JPH09296225A - 面内異方性の小さい高加工用冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
面内異方性の小さい高加工用冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH09296225A JPH09296225A JP24130396A JP24130396A JPH09296225A JP H09296225 A JPH09296225 A JP H09296225A JP 24130396 A JP24130396 A JP 24130396A JP 24130396 A JP24130396 A JP 24130396A JP H09296225 A JPH09296225 A JP H09296225A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hot
- steel sheet
- weight
- cold rolling
- cold
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 面内異方性が小さい加工性に優れた冷延鋼板
又は溶融めっき鋼板を製造する。 【解決手段】 C:0.0005〜0.01重量%(以
下同じ),Si:0.2%以下,Mn:0.05〜0.
5%,P:0.02%以下,S:0.0005〜0.0
2%,Al:0.005〜0.1%,N:0.007%
以下,Ti:0.01〜0.1%及び/又はNb:0.
01〜0.1%を含む組成をもつ鋼スラブを再加熱又は
直送し、仕上げ圧延温度Ar3変態点以上,巻取り温度6
50〜800℃の熱間圧延を施し、得られた熱延鋼帯に
冷延率5〜50%の一次冷間圧延及び酸洗を施した後、
更に冷延率20%以上で且つ一次冷間圧延と合計した全
冷延率が50〜95%となるように二次冷間圧延を施
し、得られた冷延鋼帯を再結晶温度以上900℃以下の
焼鈍又は溶融めっきをする。
又は溶融めっき鋼板を製造する。 【解決手段】 C:0.0005〜0.01重量%(以
下同じ),Si:0.2%以下,Mn:0.05〜0.
5%,P:0.02%以下,S:0.0005〜0.0
2%,Al:0.005〜0.1%,N:0.007%
以下,Ti:0.01〜0.1%及び/又はNb:0.
01〜0.1%を含む組成をもつ鋼スラブを再加熱又は
直送し、仕上げ圧延温度Ar3変態点以上,巻取り温度6
50〜800℃の熱間圧延を施し、得られた熱延鋼帯に
冷延率5〜50%の一次冷間圧延及び酸洗を施した後、
更に冷延率20%以上で且つ一次冷間圧延と合計した全
冷延率が50〜95%となるように二次冷間圧延を施
し、得られた冷延鋼帯を再結晶温度以上900℃以下の
焼鈍又は溶融めっきをする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家電及び電気
・電子材料用などに適する、面内異方性が小さく、加工
性に優れた冷延鋼板又は溶融めっき鋼板を製造する方法
に関する。
・電子材料用などに適する、面内異方性が小さく、加工
性に優れた冷延鋼板又は溶融めっき鋼板を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電及び電気・電子材料用など
に用いられる鋼板は、高い加工性、面内異方性の小さい
こと及び表面性状の良いこと等が要求されるが、このよ
うな加工性に優れた冷延鋼板及び溶融めっき鋼板は、組
成が特定された鋼から250mm程度の厚さの連鋳スラ
ブ又は分塊スラブを2〜6mm程度の厚みに熱間圧延
し、得られた熱延鋼帯を酸洗でディスケールした後、冷
間圧延を施し、次いで焼鈍,溶融めっき等を施すことに
より製造されている。冷延鋼板や溶融めっき鋼板の加工
性は、引張りにおける伸び、深絞り性の指標となるラン
クフォード値、及びランクフォード値の面内異方性(Δ
r値)で表される。しかし、前述した工程で製造される
鋼板の伸びやランクフォード値やΔr値は、鋼組成に加
えて各工程における製造条件による影響を受ける。その
ため、必要とする加工性を確保するため、従来から種々
の製造条件が設定されている。
に用いられる鋼板は、高い加工性、面内異方性の小さい
こと及び表面性状の良いこと等が要求されるが、このよ
うな加工性に優れた冷延鋼板及び溶融めっき鋼板は、組
成が特定された鋼から250mm程度の厚さの連鋳スラ
ブ又は分塊スラブを2〜6mm程度の厚みに熱間圧延
し、得られた熱延鋼帯を酸洗でディスケールした後、冷
間圧延を施し、次いで焼鈍,溶融めっき等を施すことに
より製造されている。冷延鋼板や溶融めっき鋼板の加工
性は、引張りにおける伸び、深絞り性の指標となるラン
クフォード値、及びランクフォード値の面内異方性(Δ
r値)で表される。しかし、前述した工程で製造される
鋼板の伸びやランクフォード値やΔr値は、鋼組成に加
えて各工程における製造条件による影響を受ける。その
ため、必要とする加工性を確保するため、従来から種々
の製造条件が設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】なかでも、熱間圧延後
の巻取り温度は、鋼板の伸び、ランクフォード値及びΔ
r値を左右する要因の一つである。巻取り温度を高めに
設定すると、伸びやランクフォード値が向上し、かつΔ
r値が0.3以下に改善される。しかし、高い温度でコ
イルに巻取ると、巻取り後の冷却過程で鋼帯表面の酸化
が進行し、厚い酸化スケールが生成する。その結果、後
続の酸洗工程でのディスケール性が著しく低下し、生産
性が大きく阻害される。そのため、巻取り温度を余り高
く上げる製造条件は、実用的な面から作用上制約が加わ
り、伸び、ランクフォード値の向上及びΔr値の改善に
は限界があった。本発明は、このような問題を解消すべ
く案出されたものであり、鋼成分と製造条件とを調整し
て巻取り温度を比較的高く設定すると共に、酸洗ディス
ケール工程の前に冷間圧延を付与してディスケール性を
高めることにより、生産性の阻害を招くことなく、高い
伸びとランクフォード値及び小さいΔr値を有する加工
性に優れた冷延鋼板及び溶融めっき鋼板を製造すること
を目的とする。
の巻取り温度は、鋼板の伸び、ランクフォード値及びΔ
r値を左右する要因の一つである。巻取り温度を高めに
設定すると、伸びやランクフォード値が向上し、かつΔ
r値が0.3以下に改善される。しかし、高い温度でコ
イルに巻取ると、巻取り後の冷却過程で鋼帯表面の酸化
が進行し、厚い酸化スケールが生成する。その結果、後
続の酸洗工程でのディスケール性が著しく低下し、生産
性が大きく阻害される。そのため、巻取り温度を余り高
く上げる製造条件は、実用的な面から作用上制約が加わ
り、伸び、ランクフォード値の向上及びΔr値の改善に
は限界があった。本発明は、このような問題を解消すべ
く案出されたものであり、鋼成分と製造条件とを調整し
て巻取り温度を比較的高く設定すると共に、酸洗ディス
ケール工程の前に冷間圧延を付与してディスケール性を
高めることにより、生産性の阻害を招くことなく、高い
伸びとランクフォード値及び小さいΔr値を有する加工
性に優れた冷延鋼板及び溶融めっき鋼板を製造すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、C:0.0005〜0.01重
量%,Si:0.2重量%以下,Mn:0.05〜0.
5重量%,P:0.02重量%以下,S:0.0005
〜0.02重量%,Al:0.005〜0.1重量%,
N:0.007重量%以下,Ti:0.01〜0.1重
量%及び/又はNb:0.01〜0.1重量%を含む組
成をもつ鋼スラブを再加熱又は直送し、仕上げ圧延温度
Ar3変態点以上,巻取り温度650〜800℃の熱間圧
延を施し、得られた熱延鋼帯に冷延率5〜50%の一次
冷間圧延を施し、酸洗後、更に冷延率20%以上で且つ
一次冷間圧延と合計した全冷延率が50〜95%以上と
なるように二次冷間圧延を施し、得られた冷延鋼帯を再
結晶温度以上900℃以下の焼鈍もしくは溶融メッキす
ることを特徴とする。使用する鋼スラブとして、更にC
u:0.03〜0.5重量%及びNi:0.03〜0.
5重量%を含むことができる、また更に、B:0.00
01〜0.001重量%,Zr:0.01〜0.1重量
%,V:0.01〜0.1重量%の1種又は2種以上を
含む組成をもつ鋼スラブを使用することができる。
の目的を達成するため、C:0.0005〜0.01重
量%,Si:0.2重量%以下,Mn:0.05〜0.
5重量%,P:0.02重量%以下,S:0.0005
〜0.02重量%,Al:0.005〜0.1重量%,
N:0.007重量%以下,Ti:0.01〜0.1重
量%及び/又はNb:0.01〜0.1重量%を含む組
成をもつ鋼スラブを再加熱又は直送し、仕上げ圧延温度
Ar3変態点以上,巻取り温度650〜800℃の熱間圧
延を施し、得られた熱延鋼帯に冷延率5〜50%の一次
冷間圧延を施し、酸洗後、更に冷延率20%以上で且つ
一次冷間圧延と合計した全冷延率が50〜95%以上と
なるように二次冷間圧延を施し、得られた冷延鋼帯を再
結晶温度以上900℃以下の焼鈍もしくは溶融メッキす
ることを特徴とする。使用する鋼スラブとして、更にC
u:0.03〜0.5重量%及びNi:0.03〜0.
5重量%を含むことができる、また更に、B:0.00
01〜0.001重量%,Zr:0.01〜0.1重量
%,V:0.01〜0.1重量%の1種又は2種以上を
含む組成をもつ鋼スラブを使用することができる。
【0005】
【実施の形態】本発明においては、冷延鋼板及び溶融め
っき鋼板の強度,耐食性等に応じて設定される成分・組
成の鋼スラブを使用して熱延鋼帯を製造する際、比較的
高温でコイルに巻き取ることにより冷延鋼板及び溶融め
っき鋼板として、高い伸びとランクフォード値、及び小
さいΔr値を確保すると共に、ディスケール工程の前に
冷間圧延することによりディスケール性を向上させてい
る。これより、加工性に優れた冷延鋼板及び溶融めっき
鋼板を高い生産性で製造することが可能になる。以下、
本発明で使用する鋼スラブに含まれる合金成分、含有
量、製造条件等について説明する。 C:0.0005〜0.01重量% 本発明の鋼におけるCは、TiC,NbC等の炭化物と
して固定される成分であるが、C含有量が低いほどラン
クフォード値や伸び及びΔr値が改善され、しかも固定
化元素としてのTi,Nbの含有量が低減できる。その
ため、C含有量の上限を0.01重量%に規制する。し
かし、0.0005重量%未満のC含有量は、製鋼工程
で過度の脱炭精錬を必要とし、製造コストの上昇を招
く。
っき鋼板の強度,耐食性等に応じて設定される成分・組
成の鋼スラブを使用して熱延鋼帯を製造する際、比較的
高温でコイルに巻き取ることにより冷延鋼板及び溶融め
っき鋼板として、高い伸びとランクフォード値、及び小
さいΔr値を確保すると共に、ディスケール工程の前に
冷間圧延することによりディスケール性を向上させてい
る。これより、加工性に優れた冷延鋼板及び溶融めっき
鋼板を高い生産性で製造することが可能になる。以下、
本発明で使用する鋼スラブに含まれる合金成分、含有
量、製造条件等について説明する。 C:0.0005〜0.01重量% 本発明の鋼におけるCは、TiC,NbC等の炭化物と
して固定される成分であるが、C含有量が低いほどラン
クフォード値や伸び及びΔr値が改善され、しかも固定
化元素としてのTi,Nbの含有量が低減できる。その
ため、C含有量の上限を0.01重量%に規制する。し
かし、0.0005重量%未満のC含有量は、製鋼工程
で過度の脱炭精錬を必要とし、製造コストの上昇を招
く。
【0006】Si:0.2重量%以下 鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量添
加されるが、0.2重量%を超えると化成処理やめっき
性を低下させるため、上限を0.2重量%に規制した。 Mn:0.05〜0.5重量% 熱間圧延時にSに誘起される熱間脆性を防止する作用を
呈する。この作用は、0.05重量%以上のMn含有量
で顕著になる。また、MnはSiと同様に、鋼を強化す
る作用があり、所望の強度に応じて必要量添加される。
添加量が0.5%を超えると加工性を顕著に劣化させる
ため、上限を0.5重量%に規制した。 P:0.02重量%以下 PもSiと同様に、鋼を強化する作用があり、所望の強
度に応じて必要量添加されるが、加工性、耐2次加工性
やめっき性を低下させる元素であるため、上限を0.0
2重量%に規制した。
加されるが、0.2重量%を超えると化成処理やめっき
性を低下させるため、上限を0.2重量%に規制した。 Mn:0.05〜0.5重量% 熱間圧延時にSに誘起される熱間脆性を防止する作用を
呈する。この作用は、0.05重量%以上のMn含有量
で顕著になる。また、MnはSiと同様に、鋼を強化す
る作用があり、所望の強度に応じて必要量添加される。
添加量が0.5%を超えると加工性を顕著に劣化させる
ため、上限を0.5重量%に規制した。 P:0.02重量%以下 PもSiと同様に、鋼を強化する作用があり、所望の強
度に応じて必要量添加されるが、加工性、耐2次加工性
やめっき性を低下させる元素であるため、上限を0.0
2重量%に規制した。
【0007】S:0.0005〜0.02重量% 熱間加工時に割れを誘発させる成分であるため、上限を
0.02重量%に規制した。しかし、Mn,Ti等と硫
化物を形成し、炭化物系析出物の生成に影響を及ぼし、
ランクフォード値を向上させる作用をもつ。また、0.
0005重量%未満にS含有量を低減することは、製鋼
工程で脱硫精錬に多大な費用をを要することになる。こ
のようなことから、本発明では、S含有量の下限を0.
0005重量%に規制した。 Al:0.005〜0.10重量% 脱酸剤として添加されると共に、Nを固定する作用を呈
する。このような作用は、0.005重量%以上のAl
含有量で顕著になる。しかし、0.10重量%を超える
多量のAlが含まれると、酸化物系介在物が増加し、加
工性や表面性状が劣化する。
0.02重量%に規制した。しかし、Mn,Ti等と硫
化物を形成し、炭化物系析出物の生成に影響を及ぼし、
ランクフォード値を向上させる作用をもつ。また、0.
0005重量%未満にS含有量を低減することは、製鋼
工程で脱硫精錬に多大な費用をを要することになる。こ
のようなことから、本発明では、S含有量の下限を0.
0005重量%に規制した。 Al:0.005〜0.10重量% 脱酸剤として添加されると共に、Nを固定する作用を呈
する。このような作用は、0.005重量%以上のAl
含有量で顕著になる。しかし、0.10重量%を超える
多量のAlが含まれると、酸化物系介在物が増加し、加
工性や表面性状が劣化する。
【0008】N:0.007重量%以下 不可避的に含まれる成分であり、Ti等で固定される。
しかし、0.007重量%を超える多量のNが含まれる
と、Nの固定に必要なTi,Nb等の添加量を多くする
ことが要求され、析出物の増加に起因して加工性が劣化
する。 Ti:0.01〜0.1重量% 鋼中に侵入型として固溶するC及びNを炭窒化物として
固定すると共に、Sと結合して硫化物を形成する成分で
ある。硫化物を形成し、固溶C及び固溶Nを十分に減少
させることにより加工性の向上を図るためには、0.0
1重量%以上のTi含有量が必要とされる。しかし、
0.1重量%を超える多量のTiを含ませても、Ti添
加による性質改善効果は飽和し、却って製造コストの上
昇を招く。
しかし、0.007重量%を超える多量のNが含まれる
と、Nの固定に必要なTi,Nb等の添加量を多くする
ことが要求され、析出物の増加に起因して加工性が劣化
する。 Ti:0.01〜0.1重量% 鋼中に侵入型として固溶するC及びNを炭窒化物として
固定すると共に、Sと結合して硫化物を形成する成分で
ある。硫化物を形成し、固溶C及び固溶Nを十分に減少
させることにより加工性の向上を図るためには、0.0
1重量%以上のTi含有量が必要とされる。しかし、
0.1重量%を超える多量のTiを含ませても、Ti添
加による性質改善効果は飽和し、却って製造コストの上
昇を招く。
【0009】Nb:0.01〜0.1重量% Tiと同様の炭窒化物形成元素であり、鋼中のC及びN
を固定して加工性を向上させる作用を呈する。また、T
iと複合添加するとき、複合析出物を形成し、比較的粗
大な析出物とすることにより加工性が改善される。この
ような効果は、0.01重量%以上のNb含有量で顕著
になり、0.1重量%で飽和する。 Cu:0.03〜0.5重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、耐食性を改善
する作用を呈する。Cuの添加効果は、0.03重量%
以上の含有量で顕著になり、0.5重量%で飽和する。 Ni:0.03〜0.5重量% Cuに起因した熱間脆性を防止する作用を呈することか
ら、耐食性を改善するためにCuを添加する系において
有効な合金成分である。このような効果を得るために
は、Cu含有量とほぼ同量のNiを添加することが好ま
しく、したがってNi含有量を0.03〜0.5重量%
の範囲に定めた。
を固定して加工性を向上させる作用を呈する。また、T
iと複合添加するとき、複合析出物を形成し、比較的粗
大な析出物とすることにより加工性が改善される。この
ような効果は、0.01重量%以上のNb含有量で顕著
になり、0.1重量%で飽和する。 Cu:0.03〜0.5重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、耐食性を改善
する作用を呈する。Cuの添加効果は、0.03重量%
以上の含有量で顕著になり、0.5重量%で飽和する。 Ni:0.03〜0.5重量% Cuに起因した熱間脆性を防止する作用を呈することか
ら、耐食性を改善するためにCuを添加する系において
有効な合金成分である。このような効果を得るために
は、Cu含有量とほぼ同量のNiを添加することが好ま
しく、したがってNi含有量を0.03〜0.5重量%
の範囲に定めた。
【0010】B:0.0001〜0.001重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、優先的に結晶
粒界に偏析し、Pに起因した粒界脆化を抑制する作用を
呈する。また、プレス成形時における二次加工割れを防
止する作用もある。このような作用は、0.0001重
量%以上のB含有量で顕著になる。しかし、0.001
重量%を超える多量のB含有量は、結晶粒の成長を阻害
し、加工性の低下を招く。 Zr,V:0.01〜0.1重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、炭窒化物を形
成してC及びNを固定する作用を呈する。また、Ti,
Nbと複合添加するとき、加工性を向上させる作用も呈
する。これらの作用は、0.01重量%以上のZr及び
/又はV含有量で顕著になるが、0.1重量%で飽和す
る。
粒界に偏析し、Pに起因した粒界脆化を抑制する作用を
呈する。また、プレス成形時における二次加工割れを防
止する作用もある。このような作用は、0.0001重
量%以上のB含有量で顕著になる。しかし、0.001
重量%を超える多量のB含有量は、結晶粒の成長を阻害
し、加工性の低下を招く。 Zr,V:0.01〜0.1重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、炭窒化物を形
成してC及びNを固定する作用を呈する。また、Ti,
Nbと複合添加するとき、加工性を向上させる作用も呈
する。これらの作用は、0.01重量%以上のZr及び
/又はV含有量で顕著になるが、0.1重量%で飽和す
る。
【0011】熱延条件:仕上げ圧延温度Ar3変態点以
上,巻取り温度650〜800℃ 本発明では、連鋳スラブ及び分塊スラブの何れをも使用
できる。また、連鋳後又は分塊後の熱間スラブを直接熱
延工程に搬送し、或いは熱延工程前に再加熱を施しても
よい。再加熱温度は鋼の成分や要求される特性などに応
じて設定すべきもので、特に本発明では規定しないが、
伸び及びランクフォード値が向上することから1100
℃近傍の低温加熱が望ましい。熱間圧延は、仕上げ圧延
温度Ar3変態点以上で行われる。仕上げ圧延温度がAr3
変態点より低くなると、ランクフォード値にとって不利
となる熱延集合組織が形成されるばかりでなく、本発明
で規定している温度範囲で巻き取ることが困難になる。
熱延された鋼帯は、比較的高い650〜800℃の温度
範囲で巻き取られる。巻取り温度を650℃以上と高く
設定することにより、Ti系炭化物等の析出物の粗大化
等の作用によって伸び、ランクフォード値が向上し、Δ
r値が小さくなる。また、冷間圧延と組み合わせた機械
的ディスケールを行う場合、巻取り後の酸化の進行によ
ってスケール厚がある一定の範囲で増加し、ディスケー
ル性が向上する。しかし、800℃を超える高温巻取り
では、スケール厚が大きくなりすぎ、後続工程における
酸洗前の一次冷延を施してもディスケール性が著しく劣
化する。
上,巻取り温度650〜800℃ 本発明では、連鋳スラブ及び分塊スラブの何れをも使用
できる。また、連鋳後又は分塊後の熱間スラブを直接熱
延工程に搬送し、或いは熱延工程前に再加熱を施しても
よい。再加熱温度は鋼の成分や要求される特性などに応
じて設定すべきもので、特に本発明では規定しないが、
伸び及びランクフォード値が向上することから1100
℃近傍の低温加熱が望ましい。熱間圧延は、仕上げ圧延
温度Ar3変態点以上で行われる。仕上げ圧延温度がAr3
変態点より低くなると、ランクフォード値にとって不利
となる熱延集合組織が形成されるばかりでなく、本発明
で規定している温度範囲で巻き取ることが困難になる。
熱延された鋼帯は、比較的高い650〜800℃の温度
範囲で巻き取られる。巻取り温度を650℃以上と高く
設定することにより、Ti系炭化物等の析出物の粗大化
等の作用によって伸び、ランクフォード値が向上し、Δ
r値が小さくなる。また、冷間圧延と組み合わせた機械
的ディスケールを行う場合、巻取り後の酸化の進行によ
ってスケール厚がある一定の範囲で増加し、ディスケー
ル性が向上する。しかし、800℃を超える高温巻取り
では、スケール厚が大きくなりすぎ、後続工程における
酸洗前の一次冷延を施してもディスケール性が著しく劣
化する。
【0012】一次冷間圧延:冷延率5〜50% 650〜800℃の温度で巻き取られた熱延コイルは、
巻取り後に酸化が進行するため、通常の酸洗のみ、或い
はテンションレベラー等を組み合わせた酸洗ではディス
ケールが困難になる。そのため、酸洗後に残存するスケ
ールによって製品鋼板の表面品質が大きく劣化し、或い
は十分なディスケールを得るために酸洗時の通板速度を
著しく下げる必要が生じ、生産性が低下する。本発明で
は、生産性の低下を招くことなく良好な表面品質をもつ
製品を得るために、酸洗前に冷間圧延を施し、スケール
を機械的に粉砕しながら層間剥離を生じさせておく。そ
の結果、通常の酸洗条件で十分ディスケールされる。酸
洗によるディスケール性を向上させるためには、5%以
上の冷延率で熱延鋼帯を一次冷間圧延することが必要で
ある。しかし、冷延率が50%を超える一次冷間圧延で
は、冷延率の上昇に見合ったディスケール性の改善が見
られない。
巻取り後に酸化が進行するため、通常の酸洗のみ、或い
はテンションレベラー等を組み合わせた酸洗ではディス
ケールが困難になる。そのため、酸洗後に残存するスケ
ールによって製品鋼板の表面品質が大きく劣化し、或い
は十分なディスケールを得るために酸洗時の通板速度を
著しく下げる必要が生じ、生産性が低下する。本発明で
は、生産性の低下を招くことなく良好な表面品質をもつ
製品を得るために、酸洗前に冷間圧延を施し、スケール
を機械的に粉砕しながら層間剥離を生じさせておく。そ
の結果、通常の酸洗条件で十分ディスケールされる。酸
洗によるディスケール性を向上させるためには、5%以
上の冷延率で熱延鋼帯を一次冷間圧延することが必要で
ある。しかし、冷延率が50%を超える一次冷間圧延で
は、冷延率の上昇に見合ったディスケール性の改善が見
られない。
【0013】酸洗 一次冷延により、鋼帯表面からスケールが部分的に除去
される。特に大きな冷延率で冷間圧延したものでは、ス
ケールの除去率が高くなる。しかし、一次冷延のみでは
ディスケールが完全でなく、鋼板表面にスケールが残存
する。このままでは製品の表面品質が低下するため、一
次冷延したコイルを酸洗槽に通板し、酸洗によってスケ
ールを十分に除去する。
される。特に大きな冷延率で冷間圧延したものでは、ス
ケールの除去率が高くなる。しかし、一次冷延のみでは
ディスケールが完全でなく、鋼板表面にスケールが残存
する。このままでは製品の表面品質が低下するため、一
次冷延したコイルを酸洗槽に通板し、酸洗によってスケ
ールを十分に除去する。
【0014】二次冷間圧延:冷延率20%以上で且つ全
冷延率50〜95%以上 酸洗後のコイル表面は、ディスケールされているが、通
常の冷延鋼板とは異なる酸洗肌を呈している。内質の面
でも、このまま仕上げ焼鈍を施しても、通常の冷延鋼板
製品として要求される特性を満足しない。そのため、酸
洗後、更に二次冷間圧延を施すことが必要になる。通常
の冷延鋼板製品と同等の品質をもつ表面肌を得るために
は、二次冷間圧延の冷延率を20%以上にすることが必
要である。また、製品としての加工性等に要求される内
質に関しては、一次及び二次冷間圧延を合わせた全冷延
率が影響する。全冷延率が50%未満では、低い冷延率
のために良好な加工性が得られない。しかし、95%を
超える全冷延率では、冷間圧延による加工性向上効果が
飽和し、或いは却って低下する傾向を示す。また、過度
に高い冷延率は、冷間圧延に過大な負荷が必要になる。
全冷延率の範囲内において、特に、全冷延率75%以上
を施した冷延鋼板を連続焼鈍又は、溶融めっきする場
合、Δr値が小さく(0.2以下)、加工性に優れた冷
延鋼板又は、溶融めっき鋼板が得られる。なお、本発明
における全冷延率は、熱延鋼帯の板厚から一次及び二次
冷間圧延を経た最終製品の板厚を差し引き、熱延鋼帯の
板厚にて除した値で算出する。
冷延率50〜95%以上 酸洗後のコイル表面は、ディスケールされているが、通
常の冷延鋼板とは異なる酸洗肌を呈している。内質の面
でも、このまま仕上げ焼鈍を施しても、通常の冷延鋼板
製品として要求される特性を満足しない。そのため、酸
洗後、更に二次冷間圧延を施すことが必要になる。通常
の冷延鋼板製品と同等の品質をもつ表面肌を得るために
は、二次冷間圧延の冷延率を20%以上にすることが必
要である。また、製品としての加工性等に要求される内
質に関しては、一次及び二次冷間圧延を合わせた全冷延
率が影響する。全冷延率が50%未満では、低い冷延率
のために良好な加工性が得られない。しかし、95%を
超える全冷延率では、冷間圧延による加工性向上効果が
飽和し、或いは却って低下する傾向を示す。また、過度
に高い冷延率は、冷間圧延に過大な負荷が必要になる。
全冷延率の範囲内において、特に、全冷延率75%以上
を施した冷延鋼板を連続焼鈍又は、溶融めっきする場
合、Δr値が小さく(0.2以下)、加工性に優れた冷
延鋼板又は、溶融めっき鋼板が得られる。なお、本発明
における全冷延率は、熱延鋼帯の板厚から一次及び二次
冷間圧延を経た最終製品の板厚を差し引き、熱延鋼帯の
板厚にて除した値で算出する。
【0015】二次冷間圧延後の焼鈍:再結晶温度以上9
00℃以下 冷間圧延された鋼帯は、加工硬化しており、加工性が著
しく低い状態にある。そこで、冷延鋼板として要求され
る加工性を得るために再結晶温度以上の焼鈍が施され
る。焼鈍条件は、鋼の成分や要求される特性等に応じて
設定されるものであり、本発明では特に連続焼鈍と箱焼
鈍について規定しない。しかし、いずれの焼鈍方式にお
いても、焼鈍温度が900℃を超えると、α→γ変態に
より結晶方位がランダム化するため、加工性が劣化す
る。このようにして製造された冷延鋼板は、電気めっ
き,蒸着めっき等のめっき原板としても使用される。こ
の場合にも、同様に面内異方性が小さく、加工性に優れ
ためっき鋼板が得られる。なお、本願明細書では、この
種のめっき原板としての用途を包含する意味で「冷延鋼
板」を使用している。 溶融めっき Zn,Al又はそれらの合金からなる溶融めっきを施す
ことにより、溶融めっき鋼板が製造される。溶融めっき
設備においては、めっき浴に浸漬する前の鋼帯に施され
る焼鈍によって前述した焼鈍と同様な効果が得られる。
この場合も、焼鈍条件やめっき条件も特に規定されるも
のではなく、工業的に通常採用されている条件が選定さ
れる。また、焼鈍もしくは溶融メッキ後の冷延鋼板及び
溶融めっき鋼板には、圧下率5%以下の調質圧延を施す
ことが可能である。
00℃以下 冷間圧延された鋼帯は、加工硬化しており、加工性が著
しく低い状態にある。そこで、冷延鋼板として要求され
る加工性を得るために再結晶温度以上の焼鈍が施され
る。焼鈍条件は、鋼の成分や要求される特性等に応じて
設定されるものであり、本発明では特に連続焼鈍と箱焼
鈍について規定しない。しかし、いずれの焼鈍方式にお
いても、焼鈍温度が900℃を超えると、α→γ変態に
より結晶方位がランダム化するため、加工性が劣化す
る。このようにして製造された冷延鋼板は、電気めっ
き,蒸着めっき等のめっき原板としても使用される。こ
の場合にも、同様に面内異方性が小さく、加工性に優れ
ためっき鋼板が得られる。なお、本願明細書では、この
種のめっき原板としての用途を包含する意味で「冷延鋼
板」を使用している。 溶融めっき Zn,Al又はそれらの合金からなる溶融めっきを施す
ことにより、溶融めっき鋼板が製造される。溶融めっき
設備においては、めっき浴に浸漬する前の鋼帯に施され
る焼鈍によって前述した焼鈍と同様な効果が得られる。
この場合も、焼鈍条件やめっき条件も特に規定されるも
のではなく、工業的に通常採用されている条件が選定さ
れる。また、焼鈍もしくは溶融メッキ後の冷延鋼板及び
溶融めっき鋼板には、圧下率5%以下の調質圧延を施す
ことが可能である。
【0016】
実施例1:表1に示す組成の鋼を電気炉にて溶製後50
kgの鋼塊とした。
kgの鋼塊とした。
【0017】
【0018】各鋼塊を熱間鍛造して厚さ35mmの鋼片
とし、1230℃に加熱した後、熱間圧延した。このと
きの熱間圧延の仕上げ温度は、910〜940℃と、何
れの鋼片についてもAr3変態点以上とした。また、仕上
げ板厚は、後続する冷間圧延工程での圧延率を勘案し
て、2.2〜5.0mmの範囲に設定した。熱延仕上げ
後、570〜780℃に加熱したソルトバス炉中に装入
して所定の温度とした後2時間保持して、熱延鋼帯の巻
取りに相当する処理を行い、引き続き、30%の冷間圧
延を行い、更に酸洗を行ってディスケールした。その
後、14〜83%の冷延を行って、板厚0.2〜1.3
mmの冷延鋼板を製造した。この冷延鋼板に再結晶温度
以上の温度にて焼鈍を施した。このときの製造条件を、
鋼種ごとに表2に示す。
とし、1230℃に加熱した後、熱間圧延した。このと
きの熱間圧延の仕上げ温度は、910〜940℃と、何
れの鋼片についてもAr3変態点以上とした。また、仕上
げ板厚は、後続する冷間圧延工程での圧延率を勘案し
て、2.2〜5.0mmの範囲に設定した。熱延仕上げ
後、570〜780℃に加熱したソルトバス炉中に装入
して所定の温度とした後2時間保持して、熱延鋼帯の巻
取りに相当する処理を行い、引き続き、30%の冷間圧
延を行い、更に酸洗を行ってディスケールした。その
後、14〜83%の冷延を行って、板厚0.2〜1.3
mmの冷延鋼板を製造した。この冷延鋼板に再結晶温度
以上の温度にて焼鈍を施した。このときの製造条件を、
鋼種ごとに表2に示す。
【0019】
【0020】その後機械的性質の調査及び目視による表
面肌判定を行った。調査結果を表3に示す。なお、機械
的性質は、JIS5号引張り試験片を使用して測定し
た。平均ランクフォード値は15%引張予歪みを与えた
与えた後、3点法にて測定し、L方向(圧延方向)、D
方向(圧延方向に45°方向)及びC方向(圧延方向に
90°方向)の平均値=(rL +2rB +rC )/4と
して求めた。また、r値の面内異方性(Δr値)は、Δ
r=(rL −2rB +rC )/2として求めた。なお、
二次加工割れ性を評価するための脆化温度の測定につい
ては以下のようにして行った。直径90mmに打ち抜い
たブランクを用いて、絞り比2.7の3段階の多段絞り
で直径33mmの平底円筒カップとした。その後液体窒
素と有機溶剤からなる各種温度の冷媒に浸漬しながら、
先端角60度のポンチを円筒上部より押し込み、脆性割
れが発生しない最低温度を二次加工割れ温度とした。表
3の調査結果にみられるように、本発明で規定した鋼組
成及び製造条件を満足するものでは、何れも高い伸び及
びランクフォード値を示しており、Δr値が小さく、二
次加工割れ温度も低く、良好な加工性をもつ冷延鋼板で
あることが判る。特に、全冷延率が75%以上である試
験No.5、8、9、10、12、13、14では、Δ
r値は0.2以下と良好であることが判る。これに対
し、鋼組成が本発明で規定した範囲を外れる鋼種番号
J、Kを使用した試験No.15、16のものでは、低
い伸び、ランクフォード値、大きいΔr値及び高い二次
加工割れ温度を示した。また、組成的には本発明の条件
を満足しても、製造条件が本発明で規定した範囲を外れ
たものでは、伸び、ランクフォード値、Δr値、二次加
工割れ温度の何れか一つ又は複数が悪い値を示した。こ
のことから、鋼組成及び製造条件を特定した組合せにす
ることにより、加工性に優れた冷延鋼板が製造できるこ
とが確認された。
面肌判定を行った。調査結果を表3に示す。なお、機械
的性質は、JIS5号引張り試験片を使用して測定し
た。平均ランクフォード値は15%引張予歪みを与えた
与えた後、3点法にて測定し、L方向(圧延方向)、D
方向(圧延方向に45°方向)及びC方向(圧延方向に
90°方向)の平均値=(rL +2rB +rC )/4と
して求めた。また、r値の面内異方性(Δr値)は、Δ
r=(rL −2rB +rC )/2として求めた。なお、
二次加工割れ性を評価するための脆化温度の測定につい
ては以下のようにして行った。直径90mmに打ち抜い
たブランクを用いて、絞り比2.7の3段階の多段絞り
で直径33mmの平底円筒カップとした。その後液体窒
素と有機溶剤からなる各種温度の冷媒に浸漬しながら、
先端角60度のポンチを円筒上部より押し込み、脆性割
れが発生しない最低温度を二次加工割れ温度とした。表
3の調査結果にみられるように、本発明で規定した鋼組
成及び製造条件を満足するものでは、何れも高い伸び及
びランクフォード値を示しており、Δr値が小さく、二
次加工割れ温度も低く、良好な加工性をもつ冷延鋼板で
あることが判る。特に、全冷延率が75%以上である試
験No.5、8、9、10、12、13、14では、Δ
r値は0.2以下と良好であることが判る。これに対
し、鋼組成が本発明で規定した範囲を外れる鋼種番号
J、Kを使用した試験No.15、16のものでは、低
い伸び、ランクフォード値、大きいΔr値及び高い二次
加工割れ温度を示した。また、組成的には本発明の条件
を満足しても、製造条件が本発明で規定した範囲を外れ
たものでは、伸び、ランクフォード値、Δr値、二次加
工割れ温度の何れか一つ又は複数が悪い値を示した。こ
のことから、鋼組成及び製造条件を特定した組合せにす
ることにより、加工性に優れた冷延鋼板が製造できるこ
とが確認された。
【0021】
【0022】実施例2:表4に示した組成をもつ鋼を転
炉及び脱ガス炉で精錬し、連続鋳造により厚み250m
m,単位重量13トンのスラブを製造した。
炉及び脱ガス炉で精錬し、連続鋳造により厚み250m
m,単位重量13トンのスラブを製造した。
【0023】
【0024】各スラブを加熱炉で1230℃に再加熱し
た後、ホットストリップミルで熱間圧延し、850〜9
40℃の範囲の仕上げ温度で板厚2.2〜4.7mmに
仕上げた。次いで、600〜810℃の温度範囲で熱延
鋼帯をコイルに巻き取った。この熱延鋼帯に、冷延率0
〜45%で一次冷間圧延を施した後、塩酸系の酸洗液槽
をもつ連続酸洗ラインに通板してディスケールした。次
いで、鋼帯を再び冷間圧延機に通し、冷延率5〜75%
の二次冷間圧延を行い、板厚0.2〜1.4mmの冷延
鋼帯を製造した。この冷延鋼帯を、再結晶温度以上の温
度で連続焼鈍ラインに通板し、製品としての冷延鋼板を
得た。また、一部の冷延鋼帯は、めっき浴温を450℃
に設定した連続溶融めっきラインに通板し、溶融亜鉛め
っきを施した。このときの製造条件を、表5に示す。
た後、ホットストリップミルで熱間圧延し、850〜9
40℃の範囲の仕上げ温度で板厚2.2〜4.7mmに
仕上げた。次いで、600〜810℃の温度範囲で熱延
鋼帯をコイルに巻き取った。この熱延鋼帯に、冷延率0
〜45%で一次冷間圧延を施した後、塩酸系の酸洗液槽
をもつ連続酸洗ラインに通板してディスケールした。次
いで、鋼帯を再び冷間圧延機に通し、冷延率5〜75%
の二次冷間圧延を行い、板厚0.2〜1.4mmの冷延
鋼帯を製造した。この冷延鋼帯を、再結晶温度以上の温
度で連続焼鈍ラインに通板し、製品としての冷延鋼板を
得た。また、一部の冷延鋼帯は、めっき浴温を450℃
に設定した連続溶融めっきラインに通板し、溶融亜鉛め
っきを施した。このときの製造条件を、表5に示す。
【0025】
【0026】得られた冷延鋼板及び溶融めっき鋼板につ
いて、実施例1と同様に機械的性質を調査した。表6の
調査結果にみられるように、鋼組成及び製造条件の双方
共に本発明で規定した範囲にある場合、何れも伸び、ラ
ンクフォード値が高く、Δr値が小さく、二次加工割れ
温度が低く、良好な加工性を呈する冷延鋼板であること
が判った。他方、製造条件が本発明で規定した範囲を外
れたものでは、伸び、ランクフォード値、Δr値、二次
加工割れ温度の何れか一つ又は複数が悪い値を示し、加
工性が不足していた。また、製品の表面肌の評価結果の
悪化や、酸洗速度の低下による生産性の低下もみられ
た。
いて、実施例1と同様に機械的性質を調査した。表6の
調査結果にみられるように、鋼組成及び製造条件の双方
共に本発明で規定した範囲にある場合、何れも伸び、ラ
ンクフォード値が高く、Δr値が小さく、二次加工割れ
温度が低く、良好な加工性を呈する冷延鋼板であること
が判った。他方、製造条件が本発明で規定した範囲を外
れたものでは、伸び、ランクフォード値、Δr値、二次
加工割れ温度の何れか一つ又は複数が悪い値を示し、加
工性が不足していた。また、製品の表面肌の評価結果の
悪化や、酸洗速度の低下による生産性の低下もみられ
た。
【0027】
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、鋼組成及び製造条件を特定された条件下で組み合
せ、加工性を改善するため熱延後の巻取り温度を比較的
高温に設定し、冷延率が特定された一次冷間圧延を酸洗
前に施している。酸洗前の一次冷間圧延によりスケール
の剥離性が向上し、巻取り温度を比較的高温に設定した
熱延であっても、酸洗によるディスケール工程での生産
性の劣化を招くことなく、内面異方性が小さく、かつ、
優れた加工性をもつ冷延鋼板及び溶融めっき鋼板が製造
される。
は、鋼組成及び製造条件を特定された条件下で組み合
せ、加工性を改善するため熱延後の巻取り温度を比較的
高温に設定し、冷延率が特定された一次冷間圧延を酸洗
前に施している。酸洗前の一次冷間圧延によりスケール
の剥離性が向上し、巻取り温度を比較的高温に設定した
熱延であっても、酸洗によるディスケール工程での生産
性の劣化を招くことなく、内面異方性が小さく、かつ、
優れた加工性をもつ冷延鋼板及び溶融めっき鋼板が製造
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 301 C22C 38/00 301T 38/14 38/14
Claims (3)
- 【請求項1】 C:0.0005〜0.01重量%,S
i:0.2重量%以下,Mn:0.05〜0.5重量
%,P:0.02重量%以下,S:0.0005〜0.
02重量%,Al:0.005〜0.1重量%,N:
0.007重量%以下,Ti:0.01〜0.1重量%
及び/又はNb:0.01〜0.1重量%を含む組成を
もつ鋼スラブを再加熱又は直送し、仕上げ圧延温度Ar3
変態点以上,巻取り温度650〜800℃の熱間圧延を
施し、得られた熱延鋼帯に冷延率5〜50%の一次冷間
圧延を施し、酸洗後、更に冷延率20%以上で且つ一次
冷間圧延と合計した全冷延率が50〜95%以上となる
ように二次冷間圧延を施し、得られた冷延鋼帯を再結晶
温度以上900℃以下の焼鈍又は溶融めっきする面内異
方性が小さく、加工性に優れた冷延鋼板又は溶融めっき
鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の鋼スラブとして、更にC
u:0.03〜0.5重量%及びNi:0.03〜0.
5重量%を含む組成をもつ鋼スラブを使用する面内異方
性が小さく、加工性に優れた冷延鋼板又は溶融めっき鋼
板の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の鋼スラブとして、
更にB:0.0001〜0.001重量%、Zr:0.
01〜0.1重量%、V:0.01〜0.1重量%の1
種又は2種以上を含む組成をもつ鋼スラブを使用する面
内異方性が小さく、加工性に優れた冷延鋼板又は溶融め
っき鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24130396A JPH09296225A (ja) | 1996-03-04 | 1996-08-22 | 面内異方性の小さい高加工用冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7327896 | 1996-03-04 | ||
JP8-73278 | 1996-03-04 | ||
JP24130396A JPH09296225A (ja) | 1996-03-04 | 1996-08-22 | 面内異方性の小さい高加工用冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09296225A true JPH09296225A (ja) | 1997-11-18 |
Family
ID=26414432
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24130396A Pending JPH09296225A (ja) | 1996-03-04 | 1996-08-22 | 面内異方性の小さい高加工用冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09296225A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104372242A (zh) * | 2014-10-10 | 2015-02-25 | 河北钢铁股份有限公司邯郸分公司 | 470MPa级冷轧带钢及其生产方法 |
-
1996
- 1996-08-22 JP JP24130396A patent/JPH09296225A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104372242A (zh) * | 2014-10-10 | 2015-02-25 | 河北钢铁股份有限公司邯郸分公司 | 470MPa级冷轧带钢及其生产方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101402365B1 (ko) | 시효성 및 베이킹 경화성이 우수한 냉연 강판 및 그 제조 방법 | |
JP2008255442A (ja) | 高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法 | |
CN107250406A (zh) | 高强度冷轧钢板及其制造方法 | |
CN102639740B (zh) | 罐用钢板及其制造方法 | |
JP2576894B2 (ja) | プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき高張力冷延鋼板およびその製造方法 | |
JPH03257124A (ja) | 焼付硬化性を有する深絞り用冷延鋼板の製造方法 | |
JP3829621B2 (ja) | 高張力冷延鋼板とその製造方法 | |
JPH08176735A (ja) | 缶用鋼板とその製造方法 | |
JPH10183253A (ja) | 表面性状及び加工性に優れた冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法 | |
JP3775225B2 (ja) | 高張力冷延鋼板およびその製造方法 | |
JPH09209039A (ja) | 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JP3773604B2 (ja) | 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板又は溶融めっき鋼板用スラブ及びその製造方法 | |
JP3404798B2 (ja) | 焼付硬化性を有する高強度鋼板の製造方法 | |
JP3735142B2 (ja) | 成形性に優れた熱延鋼板の製造方法 | |
JPH09296225A (ja) | 面内異方性の小さい高加工用冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法 | |
JPH09241752A (ja) | 加工性及び機械強度に優れた冷延鋼板又は溶融めっき鋼板の製造方法 | |
JPH07268584A (ja) | 耐二次加工脆性に優れる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JPH0466653A (ja) | 表面性状に優れた高加工用溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP3043901B2 (ja) | 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板及び亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP5245948B2 (ja) | 冷延鋼帯の製造方法 | |
JP3497201B2 (ja) | 表面性状に優れた深絞り用高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP3593728B2 (ja) | 成形性の優れた極低炭素冷延鋼板の製造方法 | |
JP3716439B2 (ja) | めっき特性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP2514298B2 (ja) | プレス成形性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JPH055156A (ja) | 成形加工用高強度鋼板とその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20050209 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060620 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20060714 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060822 |