JPH09298289A - 酸化物誘電体積層構造の製造方法及び電子回路装置 - Google Patents
酸化物誘電体積層構造の製造方法及び電子回路装置Info
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- JPH09298289A JPH09298289A JP8109964A JP10996496A JPH09298289A JP H09298289 A JPH09298289 A JP H09298289A JP 8109964 A JP8109964 A JP 8109964A JP 10996496 A JP10996496 A JP 10996496A JP H09298289 A JPH09298289 A JP H09298289A
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Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10N—ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10N60/00—Superconducting devices
- H10N60/10—Junction-based devices
Landscapes
- Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
- Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 酸化物誘電体材料中に部分的に不純物を添加
し、かつ表面に電気的バリアを残さない不純物の添加方
法を提供する。 【解決手段】 酸化物誘電体材料からなる表面層を有す
る下地基板の表面上に、他の酸化物誘電体材料からなる
不純物供給膜を堆積する工程と、不純物供給膜の上に、
下地基板の表面層と同じ酸化物誘電体材料からなる不純
物吸収膜を堆積する工程と、下地基板を加熱し、不純物
供給膜中の酸素以外の少なくとも1種の構成原子の一部
と基板の表面層及び不純物吸収膜中の酸素以外の少なく
とも1種の構成原子の一部とを、不純物供給膜の全厚さ
部分にわたって置換する熱処理工程とを有する。
し、かつ表面に電気的バリアを残さない不純物の添加方
法を提供する。 【解決手段】 酸化物誘電体材料からなる表面層を有す
る下地基板の表面上に、他の酸化物誘電体材料からなる
不純物供給膜を堆積する工程と、不純物供給膜の上に、
下地基板の表面層と同じ酸化物誘電体材料からなる不純
物吸収膜を堆積する工程と、下地基板を加熱し、不純物
供給膜中の酸素以外の少なくとも1種の構成原子の一部
と基板の表面層及び不純物吸収膜中の酸素以外の少なく
とも1種の構成原子の一部とを、不純物供給膜の全厚さ
部分にわたって置換する熱処理工程とを有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化物誘電体積層構
造の製造方法及び電子回路装置に関し、特に、キャリア
を生成する不純物を添加した層を有する酸化物誘電体積
層構造の製造方法及び電子回路装置に関する。
造の製造方法及び電子回路装置に関し、特に、キャリア
を生成する不純物を添加した層を有する酸化物誘電体積
層構造の製造方法及び電子回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超伝導体と酸化物誘電体とを組み
合わせて電子回路装置を構成する技術が研究されてい
る。SrTiO3 等の酸化物誘電体にNb、La等の不
純物を添加すると、キャリアが増加して半導体として振
る舞うようになる。
合わせて電子回路装置を構成する技術が研究されてい
る。SrTiO3 等の酸化物誘電体にNb、La等の不
純物を添加すると、キャリアが増加して半導体として振
る舞うようになる。
【0003】酸化物誘電体材料にキャリアを生成するた
めの不純物を添加する方法として、単結晶の成長過程で
金属材料を添加する方法、及び酸化物誘電体材料に他の
酸化物誘電体材料を拡散させる方法が知られている。
めの不純物を添加する方法として、単結晶の成長過程で
金属材料を添加する方法、及び酸化物誘電体材料に他の
酸化物誘電体材料を拡散させる方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】単結晶の成長過程で金
属材料を添加する方法を用いて酸化物誘電体材料に不純
物を添加する場合、結晶全体に金属材料が添加されてし
まい、種々の電子回路装置への応用は困難である。
属材料を添加する方法を用いて酸化物誘電体材料に不純
物を添加する場合、結晶全体に金属材料が添加されてし
まい、種々の電子回路装置への応用は困難である。
【0005】酸化物誘電体材料に他の酸化物誘電体材料
を拡散させる方法の例として、SrTiO3 の基板上に
LaTiO3 膜を堆積して熱処理を行う方法が知られて
いる。しかし、SrTiO3 中のLa等の不純物の拡散
長が短いため、Siに不純物を拡散させる場合に比べ
て、La等の不純物はSrTiO3 中に拡散しにくい。
また、LaTiO3 膜を膜状に堆積するためには、厚さ
約1nm以上の膜を堆積する必要がある。このため、熱
処理を行ってLaをSrTiO3 基板中に拡散させて
も、表面にLaTiO3 の薄層が残ってしまう。表面に
残ったLaTiO3層を除去することは困難であり、L
aTiO3 層が拡散領域とその上の電極との電気的接触
の妨げとなる。
を拡散させる方法の例として、SrTiO3 の基板上に
LaTiO3 膜を堆積して熱処理を行う方法が知られて
いる。しかし、SrTiO3 中のLa等の不純物の拡散
長が短いため、Siに不純物を拡散させる場合に比べ
て、La等の不純物はSrTiO3 中に拡散しにくい。
また、LaTiO3 膜を膜状に堆積するためには、厚さ
約1nm以上の膜を堆積する必要がある。このため、熱
処理を行ってLaをSrTiO3 基板中に拡散させて
も、表面にLaTiO3 の薄層が残ってしまう。表面に
残ったLaTiO3層を除去することは困難であり、L
aTiO3 層が拡散領域とその上の電極との電気的接触
の妨げとなる。
【0006】本発明の目的は、酸化物誘電体材料中に部
分的に不純物を添加し、かつ表面に電気的バリアを残さ
ない不純物の添加方法を提供するすることである。本発
明の他の目的は、酸化物誘電体材料中に部分的に不純物
を添加して半導体層を形成した電子回路装置を提供する
ことである。
分的に不純物を添加し、かつ表面に電気的バリアを残さ
ない不純物の添加方法を提供するすることである。本発
明の他の目的は、酸化物誘電体材料中に部分的に不純物
を添加して半導体層を形成した電子回路装置を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点による
と、酸化物誘電体材料からなる表面層を有する下地基板
の表面上に、他の酸化物誘電体材料からなる不純物供給
膜を堆積する工程と、前記不純物供給膜の上に、前記下
地基板の表面層と同じ酸化物誘電体材料からなる不純物
吸収膜を堆積する工程と、前記下地基板を加熱し、前記
不純物供給膜中の酸素以外の少なくとも1種の構成原子
の一部と前記基板の表面層及び前記不純物吸収膜中の酸
素以外の少なくとも1種の構成原子の一部とを、前記不
純物供給膜の全厚さ部分にわたって置換する熱処理工程
とを有する酸化物誘電体積層構造の製造方法が提供され
る。
と、酸化物誘電体材料からなる表面層を有する下地基板
の表面上に、他の酸化物誘電体材料からなる不純物供給
膜を堆積する工程と、前記不純物供給膜の上に、前記下
地基板の表面層と同じ酸化物誘電体材料からなる不純物
吸収膜を堆積する工程と、前記下地基板を加熱し、前記
不純物供給膜中の酸素以外の少なくとも1種の構成原子
の一部と前記基板の表面層及び前記不純物吸収膜中の酸
素以外の少なくとも1種の構成原子の一部とを、前記不
純物供給膜の全厚さ部分にわたって置換する熱処理工程
とを有する酸化物誘電体積層構造の製造方法が提供され
る。
【0008】不純物供給膜の上に不純物吸収膜が配置さ
れているため、不純物供給膜内の不純物が下方の基板表
面層のみならず上方の不純物吸収膜にも拡散する。ま
た、基板表面層及び不純物吸収膜内の構成原子も不純物
供給膜内へ拡散する。このため、不純物供給膜内の構成
原子の一部をその全厚さにわたって置換することができ
る。不純物供給膜の全厚さにわたって構成原子の一部が
置換されると、基板表面層に形成された不純物添加領域
上に電極を形成して容易に電気的接触をとることが可能
になる。
れているため、不純物供給膜内の不純物が下方の基板表
面層のみならず上方の不純物吸収膜にも拡散する。ま
た、基板表面層及び不純物吸収膜内の構成原子も不純物
供給膜内へ拡散する。このため、不純物供給膜内の構成
原子の一部をその全厚さにわたって置換することができ
る。不純物供給膜の全厚さにわたって構成原子の一部が
置換されると、基板表面層に形成された不純物添加領域
上に電極を形成して容易に電気的接触をとることが可能
になる。
【0009】本発明の他の観点によると、酸化物誘電体
材料からなる下地基板であって、該下地基板の表面から
ある深さの領域に、不純物が添加されるかまたは酸素以
外の少なくとも1種の構成原子の一部が他の原子に置換
されて、キャリアに対してポテンシャル井戸を形成する
半導体層を有する前記下地基板と、前記下地基板の表面
上に配置され、該下地基板の誘電率よりも小さな誘電率
を有する他の酸化物誘電体材料からなる誘電体膜と、前
記誘電体膜の上に配置され、酸化物超伝導材料からなる
電極とを有する電子回路装置が提供される。
材料からなる下地基板であって、該下地基板の表面から
ある深さの領域に、不純物が添加されるかまたは酸素以
外の少なくとも1種の構成原子の一部が他の原子に置換
されて、キャリアに対してポテンシャル井戸を形成する
半導体層を有する前記下地基板と、前記下地基板の表面
上に配置され、該下地基板の誘電率よりも小さな誘電率
を有する他の酸化物誘電体材料からなる誘電体膜と、前
記誘電体膜の上に配置され、酸化物超伝導材料からなる
電極とを有する電子回路装置が提供される。
【0010】下地基板の電位を基準として電極に負の電
圧を印加し、誘電体膜及び下地基板の表面層によるポテ
ンシャル障壁の厚さが量子効果を奏する程度まで薄くな
ると、電極内の電子がこの障壁層をトンネルして半導体
層に達する。半導体層と下地基板との界面のポテンシャ
ルバリアは比較的小さいため、半導体層に達した電子の
大部分は下地基板内に流れる。このため、電子のトンネ
ルが生ずる電圧を超えると、電流が急激に増加する。
圧を印加し、誘電体膜及び下地基板の表面層によるポテ
ンシャル障壁の厚さが量子効果を奏する程度まで薄くな
ると、電極内の電子がこの障壁層をトンネルして半導体
層に達する。半導体層と下地基板との界面のポテンシャ
ルバリアは比較的小さいため、半導体層に達した電子の
大部分は下地基板内に流れる。このため、電子のトンネ
ルが生ずる電圧を超えると、電流が急激に増加する。
【0011】電極に正の電圧を印加すると、下地基板内
の電子が半導体層との間のポテンシャルバリアを越えて
半導体層内に移動する。誘電体膜及び下地基板の表面層
によるポテンシャル障壁の厚さが量子効果を奏する程度
まで薄くなると、半導体層内に移動した電子がこの障壁
層をトンネルして電極に達する。このため、下地基板内
の電子がポテンシャルバリアを越える電圧以上の電圧を
印加すると、電流が急激に増加する。
の電子が半導体層との間のポテンシャルバリアを越えて
半導体層内に移動する。誘電体膜及び下地基板の表面層
によるポテンシャル障壁の厚さが量子効果を奏する程度
まで薄くなると、半導体層内に移動した電子がこの障壁
層をトンネルして電極に達する。このため、下地基板内
の電子がポテンシャルバリアを越える電圧以上の電圧を
印加すると、電流が急激に増加する。
【0012】
【発明の実施の形態】図1A〜1Cを参照して、本発明
の実施例による酸化物誘電体材料への不純物添加方法を
説明する。
の実施例による酸化物誘電体材料への不純物添加方法を
説明する。
【0013】図1Aに示すように、SrTiO3 基板1
の上に、CeO2 からなる厚さ約50nmのマスク層2
を堆積する。マスク層2の堆積は、例えばターゲットと
してCeO2 、レーザ光としてエネルギ密度2J/cm
2 のKrFレーザを用い、基板温度を860℃、雰囲気
圧力を10mTorrとしたレーザアブレーション法に
より行う。
の上に、CeO2 からなる厚さ約50nmのマスク層2
を堆積する。マスク層2の堆積は、例えばターゲットと
してCeO2 、レーザ光としてエネルギ密度2J/cm
2 のKrFレーザを用い、基板温度を860℃、雰囲気
圧力を10mTorrとしたレーザアブレーション法に
より行う。
【0014】マスク層2の所定の領域をレジストパター
ンで覆い、Arを用いたイオンミリングによりマスク層
2に開口3を形成する。開口3を形成後、レジストパタ
ーンを除去する。
ンで覆い、Arを用いたイオンミリングによりマスク層
2に開口3を形成する。開口3を形成後、レジストパタ
ーンを除去する。
【0015】開口3の底面に露出したSrTiO3 基板
1の表面上及びマスク層2の上面上にLaTiO3 から
なる厚さ約2.5nmの不純物供給膜4を堆積する。不
純物供給膜4の堆積は、例えば、ターゲットとしてLa
TiO3 、レーザ光としてエネルギ密度2J/cm2 の
KrFレーザを用い、基板温度を約910℃、雰囲気圧
力を約1×10-5Torrとしたレーザアブレーション
法により行う。不純物供給膜4の堆積後、基板温度を9
10℃に維持して約30分間の1回目の熱処理を行う。
不純物供給膜4の堆積中及び堆積後の熱処理中に、不純
物供給膜4内のLa原子がSrTiO3 基板1の表面層
内に拡散し、SrTiO3 基板1の表面層において、一
部のSr原子がLa原子に置換される。同時にSrTi
O3 基板1から不純物供給膜4にSr原子が拡散する。
1の表面上及びマスク層2の上面上にLaTiO3 から
なる厚さ約2.5nmの不純物供給膜4を堆積する。不
純物供給膜4の堆積は、例えば、ターゲットとしてLa
TiO3 、レーザ光としてエネルギ密度2J/cm2 の
KrFレーザを用い、基板温度を約910℃、雰囲気圧
力を約1×10-5Torrとしたレーザアブレーション
法により行う。不純物供給膜4の堆積後、基板温度を9
10℃に維持して約30分間の1回目の熱処理を行う。
不純物供給膜4の堆積中及び堆積後の熱処理中に、不純
物供給膜4内のLa原子がSrTiO3 基板1の表面層
内に拡散し、SrTiO3 基板1の表面層において、一
部のSr原子がLa原子に置換される。同時にSrTi
O3 基板1から不純物供給膜4にSr原子が拡散する。
【0016】不純物供給膜4の上にSrTiO3 からな
る厚さ約2.5nmの不純物吸収膜5を堆積する。不純
物吸収膜5は、例えば、ターゲットとしてSrTi
O3 、レーザ光としてエネルギ密度2J/cm2 のKr
Fレーザを用い、基板温度を約860℃、圧力約1×1
0-2Torrの酸素雰囲気としたレーザアブレーション
法により行う。不純物吸収膜5の堆積後、基板温度を8
60℃に維持して約15分間の2回目の熱処理を行う。
る厚さ約2.5nmの不純物吸収膜5を堆積する。不純
物吸収膜5は、例えば、ターゲットとしてSrTi
O3 、レーザ光としてエネルギ密度2J/cm2 のKr
Fレーザを用い、基板温度を約860℃、圧力約1×1
0-2Torrの酸素雰囲気としたレーザアブレーション
法により行う。不純物吸収膜5の堆積後、基板温度を8
60℃に維持して約15分間の2回目の熱処理を行う。
【0017】不純物吸収膜5の堆積中及び2回目の熱処
理中に、不純物供給膜4内のLa原子がSrTiO3 基
板1及び不純物吸収膜5内に拡散する。SrTiO3 基
板1の表面層及び不純物吸収膜5内のSr原子の一部が
La原子に置換される。
理中に、不純物供給膜4内のLa原子がSrTiO3 基
板1及び不純物吸収膜5内に拡散する。SrTiO3 基
板1の表面層及び不純物吸収膜5内のSr原子の一部が
La原子に置換される。
【0018】不純物供給膜4及び不純物吸収膜5の堆積
中に基板加熱を行うことは必ずしも必要ではないが、基
板加熱を行うことにより、La原子をより効率的に拡散
させることができる。基板温度は、500℃以上とする
ことが好ましい。また、不純物供給膜4の堆積中に、L
a原子の拡散を促進させるためには、雰囲気圧力を1×
10-1Torr以下とすることが好ましい。また、Sr
TiO3 膜の堆積時には、O欠損を防止するために、雰
囲気のO2 分圧を1×10-2Torr以上とすることが
好ましい。
中に基板加熱を行うことは必ずしも必要ではないが、基
板加熱を行うことにより、La原子をより効率的に拡散
させることができる。基板温度は、500℃以上とする
ことが好ましい。また、不純物供給膜4の堆積中に、L
a原子の拡散を促進させるためには、雰囲気圧力を1×
10-1Torr以下とすることが好ましい。また、Sr
TiO3 膜の堆積時には、O欠損を防止するために、雰
囲気のO2 分圧を1×10-2Torr以上とすることが
好ましい。
【0019】図1Bは、2回目の熱処理後の基板の断面
図を示す。開口3が形成された領域では、不純物吸収膜
5及び不純物供給膜4が消滅し、SrTiO3 基板1の
表面層及び不純物吸収膜5のSr原子の一部がLa原子
に置換された不純物添加領域6が形成される。マスク層
2の上面上では、不純物吸収膜5の全厚さにわたってS
r原子の一部がLa原子に置換され、(La,Sr)T
iO3 膜7が形成される。マスク層2と(La,Sr)
TiO3 膜7との間に、不純物供給膜4の一部が残留す
る。
図を示す。開口3が形成された領域では、不純物吸収膜
5及び不純物供給膜4が消滅し、SrTiO3 基板1の
表面層及び不純物吸収膜5のSr原子の一部がLa原子
に置換された不純物添加領域6が形成される。マスク層
2の上面上では、不純物吸収膜5の全厚さにわたってS
r原子の一部がLa原子に置換され、(La,Sr)T
iO3 膜7が形成される。マスク層2と(La,Sr)
TiO3 膜7との間に、不純物供給膜4の一部が残留す
る。
【0020】このようにして、SrTiO3 基板1の表
面上の一部領域に、(La,Sr)TiO3 からなる厚
さ約10nmの不純物添加領域6が形成される。SrT
iO 3 の一部のSr原子をLa原子に置換した不純物添
加領域6は、n型の半導体になる。
面上の一部領域に、(La,Sr)TiO3 からなる厚
さ約10nmの不純物添加領域6が形成される。SrT
iO 3 の一部のSr原子をLa原子に置換した不純物添
加領域6は、n型の半導体になる。
【0021】図1Cに示すように、Arを用いたイオン
ミリングにより、マスク層2の上面上に形成された(L
a,Sr)TiO3 膜7を除去する。このとき、開口3
の底面に露出している不純物添加領域6の表面層の一部
も除去される。なお、開口3の底面をレジストパターン
で覆っておき、不純物添加領域6の表面層の上層部が除
去されないようにしてもよい。
ミリングにより、マスク層2の上面上に形成された(L
a,Sr)TiO3 膜7を除去する。このとき、開口3
の底面に露出している不純物添加領域6の表面層の一部
も除去される。なお、開口3の底面をレジストパターン
で覆っておき、不純物添加領域6の表面層の上層部が除
去されないようにしてもよい。
【0022】上記実施例では、第2回目の熱処理中に図
1Aに示す不純物供給膜4内のLa原子が下方のSrT
iO3 基板1のみならず上方の不純物吸収膜5内へも拡
散する。このため、図1Bに示すように開口3が形成さ
れた領域において不純物供給膜4を構成していたLaT
iO3 からなる層を消滅させることができる。また、不
純物吸収膜5を構成していたSrTiO3 からなる層も
消滅する。
1Aに示す不純物供給膜4内のLa原子が下方のSrT
iO3 基板1のみならず上方の不純物吸収膜5内へも拡
散する。このため、図1Bに示すように開口3が形成さ
れた領域において不純物供給膜4を構成していたLaT
iO3 からなる層を消滅させることができる。また、不
純物吸収膜5を構成していたSrTiO3 からなる層も
消滅する。
【0023】このようにして、SrTiO3 基板1の表
面にLaTiO3 領域を残留させることなく、(La,
Sr)TiO3 からなる不純物添加領域6を形成するこ
とができる。また、図1Cに示すように、マスク層2の
上面上に形成された(La,Sr)TiO3 膜をイオン
ミリングで除去する際に、マスク層2の上面上にLaT
iO3 からなる不純物供給膜4が残留する場合であって
も、開口3の底面にLaTiO3 領域が残留することは
ない。このため、不純物添加領域6の表面上に電極を形
成し、容易に電気的接続を得ることができる。なお、不
純物供給膜4及び不純物吸収膜5の全厚さを(La,S
r)TiO3 に変化させるためには、それらの厚さを各
々5nm以下とすることが好ましい。
面にLaTiO3 領域を残留させることなく、(La,
Sr)TiO3 からなる不純物添加領域6を形成するこ
とができる。また、図1Cに示すように、マスク層2の
上面上に形成された(La,Sr)TiO3 膜をイオン
ミリングで除去する際に、マスク層2の上面上にLaT
iO3 からなる不純物供給膜4が残留する場合であって
も、開口3の底面にLaTiO3 領域が残留することは
ない。このため、不純物添加領域6の表面上に電極を形
成し、容易に電気的接続を得ることができる。なお、不
純物供給膜4及び不純物吸収膜5の全厚さを(La,S
r)TiO3 に変化させるためには、それらの厚さを各
々5nm以下とすることが好ましい。
【0024】次に、図2A〜2Dを参照して、本発明の
他の実施例による酸化物誘電体材料への不純物添加方法
を説明する。図2Aに示すように、上記実施例の図1A
に示す積層構造とほぼ同様の積層構造を形成する。図1
Aの不純物吸収膜5の厚さは約2.5nmであるが、図
2Aの不純物吸収膜5Aの厚さは約20nmであり、そ
の他の構成は図1Aの場合と同様である。
他の実施例による酸化物誘電体材料への不純物添加方法
を説明する。図2Aに示すように、上記実施例の図1A
に示す積層構造とほぼ同様の積層構造を形成する。図1
Aの不純物吸収膜5の厚さは約2.5nmであるが、図
2Aの不純物吸収膜5Aの厚さは約20nmであり、そ
の他の構成は図1Aの場合と同様である。
【0025】図2Bは、不純物吸収膜5Aを堆積した後
の熱処理後の基板断面図を示す。図1Bの場合には、開
口3内において不純物吸収膜5の全厚さが不純物添加領
域6に変化している。これに対し、図2Bの場合には、
不純物吸収膜5Aが厚いため、その全厚さが不純物添加
領域6に変化せず、不純物添加領域6の上に不純物吸収
膜5Aの一部が残留する。同様に、(La,Sr)Ti
O3 膜7の上に不純物吸収膜5Aの一部が残留する。
の熱処理後の基板断面図を示す。図1Bの場合には、開
口3内において不純物吸収膜5の全厚さが不純物添加領
域6に変化している。これに対し、図2Bの場合には、
不純物吸収膜5Aが厚いため、その全厚さが不純物添加
領域6に変化せず、不純物添加領域6の上に不純物吸収
膜5Aの一部が残留する。同様に、(La,Sr)Ti
O3 膜7の上に不純物吸収膜5Aの一部が残留する。
【0026】このようにして、SrTiO3 基板1の表
面領域のうち開口3が形成された領域に、(La,S
r)TiO3 からなる厚さ約7.5nmの不純物添加領
域6、およびその上に厚さ約17.5nmのSrTiO
3 膜5Aが形成される。
面領域のうち開口3が形成された領域に、(La,S
r)TiO3 からなる厚さ約7.5nmの不純物添加領
域6、およびその上に厚さ約17.5nmのSrTiO
3 膜5Aが形成される。
【0027】図2Cに示すように、残留した不純物吸収
膜5Aの上に、In2 O3 からなる厚さ約10nmのバ
リア層10及びYBa2 Cu3 O7-x (YBCO)から
なる厚さ約50nmの超伝導膜11をこの順番に堆積す
る。バリア層10の堆積は、例えば、KrFレーザ光の
エネルギ密度を2J/cm2 、基板温度を860℃、雰
囲気圧力を10mTorrとしたレーザアブレーション
により行う。超伝導膜11の堆積は、例えば、KrFレ
ーザ光のエネルギ密度を3J/cm2 、基板温度を83
0℃、雰囲気圧力を10mTorrとしたレーザアブレ
ーションにより行う。
膜5Aの上に、In2 O3 からなる厚さ約10nmのバ
リア層10及びYBa2 Cu3 O7-x (YBCO)から
なる厚さ約50nmの超伝導膜11をこの順番に堆積す
る。バリア層10の堆積は、例えば、KrFレーザ光の
エネルギ密度を2J/cm2 、基板温度を860℃、雰
囲気圧力を10mTorrとしたレーザアブレーション
により行う。超伝導膜11の堆積は、例えば、KrFレ
ーザ光のエネルギ密度を3J/cm2 、基板温度を83
0℃、雰囲気圧力を10mTorrとしたレーザアブレ
ーションにより行う。
【0028】開口3の底面の内奥部を覆うレジストパタ
ーン12を形成する。開口3の底面の周辺近傍領域に
は、位置合わせマージンを確保するためレジストパター
ン12で覆われていない領域が確保されている。
ーン12を形成する。開口3の底面の周辺近傍領域に
は、位置合わせマージンを確保するためレジストパター
ン12で覆われていない領域が確保されている。
【0029】図2Dに示すように、レジストパターン1
2をマスクとしてマスク層2の上面上に形成された超伝
導膜11、バリア層10、SrTiO3 膜5A及び(L
a,Sr)TiO3 膜7をArを用いたイオンミリング
により除去する。その後、レジストパターン12を除去
する。開口3の底面のうちレジストパターン12で覆わ
れていない周辺領域も削られ、溝13が形成される。開
口3が形成された領域に、SrTiO3 基板1、不純物
添加領域6、SrTiO3 領域5A、バリア層10、及
び超伝導膜11からなる積層構造が形成される。
2をマスクとしてマスク層2の上面上に形成された超伝
導膜11、バリア層10、SrTiO3 膜5A及び(L
a,Sr)TiO3 膜7をArを用いたイオンミリング
により除去する。その後、レジストパターン12を除去
する。開口3の底面のうちレジストパターン12で覆わ
れていない周辺領域も削られ、溝13が形成される。開
口3が形成された領域に、SrTiO3 基板1、不純物
添加領域6、SrTiO3 領域5A、バリア層10、及
び超伝導膜11からなる積層構造が形成される。
【0030】上記他の実施例では、図2Aの工程で、L
aTiO3 からなる不純物供給膜4に比べて十分厚いS
rTiO3 からなる不純物吸収膜5Aを形成する。この
ため、図2Bに示すように、SrTiO3 表面からある
深さにLaが添加された薄い不純物添加領域6を形成す
ることができる。SrTiO3 表面からの深さ方向に関
する不純物分布は、δ関数で近似することができる。
aTiO3 からなる不純物供給膜4に比べて十分厚いS
rTiO3 からなる不純物吸収膜5Aを形成する。この
ため、図2Bに示すように、SrTiO3 表面からある
深さにLaが添加された薄い不純物添加領域6を形成す
ることができる。SrTiO3 表面からの深さ方向に関
する不純物分布は、δ関数で近似することができる。
【0031】次に、図3A〜3Eを参照して、図2Dに
示す積層構造を用いた超伝導電子回路装置の動作につい
て説明する。図3Aは、図2Dに示す開口3の内部に形
成された積層構造を示す。図3Aの右方から順番にSr
TiO3 基板1、不純物添加領域6、SrTiO3 膜5
A、バリア層10及び超伝導膜11が積層されている。
なお、SrTiO3 基板1及びSrTiO3 膜5Aに
は、Nb等のn型不純物が添加されn型の導電性が付与
されている。
示す積層構造を用いた超伝導電子回路装置の動作につい
て説明する。図3Aは、図2Dに示す開口3の内部に形
成された積層構造を示す。図3Aの右方から順番にSr
TiO3 基板1、不純物添加領域6、SrTiO3 膜5
A、バリア層10及び超伝導膜11が積層されている。
なお、SrTiO3 基板1及びSrTiO3 膜5Aに
は、Nb等のn型不純物が添加されn型の導電性が付与
されている。
【0032】図3Bは、図3Aの積層構造の電流電圧特
性と比較するため、n型のSrTiO3 基板1の表面上
に直接In2 O3 からなるバリア層10が形成され、そ
の上にYBCOからなる超伝導膜11が形成されている
積層構造を示す。
性と比較するため、n型のSrTiO3 基板1の表面上
に直接In2 O3 からなるバリア層10が形成され、そ
の上にYBCOからなる超伝導膜11が形成されている
積層構造を示す。
【0033】図3C及び3Dは、それぞれ図3A及び3
Bに示す積層構造の伝導帯端のエネルギバンド図を示
す。エネルギバンド図中の伝導帯端を示す実線に付した
参照符号は、図3A及び3Bの対応する層を表す。
Bに示す積層構造の伝導帯端のエネルギバンド図を示
す。エネルギバンド図中の伝導帯端を示す実線に付した
参照符号は、図3A及び3Bの対応する層を表す。
【0034】図3Bに示すようにSrTiO3 基板1の
表面に直接バリア層10を形成した場合は、図3Dに示
すようにSrTiO3 基板1内において、バリア層10
との界面から離れるに従って伝導帯端のエネルギ準位が
緩やかに低下する。これに対し、図3Aに示すように不
純物添加領域6を配置した場合は、図3Cに示すよう
に、不純物添加領域6に対応してポテンシャル井戸が形
成される。不純物添加領域6とSrTiO3 基板1との
界面近傍には、小さなポテンシャルの山20が形成され
る。
表面に直接バリア層10を形成した場合は、図3Dに示
すようにSrTiO3 基板1内において、バリア層10
との界面から離れるに従って伝導帯端のエネルギ準位が
緩やかに低下する。これに対し、図3Aに示すように不
純物添加領域6を配置した場合は、図3Cに示すよう
に、不純物添加領域6に対応してポテンシャル井戸が形
成される。不純物添加領域6とSrTiO3 基板1との
界面近傍には、小さなポテンシャルの山20が形成され
る。
【0035】図3Eは、図3A及び3Bに示す積層構造
のSrTiO3 基板1と超伝導膜11との間の電流電圧
特性を示す。横軸はSrTiO3 基板1側を正の向きに
とった印加電圧を、縦軸は電流を、共に任意目盛りで表
す。図中の曲線a及びbは、それぞれ図3A及び3Bに
示す積層構造を流れる電流に対応する。
のSrTiO3 基板1と超伝導膜11との間の電流電圧
特性を示す。横軸はSrTiO3 基板1側を正の向きに
とった印加電圧を、縦軸は電流を、共に任意目盛りで表
す。図中の曲線a及びbは、それぞれ図3A及び3Bに
示す積層構造を流れる電流に対応する。
【0036】図3Bに示す積層構造に正の電圧を印加す
ると、SrTiO3 よりも誘電率の小さいIn2 O3 か
らなるバリア層10内に大きな電界が発生する。このた
め、バリア層10における伝導帯端の傾きが大きくな
る。電圧V1 を印加すると、超伝導膜11内の電子がバ
リア層10をトンネルしてバリア層10とSrTiO3
基板1との界面近傍のポテンシャル井戸まで移動する。
バリア層10とSrTiO3 基板1との間のポテンシャ
ル障壁を超えるエネルギを有する電子はSrTiO3 基
板1内に流れる。このようにして、電圧V1 以上の電圧
を印加すると、電流が徐々に増加する。
ると、SrTiO3 よりも誘電率の小さいIn2 O3 か
らなるバリア層10内に大きな電界が発生する。このた
め、バリア層10における伝導帯端の傾きが大きくな
る。電圧V1 を印加すると、超伝導膜11内の電子がバ
リア層10をトンネルしてバリア層10とSrTiO3
基板1との界面近傍のポテンシャル井戸まで移動する。
バリア層10とSrTiO3 基板1との間のポテンシャ
ル障壁を超えるエネルギを有する電子はSrTiO3 基
板1内に流れる。このようにして、電圧V1 以上の電圧
を印加すると、電流が徐々に増加する。
【0037】図3Aに示す積層構造に正の電圧を印加す
ると、図3Bの場合と同様にバリア層10内に大きな電
界が発生する。電圧V1 を印加すると、超伝導膜11内
の電子が、バリア層10及びSrTiO3 膜5Aをトン
ネルして不純物添加領域6に達する。図3Cに示すよう
にポテンシャルの山20は図3Dに示すバリア層10と
SrTiO3 基板1との間のポテンシャル障壁に比べて
小さいため、トンネルした電子の大部分はSrTiO3
基板1内に流れる。このため、印加電圧がV1を超える
と電流が急激に増加する。
ると、図3Bの場合と同様にバリア層10内に大きな電
界が発生する。電圧V1 を印加すると、超伝導膜11内
の電子が、バリア層10及びSrTiO3 膜5Aをトン
ネルして不純物添加領域6に達する。図3Cに示すよう
にポテンシャルの山20は図3Dに示すバリア層10と
SrTiO3 基板1との間のポテンシャル障壁に比べて
小さいため、トンネルした電子の大部分はSrTiO3
基板1内に流れる。このため、印加電圧がV1を超える
と電流が急激に増加する。
【0038】図3Bに示す積層構造に負の電圧を印加す
ると、SrTiO3 基板1に対応する伝導帯端が水平に
近づく。SrTiO3 基板1内の電子に対するポテンシ
ャル障壁が低くなるため、印加負電圧の増加と共に電流
も増加する。
ると、SrTiO3 基板1に対応する伝導帯端が水平に
近づく。SrTiO3 基板1内の電子に対するポテンシ
ャル障壁が低くなるため、印加負電圧の増加と共に電流
も増加する。
【0039】図3Aに示す積層構造に負の電圧を印加す
ると、図3Bの場合と同様にSrTiO3 基板1に対応
する伝導帯端が水平に近づく。SrTiO3 基板1内の
電子に対するポテンシャルの山20が低いため、僅かの
負電圧V2 を印加しただけでSrTiO3 基板1内の電
子が不純物添加領域6内に流れる。不純物添加領域6内
に流れた電子は、SrTiO3 膜5A及びバリア層10
をトンネルして超伝導膜11内に達する。このため、印
加負電圧がV2 を超えると電流が急激に増加する。
ると、図3Bの場合と同様にSrTiO3 基板1に対応
する伝導帯端が水平に近づく。SrTiO3 基板1内の
電子に対するポテンシャルの山20が低いため、僅かの
負電圧V2 を印加しただけでSrTiO3 基板1内の電
子が不純物添加領域6内に流れる。不純物添加領域6内
に流れた電子は、SrTiO3 膜5A及びバリア層10
をトンネルして超伝導膜11内に達する。このため、印
加負電圧がV2 を超えると電流が急激に増加する。
【0040】図3Aに示すように、SrTiO3 膜5A
とバリア層10との界面からある深さの領域に不純物を
添加したポテンシャル井戸を形成することにより、図3
Eの曲線aで示すように、しきい値電圧を超えると急激
に電流が増加する電流電圧特性を有するダイードを作製
することができる。
とバリア層10との界面からある深さの領域に不純物を
添加したポテンシャル井戸を形成することにより、図3
Eの曲線aで示すように、しきい値電圧を超えると急激
に電流が増加する電流電圧特性を有するダイードを作製
することができる。
【0041】上記他の実施例では、バリア層としてIn
2 O3 を用いた場合を説明したが、他の誘電体材料を用
いてもよい。バリア層に大きな電界を発生させるために
は、バリア層の誘電率を基板の誘電率よりも小さくする
ことが好ましい。
2 O3 を用いた場合を説明したが、他の誘電体材料を用
いてもよい。バリア層に大きな電界を発生させるために
は、バリア層の誘電率を基板の誘電率よりも小さくする
ことが好ましい。
【0042】上記2つの実施例では、SrTiO3 基板
1の表面上にLa等の不純物を供給するための不純物供
給膜を形成し、さらにその上に、基板中に拡散しなかっ
たLa原子を吸収するためのSrTiO3 膜を形成して
いる。このため、不純物拡散後に、SrTiO3 基板1
の表面上に不純物供給膜が残留することを防止できる。
また、La原子を吸収するためのSrTiO3 膜の厚さ
を調整することにより、図1Bに示すように拡散領域6
の表面にSrTiO3 膜を残さないことも、図2Bに示
すように拡散領域6の表面にSrTiO3 膜5Aを残す
こともできる。
1の表面上にLa等の不純物を供給するための不純物供
給膜を形成し、さらにその上に、基板中に拡散しなかっ
たLa原子を吸収するためのSrTiO3 膜を形成して
いる。このため、不純物拡散後に、SrTiO3 基板1
の表面上に不純物供給膜が残留することを防止できる。
また、La原子を吸収するためのSrTiO3 膜の厚さ
を調整することにより、図1Bに示すように拡散領域6
の表面にSrTiO3 膜を残さないことも、図2Bに示
すように拡散領域6の表面にSrTiO3 膜5Aを残す
こともできる。
【0043】上記実施例では、基板としてSrTiO3
基板を用いた場合を説明したが、BaTiO3 等の他の
酸化物誘電体材料からなる基板を用いてもよい。また、
不純物添加膜としてLaTiO3 を用いた場合を示した
が、La2 O3 、Nb2 O5等のその他の材料を用いて
もよい。なお、基板の表面層と不純物供給層との格子不
整合率を5%以下とすることが好ましい。
基板を用いた場合を説明したが、BaTiO3 等の他の
酸化物誘電体材料からなる基板を用いてもよい。また、
不純物添加膜としてLaTiO3 を用いた場合を示した
が、La2 O3 、Nb2 O5等のその他の材料を用いて
もよい。なお、基板の表面層と不純物供給層との格子不
整合率を5%以下とすることが好ましい。
【0044】不純物供給膜として例えばLa2 O3 、基
板及び不純物吸収膜としてSrTiO3 を用いた場合、
La原子とSr原子とが置換され、2つの(La、S
r)TiO3 領域の間に(La、Sr)2 O3 領域が挟
まれた層構造が形成される。(La、Sr)2 O3 領域
の厚さは非常に薄く、キャリアがトンネルできる厚さで
あるため、キャリアの移動に関して障害にならないと思
われる。
板及び不純物吸収膜としてSrTiO3 を用いた場合、
La原子とSr原子とが置換され、2つの(La、S
r)TiO3 領域の間に(La、Sr)2 O3 領域が挟
まれた層構造が形成される。(La、Sr)2 O3 領域
の厚さは非常に薄く、キャリアがトンネルできる厚さで
あるため、キャリアの移動に関して障害にならないと思
われる。
【0045】また、上記実施例ではマスク層としてCe
O2 も用いた場合を説明したが、その他の材料を用いて
もよい。マスク層は、基板表面層内に拡散すべき原子に
対する拡散係数が基板表面層のそれよりも小さい材料で
あることが好ましい。
O2 も用いた場合を説明したが、その他の材料を用いて
もよい。マスク層は、基板表面層内に拡散すべき原子に
対する拡散係数が基板表面層のそれよりも小さい材料で
あることが好ましい。
【0046】酸化物誘電体材料の表面に不純物を添加し
て導電性を制御する方法は、酸化物誘電体材料とYBC
O等の酸化物超伝導材料とを組み合わせた種々の超伝導
電子回路装置の製造に適用することができるであろう。
て導電性を制御する方法は、酸化物誘電体材料とYBC
O等の酸化物超伝導材料とを組み合わせた種々の超伝導
電子回路装置の製造に適用することができるであろう。
【0047】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
酸化物誘電体材料の表面に不純物を添加し、容易に電気
的接触を得ることが可能な半導体領域を形成することが
できる。また、酸化物誘電体材料の表面からある深さの
領域に、不純物を添加した半導体領域を形成することが
できる。
酸化物誘電体材料の表面に不純物を添加し、容易に電気
的接触を得ることが可能な半導体領域を形成することが
できる。また、酸化物誘電体材料の表面からある深さの
領域に、不純物を添加した半導体領域を形成することが
できる。
【図1】本発明の実施例による不純物添加方法を説明す
るための基板の断面図である。
るための基板の断面図である。
【図2】本発明の他の実施例による不純物添加方法を説
明するための基板の断面図である。
明するための基板の断面図である。
【図3】本発明の他の実施例により作製した酸化物誘電
体材料を含む積層構造及び不純物添加領域を有さない積
層構造の断面図、エネルギバンド図、及び電流電圧特性
を示すグラフである。
体材料を含む積層構造及び不純物添加領域を有さない積
層構造の断面図、エネルギバンド図、及び電流電圧特性
を示すグラフである。
1 SrTiO3 基板 2 マスク層 3 開口 4 不純物供給膜 5、5A 不純物吸収膜 6 不純物添加領域 7 (La,Sr)TiO3 膜 10 バリア層 11 超伝導膜 12 レジストパターン 13 溝 20 ポテンシャルの山
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年2月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
Claims (11)
- 【請求項1】 酸化物誘電体材料からなる表面層を有す
る下地基板の表面上に、他の酸化物誘電体材料からなる
不純物供給膜を堆積する工程と、 前記不純物供給膜の上に、前記下地基板の表面層と同じ
酸化物誘電体材料からなる不純物吸収膜を堆積する工程
と、 前記下地基板を加熱し、前記不純物供給膜中の酸素以外
の少なくとも1種の構成原子の一部と前記基板の表面層
及び前記不純物吸収膜中の酸素以外の少なくとも1種の
構成原子の一部とを、前記不純物供給膜の全厚さ部分に
わたって置換する熱処理工程とを有する酸化物誘電体積
層構造の製造方法。 - 【請求項2】 前記不純物供給膜を堆積する工程の前
に、さらに、前記熱処理工程において構成原子の置換を
行うべき領域に開口を有するマスク層を、前記下地基板
の表面上に形成する工程を有し、 前記熱処理工程が、前記不純物供給膜と前記下地基板の
表面層との間における構成原子の置換を、前記開口の形
成された領域においてのみ行う請求項1に記載の酸化物
誘電体積層構造の製造方法。 - 【請求項3】 前記下地基板の表面層と前記不純物供給
膜との格子不整合率が5%以下である請求項1または2
に記載の酸化物誘電体積層構造の製造方法。 - 【請求項4】 前記下地基板の表面層及び前記不純物吸
収膜が、SrTiO 3 またはBaTiO3 により形成さ
れ、 前記不純物吸収膜が、LaTiO3 、La2 O3 及びN
b2 O5 からなる群より選ばれた1つの材料で形成され
ている請求項3に記載の酸化物誘電体積層構造の製造方
法。 - 【請求項5】 前記マスク層がCeO2 により形成され
ている請求項4に記載の酸化物誘電体積層構造の製造方
法。 - 【請求項6】 前記不純物供給膜を堆積する工程及び不
純物吸収膜を堆積する工程が、それぞれ基板温度500
℃以上の条件で前記不純物供給膜及び不純物吸収膜を堆
積する請求項1〜5のいずれかに記載の酸化物誘電体積
層構造の製造方法。 - 【請求項7】 前記不純物吸収膜を堆積する工程が、基
板温度500℃以上、かつ雰囲気酸素分圧1×10-1T
orr以下の条件で前記不純物吸収膜を堆積する請求項
4に記載の酸化物誘電体積層構造の製造方法。 - 【請求項8】 前記熱処理工程において、前記不純物供
給膜の少なくとも1種の構成原子の一部がその全厚さ部
分にわたって置換されるまでに、前記不純物吸収膜の少
なくとも1種の構成原子の一部がその全厚さ部分にわた
って置換されるように、前記不純物吸収膜を堆積する工
程で堆積される前記不純物吸収膜の膜厚を設定する請求
項1〜7のいずれかに記載の酸化物誘電体積層構造の製
造方法。 - 【請求項9】 前記熱処理工程において、前記不純物供
給膜の少なくとも1種の構成原子の一部がその全厚さ部
分にわたって置換されたときに、前記不純物吸収膜の少
なくとも1種の構成原子の一部がその下側の一部の厚さ
部分についてのみ置換されるように、前記不純物吸収膜
を堆積する工程で堆積される前記不純物吸収膜の膜厚を
設定する請求項1〜7のいずれかに記載の酸化物誘電体
積層構造の製造方法。 - 【請求項10】 酸化物誘電体材料からなる下地基板で
あって、該下地基板の表面からある深さの領域に、不純
物が添加されるかまたは酸素以外の少なくとも1種の構
成原子の一部が他の原子に置換されて、キャリアに対し
てポテンシャル井戸を形成する半導体層を有する前記下
地基板と、 前記下地基板の表面上に配置され、該下地基板の誘電率
よりも小さな誘電率を有する他の酸化物誘電体材料から
なる誘電体膜と、 前記誘電体膜の上に配置され、酸化物超伝導材料からな
る電極とを有する電子回路装置。 - 【請求項11】 さらに、前記下地基板の表面上の一部
の領域に形成されたマスク層を有し、 前記半導体層が、前記下地基板の表面領域のうち前記マ
スク層の形成されていない領域にのみ形成されている請
求項10に記載の電子回路装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8109964A JPH09298289A (ja) | 1996-04-30 | 1996-04-30 | 酸化物誘電体積層構造の製造方法及び電子回路装置 |
US08/726,174 US5950103A (en) | 1996-04-30 | 1996-10-04 | Manufacture of dielectric oxide lamination structure and electronic circuit device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8109964A JPH09298289A (ja) | 1996-04-30 | 1996-04-30 | 酸化物誘電体積層構造の製造方法及び電子回路装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09298289A true JPH09298289A (ja) | 1997-11-18 |
Family
ID=14523621
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8109964A Withdrawn JPH09298289A (ja) | 1996-04-30 | 1996-04-30 | 酸化物誘電体積層構造の製造方法及び電子回路装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US5950103A (ja) |
JP (1) | JPH09298289A (ja) |
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