JPH09295995A - フェノール系配糖体、及びその製造方法 - Google Patents

フェノール系配糖体、及びその製造方法

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JPH09295995A
JPH09295995A JP8110789A JP11078996A JPH09295995A JP H09295995 A JPH09295995 A JP H09295995A JP 8110789 A JP8110789 A JP 8110789A JP 11078996 A JP11078996 A JP 11078996A JP H09295995 A JPH09295995 A JP H09295995A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、医薬品や
β−1,3グルカナーゼ活性の検査薬や測定試薬として
有用な、新規なフェノール系配糖体、及びその製造方法
を提供することにある。 【解決手段】 一般式(I)、一般式(II)又は、一般
式(III)で示されるフェノール系配糖体及び、フェノ
ール系グルコシル配糖体(A)と、β−1,3グリコシ
ル糖化合物(B)とを、β−1,3グルカナーゼ活性を
有する酵素剤(C)の存在下で反応させることを特徴と
するフェノール系配糖体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、β−1,3オリゴ
糖を有する新規なフェノール系配糖体、及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェノール系配糖体は、優れた生理活性
を持ち且つ低毒性であること、および該配糖体に含まれ
るフェノール類部分が殺菌・防かび作用を示すことか
ら、薬品などとしての有用性が以前から認識され、ま
た、該配糖体を糖関連酵素の基質、活性測定・検出試薬
として使用することも期待されていた。
【0003】例えば、アルブチン(ハイドロキノン−β
−D−グルコピラノシド)は自然界に存在し、古くから
利尿作用を有することが知られており、更に、最近にな
ってメラニン色素生成阻害作用もあることが明らかにさ
れ、美白剤(化粧品)としても使用されるようになっ
た。
【0004】カテコール、レゾルシノールのグルコシル
配糖体などは、皮膚色素沈着症の予防および治療に有効
で、皮膚外用剤の成分として利用できること(特開平4
−1115号公報)、頭皮のフケの発生を防止し、頭髪
に潤いと、しなやかさを与える顕著な作用効果を有し、
頭髪化粧料の成分として利用できること(特開平4−5
218号公報)が知られている。
【0005】また例えばp−ニトロフェノールや2−ク
ロロ−4−ニトロフェノール等の、マルトオリゴ糖配糖
体あるいはセロオリゴ糖配糖体については、各々アミラ
ーゼ、セルラーゼの基質や活性測定・検出試薬として用
いられてきた。
【0006】ハイドロキノン配糖体、カテコール配糖
体、レゾルシノール配糖体などが優れた生理活性を有す
ることは前述した通りであるが、その活性はハイドロキ
ノン、カテコール、レゾルシノールなど非糖部分に由来
するものである。
【0007】しかし、ハイドロキノン、カテコール、レ
ゾルシノール自身は毒性の強い物質であるため、安価で
あっても、そのまま用いることはできず、糖を付加し低
毒化した配糖体の状態で使用している。
【0008】しかし、これら従来の配糖体は、糖を僅か
1残基しか持たない単糖配糖体であり、使用時に生体酵
素または皮膚常在菌の酵素など(例えばグルコシダー
ゼ)によって分解され、毒性物質が遊離してくる可能性
が危惧される。このことは、安全性における大きな問題
であり、これらフェノール系配糖体の安定化が切望され
ている。
【0009】また、p−ニトロフェノールや2−クロロ
−4−ニトロフェノールは、発色性物質であることか
ら、これらの配糖体を用いる簡便な酵素活性測定・検出
法が提供されてきた。しかし、これまで知られていたの
は、アミラーゼあるいはセルラーゼなどの活性を測定す
る為のp−ニトロフェノールや2−クロロ−4−ニトロ
フェノールのマルトオリゴ糖あるいはセロオリゴ糖配糖
体等であった。
【0010】またビール製造工程で生じる澱を分解する
目的で使用され、また植物の病原体などに対する抵抗性
の指標となると期待されるβ−1,3グルカナーゼに関
しては、その活性測定・検出に使用できる配糖体はこれ
まで存在せず、その活性の高精度、且つ簡便な測定を可
能にするフェノール系配糖体が切望されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、医薬品やβ−1,3グルカナーゼ活性の検
査薬や測定試薬として有用な、新規なフェノール系配糖
体、及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、課題を解
決すべく鋭意研究を重ねた結果、フェノール系グルコシ
ル配糖体とβ−1,3グリコシル糖化合物とをβ−1,
3グルカナーゼ活性を有する酵素剤の存在下で反応させ
ることにより容易に新規フェノール系配糖体を製造でき
ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明は、下記の一般式(I)
【0014】
【化5】
【0015】(式中、Xは水素原子、水酸基又はニトロ
基を、nは0〜9の整数を表わす。)で示されるフェノ
ール系配糖体である。また本発明は、下記の一般式(I
I)
【0016】
【化6】
【0017】又は、一般式(III)
【0018】
【化7】
【0019】(式中、nは0〜9の整数を表わす。)で
示されるフェノール系配糖体を含む。
【0020】本発明は、フェノール系グルコシル配糖体
(A)と、β−1,3グリコシル糖化合物(B)とを、
β−1,3グルカナーゼ活性を有する酵素剤(C)の存
在下で反応させることを特徴とするフェノール系配糖体
の製造方法であり、β−1,3グリコシル糖化合物
(B)が、特に、β−1,3グルコシル多糖、又はβ−
1,3グルコシルオリゴ糖であるフェノール系配糖体の
製造方法や、
【0021】β−1,3グルカナーゼ活性を有する酵素
剤(C)が、特に、ストレプトマイセスspDIC−1
08菌株(微工研条寄第253号)から得られる糖転移
酵素SGTase、キタラーゼ又はドリセラーゼである
ことを特徴とする、フェノール系配糖体の製造方法や、
フェノール系グルコシル配糖体(A)が、特に、下記の
一般式(IV)
【0022】
【化8】
【0023】(式中、Xは水素原子、水酸基又はニトロ
基を表わす。)で示される配糖体であることを特徴とす
る、フェノール系配糖体の製造方法や、フェノール系グ
ルコシル配糖体(A)が、特に、ハイドロキノン又はp
−ニトロフェノールのグルコシル配糖体であることを特
徴とする、フェノール系配糖体の製造方法を含むもので
ある。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるフェノール系グルコシル配糖体(A)と
しては、フェニルグルコシド、ヒドロキシフェニルグル
コシド、ニトロフェニルグルコシド、2−クロロ−4−
ニトロフェニルグルコシドなどが例示され、好ましく
は、ハイドロキノングルコシド、p−ニトロフェニルグ
ルコシドが挙げられる。
【0025】β−1,3グリコシル糖化合物(B)とし
ては、カードラン、パキマン、パラミロン、シゾフィラ
ン、ラミナラン、酵母細胞壁、ラミナリオリゴ糖などが
例示され、好ましくは、カードラン、ラミナリオリゴ糖
が挙げられる。
【0026】本発明の製造法に使用するβ−1,3グル
カナーゼ活性を有する酵素剤(C)は、それ自体公知で
あるが、該酵素剤がフェノール系グルコシル配糖体に対
して糖転移活性を示すことは知られていなかった。
【0027】酵素剤(C)としては、ストレプトマイセ
スspDIC−108菌株(微工研条寄第253号)か
ら得られる糖転移酵素であるSGTase、キタラーゼ
(和光純薬工業株式会社製)、ドリセラーゼ(協和発酵
工業株式会社製)が例示される。これらの酵素剤(C)
は、そのまま用いてもよいし、固定化あるいは修飾酵素
として用いてもよい。
【0028】ストレプトマイセスspDIC−108菌
株(微工研条寄第253号)から得られるSGTase
の製造方法、精製方法、特徴に関しては、特公平4−3
7719号公報、及び特願平7−10602号公報に記
載されているが、以下にその概略を示す。
【0029】SGTaseは、ストレプトマイセスsp
DIC−108菌株を振盪培養、通気培養等で、pH
5.0〜8.0、培養温度20〜50℃で1〜6日培養
した培養液中に生産される。その作用は、β−1,3グ
リコシル糖化合物(例えばカードラン、ラミナラン、パ
キマン、酵母細胞壁など)及びその部分分解物を加水分
解し、ビオース、トリオースを主成分とするオリゴ糖を
生成する。
【0030】更に、その際、適当な受容体(例えば、多
糖、オリゴ糖、配糖体など)が存在すると、生成したオ
リゴ糖をβ−1,3グリコシド結合を介して受容体に転
移する。その作用温度は10〜70℃、至適温度は40
〜60℃であり、作用pHは4.0〜8.5、至適pH
は5.0〜7.0である。またSDS−PAGEから求
められる糖の分子量は約3.4万である。
【0031】前述の酵素剤(C)は、β−1,3グリコ
シル糖化合物(B)を加水分解し、種々のフェノール系
グルコシル配糖体(A)に糖転移させ、これによってオ
リゴ糖を糖鎖に持つフェノール系配糖体が得られる。
【0032】本発明によるフェノール系配糖体の製造方
法は、より具体的には、以下に示すような操作で行なわ
れる。反応容器、例えば三角フラスコやねじ口ビン中
で、フェノール系グルコシル配糖体(A)と、β−1,
3グリコシル糖化合物(B)とを反応溶媒に混和させ、
酵素剤(C)を作用させる。
【0033】フェノール系グルコシル配糖体(A)は、
反応溶媒に対して50重量/容量%以下、好ましくは
0.1〜30重量/容量%混和させる。β−1,3グリ
コシル糖化合物(B)は、反応溶媒に対して50重量/
容量%以下、好ましくは0.1〜30重量/容量%混和
させる。
【0034】酵素剤(C)は、反応溶媒に対して50重
量/容量%以下、好ましくは0.1〜30重量/容量%
混和させる。これらの原料は、必ずしも反応溶媒に完全
溶解している必要はないが、溶解している方が好まし
い。反応溶媒は、水もしくは緩衝液でよいが、これに水
溶性有機溶媒を加えてもよい。
【0035】水溶性有機溶媒としては、例えばメタノー
ル、エタノール、プロパノールなどの炭素数1〜3のア
ルコール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルム
アミドなどが挙げられ、好ましくは炭素数1〜3のアル
コール、アセトニトリルが挙げられる。
【0036】反応溶媒に占める水溶性有機溶媒の割合
は、0〜90容量/容量%、好ましくは0〜80容量/
容量%である。緩衝液の種類については特に限定される
ものではないが、例えば酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、
コハク酸緩衝液、トリス緩衝液などを用いることがで
き、好ましくは酢酸緩衝液である。緩衝液のpHは3〜
8の範囲内に設定できるが、用いる酵素剤の至適pHに
調整するのが望ましい。
【0037】上記反応液を10〜70℃、好ましくは4
0〜60℃の温度条件下で適当時間振盪する。通常1〜
2日間で反応の進行は止まる。反応終了後、目的産物で
あるフェノール系配糖体を精製するには、一般的な酵素
の精製方法を適宜利用して行なうことができ、特に限定
されない。例えば、順相クロマトグラフィー(例えば固
定相がAmide−80(東ソー株式会社製)で移動相
がアセトニトリル水溶液)などにより反応液から分取す
ることが可能である。
【0038】本発明による製造方法の生成物の1つとし
て得られる、下記の一般式(I)
【0039】
【化9】
【0040】(式中、Xは水素原子、水酸基又はニトロ
基、nは0〜9の整数を表わす。)で示される配糖体の
内、特に下記の一般式(II)
【化10】
【0041】(式中、nは0〜9の整数を表わす。)で
示されるフェノール系配糖体は、グルコシダーゼなどに
対する安定性が高いため、毒性物質が遊離する危険性が
低い点で、例えば、化粧品配合剤としても従来のフェノ
ール系配糖体より優れる。また下記の一般式(III)
【0042】
【化11】
【0043】(式中、nは0〜9の整数を表わす。)で
示されるフェノール系配糖体は、新規なβ−1,3グル
カナーゼ基質、活性測定・検出試薬に有用である。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】(実施例1) フェノール系グルコシル配
糖体としてアルブチンを用いたフェノール系配糖体の製
造例1 1重量/容量%のアルブチン、1重量/容量%のラミナ
リペンタオース、80容量/容量%のエタノールを含む
20mMの酢酸緩衝液pH5.5に、0.2重量/容量
%のSGTaseを加え、この混合液を55℃で振盪す
ることにより反応させた。
【0046】2時間後、反応液の高速液体クロマトグラ
フィー(以下、HPLCと略す)分析で、配糖体の生成
を確認した(図1)。HPLC分析には、東ソー株式会
社製Amide−80カラムを用い、カラム温度40
℃、溶離液73容量/容量%アセトニトリル水溶液、流
速0.7ml/min、検出UV280nmとした。
【0047】検出されたピークの内、図1中の実線矢印
で示したピークを分取し、これをNMRにより、構造解
析した(図6)。以下にNMRデータを示す。
【0048】1H−NMR(ppm,プロトン数,形
状,結合定数):7.06,2H,d(ハイドロキノン
部分)、6.87,2H,d、4.99,1H,d,J
=7.7Hz(還元末端グルコースの1位)、カップリ
ング定数より、ハイドロキノンと糖鎖の結合はβ結合で
ある。また、1H積分比より、ハイドロキノンの水酸基
のうち一方のみが糖鎖と結合していることが分かる。
【0049】13C−NMR:103.8〜105.4p
pmに4C分のピークが存在することから糖鎖はグルコ
ース4残基であることが判る。また還元末端グルコース
1位のピークのケミカルシフトが103.8ppmであ
ることからもハイドロキノンと糖鎖の結合がβ結合であ
ることが確認できた。86ppm付近のピークは、グル
コース間の結合がβ−1,3結合であることを示す。
【0050】以上のことから該化合物を、グルコース4
残基の全てが、β−1,3結合を介してなるハイドロキ
ノン−β−ラミナリテトラオシドと同定した。
【0051】(実施例2) フェノール系グルコシル配
糖体としてアルブチンを用いたフェノール系配糖体の製
造例2 1重量/容量%のアルブチン、1重量/容量%のカード
ランを含む20mMの酢酸緩衝液pH5.0に、0.2
重量/容量%のSGTaseを加え、この混合液を50
℃で振盪することにより反応させた。2時間後、反応液
をHPLC分析に付し、配糖体の生成を確認した(図
2)。
【0052】HPLC分析には、昭和電工株式会社製N
H2Pカラムを用い、カラム温度40℃、溶離液73容
量/容量%アセトニトリル水溶液、流速0.7ml/m
in、検出UV280nmとした。その結果、ハイドロ
キノン−β−ラミナリビオシドをはじめとするフェノー
ル系配糖体の生成が認められた。
【0053】(実施例3) フェノール系グルコシル配
糖体としてp−ニトロフェニル−β−グルコシドを用い
たフェノール系配糖体の製造例3 1重量/容量%のp−ニトロフェニル−β−グルコシ
ド、1重量/容量%のラミナリペンタオース、20容量
/容量%のエタノールを含む20mMの酢酸緩衝液pH
5.5に、0.2重量/容量%のSGTaseを加え、
この混合液を55℃で振盪することにより反応させた。
【0054】20時間後、実施例1と同様に、反応液を
HPLC分析し、配糖体の生成を確認した(図3)。図
3中の実線矢印で示したピークを分取し、NMRで解析
した結果、生成物をp−ニトロフェニル−β−ラミナリ
テトラオシドと同定した(図7)。また、図3中の破線
矢印で示したピークを分取し、NMRで解析した。
【0055】1H−NMR(ppm,プロトン数,形
状):8.22,2H,d、7.24,2H,d、p−
ニトロフェノール部分の存在を示す。5.24,1H,
d(グルコース残基1の1位)、4.51,1H,d
(グルコース残基2の1位)、4.53,1H,d(グ
ルコース残基3の1位)、4.36,1H,d(グルコ
ース残基4の1位)、3.0〜4.8(グルコース残基
1〜4の2〜6位)。但し、ここでは、アグリコンに近
い方から順にグルコース残基1〜4と表記した。また1
H積分比より、p−ニトロフェノール1分子あたりグル
コース4分子が結合していることが分かる。
【0056】13C−NMR:86ppm付近のピーク
は、グルコース間の結合がβ−1,3結合であることを
示す。99ppm付近のピークは、p−ニトロフェノー
ルと糖鎖の結合がβ結合であることを示す。以上のこと
から、該化合物をp−ニトロフェニル−β−ラミナリヘ
プタオシドと同定した。
【0057】(実施例4)フェノール系グルコシル配糖
体としてp−ニトロフェニル−α−グルコシドを用いた
フェノール系配糖体の製造例1 1重量/容量%のp−ニトロフェニル−α−グルコシ
ド、4重量/容量%のラミナリペンタオースを含む20
mMの酢酸緩衝液pH5.0に1重量/容量%のキタラ
ーゼを加え、この混合液を50℃で振盪することにより
反応させた。2時間後、反応液を実施例2と同様にHP
LC分析に付し、配糖体の生成を確認した。HPLC分
析結果を図4に示す。
【0058】(実施例5)フェノール系グルコシル配糖
体としてp−ニトロフェニル−α−グルコシドを用いた
フェノール系配糖体の製造例2 1重量/容量%のp−ニトロフェニル−α−グルコシ
ド、4重量/容量%のラミナリペンタオースを含む20
mMの酢酸緩衝液pH4.5に、1重量/容量%のドリ
セラーゼを加え、この混合液を50℃で振盪することに
より反応させた。2時間後、反応液を実施例2と同様に
HPLC分析に付し、配糖体の生成を確認した。HPL
C分析結果を図5に示す。
【0059】(実施例6)ハイドロキノン−β−ラミナ
リテトラオシドとアルブチンのβ−グルコシダーゼに対
する安定性比較試験 37mMのハイドロキノン−β−ラミナリテトラオシド
あるいはアルブチンを含む5mlの20mMの酢酸緩衝
液pH5に、0.5mgのβ−グルコシダーゼ(アーモ
ンド由来)を加え、50℃で振盪しながら反応させた。
【0060】経時的に反応液を一部採取し、HPLCに
よる分析で毒性物質であるハイドロキノンの遊離率を比
較した(図8)。その結果、アルブチンからは短時間で
多量のハイドロキノンが遊離してくるのに対し、ハイド
ロキノン−β−ラミナリテトラオシドからの遊離量は長
時間後も少なく、1時間反応の時点でアルブチンの約1
/70、2時間反応の時点ではアルブチンの約1/17
に抑えられていることが分かった。これから、ハイドロ
キノン−β−ラミナリテトラオシドのβ−グルコシダー
ゼに対する安定性は、アルブチンに比し飛躍的に向上し
ていることが確認された。
【0061】(実施例7) p−ニトロフェニル−β−
ラミナリペンタオシドによる酵素活性測定・検出能試験 5.7mgのp−ニトロフェニル−β−ラミナリペンタ
オシドと0.44mgの塩化カルシウムとを含む150
mMの緩衝液3mlに各種酵素を1u(ユニット)添加
し、40℃で60分間反応させた。反応中、経時的に4
15nmにおける吸光度を測定し、p−ニトロフェニル
−β−ラミナリペンタオシドのβ−1,3グルカナーゼ
活性測定・検出能を検証した。
【0062】用いた酵素と緩衝液の組み合わせは、β-
1,3グルカナーゼ(Helix pomatia由来)と酢酸緩衝液
(pH5.0)、α−アミラーゼ(Bacillus lichenifo
rmis由来)とHEPES−NaOH(pH6.9)、セ
ルラーゼ(ウスバタケ由来)と酢酸緩衝液(pH4.
5)、β−グルコシダーゼ(アーモンド由来)と酢酸緩
衝液(pH5.0)であった。
【0063】その結果、p−ニトロフェニル−β−ラミ
ナリペンタオシドは、β−1,3グルカナーゼの作用を
受けて発色し(415nmにおける吸光度が増加す
る)、該酵素の測定能を有することが確認された(図
9)。また、α−アミラーゼ、セルラーゼ、β−グルコ
シダーゼによる発色は非常に低かったことから、p−ニ
トロフェニル−β−ラミナリペンタオシドはβ−1,3
グルカナーゼに対する特異性が高いことも判明した。
【0064】
【発明の効果】本発明は、医薬原料や、β−1,3グル
カナーゼ活性測定・検出試薬として利用できるp−ニト
ロフェノールのラミナリオリゴ糖配糖体や、グルコシダ
ーゼなどに対する安定性が従来より高められたハイドロ
キノンのラミナリオリゴ糖配糖体などの新規のフェノー
ル系配糖体、及びその製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた、ハイドロキノン−β−ラ
ミナリオリゴグリコシドを含む酵素反応終了液のHPL
C分析結果を示す図である。横軸は溶離時間(分)を、
縦軸は280nmでの吸光度を表わす。
【図2】実施例2で得られた、p−ニトロフェニル−β
−ラミナリオリゴグリコシドを含む酵素反応終了液のH
PLC分析結果を示す図である。
【図3】実施例3で得られた、p−ニトロフェニル−β
−オリゴグリコシドを含む酵素反応終了液のHPLC分
析結果を示す図である。
【図4】実施例4で得られた、p−ニトロフェニル−α
−オリゴグリコシドを含む酵素反応終了液のHPLC分
析結果を示す図である。
【図5】実施例5で得られた、p−ニトロフェニル−α
−オリゴグリコシドを含む酵素反応終了液のHPLC分
析結果を示す図である。
【図6】実施例1の図1中の実線矢印を付したピークを
分取し、その化合物の構造を1H−NMR(上図)及び
13C−NMR(下図)にて解析した結果を示す図であ
る。
【図7】実施例3の図3中の実線矢印を付したピークを
分取し、その化合物の構造を1H−NMR(上図)及び
13C−NMR(下図)にて解析した結果を示す図であ
る。
【図8】ハイドロキノン−β−ラミナリテトラオシド
(図中Hyd−G4と略記)とアルブチンのβ−グルコ
シダーゼに対する安定性を比較した図である。横軸は反
応時間(時間)を、縦軸はハイドロキノンの遊離率
(%)を表わす。
【図9】p−ニトロフェニル−β−ラミナリペンタオシ
ド(図中PNP−G5と略記)の各種酵素による発色
(415nmにおける吸光度)経時変化を示した図であ
る。横軸は時間(分)を縦軸は吸光度を表わす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I) 【化1】 (式中、Xは水素原子、水酸基又はニトロ基を、nは0
    〜9の整数を表わす。)で示されるフェノール系配糖
    体。
  2. 【請求項2】 下記の一般式(II) 【化2】 又は、一般式(III) 【化3】 (式中、nは0〜9の整数を表わす。)で示される請求
    項1に記載のフェノール系配糖体。
  3. 【請求項3】 フェノール系グルコシル配糖体(A)
    と、β−1,3グリコシル糖化合物(B)とを、β−
    1,3グルカナーゼ活性を有する酵素剤(C)の存在下
    で反応させることを特徴とするフェノール系配糖体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 β−1,3グリコシル糖化合物(B)
    が、β−1,3グルコシル多糖、又はβ−1,3グルコ
    シルオリゴ糖である請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 β−1,3グルカナーゼ活性を有する酵
    素剤(C)が、ストレプトマイセスspDIC−108
    菌株(微工研条寄第253号)から得られる糖転移酵素
    SGTase、キタラーゼ又はドリセラーゼであること
    を特徴とする、請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 フェノール系グルコシル配糖体(A)
    が、下記の一般式(IV) 【化4】 (式中、Xは水素原子、水酸基又はニトロ基を表わ
    す。)で示される配糖体であることを特徴とする、請求
    項3〜5のいずれか1つに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 フェノール系グルコシル配糖体(A)
    が、ハイドロキノン又はp−ニトロフェノールのグルコ
    シル配糖体であることを特徴とする、請求項3〜5のい
    ずれか1つに記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100941695B1 (ko) * 2008-01-24 2010-02-12 경희대학교 산학협력단 디에노코커스 지오써말리스로부터 분리된 아밀로수크라제를 이용한 알파-d-글루코피라노실-(1→4)-알부틴 제조방법
KR100964944B1 (ko) * 2007-02-21 2010-06-21 전남대학교산학협력단 당전이 효소를 이용한 당전이 화합물의 유도체 제조방법 및 이로부터 제조된 유도체
JP2013536680A (ja) * 2010-09-01 2013-09-26 ビオメリュー C.difficileを検出および/または同定するための、β−グルコシダーゼ活性化剤の使用

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