JPH10245441A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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JPH10245441A
JPH10245441A JP4822597A JP4822597A JPH10245441A JP H10245441 A JPH10245441 A JP H10245441A JP 4822597 A JP4822597 A JP 4822597A JP 4822597 A JP4822597 A JP 4822597A JP H10245441 A JPH10245441 A JP H10245441A
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JP
Japan
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fiber
copper
fibers
friction
friction material
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JP4822597A
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English (en)
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Naoki Kotani
直樹 小谷
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅繊維の偏析を防止して、摩擦材中での分散
と保持性を向上すると共に、ノイズの発生を低減する。 【解決手段】 繊維長1〜10mmのカール状またはねじ
れ状銅繊維50〜80体積%と、繊維長3〜10mmのノ
ボロイド繊維5〜30体積%とをフェノール樹脂10〜
30体積%により結合して形成した造粒体を含む繊維基
材と、フェノール樹脂からなる樹脂結合剤と、摩擦調整
剤等の充填剤とを含む。銅繊維として、ノボロイド繊維
ヒゲ付銅繊維の形態の造粒体を使用するので、他の材料
との絡み性が良いことによって、その偏析が防止され
る。そのため、摩擦材中での分散と保持性も向上され、
銅繊維の突出または脱落によるノイズ(異音)の発生を
低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はディスクブレーキパ
ッド、ドラムブレーキライニング、或いはクラッチフェ
ーシング等として使用される摩擦材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車のディスクブレーキ或いはドラム
ブレーキに使用されるパッド、ライニング等の摩擦材
は、制動のために、相手材であるディスクロータ或いは
ブレーキドラムと摩擦係合して運動エネルギを熱エネル
ギに変換する重要な役割を担っている。
【0003】そのため、摩擦材には、高負荷にも耐える
ことができる高い強度及び耐熱性と優れた耐摩耗性とが
必要であるだけでなく、十分に高い摩擦係数を有し、ま
たその摩擦係数が温度変化によっても安定していること
等が必要である。更には、相手材攻撃性が少ないこと、
摩擦係合時(制動時)にノイズ(鳴き)の発生がないこ
と等も必要であり、摩擦材に求められる特性は多項目に
亘っている。
【0004】そこで、これらの各種の特性を満たすため
に、摩擦材は多くの成分からなる複合材として形成され
ている。即ち、摩擦材は、その骨格を形成し、それに適
度な多孔性を付与すると共にその全体の強度と弾性を与
える繊維状の成分である繊維基材と、この繊維基材を結
合保持する樹脂成分であるフェノール樹脂等の樹脂結合
剤と、粉末状の成分であって、これらの繊維基材と樹脂
結合剤とのマトリックス中に分散し充填される摩擦・摩
耗特性等の改善のための各種の充填剤とから形成されて
いる。そして、その繊維基材としては、アラミド繊維等
の耐熱性有機繊維、チタン酸カリウム繊維またはウイス
カ、ガラス繊維、セラミック繊維の無機繊維、銅繊維、
或いはスチール系繊維(セミメタリック摩擦材の場合)
等が、通常それらの2種以上を組合せて使用されてい
る。また、充填剤としては、主に摩擦係数を調整し安定
化するための黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、
カシューダスト等の摩擦調整剤、主に耐熱性、耐摩耗性
を確保するための硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体
質充填剤、摩擦係数を高めるためのケイ酸ジルコニウム
粉等のアブレッシブ剤等が使用されている。
【0005】ここで、繊維基材としての銅繊維は、その
高い熱伝導性により摩擦係合時の摩擦面に発生する熱を
拡散し、それによって耐フェード性を高める作用を有し
ている。そのため、この銅繊維は、特に、非スチール系
の摩擦材においては、高負荷時(高温時)の摩擦係数を
確保するために、通常必須の成分とされている。なお、
この銅繊維は、粉状の形態の銅粉末として、或いは、被
削性のよい真鍮(黄銅)繊維に代えて用いられる場合も
あるが、摩擦材中での保持性及びより高い熱伝導性の点
で、この銅繊維の使用が一般的である。
【0006】なお、このように繊維基材の少なくとも一
部として銅繊維を使用した摩擦材については、例えば、
特開平8−128480号に開示の技術があり、ここで
は、相手材の摩耗をより低減するために、銅繊維基体の
表面にポリアミドイミド層を形成し、更にその表面に二
硫化モリブデン粉末の固体潤滑剤を担持させた構造の銅
繊維の使用が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、摩擦材、
特に、非スチール系の摩擦材においては、耐フェード性
を向上し、高温時の摩擦係数を確保するために、銅繊維
を配合することが一般的である。
【0008】しかしながら、この銅繊維は他の配合材料
に比べて比重が重く、また通常ストレートまたはそれに
近い形状の短繊維として形成されることから、摩擦材原
料の混合時または予備成形金型への充填時に沈降して、
偏析が生じ易い。しかも、この銅繊維は、接着性の良い
樹脂結合剤であるフェノール樹脂に対しても結合性が比
較的弱く、また、フェノール樹脂とは熱膨脹率も若干異
なるため、低温と高温との間の温度変化が繰返されるこ
とによってその結合性も低下し易い。
【0009】そのため、銅繊維が配合された摩擦材で
は、そのような偏析によってその摩擦特性に経時的変化
または製品間のバラツキが生じるだけでなく、特にその
偏析した部分では、樹脂結合剤による保持性が低いこと
により、摩擦材表面の銅繊維が、相手材との摩擦摺動に
よってその表面から突出し、或いは脱落する傾向があっ
た。そして、この摩擦材の表面から突出しまたは脱落し
た銅繊維は、相手材との間に食込み、或いは相手材の表
面に転移して凝着することによって、ノイズ(異音)の
発生原因となるものであった。
【0010】そこで、本発明は、銅繊維の偏析を防止
し、それによって、銅繊維の摩擦材中での分散と保持性
を向上すると共に、ノイズの発生を低減することができ
る摩擦材の提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、銅繊維の偏
析が主に他の繊維基材または配合材料との絡み(から
み)の欠如によって生じることから、それを防止するた
めには、その銅繊維をそれらとの絡みの良い形態とすれ
ばよいことに着目した。そして、更に試行錯誤と検討と
を繰返した結果、銅繊維として、従来のようなストレー
ト(直線)に近い形状ではなく、カール状またはねじれ
状に曲折した銅繊維を使用すると共に、これに樹脂結合
剤(フェノール樹脂)との接合性(なじみ性)の良いノ
ボロイド繊維をフェノール樹脂により結合して予備形成
した造粒体、即ち、ノボロイド繊維がヒゲ状に付着した
形態の銅繊維を用いることによって、上記の課題が有利
に解決できることを見出し、また確認した。
【0012】即ち、本発明にかかる摩擦材は、繊維長1
〜10mmのカール状またはねじれ状銅繊維50〜80体
積%と、繊維長3〜10mmのノボロイド繊維5〜30体
積%とをフェノール樹脂10〜35体積%により結合し
て形成した造粒体を含む繊維基材と、フェノール樹脂か
らなる樹脂結合剤と、摩擦調整剤等の充填剤とを含むも
のである。
【0013】このように、この摩擦材においては、銅繊
維が、カール状またはねじれ状の銅繊維にノボロイド繊
維をフェノール樹脂により結合したノボロイド繊維ヒゲ
付銅繊維の形態の造粒体として用いられているので、銅
繊維自体がカール状またはねじれ状であることに加え、
ノボロイド繊維がヒゲ状に付着していることにより、相
互の、また他の繊維基材及び配合材料との絡み付きが向
上される。そのため、銅繊維はその偏析が防止され、摩
擦材中に均一に分散される。そして、それによって、銅
繊維の摩擦材中での保持性も向上され、摩擦材の表面か
らの突出或いは脱落が防止されることにより、ノイズの
発生が低減される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この摩擦材について、更に
詳細に説明する。
【0015】上記のように、本摩擦材においては、繊維
基材の少なくとも一部として用いられる銅繊維として、
繊維長1〜10mmのカール状またはねじれ状銅繊維50
〜80体積%と、繊維長3〜10mmのノボロイド繊維5
〜30体積%とをフェノール樹脂10〜35体積%で結
合して予備形成した銅繊維の造粒体、即ち、カール状ま
たはねじれ状銅繊維にノボロイド繊維がフェノール樹脂
によりヒゲ状に結合した形態の造粒体を使用する。
【0016】ここで、銅繊維自体としては、ノボロイド
繊維を含めた他の繊維状材料との絡み性をより向上する
ために、ストレート(直線)またはそれに近い形状では
なく曲折した形状の、即ち、カール状またはねじれ状の
銅繊維を使用する。そして、そのカール状銅繊維は、例
えば、銅箔よりの削り出しによって、また、ねじれ状銅
繊維は、例えば、エンドミルによる削り出しによって得
ることができる。ただし、このような銅繊維は特別に製
造したものである必要はなく、繊維状の細長い形状であ
って曲折した形状であれば、銅製品の加工の際に生じる
切削屑も同様に使用することができる。また、この銅繊
維の繊維長(平均繊維長)については、余り長いと、形
成される造粒体が大きくなりすぎるだけでなく、摩擦材
中での分散性と保持性が悪化する傾向となる。また逆
に、余り小さいと、造粒体の他の材料との絡み性を確保
することが困難となる。そのため、この銅繊維の繊維長
は、特に臨界的ではないが確認した範囲では、10mm程
度を上限とし、1mm程度を下限とする1〜10mmの範囲
が適切である。なお、この繊維長は従来よりも若干小さ
めであるが、繊維径については、従来と同程度の30〜
70μm程度が最も好ましい。
【0017】ノボロイド繊維は、ノボラック型フェノー
ル樹脂の硬化物からなる繊維であって、銅繊維にヒゲ状
に結合させることによって、他の繊維状材料との絡み性
を向上するために使用される。なお、絡み性だけの点で
は他の繊維材料の使用も考えられるが、フェノール樹脂
からなる樹脂結合剤との結合性の点からすれば、同種の
材質からなるノボロイド繊維が特に好ましいものであ
る。また、このノボロイド繊維の繊維長(平均繊維長)
については、余り短いと、十分な絡み性が得られず、ま
た逆に、余り長すぎると、分散性が返って悪化するため
であると考えられるが、ノイズ(異音)が発生し易くな
る傾向がある。そのため、このノボロイド繊維の繊維長
については、3mm程度を下限とし、10mm程度を上限と
する3〜10mmの範囲が適切である。なお、このような
繊維長のノボロイド繊維は、一般にチョップドファイバ
またはミルドファイバとして得ることができ、また、そ
の繊維径は10〜30μm程度が好ましい。
【0018】そして、ノボロイド繊維ヒゲ付銅繊維から
なる造粒体は、これらの銅繊維とノボロイド繊維とを均
一に混合し、そして、この混合物を撹拌しながら、フェ
ノール樹脂を添加し、それらの繊維を相互に結合するこ
とによって得ることができる。具体的には、ノボラック
型フェノール樹脂(粉体)を使用して、その溶融温度に
加熱した撹拌容器中で銅繊維とノボロイド繊維との混合
物を撹拌しながら、そのフェノール樹脂を添加し、溶融
したフェノール樹脂によってそれらの繊維を粒状に凝着
させ、次いで、フェノール樹脂が硬化しない間に容器を
冷却して、そのフェノール樹脂によって凝着された粒状
物を固化することによって、その造粒体を得ることがで
きる。ここで、フェノール樹脂は少なくとも完全には硬
化させないことが好ましく、それによって、造粒体が塊
状に形成された場合にそれを適度な大きさに解きほぐす
ことができ、また、摩擦材の熱成形の際に、その未硬化
のフェノール樹脂を他の配合材料との結合に役立てるこ
とができる。なお、このフェノール樹脂としては、その
摩擦材の樹脂結合剤として使用される通常はノボラック
型のフェノール樹脂と同一のものを使用することができ
るが、変性の種類等が異なるものも適宜用いることがで
きる。また、液状であるレゾール型のフェノール樹脂も
適宜用いることができ、この場合には、冷却時に固化す
る程度に半硬化させて造粒体を形成することができる。
【0019】また、この銅繊維の造粒体において、ノボ
ロイド繊維は良好な絡み性を得るために十分な割合で、
また、フェノール樹脂は銅繊維とノボロイド繊維との良
好な結合を得るために十分な割合で使用される。ただ
し、ノボロイド繊維は強度が比較的小さいため、余り多
い配合は摩擦材の強度を相対的に低下させることにな
り、また、フェノール樹脂の余り多い配合は、それらの
繊維をその樹脂中に埋没させることになり、絡み性を低
下させる。そのため、銅繊維と、ノボロイド繊維と、フ
ェノール樹脂との配合割合は、上記のように、それぞれ
50〜80体積%(より好ましくは、55〜70体積
%)、5〜30体積%、及び10〜35体積%が適切で
ある。
【0020】そして、このノボロイド繊維ヒゲ付銅繊維
からなる造粒体は、銅繊維を含む繊維基材と、樹脂結合
剤と、充填剤とからなる従来から一般的な摩擦材におい
て、その銅繊維に代えて用いることができる。ただし、
その繊維基材の全部をこの造粒体に代えて用いることも
できる。しかし、一般には、その造粒体の銅繊維とノボ
ロイド繊維だけでは摩擦材として必要な強度等を確保す
ることが困難であり、少なくとも他の繊維基材と併用す
ることが好ましい。
【0021】そして、本摩擦材に使用される銅繊維以外
の繊維基材、樹脂結合剤、及び充填剤については、従来
と基本的に同様である。
【0022】即ち、繊維基材としては、アラミド繊維、
ノボロイド繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等の耐熱
性有機繊維、チタン酸カリウム繊維またはウィスカ、セ
ラミック繊維、スラグウール、カーボン繊維、或いはガ
ラス繊維等の無機繊維等が挙げられる。そして、これら
の繊維は、一般にこれらの2種以上を相互に組合せて、
上記の銅繊維の造粒体と共に使用することができる。
【0023】なお、繊維基材としては、スチール繊維ま
たはステンレススチール繊維も使用することができる。
そして、このスチール系繊維を繊維基材の主材として用
いた場合には摩擦材はセミメタリック系摩擦材として形
成されるが、この場合、熱伝導性は十分であるため、上
記の銅繊維造粒体は、スチール系繊維による相手材攻撃
性を抑え、相手材の摩耗を抑制するために使用されるこ
とになる。
【0024】また、繊維基材及び充填剤を結合保持する
樹脂結合剤としては、ここでは、最も一般的に使用され
ているものであるが、各種の熱硬化性樹脂の中でも結合
強度が高く、熱的強度も高いフェノール樹脂が使用され
る。そして、このフェノール樹脂としては、通常ノボラ
ック型が使用されるが、レゾール型も必要に応じて使用
することもできる。また、このフェノール樹脂は、アル
キルベンゼン等で変性した各種の変性フェノール樹脂で
あることができる。
【0025】更に、摩擦材の摩擦・摩耗特性を調整し改
善する充填剤としては、黒鉛(グラファイト)、二硫化
モリブデン、三硫化アンチモン等の固体潤滑剤、カシュ
ーダストまたはその他の高分子粉末等の摩擦調整剤、硫
酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質充填剤、ケイ酸ジ
ルコニウム粉、酸化ジルコニウム粉等のアブレッシブ
剤、或いはその他の摩擦・摩耗調整のための添加剤を使
用することができる。
【0026】そして、以上の成分、即ち、銅繊維の造粒
体を含む繊維基材と、フェノール樹脂からなる樹脂結合
剤と、摩擦調整剤等の充填剤とからなる本摩擦材は、こ
れらの材料成分を混合し、この混合物を圧縮して予備成
形した後、加熱加圧成形する通常の熱成形方法によって
製造することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を、実施例及び比較例により更
に具体的に説明する。
【0028】図1は本発明の実施例(1,3)及び比較
例(1)の摩擦材の配合組成と、偏析等に関するその評
価試験結果を示す表図である。また、図2は本発明の実
施例及び比較例の摩擦材に使用した銅繊維の造粒体の配
合組成と、ノイズ(異音)の発生に関するその各摩擦材
の評価試験結果とを示す表図である。
【0029】〔摩擦材(パッド)の作製〕図2に示す配
合組成(体積%)で予め形成した銅繊維の造粒体を用
い、図1に示す配合組成(体積%)で、本発明の実施例
1乃至実施例6の摩擦材を作製した。また、これらとの
対比のために、比較例1乃至比較例6の摩擦材も合わせ
て作製した。ただし、比較例1では銅繊維をそのまま使
用した。なお、これらの実施例及び比較例の各摩擦材
は、具体的には、自動車のディスクブレーキ用パッドと
して具体化したものである。
【0030】即ち、図1のように、本発明の実施例(及
び比較例)の摩擦材は、繊維基材と、樹脂結合剤と、充
填剤とを含み形成されている。そして、摩擦材の骨格を
形成する繊維基材は、主材としてのアラミド繊維12体
積%と、主に耐熱強度と耐摩耗性を確保するためのチタ
ン酸カリウム繊維8体積%と、主に摩擦係数を確保する
ためのガラス繊維2体積%と、そして、摩擦材の熱伝導
性を適度に高め、耐フェード性を向上するための銅繊維
の造粒体5体積%とからなっている。ただし、銅繊維を
そのまま使用した比較例1では、その銅繊維の配合割合
は3体積%とされている。したがって、本実施例(及び
比較例)の摩擦材は、スチール系繊維を含まない非スチ
ール系摩擦材として形成されている。
【0031】また、樹脂結合剤はフェノール樹脂(ノボ
ラック型の粉末)からなり、20体積%の割合で配合さ
れている。更に、充填剤として、カシューダスト20体
積%、グラファイト5体積%、二硫化モリブデン3体積
%、消石灰3体積%、酸化ジルコニウム3体積%、及び
硫酸バリウム19体積%(ただし、比較例1では21体
積%)が配合されている。なお、消石灰は、摩擦材のア
ルカリ性を保持し、裏金との接合面の防錆性を確保する
ためのものである。
【0032】ここで、上記の銅繊維の造粒体として、図
2に示すように、形状と繊維長とが異なる5種類の銅繊
維と、繊維長が異なる5種類のノボロイド繊維と、また
ノボラック型のフェノール樹脂とを用いて、配合組成の
異なる種々の造粒体を形成し、各実施例及び比較例(比
較例1を除く)において使用した。
【0033】なお、これらの銅繊維の造粒体は、次のよ
うに製造した。即ち、銅繊維とノボロイド繊維とを所定
の割合で回転混合釜に投入し、予め十分ミキシングする
と共に、その混合釜を約80℃に昇温した後、これに更
に所定量のフェノール樹脂(粉体)を加えた。そして、
フェノール樹脂を均一に分散させると共に溶融させ、銅
繊維とノボロイド繊維とをその溶融したフェノール樹脂
によって粒状に凝着させた後、この混合釜を、比較的低
速で回転させた状態で冷却してフェノール樹脂を固化さ
せ、銅繊維にノボロイド繊維がヒゲ状に付着した形態の
造粒体を形成した。
【0034】そして、実施例1で使用したこの銅繊維の
造粒体は、繊維長3mmのカール状銅繊維60体積%、繊
維長3mmのノボロイド繊維10体積%、及びフェノール
樹脂30体積%からなる。また、実施例2乃至実施例6
で使用した造粒体は、配合割合をそのままに固定し、用
いる銅繊維の繊維長及び形状とノボロイド繊維の繊維長
とを変えたものである。即ち、実施例2では、繊維長1
0mmのカール状銅繊維と繊維長3mmのノボロイド繊維と
を、実施例3では、繊維長3mmのねじれ状銅繊維と繊維
長3mmのノボロイド繊維とを、実施例4では、繊維長3
mmのカール状銅繊維と繊維長6mmのノボロイド繊維と
を、実施例5では、繊維長3mmのカール状銅繊維と繊維
長10mmのノボロイド繊維とを、また、実施例6では、
繊維長10mmのカール状銅繊維及び繊維長10mmのねじ
れ状銅繊維の等量(30体積%)混合物と繊維長3mmの
ノボロイド繊維とを、それぞれ使用した。
【0035】これらの実施例で使用した造粒体に対し
て、比較例1では繊維長3mmのカール状銅繊維をそのま
ま使用した。また、比較例2では、実施例1に対して繊
維長が15mmと長いカール状銅繊維を使用し、更に、比
較例3では、実施例1に対して繊維長が1mmと短いノボ
ロイド繊維を使用し、また逆に、比較例4では、繊維長
が15mmと長いノボロイド繊維を使用した。更に、比較
例5では、実施例1に対して、30体積%のストレート
状銅繊維を繊維長3mmのカール状銅繊維と合せて使用
し、加えて、比較例6では、フェノール樹脂の配合割合
を5体積%と少なくした。
【0036】そして、これらの造粒体を含む実施例及び
比較例の各摩擦材(ディスクブレーキパッド)の作製
は、通常の熱成形による方法によって、具体的には次の
ように行った。即ち、銅繊維の造粒体(比較例1では、
銅繊維)を含めた上記の配合の摩擦材原料をV型ブレン
ダで十分均一に混合し、次いで、この粉状混合物を予備
成形金型に投入し、常温下、200kg/cm2 の圧力
で1分間加圧して、略パッドの形状に予備成形した。次
いで、この摩擦材の予備成形物を、予め表面にフェノー
ル樹脂(レゾール型)系接着剤を塗布した裏金と共に熱
成形金型にセットし、400kg/cm2 の加圧圧力、
160℃の温度で約10分間熱成形した。そして、これ
を更に250℃で120分間熱処理して、裏金と一体に
なった摩擦材、ディスクブレーキパッドを得た。
【0037】〔評価試験〕次に、作製したこれらの実施
例及び比較例の各摩擦材(ディスクブレーキパッド)に
ついて、ノイズ(異音)の発生に関する評価試験を行っ
た。また、実施例1及び実施例3と比較例1の摩擦材に
ついては、それらの制動時の油圧変化を試験すると共
に、銅繊維の偏析状態を検査した。
【0038】具体的には、各摩擦材をブレーキダイナモ
テスターに装着し、回転数を374rpmとし、減速度
と制動開始前温度に関する条件をそれぞれ0.2〜0.
8G及び60〜180℃の範囲で種々に変化させ、合計
100回の制動試験を行った。そして、この制動試験に
おいて、ノイズ(異音)が微かにでも発生した場合の回
数をカウントし、ノイズの発生性を評価した。また、制
動時の油圧変化については、この制動試験において1制
動中の油圧の変化を測定し、その変化率を算出した。
【0039】また、銅繊維の偏析状態については、摩擦
材の摩擦面、及び、摩擦面から深さ2mm、4mm、6mmの
位置をそれぞれ蛍光X線分析(φ30)し、Cuカウン
トして、その変動率(Cuカウント変動率)を求めた。
【0040】これらの評価試験の結果を、図1及び図2
に合わせて示す。
【0041】〔試験結果〕図1及び図2のように、実施
例1乃至実施例6の摩擦材は、ノイズ(異音)の発生性
においていずれも良好な結果が得られている。そして、
特に図1のように、銅繊維としてカール状の銅繊維を用
いたものであるが、そのまま用いた比較例1の摩擦材と
の対比から、その銅繊維をノボロイド繊維と合せてフェ
ノール樹脂で結合した造粒体を用いた実施例によれば、
銅繊維の偏析が大幅に抑制され、銅繊維の摩擦材中での
均一な分散状態を得ることができ、また、それによって
銅繊維の保持性が高められ、その表面からの突出または
脱落が防止される結果、ノイズの発生を良好に抑制でき
ることが分かる。
【0042】なお、銅繊維の造粒体であっても、比較例
2乃至比較例6の摩擦材に使用した造粒体ではノイズの
発生性において良好な結果が得られていない。そこで、
用いる銅繊維とノボロイド繊維とは、その繊維長がそれ
ぞれ1〜10mm、及び3〜10mmであることが適切であ
ること、また、特に比較例5との対比から、用いる銅繊
維はカール状またはねじれ状に曲折したものであること
が必要であること、更に、銅繊維とフェノール樹脂との
結合のためにフェノール樹脂は十分な割合で配合される
ことも必要であることが分かる。
【0043】ところで、本発明の摩擦材については、特
に、ディスクブレーキパッドを実施例として説明した
が、本発明を実施する場合には、これに限定されるもの
ではなく、ドラムブレーキのライニング、或いはクラッ
チフェージング等のその他の摩擦材にも同様に適用する
ことができる。また繊維基材等の種類と配合等について
も、これらの実施例に限定されることなく種々に変更す
ることができる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる摩擦材
は、繊維長1〜10mmのカール状またはねじれ状銅繊維
50〜80体積%と、繊維長3〜10mmのノボロイド繊
維5〜30体積%とをフェノール樹脂10〜35体積%
により結合して形成した造粒体を含む繊維基材と、フェ
ノール樹脂からなる樹脂結合剤と、摩擦調整剤等の充填
剤とを含むものである。
【0045】したがって、この摩擦材によれば、繊維基
材の少なくとも一部として含まれる銅繊維が、カール状
またはねじれ状の銅繊維にノボロイド繊維をフェノール
樹脂により結合したノボロイド繊維ヒゲ付銅繊維の形態
の造粒体として用いられているので、銅繊維自体がカー
ル状またはねじれ状であると共にこれにノボロイド繊維
がヒゲ状に付着していることによって、相互の、及び他
の繊維基材及び配合材料との絡み付きを向上することが
でき、それによって、銅繊維の偏析を防止し、銅繊維を
摩擦材中に均一に分散させることができる。そのため、
銅繊維の摩擦材中での保持性を向上し、摩擦材の表面か
らの突出或いは脱落を防止することができるので、ノイ
ズ(異音)の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例(1,3)及び比較例
(1)の摩擦材の配合組成と、偏析等に関するその評価
試験結果を示す表図である。
【図2】 図2は本発明の実施例及び比較例の摩擦材に
使用した銅繊維の造粒体の配合組成と、ノイズ(異音)
の発生に関するその各摩擦材の評価試験結果とを示す表
図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維長1〜10mmのカール状またはねじ
    れ状銅繊維50〜80体積%と、 繊維長3〜10mmのノボロイド繊維5〜30体積%とを
    フェノール樹脂10〜35体積%により結合して形成し
    た造粒体を含む繊維基材と、 フェノール樹脂からなる樹脂結合剤と、 摩擦調整剤等の充填剤とを含むことを特徴とする摩擦
    材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005093278A1 (en) * 2004-03-26 2005-10-06 Allan Fenwick Method for applying a dampening material
JP2012514679A (ja) * 2009-01-09 2012-06-28 ボーグワーナー インコーポレーテッド 摩擦改質粒子が結合させられた複数の結合剤粒子を含む摩擦材料
US10138969B2 (en) 2013-03-22 2018-11-27 Nisshinbo Brake, Inc. Friction material

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JP2012514679A (ja) * 2009-01-09 2012-06-28 ボーグワーナー インコーポレーテッド 摩擦改質粒子が結合させられた複数の結合剤粒子を含む摩擦材料
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