JPH09291297A - 油中摺動材及びオイルシールリング - Google Patents

油中摺動材及びオイルシールリング

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JPH09291297A
JPH09291297A JP32014696A JP32014696A JPH09291297A JP H09291297 A JPH09291297 A JP H09291297A JP 32014696 A JP32014696 A JP 32014696A JP 32014696 A JP32014696 A JP 32014696A JP H09291297 A JPH09291297 A JP H09291297A
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JP
Japan
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oil
weight
outer diameter
resin
seal ring
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Application number
JP32014696A
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English (en)
Inventor
Eiichiro Shimazu
英一郎 島津
Hiroshi Niwa
洋 丹羽
Kazunori Kubota
和則 久保田
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動相手材が軟質材または非軟質材であるい
ずれの摺動条件でもシール性、耐摩耗性および摺動相手
材の摩耗が少ないオイルシールリングなどの油中摺動材
とすることである。 【解決手段】 300℃における溶融粘度が2000〜
5000ポイズの架橋型ポリアリーレンスルフィド系樹
脂30〜88重量%、炭素系繊維10〜45重量%、再
生ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのパーフルオロ
系フッ素樹脂2〜25重量%を含み、必要に応じて10
重量%以下の二硫化モリブデンを含む樹脂組成物からか
らなる油中摺動材、または油中摺動材からなるオイルシ
ールリングとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、油中で使用され
る摺動材料である油中摺動材に関し、特にこのような油
中摺動材からなるオイルシールリングに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、トルクコンバータや油圧式クラ
ッチ等の自動車等の自動変速機には、作動油を密封する
ためのオイルシールリングが要所に取り付けられてい
る。このようなオイルシールリングは、回転軸とシリン
ダの間で回転可能であり、かつ、これらに摺接する。
【0003】従って、このようなオイルシールリングに
は、摺接するシリンダ材料(相手材)の材質に応じて、
低摩擦係数とともに耐摩擦性に優れ、しかも相手材を傷
つけずに充分なオイルシール性を発揮するといった多く
の特性が要求される。
【0004】従来、このような用途で使われるオイルシ
ールリングには、鋳鉄が用いられていたが、油圧装置の
小型軽量化、高性能化に伴い油漏れの少ないシールリン
グ材の開発が進められ、現在では、鋳鉄に比べシール
性、摺動特性の優れた四フッ化エチレン樹脂製のシール
リングが多用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳鉄製
オイルシールリングは、耐摩耗性に優れ、かつ鉄系の相
手材を摩耗させない点で優れているがシール性に劣って
いる。一方、シール性に優れる四フッ化エチレン樹脂製
リングは、PV値が高くなると、短時間でリング自体が
摩耗する欠点を有している。
【0006】シール性に優れる合成樹脂製のオイルシー
ルリングについては、特開昭55−7848号公報、特
開平2−175793号公報、特開平7−179846
号公報に記載がある。
【0007】上記公報で開示されたオイルシールリング
は、摺動相手がアルミニウムのような軟質材である場合
において、相手材およびオイルシールリング自身の摩耗
を改良したものであるが、摺動相手が鉄系金属などの非
軟質材である場合に相手材の摩耗はないが、オイルシー
ル自身が摩耗してオイル漏れが発生する。
【0008】そこで、この発明の課題は上記した問題点
を解決して、摺動相手材が軟質材または非軟質材である
いずれの摺動条件においても使用に耐える合成樹脂製の
油中摺動材であり、特に前記した2つの摺動条件におい
てシール性、耐摩耗性および相手材の摩耗が少ない特性
を全て兼備する優れたオイルシールリングにすることで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1に係る発明においては、ポリアリーレンス
ルフィド系樹脂30〜88重量%、炭素系ファイバ10
〜45重量%、パーフルオロ系フッ素樹脂2〜25重量
%を含む樹脂組成物からなる油中摺動材としたのであ
る。
【0010】また、請求項2に係る発明においては、3
00℃における溶融粘度が2000〜5000ポイズで
ある架橋型ポリアリーレンスルフィド系樹脂30〜88
重量%と、炭素繊維10〜45重量%と、再生ポリテト
ラフルオロエチレン樹脂粉末2〜25重量%を含む樹脂
組成物からなる油中摺動材としたのである。
【0011】また、請求項3に係る発明においては、3
00℃における溶融粘度が2000〜5000ポイズで
ある架橋型ポリアリーレンスルフィド系樹脂30〜88
重量%と、炭素繊維10〜45重量%と、再生ポリテト
ラフルオロエチレン樹脂粉末2〜25重量%と、10重
量%以下の二硫化モリブデンとを含む樹脂組成物からな
る油中摺動材としたのである。
【0012】また、請求項4に係る発明においては、炭
素繊維が、平均繊維径10μm以上の炭素繊維である請
求項2または3に記載の油中摺動材としたのである。
【0013】また、請求項5に係る発明においては、架
橋型ポリアリーレンスルフィド系樹脂の重量平均分子量
が20000〜45000である請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の油中摺動材としたのである。
【0014】また、請求項6に係る発明においては、ポ
リアリーレンスルフィド系樹脂30〜88重量%、炭素
系ファイバ10〜45重量%、パーフルオロ系フッ素樹
脂2〜25重量%を含む樹脂組成物の油中摺動材からな
るオイルシールリングとしたのである。
【0015】また、請求項7に係る発明においては、3
00℃における溶融粘度が2000〜5000ポイズで
ある架橋型ポリアリーレンスルフィド系樹脂30〜88
重量%と、炭素繊維10〜45重量%と、再生ポリテト
ラフルオロエチレン樹脂粉末2〜25重量%を含む樹脂
組成物の油中摺動材からなるオイルシールリングとした
のである。
【0016】また、請求項8に係る発明においては、3
00℃における溶融粘度が2000〜5000ポイズで
ある架橋型ポリアリーレンスルフィド系樹脂30〜88
重量%と、炭素繊維10〜45重量%と、再生ポリテト
ラフルオロエチレン樹脂粉末2〜25重量%と、10重
量%以下の二硫化モリブデンとを含む樹脂組成物の油中
摺動材からなるオイルシールリングとしたのである。
【0017】以上のように構成されたこの発明に係る油
中摺動材およびオイルシールリングは、前記各樹脂組成
物からなる油中摺動材を用いているので、摺動相手材が
軟質材または非軟質材であるいずれの摺動条件において
もシール性に優れ、耐摩耗性に優れかつ相手材の摩耗が
少ないものになる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を説
明する。
【0019】この発明に用いるポリアリーレンスルフィ
ド系樹脂(以下、PAS樹脂と称する。)は、一般的に
化1で示される合成樹脂である。ここで、化1中のPh
は、例えば下記化2〜化7に示されるものがあげられ
る。
【0020】
【化1】
【0021】(nは整数を示す。)
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】(QはF、Cl、Brのハロゲン又はCH
3 を示し、mは1〜4の整数を示す。)
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】PAS樹脂は、上記化1で示される繰り返
し単位が70モル%以上のものがよく、90モル%以上
のものが好ましい。繰り返し単位が70モル%未満で
は、期待する性質の組成物が得られなくなるので好まし
くない。
【0030】このような重合体を得るには既に良く知ら
れた方法を使用すればよいが、例えば、硫化ナトリウム
とp−ジクロロベンゼンとをN−メチルピロリドン、ジ
メチルアセトアミド等のアミド系溶媒若しくはスルホラ
ン等のスルホン系溶媒中で反応させるのが好適である。
なお、重合体の結晶性に影響を与えない範囲で、例え
ば、化8〜化12に示される共重合成分を30モル%未
満、好ましくは10モル%未満で1モル%以上含ませて
もよい。
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】
【0034】(Rはメチル基以外のアルキル基、ニトロ
基、フェニル基、アルコキシ基等を示す。)
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】このようなPAS樹脂は、例えば、特公昭
44−27671号公報や特公昭45−3368号公報
に開示されているようなハロゲン置換芳香族化合物と硫
化アルカリとの反応、特公昭46−27255号公報に
開示されているような芳香族化合物を塩化硫黄とのルイ
ス酸触媒共存下における縮合反応、または米国特許第
3,274,165号公報に開示されているような、チ
オフェノール類のアルカリ触媒もしくは銅塩等の共存下
における縮合反応等によって合成されるが、目的に応じ
て具体的な方法を任意に選択することができる。
【0038】また、この発明に用いるPAS樹脂は、架
橋型のものを採用するか、または部分的交差結合、すな
わち、部分架橋を形成したものを採用することが好まし
い。このような部分的交差結合を形成したPAS樹脂
は、半架橋型またはセミリニア型のPASとも呼ばれ
る。架橋型または半架橋型のPAS樹脂は、リニア型
(架橋のないもの)のPAS樹脂に比べて耐摩耗性に優
れており、リニア型PAS樹脂に比べて射出成形した成
形品にバリの発生が少ない利点がある。
【0039】PAS樹脂に架橋を形成するか、または部
分的交差結合を形成させる方法としては、例えば、低重
合度のポリマーを重合した後、空気が存在する雰囲気で
加熱する方法や、架橋剤や分岐剤を添加する方法があ
る。
【0040】このようにして得られた架橋性のPAS樹
脂の溶融粘度は1000〜5000ポイズであり、好ま
しくは2000〜4000ポイズである。溶融粘度が1
000ポイズより小さいと、150℃以上の高温域で耐
クリーブ特性などの機械的特性が低下し、変形しやすい
ので好ましくない。また、5000ポイズより大きい
と、成形性が劣り、また柔軟性が低下して、ピストン等
の溝部にシールリングを組み込み難く、好ましくないと
考えられる。なお、溶融粘度の測定は、測定温度300
℃、オリフィスが穴径1mm、長さ10mm、測定荷重
20kg/cm2、予熱時間6分の条件下で、高化式フ
ローテスタにて行われる。
【0041】また、部分的交差結合を有するPAS樹脂
の熱安定性は、上記の溶融粘度測定条件にて、予熱6分
後と30分後の溶融粘度の変化率が−50%〜150%
の範囲であることが好ましい。なお、変化率は下記の式
で表される。 変化率=(P30−P4 )/P4 ×100 (P4 :予熱6分後の測定値、P30:予熱30分後の測
定値) 以上のような条件を満足する部分的交差結合を有するP
AS樹脂としては、例えば、トープレン社製:T4、T
4AG、TX−007等をあげることができる。
【0042】PAS樹脂の重量平均分子量としては、2
0000〜45000のものがよく、25000〜40
000のものが好ましい。重量平均分子量が20000
より小さいときは、耐熱性の点で好ましくなく、また、
重量平均分子量が45000より大きいときは、複雑な
精密な寸法精度に対する成形性の点で好ましくない。
【0043】上記PAS樹脂の全組成物中の配合割合
は、30〜88重量%である。30重量%未満だと上記
組成物からなる油中摺動材の強度が低下してしまい、8
8重量%を越えると所定の充填剤を添加しても補強効果
が得られず、上記油中摺動材の耐摩耗性が劣ることにな
るからである。
【0044】次に、この発明に用いられる炭素繊維は、
現在汎用されている1000℃以上、好ましくは120
0〜1500℃の高温に耐えるものであれば、レーヨン
系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、リグニン−ポ
バール系混合物、特殊ピッチ系など原料の種類の如何に
よらず使用することができる。そして、その形状は長短
いずれの単繊維であっても、クロス、フェルト、ペー
パ、ヤーン等のように一次加工を経た編織布、不織布、
糸、紐等の製品形体をしたものであってもよい。
【0045】また、その材質を特に制限することなく、
ピッチ系、PAN系、カーボン質および黒鉛質のいずれ
であってもよく、例えば、繊維径約4〜20μm、繊維
長約10〜1000μm、好ましくは10〜500μm
のものであれば、前記樹脂組成物中に均一に分散し、こ
れを充分に補強するので適当である。
【0046】適度な弾性率、引張強度等の機械的特性と
シリンダやピストン等の相手材への攻撃性や成形時の樹
脂組成物の流動性等を考慮すると、炭素繊維径は、平均
約5〜14μm、また繊維長は約10〜500μmであ
ることが好ましい。また、特に耐摩耗性に優れた油中摺
動材料とするためには、平均繊維径が10μm以上のも
のを採用することが好ましい。なお、炭素繊維の平均繊
維径は原料によって異なるが、平均繊維径が10μm以
上の炭素繊維としてはピッチ系のものが相当する。
【0047】炭素繊維は、上記に示したような種々の有
機高分子繊維を平均1000〜3000℃程度に焼成し
て生成される。この構造は、主に炭素原子六角網平面か
ら構成される。この網平面が繊維軸に平行に近く配列し
たものとして、高配向、異方性を有するPAN系や液晶
ピッチ系の炭素繊維があげられ、一方、この網平面が乱
雑に集合したものとして、等方性を有するピッチ系炭素
繊維があげられる。
【0048】高配向、異方性の炭素繊維は、特定の方向
の弾力性や引張強度に対して高く優れており、等方性の
炭素繊維は、全方向から受ける荷重に対しても比較的耐
えうる。
【0049】PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維を比
較すると、引張強度がPAN系では2400MPaであ
るのに対して、ピッチ系のものは590〜980MPa
であり、引張弾性率がPAN系では200〜500GP
aのもの、具体的には340GPaであるのに対してピ
ッチ系のものは30〜300GPa具体的には30〜4
0GPaであり、両者の機械的強度に大きな差がある
が、この発明に係るオイルシールリングとしては何ら問
題はない。
【0050】なお、この発明に用いる炭素繊維には、P
AN系炭素繊維を少量混合させてもよく、用いる全ての
炭素繊維の平均繊維径が10μmである必要はない。P
AN系炭素繊維を少量混合させると、オイルシールリン
グの耐摩耗性は向上し、かつ軸に組み込むときに破損し
難くなる。ただし、PAN系炭素繊維の混合割合は、3
0%が限度であると考えられる。
【0051】ピッチ系炭素繊維は、例えば、石油精製で
副生される石油ピッチ等のような構造上無定形の等方性
ピッチ系炭素繊維と、一定方向の構造、例えば光学異方
性の異方性ピッチ系炭素繊維があげられる。
【0052】等方性ピッチ系炭素繊維は、石油系、石炭
系、合成品系、液化石炭系等に分類され、それらの原料
を溶融紡糸でピッチ繊維にして、不融化処理をした後
に、炭素化することにより製造される。
【0053】また、液晶ピッチ系炭素繊維は、ピッチ類
を不活性化気相中で加熱し、350〜500℃で液晶状
態とした後、固化してコークスとする。これを溶融紡糸
して酸化雰囲気で加熱すると酸化繊維となって不溶不融
の繊維となり、さらにこれを例えば不活性気相中で約1
000℃以上に加熱する方法等により製造される。
【0054】これらは、引張弾性率が平均30〜50G
Pa程度の低弾性率から平均240〜500GPa程度
の中・高弾性率のものを要求により選択することがで
き、その他引張強度の機械的特性に優れた繊維を所定の
樹脂組成物に混合することにより、適切な機械的強度を
有するシール材を得ることができる。
【0055】このようなピッチ系炭素繊維の市販品の例
としては、呉羽化学工業社製:クレカM207S(繊維
径12〜13μm)等の「クレカ」(商品名)シリーズ
があり、特に同社製のクレカチョップM201F(平均
繊維径12.5μm、平均繊維長0.13mm)、同M
201S(平均繊維径14.5μm、平均繊維長0.1
3mm)、同M107T(平均繊維径18.0μm、平
均繊維長0.70mm)等が挙げられる。
【0056】また、PAN系炭素繊維は、ポリアクリロ
ニトリル繊維等のアクリル系繊維を加熱して焼く方法で
製造することができる。加熱温度によって所定の引張弾
性率を得ることができ、例えば、約1000〜1500
℃で加熱すると引張弾性率は平均200〜30GPa、
引張強度は平均300〜6000MPaとなる。また、
約2000℃で加熱して、引張弾性率を平均350〜5
00GPa、好ましくは平均400〜500GPaとす
ることもできる。従って、PAN系炭素繊維は、高い引
張強度の繊維で、加熱温度により引張強度は平均500
〜6000MPaの範囲のものも得られ、要求により平
均500〜3000MPaの範囲のものを製造すること
もできると考えられる。これらの数値が低すぎると圧縮
クリープ等に関する補強が期待できず、これらの数値が
高すぎると、ピストン、シリンダ等の相手材を攻撃する
ことも予想される。
【0057】このPAN系炭素繊維の例としては、東邦
レーヨン社製「ベスファイト」(商品名)シリーズ全般
があげられ、その具体例としては、ベスファイトHTA
−CMF−0040−E、ベスファイトHTA−CMF
−0160−E、ベスファイトHTA−CMF−100
0−E、ベスファイトHTA−C6−E等(いずれも、
繊維長6mm)があげられる。また、東レ社製の「トレ
カ」(商品名)シリーズ全般もあげられ、その具体例と
しては、トレカMLD−300、トレカMLD−100
0等があげられる。
【0058】これらの炭素繊維の有する引張強度として
は、550〜1000MPaが好ましく、ビッカース硬
度(Hv)は400〜600が好ましい。引張強度が5
50MPaより小さいときやビッカース硬度(Hv)が
400より小さいときは、炭素繊維を添加する補強効果
が期待できず、引張強度が1000MPaより大きいと
きやビッカース硬度(Hv)が600より大きいとき
は、相手材を攻撃して摩耗させることが考えられ、好ま
しくない。
【0059】これらの炭素繊維は、酸やアルカリ等の薬
品類の影響を受けにくく、また、耐摩耗性も有してい
る。
【0060】なお、これらの炭素繊維と前記PAS繊維
との密着性を高め、油中摺動材の機械的特性等を向上さ
せるために、これらの炭素繊維の表面をエポキシ系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ
アセタール系樹脂等含有の処理剤やシラン系カップリン
グ剤等により表面処理を施してもよい。
【0061】上記炭素繊維のなかで、引張強度が550
〜1000MPa、引張弾性率30〜50GPaの範囲
にあるものが特に好ましい。引張強度、引張弾性率が下
限値以下では炭素繊維による補強効果が得られず、上限
値以上では耐摩耗性に劣るからである。
【0062】上記炭素繊維の全組成物中の配合割合は1
0〜45重量%、好ましくは10〜30重量%である。
10重量%未満では油中摺動材の耐摩耗性がほとんど向
上せず、45重量%を越える多量では溶融流動性が著し
く低下して成形性が悪くなるからである。
【0063】この発明に用いられるパーフルオロ系フッ
素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTF
Eと称する。)に代表されるフッ素系樹脂である。この
樹脂は、骨格である炭素原子の周囲を全てフッ素原子又
は微量の酸素原子で取り囲まれた状態であり、C−F間
の強固な結合により、フッ素系樹脂の中でも比較的耐熱
温度が高く、また、低摩擦係数、非粘着性、耐薬品性等
の諸特性に優れている。PTFEは、四フッ化エチレン
単独重合体で圧縮成形可能な樹脂であり、その熱分解温
度は約508〜538℃である。これは、市販のものを
用いることができ、例えば、喜多村社製:400H等を
用いることができる。
【0064】パーフルオロ系フッ素樹脂としては、PT
FE以外に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体(PFA、熱分解温度約
464℃以上)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(FEP、熱分解温度約419
℃以上)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプ
ロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体(EPE、熱分解温度約440℃)等があげられる。
また、これらに加えて、ポリクロロトリフルオロエチレ
ン(PCTFE、熱分解温度約347〜418℃)、テ
トラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE、
熱分解温度約347℃以上)、クロロトリフルオロエチ
レン−エチレン共重合体(ECTFE、熱分解温度約3
30℃以上)、ポリビニリデンフルオライド(PVD
F、熱分解温度約400〜475℃)、ポリビニルフル
オライド(PVF、熱分解温度約372〜480℃)等
を混合してもよい。
【0065】また、パーフルオロ系フッ素樹脂は、上記
フッ素樹脂のモノマーの例えば約1:10から10:1
の重合割合で2種類以上の共重合体や、3元共重合体な
どのフッ素化ポリオレフィンなどであってもよく、これ
らは、固体潤滑剤としての特性を示す。これらのなかで
も、PTFEは、耐熱性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦
係数などの諸特性に優れており好ましい。
【0066】これらのパーフルオロ系フッ素樹脂は、微
分熱分解開始温度が比較的高く好ましい。例えば、PT
FE,PVDFの熱分解点はそれぞれ約490℃、約3
50℃であり、これらの微分熱分解開始温度は、それぞ
れ約555℃、約460℃を示し、中でも、PTFE、
PFA、FEP等は、高温特性に優れていて好ましい。
このため、上記樹脂を含む組成物を溶融して油中摺動材
とする過程での熱履歴に比較的耐え得る。特に、PTF
Eの分解点は、熱分解温度が約280〜290℃前後の
PAS樹脂より100〜200℃高く好ましい。
【0067】これらのパーフルオロ系フッ素樹脂を2〜
25重量部、好ましくは5〜25重量部添加すること
で、機械的特性に優れ、標準品等で圧縮強さが、50〜
200MPa程度の良好な耐クリープ特性及び耐熱性、
耐油性や耐薬品性等に優れる特性に加えて、耐衝撃性、
耐疲労性、耐摩耗性等を向上することもできると考えら
れる。
【0068】添加量が2重量部未満では、これらの効果
が期待できず、自己潤滑性及び耐摩耗性等の摺動特性の
改良が顕著に認められない。また、25重量部を越える
と、これらの溶融粘度等により造粒時や射出成形時に溶
融成形機等のシリンダーにかかる負荷が大きく、成形性
が悪くなり、安定した造粒性、射出成形性及び寸法精度
が期待できず、機械的特性が低下する場合がある。
【0069】PTFEを粉末状にしてPAS樹脂に添加
する場合は、粉末状にすればその形状や大きさを特に限
定することなく用いることができるが、粒状で粒径が7
0μm以下のものが、樹脂組成を均一にするために好ま
しい。
【0070】また、この発明ではバージン材のPTFE
粉末に代え、再生PTFE粉末を用いてより良好な結果
が得られる。再生PTFE粉末は、バージン材を一度焼
成した後、粉砕して得られる粉末であるから、バージン
材のPTFEを樹脂組成物に添加したときのように樹脂
組成物の溶融粘度を著しく上昇させることがなく、射出
成形性を阻害しないものである。また、再生PTFE粉
末は、一度焼成されているので、これを混合した樹脂成
形品の寸法変化、形状変化またはクラックの発生なども
起こらず安定した成形品が得られる添加剤である。
【0071】再生PTFE粉末の原料であるPTFE樹
脂は、骨格となる分子鎖を構成する炭素原子の周囲が全
てフッ素原子で取り囲まれたものであり、C−F間の強
固な結合により、フッ素系樹脂のなかでも最も耐熱性が
高く、また摩擦係数、非粘着性、耐薬品性等の諸特性に
優れている。なお、PTFE樹脂の熱分解温度は、50
8〜538℃である。
【0072】上述した再生PTFE粉末の市販品として
は、例えば喜多村社製:KT300M、KT300H、
KT400M、KT400H、KTL610などがあ
る。
【0073】以上述べたような再生PTFE粉末その他
のパーフルオロ系フッ素樹脂の全組成物中の配合割合
は、2〜25重量%であることが好ましい。2重量%未
満であると樹脂組成物の摺動特性が向上せず、また摺動
相手材の損傷性の問題を解決できない。また、25重量
%を越える配合量の場合は、成形性が悪くなる等の問題
が起こる。このような傾向から、より好ましいパーフル
オロ系フッ素樹脂の全組成物中の配合割合は、5〜15
重量%である。
【0074】さらに、油中摺動材に配合する二硫化モリ
ブデンなどのモリブデン化合物は、前記したPTFE樹
脂と同様に低摩擦係数の添加剤であり、油中で非常に効
果がある固体潤滑剤である。しかし、使用する潤滑油に
は、極圧剤が添加されていて二硫化モリブデンを添加し
なくても良好な摺動性が得られることもあり、さらには
二硫化モリブデンを配合すると若干自己摩耗性が悪化す
る傾向があるため、必ずしも二硫化モリブデンを添加す
る必要はない。二硫化モリブデンの市販品としては、例
えばダウコーニング社製モリコートパウダーなどがあ
る。
【0075】この発明の油中摺動材には、二硫化モリブ
デンなどのモリブデン化合物を10重量%以下の割合で
添加することが好ましく、10重量%より多量に配合し
ても、それ以上の摺動特性の向上は認められず、成形性
を悪化させることにもなる。このような傾向から、より
好ましい二硫化モリブデンなどのモリブデン化合物の配
合割合は0〜7重量%、さらに好ましくは1〜6重量%
である。
【0076】なお、上記材料以外の添加剤として、この
発明の効果を阻害しない範囲内で、例えば自己潤滑性、
機械的強度、および熱安定性などの向上及び着色等の目
的で固体潤滑剤、タルク等の増量剤、粉末充填剤および
顔料など350℃程度以上の高温で安定な物質を適宜混
合してもよい。例えば、樹脂組成物の潤滑性をさらに改
良するために、耐摩耗性の改良剤を配合することができ
る。この耐摩耗性改良剤の具体例としては、カーボン、
グラファイト、マイカ、ウォラストナイト、リン酸塩、
炭酸塩、ステアリン酸塩、超高分子量ポリエチレン、硫
酸カルシウムなどを例示することができる。このような
添加剤を添加する際の残部耐熱性樹脂は、約40重量%
を下回らないようにすることが好ましい。
【0077】これらの耐熱性樹脂に対して各種の添加物
を添加混合する方法は特に限定するものではなく、通常
広く用いられている方法、たとえば主成分となる樹脂、
その他の諸原料をそれぞれ個別に、またはヘンシェルミ
キサー、ボールミル、タンブラーミキサー等の混合機に
よって適宜乾式混合した後、溶融混合性のよい射出成形
機もしくは溶融押出成形機に供給するか、又は予め熱ロ
ール、ニーダ、バンバリーミキサー、溶融押出機などで
溶融混合するなどの方法を利用すればよい。
【0078】さらに、前記の組成物を油中摺動材に成形
する際には、特に成形方法を限定するものではなく、圧
縮成形、押出成形、射出成形等の通常の方法、または組
成物を溶融混合した後、これをジェットミル、冷凍粉砕
機等によって粉砕し、所望の粒径に分級することも可能
である。なかでも射出成形法は、生産性に優れ、安価な
油中摺動材を提供することができる。
【0079】また、このようにして得られたペレットな
どの粒は、成形前に後述の熱処理と同程度の乾燥処理を
施しても良い。充分にペレット等の粒から水分などを蒸
発させることで、油中摺動材の膨れや強度低下を防ぐこ
とができると考えられる。
【0080】このようにして得られた油中摺動材は、熱
固定及び成形時のひずみを除いて高温使用時の寸法安定
性を確保するため、約85〜260℃で約0.1〜24
時間程度のアニール熱処理をしておくことが望ましい。
【0081】アニール熱処理温度は、約260℃以下、
例えば約85〜260℃程度、寸法形状によっては約8
5〜230℃程度や約85〜200℃程度で行われるこ
とが適当である。これらのPAS樹脂は、広い温度範囲
にわたって剛性が高く、耐衝撃性も優れており、クリー
プなどの歪みに対しても強く、また殆どの種類の油類や
薬品等にも耐性を示す樹脂である。また、これらの樹脂
は結晶性であって、結晶化度の上昇で強度や剛性の増
加、耐摩耗性や潤滑性の向上、熱膨張係数や吸水率の低
下などの性質をもっている。
【0082】熱処理温度が約85℃未満の低温では、結
晶化の進行に多大の時間を要して効率が悪く、油中摺動
材のわずかな歪みを除くことも難しくなり、寸法安定性
も得られ難いと考えられる。
【0083】アニール熱処理温度がシールリング油中摺
動材の熱変形温度よりも約20〜30℃程度を越える
と、樹脂にかかる熱履歴の影響が大きくなり好ましくな
いと考えられ、これ以下で熱処理することが好ましい。
熱処理時は、前記所定の温度に達する前に、例えば常
温、約80℃、約130℃、約180℃、約220℃、
約230℃、約260℃というように、数段階に分け
て、約15〜180分程度の範囲で、約15〜60分毎
に徐々に昇温し、前記温度範囲内の最適な温度にて、前
記時間の範囲で温度を一定に保持してもよい。その場合
の最高温度の保持時間は、約15〜480分程度であれ
ばよい。最高温度の保持時間が所定時間よりも短時間で
あると、樹脂の結晶化が不充分となって寸法安定性が悪
くなり、所定時間よりも長時間であると、「ソリ」など
の不適当な熱変形が起こり、また電気炉などのエネルギ
ー消費量の増大や製造時間の長時間化からみても製造コ
ストの低減を図ることが難しくなる。
【0084】また、約85〜120℃程度に昇温した時
にそのような一定温度で保持してもよい。このようにす
ると、油中摺動材内に僅かに取り込まれた水分を乾燥さ
せることができ、その後、結晶化させることができる。
一方、短時間で急激に加熱して熱処理を終了させること
は好ましくない。前記水分が沸点を越えて気化し、その
際の体積膨張によって油中摺動材に「膨れ」などの不具
合が発生する可能性が高くなるからである。
【0085】結晶化工程後の冷却は、前記昇温時と逆の
段階を経て冷却してもよく、または約60〜180分程
度の時間をかけて連続的に徐冷してもよい。
【0086】以上のような熱処理工程を行なうことによ
り、油中摺動材の膨れなどの不具合の発生を極力防ぐと
共に、樹脂の結晶化を確実かつ徐々に進行させて、油中
摺動材の寸法安定性を高めて寸法精度の高い油中摺動材
を提供することができる。
【0087】また、油中摺動材と相手部材の少なくとも
一方の摺動面の表面粗さは、Rmax、Ra、Rz等の
JISで定義された評価法によって測定され、約3〜2
5μm以下であり、約8μm以下が好ましく、約3μm
以下がより好ましい。なぜなら、表面粗さが前記所定範
囲を越えると、摺動面に傷が多く付くようになり、これ
は摩耗の原因になると考えられるからである。なお、表
面粗さの下限値は、加工時の効率性も考慮して、約0.
1μm程度以上であればよい。
【0088】また、相手材表面の仕上げ加工などの工程
に長時間を要するので、効率的でないことや樹脂材の転
移膜の形成に影響される可能性もあるため、摩耗に影響
されないような仕様や条件であれば、約3〜8μm程度
の範囲以下としても良いとも推定される。
【0089】また、ピストン、シリンダー等の相手材
は、S45C,SCM420H等の炭素鋼、FCD45
等の球状黒鉛鋳鉄等あるいはこれらの硬化処理材等の硬
質材料であっても、又はADC12等のアルミニウム合
金等の軟質材であってもよい。相手材は、加工時の効率
や、生産性、価格等で平均して総合的に優れる鋳物系金
属、その中でもADC等の軽量鋳物金属系合金等が好ま
しい。
【0090】次に、上記組成物を成形して得られる上記
油中摺動材を用いたオイルシールリングについて説明す
る。
【0091】まず、合い口を有し、その両者の間に半径
方向の重なりのない形状にシールリングを射出成形して
成形品を得るのであるが、その方法は、通常の方法を用
いることにより得られる。得られたシールリングは、図
1に示すように、一部に相対向した合い口5の間に隙間
を有しており、このシールリング4は、シールリング4
の全長の中央から若干ずらせた(±10°〜±30°程
度)位置に材料注入位置6であるゲート7を有する金型
から射出成形することにより得られている。
【0092】これは、シールリングを相手部材のシール
溝に組付ける際の応力が全長の中央に集中するので、ゲ
ート部に応力が集中するのを避けるため、注入位置6を
その中央から若干ずれた位置に配置するのである。特
に、合い口形状がステップカット形状を有するシールリ
ングにおいて、ゲート位置をシールリングの全長の中央
から±10°〜±30°程度ずれせば、成形後の熱固定
やシールリングのピストンへの組み込み時にステップカ
ットの突起部長さだけより多く広げたり閉じたりするこ
とがあっても、ゲート部分に大きな力が加わることを緩
和できる。
【0093】上記の射出成形後、次に、図2に示すごと
き、合成樹脂製又はゴム製の円柱体2及びリングゲージ
3とからなる治具を用い、上記の方法で得られる射出成
形品1をリングゲージ3の内径面に挿入し、その射出成
形品1の内側に円柱体2を挿入する。上記の円柱体2を
構成する樹脂はリングゲージ3より熱膨張率の大きい物
質、例えばリングゲージ3より熱膨張率の大きい樹脂又
はエラストマー等の重合物質等であり、加熱した際の熱
膨張により成形品1の内側から強制力を加える。エラス
トマー系重合体の場合、ゴム硬度(Hs)が約60〜1
00程度、好ましくは65〜90程度であれば、良好な
弾性強制力が得られ好ましいと考えられる。ゴム硬度が
高すぎると硬すぎるため、射出成形品1の内側に円柱体
2を挿入しづらく、ゴム硬度が低すぎると柔らかすぎる
ため、適度な弾性強制力が得られにくい。
【0094】次に、上記の治具全体を電気炉等に入れ、
射出成形品1のベース樹脂のガラス転移点以上の温度に
なるよう加熱して、上記射出成形品1の熱固定を行う。
【0095】このようにして得られたシールリングをそ
のまま用いることができるが、角部の摺動時における引
っ掛かり等の問題を有する場合があり、また、潤滑剤の
供給が問題となる場合がある。このような場合、必要に
応じて、角部に面取りを行ったり、段差部を設けたり、
潤滑用の溝を設けてもよい。そのようなものを設けた例
を図3に示す。図3(a)〜(f)は、ステップカット
型の合い口19の構造を有するシールリング10であ
る。合い口19の形状は、その目的に応じて、所望の形
状をとることができる。そのリング10の一方の側面の
シール面11にはほぼ3等分位置に内周側から外周側に
貫通した潤滑溝12が形成され、また他方の側面のシー
ル面21にも、若干位置をずらせて同様の潤滑溝12が
形成されている。
【0096】これらの潤滑溝12は深さ0.1mm程
度、幅0.1mm程度の微細なものであり、図示のよう
に1〜5箇所、好ましくは1〜3箇所程度設けてもシー
ル性を損わない。また潤滑溝12のシール面11側の開
口端には、面取り部13が施される。
【0097】また、上記潤滑溝12は、図3(c)に示
すように、シール面11と潤滑溝12との境界における
シール面11と潤滑溝12の面とのなす角度θが鈍角、
すなわち、90°を越えて180°未満がよく、120
°〜135°が好ましい。また、上記角度θを調整する
ことにより、任意の潤滑溝12の開口端の面積を得るこ
とができ、金型を用いたときに生成するバリをバレル処
理で容易に取り除くことができる。
【0098】この潤滑溝12を潤滑剤を通って、シール
性を損なわない程度にリング側面のシール面を内外方向
にリークするため、相手材との相対回転によりシール面
の全幅にわたる潤滑膜が全周にわたって形成される。こ
のため、シール面全面にわたる潤滑性が改善され、耐摩
耗性が向上し、さらに、相手材を摩耗させない効果を有
する。また、周囲の潤滑剤が少なくなると潤滑剤が補給
され、円滑な回転が長期にわたって維持される。
【0099】上記のシールリング10の断面形状は図3
(d)(e)に示すように、両側シール面11と外周面
14との間及び両側シール面11と内周面15との間に
それぞれ段差部16が設けられる。段差部16は図3
(f)に示すようにシール面11に対する直角面17
と、外周面14に対する直角面17’及びこれら両方の
直角面17、17’間に形成された傾斜面18とから成
り、その段差部16の高さhは、潤滑溝12の深さより
高い。
【0100】上記の段差部16の高さhは特に限定しな
いが、シールリング10の矩形断面の半径方向の長さ、
または、軸方向長さのそれぞれ約5〜50%程度、好ま
しくは、約5〜25%程度、更に好ましくは、約5〜1
0%程度とし、シールリング10の片面又は両面部に設
けることが好ましい。上記いずれの数値範囲について
も、下限値を超え、上限値未満の範囲に選定してもよ
い。
【0101】上記の段差の高さhが少なすぎると、金型
の長期にわたる使用での可動型と固定型とのズレが比較
的短い周期で発生した時に、不具合を招来する可能性が
あり、多すぎると、シールリングのシール部分面積、い
わゆるシールランドが減少してしまうため、確実で、良
好な密封特性に期待できない。
【0102】ところで、合い口19の形状は、その目
的、使用場所等に応じて、いわゆるストレートカット
型、ステップカット型、複合ステップカット型等のいず
れを用いることができる。次に、上記の各形状の合い口
の中から、複合ステップカット型の合い口について説明
する。
【0103】図4(a)(b)(c)に、複合ステップ
カット型の1つの型を有する合い口21、21’を示
す。この合い口21、21’は外径面側突起22と外径
面側段部27から成り、両方の合い口21、21’の外
径面側突起22と外径面側段部27、外径面側段部27
と外径面側突起22とが相補的に一定の間隙をおいて嵌
合するものであり、更に詳細に説明すると次のとおりで
ある。
【0104】一方の合い口21について、リング本体か
ら外径面側突起22が周方向に突き出す部分及び外径面
側段部27を形成する凹所が反対方向へ延び出す部分の
内径面側の先端の面を基準とし、この面を突き合わせ面
30と呼ぶことにすると、外径面側突起22は、その突
き合わせ面30を左右両側に二分した場合の一側面側、
かつ内外(リング本体11の内径側と外径側)に二分し
た場合の外径側に設けられ、その外径面側突起22の外
径面31は、リング本体の外面と段差なく連続し、同じ
曲率をもつように形成される。
【0105】また、外径面側段部27は、上記の突き合
わせ面30を同様に左右及び内外に二分した場合の他の
側面側かつ外径側に設けられ、その外径面側段部27の
内面32は、リング本体の内径面と同じ曲率をもつよう
に形成される。
【0106】他方の合い口21’は、上記の合い口21
と相補的な形態に形成され、両方の合い口21、21’
は一定の間隙をおいて相互に嵌合し、シールリングはほ
ぼ真円形をなす。
【0107】また、この合い口21、21’は、所望に
応じて、面取り部や、すみ肉をもうけてもよい。面取り
部は、所定の曲率をもった円弧状のもの(アールともい
う。)でもよいが、曲率0のもの、すなわち斜面により
面取り状のもの(チャンファーともいう。)であっても
差し支えない。このような面取り部は、例えば、連続し
て曲率がさまざまに変化するような形状をとることがで
きる。面取り部やすみ肉を設けることにより、合い口2
1、21’同士、または、合い口と相手材との間の突出
量が零となるか、又は少なくなるので、局部的接触を防
止することができる。
【0108】合い口21、21’に設けることのできる
面取り部、すみ肉としては、次のものがあげられる。各
外径面側突起22の先端面29とその外径面31との境
界に面取り部23、各外径面側段部27の段差面28と
リング本体の外径面31との間に面取り部23’、各外
径面側突起22と先端面29と外径面側突起22の内側
面33との境界に面取り部24、各外径面側突起22の
先端面29と外径面側突起22の内径側面36との境界
に面取り部24’、各外径面側段部27の内面32と、
突き合わせ面30との境界に面取り部24”、各外径面
側段部27の段差面28と外径面側突起22の内側面3
3との境界にすみ肉25’、又は、各外径面側段部27
の段差面28と外径面側段部内面32の境界に丸みであ
るすみ肉25を設けることができる。なお、前述の角部
分に相当する部位以外の角部分を面取り形状、又はすみ
肉を加えた形状としてもよい。
【0109】さらに、合い口21、21’同士の接触を
防止するため、外径面側突起22の内径側面36と、こ
れと対面した他方の合い口21’又は21の外径面側断
部27の内面32との間に所定の間隙g1 を設けること
ができる。このようにすると、外径面側突起22がシー
ルリングの外径面側へ突出する量が一層少なくなる。ま
た、外径面側突起22及び外径面側段部27の厚さ方向
の寸法公差もこの間隙g1 により吸収することができ、
各前記外径面側突起22の外径面側への突出を防止す
る。
【0110】また、両方の合い口21、21’の各前記
外径面側突起22の相互に対面する内側面33相互間に
も所定の間隙g2 を設けることもできる。この間隙g2
は各前記外径面側突起22の幅方向の寸法公差を吸収
し、各前記外径面側突起22の両側面側への突出を防止
する。
【0111】さらにまた、図5に示すように、リング本
体の外径面31や内径面37と側面34との境界に段差
部35を設けることもできる。この段差部35の大きさ
は、シールリングのシール性を保つ範囲であればよい。
【0112】次に、図6(a)(b)(c)に、もう1
つの複合ステップカット型の合い口41、41’を示
す。これは、一方の合い口41’をリング本体先端面4
5’の外径面53側の中央部分に設けた外径面側中央突
起43により形成され、他方の合い口41をこれと相補
的に嵌合する外径面53側の中央凹部44により形成さ
れる、変形された複合ステップカット型の合い口41、
41’を有するシールリングである。
【0113】一方の合い口41’は、リング本体の先端
面45’の外径面53側の中央部に所定長さの突起43
が設けられている。また、他方の合い口41は、リング
本体の先端面45の外径面53側の中央部に、上記外径
面側中央突起43と嵌合するように凹部44が設けられ
ている。一方の合い口41’と他方の合い口41を嵌合
したとき、上記外径面中央突起43と上記外径面中央凹
部44に入り、合い口41’側の上記外径面中央突起4
3以外のリング本体先端面45’と合い口41側の上記
外径面中央凹部44以外のリング本体先端面45とが互
いにつき合う。上記外径面中央突起43のリング本体先
端面45’から外径面中央突起43の先端面48までの
長さと上記外径面中央凹部44の段差面47からリング
本体先端面45までの長さは、同じであってもよいが、
嵌合が弱くならない程度で上記外径面中央突起43のリ
ング本体先端面45’から外径面中央突起43の先端面
48までの長さがより短くてもよい。
【0114】このような形状をとることにより、合い口
41、41’の嵌合部分がリング本体の中央部にくるの
で、射出成形時に変形や反りが生じても、それによる食
い込み等は、内部におさまり、合い口部分の側面にでっ
ぱり等を生じさせない。このため、シールリングの両側
面を研削加工しても、幅寸法のバラツキを減少させるこ
とができ、上記幅寸法精度を向上させることができる。
【0115】また、合い口41、41’の各面の境界に
面取り部や、すみ肉をもうけてもよい。面取り部やすみ
肉を設けることにより、合い口21、21’同士、また
は、合い口と相手材との間の突出量が零となるか、又は
少なくなるので、局部的接触を防止することができる。
【0116】合い口41’に設けることのできる面取り
部、すみ肉としては、次のものがあげられる。外径面5
3と先端面45’との境界に面取り部56、外径面側中
央突起43の外径面53と上記中央突起43の先端面4
8との境界に面取り部57、外径面側中央突起43の側
面49と外径面中央突起43の先端面48との境界に面
取り部60、外径面中央突起43の先端面48と外径面
中央突起43の内径側面52との境界に面取り部62、
外径面側中央突起43の内径側面52とリング本体先端
面45’との境界にすみ肉63、又は、外径面側中央突
起43の側面49とリング本体先端面45’との境界に
すみ肉64を設けることができる。
【0117】また、合い口41に設けることのできる面
取り部、すみ肉としては、次のものがあげられる。外径
面53側の中央凹部44の側面にある突起、即ち外径面
側側面突起42とリング本体先端面45との境界に面取
り部55、外径面中央凹部44の段差面47と外径面5
3の境界に面取り部58、外径面中央凹部44の内部側
面50とリング本体先端面45との境界に面取り部5
9、外径面中央凹部44の内面46とリング本体先端面
45との境界に面取り部61、外径面中央凹部44の段
差面47と外径面中央凹部44の内側面50との境界に
すみ肉65、又は、外径面中央凹部44の段差面47と
外径面中央凹部44の内面46との境界にすみ肉66を
設けることができる。なお、前述の角部分に相当する部
位以外の角部分を面取り形状、又はすみ肉を加えた形状
としてもよい。
【0118】ところで、これらの面取り部分又はすみ肉
部分の形状は、曲率ないしは斜面のものいずれでもよい
が、より好ましい形状は曲率の面取り形状である。その
面取り部分又はすみ肉部分の最小値付近の寸法は、シー
ルリング断面部の軸方向寸法又は径方向寸法のいずれか
のうちの約5%〜50%程度、好ましくは約5%〜25
%程度である。この値が小さすぎると、合い口部分の突
出量がわずかに有る場合に相手部材を傷つけることが考
えられる。
【0119】一方、曲率ないしは斜面のものの面取り部
分又はすみ肉部分の形状の最大値付近の寸法は、シール
リング外周径、内周径、ないしはそれらの中間部の径寸
法のいずれかのうちの、約5〜50%程度、好ましく
は、約25〜50%程度であればよい。この値が大きす
ぎると、面取り部を設けるという効果が薄れ、実質的に
シールリングの外周径の曲率とほぼ同等の面取り部しか
形成できず、合い口部分の突出量を零とするか、又は少
なくすること期待できない。いずれにしても面取り部寸
法はこれらの最小値以上又はこの値を越え、これらの最
大値以下又はこれ未満の範囲であればよい。
【0120】さらにまた、図7に示すように、リング本
体の外径面53や内径面54と側面67との境界に段差
部68を設けることもできる。この段差部68の大きさ
は、シールリングのシール性を保つ範囲であればよい。
【0121】
【実施例】実施例及び比較例に使用した原材料を一括し
て以下に示す。なお、〔 〕内に略記号を示した。 1.PAS トープレン社製:K4(架橋型)〔PPS−1〕 トープレン社製:T4(半架橋型)〔PPS−2〕 トープレン社製:LCX−7(リニア型)〔PPS−
3〕 2.炭素繊維 呉羽化学工業社製:クレカチョップM201F(繊維
径12.5μm、ピッチ系黒鉛質)〔CF−1〕 呉羽化学工業社製:クレカチョップM107T(繊維
径18.0μm、ピッチ系炭素質)〔CF−2〕 東邦レーヨン社製:ベスファイトHTA−C6−E
(繊維径6.7μm、PAN系)〔CF−3〕 3.再生PTFE粉末 喜多村社製:KT400H〔PTFE−1〕 4.バージンPTFE 三井デュポンフロロケミカル社製:テフロン7J〔P
TFE−2〕 5.二硫化モリブデン ダウコーニング社製:モリコートZパウダー〔MoS
2 〕。
【0122】〔実施例1〜9および比較例1〜14〕各
原料を表1または表2に示した割合(重量%)で配合
し、ヘンシェルミキサーを用いて乾式混合し、さらに押
出機にて溶融押出してペレット状にした。これを射出圧
力100MPa、シリンダー温度350℃、金型温度1
30℃の条件で射出成形して外径21mm、内径17m
m、高さ10mmの円筒状成形体を得た。この円筒状成
形体を180℃で1時間アニール処理したものを試験片
として用い以下の試験を行なった。
【0123】(a)スラスト型摩耗試験 試験片に対する摺動相手材を炭素鋼(S45C)または
ダイカスト用アルミニウム合金(ADC12)として、
下記の条件でスラスト型摩耗試験を行ない、その結果の
試験片の摩耗高さ(μm)および相手材の摩耗深さ(μ
m)を表1または表2に示した。 [試験条件] 面圧:18.0kgf/cm2 (1.76MPa) 速度:128m/min 相手材:S45C、ADC12(ともに面粗度3S) 試験時間:50時間 雰囲気:室温 潤滑条件:昭和シェル石油社製:ゲルコATF(自動車
用オーマチックトランスミッション用オイル)
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】表1および表2の結果からも明らかなよう
に、実施例1〜9および比較例1〜4は、相手材の軟
質、硬質を問わず、耐摩耗性および低攻撃性である優れ
た材料であった。
【0127】一方、添加した炭素繊維の径が所定範囲よ
り細い比較例10〜13は、軟質材(ADC12)への
攻撃性が著しかった。また、PTFEを所定範囲より多
く添加した比較例5およびバージンPTFEを添加した
比較例9、10は、自己摩耗量のバラツキが大きく、好
ましい結果が得られなかった。
【0128】〔比較例14〕鋳鉄製シールリング(外径
44mm、内径40mm、幅2mm)を比較例14とし
た。次に、上記のスラスト型摩耗試験で優れた結果が得
られた実施例1〜9及び比較例1〜4、6〜8の材料か
らなるオイルシールリング(外径44mm、内径40m
m、幅2mm)を射出成形によって形成した。これらの
オイルシールリングと前記の比較例14について以下の
組み込み性試験、シール性試験および耐久試験を行なっ
た。
【0129】(b)組み込み性試験 図8に示した1/10テーパーマンドレル80に、シー
ルリング81をゆっくりと挿入した時のリング破壊径を
測定し、結果を表1または表2に示した。
【0130】通常、オイルシールリングを実装する際に
は、少なくとも開口率(破壊径/シールリング径)が1
20%以上必要であるが、表1および表2の結果から、
炭素繊維の配合割合が所定範囲を越える比較例8(破壊
径47mm、開口率(47/40)×100=117.
5%)以外は、全てこの条件を満足した。
【0131】(c)シール性試験 図9に示す回転試験機の炭素鋼(S45C)製の軸71
のリング溝72、72’に上記方法により作成されたオ
イルシールリング73、73’を装着し、軸71を回転
させた際、リング溝72、72’の側面とS45C製の
シリンダー74の内面が摺接するようにした。また、こ
のときシリンダー74の上方の油圧発生装置(図示省
略)から、油の供給管75を介して油を圧送し、油圧計
76により油圧を測定した。シリンダー74の下方に
は、漏れた油を排出する排出管77を設け、油漏れ量を
メスシリンダ78で測定し、熱電対79によりこの時の
油温を測定した。試験条件としては、自動車用オートマ
チック・トランスミッションオイル(昭和シェル石油社
製:ゲルコATF)を使用し、油圧を10kgf/cm
2 (=0.98MPa)とし、油温25℃、40℃、8
0℃、100℃または120℃で軸回転数7000rp
mで1分間駆動したときの油漏れ量(cc/min)を
測定し、この結果をそれぞれ図10、図11に示した。
図10及び図11の結果からも明らかなように、鋳鉄製
シールリングである比較例14は、いずれも油漏れ量が
著しく多かった。これに対し、実施例1〜9および比較
例1〜4、6、7の油漏れ量は、極めて少なく、また油
温による影響も小さく、優れたシール性を示した。
【0132】(d)耐久試験 前記したシール性試験において、シリンダー74の材質
をダイカスト用アルミニウム合金ADC12製および炭
素鋼S45Cとし、100時間の耐久試験を行なった。
20時間毎に油漏れ量(cc/min)を計量し、その
結果を図12〜図15に示し、試験後のオイルシールリ
ング側面、外周面およびS45C製の軸71のリング溝
の摩耗量(μm)、並びにADC12、S45C製シリ
ンダ74の摩耗量(μm)を測定し、その結果を表3に
示した。試験条件は、シール性試験とほぼ同様である
が、油温は120℃で行なった。
【0133】
【表3】
【0134】図12〜図15および表3の結果からも明
らかなように、実施例1〜9のオイルシールリングは、
シリンダが軟質または硬質のいずれかに拘わらず、自己
摩耗性に優れかつ相手材を攻撃する程度が小さく、油漏
れ量も少なく優れたシール性を示した。
【0135】また、PAS樹脂の配合量が所定範囲より
多い比較例6および炭素繊維の配合量が所定範囲より少
ない比較例7は、ともに相手材が軟質または硬質のいず
れかに拘わらず低攻撃性であるが、自己の耐摩耗性が劣
っているので、油漏れ量が多かった。
【0136】さらに、リニア型PPSを用いた比較例1
〜3およびPTFE無添加の比較例4は、シリンダが軟
質材(ADC12)では、この発明の実施例1〜9と同
等に好ましい特性を示したが、シリンダが硬質材(S4
5C)では自己摩耗量が多くシール性が劣っていた。
【0137】
【発明の効果】この発明による油中摺動材またはオイル
シールリングは、所定の樹脂組成物からなるので、摺動
相手材が軟質材または硬質材のいずれの摺動条件におい
ても使用に耐える合成樹脂製の油中摺動材であり、また
前記摺動条件において、シール性、耐摩耗性および摺動
相手材の摩耗が少ない特性を全て兼備するオイルシール
リングであるという利点がある。
【0138】これら油中摺動材またはオイルシールリン
グは、特に、ダイカスト用アルミニウム合金(ADC1
2)のような軟質材または炭素鋼(S45C)等の硬質
材に油中で摺接する条件において、極めて優れた耐摩耗
性及びシール性を発揮する。
【0139】従って、前記オイルシールリングを自動車
等の自動変速機の回転軸のオイルシールリングとして使
用すれば、油漏れ量が少ないのでオイルポンプの小型化
が可能となる有用性もあり、装置の小型化および軽量化
に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のオイルシールリングの一例を示す正
面図
【図2】オイルシールリングの熱固定処理を示す断面図
【図3】(a)この発明のオイルシールリングの他の一
例を示す正面図 (b)同上の一部拡大正面図 (c)同上の一部拡大平面図 (d)(b)図のd−d線断面図 (e)(b)図のe−e線断面図 (f)(d)図の一部拡大断面図
【図4】(a)この発明のオイルシールリングの合い口
の一例を示す一部正面図 (b)同上の一部拡大平面図 (c)同上の一部斜視図
【図5】図4に段差部を設けた一部斜視図
【図6】(a)この発明のオイルシールリングの合い口
の他の一例を示す一部正面図 (b)同上の一部拡大平面図 (c)同上の一部斜視図
【図7】図6に段差部を設けた一部斜視図
【図8】組み込み性試験を説明する図
【図9】回転試験機を説明する縦断面図
【図10】シール性試験の油漏れ量と油温の関係を示す
図表
【図11】シール性試験の油漏れ量と油温の関係を示す
図表
【図12】耐久試験の油漏れ量と時間の関係を示す図表
【図13】耐久試験の油漏れ量と時間の関係を示す図表
【図14】耐久試験の油漏れ量と時間の関係を示す図表
【図15】耐久試験の油漏れ量と時間の関係を示す図表
【符号の説明】
1 射出成形品 2 円柱体 3 リングゲージ 4 オイルシールリング 5 合い口 6 注入位置 7 ゲート 10 シールリング 11 シール面 12 潤滑溝 13 面取り部 14 外周面 15 内周面 16 段差部 17 直角面 18 傾斜面 19 合い口 21、21’ 合い口 22 外径面側突起 23、23’ 面取り部 24、24’、24” 面取り部 25、25’ すみ肉 27 外径面側段部 28 段差面 29 先端面 30 突き合わせ面 31 リング外径面 32 外径面側段部内面 33 外径面側突起内側面 34 リング側面 35 段差部 36 外径面側突起内径側面 37 リング内径面 41、41’ 合い口 42 外径面側側面突起 43 外径面中央突起 44 外径面中央凹部 45、45’ リング本体先端面 46 外径面中央凹部内面 47 段差面 48 外径面中央突起先端面 49 外径中央突起側面 50 外径面中央凹部内部側面 52 中央突起内径側面 53 リング外径面 54 リング内径面 55 面取り部 56 面取り部 57 面取り部 58 面取り部 59 面取り部 60 面取り部 61 面取り部 62 面取り部 63 すみ肉 64 すみ肉 65 すみ肉 66 すみ肉 67 リング側面 68 段差部 71 軸 72、72’ リング溝 73、73’ オイルシールリング 74 シリンダー 75 油の供給管 78 メスシリンダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/10 C09K 3/10 N //(C10M 169/04 125:22 107:46 147:02 125:02) (C08L 81/02 27:12) C10N 10:12 20:02 40:02 40:34 80:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリーレンスルフィド系樹脂30〜
    88重量%、炭素繊維10〜45重量%、パーフルオロ
    系フッ素樹脂2〜25重量%を含む樹脂組成物からなる
    油中摺動材。
  2. 【請求項2】 300℃における溶融粘度が2000〜
    5000ポイズである架橋型ポリアリーレンスルフィド
    系樹脂30〜88重量%と、炭素繊維10〜45重量%
    と、再生ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末2〜25
    重量%を含む樹脂組成物からなる油中摺動材。
  3. 【請求項3】 300℃における溶融粘度が2000〜
    5000ポイズである架橋型ポリアリーレンスルフィド
    系樹脂30〜88重量%と、炭素繊維10〜45重量%
    と、再生ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末2〜25
    重量%と、10重量%以下の二硫化モリブデンとを含む
    樹脂組成物からなる油中摺動材。
  4. 【請求項4】 炭素繊維が、平均繊維径10μm以上の
    炭素繊維である請求項2または3に記載の油中摺動材。
  5. 【請求項5】 架橋型ポリアリーレンスルフィド系樹脂
    の重量平均分子量が20000〜45000である請求
    項2〜4のいずれか1項に記載の油中摺動材。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の油中摺動材からなるオイ
    ルシールリング。
  7. 【請求項7】 請求項2記載の油中摺動材からなるオイ
    ルシールリング。
  8. 【請求項8】 請求項3記載の油中摺動材からなるオイ
    ルシールリング。
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