JPH09291825A - ピストンサイクルのエネルギ変換方法及びその装置 - Google Patents
ピストンサイクルのエネルギ変換方法及びその装置Info
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- JPH09291825A JPH09291825A JP8122115A JP12211596A JPH09291825A JP H09291825 A JPH09291825 A JP H09291825A JP 8122115 A JP8122115 A JP 8122115A JP 12211596 A JP12211596 A JP 12211596A JP H09291825 A JPH09291825 A JP H09291825A
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- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
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- Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
- Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 レシプロエンジンに関し、燃料の発生する熱
エネルギをピストンによって回転運動に変換する際のエ
ネルギ変換効率を高めた変換方法及びその装置を提供す
る。 【解決手段】 本装置10は、シリンダヘッド16に燃
料噴射装置22を有する縮径燃焼室18及び一方向空気
流路20を、又ピストン14上部に溝31を有する凸起
部30を備える。これにより上死点前後に亘って略定容
燃焼を実現し、燃焼終了に向けて燃焼圧力を増大させ、
最大燃焼圧力が生じるピストン位置を上死点からずらす
ことによって、変換効率を向上させる。
エネルギをピストンによって回転運動に変換する際のエ
ネルギ変換効率を高めた変換方法及びその装置を提供す
る。 【解決手段】 本装置10は、シリンダヘッド16に燃
料噴射装置22を有する縮径燃焼室18及び一方向空気
流路20を、又ピストン14上部に溝31を有する凸起
部30を備える。これにより上死点前後に亘って略定容
燃焼を実現し、燃焼終了に向けて燃焼圧力を増大させ、
最大燃焼圧力が生じるピストン位置を上死点からずらす
ことによって、変換効率を向上させる。
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、ピストンレシプロ
サイクルを利用したエネルギ変換方法及びその装置に関
し、より詳細には熱エネルギをレシプロピストンによっ
て回転運動エネルギに変換する際のエネルギ変換効率を
高め、さらに熱効率の向上を図りつつ、それと同時に公
害低減及び/又は比出力の増大を可能にしたエネルギ変
換方法及びその装置に関する。
サイクルを利用したエネルギ変換方法及びその装置に関
し、より詳細には熱エネルギをレシプロピストンによっ
て回転運動エネルギに変換する際のエネルギ変換効率を
高め、さらに熱効率の向上を図りつつ、それと同時に公
害低減及び/又は比出力の増大を可能にしたエネルギ変
換方法及びその装置に関する。
【背景技術】特開平06−248951号公報には、シ
リンダー内で燃料を燃焼させ、該シリンダー内に配設さ
れたピストンを往復動させる内燃機関であって、ピスト
ンが上死点近傍まで上昇した際に、シリンダーの内側天
井部に形成された凹部にピストンの頂部に形成された凸
部が嵌合されて、凹部内と凹部外に互いに隔離された複
数の部屋が形成されるものが開示されている。かかる内
燃機関によれば、シリンダー内で実質的に2段階の燃焼
を起こし、それによって排気ガス中に含まれるCO等の
可燃性物質の量とNOxの量とを同時に低減することが
できる旨記載されている。又、特開平05−26364
5号公報には、副室とピストンの上部の主燃焼室との間
をピストン頭部の上に設けた台部により絞るとともに、
この絞られた流路に斜め放射状の複数個の連絡孔を貫設
した遮熱エンジンの燃焼室が開示されている。かかる燃
焼室によれば、圧縮過程では副室内に渦流が生じて、噴
射された燃料との混合が促進され、燃焼過程では副室か
ら吹き出す火炎が斜めの連絡孔によるスワールにのって
空気と混合して良好な燃焼が行われる旨記載されてい
る。同様に特開平05−288058号公報には、副室
の開口部を塞ぐ突起をピストン上面に設けるとともに、
副室の開口部の下端とピストンの突起とにそれぞれの角
部を切り欠く細溝と凹溝とを設けて狭い連絡流路とした
遮熱エンジンの燃焼室が開示されている。この連絡流路
によって、燃焼初期は突起により閉じられた副室内でN
Oxの生成の少ない燃焼が行われ、続いて副室内から火
炎が連絡流路を介して主燃焼室に鋭く吹き出されて周縁
まで達し、新気の渦流と充分に混合して良好な燃焼が行
われる旨記載されている。さらに、特公平07−746
14号公報には、水素用4サイクル内燃機関であって、
メインピストン及びメインシリンダと同期して、且つ同
位相で互いに対して移動可能な補助ピストンと補助シリ
ンダとを有し、補助ピストンと補助シリンダによって上
死点における最小のシリンダ室と下死点における最大の
シリンダ室との間で変化するシリンダ室が形成され、最
小のシリンダ室を通路を介して最小のメインシリンダ室
と連通させ、吸気過程の間に水素をシリンダ室に挿入す
るものが開示されている。かかる水素用内燃機関によれ
ば、後期装入による内部混合気形成を必要とすることな
く、早期点火の問題を除去することができる旨記載され
ている。ところで、ピストンレシプロサイクルの理論サ
イクルである定容サイクル(オットーサイクル)は、既
知のように、圧縮過程で空気を断熱圧縮し、次いで加熱
過程で定容で熱量Q1をサイクルに供給し、次いで膨張
過程で断熱膨張させ、次いで排気過程で定容で熱量Q2
をサイクルから取り去る。このときの熱効率ηTHは、
以下の式で表される。 ηTH=1−Q1/Q2=1 −1/εκ−1 ここに、Q1:サイクルに供給する熱量つまりサイクル
の受熱量 Q2:サイクルの放熱量 ε:圧縮比 κ:比熱比 上式より、サイクルの熱効率を向上させるためには、圧
縮比及び/又は比熱比を増大させればよいことがわか
る。しかしながら、オットーサイクルは、第1に、熱の
供給、即ち燃料の燃焼が、ピストンの上死点で瞬時に行
われる、即ち定容燃焼を仮定しており、第2にサイクル
に伴う損失要因はないという仮定の下に成立している。
第1の仮定に関連して、実際のサイクルにあっては、図
1(a)に示すように、燃焼室はシリンダヘッド内面と
ピストン上面との間に形成され、燃焼に際して理想的に
は通常クランク角度で40゜乃至60゜程度の燃焼期間
(熱発生期間)を要する。そのため、ピストンが上死点
から下降し始めるとピストン下降に伴って燃焼室容積は
急激に増大することになり、燃焼室がシリンダー内と連
通した状態での燃焼を余儀なくされ、その結果非定容燃
焼となる。かかる非定容燃焼によって、燃焼圧力及び燃
焼温度は急激に低下してしまい、NOx及び未燃分の発
生を誘発することになる。一方、オットーサイクルのよ
うに、上死点で瞬時に燃焼を終了するとすれば、燃焼に
よって発生する熱エネルギをクランク軸の回転運動エネ
ルギに変換する際の変換効率が非常に悪くなる。即ち、
上死点では、図1(a)に示すように、クランク軸とピ
ストンとを連結するコネクティングロッドが、ピストン
の運動方向と平行になるため、燃焼圧力によってピスト
ンの上面を下方に押しても、クランク軸を回転させるこ
とはできず、その分エネルギロスを生じてしまう。従っ
て、サイクル数或いは点火方式を問わず、上死点後所定
クランク角度に亘って燃焼を継続して、最大燃焼圧力或
いは最大燃焼温度発生クランク角度を上死点位置からず
らすことによって、熱エネルギの回転運動エネルギへの
変換効率を高めたサイクルが強く要望される。第2の仮
定に関連して、実際のサイクルにあっては、冷却損失、
排気損失及び機械損失等の損失は避けられず、かかる損
失をいかに少なくするかが、熱効率の低下を下げる重要
な要因である。特に、冷却損失にあっては、行程容積が
小さくなるほど、燃焼室のS/V値(表面積/体積)が
大きくなるため、その結果、同一圧縮比における熱効率
は低下する。一方、機械損失にあっては、行程容積が大
きくなるほど、通常燃焼圧力が増大するため、ピストン
/リング間の摩擦損失及びクランク軸の軸受け荷重が増
大する。従って、熱効率の低下防止を図るための損失低
減に関し、小型エンジンから大型エンジンになるにつれ
て、冷却損失から機械損失にその重要度は推移する。上
述の仮定を踏まえて、実際のピストンレシプロサイクル
において、熱効率の向上を図る際に生じる課題、特に排
気ガスの清浄化或いは比出力の増大と関連した課題を、
燃料点火方式或いはサイクル数に応じて、さらに詳しく
説明する。第1に、火花点火方式にあっては、高圧縮化
に伴いノッキングの問題が引き起こされる。この点、リ
ーンバーン或いはEGRによれば、比熱比を増大させつ
つ冷却損失を低減化できるので、熱効率を向上させ、且
つ燃焼温度の低下によってNOx低減が可能になるが、
サイクル毎の燃焼変動等不安定燃焼を引き起こし、その
結果HCの放出量が増大する。かかる不安定燃焼を防止
するためにはスキッシュ或いはスワールによって燃焼室
内に乱れを引き起こすか、或いはプラグ回りに層状給気
を行うことが強要される。一方、圧縮点火方式にあって
は、ノッキングの問題は少ないものの、高温高圧の空気
を必要とするため、その結果燃焼時の爆発圧力が火花点
火式に較べ、数倍に達し、シリンダ、ピストン等を肉厚
の厚い頑丈な構造にする必要が生じる。そのため、単位
重量当たりの比出力が低い。さらに、燃料噴射式による
空気の利用率の悪さに起因して、たとえ爆発圧力が高い
としても出力自体が低いものとなっている。出力増大を
図るべく、燃焼噴射時期を早めれば、燃焼室内の温度力
高くなるため、NOxが増大し、一方で噴射時期を遅く
すれば、煤の発生が引き起こされる。第2に、2サイク
ルと4サイクルとを比較すれば、2サイクルにあって
は、単位気筒容積当たりの比出力は高いものの、シリン
ダ内に充填される新気中に混入する残留ガスが多く、又
掃気ポートから排気ポートへの新気の吹き抜けが多い。
以上から、その分熱効率は低下し、又HCの排出割合が
高くなる。さらに、2サイクルの方が、排気圧力が一般
的に高いため排気騒音がやかましい。さらに別の観点に
よれば、燃料の種類、即ちメタノール、水素等の液体燃
料或いは天然ガス等気体燃料に応じて、燃焼の際に特有
の問題を生じる。先ず、ディーゼルエンジン様代替燃料
として注目のメタノールは、オクタン価が高いもののセ
タン価が低いため、着火性が悪く、その結果未燃分が残
りやすい。次に、水素は、公害低減化に有効であるが、
上述のように過早点火を生じ、その結果全負荷の領域で
出力を形成してしまう。さらに天然ガスは、自己着火が
発生しやすく、高圧縮比を望めない。以上の説明で明ら
かなように、サイクル数、燃料点火方式、燃料の種類を
問わず、熱効率を向上させつつ、公害の低減及び/又は
比出力の増大を同時に達成する有効な技術は、今のとこ
ろ開発されていないのが実情である。
リンダー内で燃料を燃焼させ、該シリンダー内に配設さ
れたピストンを往復動させる内燃機関であって、ピスト
ンが上死点近傍まで上昇した際に、シリンダーの内側天
井部に形成された凹部にピストンの頂部に形成された凸
部が嵌合されて、凹部内と凹部外に互いに隔離された複
数の部屋が形成されるものが開示されている。かかる内
燃機関によれば、シリンダー内で実質的に2段階の燃焼
を起こし、それによって排気ガス中に含まれるCO等の
可燃性物質の量とNOxの量とを同時に低減することが
できる旨記載されている。又、特開平05−26364
5号公報には、副室とピストンの上部の主燃焼室との間
をピストン頭部の上に設けた台部により絞るとともに、
この絞られた流路に斜め放射状の複数個の連絡孔を貫設
した遮熱エンジンの燃焼室が開示されている。かかる燃
焼室によれば、圧縮過程では副室内に渦流が生じて、噴
射された燃料との混合が促進され、燃焼過程では副室か
ら吹き出す火炎が斜めの連絡孔によるスワールにのって
空気と混合して良好な燃焼が行われる旨記載されてい
る。同様に特開平05−288058号公報には、副室
の開口部を塞ぐ突起をピストン上面に設けるとともに、
副室の開口部の下端とピストンの突起とにそれぞれの角
部を切り欠く細溝と凹溝とを設けて狭い連絡流路とした
遮熱エンジンの燃焼室が開示されている。この連絡流路
によって、燃焼初期は突起により閉じられた副室内でN
Oxの生成の少ない燃焼が行われ、続いて副室内から火
炎が連絡流路を介して主燃焼室に鋭く吹き出されて周縁
まで達し、新気の渦流と充分に混合して良好な燃焼が行
われる旨記載されている。さらに、特公平07−746
14号公報には、水素用4サイクル内燃機関であって、
メインピストン及びメインシリンダと同期して、且つ同
位相で互いに対して移動可能な補助ピストンと補助シリ
ンダとを有し、補助ピストンと補助シリンダによって上
死点における最小のシリンダ室と下死点における最大の
シリンダ室との間で変化するシリンダ室が形成され、最
小のシリンダ室を通路を介して最小のメインシリンダ室
と連通させ、吸気過程の間に水素をシリンダ室に挿入す
るものが開示されている。かかる水素用内燃機関によれ
ば、後期装入による内部混合気形成を必要とすることな
く、早期点火の問題を除去することができる旨記載され
ている。ところで、ピストンレシプロサイクルの理論サ
イクルである定容サイクル(オットーサイクル)は、既
知のように、圧縮過程で空気を断熱圧縮し、次いで加熱
過程で定容で熱量Q1をサイクルに供給し、次いで膨張
過程で断熱膨張させ、次いで排気過程で定容で熱量Q2
をサイクルから取り去る。このときの熱効率ηTHは、
以下の式で表される。 ηTH=1−Q1/Q2=1 −1/εκ−1 ここに、Q1:サイクルに供給する熱量つまりサイクル
の受熱量 Q2:サイクルの放熱量 ε:圧縮比 κ:比熱比 上式より、サイクルの熱効率を向上させるためには、圧
縮比及び/又は比熱比を増大させればよいことがわか
る。しかしながら、オットーサイクルは、第1に、熱の
供給、即ち燃料の燃焼が、ピストンの上死点で瞬時に行
われる、即ち定容燃焼を仮定しており、第2にサイクル
に伴う損失要因はないという仮定の下に成立している。
第1の仮定に関連して、実際のサイクルにあっては、図
1(a)に示すように、燃焼室はシリンダヘッド内面と
ピストン上面との間に形成され、燃焼に際して理想的に
は通常クランク角度で40゜乃至60゜程度の燃焼期間
(熱発生期間)を要する。そのため、ピストンが上死点
から下降し始めるとピストン下降に伴って燃焼室容積は
急激に増大することになり、燃焼室がシリンダー内と連
通した状態での燃焼を余儀なくされ、その結果非定容燃
焼となる。かかる非定容燃焼によって、燃焼圧力及び燃
焼温度は急激に低下してしまい、NOx及び未燃分の発
生を誘発することになる。一方、オットーサイクルのよ
うに、上死点で瞬時に燃焼を終了するとすれば、燃焼に
よって発生する熱エネルギをクランク軸の回転運動エネ
ルギに変換する際の変換効率が非常に悪くなる。即ち、
上死点では、図1(a)に示すように、クランク軸とピ
ストンとを連結するコネクティングロッドが、ピストン
の運動方向と平行になるため、燃焼圧力によってピスト
ンの上面を下方に押しても、クランク軸を回転させるこ
とはできず、その分エネルギロスを生じてしまう。従っ
て、サイクル数或いは点火方式を問わず、上死点後所定
クランク角度に亘って燃焼を継続して、最大燃焼圧力或
いは最大燃焼温度発生クランク角度を上死点位置からず
らすことによって、熱エネルギの回転運動エネルギへの
変換効率を高めたサイクルが強く要望される。第2の仮
定に関連して、実際のサイクルにあっては、冷却損失、
排気損失及び機械損失等の損失は避けられず、かかる損
失をいかに少なくするかが、熱効率の低下を下げる重要
な要因である。特に、冷却損失にあっては、行程容積が
小さくなるほど、燃焼室のS/V値(表面積/体積)が
大きくなるため、その結果、同一圧縮比における熱効率
は低下する。一方、機械損失にあっては、行程容積が大
きくなるほど、通常燃焼圧力が増大するため、ピストン
/リング間の摩擦損失及びクランク軸の軸受け荷重が増
大する。従って、熱効率の低下防止を図るための損失低
減に関し、小型エンジンから大型エンジンになるにつれ
て、冷却損失から機械損失にその重要度は推移する。上
述の仮定を踏まえて、実際のピストンレシプロサイクル
において、熱効率の向上を図る際に生じる課題、特に排
気ガスの清浄化或いは比出力の増大と関連した課題を、
燃料点火方式或いはサイクル数に応じて、さらに詳しく
説明する。第1に、火花点火方式にあっては、高圧縮化
に伴いノッキングの問題が引き起こされる。この点、リ
ーンバーン或いはEGRによれば、比熱比を増大させつ
つ冷却損失を低減化できるので、熱効率を向上させ、且
つ燃焼温度の低下によってNOx低減が可能になるが、
サイクル毎の燃焼変動等不安定燃焼を引き起こし、その
結果HCの放出量が増大する。かかる不安定燃焼を防止
するためにはスキッシュ或いはスワールによって燃焼室
内に乱れを引き起こすか、或いはプラグ回りに層状給気
を行うことが強要される。一方、圧縮点火方式にあって
は、ノッキングの問題は少ないものの、高温高圧の空気
を必要とするため、その結果燃焼時の爆発圧力が火花点
火式に較べ、数倍に達し、シリンダ、ピストン等を肉厚
の厚い頑丈な構造にする必要が生じる。そのため、単位
重量当たりの比出力が低い。さらに、燃料噴射式による
空気の利用率の悪さに起因して、たとえ爆発圧力が高い
としても出力自体が低いものとなっている。出力増大を
図るべく、燃焼噴射時期を早めれば、燃焼室内の温度力
高くなるため、NOxが増大し、一方で噴射時期を遅く
すれば、煤の発生が引き起こされる。第2に、2サイク
ルと4サイクルとを比較すれば、2サイクルにあって
は、単位気筒容積当たりの比出力は高いものの、シリン
ダ内に充填される新気中に混入する残留ガスが多く、又
掃気ポートから排気ポートへの新気の吹き抜けが多い。
以上から、その分熱効率は低下し、又HCの排出割合が
高くなる。さらに、2サイクルの方が、排気圧力が一般
的に高いため排気騒音がやかましい。さらに別の観点に
よれば、燃料の種類、即ちメタノール、水素等の液体燃
料或いは天然ガス等気体燃料に応じて、燃焼の際に特有
の問題を生じる。先ず、ディーゼルエンジン様代替燃料
として注目のメタノールは、オクタン価が高いもののセ
タン価が低いため、着火性が悪く、その結果未燃分が残
りやすい。次に、水素は、公害低減化に有効であるが、
上述のように過早点火を生じ、その結果全負荷の領域で
出力を形成してしまう。さらに天然ガスは、自己着火が
発生しやすく、高圧縮比を望めない。以上の説明で明ら
かなように、サイクル数、燃料点火方式、燃料の種類を
問わず、熱効率を向上させつつ、公害の低減及び/又は
比出力の増大を同時に達成する有効な技術は、今のとこ
ろ開発されていないのが実情である。
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記課題に鑑み、サイクル数、燃料点火方式を問わ
ず、燃料の発生する熱エネルギをレシプロピストンによ
って回転運動エネルギに変換する際のエネルギ変換効率
を高めたエネルギ変換方法及びその装置を提供すること
にある。本発明の別の目的は、サイクル数、燃料点火方
式を問わず、熱効率の向上を図りつつ、それと同時に排
気ガスの清浄化による公害低減化及び/又は比出力の増
大を可能にしたエネルギ変換方法及びその装置を提供す
ることにある。本発明の別の目的は、サイクル数、燃料
点火方式を問わず、燃料の種類に応じて安定した燃焼を
実現可能にするエネルギ変換方法及びその装置を提供す
ることにある。
は、上記課題に鑑み、サイクル数、燃料点火方式を問わ
ず、燃料の発生する熱エネルギをレシプロピストンによ
って回転運動エネルギに変換する際のエネルギ変換効率
を高めたエネルギ変換方法及びその装置を提供すること
にある。本発明の別の目的は、サイクル数、燃料点火方
式を問わず、熱効率の向上を図りつつ、それと同時に排
気ガスの清浄化による公害低減化及び/又は比出力の増
大を可能にしたエネルギ変換方法及びその装置を提供す
ることにある。本発明の別の目的は、サイクル数、燃料
点火方式を問わず、燃料の種類に応じて安定した燃焼を
実現可能にするエネルギ変換方法及びその装置を提供す
ることにある。
【発明の概要】本発明は、以上の課題に鑑み、ピストン
が上死点を越えた瞬間からピストン下降に伴って急激に
燃焼室容積が増大することにより生じる従来の非定容燃
焼を、上死点前後に亘って燃焼室を略隔離することによ
って略定容燃焼として、燃焼そのものを改善し、以てエ
ネルギ変換効率の向上、さらには熱効率を向上させつ
つ、公害低減及び/又は比出力の増大を図ったものであ
る。エネルギ変換効率の向上 即ち、先ず第1に、圧縮過程、燃焼過程、膨張過程及び
排気過程からなるピストンレシプロサイクルにおいて、
従来の非定容燃焼を改善して、上死点前後に亘って略定
容燃焼を実現することによって、かかる略定容燃焼終了
に向けて燃焼圧力を増大させ、最大燃焼圧力が生じるピ
ストン位置を上死点からずらすことによって、上死点近
傍で無駄にエネルギを消費することなく、燃料の発生す
る熱エネルギをピストンに連結されたクランク軸の回転
運動エネルギに変換する際のエネルギ変換効率を向上さ
せることが可能になった。具体的には、以下のようなサ
イクルによって、エネルギ変換効率が向上する。先ず、
圧縮過程でピストンが下死点から上死点に向かって上昇
するとともに、ピストンより上方域のシリンダ内の空気
が圧縮される。次いで、ピストンの突起部がシリンダの
縮径部の下端入口開口に到り、ここからクランク角度所
定範囲に亘って突起部が縮径部に挿入維持されて、それ
によって形成された縮径燃焼室が略シリンダ内部から隔
離される。次いで、ピストンはなお上昇して上死点に到
り、ピストンの上面とシリンダの肩部との間の空気がな
お圧縮され続け、一方向空気流路を介して上方に向けて
縮径燃焼室内に圧送される。これにより、縮径燃焼室内
への突起部挿入長さを短く、或いは縮径部上部の縮径燃
焼室長さを長くした場合でも、縮径燃焼室内圧力が大幅
に上昇する。一方、その間に燃料が燃料噴射装置から下
方に噴射されて、高圧縮空気噴流と縮径燃焼室内で混合
して、混合ガスを形成して点火され、燃焼を開始する。
このとき、縮径燃焼室が肩部下方のシリンダ内部から略
隔離され、縮径部の燃焼室内への挿入長さは縮径燃焼室
全体の長さに較べて小さいため、隔離期間中は燃焼室内
の容積変化が相対的に小さくなり、その結果略定容燃焼
が実現する。従って、ピストンが上死点から下降して、
再び突起部の先端が縮径部の下端入口開口まで下がるま
で燃焼圧力が増大し続ける。次いで、かかる隔離解除後
の膨張過程では、縮径燃焼室がシリンダ内部と連通する
結果燃焼圧力が急激に低下し、排気過程で排気ガスを外
部に排出する。以上から、上死点後の隔離解除位置で燃
焼圧力が最大となるので、上死点近傍で燃焼によって発
生する熱エネルギを無駄に消費することなく、熱エネル
ギをクランク軸の回転運動エネルギに効率良く変換する
ことが可能になる。公害の低減 第2に、上死点前後に亘って略定容燃焼を実現すること
によって、燃焼圧力及び燃焼温度が上死点前後に亘って
維持される点で、燃焼状態が改善され、それとともに残
留ガス割合の増加によって中温高圧燃焼となるので、N
Ox及び未燃分の誘発を低減することが可能になった。
より詳細には、完全燃焼に近づけ、燃焼の持続による排
気温度の高温化によってHCを低減し、一方残留ガスの
割合を高めることによって、温度低減を図り、以て、N
Oxが低減され、さらに燃焼時間の長期化によって緩慢
燃焼を可能にし、以て局所的な高温部の発生に起因する
NOxの発生の抑制にも寄与することができる。この
点、後述するように、2サイクルの場合にあっては、燃
焼室内は通常掃気困難であるので、残留ガスをさらに有
効に活用することができる点で、かかる公害低減効果に
優れ、又燃焼終了時の騒音防止効果も高い。熱効率の向上 第3に、上死点前後に亘って略定容燃焼を実現し、特に
図1(a)及び(b)に示すように、シリンダボアDi
及びストロークSを共通に、排気量V1及び燃焼室容積
V2を一定にした場合、燃焼室のボアを縮径して、その
分燃焼室長さを長くすることにより、同じ圧縮比V1/
V2の下でも、以下の理由から熱効率が上昇する。即
ち、燃焼条件の改善によって燃焼温度が上昇し、さらに
燃焼室の側面積が減少したことにより、冷却損失が減少
し、且つピストンリングとシリンダ間の摩擦力或いはク
ランク軸受け荷重の低減によって機械損失が減少するか
らである。特に、図1(c)のように、シリンダボアD
iをさらに拡径して、排気量V1を一定にすべく、スト
ロークSをショートストローク化すれば、無駄容積がそ
れだけ増大するので希薄燃焼に適し、なおさらに熱効率
の向上に寄与する。このとき、噴射燃料と高圧縮空気と
を対向させて、縮径燃焼室内に流入させて、燃焼室内で
混合気を形成することにより、縮径燃焼室内に乱れを形
成するとともに、火花点火式の場合には、点火プラグ回
りに層状燃焼を実現し、燃焼の不安定化を防止すること
が可能になる。この点で、火花点火式にあっては、ノッ
キングの防止を図りつつ、高圧縮化を達成することによ
って、なお熱効率を向上させることが可能になる。比出力の増大 第4に、上死点前後に亘って略定容燃焼を実現すること
によって、燃焼終了後に隔離が解除され、燃焼ガスがシ
リンダ内部に流入して膨張し、圧力が低下した状態で拡
径ピストンに作用するので、高剛性化部分を縮径燃焼部
まわりに限定することが可能となり、高圧縮化に伴う構
造の重量化を防止することによって単位重量当たりの比
出力を増大させることができる。この点、特に、圧縮点
火方式の場合にあっては、さらなる高圧縮化を可能にし
つつ、それに応じた構造重量化を防止することができる
ので、比出力の向上を図ることができる。各種燃料に応じた燃焼 第5に、各種燃料に応じて安定した燃焼を実現すること
が可能になった。例えば、水素にあっては、リーンバー
ンの活用によって上述の早期着火或いは逆火を低減する
ことが可能になり、又仮に早期着火があっても、軸受け
荷重の低減等によってその影響を極力防止することが可
能になる。又天然ガスにあっては、ノッキングの発生を
極力防止しつつ、高圧縮化が可能にある。さらにメタノ
ールにあっては、活性基の存在する残留ガス割合の高い
縮径燃焼室内へ燃料と高圧縮空気とを対向噴射すること
によって、気化を容易にするとともに、グロー熱面の劣
化を防いで、長寿命化を図ることが可能になる。
が上死点を越えた瞬間からピストン下降に伴って急激に
燃焼室容積が増大することにより生じる従来の非定容燃
焼を、上死点前後に亘って燃焼室を略隔離することによ
って略定容燃焼として、燃焼そのものを改善し、以てエ
ネルギ変換効率の向上、さらには熱効率を向上させつ
つ、公害低減及び/又は比出力の増大を図ったものであ
る。エネルギ変換効率の向上 即ち、先ず第1に、圧縮過程、燃焼過程、膨張過程及び
排気過程からなるピストンレシプロサイクルにおいて、
従来の非定容燃焼を改善して、上死点前後に亘って略定
容燃焼を実現することによって、かかる略定容燃焼終了
に向けて燃焼圧力を増大させ、最大燃焼圧力が生じるピ
ストン位置を上死点からずらすことによって、上死点近
傍で無駄にエネルギを消費することなく、燃料の発生す
る熱エネルギをピストンに連結されたクランク軸の回転
運動エネルギに変換する際のエネルギ変換効率を向上さ
せることが可能になった。具体的には、以下のようなサ
イクルによって、エネルギ変換効率が向上する。先ず、
圧縮過程でピストンが下死点から上死点に向かって上昇
するとともに、ピストンより上方域のシリンダ内の空気
が圧縮される。次いで、ピストンの突起部がシリンダの
縮径部の下端入口開口に到り、ここからクランク角度所
定範囲に亘って突起部が縮径部に挿入維持されて、それ
によって形成された縮径燃焼室が略シリンダ内部から隔
離される。次いで、ピストンはなお上昇して上死点に到
り、ピストンの上面とシリンダの肩部との間の空気がな
お圧縮され続け、一方向空気流路を介して上方に向けて
縮径燃焼室内に圧送される。これにより、縮径燃焼室内
への突起部挿入長さを短く、或いは縮径部上部の縮径燃
焼室長さを長くした場合でも、縮径燃焼室内圧力が大幅
に上昇する。一方、その間に燃料が燃料噴射装置から下
方に噴射されて、高圧縮空気噴流と縮径燃焼室内で混合
して、混合ガスを形成して点火され、燃焼を開始する。
このとき、縮径燃焼室が肩部下方のシリンダ内部から略
隔離され、縮径部の燃焼室内への挿入長さは縮径燃焼室
全体の長さに較べて小さいため、隔離期間中は燃焼室内
の容積変化が相対的に小さくなり、その結果略定容燃焼
が実現する。従って、ピストンが上死点から下降して、
再び突起部の先端が縮径部の下端入口開口まで下がるま
で燃焼圧力が増大し続ける。次いで、かかる隔離解除後
の膨張過程では、縮径燃焼室がシリンダ内部と連通する
結果燃焼圧力が急激に低下し、排気過程で排気ガスを外
部に排出する。以上から、上死点後の隔離解除位置で燃
焼圧力が最大となるので、上死点近傍で燃焼によって発
生する熱エネルギを無駄に消費することなく、熱エネル
ギをクランク軸の回転運動エネルギに効率良く変換する
ことが可能になる。公害の低減 第2に、上死点前後に亘って略定容燃焼を実現すること
によって、燃焼圧力及び燃焼温度が上死点前後に亘って
維持される点で、燃焼状態が改善され、それとともに残
留ガス割合の増加によって中温高圧燃焼となるので、N
Ox及び未燃分の誘発を低減することが可能になった。
より詳細には、完全燃焼に近づけ、燃焼の持続による排
気温度の高温化によってHCを低減し、一方残留ガスの
割合を高めることによって、温度低減を図り、以て、N
Oxが低減され、さらに燃焼時間の長期化によって緩慢
燃焼を可能にし、以て局所的な高温部の発生に起因する
NOxの発生の抑制にも寄与することができる。この
点、後述するように、2サイクルの場合にあっては、燃
焼室内は通常掃気困難であるので、残留ガスをさらに有
効に活用することができる点で、かかる公害低減効果に
優れ、又燃焼終了時の騒音防止効果も高い。熱効率の向上 第3に、上死点前後に亘って略定容燃焼を実現し、特に
図1(a)及び(b)に示すように、シリンダボアDi
及びストロークSを共通に、排気量V1及び燃焼室容積
V2を一定にした場合、燃焼室のボアを縮径して、その
分燃焼室長さを長くすることにより、同じ圧縮比V1/
V2の下でも、以下の理由から熱効率が上昇する。即
ち、燃焼条件の改善によって燃焼温度が上昇し、さらに
燃焼室の側面積が減少したことにより、冷却損失が減少
し、且つピストンリングとシリンダ間の摩擦力或いはク
ランク軸受け荷重の低減によって機械損失が減少するか
らである。特に、図1(c)のように、シリンダボアD
iをさらに拡径して、排気量V1を一定にすべく、スト
ロークSをショートストローク化すれば、無駄容積がそ
れだけ増大するので希薄燃焼に適し、なおさらに熱効率
の向上に寄与する。このとき、噴射燃料と高圧縮空気と
を対向させて、縮径燃焼室内に流入させて、燃焼室内で
混合気を形成することにより、縮径燃焼室内に乱れを形
成するとともに、火花点火式の場合には、点火プラグ回
りに層状燃焼を実現し、燃焼の不安定化を防止すること
が可能になる。この点で、火花点火式にあっては、ノッ
キングの防止を図りつつ、高圧縮化を達成することによ
って、なお熱効率を向上させることが可能になる。比出力の増大 第4に、上死点前後に亘って略定容燃焼を実現すること
によって、燃焼終了後に隔離が解除され、燃焼ガスがシ
リンダ内部に流入して膨張し、圧力が低下した状態で拡
径ピストンに作用するので、高剛性化部分を縮径燃焼部
まわりに限定することが可能となり、高圧縮化に伴う構
造の重量化を防止することによって単位重量当たりの比
出力を増大させることができる。この点、特に、圧縮点
火方式の場合にあっては、さらなる高圧縮化を可能にし
つつ、それに応じた構造重量化を防止することができる
ので、比出力の向上を図ることができる。各種燃料に応じた燃焼 第5に、各種燃料に応じて安定した燃焼を実現すること
が可能になった。例えば、水素にあっては、リーンバー
ンの活用によって上述の早期着火或いは逆火を低減する
ことが可能になり、又仮に早期着火があっても、軸受け
荷重の低減等によってその影響を極力防止することが可
能になる。又天然ガスにあっては、ノッキングの発生を
極力防止しつつ、高圧縮化が可能にある。さらにメタノ
ールにあっては、活性基の存在する残留ガス割合の高い
縮径燃焼室内へ燃料と高圧縮空気とを対向噴射すること
によって、気化を容易にするとともに、グロー熱面の劣
化を防いで、長寿命化を図ることが可能になる。
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、2サイク
ル火花点火式ピストンサイクルを例として、添付図面を
参照して以下に詳細に説明する。図2は、ピストンサイ
クルのエネルギ変換装置の縮径燃焼室まわりの部分断面
図(但し、逆止弁は図示せず)、図3は、逆止弁の詳細
を示す断面図、図4は、ピストンサイクルのエネルギ変
換装置の特定のサイクル及びそれに対応したクランク角
度を示す概略図、図5は、クランク角度に対する燃焼圧
力の変化を示す概略グラフである。図2を参照すれば、
レシプロピストンのエネルギー変換装置10は、円筒形
のシリンダ12と、シリンダ12内を上死点と下死点と
の間で往復運動するピストン14(図2は上死点位置を
示す)と、このシリンダ12のヘッド部16に形成され
た縮径燃焼室18と、この縮径燃焼室18への連通だけ
可能にする一方向空気流路20と、縮径燃焼室18内に
上方から燃料21を噴射する燃料噴射装置22とから概
略構成され、図4に最も明瞭に示すように、縮径燃焼室
18内で燃料21を燃焼させ、ピストン14を上死点か
ら下死点に向かって押し下げることにより、このピスト
ン14にコンロッド15を介して連結されたクランク軸
17を回転させて動力を得るようになっている。シリン
ダ12は、そのヘッド部に肩部24と、そこから上方に
縮径されて延びる縮径部26を有し、肩部24及び縮径
部26の内面には円筒空間が形成され、一方ピストン1
4は、その上面28から前記円筒空間の径に応じて上方
に延びる、略円筒形状の突起部30を有する。突起部3
0の外表面と縮径部26の内面との間には、図2に示す
ように、若干のクリアランスが設けられている。縮径部
26は、例えばそのボアを肩部24下方のシリンダボア
の5分の1等適宜設定すればよい。これによって、後に
説明するように、ピストン14の上死点前後のクランク
角度所定範囲、例えば80゜乃至120゜に亘って、突
起部30が円筒空間内に挿入維持されて(図4(b)乃
至(d)参照)、縮径燃焼室18が円筒空間内に形成さ
れる。ピストン14がクランク角度所定範囲で移動する
とき、かかる縮径効果によって、縮径燃焼室18の長さ
が突起部30の挿入長さに較べて大幅に長くなり、その
結果隔離期間中は、ピストンの多少の移動によっても縮
径燃焼室18の容積変動率を低減させることができるの
で、縮径しない場合に較べてより定容燃焼に近づけるこ
とが可能になる。縮径燃焼室18には、縮径部26の側
部に既知の点火プラグ32が配設され、燃料と高圧縮空
気とが縮径燃焼室18内で混合されて形成された混合ガ
スを火花点火するようになっている。ピストン14の突
起部30には、その側面上部に前記ピストン14の運動
方向に斜めに延びる溝31を有し、燃焼ガスの噴流を最
適に設定するようになっている。又、突起部30は、ピ
ストン14の上面28から溝31の下端近傍まで、ピス
トン14の運動方向に略直交する複数の環状の凹凸34
を有し、燃焼ガスを凹凸34を介して縮径燃焼室18か
ら漏洩させて、縮径燃焼室18内の燃焼圧力及び燃焼温
度を適当に調整することができるようになっている。次
に一方向空気流路20は、肩部24に貫通穴を設け、肩
部24の上方に固定された縮径部26の下方内隅部を切
り欠くことによって形成され、流路20は斜め上方に延
びて、縮径燃焼室18の下方に臨む斜め空気流路45
と、この空気流路45に連通し、後に説明する逆止弁4
0を内部に備えた挿入用空間42とから構成され、挿入
用空間42が上方からシリンダ12の内部に臨む。これ
によって、ピストン14の上昇とともに圧縮された空気
が一方向空気流路20を通って、縮径燃焼室18内に斜
め上方に向かって圧送され、上方から縮径燃焼室18内
に噴射された燃料と対向し、縮径燃焼室18内に乱れを
形成するようになっている。なお、斜め空気流路45の
傾斜角度は、図2に示すように、その流出開口が上死点
位置の突起部30の上面23によって閉鎖されない範囲
で適宜設定すればよい。次に燃料噴射装置22は、基本
的には従来圧縮点火サイクルに用いられているものと同
様な構造であるので、その詳しい説明は省略するが、ピ
ストン14が上死点に向かって上昇して、縮径燃焼室1
8が隔離され始めた適当な時期に燃料を縮径燃焼室18
内に上方から噴射するようになっている。次に図3を参
照しながら、逆止弁40について説明すれば、この逆止
弁40は、縮径部26を肩部24に固定する前に、縮径
部側に開口する挿入用空間42に組立容易に挿入される
ようになっている。逆止弁40は、下面の内縁部にパッ
キン41を備えた円板状の弁座44と、先端部が円錐状
の弁体46と、弁体46を案内支持する環状案内部材4
8と、弁体46を常時下方に付勢するための弁バネ50
と、弁バネ50を係止するための弁バネ受52と、肩部
24に螺合するようになっている締付ネジ54とを有す
る。これによって、縮径燃焼室18に向かう空気の流れ
が一定圧力に達すると、弁バネ52の付勢力に打ち勝
ち、空気が縮径燃焼室18内に圧送され、一方縮径燃焼
室18からの流れは常に阻止される。この逆止弁によっ
て、肩部24下方のシリンダ12内部から空気が縮径燃
焼室18内に流入可能なため、ピストン14の挿入長さ
を短く維持しながら縮径燃焼室内を高圧にすることが可
能になる。組立の際、先ず弁座44を挿入空間42内に
挿入し、空間42の底に置き、次いで環状案内部材48
を挿入して、弁本体46を案内部材48の穴に挿入した
後、弁バネ50で押圧しつつ弁バネ受52で受けて、締
付ネジ54によって挿入完了した全部品を固定して組立
を完了する。以上の構成を有するエネルギ変換装置10
のサイクルについて、図4を参照しながら、以下に説明
する。図4(a)は、排気過程を示し、ピストンは下死
点位置にある。下死点位置では、排気ポート38及び掃
気ポート39が露出し、ピストン14より上方域のガス
が矢印のように、掃気ポート39から上方に肩部24に
向かい、そこで方向を変えて下方に向かい排気ポート3
8から流出する。従って、縮径部26内に残存するガス
はほとんど掃気されない。次に、図4(b)乃至図4
(c)は圧縮過程を示し、ピストン14は下死点から上
死点に向かって上昇し、それとともにピストン14より
上方域の空気が圧縮される。図4(b)では、上死点前
所定クランク角度、好ましくは40゜乃至60゜でピス
トン14の突起部30の先端23が縮径部26の下端開
口27のレベルに到り、円筒空間内に縮径燃焼室18が
形成される。なお、縮径燃焼室18は、上死点後同クラ
ンク角度に到るまで、肩部24下方のシリンダ12内と
略隔離維持される。次いで、図4(c)に示すように、
ピストン14はなおも上昇し、それによって肩部24下
方のシリンダ12内の空気が圧縮されて、一方向空気流
路20を介して縮径燃焼室18内に圧送されとともに、
燃料噴射装置22から燃料を上方から噴射して、縮径燃
焼室18内に混合ガスを形成し、点火プラグ32によっ
て点火され、略定容燃焼を開始する。次いで、燃焼の開
始とともに、縮径燃焼室18内の燃焼圧力及び燃焼温度
は急激に上昇し、突起部30の上面23を下方に押し下
げるとともに、突起部30の表面に設けられた凹凸34
から燃焼ガスが漏洩して、縮径燃焼室18内の燃焼圧力
及び燃焼温度が適当に調整される。略定容燃焼過程につ
いては、特に燃焼圧力の変化について後に詳細に説明す
る。次いで、図4(d)に示すように、ピストン14が
上死点後所定クランク角度、好ましくは40゜乃至60
゜に到ると、縮径燃焼室18内の隔離が解除され、それ
とともに十分低下した圧力がピストン14の上面28に
作用する。従って、ピストン14/シリンダ12間の摩
擦力及びクランク軸受け荷重はともに低減されることと
なり、総じて機械損失は大幅に低減される。次いで、ピ
ストン14は下死点まで下降し、クランク軸17を回転
させて、動力として利用され、1サイクルが終了する。
なお、排気ガスによってターボ過給器を介して給気量を
増大させてもよい。又、上死点で、ピストン14の上面
28がシリンダ12の肩部24の内面に略当接するよう
にしてもよく、それによって肩部24下方の上死点にお
けるデッドスペースがなくなるので高圧縮化が可能にな
る。以上のサイクルを繰り返して、燃料の発生する熱エ
ネルギがクランク軸の回転運動エネルギに変換される。
次に、図5を参照しながら、略定容燃焼過程を説明す
れば、圧縮過程でピストンが下死点から上死点に向かっ
て上昇する際、ピストンの突起部先端がシリンダの縮径
部の下端入口開口に到り、この位置から縮径燃焼室がシ
リンダ内部と略隔離され始める。次いで、ピストンはな
お上死点に向かって上昇し続け、その間に燃料噴射装置
から下方に向けて噴射された燃料と、一方向空気流路を
介して下方から圧送された高圧縮空気とが縮径燃焼室内
で混合ガスを形成し、かかる混合ガスが点火プラグによ
って着火され、燃焼を開始する。このとき、図5に比較
のために示すように、燃焼圧力が上死点近傍で最大とな
り、燃焼室が隔離されないことに起因してそれ以降急激
に燃焼圧力が低下する従来技術と全く異なり、本発明に
よるエネルギ変換方法では、縮径燃焼室が略隔離維持さ
れて、略定容燃焼を実現する結果、ピストンが上死点か
ら下降して、再び突起部の先端が縮径部の下端入口開口
まで下がるまで、燃焼圧力が増大し続ける。かかる隔離
解除後の膨張過程では、縮径燃焼室がシリンダ内部と連
通する結果、従来技術と同様に燃焼圧力は急激に低下す
る。なお、図5は、従来技術との比較において、本発明
の燃焼圧力曲線の履歴の特徴を強調するために示すもの
であり、燃焼圧力値それ自体は、適当なスケールで描い
たものである。要するに、本発明によるエネルギ変換方
法では、上死点後のかかる隔離解除位置で燃焼圧力が最
大となるので、従来技術のように上死点近傍で燃焼によ
って発生する熱エネルギを無駄に消費することなく、熱
エネルギをクランク軸の回転運動エネルギに効率良く変
換することが可能になる。一方で、本実施の形態を排気
量の小さい小型ピストンサイクルに適用すれば、上述の
ように、燃焼室内部の残留ガスの有効活用によって熱効
率の向上を達成しつつ、燃焼の改善及び温度低減による
公害低減及び/又は構造重量の軽量化による単位重量当
たりの比出力の増大を図ることが可能になる。このと
き、排気量の大きい中型或いは大型ピストンサイクルに
あっては、それに応じた燃焼温度の高温化に対応すべ
く、残留ガスの有効活用に加えて、燃焼の際、縮径燃焼
室18内に水を供給することにより、水が水蒸気に相変
化、即ち気化する際の気化熱を利用して、同様の目的を
達成することができる。即ち、燃焼室に供給する水によ
って、排気量増大に伴う温度上昇を防止し、以てNOx
の発生を同様に防止し、さらにピストンに作用する押圧
力増大による出力上昇を水蒸気の質量増大によって達成
し、加えて排熱及びシリンダからの熱で加熱した水を噴
射することにより、排気損失及び冷却損失の低減を図
り、以て熱効率の向上に寄与することができる。以上、
2サイクル火花点火式ピストンサイクルを対象に、本発
明の実施の形態を詳細に説明したが、請求の範囲に記載
された本発明の範囲内で種々の変更、修正が可能であ
る。例えば、上述のように4サイクルに適用可能である
ことはいうまでもない。又、点火方式としては、圧縮点
火方式にも適用可能である。さらにピストン14の突起
部30の長さを適宜調整することにより、略定容燃焼時
間を調整することが可能になり、液体水素或いは天然ガ
ス等燃料の種類に応じて安定した燃焼を実現することが
できる。
ル火花点火式ピストンサイクルを例として、添付図面を
参照して以下に詳細に説明する。図2は、ピストンサイ
クルのエネルギ変換装置の縮径燃焼室まわりの部分断面
図(但し、逆止弁は図示せず)、図3は、逆止弁の詳細
を示す断面図、図4は、ピストンサイクルのエネルギ変
換装置の特定のサイクル及びそれに対応したクランク角
度を示す概略図、図5は、クランク角度に対する燃焼圧
力の変化を示す概略グラフである。図2を参照すれば、
レシプロピストンのエネルギー変換装置10は、円筒形
のシリンダ12と、シリンダ12内を上死点と下死点と
の間で往復運動するピストン14(図2は上死点位置を
示す)と、このシリンダ12のヘッド部16に形成され
た縮径燃焼室18と、この縮径燃焼室18への連通だけ
可能にする一方向空気流路20と、縮径燃焼室18内に
上方から燃料21を噴射する燃料噴射装置22とから概
略構成され、図4に最も明瞭に示すように、縮径燃焼室
18内で燃料21を燃焼させ、ピストン14を上死点か
ら下死点に向かって押し下げることにより、このピスト
ン14にコンロッド15を介して連結されたクランク軸
17を回転させて動力を得るようになっている。シリン
ダ12は、そのヘッド部に肩部24と、そこから上方に
縮径されて延びる縮径部26を有し、肩部24及び縮径
部26の内面には円筒空間が形成され、一方ピストン1
4は、その上面28から前記円筒空間の径に応じて上方
に延びる、略円筒形状の突起部30を有する。突起部3
0の外表面と縮径部26の内面との間には、図2に示す
ように、若干のクリアランスが設けられている。縮径部
26は、例えばそのボアを肩部24下方のシリンダボア
の5分の1等適宜設定すればよい。これによって、後に
説明するように、ピストン14の上死点前後のクランク
角度所定範囲、例えば80゜乃至120゜に亘って、突
起部30が円筒空間内に挿入維持されて(図4(b)乃
至(d)参照)、縮径燃焼室18が円筒空間内に形成さ
れる。ピストン14がクランク角度所定範囲で移動する
とき、かかる縮径効果によって、縮径燃焼室18の長さ
が突起部30の挿入長さに較べて大幅に長くなり、その
結果隔離期間中は、ピストンの多少の移動によっても縮
径燃焼室18の容積変動率を低減させることができるの
で、縮径しない場合に較べてより定容燃焼に近づけるこ
とが可能になる。縮径燃焼室18には、縮径部26の側
部に既知の点火プラグ32が配設され、燃料と高圧縮空
気とが縮径燃焼室18内で混合されて形成された混合ガ
スを火花点火するようになっている。ピストン14の突
起部30には、その側面上部に前記ピストン14の運動
方向に斜めに延びる溝31を有し、燃焼ガスの噴流を最
適に設定するようになっている。又、突起部30は、ピ
ストン14の上面28から溝31の下端近傍まで、ピス
トン14の運動方向に略直交する複数の環状の凹凸34
を有し、燃焼ガスを凹凸34を介して縮径燃焼室18か
ら漏洩させて、縮径燃焼室18内の燃焼圧力及び燃焼温
度を適当に調整することができるようになっている。次
に一方向空気流路20は、肩部24に貫通穴を設け、肩
部24の上方に固定された縮径部26の下方内隅部を切
り欠くことによって形成され、流路20は斜め上方に延
びて、縮径燃焼室18の下方に臨む斜め空気流路45
と、この空気流路45に連通し、後に説明する逆止弁4
0を内部に備えた挿入用空間42とから構成され、挿入
用空間42が上方からシリンダ12の内部に臨む。これ
によって、ピストン14の上昇とともに圧縮された空気
が一方向空気流路20を通って、縮径燃焼室18内に斜
め上方に向かって圧送され、上方から縮径燃焼室18内
に噴射された燃料と対向し、縮径燃焼室18内に乱れを
形成するようになっている。なお、斜め空気流路45の
傾斜角度は、図2に示すように、その流出開口が上死点
位置の突起部30の上面23によって閉鎖されない範囲
で適宜設定すればよい。次に燃料噴射装置22は、基本
的には従来圧縮点火サイクルに用いられているものと同
様な構造であるので、その詳しい説明は省略するが、ピ
ストン14が上死点に向かって上昇して、縮径燃焼室1
8が隔離され始めた適当な時期に燃料を縮径燃焼室18
内に上方から噴射するようになっている。次に図3を参
照しながら、逆止弁40について説明すれば、この逆止
弁40は、縮径部26を肩部24に固定する前に、縮径
部側に開口する挿入用空間42に組立容易に挿入される
ようになっている。逆止弁40は、下面の内縁部にパッ
キン41を備えた円板状の弁座44と、先端部が円錐状
の弁体46と、弁体46を案内支持する環状案内部材4
8と、弁体46を常時下方に付勢するための弁バネ50
と、弁バネ50を係止するための弁バネ受52と、肩部
24に螺合するようになっている締付ネジ54とを有す
る。これによって、縮径燃焼室18に向かう空気の流れ
が一定圧力に達すると、弁バネ52の付勢力に打ち勝
ち、空気が縮径燃焼室18内に圧送され、一方縮径燃焼
室18からの流れは常に阻止される。この逆止弁によっ
て、肩部24下方のシリンダ12内部から空気が縮径燃
焼室18内に流入可能なため、ピストン14の挿入長さ
を短く維持しながら縮径燃焼室内を高圧にすることが可
能になる。組立の際、先ず弁座44を挿入空間42内に
挿入し、空間42の底に置き、次いで環状案内部材48
を挿入して、弁本体46を案内部材48の穴に挿入した
後、弁バネ50で押圧しつつ弁バネ受52で受けて、締
付ネジ54によって挿入完了した全部品を固定して組立
を完了する。以上の構成を有するエネルギ変換装置10
のサイクルについて、図4を参照しながら、以下に説明
する。図4(a)は、排気過程を示し、ピストンは下死
点位置にある。下死点位置では、排気ポート38及び掃
気ポート39が露出し、ピストン14より上方域のガス
が矢印のように、掃気ポート39から上方に肩部24に
向かい、そこで方向を変えて下方に向かい排気ポート3
8から流出する。従って、縮径部26内に残存するガス
はほとんど掃気されない。次に、図4(b)乃至図4
(c)は圧縮過程を示し、ピストン14は下死点から上
死点に向かって上昇し、それとともにピストン14より
上方域の空気が圧縮される。図4(b)では、上死点前
所定クランク角度、好ましくは40゜乃至60゜でピス
トン14の突起部30の先端23が縮径部26の下端開
口27のレベルに到り、円筒空間内に縮径燃焼室18が
形成される。なお、縮径燃焼室18は、上死点後同クラ
ンク角度に到るまで、肩部24下方のシリンダ12内と
略隔離維持される。次いで、図4(c)に示すように、
ピストン14はなおも上昇し、それによって肩部24下
方のシリンダ12内の空気が圧縮されて、一方向空気流
路20を介して縮径燃焼室18内に圧送されとともに、
燃料噴射装置22から燃料を上方から噴射して、縮径燃
焼室18内に混合ガスを形成し、点火プラグ32によっ
て点火され、略定容燃焼を開始する。次いで、燃焼の開
始とともに、縮径燃焼室18内の燃焼圧力及び燃焼温度
は急激に上昇し、突起部30の上面23を下方に押し下
げるとともに、突起部30の表面に設けられた凹凸34
から燃焼ガスが漏洩して、縮径燃焼室18内の燃焼圧力
及び燃焼温度が適当に調整される。略定容燃焼過程につ
いては、特に燃焼圧力の変化について後に詳細に説明す
る。次いで、図4(d)に示すように、ピストン14が
上死点後所定クランク角度、好ましくは40゜乃至60
゜に到ると、縮径燃焼室18内の隔離が解除され、それ
とともに十分低下した圧力がピストン14の上面28に
作用する。従って、ピストン14/シリンダ12間の摩
擦力及びクランク軸受け荷重はともに低減されることと
なり、総じて機械損失は大幅に低減される。次いで、ピ
ストン14は下死点まで下降し、クランク軸17を回転
させて、動力として利用され、1サイクルが終了する。
なお、排気ガスによってターボ過給器を介して給気量を
増大させてもよい。又、上死点で、ピストン14の上面
28がシリンダ12の肩部24の内面に略当接するよう
にしてもよく、それによって肩部24下方の上死点にお
けるデッドスペースがなくなるので高圧縮化が可能にな
る。以上のサイクルを繰り返して、燃料の発生する熱エ
ネルギがクランク軸の回転運動エネルギに変換される。
次に、図5を参照しながら、略定容燃焼過程を説明す
れば、圧縮過程でピストンが下死点から上死点に向かっ
て上昇する際、ピストンの突起部先端がシリンダの縮径
部の下端入口開口に到り、この位置から縮径燃焼室がシ
リンダ内部と略隔離され始める。次いで、ピストンはな
お上死点に向かって上昇し続け、その間に燃料噴射装置
から下方に向けて噴射された燃料と、一方向空気流路を
介して下方から圧送された高圧縮空気とが縮径燃焼室内
で混合ガスを形成し、かかる混合ガスが点火プラグによ
って着火され、燃焼を開始する。このとき、図5に比較
のために示すように、燃焼圧力が上死点近傍で最大とな
り、燃焼室が隔離されないことに起因してそれ以降急激
に燃焼圧力が低下する従来技術と全く異なり、本発明に
よるエネルギ変換方法では、縮径燃焼室が略隔離維持さ
れて、略定容燃焼を実現する結果、ピストンが上死点か
ら下降して、再び突起部の先端が縮径部の下端入口開口
まで下がるまで、燃焼圧力が増大し続ける。かかる隔離
解除後の膨張過程では、縮径燃焼室がシリンダ内部と連
通する結果、従来技術と同様に燃焼圧力は急激に低下す
る。なお、図5は、従来技術との比較において、本発明
の燃焼圧力曲線の履歴の特徴を強調するために示すもの
であり、燃焼圧力値それ自体は、適当なスケールで描い
たものである。要するに、本発明によるエネルギ変換方
法では、上死点後のかかる隔離解除位置で燃焼圧力が最
大となるので、従来技術のように上死点近傍で燃焼によ
って発生する熱エネルギを無駄に消費することなく、熱
エネルギをクランク軸の回転運動エネルギに効率良く変
換することが可能になる。一方で、本実施の形態を排気
量の小さい小型ピストンサイクルに適用すれば、上述の
ように、燃焼室内部の残留ガスの有効活用によって熱効
率の向上を達成しつつ、燃焼の改善及び温度低減による
公害低減及び/又は構造重量の軽量化による単位重量当
たりの比出力の増大を図ることが可能になる。このと
き、排気量の大きい中型或いは大型ピストンサイクルに
あっては、それに応じた燃焼温度の高温化に対応すべ
く、残留ガスの有効活用に加えて、燃焼の際、縮径燃焼
室18内に水を供給することにより、水が水蒸気に相変
化、即ち気化する際の気化熱を利用して、同様の目的を
達成することができる。即ち、燃焼室に供給する水によ
って、排気量増大に伴う温度上昇を防止し、以てNOx
の発生を同様に防止し、さらにピストンに作用する押圧
力増大による出力上昇を水蒸気の質量増大によって達成
し、加えて排熱及びシリンダからの熱で加熱した水を噴
射することにより、排気損失及び冷却損失の低減を図
り、以て熱効率の向上に寄与することができる。以上、
2サイクル火花点火式ピストンサイクルを対象に、本発
明の実施の形態を詳細に説明したが、請求の範囲に記載
された本発明の範囲内で種々の変更、修正が可能であ
る。例えば、上述のように4サイクルに適用可能である
ことはいうまでもない。又、点火方式としては、圧縮点
火方式にも適用可能である。さらにピストン14の突起
部30の長さを適宜調整することにより、略定容燃焼時
間を調整することが可能になり、液体水素或いは天然ガ
ス等燃料の種類に応じて安定した燃焼を実現することが
できる。
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
ピストンサイクルのエネルギ変換方法及びその装置によ
れば、点火方式及びサイクル数を問わず、上死点前後に
亘って略定容の燃焼を行うことにより、熱エネルギの回
転運動エネルギへのエネルギ変換効率を高めることが可
能になる。又、高圧縮化とともに機械損失、冷却損失及
び排気損失の低減による熱効率の向上、それと同時に残
留ガスの有効活用等を通じての排気ガスの清浄化による
公害低減及び/又は構造軽量化による比出力の増大を可
能にすることができる。さらに、水素、天然ガス等燃焼
の種類に応じて、安定した燃焼を可能にすることができ
る。
ピストンサイクルのエネルギ変換方法及びその装置によ
れば、点火方式及びサイクル数を問わず、上死点前後に
亘って略定容の燃焼を行うことにより、熱エネルギの回
転運動エネルギへのエネルギ変換効率を高めることが可
能になる。又、高圧縮化とともに機械損失、冷却損失及
び排気損失の低減による熱効率の向上、それと同時に残
留ガスの有効活用等を通じての排気ガスの清浄化による
公害低減及び/又は構造軽量化による比出力の増大を可
能にすることができる。さらに、水素、天然ガス等燃焼
の種類に応じて、安定した燃焼を可能にすることができ
る。
【図1】本発明の実施の形態に係る、基本的な概念を示
すための図である。
すための図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る、ピストンが上死点
にあるときのピストンサイクルのエネルギ変換装置の燃
焼室まわりの部分断面図である。
にあるときのピストンサイクルのエネルギ変換装置の燃
焼室まわりの部分断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る、逆止弁の詳細を示
す断面図である。
す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る、ピストンサイクル
のエネルギ変換装置のサイクル及びそれに対応したクラ
ンク角度を示す概略図である。
のエネルギ変換装置のサイクル及びそれに対応したクラ
ンク角度を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るピストンサイクル
の、クランク角度に対する燃焼圧力の変化を示す概略グ
ラフである。
の、クランク角度に対する燃焼圧力の変化を示す概略グ
ラフである。
10 エネルギ変換装置 12 シリンダ 14 ピストン 15 コンロッド 16 シリンダヘッド 17 クランク軸 18 縮径燃焼室 20 一方向空気流路 21 燃料 22 燃料噴射装置 23 突起部先端 24 肩部 25 出力燃焼室 26 縮径部 27 縮径部下端開口 28 ピストン上面 30 突起部 31 溝 32 点火プラグ 34 凹凸 38 排気ポート 39 掃気ポート 40 逆止弁 41 パッキン 42 挿入空間 44 弁座 45 斜め空気流路 46 弁体 48 案内部材 50 弁バネ 52 弁バネ受 54 締付ネジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02F 3/28 F02F 3/28 Z
Claims (13)
- 【請求項1】 圧縮過程、加熱過程、膨張過程、排気過
程からなるピストンレシプロサイクルであって、該加熱
過程において、ピストンの上死点前後の所定期間に亘っ
て燃焼室内で燃料を略定容燃焼させることを特徴とする
エネルギ変換方法。 - 【請求項2】 前記略定容燃焼の際に、燃焼室から燃焼
ガスを漏洩させて、燃焼温度及び燃焼圧力を調整可能と
したことを特徴とする請求項1に記載のエネルギ変換方
法。 - 【請求項3】 前記略定容燃焼を理論空燃比より薄い側
で行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
エネルギ変換方法。 - 【請求項4】 前記略定容燃焼の際に、燃料を噴射し
て、前記圧縮過程で圧縮された高圧縮空気と混合させる
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエネルギ
変換方法。 - 【請求項5】 前記燃料の噴射方向と前記高圧縮空気の
流入方向とを対向させて、前記略定容燃焼の際に、乱れ
を形成する請求項4に記載のエネルギ変換方法。 - 【請求項6】 前記燃料は、液体水素である請求項1乃
至請求項5のいずれか1項に記載のエネルギ変換方法。 - 【請求項7】 前記燃料は、天然ガスである請求項1乃
至請求項5のいずれか1項に記載のエネルギ変換方法。 - 【請求項8】 前記燃料は、メタノールである請求項1
乃至請求項5のいずれか1項に記載のエネルギ変換方
法。 - 【請求項9】 シリンダ内を上死点と下死点との間で往
復運動するピストンを有し、 該シリンダには、そのヘッド部に燃焼室が形成され、 該燃焼室内で燃料を燃焼させ、該ピストンを該上死点か
ら該下死点に向かって押し下げることにより、該ピスト
ンに連結されたクランク軸を回転させて動力を得るエネ
ルギ変換装置において、 前記シリンダヘッドは、肩部と、そこから上方に縮径さ
れて延びる縮径部を有し、 前記ピストンは、その上面から前記縮径部の径に応じて
上方に延びる突起部を有し、 該上死点前後のクランク角度所定範囲に亘って、前記突
起部が前記縮径部内に挿入維持されて、縮径燃焼室を形
成し、 さらに、該縮径燃焼室と前記肩部下方の前記シリンダ内
とを連通し、該縮径燃焼室に向かう流れだけを可能にす
る逆止弁を備えた一方向空気流路とを有することを特徴
とするエネルギ変換装置。 - 【請求項10】 該突起部は、その側面に前記ピストン
の運動方向に略直交する環状の凹凸を有する請求項9に
記載のエネルギ変換装置。 - 【請求項11】 前記縮径燃焼室内に上方から燃料を噴
射する燃料噴射装置をさらに有し、該噴射燃料が、前記
一方向空気流路を通って下方から流入する空気と前記縮
径燃焼室内で乱れを形成する請求項9又は請求項10に
記載のエネルギ変換装置。 - 【請求項12】 前記突起部は、その上部側面に周方向
に亘って前記ピストンの運動方向に対して斜めに延びる
複数の溝を有する請求項9乃至請求項11のいずれか1
項に記載のエネルギ変換装置。 - 【請求項13】 前記ピストンの上面は、上死点におい
て、前記シリンダの前記肩部内面に当接する請求項9乃
至請求項12のいずれか1項にに記載のエネルギ変換装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8122115A JPH09291825A (ja) | 1996-02-26 | 1996-04-09 | ピストンサイクルのエネルギ変換方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7841496 | 1996-02-26 | ||
JP8-78414 | 1996-02-26 | ||
JP8122115A JPH09291825A (ja) | 1996-02-26 | 1996-04-09 | ピストンサイクルのエネルギ変換方法及びその装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09291825A true JPH09291825A (ja) | 1997-11-11 |
Family
ID=26419486
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8122115A Pending JPH09291825A (ja) | 1996-02-26 | 1996-04-09 | ピストンサイクルのエネルギ変換方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09291825A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1317494C (zh) * | 2002-07-02 | 2007-05-23 | 湖南大学 | 可实现内燃机完全等容燃烧的方法及曲柄连杆机构 |
WO2011141989A1 (ja) * | 2010-05-10 | 2011-11-17 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
CN104612836A (zh) * | 2013-11-01 | 2015-05-13 | 曼恩柴油机涡轮股份公司曼恩柴油机涡轮德国分公司 | 内燃机及运行内燃机的方法 |
KR20210008317A (ko) * | 2019-07-11 | 2021-01-21 | 만 에너지 솔루션즈, 필리알 아프 만 에너지 솔루션즈 에스이, 티스크란드 | 내연 엔진 |
RU2746820C2 (ru) * | 2018-11-19 | 2021-04-21 | Александр Александрович Горшков | Способ работы двигателя внутреннего сгорания |
CN116201630A (zh) * | 2023-02-27 | 2023-06-02 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种氢气发动机燃烧系统及燃烧模式控制方法 |
-
1996
- 1996-04-09 JP JP8122115A patent/JPH09291825A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN1317494C (zh) * | 2002-07-02 | 2007-05-23 | 湖南大学 | 可实现内燃机完全等容燃烧的方法及曲柄连杆机构 |
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JP2015096727A (ja) * | 2013-11-01 | 2015-05-21 | マン ディーゼル アンド ターボ フィリアル エーエフ マン ディーゼル アンド ターボ エスイー ティスクランド | 内燃機関を動作させる方法および内燃機関 |
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KR20220013430A (ko) * | 2019-07-11 | 2022-02-04 | 만 에너지 솔루션즈, 필리알 아프 만 에너지 솔루션즈 에스이, 티스크란드 | 내연 엔진 |
CN116201630A (zh) * | 2023-02-27 | 2023-06-02 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种氢气发动机燃烧系统及燃烧模式控制方法 |
CN116201630B (zh) * | 2023-02-27 | 2024-04-16 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种氢气发动机燃烧系统及燃烧模式控制方法 |
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