだけ小さくする必要があり、充分な封止スペー
スが確保できなかったりして、上記の方式をとるには困
難なものがあった。更に、上記の方法は、装置コストが
高く、ヘッドコストに見合った方法とは言い難い。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の技術の
前記の問題点を解決し、前記先願の製造方法を更に改善
したインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記目的は下記手段によ
って達成される。
【0022】すなわち、本発明は、吐出圧発生素子が設
けられた第1の基体と、少なくとも液路となる部分を占
有する第1の固体層と、少なくとも共通液室となる部分
の少なくとも一部を占有する第2の固体層と、第2の基
体とを積層した後、前記第1の基体と前記第2の基体の
間に前記液路の壁となる硬化性樹脂を注入後、前記樹脂
が固化した後前記第1の固体層及び前記第2の固体層と
を除去する工程を有するインクジェット記録ヘッドの製
造方法において、前記第2の基体に荷重をかけた状態で
第1の基体と第2の基体との空間(樹脂注入空間)を減
圧する工程、次に硬化性樹脂を供給する工程、その後大
気で硬化性樹脂を押し出し注入する工程を含むことを特
徴とするインクジェットヘッドの製造方法を提案するも
のである。また本発明は前記の製造方法によって製造さ
れることを特徴とするインクジェット記録ヘッドを提案
するものであり、ヘッドの硬化性樹脂注入領域の一部に
気泡溜めを設けたこと、インク吐出エネルギー発生素子
が電気エネルギーを与えることによって発熱し、インク
に状態変化を生ぜしめて吐出を行わせるための電気熱変
換体であること、記録媒体の記録領域の全幅にわたって
吐出口が複数設けられているフルラインタイプのもので
あることを含む。
【0023】更に本発明は、記録媒体の被記録面に対向
してインクを吐出するインク吐出口が設けられてる前記
の記録ヘッドと該記録ヘッドを載置するための部材とを
少なくとも具備することを特徴とする記録装置を提案す
るものである。
【0024】本発明によれば、第2の基体に荷重をかけ
た状態で樹脂注入領域を常圧下で減圧するため荷重に大
気圧が付与された状態で第2の基体と第1の基体とが押
し付けられるため注入領域の間隙6はなくなり、注入樹
脂の漏れが無くなる。
【0025】また、注入速度は、大気圧で樹脂が押され
るため飛躍的に早くなる。
【0026】更に、樹脂への気泡の混入も無くなる。
【0027】また、ヘッドの樹脂注入後端部に予め泡溜
め部を形成しておくことにより真空度をあまり上げなく
ても注入不良とはならず、また、真空引きの時間も短縮
できる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して更
に詳細に説明する。
【0029】図1(a)は本発明のインクジェット記録
ヘッドの一例を示す断面図であり、図1(b)は図1
(a)の荷重15を除いた上面図である。
【0030】1は吐出圧発生素子(不図示)が設けられ
た基板であり、2は後に除去され液路9となる第1の固
体層、3は後に除去されインク液室10となる第2の固
体層、4はインク供給穴、5は前記インク供給穴が設け
られた第2の基板であり、13は樹脂注入領域、14は
樹脂注入領域を真空引きし樹脂を注入する開口である。
【0031】図2(a)〜(f)は本発明の製造工程の
一例を示す断面図である。
【0032】図2によって、工程をおって更に詳しく説
明する。
【0033】上記構成において、図2(a)に示す如く
吐出圧発生素子が設けられた第1の基板1上に液路形成
部位及びそれと連通する液室形成予定部位に第1の固体
層2を形成する。前記基板1としては、単結晶シリコ
ン、セラミックス、ガラス、多結晶シリコン等が挙げら
れる。
【0034】なお、本発明においては液路及び液室形成
部位の双方に固体層を設けることは必ずしも必要ではな
く、固体層は少なくとも液路形成部位に設ければよい。
【0035】第1固体層2の厚みは10〜100μmが
望ましい。
【0036】上記固体層2は、後述する各工程を経た後
に除去され、残された空間部分が少なくとも液路とな
る。なお、固体層2は、液路に加えて必要に応じて液室
等が同時に形成される場合、液室等の形成部も占有する
ように設けられる。
【0037】このような固体層2を構成するに際して用
いられる材料及び手段としては、例えば下記に列挙する
ようなものが具体的なものとして挙げられる。
【0038】1)感光性ドライフィルムを用い、所謂ド
ライフィルムの画像形成プロセスにしたがって固体層を
形成する。
【0039】2)基板1上に所望の厚さの溶剤可溶性ポ
リマー層及びフォトレジスト層を順に積層し、該フォト
レジスト層のパターン形成後、溶剤可溶性ポリマー層を
選択的に除去する。
【0040】3)樹脂を印刷する。
【0041】1)に挙げた感光性ドライフィルムとして
は、ポジ型のものもネガ型のものも用いることができる
が、例えばポジ型ドライフィルムであれば、活性エネル
ギー線照射によって、現像液に可溶化するポジ型ドライ
フィルム、またネガ型ドライフィルムであれば、光重合
型である塩化メチレンあるいは強アルカリで溶解あるい
は剥離除去し得るネガ型ドライフィルムが適している。
【0042】ポジ型ドライフィルムとしては、具体的に
は、例えば「OZATEC R225」[商品名、ヘキ
ストジャパン(株)]等、またネガ型ドライフィルムと
しては、「OZATEC Tシリーズ」[商品名、ヘ
キストジャパン(株)]、「PHOTEC PHTシリ
ーズ」[商品名、日立化成工業(株)]、「RISTO
N」[商品名、デュ・ポン・ド、ネモアース・Co]等
が用いられる。
【0043】もちろん、これらの市販材料のみならず、
ポジティブに作用する樹脂組成物、例えばナフキノンジ
アド誘導体とノボラック型フェノール樹脂を主体とする
樹脂組成物、PMER−AR900(東京応化工業
(株))、及びネガティブに作用する樹脂組成物、例え
ばアクリルエステルを反応基とするアクリルオリゴマー
と熱可塑性高分子化合物及び増感剤を主体とする組成
物、あるいはポリチオールとポリエン化合物及び増感剤
とからなる組成物等が同様に用いることができる。
【0044】2)に挙げた溶剤可溶性ポリマーとして
は、それを溶解する溶剤が存在し、コーティングによっ
て被膜形成し得る高分子化合物であればいずれでも用い
得る。ここで用い得るフォトレジスト層としては、典型
的にはノボラック型フェノール樹脂とナフトキノンジア
ジドからなるポジ型液状フォトレジスト、ポリビニルシ
ンナメートからなるネガ型液状フォトレジスト、環化ゴ
ムとビスアジドからなるネガ型液状フォトレジスト、ネ
ガ型感光性ドライフィルム、熱硬化型及び紫外線硬化型
のインキ等が挙げられる。
【0045】3)に挙げた印刷法によって固体層を形成
する材料としては、例えば蒸発乾燥型、熱硬化型あるい
は紫外線硬化型等のそれぞれの乾燥方式で用いられてい
る平板インキ、スクリーンインキならびに転写型の樹脂
等が用いられる。
【0046】以上に挙げた材料群の中で、加工精度や除
去の容易性あるいは作業性等の面から見て、1)の感光
性ドライフィルムを用いる手段が好ましく、その中でも
ポジ型ドライフィルムを用いるのが特に好ましい。すな
わち、ポジ型感光性材料は、例えば解像度がネガ型の感
光性材料より優れている、レリーフパターンが垂直かつ
平滑な側壁面を持つ、あるいはテーパ型ないし逆テーパ
型の断面形状が容易に作れるという特長を持ち、液路を
形づくる上で最適である。また、レリーフパターンを現
像液や有機溶剤で溶解除去できる等の特長も有してお
り、本発明における固体層形成材料として好ましいもの
である。特に、例えば先に挙げたナフトキノンジアジド
とノボラック型フェーノル樹脂を用いたポジ型感光性材
料では、弱アルカリ水溶液あるいはアルコールで完全溶
解できるので、吐出エネルギー発生素子の損傷を何ら与
えることがなく、かつ後工程での除去も極めて速やかで
ある。このようなポジ型感光性材料の中でも、ドライフ
ィルム状のものは、10〜100μmの膜厚のものが得
られる点で、最も好ましい材料である。
【0047】次いで、図2(b)に示す如く液室形成予
定部位に充分な容量を確保すべく、また、前記第1の基
体1と後述の第2の基体5との間を適当な間隔に保持す
るために第2の固体層3が形成される。上記第2の固体
層3は、後述する工程を経た後除去され、残された空間
部分がインク液室の少なくとも一部となる。
【0048】第2の固体層3の形成は、一般に上市され
ているアクリル系やエポキシ系の樹脂等を用い印刷法や
ディスペンス法等により行う。
【0049】例えば、上記樹脂としては、TH−700
T(株ソマール製)、MA−830,M−85K(太陽
インキ製造(株)製)、WR−520B((株)アサヒ
化学研究所)等のインキがある。これらは、乾燥後もあ
る程度弾力を持ち変形できることが必要である。
【0050】次いで、図2(c)に示すように、前記第
2の固体層3上にインク供給口4が設けられた第2の基
体5が位置合わせの上載置される。第2の基体5として
は、ガラス、セラミックス、プラスチックス、金属等が
挙げられる。
【0051】この第2の基体5を載置する際に、第1の
基体1及び第2の基体5の反りやうねり等により、ある
いは第2の固体層3を形成する際の平面内の厚さの均一
性や第2の固体層3の上面の平坦性が起因してわずかな
隙間6が生じる。
【0052】次いで、図2(d)に示すように、第2の
基体上に荷重15を加え、開口14を通して樹脂注入領
域を真空に引く。
【0053】加える荷重は、基体の構成材料、設計寸法
により異なるが、第2の基体に対して単位面積当たり
0.01〜1kg/cm2 程度であればよく、好ましく
は0.05〜0.5kg/cm2 であればよい。
【0054】0.01kg/cm2 以下では第2の基体
と第2の固体層との隙間が矯正できず樹脂注入領域を減
圧できない。また、1kg/cm2 以上では固体層が破
壊される可能性がある。
【0055】真空度については、高真空のほうが望まし
いが1×10-1Torr以下であればよい。好ましくは
10-2Torr以下であればよい。
【0056】次いで、図1に示すように、切り替え弁に
切り替え樹脂を供給する。この後、供給された樹脂に大
気が加わるようにし樹脂の注入を加速させる。
【0057】大気を加えるには、例えば、樹脂供給の樹
脂上面が大気がかかるように容器を大気解放しておけば
よい。あるいは、一定量の樹脂が供給された後、供給系
を大気解放してもよい。
【0058】注入する樹脂は、注入し硬化するもので、
切断性がよく、第1,2の固体層の除去工程で溶解や変
質しない必要があり、主には、エポキシ系の樹脂が用い
られる。
【0059】樹脂が硬化した後、荷重15を取り去り、
図2(e)に示すように、オリフィスを形成するために
ダイシングソー等の周知の方法により切断される。な
お、オリフィスの形成方法によっては、上記の切断は、
必ずしも必要ない。
【0060】次いで、図2(f)に示すように、前記第
2の固体層3及び第1の固体層1及び公知のアルカリ水
溶液や有機溶剤等の除去液により除去する。前記の除去
に際しては、充填剤13と第2の固体層と第1の固体層
を別々の溶液にて順次除去することもできるが、前記各
々の固体層の材料を適当に選定することにより同一溶液
にて同時に除去することが可能である。
【0061】また、図3に示すように、インクジェット
ヘッドの樹脂注入開口部14の後端に気泡溜め16を予
め形成しておけば真空度をあまり上げなくても注入不良
とはならず、真空引きの時間も短縮でき好ましい。更に
樹脂注入開口部14付近にも気泡溜めを形成すれば樹脂
の注入量が少ない場合に起こる注入口付近の気泡による
ヘッド不良を防止するので好ましい。
【0062】なお、樹脂の注入は常温でよいが、更に注
入速度を上げるために加温してもよい。
【0063】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記
録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置に
おいて優れた効果をもたらすものである。
【0064】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生
せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、
結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(イン
ク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の
成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を
吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動
信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮
が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の
吐出が達成でき、より好ましい。
【0065】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第4313124号明細書に記載されている条件を採用
すると、更に優れた記録を行うことができる。
【0066】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を
開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含ま
れるものである。
【0067】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギー
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成
としても本発明は有効である。
【0068】更に、記録装置が記録できる最大記録媒体
の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘ
ッドとしては、上述した明細書に開示されているような
複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす
構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての
構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一
層有効に発揮することができる。
【0069】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けら
れたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも
本発明は有効である。
【0070】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる
予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モード
を行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0071】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッド
を一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも
よいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフル
カラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極め
て有効である。
【0072】以上説明した本発明実施例においては、イ
ンクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固
化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは
液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式で
はインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調
整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温
度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与
時にインクが液状をなすものであればよい。
【0073】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで防止するか、またはイン
クの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを
用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号
に応じた付与によってインクが液化し、インク液状とし
て吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固
化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初め
て液化する性質のインクの使用も本発明では適用可能で
ある。このような場合インクは、特開昭54−5684
7号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載
されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状ま
たは固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としてもよい。本発明において
は、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述
した膜沸騰方式を実行するものである。
【0074】更に加えて、本発明に係る記録装置の形態
としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処
理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられ
るものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、更には
送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの
であってもよい。
【0075】
【実施例】以下本発明を実施例に基づき説明する。
【0076】実施例1 図1(a),(b)は本発明の1実施例を示す図であ
り、これを基に本発明であるインクジェット記録ヘッド
の製造方法の1実施例を工程にしたがって説明する。
【0077】図1(a)は、本発明の特徴を最もよく表
すヘッドの液滴吐出方向の断面図であり、図1(b)は
基体を上面から見た図であり(ただし、荷重及び第1の
固体層の詳細なパターンは省略してある)、1は吐出圧
発生素子(不図示)が設けられた基板であり、2は後に
除去され液路9となる第1の固体層、3は後に除去され
インク液室10となる第2の固体層、4はインク供給
穴、5は前記インク供給穴が設けられた第2の基板であ
り、13は樹脂注入領域、14は樹脂注入領域を真空引
きし樹脂を注入する開口である。
【0078】図2によって、工程をおって更に詳しく説
明する。
【0079】上記構成において、図2(a)に示す如く
吐出圧発生素子が設けられた厚み1.1mmの単結晶シ
リコンからなる第1の基板上に液路形成部位及びそれと
連通する液成予定部位にノボラック系樹脂(東京応化工
業社製、PMER−AR900)からなる厚さ30μm
の第1の固体層2を形成した。
【0080】次いで図2(b)に示すように液室形成予
定部位に充分な容量を確保すべく、また、前記第1の基
体1と第2の基体5との間を適当な間隔に保持するため
にアクリル系樹脂(太陽インキ製造社製 M4−83
0)からなる厚さ150μmの第2の固定層3をディス
ペンス法により形成した。
【0081】次いで図2(c)に示すように前記第2の
固体層3上にインク供給口4が設けられたパイレックス
ガラスからなる厚み1.1mmの第2の基体5を位置合
わせの上、載置した。
【0082】次いで図2(d)に示すように第2の基体
5上に0.1kg/cm2 の荷重15を加え開口14を
通して5×10-2Torrの真空度で樹脂注入領域を真
空に引いた。
【0083】次いで図1に示すように切り替え弁を切り
替え、エポキシ系樹脂(アデカオプトマーKRM241
0(旭電化工業(株)社製) 70重量部 アデカレジ
ンEP−4000(旭電化工業(株)社製) 30重量
部 フジキュアー6010(富士化成工業(株)社製)
50重量部)を供給した。
【0084】この後供給された樹脂に大気が加わるよう
に樹脂供給容器を大気解放して樹脂の注入を加速させ
た。
【0085】上記の結果、従来の注入に比べ、樹脂のは
み出しもなく、また、樹脂中への気泡の混入もなく、更
に、注入速度も飛躍的に改善された。従来8時間要して
いた注入時間が10分になった。
【0086】樹脂が硬化した後、加重15を取り去り、
図2(e)に示すように、オリフィスを形成するために
ダイシングソー等の周知の方法により切断した。
【0087】次いで、図2(f)に示すように、前記第
2の固体層3及び第1の固体層1を水酸化ナトリウムか
らなる3重量%アルカリ水溶液により除去した。
【0088】なお、オリフィスの形成方法によっては、
上記の切断は、必ずしも必要ない。また、除去液はアル
カリ水溶液以外にケトン、アルコール、エステル等の有
機溶剤を用いてもよい。
【0089】実施例2 実施例1に対し実施例2では、注入時の気泡溜めを設け
た以外は同様の方法、条件でヘッドを作製した。注入時
の真空度を10-1Torrで行っても有効ヘッド領域に
は気泡がない。
【0090】気泡溜めには気泡がトラップされており、
本発明の有効性が確認された。
【0091】図3に気泡溜めの配置図の1例を示した。
気泡溜めの形状、位置については図3に限定されるもの
ではない。気泡溜めを更に樹脂供給入り口付近にも設け
てもよい。
【0092】実施例3 実施例3においては、天板、固体層2とが荷重のみで充
分に密着して注入領域の真空度が確保できる場合、図4
に示すような方法もとれる。
【0093】すなわち、天板が載った基板全体を真空槽
で減圧にし、減圧になったところで樹脂溜め17に樹脂
18をディスペンサーで供給した。このとき、樹脂溜め
から真空が破れないように充分な量の樹脂を供給した。
【0094】次に、真空槽自体を大気解放し、樹脂を大
気で注入領域に押し流した。こうして、注入を完了し
た。他の工程は、実施例1と同様に行った。
【0095】他の実施例 以下に本発明を用いたインクジェット記録ヘッド及びイ
ンクジェット記録装置について説明する。
【0096】図6はこのようなインクジェット記録ヘッ
ドの概略構成図であり、エッチング・蒸着・スパッタリ
ング等の半導体製造プロセス工程を経て、基板1102
上に成膜された電気熱変換体1103、配線1104、
液路壁1105、天板1106から構成されているイン
クジェット記録ヘッドが示されている。記録用液体11
12は図示していない液体貯蔵室から液体供給管110
7を通してヘッド1101の共通液室1108内に供給
される。図中1109は液体供給管用コネクタである。
共通液室1108内に供給された液体112は所謂毛管
現象により液路1110内に供給され、液路先端の吐出
口面(オリフィス面)でメニスカスを形成することによ
り安定に保持される。ここで電気熱変換体1103に通
電することにより、電気熱変換体面上に液体が急峻に加
熱され、液路中に気泡が生起され、その気泡の膨張・収
縮により吐出口1111から液体を吐出し液滴が形成さ
れる。
【0097】図7は本発明が適用されるインクジェット
記録装置の概観図で、駆動モータ5013の正逆回転に
連動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回
転するリードスクリュー5005のらせん溝5004に
対して係合するキャリッジHCはピン(不図示)を有
し、矢印a,b方向に往復移動される。5002は紙押
さえ板であり、キャリッジ移動方向にわたって紙をプラ
テン5000に対して押圧する。5007,5008は
フォトカプラでキャリッジのレバー5006のこの域で
の存在を確認してモータ5013の回転方向切替等を行
うためのホームポジション検知手段である。5016は
記録ヘッドの前面をキャップするキャップ部材5022
の支持する部材で、5015はこのキャップ内を吸引す
る吸引手段でキャップ内開口5023を介して記録ヘッ
ドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレード
で、5019はこのブレードを前後方向に移動可能にす
る部材であり、本体支持板5018にこれらは支持され
ている。ブレードは、この形態でなく周知のクリーニン
グブレードが本例に適用できることはいうまでもない。
また、5012は、吸引回復の吸引を開始するためのレ
バーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴
って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切替等
の公知の伝達手段で移動制御される。
【0098】これらのキャッピング、クリーニング、吸
引回復は、キャリッジがホームポジション側領域にきた
ときにリードスクリュー5005の作用によってそれら
の対応位置で所望の処理が行えるように構成されている
が、周知のタイミングで所望の作動を行うようにすれ
ば、本例には何れも適用できる。上述における各構成は
単独でも複合的に見ても優れた発明であり、本発明にと
って好ましい構成例を示している。
【0099】なお、本装置にはインク吐出圧発生素子を
駆動するための駆動信号供給手段を有している。
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果が得られ
る。
【0101】1)硬化性樹脂の露光、現像等の工程が不
要なため、安価で高精度のインクジェット記録ヘッドが
得られる。
【0102】2)硬化性樹脂の粘度、濡れ等に係りな
く、また感光性等も不要のため自由に硬化性樹脂を選択
でき、耐インク性、耐熱性等に優れた高信頼性のヘッド
が得られる。
【0103】3)硬化性樹脂の極めて薄い部分が発生し
ないため、剥離後遊離して流路を塞ぐゴミとなったりイ
ンクのリフィール特性を悪化させたりしない高信頼で高
速応答可能なヘッドを高歩留まりで得ることができる。
【0104】4)樹脂の注入速度が早くなり工程時間の
短縮が図れる。
【0105】5)樹脂への気泡の混入が防げ、製造歩留
まりが向上する。
【0106】6)注入工程に大きな装置投資をせずに歩
留まり向上と生産性向上が図れる。 7)更に、工程時間の短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明のインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法の一実施例を示す断面図であり、図1
(b)は図1(a)の荷重を除いた上面図である。
【図2】図2(a)〜(f)は一実施例に係るインクジ
ェット記録ヘッドの製造方法の工程図である。
【図3】本発明のインクジェット記録ヘッドの他の実施
例を示す上面図である。
【図4】図4(a)は実施例2の断面図であり、図4
(b)は図4(a)の上面図である。
【図5】図5(a)〜(g)は従来の製造方法を示す工
程図である。
【図6】本発明のインクジェット記録ヘッドの概略構成
を示す斜視図である。
【図7】本発明のインクジェット記録装置の斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 第1の基体 2 第1の固体層 3 第2の固体層 4 第2の基体に設けられたインク供給口 5 第2の基体 6 第2の固体層と第2の基体の隙間 7 硬化性樹脂の注入口 8 硬化性樹脂 9 液路 10 液室 11 バリ状に残った硬化性樹脂 12 第2の固体層上にはみ出した硬化性樹脂 113 樹脂注入領域 14 開口 15 荷重 16 気泡溜め 17 樹脂溜め 18 樹脂

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出圧発生素子が設けられた第1の基体
    と、少なくとも液路となる部分を占有する第1の固体層
    と、少なくとも共通液室となる部分の少なくとも一部を
    占有する第2の固体層と、第2の基体とを積層した後、
    前記第1の基体と前記第2の基体の間に前記液路の壁と
    なる硬化性樹脂を注入後、前記樹脂が固化した後前記第
    1の固体層及び前記第2の固体層とを除去する工程を有
    するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、 前記第2の基体に荷重をかけた状態で第1の基体と第2
    の基体との空間を減圧する工程、次に硬化性樹脂を供給
    する工程、その後大気で硬化性樹脂を押し出し注入する
    工程を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法によって製造
    されることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 ヘッドの硬化性樹脂注入領域の一部に気
    泡溜めを設けた請求項2に記載のインクジェット記録ヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】 インク吐出エネルギー発生素子が電気エ
    ネルギーを与えることによって発熱し、インクに状態変
    化を生ぜしめて吐出を行わせるための電気熱変換体であ
    る請求項2記載の液体噴射記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐
    出口が複数設けられているフルラインタイプのものであ
    ることを特徴とする請求項2記載の液体噴射記録ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】 記録媒体の被記録面に対向してインクを
    吐出するインク吐出口が設けられてる請求項2に記載の
    記録ヘッドと該記録ヘッドを載置するための部材とを少
    なくとも具備することを特徴とする記録装置。
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