JP4380034B2 - 非石綿系摩擦材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、大型トラック、鉄道車両及び各種産業機械の制動に用いられる優れた摩擦性能を有する非石綿系摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、自動車、大型トラック、鉄道車両及び各種産業機械には、その制動のために摩擦材が使用されている。この摩擦材には、耐摩耗性に優れていること、摩擦係数が高くかつ安定していること、耐フェード性に優れていること、ブレーキ制動時の鳴き等の異音が発生しないこと、対面(ローター)攻撃性が小さいことなどの諸性能が要求されている。
【0003】
この場合、一般に摩擦材は、繊維基材と、結合材と、充填材とを主成分とする摩擦材組成物を混合し、予備成形、熱成形(プレス)、必要に応じて後硬化(熱処理)、塗装、焼付、研磨を行って完成品を作成しており、原料の混合方法としては、乾式混合、溶剤や水を使用した湿式混合などが行われている。
【0004】
しかしながら、原料の混合に際して、繊維状物はダマ(原料の固まり)になりやすく均一に分散し難いという問題がある。また、硬い粒子や硬い繊維状物は研削性が高いため、混合が不十分であると摩擦材中で偏析が生じて鳴き性能、耐フェード性、耐摩耗性、対面攻撃性、高速制動振動性などの摩擦性能に不具合が生じてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、繊維状物や硬い粒子を摩擦材中に均一に混合分散し得、これら摩擦材成分の能力を最大限に引き出すことができる優れた摩擦性能を有する非石綿系摩擦材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ゴムと繊維状物とを主成分とするゴム複合材粒子又はゴムと繊維状物と硬い粒子とを主成分とするゴム複合材粒子を摩擦材組成物中に添加することにより、摩擦材中に繊維状物又は繊維状物と硬い粒子とを均一に分散した状態で混合させることができ、優れた摩擦性能を発揮し得ることを知見した。
【0007】
即ち、繊維基材と、結合材と、充填材とを主成分とする非石綿系摩擦材組成物を成形、硬化してなる非石綿系摩擦材において、上記摩擦材組成物中に少なくとも1種の繊維状物とゴムとを主成分とするゴム複合材粒子、又は少なくとも1種の繊維状物と少なくとも1種の硬い粒子とゴムとを主成分とするゴム複合材粒子を添加することにより、繊維状物又は繊維状物と硬い粒子が摩擦材中で均一に混合分散され、他の成分と良く絡み合って、各成分の能力を最大限に発揮し得る状態で成形されているので、硬い粒子や硬い繊維状物の摩擦材中への偏析による対面(ローター)攻撃性、摩耗量が小さくなり、鳴き性能が向上し、高温度域での摩擦係数の低下が確実に防止できると共に、ブレーキ制動中にゴムが引き千切られ、脱落することを可及的に防止できる高品質な非石綿系摩擦材が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
この場合、本発明の非石綿系摩擦材によれば、柔らかいゴムと繊維状物や硬い粒子とを主成分とするゴム複合材粒子を摩擦材組成物中に添加することにより、従来は、ダマになりやすく分散し難い繊維状物を均一に混合分散させることができると共に、硬い粒子及び硬い繊維状物は摩擦材中に偏析すると研削性が高いために、摩擦性能に不具合(鳴き、振動)が生じるが、かかる偏析を防止できるので、上記不具合を可及的に防止できるものである。また、摩擦材中のゴムは対面(ローター)に移着フィルムを形成するので、移着しすぎても研削しすぎても摩擦性能に不具合が生じるものであるが、本発明の摩擦材によれば、ゴムと繊維状物又はゴムと繊維状物と硬い粒子とを主成分とするゴム複合材粒子を含むことにより、ゴムの研削と移着のバランスが図れ、ゴム複合材粒子が摩擦材から脱落し難くなると共に、摩擦時に剪断力がかかった場合にもゴムが引き千切られにくく、摩擦材の摩耗量が極めて少なくなり、しかも、このゴム複合材粒子の脱落は高温時にも生じ難く、高温高負荷高速摩擦時においても、摩擦材の効力が十分確保できるものである。
【0009】
従って、本発明は、少なくとも1種の繊維状物とゴムとの混合物を粉砕したゴム複合材粒子と、繊維基材と、結合材と、充填材とを主成分とする非石綿系摩擦材組成物を成形、硬化してなる非石綿系摩擦材において、上記ゴム複合材粒子の嵩密度が理論密度(理論比重)の1/2以下であることを特徴とする非石綿系摩擦材を提供する。
【0010】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の非石綿系摩擦材は、少なくとも1種の繊維状物とゴムとの混合物を粉砕したゴム複合材粒子と、繊維基材と、結合材と、充填材とを主成分とする摩擦材組成物を成形、硬化してなるものである。また、上記ゴム複合材粒子には少なくとも1種の硬い粒子を添加することができる。
【0011】
ここで、本発明のゴム複合材粒子に用いることができるゴムとしては、特に制限はなく、例えばアクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロブチルゴム(CBR)、シリコーンゴム、クロロプレンゴム(CR)、フッ素ゴム(FR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(AR)、ウレタンゴム(UR)、多硫化ゴム(商品名:ポリサルファイドTR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM、商品名:ハイパロン)等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもアクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロブチルゴム(CBR)、シリコーンゴム、クロロプレンゴム(CR)、フッ素ゴム(FR)が好ましい。
【0012】
上記ゴムは未架橋(未加硫)乃至半架橋(半加硫)状態のもの(一部架橋(加硫)を含む)を使用する方が、繊維状物や硬い粒子などと良く混ざると共に、成形時、硬化時に架橋(加硫)させることにより、他の成分との密着性が向上する点から好ましい。なお、場合によっては架橋(加硫)ゴムを用いることもできる。
【0013】
上記繊維状物は、繊維及び繊維成分を含み、本発明においては硬い繊維状物と柔らかい繊維状物に区別される。これらは通常、対面(ローター)を研削する能力があるものを硬い繊維状物といい、一方、対面を研削しない(自らが移着していく)ものを柔らかい繊維状物という。更に具体的には、硬い繊維状物はモース硬度が4以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは5〜10のものである。一方、柔らかい繊維状物はモース硬度が4未満、好ましくは3.5未満、より好ましくは3未満、更に好ましくは1〜3のものである。
【0014】
この場合、繊維状物の繊維長は、特に制限されず、通常10〜5000μm程度であり、より好ましくは100〜3000μmである。繊維長が短かすぎると摩擦材の強度が低下する場合があり、一方、長すぎると研削性が高くなりすぎて対面を摩耗しすぎてしまう場合がある。また、各繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、通常10〜2000程度、好ましくは10〜1000である。
【0015】
本発明においては、少なくとも1種、好ましくは1〜4種の繊維状物を用いることができる。具体的には、少なくとも1種の硬い繊維状物を単独で又は少なくとも1種の柔らかい繊維状物を単独で用いることも勿論可能であるが、中でも少なくとも1種の硬い繊維状物と少なくとも1種の柔らかい繊維状物とを組み合わせて用いることが好ましい。
【0016】
上記硬い繊維状物としては、例えば、▲1▼セラミック繊維、▲2▼天然鉱物繊維、▲3▼ガラス繊維、▲4▼金属繊維などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
具体的には、▲1▼セラミック繊維としては、例えばアルミナ、シリカを主成分とするセラミック繊維、アルミナ、シリカ、ジルコニアを主成分とするセラミック繊維、シリカ、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを主成分とするセラミック繊維等が挙げられ、これらセラミック繊維としては、例えば「イビデン」(イビデン社製)、「エスファイバーSC」(新日化サーマルセラミックス社製)、「SUPER WOOL612」(モルガン社製)、「ファイバーフラックス」(東芝モノフラックス社製)等の市販品を用いることができる。
▲2▼天然鉱物繊維としては、例えばロックウール、ウオラストナイト、セピオライト等が挙げられる。
▲4▼金属繊維としては、例えばスチール、ステンレス、青銅、銅、真鍮の各種金属の繊維等が挙げらる。
【0018】
上記柔らかい繊維状物としては、例えばアラミド繊維、炭素繊維、セルロース繊維、アクリル繊維、チタン酸カリウム繊維などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもアラミド繊維(商品名:ケブラー(デュポン社製)、トワロン(AKZO社製))が好ましい。
【0019】
上記硬い粒子は、鋳鉄を研削できる硬度を有するものであれば特に制限されることなく用いることができ、中でもモース硬度が4以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは5〜10のものが好ましい。
【0020】
このような硬い粒子としては、例えばセラミック粒子、金属酸化物、各種窒化物等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
具体的には、炭化珪素、酸化ジルコン、ケイ酸化ジルコン、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化珪素、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム、二ホウ化チタンなどが挙げられる。これらの中でも炭化珪素、酸化ジルコン、ケイ酸化ジルコン、アルミナ、シリカが好ましい。
【0022】
この場合、硬い粒子の粒径は、粒子の種類、粒子硬度、粒子形状などに応じて異なり一概には規定できないが、硬度が高い(硬い)ほど粒径は小さく制限される。一方、硬度が低い(柔らかい)ほど粒径は大きいものまで使用できる。また、硬度が高い(粒径が大きい)ほど研削性は高くなるので、実際の摩擦材の利用範囲は制限される。更に、粒子形状が鋭利な形状(例えば破砕断片状等)を有する場合には、球状や表面処理したものより研削性は高い傾向がある。
【0023】
従って、本発明の硬い粒子は、形状を一定とした場合、モース硬度が低く、粒径が小さいものほど本発明の効果が小さくなる傾向がある。例えばモース硬度が9である場合、粒径は0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmのものを用いることが好ましい。また、モース硬度が5である場合、粒径は1〜500μm、より好ましくは5〜200μmのものを用いることが好ましい。
【0024】
本発明のゴム複合材粒子の主成分がゴムと繊維状物である場合には、ゴム成分量が3〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは5〜35重量%であり、繊維状物が30〜97重量%、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは65〜95重量%である。この場合、繊維状物としては硬い繊維状物及び柔らかい繊維状物のいずれか一方を単独で又は双方を組み合わせて用いることができ、両者を組み合わせて用いる場合の混合割合は適宜選定され、硬い繊維状物は繊維状物全体に対して好ましくは30〜97重量%、より好ましくは50〜95重量%であり、柔らかい繊維状物は繊維状物全体に対して好ましくは3〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%の範囲である。
【0025】
また、本発明のゴム複合材粒子の主成分がゴムと繊維状物と硬い粒子である場合には、ゴム成分量が3〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは5〜35重量%であり、繊維状物が3〜96重量%、好ましくは50〜94重量%、より好ましくは65〜94重量%であり、硬い粒子物が1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%である。この場合、繊維状物としては硬い繊維状物及び柔らかい繊維状物のいずれか一方を単独で又は双方を組み合わせて用いることができ、両者を組み合わせて用いる場合の混合割合は適宜選定され、硬い繊維状物は繊維状物全体に対して好ましくは30〜97重量%、より好ましくは50〜95重量%であり、柔らかい繊維状物は繊維状物全体に対して好ましくは3〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%の範囲である。
【0026】
なお、本発明のゴム複合材粒子には、上記繊維状物及び硬い粒子以外にも、摩擦材に通常用いられる任意材料を適宜添加することができる。例えばカシューダスト、ゴム粉末、フェノール樹脂等のレジン、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属粉末、マイカ、バーミキュライト、グラファイト、コークス、二硫化モリブデン、三硫化アンチモン、三酸化アンチモン、リン系潤滑剤、硫酸バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられるが、任意材料はこれらに限定されるものではない。中でも、材料の混合性を向上させるため、グラファイト、コークス、マイカ、バーミキュライトなどの層状物を添加することが好ましい。
【0027】
本発明のゴム複合材粒子の製造方法は、上記ゴムと繊維状物(硬い繊維状物及び柔らかい繊維状物)との混合物、又はゴムと繊維状物(硬い繊維状物及び柔らかい繊維状物)と硬い粒子との混合物、更に必要に応じて任意材料を所定量計量し、混合機に投入して加圧混合する。この場合、原料を2〜10回程度に分けて混合機に投入することが好ましいが、原料全部を1度に投入しても構わない。加圧混合の条件は20〜200℃、1〜100kg/cm2で1〜30分間、好ましくは20〜100℃、1〜100kg/cm2で1〜30分間である。
【0028】
次に、加圧混合後、20kg/cm2以下、好ましくは10kg/cm2、より好ましくは5kg/cm2以下まで除圧する。その後、混合粉砕することにより、理論密度(理論比重)の1/2以下、好ましくは1/2〜1/50、より好ましくは1/5〜1/20の嵩密度を有するポーラス状(スポンジ状)のゴム複合材粒子が得られる。なお、ゴム複合材粒子中のゴム成分量が多い場合には、別の粉砕機(例えばカッティングミル、ボールミル、ターボミル、ジェットミルなど)に移して粉砕することもできる。
【0029】
また、ゴム複合材粒子の混合時に、ゴムと繊維状物及び硬い粒子との密着性を向上させるため、溶剤、結着剤を加えることもできる。溶剤としてはゴムを膨潤、溶解することができるものであれば特に制限されず、例えばオルソキシレンなどを用いることができる。結着剤としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、カシューオイル等の液体(溶剤)であっても粉末状であっても構わない。なお、溶剤を用いた場合には乾燥が必要となるので、粉砕前に乾燥させる方が粉砕し易く効率が良いので好ましい。
【0030】
本発明のゴム複合材粒子は、上述したように嵩密度が小さく、ふんわりとしたポーラス状(スポンジ状)であるため、摩擦材に添加した場合、摩擦材の気孔率、弾性を十分確保することができると共に、鳴き性能、耐フェード性などを向上させることができるものである。また、本発明のゴム複合材粒子は、その平均粒径が50〜10000μm、好ましくは100〜5000μm、より好ましくは300〜5000μm、更に好ましくは500〜2000μmである。ゴム複合材粒子の平均粒径が小さすぎると本発明の効果が十分発揮できない場合があり、一方、大きすぎると摩擦材組成物中での混合性が劣る場合がある。
【0031】
本発明のゴム複合材粒子を摩擦材組成物に混合する場合、ゴム複合材粒子中のゴムを未架橋(未加硫)乃至半架橋(半加硫)状態のままで、イオウ等の加硫剤(架橋剤)と一緒に摩擦材組成物中に添加混合することが好ましい。この場合、摩擦材組成物を成形及び後硬化(熱処理)することにより、ゴム複合材粒子を架橋(加硫)させることができ、他の材料との密着性が高くなるので好ましい。なお、加硫剤の添加量はゴム複合材粒子に対して通常0.05〜20重量%程度であり、自己架橋(自己加硫)するゴムを用いた場合は、架橋剤(加硫剤)の添加を省略することができる。場合によっては、予めゴム複合材粒子を架橋(加硫)させておいてから摩擦材組成物中に添加混合することもできる。
【0032】
上記ゴム複合材粒子の添加量は、摩擦材組成物全体に対して1〜40重量%、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは10〜25重量%である。ゴム複合材粒子の添加量が少なすぎると繊維状物がダマにならず均一に分散混合できると共に、硬い繊維状物及び硬い粒子が摩擦材中に偏析することなく均一に分散混合でき、各成分の能力を有効に引き出すという本発明の効果が発揮し得なくなる場合がある。一方、多すぎると摩擦材中の有機物の割合が過多になりフェード(高温度での効力)が低下する場合がある。
【0033】
本発明の非石綿系摩擦材は、摩擦材組成物中にゴムと繊維状物とを主成分とするゴム複合材粒子、又はゴムと繊維状物と硬い粒子とを主成分とするゴム複合材粒子を添加することにより、従来から分散混合し難い繊維状物や硬い粒子、特に研削性の高い硬い粒子や硬い繊維状物を摩擦材中に均一に混合分散させることができ、これら各成分の能力を最大限に引き出すことができるものである。
【0034】
以上説明したように、本発明の非石綿系摩擦材は、繊維基材と、結合材と、充填材とを主成分とする非石綿系摩擦材組成物を成形、硬化してなる非石綿系摩擦材において、上記摩擦材組成物中に上記ゴム複合材粒子を添加してなるものであるが、このゴム複合材粒子以外の成分としては、特に制限されず、通常の摩擦材に用いられている(A)繊維基材、(B)結合材、(C)充填材を用いることができる。
【0035】
ここで、上記(A)成分の繊維基材としては、石綿(アスベスト)以外の摩擦材に通常用いられる無機質繊維、有機質繊維などを使用できる。このような繊維基材としては、例えば鉄、銅、真鍮、青銅、アルミニウム等の金属繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、ウォラストナイト、セピオライト、アタパルジャイト、人工鉱物質繊維等の無機質繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、フェノール繊維、セルロース、アクリル繊維等の有機質繊維などが挙げられ、これらの1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
この(A)成分の繊維基材は、短繊維状、粉末状で用いられ、その添加量は、摩擦材用組成物全体に対して5〜89重量%、好ましくは20〜70重量%である。
【0037】
上記(B)成分の結合材としては、通常摩擦材に用いられる公知のものを使用することができ、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、各種ゴム変性フェノール樹脂、NBRなどが挙げられ、これらの1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
この(B)成分の結合材の添加量は摩擦材用組成物全体に対して5〜50重量%、好ましくは10〜25重量%である。
【0039】
また、上記(C)成分の充填材としては、有機系でも無機系でもよく、通常摩擦材に用いられる公知のものを使用することができ、例えば二硫化モリブデン、三硫化アンチモン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、カシューダスト、黒鉛、水酸化カルシウム、フッ化カルシウム、タルク、三酸化モリブデン、三酸化アンチモン、ケイ酸ジルコニウム、酸化鉄、雲母、硫化鉄、酸化ジルコニウム、金属粉末、石英、酸化ケイ素、ゴム粉末、アルミナ、酸化クロム、バーミキュライトなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
この(C)成分の充填材の添加量は、摩擦材用組成物全体に対して5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0041】
本発明の摩擦材の製造方法は、上記(A)〜(C)成分、及びゴム複合材粒子をヘンシェルミキサー、レディゲミキサー、アイリッヒミキサー等の混合機を用いて均一に混合し、成形用粉体を得、この粉体を成形用金型内で予備成形し、この予備成形物を成形温度130〜200℃、成形圧力100〜1000kg/cm2で2〜10分間成形するものである。
【0042】
次に、得られた成型品を140〜250℃の温度で2〜48時間熱処理(後硬化)し、必要に応じてスプレー塗装、焼き付け、研磨処理を施して完成品が得られる。
【0043】
なお、自動車等のディスクパッドを製造する場合には、予め洗浄、表面処理、接着剤を塗布した鉄又はアルミニウム製プレート上に予備成形物を載せ、この状態で成形用金型内で成形、熱処理、スプレー塗装、焼き付け、研磨することにより製造することができる。
【0044】
本発明の非石綿系摩擦材は、自動車、大型トラック、鉄道車両、各種産業機械等のブレーキライニング、クラッチフェーシング、ディスクパッド、ペーパークラッチフェーシング、制輪子などの各種用途に好適なものである。
【0045】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0046】
[実施例、比較例]
表1に示した組成のゴム複合材を60℃、70kg/cm2で10分間加圧混合した後、1kg/cm2まで除圧し、次いで混合粉砕することにより、A〜Kの平均粒径500μm、嵩密度が理論密度(理論比重)の1/10のゴム複合材粒子を作成した。なお、嵩密度は定量容器に1000cm3の混合物を計り取り、その重さを測定することにより求めた(n=5の平均値)。
【0047】
次に、表2,3に示した摩擦材組成物を配合し、これをレディゲミキサーを用いて均一に混合し、加圧型内で100kg/cm2で10分間加圧して予備成形した。この予備成形物を成形温度160℃、成形圧力250kg/cm2の条件下で任意の時間成形し、その後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行い、実施例1〜11、比較例1〜3の乗用車用ブレーキパッドを作成した。
【0048】
得られた実施例1〜11、比較例1〜3のブレーキパッドについて、エンジン排気量1800ccの乗用車の車両諸元に基づき、下記評価方法により、摩耗試験、耐熱性試験、対面攻撃試験、鳴き試験及び高速制動振動試験を行った。結果を表2,3に示す。
【0049】
▲1▼摩耗試験(JASO C406−87準拠)
制動初速度50km/h、制動減速度0.15g、制動回数1000回、制動前ブレーキ温度150℃の試験条件で、ブレーキパッドの摩耗率を下記基準に基づき評価した。
○:1%未満
△:1〜2%
×:2%を超える
▲2▼耐熱性試験(JASO C406−87準拠)
制動初速度100km/h、制動減速度0.45g、制動回数15回、制動前ブレーキ温度150℃の試験条件で、最小摩擦係数を下記基準に基づき評価した。
○:0.25を超える
△:0.20〜0.25
×:0.20未満
▲3▼対面攻撃試験(JASO C406−87準拠)
制動初速度50km/h、制動減速度0.15g、制動回数1000回、制動前ブレーキ温度150℃の試験条件で、対面(ローター)の摩耗程度を下記基準に基づき評価した。
○:微少(100μm未満)
△:少ない(100〜300μm)
×:多い(300μmを超える)
▲4▼鳴き試験(JASO C402−88準拠)
実車試験により、鳴きの大小及び鳴きの発生頻度を下記基準で評価した。
○:鳴きなし
△:鳴きあり(微少)
×:鳴きあり(少)
▲5▼高速制動振動試験(JASO C402−88準拠)
実車試験により、制動初速度200km/h、制動減速度0.3gの試験条件で、振動の大小を下記基準で評価した。
○:振動微小
△:振動小
×:振動大
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
表2,3の結果から、従来の各成分をそのまま混合した比較例1〜3の摩擦材は、摩耗試験、耐熱性試験、鳴き試験、高速制動振動試験及び対面攻撃試験の結果が実施例に比べて劣るものである。
これに対して、ゴムと繊維状物又はゴムと繊維状物と硬い粒子とを主成分とするゴム複合材粒子を添加した本発明に係る実施例1〜11は、いずれも摩耗試験、耐熱性試験、鳴き試験、高速制動振動試験及び対面攻撃試験の結果が良好であることが認められた。
【0054】
【発明の効果】
本発明の非石綿系摩擦材は、繊維状物がダマ(原料の固まり)にならず均一に分散混合できると共に、硬い繊維状物及び硬い粒子が摩擦材中に偏析することなく均一に分散混合できるので、各成分の能力を有効に引き出すことができ、優れた鳴き性能、耐フェード性、耐摩耗性、対面攻撃性、高速制動振動性を有する高品質なものである。
Claims (2)
- 少なくとも1種の繊維状物とゴムとの混合物を粉砕したゴム複合材粒子と、繊維基材と、結合材と、充填材とを主成分とする非石綿系摩擦材組成物を成形、硬化してなる非石綿系摩擦材において、上記ゴム複合材粒子の嵩密度が理論密度(理論比重)の1/2以下であることを特徴とする非石綿系摩擦材。
- 上記ゴム複合材粒子が、少なくとも1種の繊維状物とゴムとの混合物を、20〜200℃、1〜100kg/cm2で1〜30分間加圧混合した後、20kg/cm2以下まで除圧して混合粉砕することにより得られたものである請求項1記載の非石綿系摩擦材。
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