JPH09292638A - 高出力紫外線レーザー光発生装置 - Google Patents

高出力紫外線レーザー光発生装置

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JPH09292638A
JPH09292638A JP8105682A JP10568296A JPH09292638A JP H09292638 A JPH09292638 A JP H09292638A JP 8105682 A JP8105682 A JP 8105682A JP 10568296 A JP10568296 A JP 10568296A JP H09292638 A JPH09292638 A JP H09292638A
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暢彦 梅津
Hiroyuki Wada
裕之 和田
Koichi Tatsuki
幸一 田附
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力化に伴う波長変換素子の非線形光学結
晶の変質に伴う特性低下を回避し、長寿命化をはかる。 【解決手段】 入射レーザー光光源部1と、この光源部
1からのレーザー光が入射され、波長変換によって紫外
線を導出する非線形光学結晶よりなる波長変換素子4と
を有してなり、その波長変換素子4は、その非線形光学
結晶の少なくとも紫外線を導出する出力側端面4oに、
潮解性のない保護膜5が被着されてなる構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に波長変換素子
を有してなる高出力紫外線レーザー光発生装置に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、紫外線発生装置として、例えば緑
色レーザー光、あるいは紫外線レーザー光を入射光と
し、これを非線形光学結晶による波長変換素子によって
波長変換して紫外線レーザー光、あるいはより短波長の
紫外線レーザー光を発生させる紫外線発生装置がある。
【0003】この種の紫外線発生装置における波長変換
素子としては、非線形光学結晶のβ−BBO(β−Ba
24 )結晶がしばしば用いられる。このBBOは、
潮解性がないとされ、化学的に安定であり、空気中での
取扱が可能であることから、安定した紫外線発生を行う
波長変換素子として用いられている。ところが、このB
BO結晶において、平均出力が1kW/cm2 以上の高
出力紫外線を取り扱うと、このBBO結晶の端面の紫外
線が照射された領域が時間とともに変質し、数十時間と
いう短時間で紫外光出力を激減させる光損傷が発生す
る。また、両端面での表面反射によるいわゆるフレネル
反射損失により20%近く反射損失を生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、紫外
線発生装置において、平均出力が1kW/cm2 以上の
高出力化を行う場合、通常の低出力では問題にならなか
った非線形光学結晶による波長変換素子の変質が問題と
なる。
【0005】本発明者等は、この変質について、種々の
実験考察を行って、その原因が、短波長すなわち高エネ
ルギーの紫外線レーザー光を高出力で発生させる場合に
おいて、その非線形光学結晶の例えばBBOにおけるわ
ずかな潮解性が原因であることを究明した。
【0006】本発明においては、この原因究明に基づ
き、波長変換素子を具備する高出力紫外線レーザー光発
生装置において、安定して平均出力が1kW/cm2
上の紫外線レーザー光を発生させることができるように
した高出力紫外線レーザー光発生装置を提供するに至っ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による高出力紫外
線レーザー光発生装置は、入射レーザー光光源部と、こ
の光源部からのレーザー光が入射され、波長変換によっ
て紫外線を導出する非線形光学結晶よりなる波長変換素
子とを有してなり、その波長変換素子は、その非線形光
学結晶の少なくとも紫外線を導出する出力側端面に、潮
解性のない保護膜が被着されてなる構成とする。
【0008】このように、本発明装置においては、その
波長変換素子を構成する非線形光学結晶の紫外線が導出
される少なくとも出力側端面に、潮解性のない保護膜を
被着形成したことによって、この端面が直接外部に露呈
することがないようにしたことから、この端面に酸素
や、水分が接触されることがなく、この端面に短波長す
なわち高エネルギーの紫外線が高出力をもって照射され
ることによって、この非線形光学結晶がわずかな潮解性
を示すために変質が生じる不都合を回避することがで
き、長時間に渡って紫外線レーザー光の発生を、安定し
て行うことができ、高出力紫外線レーザー光発生装置の
長寿命化をはかることができる。また、この保護膜の屈
折率が、波長変換素子の光学結晶より小さい材料によっ
て構成するときは、効果的にフレネル反射損失の低減化
がはかられ、より高出力化がはかられる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1を参照して本発明による高出
力紫外線レーザー光発生装置の一例を説明する。本発明
においては、その紫外線によって光損傷の発生が問題と
なる結晶端面での平均出力が、1kW/cm2 以上の出
力を発生させる高出力紫外線レーザー光発生装置を構成
する。
【0010】この例では、YAGレーザーからの波長1
064nmの4倍波を発生させる高出力紫外線レーザー
光発生装置の例で、入射レーザー光光源部1が設けられ
る。この場合の入射レーザー光光源部1は、波長106
4nmのレーザー光を発生するYAGレーザー2と、こ
れよりの波長1064nmのレーザー光を2倍波の53
2nmに波長変換する例えばLBO(LiB3 5 )非
線形光学結晶による波長変換素子3とよりなる。
【0011】そして、この光源部1からの532nmレ
ーザー光を、さらに2倍波に波長変換する例えばBBO
(β−BaB24 )非線形光学結晶による紫外線発生
の波長変換素子4に入射させる。このようにすると、紫
外線発生の波長変換素子4から、532nmの入射レー
ザー光の2倍波の波長266nmのレーザー光を出力光
として取り出すことができる。すなわち、当初の波長1
064nmの4倍波を波長変換素子4の出力光として得
ることができる。
【0012】上述の構成において、その紫外線を出力光
として導出する紫外線発生の波長変換素子4の光学結晶
の出力側端面4oに保護膜5を被着する。この保護膜5
は、湿気を含んだ大気に長期間さらしても潮解すること
がなく、さらに紫外線に対して透過率が高く、屈折率が
波長変換素子の光学結晶に比し小さい例えばMgF2
によって構成する。
【0013】この保護膜5の形成は、波長変換素子4を
構成する非線形光学結晶例えばBBO結晶を真空蒸着器
内に配置し、先ずBBO結晶表面に付着する水分を除去
する。この水分除去は、真空蒸着器内を10-5Torr以下
の高真空とし、BBO結晶を300℃以上に温度に加熱
して1時間保持することによって行うことができる。こ
の水分の除去方法としては、紫外線照射あるいはプラズ
マクリーニング等によって行うこともできる。
【0014】このようにして、水分除去のなされた光学
結晶BBOに、上述した潮解性がなく紫外線の透過率の
高い例えばMgF2 の少なくとも出力端面4oに蒸着す
る。
【0015】また、この保護膜5の厚さは、紫外線発生
の波長変換素子4の非線形光学結晶、上述の例では、B
BO結晶の紫外線を導出する出力側端面4oに、酸素や
水分を浸透させることのない厚さで、さらに紫外線に対
し無反射効果を生じる厚さに選定する。この保護膜5厚
さは紫外線発生の波長変換素子4の出力光の紫外線の波
長をλとするとき、保護膜5は、その厚さが、nλ/4
であり、そのnが特に1を除く奇数とする誘電体薄膜に
よって構成することが望ましいことが確認された。
【0016】また、さらに、紫外線発生の波長変換素子
4は、図2に示すように、排気がなされた真空室6内に
配置して、紫外線発生の波長変換素子4への入射光を透
過する入射窓6Wiを通じて波長変換素子4への入射光
の入射を行い、波長変換素子4からの出力光を透過する
出力窓6Woを通じて出力光の取出しを行うようにする
ことによって、より紫外線発生の波長変換素子4の安定
化をはかることができる。
【0017】上述した例では、紫外線発生の波長変換素
子4を真空室6内に配置した場合であるが、窒素もしく
はアルゴン等の希ガスの雰囲気中に配置することによっ
て、同様に、より紫外線発生の波長変換素子4の安定化
をはかることができる。
【0018】図3中曲線31は、上述の図1の構成によ
る紫外線発生の波長変換素子4を構成する非線形光学結
晶の、紫外線を導出する出力端面側にMgF2 による保
護膜5を5λ/4の厚さに被着した場合の、結晶端面で
の出力が1kW/cm2 の紫外線出力を連続発生させた
ときの時間経過に伴う出力の変化を測定した結果を示す
もので、同図中曲線32は、上述の図1の構成による紫
外線発生の波長変換素子4を構成する非線形光学結晶に
保護膜を全く被着しなかった従来構成における1kW/
cm2 の紫外線出力を連続発生させたときの時間経過に
伴う出力の変化を測定した結果を示す。これら、曲線3
1および32を比較して明らかなように、本発明による
高出力紫外線レーザー光発生装置は、出力の低下が顕著
に改善されている。
【0019】また、上述した例では、紫外線発生の波長
変換素子4への入射光は、比較的長波長の532nmで
あることから、その非線形光学結晶の入力側端面4iに
は、保護膜5の被着形成を必要としなかったことから、
この入力側端面4iには保護膜5の形成を省略したもの
であるが、紫外線発生の波長変換素子4への入射光自体
が短波長の紫外線である場合は、この紫外線発生の波長
変換素子4の非線形光学結晶の入力側端面4iにも例え
ば上述したと同様の方法によって保護膜5の形成を行
う。
【0020】この場合の一例を、図4を参照して説明す
る。この例においては、互いに異なる2つの波長、すな
わちλ1 =266nmの第1の入射レーザー光と、λ2
=1064nmの第2の入射レーザー光とを入射光とし
て、λ=λ1 λ2 /(λ1 +λ2 )≒213nmの紫外
線出力光を取り出す高出力紫外線レーザー光発生装置で
ある。
【0021】この場合、入射レーザー光光源部1は、例
えばYAGレーザー2と、これよりの波長1064nm
のレーザー光を、ハーフミラーMH で分岐し、その分岐
された波長1064nmの分岐レーザー光を、例えばL
BO非線形光学結晶による波長変換素子3によって2倍
波の532nmに波長変換し、この532nmレーザー
光をさらに例えばBBO非線形光学結晶による紫外線発
生の波長変換素子4Aによって2倍波に波長変換して波
長266nmの第1の入射レーザー光とし取り出すとと
もに、ハーフミラーMH で分岐した他方の波長1064
nmのレーザー光をそのまま第2の入射レーザー光とし
て取り出す構成とする。
【0022】そして、これら、第1および第2の入射レ
ーザー光を、紫外線発生の波長変換素子4に入射する。
この波長変換素子4においては、その出力側端面4oは
もとより、その入射光として、紫外線(λ1 =266n
m)が入射されることから、その入力側端面4iにも保
護膜5を被着形成する。
【0023】この場合においても、この保護膜5は、例
えばMgF2 による透明誘電体膜によって構成すること
ができ、その入力側端面4iに被着する保護膜5は、紫
外線(λ1 =266nm)の入射光に対し、無反射効果
を示す厚さで、かつ十分に酸素や水分を端面4iに対し
て遮断できる厚さ、すなわち1を除く奇数をnとするn
λ1 /4の例えば5λ1 /4に選定する。
【0024】そして、出力側端面4oに被着する保護膜
5は、紫外線(λ≒213nm)の入射光に対し、無反
射効果を示す厚さで、かつ十分に酸素や水分を端面4o
に対して遮断できる厚さ、すなわち1を除く奇数をnと
するnλ/4の例えば5λ/4に選定する。
【0025】この例においては、その紫外線発生の波長
変換素子4において、紫外線が導入される入力側端面4
iと紫外線が導出される出力側端面4oとに、潮解性の
ない保護膜5を被着するようにしたので、各端面4iお
よび4oにおいて、高エネルギーの短波長の紫外線が、
高出力をもって照射されるにもかかわらず、結晶の変
質、すなわち光損傷を発生することがなく、長期に渡っ
て安定して変換効率の低下すなわち特性劣化を来すこと
なく動作させることができ、高出力紫外線レーザー光発
生装置の長寿命化をはかることができる。
【0026】さらに、保護膜を、波長変換素子を構成す
る光学結晶に比し、その屈折率が小さい膜によって構成
するときは、保護膜を形成することのない従来構成に比
し、フレネル反射損失を小さくでき、またその厚さを
(1/4)波長とした場合に比しても、光損傷を小さく
できる。
【0027】尚、上述した例では、紫外線発生の波長変
換素子4がBBOによる非線形光学結晶とした場合であ
るが、この結晶に限られるものではなく、例えば213
nmの出力光を得る場合、上述のBBOのほかに、KB
BF(KBe2 BO3 2 ),SBBO(SrBe3
7 )によって構成することができ、例えば266nm
の出力光を得る場合、上述のBBO,KBBF,SBB
Oのほかに、CLBO(CsLiB6 10)によって構
成することができ、例えば357nm,532nmの出
力光を得る場合、上述のBBO,KBBF,SBBO,
CLBOのほかにLBO(LiB3 5 )によって構成
することができる。
【0028】また、これら光学結晶に対する潮解性がな
く、紫外線の透過率が高い、屈折率の小さい保護膜5と
しては、上述の例にMgF2 のほかに、例えばNa3
lF 6 ,SiO2 等によって構成することができる。
【0029】また、本発明による高出力紫外線レーザー
光発生装置は、上述した例に限られるものではなく、紫
外線発生の波長変換素子を具備する各種構成による紫外
線レーザー光発生装置構成に適用することができる。
【0030】
【発明の効果】上述したように、本発明構成によれば、
波長変換素子の光学結晶の紫外線が照射されるすなわち
紫外線レーザー光が出力される出力端面はもとより、入
射光が紫外線レーザー光である場合は、この入射紫外線
レーザー光が導入される入力端面にも、紫外線に高い透
過率を示し、潮解性を示さない保護膜を形成して、上述
の端面に、水分等が達することを回避するようにしたこ
とから、高出力の紫外線レーザー光を取り扱うにもかか
わらず、この高出力紫外線によってもこれら端面におい
て、光学的特性が劣化することを回避できるので、長寿
命の高出力紫外線レーザー光発生装置を得ることができ
るものである。
【0031】さらに、保護膜を、波長変換素子を構成す
る光学結晶に比し、その屈折率が小さい膜によって構成
するときは、保護膜を形成することのない従来構成に比
し、フレネル反射損失を小さくでき、またその厚さを
(1/4)波長とした場合に比し、光損傷を小さくでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高出力紫外線レーザー光発生装置
の一例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による高出力紫外線レーザー光発生装置
の他の例の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明による高出力紫外線レーザー光発生装置
の更に他の例の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明装置と従来装置の出力の時間経過に伴う
出力変化を示す図である。
【符号の説明】
1 入射レーザー光光源部、2 YAGレーザー、3
波長変換素子、4,4A 紫外線発生の波長変換素子、
5 保護膜である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射レーザー光光源部と、 該光源部からのレーザー光が入射され、波長変換によっ
    て紫外線を導出する非線形光学結晶よりなる波長変換素
    子とを有し、 該波長変換素子は、その非線形光学結晶の、少なくとも
    上記紫外線を導出する出力側端面に、潮解性のない保護
    膜が被着されてなることを特徴とする高出力紫外線レー
    ザー光発生装置。
  2. 【請求項2】 上記入射レーザー光光源部からのレーザ
    ー光が、紫外線であり、上記波長変換素子の入力側端面
    にも、潮解性のない保護膜が被着されてなることを特徴
    とする請求項1に記載の高出力紫外線レーザー光発生装
    置。
  3. 【請求項3】 上記波長変換素子が、β−BaB24
    よりなることを特徴とする請求項1に記載の高出力紫外
    線レーザー光発生装置。
  4. 【請求項4】 上記保護膜が、MgF2 よりなることを
    特徴とする請求項1に記載の高出力紫外線レーザー光発
    生装置。
  5. 【請求項5】 上記保護膜が、上記波長変換素子の出力
    光の波長をλとするとき、厚さが、nλ/4(ただし、
    nは1を除く奇数)の誘電体薄膜よりなることを特徴と
    する請求項1に記載の高出力紫外線レーザー光発生装
    置。
  6. 【請求項6】 上記波長変換素子の端面上での平均出力
    が、1kW/cm2 以上とされたことを特徴とする請求
    項1に記載の高出力紫外線レーザー光発生装置。
  7. 【請求項7】 上記波長変換素子は、真空、または窒素
    もしくはアルゴン等の希ガスの雰囲気中に配置されて酸
    素および水分と遮断されたことを特徴とする請求項1に
    記載の高出力紫外線レーザー光発生装置。
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