JP5743081B2 - ホットワイヤ溶接の加熱制御方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明はホットワイヤ溶接に係わり、特にホットワイヤの加熱溶融状態を最適にし、高能率溶接を行うのに好適なホットワイヤ溶接の加熱制御方法および装置に関する。
図7にホットワイヤTIG(Tungsten Inert Gas Arc)溶接法として、従来から一般的に用いられている溶接装置の構成を示す。
TIG溶接トーチ1に取り付けられたタングステン電極2と母材3に直流溶接用のTIG溶接電源4を接続し、アルゴン・シールドガス中でタングステン電極2を負極、母材3を正極とし、アーク5を形成する。溶接用の添加ワイヤ6はワイヤ送給装置7からワイヤリール14、コンジットチューブ8およびそれと連結されたワイヤトーチ15を通ってアーク形成部に導かれて母材3と接触させる。TIG溶接トーチ1とワイヤトーチ15は図示していないが連結部材によって機械的に結合されていて一体になって動く。
ワイヤトーチ15にはワイヤ電流給電部9とセラミックノズル11が配置されていて、ワイヤ電流給電部9と母材3間にワイヤ加熱電源10を接続し、直流または交流電流をワイヤ6に流してジュール発熱させ、それによりワイヤ6の溶融速度を高めている。
添加ワイヤ6はワイヤ電流給電部9と母材3間のエクステンションe部で通電加熱されるが、そこへ印加される電力とワイヤ溶融量とをバランス良くするように制御する必要がある。ホットワイヤTIG溶接において、添加ワイヤ6の先端を溶融池12に接触させるが、その接触界面のごく近くでワイヤ6はすでに完全に溶融していることが、添加ワイヤ6が最適な溶融状態にあるといえる。さらに、最も望ましいのは、添加ワイヤ6が溶融池12に入る直前に完全に溶融していて、溶融した金属が切れることなく連続的に溶け落ちる状態を保つことができることである。但し、ワイヤ6に投入される熱量は、ワイヤ通電による発熱とアーク5(溶融池12からの熱伝導も含める)からの熱量になるため、添加ワイヤ6のアーク5への挿入位置により、アーク5からの熱量が変化し、添加ワイヤ6の溶融状態が変化することになる。
このようにホットワイヤTIG溶接では、添加するワイヤ送給速度とワイヤ6のアーク5への挿入位置に応じて加熱電力を調整することが必要である。加熱電力が不足気味の時には、ワイヤ6が溶融池12から押し出てきたり、母材3に突き当たって、ワイヤトーチ15およびそれと連結されたTIG溶接トーチ1を持ち上げ、その結果、アーク長を非常に長くしてしまうので、溶接が続行できなくなる。また、ワイヤ加熱電力が過少気味のときは、添加ワイヤ6は溶融池12の中に深く入りこんでから溶融池12内からの熱伝達を受けてようやく溶融する状態で溶接が進行することになり、これはあまり好ましい状態ではなく、ワイヤの送給量を増やすことが出来ない。逆に加熱電力が過大の時には、ワイヤ6が頻繁に加熱溶断し、スパッタを発生してタングステン電極2に付着して溶接状態を不安定にし、溶接作業性を著しく損なうことになる。
そこで通常は、ワイヤ6が適正溶融状態、即ちワイヤ6の先端が溶融ないし溶融直前の状態になっていて、かつ常に母材3と接触している状態になるよう作業者が溶接部を監視しながら加熱電流を手動で調整することによって、結果的に加熱電力を調整している。
加熱電力調整については、特開2003−320454号公報に記載されている方法がある。図3(A)に添加ワイヤ6の加熱が最適状態を示す模式図とその時のワイヤ6の温度と電気抵抗率の値とそれぞれ溶融池12から先端までの距離との関係を示すグラフを、図3(B)に添加ワイヤの加熱が過多状態を示す模式図とその時のワイヤ6の温度と電気抵抗率の値とそれぞれ溶融池12からワイヤ6先端までの距離との関係を示すグラフを、図3(C)に添加ワイヤの加熱が不足状態を示す模式図とその時のワイヤ6の温度と電気抵抗率の値とそれぞれ溶融池12から先端までの距離との関係を示すグラフを示す。
添加ワイヤ6を溶融するために投入される熱量QTは、ワイヤ加熱電源10(図7)よりワイヤ電流給電部9と母材3間の添加ワイヤ6に通電されるホットワイヤ電流による加熱量QWとアーク5より加えられる熱量QAの和である。
QT = QW + QA (1)
熱量QTは添加ワイヤ6の材質と送給量により決まる値で、例えば軟鋼の場合は1.27J/gになる。熱量QAは添加ワイヤ6のアーク5と溶融池12への挿入位置により変わる値であり、図3(B)に示すように添加ワイヤ6がタングステン電極2に近い位置でアーク5と溶融池12に挿入された場合はアーク5の端に挿入される場合に比較して増加する。つまり、加熱量QWは熱量QAの変化に合わせて変更する必要がある。また、加熱量QWは添加ワイヤ6に通電される電流Iとエクステンションe部の抵抗値Rにより表される。
QW = I2 × R (2)
そして、エクステンションe部の抵抗値Rはエクステンションe部の長さLと添加ワイヤ6の断面積Sと電気抵抗率ρで表される。
R = ρ × L ÷ S (3)
ここで添加ワイヤ6の断面積Sは一定であり、エクステンションe部の長さLは自動溶接機の場合にはTIG溶接トーチ1とワイヤトーチ15が一体に固定されているため大きな変動はないが、ワイヤ先端の溶融状態により数mm変動する。電気抵抗率ρは温度に依存して変化し、特に鉄の変化率は非常に大きく、例えば温度20℃では9.7μΩ・cm、温度800℃では105.5μΩ・cmに変化する。
また、添加ワイヤ6の材質を軟鋼とすると、添加ワイヤ6の温度は図3(A)に示すようにワイヤ電流給電部9側では外気温であり、溶融池12側では融点近くの1500℃まで通電加熱されているのが理想的である。そして添加ワイヤ6の温度分布に合わせて電気抵抗率ρも同様な分布を示す。電気抵抗率ρをワイヤ電流給電部9から溶融池12まで積分した値が抵抗値Rになるので、抵抗値Rは添加ワイヤ6の温度つまり加熱状態を示すと考えてよい。
図3(C)に示すように、添加ワイヤ6の加熱が不足状態の場合は、添加ワイヤ6の温度は溶融池12側で融点まで上がらず、低い値になる。同様に電気抵抗率ρの分布も図3(A)に比べると下降した状態になり、抵抗値Rも低い値になる。逆に図3(B)に示すように、添加ワイヤ6の加熱が過多状態の場合は、アーク5からの入熱量が多くなる場合で通電加熱量を下げる必要があり、加熱が過多すぎると添加ワイヤ6の先端で溶断現象を起こすことになる。図3(B)では添加ワイヤ6の先端が溶けながら溶融池12に流れ込んでいる状態を示していて、この状態においては正常な溶接を続行することができる。このときの添加ワイヤ6の温度分布は、溶融池12側で高温範囲が少し多くなり、同様に電気抵抗率ρも変化する。但し、添加ワイヤ6が溶断せず溶融池12につながっている状態ならば、ワイヤ電流給電部9とアーク5間の添加ワイヤ6の温度分布は図3(A)の状態に比べて下がっているので、電気抵抗率ρも図3(A)の状態に比べて低くなり、抵抗値Rとしては図3(A)の状態の値に近い値になる。
非特許文献1で、薄板の高速溶接におけるホットワイヤの温度分布が計測されている。溶接条件は以下の通りである。
(a) 供試材料:母材;SUS304、ワイヤ;JIS Z3321 Y308 φ1.4
(b) 溶接条件:溶接電流;250A、アーク長;1mm、溶接速度;3m/min、ワイヤ送給量;6.6m/min
(c) パラメータ:ワイヤ平均電流(94、98、103A)
非特許文献1に開示されたワイヤ電流を変化させた場合のワイヤ温度分布を図4に示す。ワイヤ6の加熱温度分布には適正範囲が存在し、過熱すると溶断するし、加熱不足だとワイヤ6が溶融池の底をつつく現象が発生する。図4に示す過熱範囲と加熱不足範囲の間に在る領域が前記適正範囲である。ワイヤ6の先端側はアーク熱の影響を受けるために適正範囲が狭くなっている。逆にワイヤ電流給電点とワイヤ6の先端の中間では、アーク熱の影響が少なくなりワイヤ電流による抵抗加熱で温度上昇しており、適正範囲は広くなる。
以上より、添加ワイヤ6の抵抗値Rにより該ワイヤ6の加熱状態を判定することができ、特に溶断直前の添加ワイヤ6の抵抗値Rは、該ワイヤ6が溶融池12に溶融しながら流れ込んでいる状態の値であり、ワイヤ6の温度分布が最適になっている状態の値である。この溶断直前の抵抗値Rを目標値にして、測定した抵抗値Rが目標値より低い場合は加熱が不足していて、ワイヤ6の温度分布が最適な状態に比べて低いと判定できるので、添加ワイヤ6の加熱電力を上げる必要があり、逆に測定した抵抗値Rが目標値より高い場合は加熱過多気味になっていると判定できるので、添加ワイヤ6の加熱電力を下げる必要がある。このように添加ワイヤ6の通電抵抗値を測定することにより、添加ワイヤ6の加熱状態を最適な状態に自動制御することが可能になる。
添加ワイヤ6の抵抗値Rの目標値は、作業者が溶接状況を判断して最適な加熱状態の時の抵抗値Rを測定して決める方法がある。
特開2003−320454号公報
篠崎、山本、内田、光畑、永島、金沢、荒新;Development of Ultra-High-Speed GTA Welding Process Using Pulse-Heated Hot-Wire、溶接学会全国大会講演概要、Vol.82、PP.137-138 (2008-4)
図5(A)はワイヤ6を溶融池12の前方から挿入する場合、あるいはワイヤ6を立てて溶融池12に挿入する場合のワイヤ電流と加熱部の抵抗値の関係を示すグラフであり、図5(B)はワイヤ6を溶融池12の後方から挿入する場合、あるいはワイヤ6を寝かせて溶融池12に挿入する場合のワイヤ電流と加熱部の抵抗値の関係を示すグラフである。
ワイヤ6を溶融池12の前方から挿入する場合、あるいはワイヤ6を立てて溶融池12に挿入する場合は、ワイヤ電流を上げると通電部の温度が上がり抵抗値が増加する。ワイヤ電流を更に上げると、ワイヤ6の先端部の温度が融点近くになり溶断する。この場合にワイヤ加熱部の長さLはほぼ一定であり、最適過熱状態となる目標抵抗値(ワイヤ6の先端部の温度が融点近くになるワイヤ加熱部の電気抵抗値)に該当するのはA点になり、測定抵抗値がA点に近づくようにワイヤ電流値を調整すればよい。
これに対して、ワイヤ6を溶融池12の後方から挿入する場合、あるいはワイヤ12を寝かせて溶融池12に挿入する場合、ワイヤ電流を上げると通電部の温度が上がり抵抗値が増加するが、更にワイヤ電流を上げるとワイヤ先端部の温度が融点近くになるところで、ワイヤ6の先端が軟化し、たれてワイヤ6の挿入予定位置よりも後方の溶融池12に挿入し始めるので加熱部の長さLが短くなって抵抗値が図5(B)のピーク値を越えて減少するようになり、更に電流を上げると溶断する。
この場合に最適過熱状態となる目標抵抗値に該当するワイヤ電流値はA点とB点の2点になり、どちらの点で制御するか判定できないことから制御不可能となる。つまり、A点では測定抵抗値が低い場合は電流値を上げる必要があるが、B点では測定抵抗値が低い場合は電流値を下げる必要があり、制御方向が逆になる。加熱部全体の抵抗値を制御対象としてワイヤ加熱状態を制御する場合に、加熱部の長さLが変動してしまうと加熱状態の判定が不可能になり、加熱電力を制御することができない。
また、スタート時におけるワイヤ送給のアップスロープシーケンスにおいては、ワイヤ送給量の増加に合わせてワイヤ電流を上げる必要がある。ワイヤ6の送給量に合わせて溶融池12が形成されるために、エクステンションe部の長さLが短くなる方向で変化し、抵抗値が高めになり加熱が遅れる傾向があった。このため、抵抗の違いによる電流値変更の感度を上げると、ワイヤ6の送給量が定常状態になった時に感度が良過ぎてハンチング現象を起こしてしまうという問題があった。
そこで本発明の課題は、ワイヤ加熱部一定長さの温度分布を一定にすることで、ワイヤ加熱部全体の加熱状態も一定に制御することができるようにしたホットワイヤ溶接の加熱制御方法及び装置を提供することである。
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、母材(3)とワイヤ(6)に電流を供給するワイヤ電流給電部(9)との間の添加ワイヤ(6)に電流を通電し、ワイヤ(6)を抵抗加熱しながら溶接を行うホットワイヤ溶接の加熱制御方法において、ワイヤ電流給電部(9)と溶融池(12)の間のワイヤ加熱部の長さの中間部とワイヤ電流給電部(9)との間の抵抗測定値によりワイヤ(6)の加熱電力を制御することを特徴とするホットワイヤ溶接の加熱制御方法である。
請求項2記載の発明は、予めワイヤ電流給電部(9)と溶融池(12)の間のワイヤ加熱部の長さの中間部とワイヤ電流給電部(9)との間の抵抗目標値を設定しておき、測定した抵抗値が前記設定した目標値になるように、ワイヤの加熱電力を制御することを特徴とする請求項1記載のホットワイヤ溶接の加熱制御方法である。
請求項3記載の発明は、母材(3)とワイヤ(6)に電流を供給するワイヤ電流給電部(9)との間の添加ワイヤにワイヤ加熱電力を供給するワイヤ加熱電源(10)と、該ワイヤ加熱電源(10)から添加ワイヤ(6)に電流を供給する前記ワイヤ電流給電部(9)と母材(3)側のワイヤ先端部を残してワイヤ(6)を被覆するワイヤ(6)の先端側に設けられるセラミックノズル(11)とワイヤ電流給電部(9)と溶融池(12)の間の加熱部の長さの中間部分に位置するセラミックノズル(11)に設けられた切り窓(11a)からセラミックノズル(11)内のワイヤ(6)に接触する電圧測定端子(19)と該電圧測定端子(19)をワイヤ(6)に押し当てる押当機構を有するホットワイヤトーチ(15)と、ワイヤ電流給電部(9)と電圧測定端子(19)間のワイヤ(6)の電圧測定をするワイヤ電圧測定手段(16)と、該ワイヤ電圧測定手段(16)の電圧測定値に基づきワイヤ加熱電源(10)のワイヤ加熱電力を制御するワイヤ加熱制御手段を備えたことを特徴とするホットワイヤ溶接の加熱装置である。
なお、本発明は母材とTIG溶接トーチ間にアークを発生させるアーク溶接法に限らず、レーザ溶接法にも適用できる。
(作用)
本発明によれば、ワイヤ加熱部の一定長さの抵抗値を制御対象とすることにより、ワイヤ電流値に対する目標抵抗値が一点になり、ワイヤ加熱部一定長さの温度分布を一定にすることが出来ることより、ワイヤ加熱部全体の加熱状態も一定に制御することが可能になる。
同様に、スタート時におけるワイヤ6の送給のアップスロープシーケンスにおいても、ワイヤ加熱部一定長さの温度分布を一定にすることが出来ることより、エクステンションeの長さLの変化による影響がなくなり、ワイヤ加熱部全体の加熱状態を一定に制御することができる。
また、図4のワイヤ温度分布よりワイヤ先端の適正条件範囲はアーク熱の影響より狭くなり、エクステンションeの長さLが多少変化した時に、ワイヤ加熱部の抵抗値が適正条件範囲から外れやすい。これに対してワイヤ加熱部一定長さの抵抗値では、適正条件範囲が広くなるため、エクステンションeの長さLが多少変化しても、ワイヤ加熱部一定長さの抵抗値が適正条件範囲から外れることはない。
制御対象とするワイヤ加熱部一定長さの抵抗値は、ワイヤ電流給電部9から先端のワイヤ部分ワイヤ加熱部長さ(L)の中間点M±15%点間の抵抗値とするのがよい。
なお中間点M±15%点の「±15%点」の根拠は、±15%の温度が450℃〜750℃となる範囲、すなわち中間点M(図2参照)は600℃となるようにしたものである。
ワイヤ6の加熱状態が最適な場合に、ワイヤ加熱部(給電部9と溶融池12の間)の中間点Mの温度は約600℃と考えられる。この温度より低いワイヤ電流給電部9側の抵抗値は絶対値が小さく、目標値と測定値の温度差の偏差も小さくなるため制御精度が落ちる。逆にこの温度より高い溶融池12側では高温になるため抵抗値を測定するための電圧測定端子(銅合金)19の摩耗が激しくなる。これより抵抗値を測定するための電圧測定端子19は加熱部の中間点M近傍がよく、セラミックノズル部になるため、セラミックノズルを分割するか、セラミックノズル11に測定のための切込み窓を設けることになる。また、ワイヤ6は高速で送給されているので、抵抗値の測定を確実にするために電圧測定端子19はワイヤ6に加圧して押付ける必要がある。
請求項1,3記載の発明によれば、ワイヤ加熱部の長さLが変動してしまう場合でも、ワイヤ加熱部一定長さの抵抗値で、すなわちワイヤ電流給電部と溶融池の間のワイヤ加熱部の長さの中間部とワイヤ電流給電部との間の抵抗測定値から加熱状態を判定すればワイヤ加熱部全体の加熱状態を判定できるので加熱電力を制御することが可能となる。これより、ホットワイヤ溶接においてワイヤの加熱不足下でのワイヤの突っ張りによるトーチの持ち上げの発生等のトラブルを防ぎ、加熱溶断によるスパッタの発生頻度をより少なくして、適正なワイヤ溶融状態に保つことができ、ワイヤ加熱電流の自動調整を行うことが可能になることにより、ホットワイヤ溶接による高能率化を促進し、溶接欠陥の発生頻度を低下させ、省人化に貢献することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、ワイヤ加熱部一定長さの測定した抵抗値、すなわちワイヤ電流給電部と溶融池の間のワイヤ加熱部の長さの中間部とワイヤ電流給電部との間の抵抗測定値が前記設定した目標抵抗値になるように、ワイヤの加熱電力を制御することによりワイヤの加熱電力の制御が容易に行える。
本発明の実施の形態に係るホットワイヤ溶接装置の制御回路の回路構成図である。 本発明の実施の形態に係るホットワイヤ溶接装置の電圧測定端子をワイヤに押付ける機構の構成図である。 図3(A)はワイヤの加熱が最適状態を示す模式図とその時の添加ワイヤの温度と電気抵抗率のグラフであり、図3(B)はワイヤの加熱が過多状態を示す模式図とその時のワイヤの温度と電気抵抗率のグラフであり、図3(C)はワイヤの加熱が不足状態を示す模式図とその時のワイヤの温度と電気抵抗率のグラフである。 ワイヤ電流値の違いによるワイヤ温度分布のグラフである。 図5(A)はワイヤを溶融池の前方から挿入する場合、あるいはワイヤを立てて溶融池に挿入する場合のワイヤ電流と加熱部の抵抗値の関係を示すグラフであり、図5(B)はワイヤを溶融池の後方から挿入する場合、あるいはワイヤを寝かせて溶融池に挿入する場合のワイヤ電流と加熱部の抵抗値の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るホットワイヤ溶接の加熱電力制御のフローチャートを示す図である。 従来技術のホットワイヤTIG溶接装置の機器構成を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1において、TIG溶接トーチ1がタングステン電極2を保持し、該タングステン電極2は被溶接金属物の母材3との間でアーク5を発生する。添加ワイヤ6にはワイヤ加熱電源10からの電流がワイヤ電流給電部9により接触通電され、ワイヤ電流給電部9には加熱された添加ワイヤ6の溶融池12への挿入位置を正確に一定にするためのセラミックノズル11が取り付けられている。また、アーク熱により母材3が溶けて形成した溶融池12が凝固すると溶接ビード13が形成される。
また、給電部9と溶融池12の間のワイヤ加熱部の中間点M±15%に存在するセラミックノズル11には切込み窓11aを設け、該切込み窓11aを通して電圧測定端子19をワイヤ6に加圧接触させる機構になっている。
ワイヤ電流給電部9側のワイヤ6の加熱端部と電圧測定端子19の接触する部分のワイヤ6の間の電圧をワイヤ電圧測定回路16で測定し、測定電圧Ewをワイヤ加熱制御回路17に送り、既知のワイヤ電流Iwとワイヤ電圧Ewからワイヤ抵抗値Rwを計算して添加ワイヤ6の加熱状態を判定する。前記添加ワイヤ6の加熱状態の判定結果によりワイヤ加熱電源10の加熱電力を調整するためのワイヤ加熱制御回路17とワイヤ電圧測定回路16から制御装置18が構成される。また、ワイヤ加熱制御回路17の出力(出力値Cw)により、ワイヤ加熱電源10が制御される。
セラミックノズル11には、図2に示すようにワイヤ加熱部の中間部M±15%の部分に切込み窓11aを設けて、この切込み窓11aに電圧測定端子(銅合金)19を設置し、該電圧測定端子19とワイヤ電流給電部9に設けられた支点22を挟んで電圧測定端子19の反対側に取り付けたばね21との間をアーム20で連結することにより、ばね21の力で電圧測定端子19をワイヤ6に押し付ける機構とする。セラミックノズル11は電圧測定端子19により押し付けられる部分から2分割してもよい。
TIGアーク溶接とホットワイヤ溶接方法と溶接手順は従来の方法と同様であるので説明は省略し、本実施の形態の特徴点であるホットワイヤ溶接制御方法および装置について図1と図2により説明する。
ワイヤ電流給電部9と電圧測定端子19の間の添加ワイヤ6の通電抵抗値によりワイヤ6の加熱状態を判定することが可能であり、まずこの通電抵抗値の測定方法を説明する。
通電抵抗Rwはワイヤ電流給電部9と電圧測定端子19間の添加ワイヤ6に印加される電圧Ewと電流Iwで表される。
Rw = Ew ÷ Iw (4)
ワイヤ電圧測定回路16で電圧Ewを測定し、測定した電圧値をワイヤ加熱制御回路17に送る。ワイヤ加熱電源は定電流特性の電源が用いられ、ワイヤ加熱制御回路17からの指令値Cwにより電流が出力されるため、電流Iwは既知情報であり、抵抗値Rwを求めることができる
添加ワイヤ6の一定長さの抵抗値Rwの目標値は、作業者が溶接状況を判断して最適な加熱状態のときの抵抗値Rwを測定し、その値をワイヤ加熱制御回路17に登録する方法がある。
なお、抵抗値Rwの目標値(目標抵抗値)は、給電点と電圧測定端子間の長さ、ワイヤ6の材質、ワイヤ6の径、アーク熱の影響により違ってくるので、溶接状況を判断して最適な加熱状態のときの抵抗値を目標抵抗値とした。
ワイヤ加熱制御回路17では、以上の方法で設定した目標抵抗値に対して、溶接中に測定した抵抗値が目標値より低い場合は、加熱が足りずワイヤ6の温度分布が最適な状態に比べて低いと判定できるので、添加ワイヤ6の加熱電力を上げる必要があり、ワイヤ加熱電源10に対して加熱電流を上げる指令を出す。逆に測定した抵抗値が目標値より高い場合は、加熱過多気味になっていると判定できるので、添加ワイヤ6の加熱電力を下げる必要があり、ワイヤ加熱電源10に対して加熱電流を下げる指令を出す。このように添加ワイヤ6の通電抵抗値を測定することにより、添加ワイヤ6の加熱状態を最適な状態に自動制御することが可能になる。
同様に、スタート時におけるワイヤ送給のアップスロープシーケンスにおいても、ワイヤ加熱部一定長さの温度分布を一定にすることが出来ることより、エクステンションeの長さLの変化による影響がなくなり、ワイヤ加熱部全体の加熱状態を一定に制御することができる。
制御のフローチャートは図6に示すように、電圧の測定、抵抗値の計算、加熱電流の変更の手順となり、ワイヤ加熱電流は100Hzのパルス電流であるので、電圧降下の測定はピーク電流出力時に同期して行い、制御の応答性によって制御ループの周期を変更可能とした。試験の結果、制御ループの周期は70〜100msecであった。
また、フィードバック制御式は以下の通りである。
Inew = Iold + a(CR − SR) (5)
Inew:制御後の平均電流値 [A] Iold:制御前の平均電流値 [A]
CR:抵抗計算値 [mΩ] SR:目標抵抗値 [mΩ] a:制御係数
初期のスロープアップからワイヤ送給量が一定になる定常状態まで制御を行うが、スロープアップでは応答性を上げたいので制御係数を大きくしたいが、定常状態では制御の振れを小さくしたいので制御係数は小さくしたい。
この調整を行うために制御周期の変更、一つのループでの制御最大値と初期加熱電流値の設定を行えるようにした。
また、図4のワイヤ温度分布のデータによれば、ワイヤ6の先端の適正条件範囲はアーク熱の影響により狭くなり、エクステンションeの長さLが多少変化した時に、ワイヤ加熱部の抵抗値が適正条件範囲から外れやすい。これに対してワイヤ加熱部一定長さの抵抗値では、適正条件範囲が広くなるため、エクステンションeの長さLが多少変化しても、ワイヤ加熱部一定長さの抵抗値が適正条件範囲から外れることはない。
制御対象とするワイヤ加熱部一定長さの抵抗値は、ワイヤ電流給電部9と溶融池12の間にあるワイヤ加熱部の中間点M±15%点間のワイヤの抵抗値とするのがよい。ワイヤ6の加熱状態が最適な場合に、ワイヤ加熱部の中間点Mの温度は450〜750℃と考えられる。この温度より低い給電部9側の抵抗値は絶対値が小さく、目標値と測定値の温度差の偏差も小さくなるため制御精度が落ちる。逆にこの温度より高い溶融池12側では高温になるため抵抗値を測定するための電圧測定端子(銅合金)19の摩耗が激しくなる。これより抵抗値を測定するための電圧測定端子19は加熱部の中間点M近傍がよく、当該加熱部の中間点M近傍はセラミックノズル部になるため、セラミックノズル11を前記中間点M近傍で分割するか、セラミックノズル11に前記中間点M近傍で電圧を測定するための切込み窓11aを設けることになる。また、ワイヤ6は高速で送給されているので、抵抗値の測定を確実にするために電圧測定端子19はワイヤ6に加圧して押付ける必要がある。
なお、本発明は母材3とTIG溶接トーチ1の間にアーク5を発生させるアーク溶接法に限らず、レーザ溶接法にも適用できる。
1 TIG溶接トーチ 2 タングステン電極
3 母材 4 TIG溶接電源
5 アーク 6 添加ワイヤ
7 ワイヤ送給装置 8 コンジットチューブ
9 ワイヤ電流給電部 10 ワイヤ加熱電源
11 セラミックノズル 12 溶融池
13 溶接ビード 14 ワイヤリール
15 ワイヤトーチ 16 ワイヤ電圧測定回路
17 ワイヤ加熱制御回路 18 制御装置
19 電圧測定端子 20 アーム
21 ばね 22 支点
e エクステンション部 L ワイヤ加熱部長さ
I 電流 Ia 溶接電流
Iw ワイヤ加熱電流 R 抵抗
Rw 通電抵抗 V 電圧
Cw ワイヤ加熱電源への出力値
Ew ワイヤに印加される電圧
M 中間点

Claims (3)

  1. 母材とワイヤに電流を供給するワイヤ電流給電部との間の添加ワイヤに電流を通電し、ワイヤを抵抗加熱しながら溶接を行うホットワイヤ溶接の加熱制御方法において、
    ワイヤ電流給電部と溶融池の間のワイヤ加熱部の長さの中間部とワイヤ電流給電部との間の抵抗測定値によりワイヤの加熱電力を制御することを特徴とするホットワイヤ溶接の加熱制御方法。
  2. 予めワイヤ電流給電部と溶融池の間のワイヤ加熱部の長さの中間部とワイヤ電流給電部との間の抵抗目標値を設定しておき、測定した抵抗値が前記設定した目標値になるように、ワイヤの加熱電力を制御することを特徴とする請求項1記載のホットワイヤ溶接の加熱制御方法。
  3. 母材とワイヤに電流を供給するワイヤ電流給電部との間の添加ワイヤにワイヤ加熱電力を供給するワイヤ加熱電源と、
    該ワイヤ加熱電源からワイヤに電流を供給する前記ワイヤ電流給電部と母材側のワイヤ先端部を残してワイヤを被覆するワイヤの先端側に設けられるセラミックノズルとワイヤ電流給電部と溶融池の間の加熱部の長さの中間部分に位置するセラミックノズルに設けられた切り窓からセラミックノズル内のワイヤに接触する電圧測定端子と該電圧測定端子を ワイヤに押し当てる押当機構を有するホットワイヤトーチと、
    ワイヤ電流給電部と電圧測定端子間のワイヤの電圧測定をするワイヤ電圧測定手段と、
    該ワイヤ電圧測定手段の電圧測定値に基づきワイヤ加熱電源のワイヤ加熱電力を制御するワイヤ加熱制御手段
    を備えたことを特徴とするホットワイヤ溶接の加熱装置。
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