JPH09291954A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

Info

Publication number
JPH09291954A
JPH09291954A JP10879896A JP10879896A JPH09291954A JP H09291954 A JPH09291954 A JP H09291954A JP 10879896 A JP10879896 A JP 10879896A JP 10879896 A JP10879896 A JP 10879896A JP H09291954 A JPH09291954 A JP H09291954A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
friction material
friction
weight
filler
rubber mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10879896A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2991970B2 (ja
Inventor
Hiroyuki Mizukoshi
浩之 水越
Yasuhisa Futamura
恭央 二村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Aisin Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Chemical Co Ltd filed Critical Aisin Chemical Co Ltd
Priority to JP8108798A priority Critical patent/JP2991970B2/ja
Publication of JPH09291954A publication Critical patent/JPH09291954A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2991970B2 publication Critical patent/JP2991970B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用初期における摩擦係数が安定化するまで
に要する時間(初期摩擦係数立ち上がり時間)を短縮す
る。 【解決手段】 繊維基材と、熱硬化性樹脂からなる樹脂
結合剤と、充填剤とを含む摩擦材において、その充填剤
の少なくとも一部として、ゴムモールド摩擦材の研磨粉
(それの研磨仕上げ時に生じる研磨屑)を、摩擦材全体
に対して10〜70重量%の割合で配合する。摩擦材に
適度な柔軟性、摩耗性が付与されると共に、緻密化され
るので、相手材と容易になじませ、当たり付けることが
でき、その結果、当たり付け時間を大幅に短縮すること
ができる。また、廃棄物である研磨粉を再利用するた
め、資源の有効活用となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクラッチ、ブレーキ
等に用いられる摩擦材に関するものであり、特に、電磁
クラッチに適した摩擦材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁的に作動される摩擦クラッチ、即
ち、電磁クラッチは、作動源が電気であることから応答
性、制御性及び操縦性がよく、自動または遠隔制御にも
最も有利である。そのため、車両や産業用機械、或いは
生産機械等において、比較的小さい動力(トルク)の伝
達及び遮断には、この電磁クラッチが広く一般に使用さ
れている。
【0003】そして、このような電磁クラッチの摩擦材
(クラッチライニング)としては、焼結合金系の摩擦材
が用いられる場合もあるが、一般的には、ディスクブレ
ーキパッド、ドラムブレーキライニング等と同様のレジ
ンモールド系の摩擦材、即ち、骨格をなす繊維基材と、
結合剤である熱硬化性樹脂と、摩擦調整剤等の充填剤と
を含む混合物を熱成形して形成した摩擦材、が用いられ
ている。なお、より詳細には、その繊維基材としては、
アラミド繊維等の有機繊維、チタン酸カリウム繊維また
はウィスカ、セラミックス繊維等の無機繊維、銅繊維、
真鍮繊維等の非鉄金属繊維等が適宜組み合わせて用いら
れる。また、樹脂結合剤としての熱硬化性樹脂には、一
般にフェノール樹脂が使用されている。更に、これらの
繊維基材及び樹脂結合剤のマトリックス中に分散して充
填される充填剤としては、主に耐摩耗性と耐熱性を向上
するための硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質充填
剤、摩擦係数を調整し安定化するためのグラファイト、
二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、カシューダスト等の
摩擦調整剤等が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
電磁クラッチにおいては、特に、使用初期から安定した
摩擦係数が得られることが必要である。即ち、摩擦材と
相手材との摩擦係合による摩擦トルクはそれらの間の摩
擦係数とそれらを圧接する作動力(圧力)とによって定
まるが、電磁クラッチの場合、電磁コイルによるその作
動力は一定であり、自動車のブレーキ或いはクラッチの
ようにペダル操作の加減によって作動特性を制御するこ
とができないからである。そして、例えば摩擦係数が少
ないと、係合特性が設定通りとはならず、所定の応答
性、制御性等が得られない。
【0005】ところが、摩擦材の摩擦係数はその摺動面
の表面性状、つまり、相手材とのなじみ性(当たり性)
によっても左右され、使用初期から一定ではない。即
ち、その摩擦係数は、摺動面が粗く、相手材との当たり
が十分でない使用初期においては、一般に低く、また不
安定である。そして、相手材との摩擦係合が繰返され、
その摺動面が平滑化されると共に相手材となじむにつれ
て、摩擦係数は徐々に上昇し、その後ようやく一定の値
に安定する。そこで、電磁クラッチの場合には、組立て
後、実際の使用を開始する前に、摩擦係数が立ち上が
り、一定の値となって安定するまで、予め摩擦材を相手
材になじませるための当たり付け処理(慣らし処理)を
一般に行っている。なお、このようなことは、電磁ブレ
ーキ、電磁クラッチ・ブレーキ等のその他の作動力を制
御できない摩擦係合装置の場合でも同様である。
【0006】しかし、この当たり付けには、特に、電磁
クラッチの場合には使用初期から十分に安定した摩擦係
数が得られることが要求されるため、非常に長い時間が
かかる場合もあり、30分以上要するものもあった。そ
のため、このような電磁クラッチ等に用いられる摩擦材
については、当たり付け時間、即ち、初期摩擦係数の立
ち上がりが安定するまでの時間の短縮が要望されてい
た。
【0007】そこで、本発明は、当たり付けに要する時
間、即ち、使用初期における摩擦係数が安定化するまで
に要する時間(初期摩擦係数立ち上がり時間)を短縮す
ることができる摩擦材の提供を課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題の解決のために種々の模索と検討とを重ねた結果、ゴ
ムモールド摩擦材(セミモールド摩擦材)の研磨粉を摩
擦材全体に対して所定の割合で配合することによって、
その初期摩擦係数立ち上がり時間を有効に短縮すること
ができることを見出し、かつ、確認した。
【0009】即ち、請求項1にかかる摩擦材は、繊維基
材と、熱硬化性樹脂からなる樹脂結合剤と、充填剤とを
含む混合物を熱成形してなる摩擦材において、前記充填
剤の少なくとも一部として、ゴムモールド摩擦材の研磨
粉を摩擦材全体に対して10〜70重量%の割合で含有
するものである。
【0010】なお、ここで、ゴムモールド摩擦材(セミ
モールド摩擦材)は、自動車のパワートレーン用クラッ
チ等のフェーシングとして使用されているものであっ
て、樹脂を含浸した基材繊維のロービングに、充填剤を
含む配合ゴムを付着させ、これをリング状に巻き取った
後加熱加圧成形し、次いで表面の研磨仕上げを行って得
られたものである。そして、これの研磨粉は、その研磨
仕上げの際に研磨屑として生じたものである。
【0011】このように、本発明にかかる摩擦材におい
ては、ゴムモールド摩擦材の研磨粉を摩擦材全体に対し
て所定の割合で配合しているので、後述の試験結果から
も分かるように、当たり付けに要する時間、即ち、初期
の摩擦係数が安定化するまでに要する時間を有効に短縮
することができる。
【0012】この理由またはゴムモールド摩擦材の研磨
粉の作用については、推測ではあるが、次のように考え
られる。つまり、ゴムモールド摩擦材の研磨粉は、上記
のように得られたものであるため、ゴム成分を適度に含
み、したがって、適度な柔軟性を有し、また摩耗性が適
度に高い。そのため、このゴムモールド摩擦材の研磨粉
の配合によって摩擦材には適度な柔軟性と摩耗性とが付
与されるので、相手材と容易になじみ、その結果、当た
り付け時間、即ち、初期摩擦係数立ち上がり時間が短縮
されると考えられる。また、このゴムモールド摩擦材の
研磨粉は非常に微細な粒子であり、また弾力性も適度に
有するため、それの配合によって摩擦材が緻密化し、そ
の結果、摩擦材表面が容易に平滑化し、また相手材との
当たりが容易に均一化することもその理由の一つである
と考えられる。なお、このような摩擦材の緻密化は、オ
イルや溶剤が誤って摩擦材に付着した場合に、摩擦材へ
の浸透が防止されるという利点ともなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この摩擦材について更に詳
細に説明する。
【0014】上記のように、本発明の摩擦材において
は、その初期摩擦係数の立ち上がりに要する時間(当た
り付け時間)を短縮するために、充填剤の少なくとも一
部として、ゴムモールド摩擦材の研磨粉を配合する。
【0015】ここで、このゴムモールド摩擦材の研磨粉
は、上記のように、通常のゴムモールド摩擦材の製造工
程の研磨仕上げ工程において研磨屑として比較的多量に
生じるものであり、一般には廃棄物として埋立処分され
ているものである。したがって、この研磨粉の使用は、
廃棄物の廃却量の低減と資源のリサイクルにもなるもの
である。
【0016】なお、ゴムモールド摩擦材は、例えば、自
動車のエンジンと変速機との間に設けられるペダル操作
式の摩擦クラッチにおいて、そのフェーシングとして用
いられるものであり、結合用の樹脂を含浸した基材繊維
のロービングに、充填剤を含む配合ゴムを付着させ、こ
れをリング状に巻き取った後加熱加圧成形し、次いで、
得られた摩擦材成形物を所定の厚さに表面研磨仕上げす
ることによって、一般に製造される。この摩擦材は、配
合ゴムを付着したロービングをリング状に巻き取って付
形して製造されることから、セミモールド摩擦材とも呼
ばれている。
【0017】より具体的には、このゴムモールド摩擦材
は、例えば、ガラス繊維等の基材繊維からなるロービン
グに、結合用樹脂としての熱硬化性樹脂溶液を含浸さ
せ、予備硬化して樹脂被覆ロービングを得た後、このロ
ービングに、ゴムと充填剤とを含む配合ゴムの溶液を含
浸付着させ、乾燥し、次いで、この配合ゴム付着ロービ
ングをクラッチフェーシング状等の所定形状に巻き取っ
て予備成形した後、加熱成形し、最後にその成形体を所
定の厚さに研磨仕上げして、製造される。なおここで、
このゴムモールド摩擦材の基材繊維としては、ガラス繊
維等の無機繊維の他、真鍮繊維等の金属繊維、アラミド
繊維、ノボロイド繊維等の有機繊維が適宜組み合わせて
用いられる。また、結合用樹脂としては、フェノール系
樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂が、ゴムとして
は、SBR、NBR等が使用される。更に、充填剤とし
ては、黒鉛等の固体潤滑剤、硫酸バリウム、炭酸カルシ
ウム等の体質充填剤、カシューダスト等の有機高分子粉
末等が使用される。
【0018】したがって、その研磨仕上げ工程で得られ
るゴムモールド摩擦材の研磨粉は、ガラス繊維等の基材
繊維と、熱硬化性樹脂及びゴムの硬化物と、充填剤との
複合物が粉砕された形態の微細な粉末からなっている。
つまり、成分上においては、ゴムを更に含有する他は、
レジンモールド摩擦材と実質的に同じである。なお、こ
のような研磨仕上げ工程で研磨屑として得られるゴムモ
ールド摩擦材の研磨粉には、ベルトサンダーの削砕片等
の異物が混入している場合があるが、それらの異物は取
除いて使用される。
【0019】そして、このような研磨粉は、摩擦材全体
に対して、一般に10〜70重量%の配合割合で配合
し、使用することができる。この割合が余り少なく、一
般に10重量%よりも少ないと、初期摩擦係数立ち上が
り時間の短縮効果が実用上十分に得られない。他方、研
磨粉の配合割合を多くするほど、当たり付け時間はより
短縮され、また、廃棄物の再利用という点では有利とな
る。ただし、余り多く配合しても、それによる効果は頭
打ち状態となるだけでなく、多すぎる配合は他の充填剤
成分や繊維成分の配合を困難にし、また、その成形性を
低下させるとともに、成形後の摩擦材の強度等も低下さ
せる傾向がある。そのため、70重量%を限度として、
それ以下の割合で配合することが好ましい。より好まし
いゴムモールド摩擦材研磨粉の配合割合は、30〜60
重量%である。
【0020】本発明の摩擦材を形成するその他の成分、
即ち、繊維基材、樹脂結合剤、及びその他の充填剤は、
従来と同様である。
【0021】繊維基材、即ち、摩擦材の骨格を形成する
繊維状の成分である繊維基材としては、アラミド繊維、
ノボロイド繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等の有機
繊維、シリケート繊維、アルミナ繊維、アルミナ−シリ
カ系繊維、チラノ繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン
酸カリウム繊維またはウィスカ、炭化物、また窒化物の
繊維またはウィスカ、酸化マグネシウムウィスカ、ロッ
クウール、スラグウール等のセラミックス繊維またはウ
ィスカ、カーボン繊維、或いはガラス繊維等の無機繊
維、銅繊維、真鍮繊維、スチール繊維、ステンレススチ
ール繊維等の金属繊維、等を挙げることができる。そし
て、これらの繊維は、それらの任意の1種または2種以
上を適宜組み合わせて使用することができる。しかし、
これらの中でも、フィブリル化が可能であるため摩擦材
材料の混合時の取扱性が良く、また材料成分の偏析を防
止できる等の点から、特に、アラミド繊維が好ましく、
そしてこれをセラミックス繊維等と適宜組み合わせて好
適に用いることができる。
【0022】また、このような繊維基材及び充填剤を結
合保持するための樹脂結合剤としては、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、
ポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。し
かし、これらの中でも結合強度が高く、熱的強度も高い
等の点で、フェノール樹脂を最も好ましく使用すること
ができる。また、このフェノール樹脂としては、アルキ
ルベンゼン等で変性した変性フェノール樹脂も好適に使
用することができる。
【0023】更に、粉状成分である充填剤としては、上
記のゴムモールド摩擦材の研磨粉の他に、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム等の体質充填剤、グラファイト、二
硫化モリブデン、三硫化アンチモン等の固体潤滑剤、カ
シューダストまたはその他の有機高分子粉末、シリカ、
酸化ジルコニウム、アルミナ等のアブレッシブ剤、主に
熱伝導性を向上するための銅粉、亜鉛粉、真鍮粉等の金
属粉、或いはその他の摩擦調整等のための添加剤等を使
用することができる。
【0024】ただし、これらの成分、特に、繊維基材と
充填剤の具体的な配合を決めるに際しては、ゴムモール
ド摩擦材の研磨粉がそれらの繊維基材と充填剤とを既に
含むものであることを考慮することが必要である。つま
り、重複する充填剤成分と繊維基材とは、それらの分量
をゴムモールド摩擦材の研磨粉の配合量に応じて、通常
の場合よりも少なくすることができる。
【0025】そして、本発明にかかる摩擦材は、レジン
モールド摩擦材としての通常の方法によって製造するこ
とができる。即ち、上記の繊維基材、熱硬化性樹脂から
なる樹脂結合剤、及びゴムモールド摩擦材の研磨粉を含
む各種の充填剤とを均一に混合し、この混合物を予備形
成した後、その予備形成体を加熱加圧成形する通常の熱
成形による方法によって、製造することができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の実施例1乃至実施例4と比
較例1及び比較例2の摩擦材の配合組成(重量%)と評
価試験結果とを示す表図である。また、図2は本発明の
実施例4と比較例1及び比較例2の摩擦材の当たり付け
試験時の摩擦係数の経時変化を示す特性図である。
【0028】〔摩擦材(電磁クラッチライニング)の作
製〕図1に示す配合組成(重量%)で、本発明の実施例
1乃至実施例4の摩擦材を作製した。また、これらの実
施例との比較のために、比較例1及び比較例2の摩擦材
も合わせて作製した。なお、これらの実施例及び比較例
の各摩擦材は、具体的には、電磁クラッチ用のライニン
グとして具体化したものである。
【0029】〈実施例1〜4〉図1のように、これらの
実施例の摩擦材(電磁クラッチライニング)は、いずれ
も、繊維基材と、この繊維基材を結合保持する熱硬化性
樹脂からなる樹脂結合剤と、これらの繊維基材と樹脂結
合剤とのマトリックス中に分散して充填される各種の充
填剤とから形成され、その充填剤の少なくとも一部とし
て、初期摩擦係数立ち上がり時間(当たり付け時間)を
短縮するために、ゴムモールド摩擦材(セミモールド摩
擦材)の研磨粉を含むものである。そして、これらの各
実施例において、充填剤の一部として含まれるゴムモー
ルド摩擦材の研磨粉及びその他の材料の配合割合が種々
に変えられている。なお、ここでは、次の各材料を使用
した。
【0030】摩擦材の骨格を形成する繊維状の成分であ
る繊維基材としては、アラミド繊維、ロックウール、及
びケイ酸カルシウム繊維を適宜組み合わせて使用した。
したがって、ここでは、各摩擦材はスチール繊維を含ま
ない非スチール系摩擦材として形成されている。
【0031】これらの繊維基材を結合保持する樹脂結合
剤としては、フェノール樹脂を使用した。
【0032】充填剤としては、ゴムモールド摩擦材の研
磨粉の他に、摩擦係数を調整し、また安定化するための
カシューダスト、体質充填剤としての硫酸バリウムを使
用した。
【0033】ここで、このゴムモールド摩擦材の研磨粉
は、フェノール樹脂を含浸したガラス繊維及び真鍮繊維
からなるロービングに、各種充填剤を含む配合ゴムを付
着させ、これをリング状に巻き取り加熱加圧成形して得
たゴムモールド摩擦材の表面研磨仕上げ工程において生
じたものである。具体的には、このゴムモールド摩擦材
の成分組成は、ガラス繊維30重量%、真鍮繊維5重量
%、フェノール樹脂10重量%、配合ゴム55重量%
(スチレン・ブタジエンゴム(SBR)35重量%、カ
ーボンブラック10重量%、硫酸バリウム35重量%、
カシューダスト10重量%、加硫剤10重量%)からな
っている。したがって、その研磨粉の組成も、配合ゴム
成分の割合が多少多いが、このゴムモールド摩擦材の組
成にほぼ等しい。
【0034】これらの材料を用い、ゴムモールド摩擦材
の研磨粉及びその他の材料の配合を変えて、実施例1乃
至実施例4の摩擦材をそれぞれ作製した。
【0035】具体的には、実施例1は、ゴムモールド摩
擦材の研磨粉の配合を比較的少なくして30重量%とし
たものである。また、その他の材料については、繊維基
材として、アラミド繊維3重量%と、ロックウール23
重量%と、ケイ酸カルシウム繊維8重量%とを配合し、
また、樹脂結合剤としてフェノール樹脂16重量%と、
充填剤としてカシューダスト13重量%と、硫酸バリウ
ム7重量%とを配合したものである。したがって、研磨
粉の成分と重複するカシューダストと硫酸バリウムは、
合計量でそれぞれ15重量%、及び13重量%の割合と
なっている。また、ゴム成分であるSBRの割合は、6
重量%である。
【0036】実施例2は、ゴムモールド摩擦材の研磨粉
の配合を若干増加して42重量%としたものである。そ
して、繊維基材については、実施例1と同じ材料を用
い、アラミド繊維3重量%と、ロックウール23重量%
と、ケイ酸カルシウム繊維2重量%とを配合し、また、
樹脂結合剤としてフェノール樹脂15重量%と、充填剤
としてカシューダスト8重量%と、硫酸バリウム7重量
%とを配合したものである。
【0037】実施例3は、ゴムモールド摩擦材の研磨粉
の配合を更に増加して51重量%としたものである。ま
た、繊維基材としては、アラミド繊維4重量%のみを配
合し、樹脂結合剤としてフェノール樹脂22重量%、充
填剤としてカシューダスト16重量%と、硫酸バリウム
7重量%とを配合したものである。
【0038】実施例4は、ゴムモールド摩擦材の研磨粉
の配合を更に増加して53重量%としたものである。そ
して、繊維基材としては、実施例3と同じくアラミド繊
維4重量%のみを配合し、また、樹脂結合剤としてフェ
ノール樹脂18重量%、充填剤としてカシューダスト1
8重量%と、硫酸バリウム7重量%とを配合したもので
ある。
【0039】〈比較例1,2〉これらの実施例に対し
て、比較例1及び比較例2の摩擦材は、自動車用ブレー
キパッドの組成に準じて形成したものであり、いずれも
繊維基材と、熱硬化性樹脂からなる樹脂結合剤と、各種
の充填剤とからなり、ゴムモールド摩擦材の研磨粉を配
合しないで形成したものである。
【0040】具体的には、比較例1は、繊維基材とし
て、アラミド繊維8重量%と、ケイ酸カルシウム繊維1
2重量%と、チタン酸カルシウム繊維12重量%とを配
合し、また、樹脂結合剤として、フェノール樹脂10重
量%、充填剤として、カシューダスト7重量%と、硫酸
バリウム44重量%と、グラファイト7重量%とを配合
したものである。
【0041】比較例2は、繊維基材として、アラミド繊
維5重量%と、ロックウール11重量%と、チタン酸カ
ルシウム繊維8重量%とを配合し、また、樹脂結合剤と
して、フェノール樹脂10重量%、充填剤として、カシ
ューダスト6重量%と、硫酸バリウム58重量%と、グ
ラファイト2重量%とを配合したものである。
【0042】そして、これらの実施例及び比較例の摩擦
材(電磁クラッチライニング)の作製は、通常の熱成形
による方法によって、具体的には次のように行った。即
ち、ゴムモールド摩擦材の研磨粉を含むまたは含まない
上記の配合の摩擦材原料をブレンダで十分均一に混合
し、次いで、この粉状混合物を予備成形金型に投入し、
常温下、400kg/cm2 の圧力で10秒間加圧し
て、摩擦材の予備成形物を形成した。次いで、この摩擦
材の予備成形物を200〜400kg/cm2 の加圧圧
力、150〜160℃の温度で3分間熱成形して、電磁
クラッチライニングとしての摩擦材を得た。
【0043】〔評価試験〕次に、このように主にゴムモ
ールド摩擦材の研磨粉等の配合割合を変えて作製した各
種の実施例及び比較例の各摩擦材について、摩擦試験を
行ない、低温時及び高温時の摩擦係数を測定した。ま
た、各摩擦材について当たり付け試験を行ない、初期摩
擦係数立ち上がり時間(当たり付け時間)を測定した。
更に、これらの試験とは別に、各摩擦材のオイル気孔率
を測定した。これらの試験の詳細は、次のとおりであ
る。
【0044】(1)摩擦試験 各摩擦材について、低温時及び高温時の摩擦係数を、J
IS−D−4411に準じて、JIS定速摩擦試験を行
って測定した。試験条件は次の通りである。 (試験条件) 摩擦相手材回転速度:7m/s 押圧:10kg/cm2 測定温度:100℃、150℃、200℃、250℃ (2)当たり付け試験 初期摩擦係数立ち上がり時間(当たり付け時間)の測定
については、各摩擦材について、SAE−J−661相
当のテスタ(FMTMテスタ)を使用して当たり付け試
験を行い、初期摩擦係数の経時変化を測定すると共に、
これが安定化するまでに要する時間(初期摩擦係数立ち
上がり時間)を測定した。試験条件は次の通りである。 (試験条件) 摩擦相手材回転速度:0.7m/s 押圧:3.5kg/cm2 ON/OFF:12秒/6秒 (3)オイル気孔率 オイル気孔率については、JIS−D−4418に準じ
て試験を行い、測定した。
【0045】実施例及び比較例の各摩擦材について測定
したこれらの各温度における摩擦係数、初期摩擦係数立
ち上がり時間、及びオイル気孔率を、それらの組成と合
せて、図1に示す。また、実施例4と比較例1及び比較
例2の各摩擦材の初期摩擦係数の経時変化を図2に示
す。なお、この図2において、摩擦係数が立ち上がり、
一定となって安定した時点が丸印で示されている。
【0046】〔試験結果〕図1及び図2のように、ま
ず、一般的な自動車用ブレーキパッドに準じた摩擦材に
相当し、充填剤としてゴムモールド摩擦材の研磨粉を含
まない比較例1及び比較例2では、摩擦係数は十分に高
い値を示し、温度変化による変化も少なく良好な範囲に
あるが、初期摩擦係数の安定化には、比較例1において
は65分、また比較例2においては30分とどちらも長
時間を要している。
【0047】これに対して、充填剤としてゴムモールド
摩擦材の研磨粉を十分な割合で用いた各実施例において
は、いずれも各温度において十分に高い摩擦係数が得ら
れていると共に、初期摩擦係数立ち上がり時間が極めて
短く、5分以内で安定した摩擦係数が得られている。ま
た、オイル気孔率は比較例に比べて著しく低い値を示し
ており、微細粒子であるゴムモールド摩擦材の研磨粉を
含むことで、摩擦材が緻密化していることが分かる。
【0048】このように、この試験結果から、ゴムモー
ルド摩擦材の研磨粉を所定の割合で用いることにより、
初期の摩擦係数が安定化するまでに要する時間を大幅に
短縮し、更に、その後は良好な摩擦係数を維持できるこ
とが分かる。
【0049】なお、本発明の摩擦材については、特に、
電磁クラッチライニングを例として説明したが、本発明
を実施する場合には、電磁クラッチライニングだけに限
定されるものではなく、電磁ブレーキライニング、クラ
ッチフェーシング、ディスクブレーキパッド、或いはド
ラムブレーキのライニング等のその他の摩擦係合装置の
摩擦材としても、同様に有利に適用することができる。
また、摩擦材を形成する繊維基材、樹脂結合剤、充填剤
の種類と配合割合についても、この実施例に限定される
ことなく、種々に変更することができる。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる摩擦材
は、繊維基材と、熱硬化性樹脂からなる樹脂結合剤と、
充填剤とを含む混合物を熱成形してなる摩擦材におい
て、充填剤の少なくとも一部として、ゴムモールド摩擦
材の研磨粉を摩擦材全体に対して10〜70重量%の割
合で含むものである。
【0051】したがって、この摩擦材によれば、ゴムモ
ールド摩擦材の研磨粉を所定の割合で含むため、摩擦材
に適度な柔軟性、摩耗性が付与され、またこの研磨粉が
非常に細かな微細粒子であることから摩擦材は緻密化さ
れるので、相手材と容易になじませ、当たり付けること
ができ、その結果、初期の摩擦係数が安定化するまでに
要する時間(当たり付け時間)を大幅に短縮することが
できる効果がある。また、このゴムモールド摩擦材の研
磨粉は、通常のゴムモールド摩擦材の製造工程の研磨仕
上げ工程において比較的多量に生じるものであり、一般
には廃棄物として処分されているものであるため、この
研磨粉の使用は、廃棄物の廃棄量の低減と資源のリサイ
クルにもなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例及び比較例の摩擦材
(電磁クラッチライニング)の配合組成(重量%)と、
それらの摩擦材の評価試験の結果とを示す表図である。
【図2】 図2は本発明の実施例4と比較例1及び比較
例2の摩擦材の当たり付け試験時の初期摩擦係数の経時
変化を示す特性図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材と、熱硬化性樹脂からなる樹脂
    結合剤と、充填剤とを含む混合物を熱成形してなる摩擦
    材において、 前記充填剤の少なくとも一部として、ゴムモールド摩擦
    材の研磨粉を摩擦材全体に対して10〜70重量%の割
    合で含有することを特徴とする摩擦材。
JP8108798A 1996-04-30 1996-04-30 摩擦材 Expired - Lifetime JP2991970B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8108798A JP2991970B2 (ja) 1996-04-30 1996-04-30 摩擦材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8108798A JP2991970B2 (ja) 1996-04-30 1996-04-30 摩擦材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09291954A true JPH09291954A (ja) 1997-11-11
JP2991970B2 JP2991970B2 (ja) 1999-12-20

Family

ID=14493757

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8108798A Expired - Lifetime JP2991970B2 (ja) 1996-04-30 1996-04-30 摩擦材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2991970B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008068834A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Toyota Motor Corp 電動パーキングブレーキシステム
JP2009523969A (ja) * 2006-01-13 2009-06-25 ボーグワーナー・インコーポレーテッド クラッチ組立体及び摩擦板
JP2010180321A (ja) * 2009-02-05 2010-08-19 Aisin Chem Co Ltd 摩擦材
CN111247224A (zh) * 2017-10-26 2020-06-05 日立化成株式会社 摩擦构件、底层材用摩擦材料组合物和摩擦材料
JPWO2020183664A1 (ja) * 2019-03-13 2020-09-17

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009523969A (ja) * 2006-01-13 2009-06-25 ボーグワーナー・インコーポレーテッド クラッチ組立体及び摩擦板
JP2008068834A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Toyota Motor Corp 電動パーキングブレーキシステム
JP2010180321A (ja) * 2009-02-05 2010-08-19 Aisin Chem Co Ltd 摩擦材
CN111247224A (zh) * 2017-10-26 2020-06-05 日立化成株式会社 摩擦构件、底层材用摩擦材料组合物和摩擦材料
JPWO2020183664A1 (ja) * 2019-03-13 2020-09-17
WO2020183664A1 (ja) * 2019-03-13 2020-09-17 日立化成株式会社 摩擦部材、摩擦材組成物、摩擦材及び車両

Also Published As

Publication number Publication date
JP2991970B2 (ja) 1999-12-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102116768B1 (ko) 브레이크용 마찰 재료
WO2017170560A1 (ja) 摩擦材組成物
JP2991970B2 (ja) 摩擦材
JP4380034B2 (ja) 非石綿系摩擦材
KR101035240B1 (ko) 로스틸계 마찰재 및 이를 포함하는 차량용 브레이크
JP5183902B2 (ja) ノンアスベスト摩擦部材
JPH05247441A (ja) 摩擦材
JPH09144792A (ja) 摩擦材
JP2004331861A (ja) 摩擦材
JP2000178538A (ja) 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材
JP3838529B2 (ja) 非石綿系摩擦材
JP3838400B2 (ja) 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材
JPH0931440A (ja) 摩擦材
JP2000290636A (ja) 摩擦材
JP2004346214A (ja) 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材
JP3809924B2 (ja) 摩擦材組成物、摩擦材組成物の製造法及び摩擦材組成物を用いた摩擦材
JP3782243B2 (ja) ブレーキ用摩擦材
JP2000319635A (ja) 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材
JP2001279230A (ja) 摩擦材
JP2003105323A (ja) 非石綿系摩擦材
JPH1112559A (ja) 摩擦材
JPH10245441A (ja) 摩擦材
JPH0693111A (ja) 非石綿系摩擦材
JPH09143454A (ja) 摩擦材組成物
JP2020051438A (ja) 摩擦部材、摩擦材組成物、摩擦材及び車