JPH0929860A - 開閉式蓋付容器用天蓋およびその製造法 - Google Patents

開閉式蓋付容器用天蓋およびその製造法

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JPH0929860A
JPH0929860A JP18015895A JP18015895A JPH0929860A JP H0929860 A JPH0929860 A JP H0929860A JP 18015895 A JP18015895 A JP 18015895A JP 18015895 A JP18015895 A JP 18015895A JP H0929860 A JPH0929860 A JP H0929860A
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功 中西
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元二 信吉
Toshio Kusuhara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐荷重性や気密性に優れたガスケットを有す
る開閉式蓋付容器用天蓋及び該天蓋を多くの人手を必要
とせずに容易に製造しうる方法を提供すること。 【解決手段】 密度0.20〜0.70g/cm3、硬
度20〜60および圧縮永久歪10%以下を有するポリ
ウレタン発泡体からなるガスケットが、天蓋本体の外周
縁に沿って設けられたガスケット溝に設けられてなる開
閉式蓋付容器用天蓋、ポリウレタン発泡体の原液を混合
注入機のミキシングヘッドを介して天蓋本体の外周縁に
沿って設けられたガスケット溝に注入するに際し、天蓋
本体を回転させながら、ポリウレタン発泡体の原液を前
記ガスケット溝に注入し、発泡、硬化させるか、または
前記ミキシングヘッドを前記天蓋本体の外周縁に沿って
移動させながら、ポリウレタン発泡体の原液を前記ガス
ケット溝に注入し、発泡、硬化させる前記天蓋の製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開閉式蓋付容器用
天蓋およびその製造法に関する。さらに詳しくは、化学
製品、化学薬品、塗料、金属、各種原料などの容器とし
て用いられるオープンドラムやペール缶などの開閉式蓋
付容器用天蓋およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オープンドラムやペール缶などの
開閉式蓋付容器においては、容器本体と天蓋との密封
は、天蓋の周囲に形成されたガスケット溝に設けられた
ガスケットよって行なわれている。
【0003】前記ガスケットには、内密性を確保するた
めに、天然ゴムの発泡体からなるガスケットが広く用い
られている。前記ガスケットは、紐状の加硫ゴム発泡体
を作製し、これを天蓋本体の周囲に形成されたガスケッ
ト溝に適合するように切り、両端を接着してリング状と
し、ついでこのリング状の加硫ゴム発泡体をあらかじめ
接着剤が塗布されたガスケット溝に嵌め込んで貼付する
ことにより、設けられている。
【0004】しかしながら、前記天然ゴムの発泡体から
なるガスケットは、オープンドラムやペール缶などに用
いた場合には、荷重を受けた際の圧縮による歪(へた
り)が大きいため、たとえばオープンドラムなどを段積
みにしたときに、下段にあるガスケットは、歪が増大し
て気密性が損われるという性能面で問題があった。
【0005】ところで、一般に、オープンドラムの生産
ラインでは、グレードや外装色が異なる製品を効率よく
生産するために、対となるドラムの胴体と天蓋とを並行
して同時に製造し、両者をバンドによって締め付ける方
法によって、オープンドラムが連続的に生産されてい
る。
【0006】しかしながら、かかる方法には、生産速度
を落さないようにするために、多くの人手をかけてガス
ケットの嵌め込みおよび貼り付け作業が行なわれている
ため、その製造工程が煩雑であり、多くの人手を要する
ことからコスト高となるなどの問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、耐荷重性にすぐれたガ
スケットを有する開閉式蓋付容器用天蓋および該天蓋を
多くの人手を必要とせずに容易に製造しうる方法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、密度0.2
0〜0.70g/cm3、硬度20〜60および圧縮永
久歪10%以下を有するポリウレタン発泡体からなるガ
スケットが、天蓋本体の外周縁に沿って設けられたガス
ケット溝に設けられてなる開閉式蓋付容器用天蓋、ポ
リウレタン発泡体の原液を混合注入機のミキシングヘッ
ドを介して天蓋本体の外周溝に沿って設けられたガスケ
ット溝に注入するに際し、天蓋本体を回転させながら、
ポリウレタン発泡体の原液を前記ガスケット溝に注入
し、発泡、硬化させることを特徴とする前記開閉式蓋付
容器用天蓋の製造法、ならびにポリウレタン発泡体の
原液を混合注入機のミキシングヘッドを介して天蓋本体
の外周縁に沿って設けられたガスケット溝に注入するに
際し、前記ミキシングヘッドを前記天蓋本体の外周縁に
沿って移動させながら、ポリウレタン発泡体の原液を前
記ガスケット溝に注入し、発泡、硬化させることを特徴
とする前記開閉式蓋付容器用天蓋の製造法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の開閉式蓋付容器用天蓋
は、前記したように、密度0.20〜0.70g/cm
3、硬度20〜60および圧縮永久歪10%以下を有す
るポリウレタン発泡体からなるガスケットが、天蓋本体
の外周縁に沿って設けられたガスケット溝に設けられた
ものである。
【0010】なお、本明細書にいう硬度とは、SRIS
0101(日本ゴム協会規格)のスプリング式かたさ試
験機による硬度をいい、また圧縮永久歪とは、その測定
方法を後述したが、70℃の雰囲気中に50%圧縮させ
た状態で22時間放置したのちに測定された圧縮永久歪
をいう。
【0011】本発明で用いられるポリウレタン発泡体の
原液は、ポリオールを主成分とする第1液と、ポリイソ
シアネート化合物を主成分とする第2液とから構成され
る。
【0012】前記第1液は、ポリオールを主成分とする
ほか、一般に架橋剤といわれている活性水素基を有する
低分子量化合物、ウレタン化触媒、発泡剤、顔料、難燃
剤、充填剤などが必要により配合される。
【0013】前記ポリオールとしては、分子中に2個以
上の活性水素基を有する化合物にアルキレンオキサイド
を付加させて得られる分子中に2個以上の水酸基を有す
る分子量2000〜8000のポリエーテルポリオー
ル、該ポリエーテルポリオールの存在下でアクリロニト
リル、スチレンなどのエチレン性不飽和モノマーを重合
させて得られるポリマーポリオールなどがあげられ、こ
れらは単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0014】前記分子中に2個以上の活性水素基を有す
る化合物としては、たとえばエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、アニリン
などの活性水素基を2個有する化合物;グリセリン、ト
リメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミンなどの活性水素基を3個有する化合物;ペ
ンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、ト
リエチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの活性
水素基を4個以上有する化合物などがあげられる。これ
らの化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いる
ことができる。
【0015】前記アルキレンオキサイドとしては、たと
えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチ
レンオキサイドなどがあげられる。これらの化合物は、
単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0016】第1液において、架橋剤として用いられる
活性水素基を有する低分子量化合物は、得られるポリウ
レタン発泡体の硬度を調整する機能を有する化合物であ
り、本発明においては、必要により用いられるものであ
る。前記活性水素基を有する低分子量化合物としては、
前記ポリオールを調製する際に用いられる開始剤、すな
わち分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物をは
じめ、該2個以上の活性水素基を有する化合物にエチレ
ンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加させた
低分子量化合物などがあげられる。これらの化合物は、
単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0017】前記ウレタン化触媒としては、たとえばジ
ブチルジラウレート、オクチル酸鉛などの有機金属触
媒;トリエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テト
ラメチルヘキサメチレンジアミンなどの三級アミン触媒
などがあげられる。これらの化合物は、単独でまたは2
種以上を混合して用いることができる。
【0018】前記発泡剤の代表例としては、水をあげる
ことができる。発泡剤として、モノフルオロトリクロロ
メタン、ジクロロメタンなどのハロゲン系低沸点化合物
を用いることもできるが、環境面から好ましくない。
【0019】前記したように、第1液には、これらの成
分のほかに、顔料、難燃剤、炭酸カルシウム、シリカ粉
末などの充填剤を必要により配合することができる。
【0020】前記第2液は、ポリイソシアネート化合物
を主成分とするものである。
【0021】前記ポリイソシアネート化合物としては、
たとえばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネートまたはこれらの混合物、または前記ト
リレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネートまたはこれらの混合物とポリオールとを反応させ
て得られる末端イソシアネート基を含有するポリウレタ
ンプレポリマーなどがあげられる。これらは、単独でま
たは2種以上を混合して用いることができる。
【0022】ポリウレタン発泡体の原液として、第1液
および第2液を混合する際には、本発明に用いられる原
料の種類およびその配合割合を調整することにより、幅
広い物性を有するポリウレタン発泡体を得ることができ
る。
【0023】本発明においては、ポリウレタン発泡体の
原液に用いられる原料の種類およびその配合割合につい
ては特に限定がなく、前記したように、得られるポリウ
レタン発泡体が、密度0.20〜0.70g/cm3
硬度20〜60および圧縮永久歪10%以下を有する限
り任意である。
【0024】本発明に用いられるポリウレタン発泡体
は、これらの特性を同時に具備するものであるため、従
来の天然ゴム発泡体製ガスケットを有する天蓋と対比し
て、もっとも重要な物性である耐荷重性や気密性が格段
にすぐれている。
【0025】換言すれば、本発明に用いられるポリウレ
タン発泡体が前記特性を同時に具備しない場合には、該
ポリウレタン発泡体がガスケットに用いられた天蓋は、
従来の天然ゴム発泡体製ガスケットが用いられた天蓋と
同様に、本発明の目的が達成されなくなる。
【0026】すなわち、本発明に用いられるポリウレタ
ン発泡体の密度が0.20g/cm3未満である場合や
硬度が20未満である場合には、気密性の評価法の1つ
である水圧試験において、従来の天然ゴム発泡体製ガス
ケットを有する天蓋と対比して、より低い圧力で水が漏
れ出すことがある。また、密度が0.70g/cm3
越える場合や硬度が60を越える場合には、たとえばオ
ープンドラムなどの胴体と天蓋との締め付けが困難とな
る。もし、仮に従来の天然ゴム発泡体製ガスケットを有
する天蓋の場合と同等の力で締め付けるのなら、該オー
プンドラムの天蓋として使用することは、好ましくな
い。また、圧縮永久歪が10%を越える場合には、荷重
試験によって評価される耐荷重性が劣り、従来の天然ゴ
ム発泡体製ガスケットを有する天蓋の問題点が解決され
なくなる。
【0027】本発明においては、前記ポリウレタン発泡
体からなるガスケットが、天蓋本体の外周縁に沿って設
けられたガスケット溝に設けられた開閉式蓋付容器用天
蓋は、(A)ポリウレタン発泡体の原液を混合注入機の
ミキシングヘッドを介して天蓋本体の外周縁に沿って設
けられたガスケット溝に注入するに際し、天蓋本体を回
転させながら、ポリウレタン発泡体の原液を前記ガスケ
ット溝に注入し、発泡、硬化させる方法(以下、方法I
という)、または(B)ポリウレタン発泡体の原液を混
合注入機のミキシングヘッドを介して天蓋本体の外周縁
に沿って設けられたガスケット溝に注入するに際し、前
記ミキシングヘッドを前記天蓋本体の外周縁に沿って移
動させながら、ポリウレタン発泡体の原液を前記ガスケ
ット溝に注入し、発泡、硬化させる方法(以下、方法II
という)によって製造することができる。
【0028】すなわち、前記方法Iによれば、図1
(a)の平面図および図1(a)のX−X部における部
分断面図である図1(b)に示されるように、天蓋本体
1を支持体2上に載置し、天蓋本体1を支持体2によっ
てたとえば矢印A方向に回転させながら、ポリウレタン
発泡体の原液を混合注入機3のミキシングヘッド4を介
して天蓋本体1の外周縁に沿って設けられたガスケット
溝5に注入し、発泡、硬化させることにより、ガスケッ
トが一体成形される。
【0029】また、前記方法IIによれば、図1(a)〜
(b)に示されるように、ポリウレタン発泡体の原液を
混合注入機3のミキシングヘッド4を介して、支持体2
上に載置された天蓋本体1の外周縁に沿って設けられた
ガスケット溝5に注入するに際し、前記ミキシングヘッ
ド4を前記天蓋本体1の外周縁に沿って移動させなが
ら、ポリウレタン発泡体の原液を前記ガスケット溝5に
注入し、発泡、硬化させることにより、ガスケットが一
体成形される。
【0030】このように、方法I〜IIによれば、従来の
天然ゴム発泡体製ガスケットを用いた場合のように、紐
状の加硫ゴム発泡体を切断し、リング状に接着させたの
ち、ガスケット溝に嵌め込み、さらにガスケットと蓋本
体とを貼付させるという繁雑な手作業が不要となるの
で、作業性を大幅に改善させることができる。
【0031】つぎに、本発明の方法I〜IIにより、開閉
式蓋付容器用天蓋を連続的に製造する場合を、オープン
ドラムを例にあげて以下に述べる。
【0032】まず、オープンドラムの胴体は、所定の長
さに切断された鋼板を丸め、ラップ部を電気抵抗法など
によって溶接し、円筒形状に成形される。また、オープ
ンドラムの天と地は、鋼板からお盆状に打ち抜きプレス
によって成形される。このようにして成形された板を、
天蓋側を「天板」、底板側を「地板」という。
【0033】つぎに、胴体、天板および地板の3ピース
には、化成処理が施される。この工程では、まず脱脂処
理によって鋼板の表面の防錆油を除去し、つづいてリン
酸亜鉛処理またはリン酸鉄処理が施される。なお、該オ
ープンドラムの用途によっては、これらのリン酸亜鉛処
理およびリン酸鉄処理を施さずに、脱脂処理のみを施す
場合もある。いずれの場合にも、処理後に水洗し、最後
に熱風炉などによって加熱乾燥を行なう。
【0034】引き続いて、胴体に地板を巻き締めること
により、ドラム本体が成形され、天板とともに外面塗装
後に焼付けたのち、天板のガスケット溝にガスケットを
施し、この天板とドラム本体をバンドで固定し、製品と
なる。
【0035】現在では、オープンドラムのほとんどが、
生産性の確保のため、これらの工程が連続的に繋がった
工場で生産されている。
【0036】このような連続的な生産工程においては、
ポリウレタン発泡体の原液を天板の外周縁に沿って設け
られたガスケット溝に注入し、発泡、硬化させることに
より、ガスケットを一体成形する場合、ポリウレタン発
泡体の成形後約10分間以内に、天板とドラム本体とを
バンドで固定しないと、ドラムの生産速度を維持させる
ことができなくなる。
【0037】従って、ポリウレタン発泡体の硬化は、速
やかに行なわれねばならず、もし仮にかかる硬化が遅け
れば、ポリウレタン発泡体の成形直後に天板と本体とを
バンドで固定するとバンドの締め付けによって変形した
ガスケットの形状が、締め付け開放後に回復されず、ガ
スケットとしての性能を大きく損なうことになる。
【0038】従って、ポリウレタン発泡体の硬化が遅い
場合には、天板の一時保管装置を設置し、硬化するまで
保管するか、または注入後に加熱装置を設けて加熱硬化
させる必要があるが、それらの場合には、多大な設備費
を要し、また保管装置への出し入れに手間がかかり、さ
らに加熱装置の維持費や燃料費を要するなどの不利益を
生じることになる。
【0039】ポリウレタン発泡体を短時間で硬化させる
には、ウレタン化触媒を増量させなければならないが、
その場合、ポリウレタン発泡体の原液である第1液と第
2液とを混合したあとの硬化反応が速くなるので、低圧
式混合注入機のミキシングヘッド内でポリウレタン発泡
体の原液の部分的な硬化が始まり、連続的に注入するこ
とが困難となる。またこの場合は、高圧式混合注入機を
使用すれば連続的注入は可能であるが、設備費が高価で
あるという問題がある。
【0040】こうしたことを回避する場合には、前記天
板の外面を塗装し、焼き付けた直後または前記天板に脱
脂処理もしくは化成処理を施し、加熱乾燥させた直後に
焼き付けたときの余熱または加熱乾燥時の余熱により、
ドラムの表面温度が40〜90℃となり、このときに天
板の外周縁に沿って設けられたガスケット溝にポリウレ
タン発泡体の原液を注入し、発泡させ、ポリウレタン発
泡体の硬化を促進させることが好ましい。
【0041】このように、焼き付けたときの余熱または
加熱乾燥時の余熱を利用した場合には、ポリウレタン発
泡体の原液の注入、発泡を行なったときに、低圧式混合
注入機による連続的な注入が可能となるまでウレタン化
触媒の添加量を減らしても、ポリウレタン発泡体の硬化
が促進され、約10分間以内にドラムの天板と本体との
締め付けが可能となる。
【0042】なお、オープンドラムを連続的な工程で製
造する場合、天板の成形方法には、胴体に地板を巻き締
めるときに、天板を胴体上部に嵌め合わせて回転ロール
で端部をカールする方法(以下、シーマカール法とい
う)および天板のみをプレス法によってその端部をカー
ルする方法(以下、プレスカール法という)がある。
【0043】焼付け直後にポリウレタン発泡体の原液を
注入する方法では、天蓋をこれらの2つの方法のいずれ
によっても成形することができる。しかしながら、脱脂
処理または化成処理の熱風乾燥直後にポリウレタン発泡
体の原液を注入する場合、シーマカール法では、脱脂処
理後または化成処理後に天蓋を成形させるので適当では
ない。
【0044】なお、天蓋本体にガスケットが形成された
のち、外面塗装および焼付けを行なう場合、ガスケット
は約180℃の雰囲気中で15分間程度さらされるが、
本発明の天蓋のガスケットには、物性劣化などの欠点が
何ら認められない。
【0045】
【実施例】つぎに、本発明の開閉式蓋付容器用天蓋およ
びその製造法を実施例にもとづいてさらに詳細に説明す
るが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0046】実施例1 ポリウレタン発泡体の原液の原料を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】ポリウレタン原液の第1液として、ポリオ
ールA50重量部、ポリオールC50重量部、架橋剤A
1.5重量部、水0.7重量部および触媒0.7重量部
の混合液を用意した。
【0049】ポリウレタン原液の第2液として、イソシ
アネートAを用意した。
【0050】第1液および第2液をいずれも22℃に調
温した。
【0051】JIS Z−1600に規定のオープンド
ラムを連続的に製造する工程において、外面塗装の焼き
付け直後に天蓋を本体から取り外し、これを裏返して2
0rpmの速度で回転させ、その外周縁に沿って設けら
れたガスケット溝に低圧式混合注入機を用いて、第1液
と第2液を100/17.4の割合(重量比)で毎秒5
0gの速度で3秒間混合注入した。このとき、天蓋の表
面温度は50℃であった。注入後90秒間経過後にポリ
ウレタン発泡体は形成され、ガスケットがポリウレタン
発泡体からなるオープンドラム用天蓋をえた。10分間
経過後にこの天蓋とドラムの胴体との締め付けを行な
い、翌日ドラム缶の性能を以下の性能の評価方法にもと
づいて評価した。
【0052】[オープンドラムの性能の評価方法]オー
プンドラムは、いずれも天蓋と胴体を締め付けるバンド
のボルトに350kgf・cmのトルクをかけて締め付
けたもので評価を行なった。
【0053】(1)オープンドラムの気密性 (a)気密試験 ドラムを水平な地面の上に横置きして、内圧が0.2k
gf/cm3になるまで天蓋の大栓から空気を入れたの
ちに密栓する。室温下で20分間放置後に内圧を測定
し、内圧低下度(圧力差)を算出する。
【0054】(b)水圧試験 ドラムの缶内を水道水で満たしてから、水平な地面の上
に横置きにする。天蓋の大栓から水道水をさらに入れて
缶内の水圧を徐々に上昇させ、天蓋と胴体の間から水が
漏れ出したときの缶内の水圧を測定する。
【0055】気密性評価の評価基準は、以下のとおりで
ある。
【0056】(評価基準) ◎:気密試験および水圧試験が従来の天然ゴム発泡体製
ガスケットの天蓋の性能を上回り非常に良好。 ○:気密試験および水圧試験が従来の天然ゴム発泡体製
ガスケットの天蓋の性能と同等で良好。 ×:気密試験および水圧試験が従来の天然ゴム発泡体製
ガスケットの天蓋の性能を下回り不良。
【0057】(2)オープンドラムの耐荷重性 荷重試験 ドラムを水平な地面の上に縦置きにして、その上に1ト
ンの荷重を1カ月載荷する。その後、荷重を取り去って
前記した気密試験を行なう。
【0058】耐荷重性評価の評価基準は、以下のとおり
である。
【0059】(評価基準) ○:従来の天然ゴム発泡体製ガスケットの天蓋とは異な
り、ドラムの段積みが可能。 ×:従来の天然ゴム発泡体製ガスケットの天蓋と同様に
悪く、ドラムの段積みが不可。
【0060】(3)S金具開き S金具開きとは、オープンドラムの天蓋と胴体の締め付
けの難易度を表わすものである。オープンドラムの天蓋
と胴体を締め付けるバンドのボルトに350kgf・c
mのトルクをかけて締め付けたあとに、S金具(バンド
両端のボルト締めのための金具)間の最短距離を測定す
る。
【0061】締め付けの難易度評価の評価基準は、以下
のとおりである。
【0062】(評価基準) ○:従来の天然ゴム発泡体製ガスケットの天蓋と同様に
十分に締め付けられ良好。 ×:従来の天然ゴム発泡体製ガスケットの天蓋と比較
し、締め付けが不十分となる。
【0063】(4)落下試験 ドラムの缶内に、大栓からドラム容量の98%の水道水
を注入し、密栓する。ドラム底部の巻締部を掴んで、ド
ラムの最下部が地面から1.2mとなるように吊り上げ
る。このとき、バンドのボルトがドラムの最下部(落下
時の衝撃点)となるようにする。
【0064】つぎにドラムをコンクリート製の地面に落
下させ、ドラムのバンドが外れていないかどうかを検査
したのちに、天蓋の栓を開けてドラムの内圧を大気圧と
等しくしてから天蓋と胴体の間からの水漏れの有無を検
査する。
【0065】評価は、以下の評価基準にもとづいて行な
った。
【0066】(評価基準) ○:従来の天然ゴム発泡体製ガスケットの天蓋と同様
に、水漏れはあるが少量であり、バンド外れがなく良
好。 ×:バンド外れが生じ、多量の水漏れが起こり不良。
【0067】つぎに、ガスケット溝に離型剤(コニシ
(株)製ボンドワックスURT−35N)が塗布された
天蓋を用いて同様に操作し、ポリウレタン発泡体を形成
した。10分間経過後に、天蓋からガスケット用ポリウ
レタン発泡体を離型し、翌日ポリウレタン発泡体の物性
を以下の測定法にしたがって測定した。
【0068】[ポリウレタン発泡体の物性の測定法] (1)密度 ポリウレタン発泡体の体積(V)と重量(W)を測定
し、次式によって算出する。
【0069】
【数1】
【0070】(2)硬度 ポリウレタン発泡体のドラムの胴体と接する側の表面を
SRIS0101スプリング式かたさ試験機(高分子計
器(株)製、アスカーC型硬度計)で測定する。
【0071】(3)圧縮永久歪 ポリウレタン発泡体の試験前の厚さ(t0)を測定し、
0の50%の距離まで圧縮する。この状態で70℃に
て22時間放置し、圧力解放後30分間経過後に厚さ
(t1)を測定し、次式によって算出する。
【0072】
【数2】
【0073】実施例2 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0074】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートAを用意した。
【0075】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、また第1液と第2液の混合液の注入速
度を毎秒38gに変えたほかは、実施例1と同様にして
オープンドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発泡
体を作製し、それらの評価を実施例1と同様にして行な
った。その結果を表2に示す。
【0076】実施例3 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0077】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートBを用意した。
【0078】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、また第1液と第2液の混合液の注入速
度を毎秒60gに変えたほかは、実施例1と同様にして
オープンドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発泡
体を作製し、それらの評価を実施例1と同様にして行な
った。その結果を表2に示す。
【0079】実施例4 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0080】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートCを用意した。
【0081】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、また第1液と第2液の混合液の注入速
度を毎秒42gに変えたほかは、実施例1と同様にして
オープンドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発泡
体を作製し、それらの評価を実施例1と同様にして行な
った。その結果を表2に示す。
【0082】実施例5 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0083】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートCを用意した。
【0084】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、第1液と第2液の混合液とを混合し、
得られた混合液をガスケット溝に注入する際に、天蓋を
回転させずに静置し、それに代わって低圧式混合注入機
のミキシングヘッドをガスケット溝に沿って移動させな
がら、ポリウレタン発泡体の厚さが均一となるように混
合液を注入したほかは、実施例4と同様にしてオープン
ドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発泡体を作製
し、それらの評価を実施例1と同様にして行なった。そ
の結果を表2に示す。
【0085】比較例1 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0086】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートBを用意した。
【0087】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、また第1液と第2液の混合液の注入速
度を毎秒18gに変えたほかは、実施例1と同様にして
オープンドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発泡
体を作製し、それらの評価を実施例1と同様にして行な
った。その結果を表2に示す。
【0088】比較例2 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0089】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートAを用意した。
【0090】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、また第1液と第2液の混合液の注入速
度を毎秒100gに変えたほかは、実施例1と同様にし
てオープンドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発
泡体を作製し、それらの評価を実施例1と同様にして行
なった。その結果を表2に示す。
【0091】比較例3 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0092】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートBを用意した。
【0093】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、また第1液と第2液の混合液の注入速
度を毎秒60gに変えたほかは、実施例1と同様にして
オープンドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発泡
体を作製し、それらの評価を実施例1と同様にして行な
った。その結果を表2に示す。
【0094】比較例4 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0095】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートAを用意した。
【0096】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、また第1液と第2液の混合液の注入速
度を毎秒52gに変えたほかは、実施例1と同様にして
オープンドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発泡
体を作製し、それらの評価を実施例1と同様にして行な
った。その結果を表2に示す。
【0097】比較例5 ポリウレタン発泡体の原液の第1液を表2に示すように
調製した。
【0098】また、ポリウレタン発泡体の原液の第2液
として、イソシアネートAを用意した。
【0099】つぎに、第1液と第2液の割合を表2に示
すように変更し、また第1液と第2液の混合液の注入速
度を毎秒48gに変えたほかは、実施例1と同様にして
オープンドラム用天蓋とガスケット用ポリウレタン発泡
体を作製し、それらの評価を実施例1と同様にして行な
った。その結果を表2に示す。
【0100】比較例6 ガスケットが天然ゴムの発泡体からなる従来のオープン
ドラム用天蓋とガスケット用天然ゴム製発泡体を用意し
て、実施例1と同様にして評価を行なった。その結果を
表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】表2に示された結果から、実施例1〜5で
えられたガスケットは、いずれも密度0.20〜0.7
0g/cm3、硬度20〜60および圧縮永久歪10%
以下を有するものであり、気密性および耐荷重性にすぐ
れたものであることがわかる。
【0103】
【発明の効果】本発明の開閉式蓋付容器用天蓋は、オー
プンドラムとしてもっとも重要な物性項目である耐荷重
性や気密性をはじめ、優れた性能を有するものである。
【0104】また、本発明の製造法によれば、オープン
ドラムの天蓋のガスケット溝にガスケットを施す際に必
要な作業が、混合注入機によるポリウレタン原液の注入
のみであり、従来の天然ゴム発泡体製ガスケットのオー
プンドラム用天蓋のような繁雑な手作業が不要となり工
程が簡素化されるという効果が奏される。
【0105】さらにオープンドラムを連続的に製造する
工程において、ポリウレタン原液の注入および発泡を、
天蓋の外面塗装の焼き付け直後、あるいは脱脂処理また
は化成処理の加熱乾燥直後のいずれかのときに行なうこ
とにより、ポリウレタン発泡体の硬化のための加熱炉や
一時保管設備を設けることなく、インラインで簡易な設
備で天蓋にガスケットを形成することができ、経済的に
有利である。
【0106】なお、本発明はオープンドラムについての
み実施例をあげたが、ペール缶などのオープンドラムと
同様の性能が必要な開閉式蓋付容器の天蓋にも用いるこ
とができ、これらの性能や製造時の作業性の改善に広く
貢献しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の開閉式蓋付容器用天蓋の製
造法の概略説明図、(b)は、(a)のX−X部におけ
る部分断面図である。
【符号の説明】
1 天蓋本体 2 支持体 3 混合注入機 4 ミキシングヘッド 5 ガスケット溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 境 栄二 千葉県市原市姉崎海岸13番地 日鐵ドラム 株式會社千葉工場内 (72)発明者 信吉 元二 京都府城陽市寺田市ノ久保2−437 (72)発明者 楠原 敏夫 京都府宇治市五ケ庄戸ノ内26−1

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度0.20〜0.70g/cm3、硬
    度20〜60および圧縮永久歪10%以下を有するポリ
    ウレタン発泡体からなるガスケットが、天蓋本体の外周
    縁に沿って設けられたガスケット溝に設けられてなる開
    閉式蓋付容器用天蓋。
  2. 【請求項2】 ポリウレタン発泡体の原液を混合注入機
    のミキシングヘッドを介して天蓋本体の外周縁に沿って
    設けられたガスケット溝に注入するに際し、天蓋本体を
    回転させながら、ポリウレタン発泡体の原液を前記ガス
    ケット溝に注入し、発泡、硬化させることを特徴とする
    請求項1記載の開閉式蓋付容器用天蓋の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリウレタン発泡体の原液を混合注入機
    のミキシングヘッドを介して天蓋本体の外周縁に沿って
    設けられたガスケット溝に注入するに際し、前記ミキシ
    ングヘッドを前記天蓋本体の外周縁に沿って移動させな
    がら、ポリウレタン発泡体の原液を前記ガスケット溝に
    注入し、発泡、硬化させることを特徴とする請求項1記
    載の開閉式蓋付容器用天蓋の製造法。
  4. 【請求項4】 前記天蓋本体の外面を塗装し、焼き付け
    た直後または前記天蓋本体に脱脂処理もしくは化成処理
    を施し、加熱乾燥させた直後に、天蓋本体の外周縁に沿
    って設けられたガスケット溝にポリウレタン発泡体の原
    液を注入し、発泡させ、前記天蓋本体の外面を塗装し、
    焼き付けたときの余熱または加熱乾燥時の余熱を利用し
    て形成されたポリウレタン発泡体の硬化を促進させる請
    求項2または3記載の開閉式蓋付容器用天蓋の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100828527B1 (ko) * 2001-11-02 2008-05-13 니혼 크라운 코르크 가부시키가이샤 우수한 안전성 및 환경 친화성을 특징으로 하는 마개용밀봉 부재 및 금속 마개
JP2020019506A (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタン格納容器の製造方法及びスポンジチタンの管理方法

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