JPH0929450A - 接合方法 - Google Patents

接合方法

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JPH0929450A
JPH0929450A JP18410195A JP18410195A JPH0929450A JP H0929450 A JPH0929450 A JP H0929450A JP 18410195 A JP18410195 A JP 18410195A JP 18410195 A JP18410195 A JP 18410195A JP H0929450 A JPH0929450 A JP H0929450A
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勝 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接合品質の向上ならびに安定化が可能な接合
方法を得る。 【構成】 一対の被接合部材11、12を一対の電極1
3、14により所定の圧力で挟持して被接合部材11、
12に電流を流し抵抗発熱によって被接合部材11、1
2同士を接合する接合方法において、打点毎に通電開始
から所定時間後の両電極13、14間の抵抗値を順次測
定するとともに打点の回数が所定の打点数に達した時点
で所定の打点数間における抵抗値の平均値およびばらつ
き度合を算出しこれら算出値に応じて通電電流値および
通電時間の補正を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】一対の被接合部材を一対の電極に
より所定の圧力で挟持して、被接合部材に電流を流し抵
抗発熱によって被接合部材同士を接合する接合方法に係
り、特に接合品質の安定化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、抵抗発熱を用いた接合方法は、
一対の被接合部材の接合箇所に電極を介して電流を供給
することによりジュール熱を発生させ、この熱により接
合箇所の溶融を引き起こして接合させるようにしたもの
である。今、この抵抗発熱を用いた接合方法において、
通電時間中における電極間の抵抗は図15に示すように
変化する。すなわち、通電初期には被接合部材の表面と
電極の表面とのミクロな接触点の拡がりや、表面汚染の
状態に依存して図中aで示す範囲のように減少の過程を
たどる。
【0003】そして、初期表面接触抵抗は通電開始後数
サイクルで消滅し、温度上昇による固有抵抗の増加分お
よび被接合部材の軟化、圧潰による通電路面積の拡大過
程に移行する。次いで、図中bで示す範囲においては、
固有抵抗の増加分が通電路面積の拡大による抵抗減少分
を上回るため、電極間抵抗は増加する。さらに、接合が
進行してナゲットが生成、成長するとともに、被接合部
材の温度上昇が飽和領域に達するため、電極間の抵抗は
図中cで示す範囲のように減少する。
【0004】又、被接合部材内での発熱量は、接合品質
を左右する重要な要因となり、Q(発熱量)=I2(電
流値)×R(t)(電極および被接合部材内の抵抗値)
で概ね求めることができるため、発熱量の大小は被接合
部材の発熱による赤光状態、電極表面の観察、抜き取り
による強度測定等、経験的な判断に基づいて通電条件を
変更することにより、電極表面状態の経時変化による接
合品質への影響を抑制し、電極ドレシングおよび交換を
する方法が一般的に行われ、また、電極消耗に応じて接
合条件を自動的に制御する方法も行われている。
【0005】図16は例えば特開昭61−78579号
公報に記載されたこの種の従来の接合方法を実施するた
めの装置の構成を示すブロック図、図17は接合打点の
増加に伴う電極間抵抗の平均値の変化と、溶接品質を補
正するためのいくつかの消耗等級別に対応する境界値と
の関連を示す特性図である。一般的に、上記図15にお
いて説明した電極間抵抗の変化過程の中で、初期接触抵
抗消滅後の最小値は、電極消耗度に比例することが知ら
れている。したがって、図16における設定器1には図
17に示すように、電極消耗度等級を平均値の大きさで
区分し、各等級の境界値が予め設定されている。
【0006】まず、任意サイクルの初期通電期間に、電
極2、3間の電圧および、トロイダルコイル4によって
測定される電流に基づいて、最低抵抗演算回路5におい
て電極2、3間の抵抗値が演算される。次いで、記憶保
持回路6において演算された抵抗値のうち最小値のみが
順次記憶されるとともに、これら最小値の平均値が平均
値演算回路7において算出される。
【0007】そして、このようにして算出された平均値
は比較演算回路8において、設定器1に設定される図7
に示す境界値と比較され、例えば境界値Iを越えると等
級Iから等級IIへと一段進め、等級IIで予め設定さ
れた諸条件と一致させるよう、位相制御点弧回路9によ
りサイリスタ10を制御して接合が行われる。このよう
に、従来の接合方法は電極消耗を電極間抵抗値で監視し
ながら接合条件を変えることにより、電極のドレシング
や交換の周期を伸ばし、生産性の向上を図るというもの
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の抵抗発熱によっ
て被接合部材同士を接合する接合方法は以上のようにし
て行われているので、経験的な判断によって接合条件が
決められる一般的な接合方法では、作業者の熟練した高
度な技術に基づく判断力が必要であることは勿論のこ
と、安定した接合品質を得るためには作業に手間がかか
り人件費が増大する。又、電極消耗に対して順次接合条
件、すなわち通電電流を適正な値に変更していくことは
実作業上容易ではなく、接合品質の安定を求めることが
困難であるという問題点があった。
【0009】さらに又、図16に示すように溶接条件を
自動的に制御する方法を用いた場合は、軟鋼板のスポッ
ト溶接における電極先端径の拡大という限られた現象の
範囲内では、適用可能であると考えられるが、電極と被
接合部材との当接面が電極の方が大きい場合等、接合打
点毎における当たり具合のばらつきが大きく、且つその
ばらつき度合が刻々変化する場合や、軟鋼板以外の被接
合部材に適用する場合については考慮されていないため
追従できず、また、電極もしくは被接合部材の爆飛とい
った突発的な不良モードの発生が考慮されていないため
全自動化という点からは不十分であるという問題点があ
った。
【0010】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、電極表面の消耗に起因する電極
と被接合部材との当接状態の経時点変化を把握して、電
極の消耗度合を総合的に判定することによって、通電条
件を適正化すること、電極の交換時期を自動的に判定す
ること、および一接合打点中における接合条件のフィー
ドバック制御を行うことにより、常に接合品質を安定さ
せることが可能な接合方法を提供することを目的とする
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る接合方法は、一対の被接合部材を一対の電極により所
定の圧力で挟持して被接合部材に電流を流し抵抗発熱に
よって被接合部材同士を接合する接合方法において、打
点毎に通電開始から所定時間後の両電極間の抵抗値を順
次測定するとともに打点の回数が所定の打点数に達した
時点で所定の打点数間における抵抗値の平均値およびば
らつき度合を算出しこれら算出値に応じて少なくとも通
電電流値または通電時間のいずれか一方の補正を行うよ
うにしたものである。
【0012】又、この発明の請求項2に係る接合方法
は、請求項1において、抵抗値は打点毎の最小値とした
ものである。
【0013】又、この発明の請求項3に係る接合方法
は、一対の被接合部材を一対の電極により所定の圧力で
挟持して被接合部材に電流を流し抵抗発熱によって被接
合部材同士を接合する接合方法において、打点毎に接合
の状態を検出して状態が所定の状態に達するまでの時間
を順次測定するとともに打点の回数が所定の打点数に達
した時点で所定の打点数間における時間の平均値および
ばらつき度合を算出しこれら算出値に応じて少なくとも
通電電流値または通電時間のいずれか一方の補正を行う
ようにしたものである。
【0014】又、この発明の請求項4に係る接合方法
は、一対の被接合部材を一対の電極により所定の圧力で
挟持して被接合部材に電流を流し抵抗発熱によって被接
合部材同士を接合する接合方法において、打点毎に通電
開始から所定時間後の両電極間の抵抗値を順次測定する
とともに打点の回数が所定の打点数に達した時点で所定
の打点数間における抵抗値の平均値およびばらつき度合
を算出しこれら算出値に応じて少なくとも通電電流値ま
たは通電時間のいずれか一方の補正を行い、さらに、打
点毎に接合の状態を検出して状態が所定の状態に達する
までの時間を順次測定するとともに打点の回数が所定の
打点数に達した時点で所定の打点数間における時間の平
均値およびばらつき度合を算出しこれら算出値に応じて
補正された通電電流値または通電時間の補正を再び行う
ようにしたものである。
【0015】又、この発明の請求項5に係る接合方法
は、請求項1、3、4のいずれかにおいて、ばらつき度
合が所定の値に達したら接合加工を停止するようにした
ものである。
【0016】又、この発明の請求項6に係る接合方法
は、請求項3または4において、両電極間の抵抗値が最
大値に達した時点を所定の状態としたものである。
【0017】又、この発明の請求項7に係る接合方法
は、請求項3または4において、接合部に光ビームを照
射するとともに接合部で反射される反射光の量が所定の
値に達した時点を所定の状態としたものである。
【0018】又、この発明の請求項8に係る接合方法
は、請求項3または4において、接合部近傍に被接合部
材よりも低い融点を有する部材を配設し部材の表面に光
ビームを照射するとともに部材の表面で反射される反射
光の量が所定の値に達した時点を所定の状態としたもの
である。
【0019】又、この発明の請求項9に係る接合方法
は、一対の被接合部材を一対の電極により所定の圧力で
挟持して被接合部材に電流を流し抵抗発熱によって被接
合部材同士を接合する接合方法において、打点毎に通電
開始から所定時間後の両電極間の最大抵抗値を順次測定
して最大抵抗値が予め設定された第1の基準値を越え、
且つ次の打点以降の最大抵抗値が予め設定された第2の
基準値を越えた場合に以降の接合加工を停止するように
したものである。
【0020】又、この発明の請求項10に係る接合方法
は、請求項9において、第1および第2の基準値を同値
としたものである。
【0021】又、この発明の請求項11に係る接合方法
は、請求項1ないし10のいずれかにおいて、被接合部
材と電極とがそれぞれ当接する各当接面の面積を、電極
の方がそれぞれ大に形成するようにしたものである。
【0022】又、この発明の請求項12に係る接合方法
は、請求項1ないし10のいずれかにおいて、電極を被
接合部材より電気抵抗率の大きな材料で形成するように
したものである。
【0023】又、この発明の請求項13に係る接合方法
は、請求項1ないし10のいずれかにおいて、両被接合
部材間に被接合部材よりも低い融点を有する導電性の部
材を介在させ部材を溶融させることにより被接合部材同
士を接合するようにしたものである。
【0024】
【作用】この発明の請求項1における接合方法は、所定
の打点数間における両電極間の抵抗値の平均値およびば
らつき度合に応じて少なくとも通電電流値または通電時
間のいずれか一方の補正を行う。
【0025】又、この発明の請求項2における接合方法
は、打点毎に通電開始から所定時間後の電極間の抵抗値
の最小値を順次測定する。
【0026】又、この発明の請求項3における接合方法
は、所定の打点数間における所定の状態に対するまでの
時間の平均値およびばらつき度合に応じて、少なくとも
通電電流値または通電時間のいずれか一方の補正を行
う。
【0027】又、この発明の請求項4における接合方法
は、所定の打点数間における両電極間の抵抗値の平均値
およびばらつき度合に応じて少なくとも通電電流値また
は通電時間のいずれか一方の補正を行うとともに、所定
の打点数間における所定の状態に対するまでの時間の平
均値およびばらつき度合に応じて、通電電流値または通
電時間の補正を再び行う。
【0028】又、この発明の請求項5における接合方法
は、所定の打点数間における両電極間の抵抗値のばらつ
き度合、または所定の打点数間における所定の状態に達
するまでの時間のばらつき度合が所定の値に達したら接
合加工を停止する。
【0029】又、この発明の請求項6における接合方法
は、所定の打点数間における両電極間の抵抗値が最大値
に達するまでの時間の平均値およびばらつき度合に応じ
て、少なくとも通電電流値または通電時間のいずれか一
方の補正を行う。
【0030】又、この発明の請求項7における接合方法
は、所定の打点数間における接合部に照射された光ビー
ムの反射光の量が所定の値に達するまでの時間の平均値
およびばらつき度合に応じて、少なくとも通電電流値ま
たは通電時間のいずれか一方の補正を行う。
【0031】又、この発明の請求項8における接合方法
は、所定の打点数間における接合部近傍に配設された部
材に照射された光ビームの反射光の量が所定の値に達す
るまでの時間の平均値およびばらつき度合に応じて、少
なくとも通電電流値または通電時間のいずれか一方の補
正を行う。
【0032】又、この発明の請求項9における接合方法
は、両電極間の最大抵抗値が予め設定された第1の基準
値を越え、且つ次の打点以降の最大抵抗値が予め設定さ
れた第2の基準値を越えた場合に以降の接合加工を停止
する。
【0033】又、この発明の請求項10における接合方
法は、第1の基準値および第2の基準値を同値とするこ
とにより、両判断回路に互換性を持たせることができ
る。
【0034】又、この発明の請求項11における接合方
法は、被接合部材の当接面より電極の当接面の方が面積
を大にすることにより、接合加工の進行に伴う電極表面
の被接合部材へのなじみを積極的に引き起こし、通電路
の拡大を図って接合品質の向上を達成する。
【0035】又、この発明の請求項12における接合方
法は、電極を被接合部材より電気抵抗率の大きな材料で
形成することにより、接合加工の進行に伴う電極表面の
被接合部材へのなじみを積極的に引き起こし、通電路の
拡大を図って接合品質の向上を達成し、電極変形による
電極内部での抵抗値の変化を明確にとらえて測定を容易
にする。
【0036】又、この発明の請求項13における接合方
法は、両被接合部材間に介在される被接合部材よりも低
い融点を有する導電性部材を溶融させて接合することに
より、被接合部材の過度の発熱・変形を抑制し電極間の
抵抗値の変化過程を精度よく検出する。
【0037】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例を図について説明す
る。図1はこの発明の実施例1における接合方法を適用
した接合装置の構成を示すブロック図、図2は接合打点
の増加に伴う電極間抵抗値の変化および、電極間抵抗値
の200打点毎の平均値、偏差値をそれぞれ示す曲線
図、図3は被接合部材間にそれよりも融点の低いろう材
を挟んで接合加工した場合の通電時間中における電極間
抵抗の変化を示す曲線図、図4は図2に示す電極間抵抗
値の平均値および偏差値に応じて通電電流値および通電
時間を変更、または、接合加工を中止して電極交換時期
を判定するための基準テーブルの一例を示す図である。
【0038】図において、11、12は一対の被接合部
材、13、14はこれら両被接合部材11、12を所定
の圧力で挟持する一対の電極、15は両電極13、14
間の電圧を検出する電圧検出部、16はトロイダルコイ
ル17を介して、両電極13、14間に流れる電流を検
出する電流検出部、18はこれら電圧検出部15および
電流検出部16によって検出された電圧値、電流値か
ら、両電極13、14間の抵抗値を順次演算する抵抗演
算回路、19は打点毎に通電開始から所定時間後の各抵
抗値を記憶、保持する記憶保持回路、20はこの記憶保
持回路19に保持される抵抗値の所定の打点数間の平均
値を算出する平均値算出回路である。
【0039】21は記憶保持回路19に保持される抵抗
値の所定の打点数間のばらつき度、例えば一般的な標準
偏差を算出する標準偏差算出回路、22は予め基準の平
均値および標準偏差値を設定して収納する基準設定回
路、23はこの基準設定回路22に収納される基準の平
均値と、平均値算出回路20で算出される平均値とを比
較する第1の比較演算回路、24は基準設定回路22に
収納される基準の標準偏差値と、標準偏差算出回路21
で算出される標準偏差値とを比較する第2の比較演算回
路、25は両比較演算回路23、24の比較結果に応じ
て電流値および通電時間を、通電制御部26を介して変
更、補正する通電条件演算回路である。
【0040】今、接合打点の増加に伴う電極13、14
間の抵抗値の推移を実験的に測定し、200打点毎の平
均値および標準偏差値を求めると図2に示すようにな
る。図から明らかなように各電極13、14と被接合部
材11、12との当接状態は、電極交換直後の初期領域
dにおいては電極13、14の変形が過渡的に変化して
いくため、被接合部材11、12の位置によってばらつ
きが生じる。
【0041】その後、接合加工が進行するにつれて電極
13、14の表面が被接合部材11、12になじむよう
な形状に変形するため、電極13、14間の抵抗値は小
さくなる傾向を示し、ばらつき度合、すなわち標準偏差
値についても、初期領域dに比べて小さくなり、加工の
安定領域eにはいる。そして、この状態が続くと電極1
3、14のなじみ変形によって通電路が拡大し、電流値
が一定に制御されている場合には、抵抗の減少に伴って
発熱が不足し接合品質に影響を及ぼすことになる。
【0042】さらに、接合加工を続行すると、電極1
3、14の表面の過度の変形が、被接合部材11、12
の位置ばらつきを自立的に補正できる限界を逸脱する
か、爆飛、凝着の発生によって電極13、14の表面の
形状が突発的に劣化して、当接状態のばらつき度合が増
大する不安定領域fに突入する。この不安定領域fでは
発熱状態のばらつきを誘発し、接合加工の継続が困難に
なる。
【0043】又、被接合部材11、12間にそれよりも
融点の低いろう材を挟んでろう付けをした場合の通電時
間中における電極13、14間の抵抗値は、図3に示す
ように通電開始後5〜10サイクル程度の初期は接触抵
抗の低下により減少し、以降は固有抵抗の増加、または
ろう材溶融時の抵抗変化も少なく安定するため、通電開
始後10サイクル以降の早い時期で抵抗値を算出するよ
うにすれば、安定して正確な値を得ることができる。
【0044】したがって、上記のように構成された実施
例1における接合装置では、まず、電圧検出部15によ
って両電極13、14間の電圧を、また、電流検出部1
6によって両電極13、14間の通電電流をそれぞれ検
出する。そして、これら検出された電圧値および電流値
に基づいて、抵抗演算回路18では両電極13、14間
の抵抗値が順次演算される。次いで、記憶保持回路19
で打点毎に通電開始から所定時間後の各抵抗値、例え
ば、図15に示す最小抵抗値をそれぞれ記憶、保持す
る。この場合、最小抵抗値は初期の接触状態の変化に影
響されず、電極13、14と被接合部材11、12との
当接状態を反映した値なので、正確な値の把握が可能と
なる。
【0045】続いて、記憶保持回路19に記憶された各
抵抗値から、平均値算出回路20では所定の打点数間の
平均値が、また、標準偏差値算出回路21では所定の打
点数間のばらつき度、例えば一般的な標準偏差値がそれ
ぞれ算出される。そして、これら算出された平均値およ
び標準偏差値は、それぞれ第1および第2の比較演算回
路23、24により、基準設定回路22に予め設定して
収納される基準の平均値および基準の標準偏差値と比較
演算され、比較演算された結果に応じて通電条件演算回
路25により通電電流値および通電時間、すなわち通電
条件が演算され、この通電条件により通電制御部26で
具体的な制御が行われる。
【0046】次に、通電条件の決定ならびにこの通電条
件に基づく具体的な制御方法についてもう少し詳しく説
明する。図2に示すように、まず初期領域dにおいて
は、標準偏差値および平均値が共に大きいため、通電電
流値を抑え通電時間を長くすることにより、局部的な過
度の入熱を抑えながら概ね均熱を図る。そして、電極1
3、14と被接合部材11、12のなじみが進行し、標
準偏差値および平均値は徐々に減少するため、これに伴
って通電電流値を増大させるとともに、過度の入熱を抑
えるために通電時間を短くして行く。
【0047】次いで、安定領域eでは平均値の低下にし
たがって通電電流値を増大させて発熱不足を補償する。
そして、不安定領域fではばらつき度合、すなわち標準
偏差値の増大に伴って再び通電電流値を下げるとともに
通電時間を長くする。さらに、標準偏差値が予め設定し
た値を越えると、電極13、14の消耗が過度と判定し
て接合加工を中止し、電極13、14の交換を行う。
【0048】このように通電条件は電極13、14間の
抵抗値の平均値および標準偏差値によって決めることが
できるのは明らかであり、図4に示した基準テーブルの
ように実際に実験的な加工を行うことで、定量的に数値
を決定することができ、又、基準テーブルの条件数も電
極13、14や被接合部材11、12の構成といった接
合加工の形態によって実験的に決定することができる。
【0049】例えば、電極間抵抗の平均値Rおよび標準
偏差値σから、下記式(1)、(2)に基づいて次打点
の適正な通電電流値Ioptおよび通電時間toptを求める
ことができる。 Iopt=k1(Ri−R)+k2(σi−σ)+Iref・・・・・(1) topt=k3(Ri−R)+k4(σi−σ)+tref・・・・・(2) ここで、Iref、trefは予め実験的に求められる基準と
なる通電電流値および通電時間、k1〜k4はそれぞれ実
験的に求めることができる係数、Riおよびσiは実験的
に求められる基準となる電極間抵抗の平均値および標準
偏差値である。したがって、通電条件演算回路25では
上記式(1)、(2)に基づいて基準テーブルを設定
し、この基準テーブルに従って通電条件の変更を行う。
【0050】電極間抵抗の平均値Rおよび標準偏差値σ
の算出に用いられる所定の打点数についても接合加工の
形態によって異なり、数十点ないし数百点から実験的に
検証を行って決定するのが簡便且つ有効である。また、
この平均値Rおよび標準偏差値σは現在打点している直
前の所定の打点数での値であり、次の打点時には更新さ
れて最も古い打点数での値は除外される。
【0051】このように上記実施例1によれば、所定の
打点数間における電極間抵抗値の平均値および標準偏差
値を算出し、この算出値に応じて通電電流値および通電
時間の補正を行うとともに、標準偏差値が所定の値に達
したら接合加工を停止するようにしたので、接合品質の
向上を図ることができ、また、電極間抵抗値は打点毎の
最小値を測定するようにしたので、正確な値の把握が可
能になる。
【0052】実施例2.尚、上記実施例1では、算出さ
れた電極間抵抗値の平均値および標準偏差値に応じて、
通電電流値および通電時間の補正を行う場合について説
明したが、適宜通電電流値および通電時間のうちのいず
れか一方を補正するようにしても良く、上記実施例1の
場合と同様の効果を得ることができる。
【0053】実施例3.図5はこの発明の実施例3にお
ける接合方法を適用した接合装置の構成を示すブロック
図である。図において、上記実施例1におけると同様な
部分は同一符号を付して説明を省略する。27は所定の
接合状態に達した時間、例えば抵抗演算回路18で演算
される電極間抵抗が、最大値に達するまでの時間を打点
毎に演算する加工時間演算回路、28はこの加工時間演
算回路27で演算された各時間を記憶、保持する記憶保
持回路、29、30はこの記憶保持回路28に保持され
た時間の所定の打点数間の平均値および標準偏差値をそ
れぞれ算出する平均値算出回路および標準偏差値算出回
路である。
【0054】31は予め基準の平均値および標準偏差値
を設定して格納する基準設定回路、32はこの基準設定
回路31に収納される基準の平均値と、平均値算出回路
29で算出される平均値とを比較する第1の比較演算回
路、33は基準設定回路31に収納される基準の標準偏
差値と、標準偏差値算出回路30で算出される標準偏差
値とを比較する第2の比較演算回路、34は両比較演算
回路32、33の比較結果に応じて通電電流値および通
電時間を、通電制御部26を介して変更、補正する通電
条件演算回路である。
【0055】上記のように構成された実施例3における
接合装置においては、加工時間演算回路27により、抵
抗演算回路18で演算される電極間抵抗が、最大値に達
するまでの時間を打点毎に演算し、この演算された時間
の所定の打点数間における平均値および標準偏差値を平
均値算出回路29および標準偏差値算出回路30で算出
し、この算出値に応じて通電条件演算回路34により通
電電流値および通電時間の補正を行うとともに、標準偏
差値が所定の値に達したら接合加工を停止する。
【0056】このように上記実施例3によれば、所定の
打点数間における電極間抵抗が最大値に達するまでの時
間の平均値および標準偏差値に応じて、通電電流値およ
び通電時間の補正を行うようにしているので、電極消耗
という経時的な変還に伴う接合品質変化過程、特には接
合不足移行過程あるいは過剰な電極消耗時の電極診断を
行うことが可能になり、接合品質をより向上させること
ができる。
【0057】実施例4.図6はこの発明の実施例4にお
ける接合方法を適用した接合装置の構成を示すブロック
図、図7は図6における受光器の受光量の変化を示す曲
線図である。図において、上記各実施例におけると同様
な部分は同一符号を付して説明を省略する。35は両被
接合部材11、12間に挟持され、両被接合部材11、
12より低い融点を有するろう材、36は光ビーム源、
37はこの光ビーム源36と対向して配設される受光
器、38は光ビーム源36からろう材が溶融排出される
箇所に照射される光ビームで、照射位置からそれぞれ異
なる方向に反射光38a、38bが反射される。
【0058】39は受光器37で検出される受光量を電
圧に変換する光電変換回路、40はこの光電変換回路3
9で変換された電圧変換値を、例えば図7に示すように
予め設定された閾値Vthと比較して、これを越えるとろ
う材35の排出を検出する比較演算回路、41はこの比
較演算回路40で検出されるろう材35が排出されるま
での時間を、打点毎に演算する加工時間演算回路、42
はこの加工時間演算回路41で演算された各時間を記
憶、保持する記憶保持回路、43、44はこの記憶保持
回路42に保持された時間の所定の打点数間の平均値お
よび標準偏差値をそれぞれ算出する平均値算出回路およ
び標準偏差値算出回路である。
【0059】45は予め基準の平均値および標準偏差値
を設定して格納する基準設定回路、46はこの基準設定
回路45に収納される基準の平均値と、平均値算出回路
43で算出される平均値とを比較する第1の比較演算回
路、47は基準設定回路45に収納される基準の標準偏
差値と、標準偏差値算出回路44で算出される標準偏差
値とを比較する第2の比較演算回路、48は両比較演算
回路46、47の比較結果に応じて通電電流値および通
電時間を、通電制御部26を介して変更、補正する通電
条件演算回路である。
【0060】上記のように構成された実施例4における
接合装置は、被接合部材11、12間にろう材35を挟
持しこれを溶融することにより接合するろう付け加工に
おいて、まず、温度上昇に伴ってろう材35が溶融し被
接合部材11、12間から排出される位置に、光ビーム
源36から光ビーム38を照射し、その反射光38aを
受光器37によって検出する。この時、受光器37で検
出される受光量は、ろう材35の排出具合に伴って反射
光38aの一部が異なる方向に反射光38bとして反射
されるため変化し、図7に示すようにg〜hからiとい
うように減少する。
【0061】このため、例えば比較演算回路40によっ
て閾値Vthと光電変換回路39で得られる電圧変換値と
を比較することにより、ろう材35の排出をとらえるこ
とができる。この際、例えば通電開始から上記比較によ
ってろう材35の排出を検出するまでの時間は、接合加
工中における発熱状態、すなわち電極消耗状態に大きく
依存する。時間が長い場合には発熱が小さく、時間が短
い場合には発熱が大きいことを示す。したがって、打点
毎に閾値Vthに達するまでの時間を加工時間記憶保持回
路41によって演算し、これら演算によって得られた各
時間は記憶保持回路42に記憶、保持される。
【0062】以下、このようにして記憶、保持された各
時間から、平均値算出回路43および標準偏差値算出回
路44によって、所定の打点数間における平均値および
標準偏差値が算出され、これら平均値および標準偏差値
はそれぞれ第1および第2の比較演算回路46によっ
て、基準設定回路45に収納された各基準の平均値およ
び標準偏差値と比較演算され、この比較演算された結果
に応じて通電条件演算回路48により通電電流値および
通電時間、すなわち通電条件が演算され通電制御部26
を介して制御が行われる。
【0063】このように上記実施例4によれば、所定の
打点数間におけるろう材35が検出されるまでの時間の
平均値および標準偏差値に応じて、通電電流値および通
電時間の補正を行うようにしているので、接合加工、す
なわち、ろう付け加工の進行状態、すなわち品質の程度
を直接的且つ定量的にとらえることが可能になり、接合
品質をより向上させることができる。
【0064】実施例5.尚、上記実施例4では、被接合
部材11、12間に介装されるろう材35の排出を、光
ビーム38の反射光38aの光量変化により検出して、
接合状態を判別する場合について説明したが、例えば、
電極13、14の側面13、14等のような接合部の近
傍に、被接合部材11、12よりも低い融点を有する部
材を配設し、この部材の表面に光ビームを照射し、この
部材の溶融による反射光の光量の変化により、接合状態
を判別するようにしても良く、上記実施例4の場合と同
様の効果を発揮し得ることは勿論のこと、溶融状態の把
握が確実になる分、接合品質をさらに向上させることが
できる。
【0065】実施例6.図8はこの発明の実施例6にお
ける接合方法を適用した接合装置の構成を示すブロック
図、図9は図8における基準設定回路によって設定され
た基準テーブルの一例を示す図、図10は通電条件を説
明するための図である。図において、上記各実施例にお
けると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0066】49は例えば図9に示すような基準テーブ
ルを予め設定して格納する基準値設定回路、50は加工
時間演算回路27で演算された打点毎の電極間抵抗が最
大値に達するまでの時間と、基準値設定回路49で予め
設定された基準テーブルの内容とを比較演算する比較演
算回路、51はこの比較演算回路50で比較演算された
結果に応じて、通電条件演算回路25で演算された通電
電流値を、通電制御部26を介して再び変更、補正する
通電量再設定回路である。
【0067】上記のように構成された実施例6における
接合装置においては、まず、実施例1の場合と同様に、
抵抗演算回路18、記憶保持回路19、平均値算出回路
20、標準偏差値算出回路21、基準設定回路22、第
1および第2の比較演算回路23、24および通電条件
演算回路25によって、通電電流値および通電時間とい
った通電条件が随時設定される。次いで、実施例3の場
合と同様に、加工時間演算回路27により、抵抗演算回
路18で演算される電極間抵抗が、最大値に達するまで
の時間が打点毎に演算される。
【0068】このようにして演算された時間tは、比較
演算回路50により基準値設定回路49で図9に示すよ
うに予め設定された基準テーブルと比較される。例えば
時間tがt1以上の場合には外乱の影響がなく、適正な
接合加工が行われたと判断して、予め設定された通電電
流値I0、通電時間t0の通電条件で加工を行う。次に
t<t1の場合には過大発熱であると判断して、検出時
間の長さに従って時間が短くなる(t1>t2>t3>
t4)ほど、図10に示すように検出時間後の通電電流
値を小さく両設定(I0>I1>I2>I3)して、発
熱過大を抑制し均熱を確保する。
【0069】そして、例えば実施例4において既に説明
したような、被接合部材11、12間にろう材35を挟
んで通電し、ろう材35を溶融させて接合加工を行うろ
う付け加工の場合には、特にろう材35の位置のばらつ
きによって通電路の形成に偏りが生じるだけでなく、ろ
う材35が中心より片側に偏っている場合には、適正な
通電条件で接合加工を行ってもろう材35の拡がりに偏
りが生じ、ろう材35の排出は不均一になって、未ろう
付部の発生、過剰排出といった不具合が生じる場合があ
る。
【0070】この不具合を観察すると、検出時間が短い
場合に多く発生しており、また、検出時間が短い場合に
は過度の変形をきたし、製品としての要求形状精度を満
足していないことが判った。したがって、上記実施例6
で説明したような方法を用いることにより、電極消耗に
起因しない通電路形成のばらつき、および表面状態等に
起因する電極間抵抗値のばらつき分を補償することがで
きるとともに、外乱の影響を小さく抑えることができる
ので、上記各実施例と比較しても著しく接合品質を向上
させることができる。
【0071】実施例7.図11はこの発明の実施例7に
おける接合方法を適用した接合装置の構成を示すブロッ
ク図、図12は被接合部材間にそれよりも融点の低いろ
う材を挟んで接合加工した場合の通電時間中における電
極間抵抗の変化を示す曲線図である。図において、上記
各実施例におけると同様な部分は同一符号を付して説明
を省略する。
【0072】52は図示はしないが図1に示す抵抗演算
回路18、記憶保持回路19、平均値算出回路20、標
準偏差値算出回路21、基準設定回路22、第1および
第2の比較演算回路23、24および通電条件演算回路
25で構成される通電条件設定回路、53は抵抗演算回
路18で演算される両電極13、14間の抵抗から、打
点毎に通電開始から所定時間以後の最大抵抗値を算出す
る最大値算出回路、54は予め第1の基準値としての図
12中Rth1で示す閾値および第2の基準値としてR
th2で示す閾値をそれぞれ設定して格納する閾値設定
回路である。
【0073】55は最大値算出回路53で算出される最
大抵抗値と、閾値設定回路54に予め設定されている閾
値Rth1とを比較するとともに、次の打点以降の最大
抵抗値と閾値Rth2と比較して、いずれ一つの最大抵
抗値が閾値Rth1を越え、且つ次の打点以降の最大抵
抗値が閾値Rth2を越えると出力する比較演算回路、
56は比較演算回路55の出力により接合加工の中止を
表示する例えばLED、CRT等でなる表示部、57は
比較演算回路55の出力により通電制御部26に中止信
号を送出して接合加工を中止する中止信号出力回路であ
る。
【0074】上記のように構成された実施例7における
接合装置においては、まず、通電条件設定回路52によ
って通電電流値および通電時間等の通電条件が随時設定
される。一方、最大値算出回路53において、抵抗演算
回路18で演算される電極間抵抗から、打点毎に通電開
始から所定時以後の最大抵抗値が算出される。
【0075】次いで、比較演算回路55において、上記
のようにして算出された最大抵抗値と閾値設定回路54
に予め設定されている閾値Rth1とが比較され、最大
抵抗値が閾値Rth1を越えると、その打点以降の打点
毎の最大抵抗値と閾値Rth2とが比較されて、最大抵
抗値が閾値Rth2を越えると信号が送出される。そし
て、比較演算回路55からの信号により表示部56では
接合加工の中止が表示され、又、中止信号出力回路57
からは通電制御部26に中止信号が送出され接合加工は
中止される。
【0076】そして、例えば実施例4において既に説明
したような、被接合部材11、12間にろう材35を挟
んで通電し、ろう材35を溶融させて接合加工を行うろ
う付け加工の場合、電極間抵抗値は図12(A)中破線
で示すように、初期抵抗分が通電初期で減少し、その後
電極13、14、被接合部材11、12の固有抵抗分で
わずかに抵抗が増加するものの、良好な加工時にはほと
んど抵抗値は一定となる。一方、例えば被接合部材1
1、12の位置が大きくくずれたり、あるいは電極1
3、14の表面の突起状の消耗部に被接合部材11、1
2が当接するような時には、局部的に過剰発熱となって
爆飛が発生する。この場合の電極間抵抗値は図12
(A)中実線で示すように最大値Rmax(n)を有する。し
たがって、この最大値Rmax(n)と閾値Rth1とを比較
演算回路55で比較することにより、爆飛を検出するこ
とができる。
【0077】なお、爆飛が生じると、電極13、14お
よび被接合部材11、12の一部が欠けることになる
が、欠けた状態、すなわち電極13、14の表面形状の
変化具合によっては、この後も連続して接合加工を続行
することが可能である。このことは爆飛発生以後の打点
での電極間抵抗の変化によって判断することができる。
すなわち図12(B)に示すように、打点毎の最大抵抗
値を閾値Rth2と比較し、最大抵抗値が閾値Rth2
を越えると、局部的な片当り状態が発生しているか、も
しくは爆飛発生のおそれがあると判断し接合加工を中止
することができる。
【0078】このように上記実施例7によれば、電極間
抵抗の最大値と閾値Rth1とを比較することにより、
突発的な爆飛現象の発生を推定し、さらに、爆飛現象発
生以後の電極間抵抗の最大値と閾値Rth2とを比較す
ることにより、加工続行の可否を判断するようにしてい
るので、不要な電極交換をなくして電極寿命の向上を図
るとともに、電極交換に要する作業時間の削減を図るこ
とができる。
【0079】実施例8.尚、上記実施例7では、各閾値
Rth1、Rth2をそれぞれ異なる値に設定した場合
について説明したが、適宜同一の値としても良く、上記
実施例7の場合と同様の効果を得ることは勿論のこと、
両判断回路に互換性を持たせることができ回路的に簡略
化される。
【0080】実施例9.図13はこの発明の実施例9に
おける接合方法の概念を説明するための斜視図である。
今、電極13、14と被接合部材11、12が図に示す
ような構成となっている場合、電極13、14の表面に
は高温による軟化がサイクル的に生じるため、被接合部
材11、12と当接する位置に電極変形、すなわち窪み
部13a、14aが発生し、この窪み部13a、14a
がなじみを積極的に引き起こして、接合加工の進行に伴
い通電路が拡大される。そして、この現象は電極13、
14の方が被接合部11、12より当接面の面積が大き
い場合に顕著に現れる。
【0081】このように上記実施例9によれば、電極1
3、14の方が被接合部材11、12より当接面の面積
を大きくしたので、窪み部13a、14aによるなじみ
をより積極的に引き起こして通電路の拡大を図ることが
でき、品質の安定した接合加工を可能にする。
【0082】実施例10.尚、電極13、14に接合部
材11、12より電気抵抗率が大きい材料を用いると、
電極13、14の内部の主として被接合部材11、12
との当接面近傍での抵抗発熱が大きくなるため、電極1
3、14の当接面の軟化および変形に寄与する熱が多く
なり、例えば図13に示した窪み部13a、14aの形
成が促進されて、通電路の拡大が顕著となる。さらに、
電気抵抗率が大きいため、電極変形による電極内部での
抵抗値の変化を明確にとらえることができる。
【0083】例えば、銀系もしくは銅系あるいは鉄系の
材料の接合加工においては、電極13、14の材料とし
てモリブデン、タングステン、銅タングステン合金、銀
タングステン合金、クロム銅合金等を用いることが好ま
しく、特に被接合部材11、12が銀系の接点材料と銅
系の台座による構成である場合には、上記のような材料
を用いるとより好ましい。
【0084】実施例11.図14はこの発明の実施例1
1における接合方法を適用した接合装置の構成を示すブ
ロック図である。図において、上記各実施例におけると
同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。58は
図1に示す抵抗演算回路18、記憶保持回路19、平均
値算出回路20、標準偏差値算出回路21、基準設定回
路22、第1および第2の比較演算回路23、24、通
電条件演算回路25で構成される第1の通電条件設定回
路、59は図6に示す光電変換回路39、比較演算回路
40、加工時間演算回路41、基準値設定回路45、第
1および第2の比較演算回路46、47、通電条件演算
回路48で構成される第1の通電条件演算回路、60は
図11に示す最大値算出回路53、閾値設定回路54、
比較演算回路55、表示部56、中止信号出力回路57
で構成される通電中止信号出力回路である。
【0085】上記のように構成された実施例11におけ
る接合装置において、例えば4×6×2mmの銀系接点
材料、3×50×6mmの銅の台座を被接合部材11、
12として、その間に板状または予め接点材料の台座当
接面側に固着した銀ろうまたはりん銅ろうを挟み、被接
合部材11、12との当接面が10×10mmの銀−タ
ングステン合金電極および銅−タングステン合金電極1
3、14の構成により通電しろう付け加工を行った。こ
の際、被接合部材11、12の電極13、14との当接
面は、接点側が4×6mm、台座側が3×8mmとなる
ようにした。
【0086】そして、第1の通電条件設定回路58によ
って、所定の打点数間における電極間抵抗値の平均値お
よび標準偏差値を算出し、この算出値に応じて通電電流
値および通電時間の補正を行うとともに、第2の通電条
件設定回路59によって、所定の打点数間におけるろう
材35が検出されるまでの時間の平均値および標準偏差
値に応じて、通電電流値および通電時間の補正を行うよ
うにし、さらに、突発的な電極消耗という異常を検出す
るために、通電中止信号出力回路60によって、電極間
抵抗の最大値と閾値Rth1とを比較することにより、
突発的な爆飛現象の発生を推定し、さらに、爆飛現象発
生以後の電極間抵抗の最大値と閾値Rth2とを比較す
ることにより、加工続行の可否を判断するようにした。
なお、所定の打点数としては、数十点ないし数百点の打
点数での値を用いることが好ましく、さらには数十点な
いし100点、さらには50点ないし100点の打点数
での値を用いることがより好ましい。
【0087】このように上記実施例11によれば、被接
合部材11、12間にこれより融点の低いろう材35を
挟み、このろう材35を溶融させてろう付け加工を行う
ようにしているので、被接合部材11、12自身が過度
の入熱によって変形し、溶融するものではないため、電
極13、14に当接する面の形状が著しく変形すること
がなく、また、固有抵抗の変動分が少なく、電極表面変
形に伴う電極間抵抗値の変化過程を精度良く検出するこ
とができる。
【0088】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項1によ
れば、一対の被接合部材を一対の電極により所定の圧力
で挟持して被接合部材に電流を流し抵抗発熱によって被
接合部材同士を接合する接合方法において、打点毎に通
電開始から所定時間後の両電極間の抵抗値を順次測定す
るとともに打点の回数が所定の打点数に達した時点で所
定の打点数間における抵抗値の平均値およびばらつき度
合を算出しこれら算出値に応じて少なくとも通電電流値
または通電時間のいずれか一方の補正を行うようにした
ので、接合品質の向上ならびに安定化が可能な接合方法
を提供することができる。
【0089】又、この発明の請求項2によれば、請求項
1において、抵抗値を打点毎の最小値としたので、正確
な値の把握が容易となり、接合品質の向上ならびに安定
化が可能な接合方法を提供することができる。
【0090】又、この発明の請求項3によれば、一対の
被接合部材を一対の電極により所定の圧力で挟持して被
接合部材に電流を流し抵抗発熱によって被接合部材同士
を接合する接合方法において、打点毎に接合の状態を検
出して状態が所定の状態に達するまでの時間を順次測定
するとともに打点の回数が所定の打点数に達した時点で
所定の打点数間における時間の平均値およびばらつき度
合を算出しこれら算出値に応じて少なくとも通電電流値
または通電時間のいずれか一方の補正を行うようにした
ので、電極消耗時の電極診断ができるようになり、接合
品質の向上ならびに安定化がさらに可能な接合方法を提
供することができる。
【0091】又、この発明の請求項4によれば、一対の
被接合部材を一対の電極により所定の圧力で挟持して被
接合部材に電流を流し抵抗発熱によって被接合部材同士
を接合する接合方法において、打点毎に通電開始から所
定時間後の両電極間の抵抗値を順次測定するとともに打
点の回数が所定の打点数に達した時点で所定の打点数間
における抵抗値の平均値およびばらつき度合を算出しこ
れら算出値に応じて少なくとも通電電流値または通電時
間のいずれか一方の補正を行い、さらに、打点毎に接合
の状態を検出して状態が所定の状態に達するまでの時間
を順次測定するとともに打点の回数が所定の打点数に達
した時点で所定の打点数間における時間の平均値および
ばらつき度合を算出しこれら算出値に応じて補正された
通電電流値または通電時間の補正を再び行うようにした
ので、電極間抵抗値のばらつき分を補償することができ
るとともに、外乱の影響を抑制することができ、接合品
質の一層の向上ならびに安定化が可能な接合方法を提供
することができる。
【0092】又、この発明の請求項5によれば、請求項
1、3、4のいずれかにおいて、ばらつき度合が所定の
値に達したら接合加工を停止するようにしたので、接合
品質の向上ならびに安定化が可能な接合方法を提供する
ことができる。
【0093】又、この発明の請求項6によれば、請求項
3または4において、両電極間の抵抗値が最大値に達し
た時点を所定の状態としたので、電極消耗時の電極診断
ができるようになり、接合品質の一層の向上ならびに安
定化が可能な接合方法を提供することができる。
【0094】又、この発明の請求項7によれば、請求項
3または4において、接合部に光ビームを照射するとと
もに接合部で反射される反射光の量が所定の値に達した
時点を所定の状態としたので、接合加工の進行状態をと
らえることができ、接合品質をより向上ならびに安定化
することが可能な接合方法を提供することができる。
【0095】又、この発明の請求項8によれば、請求項
3または4において、接合部近傍に被接合部材よりも低
い融点を有する部材を配設し部材の表面に光ビームを照
射するとともに部材の表面で反射される反射光の量が所
定の値に達した時点を所定の状態としたので、溶融状態
の把握が確実となり、接合品質をより向上ならびに安定
化させることが可能な接合方法を提供することができ
る。
【0096】又、この発明の請求項9によれば、一対の
被接合部材を一対の電極により所定の圧力で挟持して被
接合部材に電流を流し抵抗発熱によって被接合部材同士
を接合する接合方法において、打点毎に通電開始から所
定時間後の両電極間の最大抵抗値を順次測定して最大抵
抗値が予め設定された第1の基準値を越え、且つ次の打
点以降の最大抵抗値が予め設定された第2の基準値を越
えた場合に以降の接合加工を停止するようにしたので、
接合品質の向上ならびに安定化は勿論のこと、電極寿命
の向上ならびに電極交換作業時間の削減を図ることが可
能な接合方法を提供することができる。
【0097】又、この発明の請求項10によれば、請求
項9において、第1および第2の基準値を同値としたの
で、接合品質の向上ならびに安定化は勿論のこと、判断
回路の簡略化が可能な接合方法を提供することができ
る。
【0098】又、この発明の請求項11によれば、請求
項1ないし10のいずれかにおいて、被接合部材と電極
とがそれぞれ当接する各当接面の面積を、電極の方がそ
れぞれ大に形成するようにしたので、通電路の拡大を図
ることができ、接合品質の向上ならびに安定化が可能な
接合方法を提供することができる。
【0099】又、この発明の請求項12によれば、請求
項1ないし10のいずれかにおいて、電極を被接合部材
より電気抵抗率の大きな材料で形成するようにしたの
で、通電路の拡大を図るとともに電極内部での抵抗値の
変化を明確にとらえることができ、接合品質の向上なら
びに安定化が可能な接合方法を提供することができる。
【0100】又、この発明の請求項13によれば、請求
項1ないし10のいずれかにおいて、両被接合部材間に
被接合部材よりも低い融点を有する導電性の部材を介在
させ部材を溶融させることにより被接合部材の過度の発
熱・変形を抑制して被接合部材同士を接合するようにし
たので、電極表面変形に伴う電極間抵抗値の変化を精度
良く検出することができ、接合品質の向上ならびに安定
化が可能な接合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1における接合方法を適用
した接合装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 接合打点の増加に伴う電極間抵抗値の変化お
よび、電極間抵抗値の200打点毎の平均値、偏差値を
それぞれ示す曲線図。
【図3】 被接合部材間にそれよりも融点の低いろう材
を挟んで接合加工した場合の通電時間中における電極間
抵抗の変化を示す曲線図である。
【図4】 図2に示す電極間抵抗値の平均値および偏差
値に応じて通電電流値および通電時間を変更、または、
接合加工を中止して電極交換時期を判定するための基準
テーブルの一例を示す図である。
【図5】 この発明の実施例3における接合方法を適用
した接合装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 この発明の実施例4における接合方法を適用
した接合装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 図6における受光器の受光量の変化を示す曲
線図である。
【図8】 この発明の実施例6における接合方法を適用
した接合装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 図8における基準設定回路によって設定され
た基準テーブルの一例を示す図である。
【図10】 通電条件を説明するための図である。
【図11】 この発明の実施例7における接合方法を適
用した接合装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 被接合部材間にそれよりも融点の低いろう
材を挟んで接合加工した場合の通電時間中における電極
間抵抗の変化を示す曲線図である。
【図13】 この発明の実施例9における接合方法の概
念を説明するための斜視図である。
【図14】 この発明の実施例11における接合方法を
適用した接合装置の構成を示すブロック図である。
【図15】 通電時間中における電極間抵抗の変化を示
す曲線図である。
【図16】 従来の接合方法を実施するための装置の構
成を示すブロック図である。
【図17】 接合打点の増加に伴う電極間抵抗の平均値
の変化と、溶接品質を補正するためのいくつかの消耗等
級別に対応する境界値との関連を示す特性図である。
【符号の説明】
11,12 被接合部材、13,14 電極、13a,
14a 窪み部、15 電圧検出部、16 電流検出
部、18 抵抗演算回路、19,28,42 記憶保持
回路、20,29,43 平均値算出回路、21,3
0,44 標準偏差値算出回路、22,31,45,4
9 基準設定回路、23,32,46 第1の比較演算
回路、24,33,47 第2の比較演算回路、25,
34,48 通電条件演算回路、26 通電制御部、2
7,41 加工時間演算回路、35 ろう材、36 光
ビーム源、37 受光器、38 光ビーム、38a,3
8b 反射光、39 光電変換回路、40,50,55
比較演算回路、51 通電量再設定回路、52 通電
条件設定回路、53 最大値算出回路、54 閾値設定
回路、56 表示部、57 中止信号出力回路、58
第1の通電条件設定回路、59 第2の通電条件設定回
路、60 通電中止信号出力回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣澤 隆夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 安藤 裕太郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の被接合部材を一対の電極により所
    定の圧力で挟持して上記被接合部材に電流を流し抵抗発
    熱によって上記被接合部材同士を接合する接合方法にお
    いて、打点毎に通電開始から所定時間後の上記両電極間
    の抵抗値を順次測定するとともに上記打点の回数が所定
    の打点数に達した時点で所定の打点数間における上記抵
    抗値の平均値およびばらつき度合を算出しこれら算出値
    に応じて少なくとも通電電流値または通電時間のいずれ
    か一方の補正を行うことを特徴とする接合方法。
  2. 【請求項2】 抵抗値は打点毎の最小値であることを特
    徴とする請求項1記載の接合方法。
  3. 【請求項3】 一対の被接合部材を一対の電極により所
    定の圧力で挟持して上記被接合部材に電流を流し抵抗発
    熱によって上記被接合部材同士を接合する接合方法にお
    いて、打点毎に上記接合の状態を検出して上記状態が所
    定の状態に達するまでの時間を順次測定するとともに上
    記打点の回数が所定の打点数に達した時点で所定の打点
    数間における上記時間の平均値およびばらつき度合を算
    出しこれら算出値に応じて少なくとも通電電流値または
    通電時間のいずれか一方の補正を行うことを特徴とする
    接合方法。
  4. 【請求項4】 一対の被接合部材を一対の電極により所
    定の圧力で挟持して上記被接合部材に電流を流し抵抗発
    熱によって上記被接合部材同士を接合する接合方法にお
    いて、打点毎に通電開始から所定時間後の上記両電極間
    の抵抗値を順次測定するとともに上記打点の回数が所定
    の打点数に達した時点で所定の打点数間における上記抵
    抗値の平均値およびばらつき度合を算出しこれら算出値
    に応じて少なくとも通電電流値または通電時間のいずれ
    か一方の補正を行い、さらに、打点毎に上記接合の状態
    を検出して上記状態が所定の状態に達するまでの時間を
    順次測定するとともに上記打点の回数が所定の打点数に
    達した時点で所定の打点数間における上記時間の平均値
    およびばらつき度合を算出しこれら算出値に応じて上記
    補正された通電電流値または通電時間の補正を再び行う
    ことを特徴とする接合方法。
  5. 【請求項5】 ばらつき度合が所定の値に達したら接合
    加工を停止することを特徴とする請求項1、3、4のい
    ずれかに記載の接合方法。
  6. 【請求項6】 両電極間の抵抗値が最大値に達した時点
    を所定の状態としたことを特徴とする請求項3または4
    記載の接合方法。
  7. 【請求項7】 接合部に光ビームを照射するとともに上
    記接合部で反射される反射光の量が所定の値に達した時
    点を所定の状態としたことを特徴とする請求項3または
    4記載の接合方法。
  8. 【請求項8】 接合部近傍に被接合部材よりも低い融点
    を有する部材を配設し上記部材の表面に光ビームを照射
    するとともに上記部材の表面で反射される反射光の量が
    所定の値に達した時点を所定の状態としたことを特徴と
    する請求項3または4記載の接合方法。
  9. 【請求項9】 一対の被接合部材を一対の電極により所
    定の圧力で挟持して上記被接合部材に電流を流し抵抗発
    熱によって上記被接合部材同士を接合する接合方法にお
    いて、打点毎に通電開始から所定時間後の上記両電極間
    の最大抵抗値を順次測定して上記最大抵抗値が予め設定
    された第1の基準値を越え、且つ次の打点以降の上記最
    大抵抗値が予め設定された第2の基準値を越えた場合に
    以降の接合加工を停止することを特徴とする接合方法。
  10. 【請求項10】 第1および第2の基準値は同値である
    ことを特徴とする請求項9記載の接合方法。
  11. 【請求項11】 被接合部材と電極とがそれぞれ当接す
    る各当接面の面積は電極の方がそれぞれ大に形成されて
    いることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに
    記載の接合方法。
  12. 【請求項12】 電極は被接合部材より電気抵抗率の大
    きな材料で形成されていることを特徴とする請求項1な
    いし10のいずれかに記載の接合方法。
  13. 【請求項13】 両被接合部材間に上記被接合部材より
    も低い融点を有する導電性の部材を介在させ上記部材を
    溶融させることにより上記被接合部材同士を接合するよ
    うにしたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれ
    かに記載の接合方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013022635A (ja) * 2011-07-25 2013-02-04 Toyota Motor Corp 抵抗溶接の評価方法、抵抗溶接機の制御方法、抵抗溶接機の制御装置、および抵抗溶接機
CN115315335A (zh) * 2020-02-21 2022-11-08 株式会社欧利生 接合装置以及已接合部件的制造方法

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