JPH09291151A - 熱融着性を有する新規な共重合体及び該共重合体組成物とその製造方法 - Google Patents

熱融着性を有する新規な共重合体及び該共重合体組成物とその製造方法

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JPH09291151A
JPH09291151A JP10156396A JP10156396A JPH09291151A JP H09291151 A JPH09291151 A JP H09291151A JP 10156396 A JP10156396 A JP 10156396A JP 10156396 A JP10156396 A JP 10156396A JP H09291151 A JPH09291151 A JP H09291151A
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Application number
JP10156396A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Furuya
浩行 古谷
Shigeru Tanaka
田中  滋
Naoki Hase
直樹 長谷
Jiyunya Ida
純哉 井田
Shinji Inoue
真次 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度、耐熱性、加工性及び接着性に優
れ、低吸水特性と優れた低誘電特性とを同時に満足し、
FPCやカバーレイフィルムやベースフィルムの加工時
間短縮に貢献しうる熱融着性を有する新規なポリイミド
組成物を提供することを目的とする。 【解決手段】 ガラス転移温度が100℃から250℃
で、3以下の誘電率、かつ1%以下の吸水率を併せ有
し、一般式(1) 【化1】 及び一般式(2) 【化2】 (式中、R1 、R3 は2価の有機基、R2 は4価の有機
基を示し、またXは、化3 【化3】 から選択される3価の結合基である。)からなる共重合
体からなることを特徴とする熱融着性を有し、ジアミン
と酸二無水物の組合せにより上記の特性を有する新規な
ポリイミド樹脂組成物を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は適当な温度範囲でガ
ラス転移点を有することから熱融着性を付与することが
できる新規な共重合体及び該共重合体組成物に関する。
さらに、一定以上の粘度を有することで機械的強度の良
好な共重合体及び該共重合体組成物を得ることを特徴と
する製造方法に関する。詳しくは、絶縁被覆用積層フィ
ルムやフレキシブルプリント回路基板(以下、FPCと
略す。)、カバー、カバーレイフィルム、ボンディング
シート、カバーコートインク、リードオンチップ、リー
ドフレーム固定用テープ等に好適に供することができる
熱融着性を付与した新規な共重合体及び該共重合体組成
物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の高性能化、高機能化、
小形化がさらに進んでおり、それらに伴って用いられる
電気部品に対する小型化、軽量化が求められている。電
子部品を実装する配線板も通常のリジッド材に対し、可
撓性のあるFPCが注目され、急激にその需要を増して
きている。
【0003】ポリイミドは種々の用途が想定されている
が、特に、フィルム形態による需要が大きい。一般にポ
リイミドフィルムはその優れた耐熱性・低温特性・耐薬
品性・電気特性などから、特にこのようなFPCのベー
スフィルムをはじめ、電気・電子機器用途の材料として
広く用いられている。ところが、フィルム用途に用いら
れているポリイミドは、一般に不溶不融であるため、融
着・被覆用途に用いる際には、熱可塑性または熱硬化性
の樹脂をポリイミドフィルムに塗布して接着性を付与し
ている。
【0004】この接着性を付与する用途において、熱可
塑性樹脂として従来より広く用いられているものの1つ
に、例えば、FEP、PTFE等のフッ素樹脂がある。
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂等が用いら
れている。
【0005】さらに、従来の熱硬化性ペーストタイプの
ダイボンドテープに替えて、熱可塑性樹脂を用いたフィ
ルム状の積層用テープの検討がすすんでいる。これは、
低分子量揮発成分がなくなることによるアウトガスレス
化、アフターキュアの必要のない利点があることにより
検討がなされているものである。かかる積層用テープと
しては、熱可塑性のポリイミドフィルムの開発がされて
きている。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、フッ素
樹脂は、耐熱性が比較的高く、耐薬品性、低温特性に優
れるという特徴をもつ反面、耐放射線性が極端に悪く、
そのため特定の用途には不適であった。また、エポキシ
樹脂等の熱硬化性樹脂が、硬化に際して高温、特に長時
間に及ぶ硬化時間が必要であり、上記用途には不向きで
あった。
【0007】一方、積層用テープとして検討されている
熱可塑性のポリイミドフィルムはガラス転移点が高く、
低温では充分な熱融着性が得られないという問題があっ
た。さらに、吸水率が高く、モールド時に積層用テープ
が吸湿することにより、パッケージクラックが発生する
という問題もあった。その他、かかる積層用テープには
高速演算処理のために誘電率が低いことも望まれてい
た。
【0008】そこで、本発明者らは、上記従来の問題点
を解決し、短時間において加工が可能であり、耐薬品性
・低温特性・接着性に優れ、さらに、電気特性に優れ、
上記用途に好適に用いることのできる材料を提供するこ
とを目的に鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明に係る熱融着性を有する新規な共重合体及び該
共重合体組成物の要旨とするところは、ガラス転移点が
100℃〜250℃であり、更に1%以下の吸水率と3
以下の誘電率とを併せ持つ熱可塑性樹脂からなることに
ある。
【0010】また、本発明に係る熱融着性を有する新規
な共重合体及び該共重合体組成物の他の要旨とするとこ
ろは、一般式(1)化8
【0011】
【化8】
【0012】及び一般式(2)化9
【0013】
【化9】
【0014】(式中、R1 、R3 は2価の有機基、R2
は4価の有機基、またXは、化10
【0015】
【化10】
【0016】から選択される3価の結合基である。)で
表されるブロック単位の双方からなることにある。
【0017】また、かかる熱融着性を有する新規な共重
合体及び該共重合体組成物において、前記一般式(1)
中のR1 が化11
【0018】
【化11】
【0019】に示す2価の有機基の群から選択される少
なくとも1種であることにある。
【0020】また、かかる熱融着性を有する新規な共重
合体及び該共重合体組成物において、前記一般式(2)
中のR2 が化12
【0021】
【化12】
【0022】に示す4価の有機基の群から選択される少
なくとも1種であることにある。
【0023】更に、かかる熱融着性を有する新規な共重
合体及び該共重合体組成物において、前記一般式(1)
(2)中のR3 が化13
【0024】
【化13】
【0025】及び一般式(3)化14
【0026】
【化14】
【0027】(式中、R4 は水素、メチル基、フェニル
基から選択される有機基を示し、nは1〜4の整数であ
る。)に示す2価の有機基の群から選択される少なくと
も1種であることにある。
【0028】さらに、前記一般式(1)中のR1 が −CH2 CH2 − に示す2価の有機基であることにある。
【0029】また、本発明に係る熱融着性を有する新規
な共重合体及び該共重合体組成物を製造する方法の要旨
とするところは、23℃でB型粘度計で500ポイズ以
上の重縮合反応溶液を得て、加熱下にイミド閉環せし
め、25ミクロンフィルムの引張破断時伸び率が50%
以上であることを特徴とする重縮合反応によることにあ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明に係る熱融着性を有熱融着
性を有する新規な共重合体及び該共重合体組成物は、一
般式(1)化15
【0031】
【化15】
【0032】及び一般式(2)化16
【0033】
【化16】
【0034】(式中、R1 、R3 は2価の有機基、R2
は4価の有機基、またXは、化17
【0035】
【化17】
【0036】から選択される3価の結合基である。)で
表されるブロック単位(繰り返し単位)の双方からなる
ことを特徴とし、優れた耐熱性、加工性、低吸水特性、
及び誘電特性を併せ有している。ここで、一般式(1)
及び一般式(2)で表されるブロック単位の双方を有し
なければならない。特には、エチレングリコールビスト
リメリット酸二無水物を酸成分の少なくとも1成分とし
て、1種以上のジアミンとの重縮合反応から得られるポ
リイミド樹脂組成物からなることが好ましく、上記成分
であることより、ガラス転移点が100℃から250℃
であり、さらに、1%以下の吸水率と3以下の誘電率の
特性を併せ持つ熱可塑性のポリイミド樹脂を提供するこ
とができる。
【0037】以下に、本発明に係る熱融着性を有する新
規な共重合体及び該共重合体組成物の製造方法について
述べる。最初に、本発明における熱融着性を有する新規
な共重合体は、前駆体としてポリアミド酸共重合体を経
て生成される。そこでまず、前駆体であるポリアミド酸
共重合体の製造方法の1例を説明する。
【0038】まず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰
囲気中において、一般式(8) H2 N−R3 −NH2 (8) (式中、R3 は2価の有機基を示す。)で表される少な
くとも1種のジアミン及び一般式(3)のR3 が化18
【0039】
【化18】
【0040】(式中R4 は水素、メチル基、フェニル基
から選択される有機基を示し、nは1〜4の整数であ
る。)である一般式(4)化19
【0041】
【化19】
【0042】で表されるジアミンの混合物を少なくとも
1種、又は前記一般式(3)あるいは一般式(4)で表
されるジアミンのいずれか一方を、有機溶媒中に溶解、
又は拡散させる。この溶液に一般式(5)化20
【0043】
【化20】
【0044】(式中、R1 は2価の有機基を示す)で表
される少なくとも1種のエステル酸二無水物と一般式
(6)化21
【0045】
【化21】
【0046】(式中、R3 は4価の有機基を示す。)で
表される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物の
混合物を固体の状態又は有機溶媒溶液の状態で添加し、
ポリアミド酸共重合体の溶液を得る。この時の反応温度
は−10〜50℃が好ましく、更に好ましくは−5〜2
0℃である。反応時間は30分〜6時間である。
【0047】また、この反応において、上記添加手順と
は逆に、まずエステル酸二無水物とテトラカルボン酸二
無水物の混合物を有機溶媒中に溶解若しくは拡散させ、
該溶液中に前記ジアミンの固体若しくは有機溶媒による
溶液若しくはスラリーを添加してもよい。
【0048】次に、このポリアミド酸共重合体の溶液か
らポリイミド共重合体を得るためには、熱的及び/又は
化学的に脱水閉環(イミド化)する方法を用いればよ
い。
【0049】例をあげて説明すると、熱的に脱水閉環す
る方法では、まず、上記ポリアミド酸溶液を支持板やP
ET等の有機フィルム、ドラム又はエンドレスベルト等
の支持体上に流延または塗布して膜状とし、有機溶媒を
蒸発させることにより自己支持性を有する膜を得る。こ
の有機溶媒の蒸発は150℃以下の温度で約50〜90
分間行うのが好ましい。
【0050】次いで、これを更に加熱して乾燥させつつ
イミド化し、本発明の熱可塑性ポリイミド共重合体から
なるポリイミド膜を得る。加熱の際の温度は150〜3
50℃の範囲の温度が好ましく、特には200〜250
℃が特に好ましい。加熱の際の昇温速度には制限はない
が、徐々に加熱して最高温度が上記温度になるようにす
るのが好ましい。加熱時間はフィルム厚みや最高温度に
よって異なるが、一般には最高温度に達してから10秒
〜10分の範囲が好ましい。自己支持性を有する膜を加
熱して乾燥・イミド化する際は、自己支持性を有する膜
を支持体から引き剥がし、その状態で端部を固定して加
熱することにより線熱膨張係数が小さい重合体が得られ
る。
【0051】また、化学的に脱水閉環する方法では、上
記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量の
第3級アミンを加え、熱的に脱水する場合と同様の方法
で処理すると、熱的に脱水閉環する場合よりも短時間で
所望のポリイミド膜が得られる。
【0052】熱的にイミド化する方法と、化学的にイミ
ド化する方法とを比較すると化学的方法による方が得ら
れたポリイミドの機械的強度が大きく、且つ線熱膨張係
数が小さくなる利点がある。なお、熱的にイミド化する
方法と化学的にイミド化する方法とを併用することも可
能である。
【0053】また、ポリイミドはポリイソイミドと等価
体であることは周知のことであるが、イソイミド構造を
選択すれば溶媒溶解性を向上させることも可能である。
ポリイソイミド重合体を得るためには上述した化学的閉
環剤をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の
ジイミド及び/またはトリフルオロ酢酸等のカルボン酸
におきかえた上で、該ポリイミド生成と同様の反応を行
えばよい。
【0054】この反応において、前記一般式(5)で表
される1種のエステル酸二無水物としては、種々のエス
テル酸二無水物を使用することができるが、より具体的
には、諸特性のバランス面から一般式(5)中のR
1 が、化22
【0055】
【化22】
【0056】から選択される2価の有機基であるエステ
ル酸二無水物を主成分とすることが更に好ましい。特に
は、式(7)化23
【0057】
【化23】
【0058】で表されるエチレングリコールビストリメ
リット酸二無水物を酸成分の少なくとも1成分とする。
【0059】また、上記一般式(6)で表されるテトラ
カルボン酸二無水物としては、種々のテトラカルボン酸
二無水物を使用することが可能であるが、より具体的に
は、諸特性のバランスの面から一般式(6)化24
【0060】
【化24】
【0061】(式中、R2 は化25
【0062】
【化25】
【0063】で表される4価の有機基を示す。)のいず
れかで表される3,3' ,4,4' −ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物(BPDA)、2,2−ビス(4ヒド
ロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3'
4,4' −テトラカルボン酸二無水物(ESDA)、
3,3' ,4,4' −ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物(BTDA)、4,4' −オキシジフタル酸二
無水物(ODPA)、4,4' −ジフェニルスルフォン
テトラカルボン酸二無水物(DSDA)、ピロメリット
酸二無水物(PMDA)、4,4' −ヘキサフルオロメ
チルジフタル酸二無水物(6FDA)、4,4' −ハイ
ドロキノンジフタル酸二無水物、ビスフェノールAジフ
タル酸二無水物、3,3' ,4,4' −ターフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、メチレンジフタリック酸二無
水物、プロピリデンジフタリック酸二無水物から選択さ
れる一種以上のテトラカルボン酸二無水物を選択するこ
とが可能である。これらのモノマーは1種類で用いても
2種類以上の混合物として用いてもよい。
【0064】また、本発明に用いられる上記一般式
(8)で表されるジアミン化合物としては、本質的には
種々のジアミンが使用可能であるが、より具体的には、
諸特性のバランス面から一般式(8)中のR3 が、化2
【0065】
【化26】
【0066】から選択される2価の有機基であるジアミ
ンを主成分とすることが更に好ましい。これらの置換基
3 は電子親和力pKaの点から選択されていることは
自明である。なお、上記R3 によって特定されるジアミ
ンは、1種類で用いても2種類の混合物として用いても
よい。
【0067】更に、良好な機械強度を得るためには、本
発明に用いられるジアミン化合物は、一般式(4)化2
【0068】
【化27】
【0069】(式中、R4 は、水素、メチル基、nは1
から4の整数を示す。)で表されるジアミンを少なくと
も1成分とし、他のジアミン成分として一般式(8) H2 N−R3 −NH2 (8) (式中、R3 は化28
【0070】
【化28】
【0071】で表される2価の有機基を示す。)のいず
れかで表されるビスアミノフェノキシフェニルプロパ
ン、α,ω−ビスアミノポリジメチルシロキサン、ビス
アミノフェノキシベンゼン、ジアミノジフェニルエーテ
ル、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、
ビスアミノフェノキシビフェニル、ビスアミノフェノキ
シフェニルエーテル、ジアミンノベンズアニリド、ジア
ミノトルエン、ジアミノジフェニルスルフォン、ビスア
ミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス
(アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビスアミノ
フェノキシジメチルプロパン(それぞれ、オルト、メ
タ、パラ置換を選択できる)から選択される1種以上の
ジアミン化合物を選択することが可能である。これらの
モノマーは1種類で用いても2種類以上の混合物として
用いてもよい。
【0072】また、上記一般式(4)で表されるジアミ
ン化合物は、化29
【0073】
【化29】
【0074】に示すようにニトロフェノール誘導体か
らNa塩を合成し、次いでアルキルハライドと反応さ
せてジニトロ体とし、更にパラジウム活性炭素を用い
て還元させることにより得ることができる。なお、一般
式(4)中のR4 は、水素、メチル基、フェニル基から
選択され、アミノ基の位置はオルト、メタ、パラ位のい
ずれであってもよい。得られたジアミン化合物は、1種
類で用いても2種類の混合物として用いてもよい。
【0075】また、ポリアミド酸の生成反応に使用され
る有機溶媒としては、例えば、ジアミチルスルホキシ
ド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,
N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド等
のホルムアミド系溶媒、N,N-ジメチルアセトアミド、N,
N-ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒等をあ
げることができる。これらを1種類の溶媒のみで用いる
ことも、2種以上からなる混合溶媒で用いることもでき
る。また、これらの極性溶媒とポリアミド酸の非溶媒と
からなる混合溶媒の用いることもできる。ポリアミド酸
の非溶媒としてはアセトン、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、ベンゼン、メチルセロソルブ等を挙
げることができる。
【0076】ジアミン化合物と酸二無水物のモル比は実
質的に等モルとなるように、また、ジアミン化合物と酸
二無水物の成分比は一般式(1)/(2)のモル分率5
0/50から99/1の範囲と同一となるように、それ
ぞれ添加すればよい。
【0077】このようにして得られた本発明に係る共重
合体において、一般式(1)及び一般式(2)で表され
るブロック単位の繰り返し数は、1以上の整数である
が、100〜250℃のガラス転移点と1%以下の低吸
水率及び3以下の誘電率を発現するためには、式(1)
と(2)の和が2以上でなければならない。但し、式
(1)(2)が各々15を越えると、共重合体比が偏
り、共重合させることの効果が小さくなる。具体的に
は、ガラス転移点が高くなりすぎるため、低温接着性が
認めにくくなる。従って、式(1)(2)は各々15以
下であることが好ましく、これは、フィルムに対する自
己支持性の付与にも寄与する。
【0078】また、分子量については特に制約はない
が、生成されるポリイミド樹脂の強度を維持するために
は数平均分子量が5万以上、更には8万以上、特には1
0万以上、更には12万以上が好ましい。なお、ポリイ
ミドの分子量に関する記述は、間接的方法によって得た
測定値による推測である。即ち本発明においては、ポリ
アミド酸の分子量の測定値をポリイミドの分子量とみな
す。
【0079】以上のようにして得られたポリイミド共重
合体は上記一般式(1)及び一般式(2)で表されるブ
ロック単位の繰り返し数によるモル分率〔(1)/
(2)〕が、50/50から99/1の範囲にあり、優
れた熱可塑性、耐熱性、低温での接着性、低吸水率、低
誘電特性を併せ有している。また、これらの前駆体であ
るポリアミド酸共重合体や構造異性体であるポリイソイ
ミド共重合体はポリイミド共重合体と同様の特性を示
す。これらは、接着性絶縁フィルムを銅箔等と接着させ
る際の加熱により容易にポリイミドに変化するのであ
る。これらの範囲を超える場合は、ガラス転移温度、吸
水率、誘電率が高くなるなど本発明の優れた特性を発現
できなくなる。
【0080】また、分子量については、特に制限はない
ものの、良好な機械的強度を発現させるためには、ポリ
アミド酸溶液状態でのB粘度が一定以上であることが望
ましい。すなわち、23℃におけるB型粘度計による測
定において、500ポイズ以上でないと、25ミクロン
フィルムにおける引張破断時伸びが50%以上となら
ず、良好な機械的強度を発現できない。これは、モノマ
ー、特には、必須成分であるエチレングリコールビスト
リメリット酸二無水物の不純物含率によるところが大き
い。この不純物は、原料由来のトリメリット酸誘導体で
あるが、該含率が1%を超えると、上記の良好な機械的
強度が得られないことが確認されている。
【0081】上記製法により得られた本発明に係る熱融
着性を有する新規なポリイミド樹脂組成物は、優れた耐
熱性、熱可塑性、接着性、低吸水特性、低誘電特性を併
有するという特徴を有している。具体的には、この共重
合体は、100℃から250℃の間で明確なガラス転移
点を有するために比較的低温での熱融着が可能であり、
ガラス転移点に近い温度でラミネートすることにより比
較的低温での熱融着が可能であり、ガラス転移点に近い
温度でラミネートすることにより種々の被着体、例えば
ポリイミドフィルムやSUS、銅箔などの金属箔、FP
C等に接着することができる。また、優れた低吸水率を
示し、20℃の蒸留水中に24時間浸漬する条件での吸
水率は1%以下である。更に、優れた誘電特性を示し、
Qメーター法における1MHzの誘電率は3以下であ
る。なお、低吸水特性及び低誘電特性の発現機構は明ら
かではないが、イミド五員環に近接するエステル基によ
り、電子のかたよりを低減してしているためではないか
と推察している。これら優れた吸水特性及び誘電特性に
より、今後の高密度実装用途に対応すべき電子回路部品
材料等として好適に用いることができる。また、充分な
機械強度を発揮するために高い粘度をも有する。
【0082】また、酸二無水物成分として、エチレング
リコールビストリメリット酸二無水物を必須成分とする
ことにより、特に上記の効果がより顕著に現れる。
【0083】これら優れた低吸水特性及び低誘電特性に
より、今後の高密度実装用途に対応すべき電子回路部品
材料として好適に用いることができる。また、充分な機
械的強度を発現するために高い粘度をも有する。
【0084】また、これらの本発明に係る熱融着性を有
する新規な共重合体に、ナイロン、ポリ酢酸ビニル、ポ
リ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタ
クリル酸メチル等の熱可塑性樹脂、フィラー、ガラス繊
維等を配合して共重合体組成物を得てもよく、それによ
り機械強度、接着性等の諸特性を更に向上させることも
できる。
【0085】以上のような方法で得られた本発明に係る
熱融着性を有する新規なポリイミド重合体組成物の応用
の1例としては、例えば、カバーレイ用接着剤が挙げら
れる。すなわち、本発明に係るポリイミド重合体からな
るフィルムを、“アピカル”シリーズ(登録商標;ポリ
イミドフィルム,鐘淵化学工業株式会社製)のような非
熱可塑性ポリイミドフィルムとFPCの導体層との間に
挟んで貼り合わせ、熱圧着させればよい。また、ポリア
ミド酸溶液をポリイミドフィルム上に流延し、イミド化
させた後にこのフィルムの接着剤面とFPCの導体面と
を接着するようにしてもよい。さらには、イミド化させ
た熱可塑性ポリイミドを加熱して溶融し、ポリイミドフ
ィルムに直接塗布したのち、この上にFPC導体面を接
着してもよい。このようにして、簡単にポリイミドフィ
ルムとFPCの導体面とを接着できる。これらの方法に
より作製されるカバーレイフィルムはすべてポリイミド
からなっており、アルカリエッチングが可能であるた
め、FPCとの接着後に容易に穴開け加工ができる。従
って、上記接着工程の後、得られた積層板をアルカリエ
ッチングして穴開け加工すれば従来の工程よりも簡単に
プリント基板を得ることができる。
【0086】その他、この共重合体及び該共重合体組成
物は、超伝導用線材等の絶縁被覆用フィルムやFPC、
ボンディングシート、カバーコート、リードオンチッ
プ、リードフレーム固定用テープとして好適に用いるこ
とができるが、機械的強度、耐放射線性、耐薬品性、低
温特性、耐熱性、加工性、接着性、低吸水特性、誘電特
性における優れた特性を発揮する限りにおいては用途は
特に限定されない。
【0087】以上のような方法で得られた本発明に係る
熱融着性を有する新規な共重合体及び該共重合体組成物
の応用の1例としては、例えばカバーレイ用接着剤が挙
げられる。かかる共重合体及び共重合体組成物をカバー
レイ用接着剤として用いるには次のようにすればよい。
すなわち、本発明に係るポリイミド共重合体からなるフ
ィルムを、“アピカル”シリーズ(登録商標;ポリイミ
ドフィルム,鐘淵化学工業株式会社製)のようなポリイ
ミドフィルムとFPCの導体面との間に挟んで貼り合わ
せ、熱圧着させればよい。また、本発明に係るポリイミ
ド共重合体の前駆体であるポリアミド酸溶液をポリイミ
ドフィルム上に流延し、イミド化させた後にこのフィル
ムの接着剤面とFPCの導体面とを接着するようにして
もよい。更には、イミド化させた熱可塑性ポリイミド又
は熱可塑性ポリイソイミドを加熱して溶融し、ポリイミ
ドフィルム上に直接塗布した後、この上にFPC導体面
を接着してもよい。このようにして、簡単にポリイミド
フィルムとFPCの導体面とを接着できる。これらの方
法により作製されるカバーレイはすべてポリイミドから
なっており、アルカリエッチングが可能であるため、F
PCとの接着後に容易に穴開け加工ができる。これによ
り従来の一般的な方法で必要な位置合わせが不要となる
だけでなく、カバーレイフィルムとFPC本体のベース
フィルムのアルカリエッチングを同時に行うこともでき
るため、工程を簡略化することができる。従って、上記
接着工程の後、得られた積層板をアルカリエッチングし
て穴開け加工すれば従来の工程よりも簡単にプリント基
板を得ることができる。
【0088】その他、この共重合体及び該共重合体組成
物は、超伝導用線材等の絶縁被覆用フィルムやFPC、
ボンディングシート、カバーコートインク、リードオン
チップ、リードフレーム固定用テープとして好適に用い
ることができるが、機械強度、耐放射線性、耐薬品性、
低温特性、耐熱性、加工性、接着性、低吸水性、誘電特
性における優れた特性を発揮する限りにおいては用途は
特に限定されない。
【0089】なお、このような電気・電子機器用途の接
着層として用いるには、ガラス転移点が100℃〜25
0℃であり、更に1%以下の吸水率と3以下の誘電率と
を併せ持つ熱可塑性樹脂であれば、いかなる構成であっ
ても好ましく用いることができ、本発明に係る熱融着性
を有する新規な共重合体及び該共重合体組成物は上述し
た構成のものに限定されない。かかる特性を併せ持つこ
とにより、低温での熱融着が可能となり、更には吸湿に
よるモールド時のパッケージクラックの発生がなく、ま
た高速演算処理も可能となる。
【0090】以上本発明に係る熱融着性を有する新規な
共重合体及び該共重合体組成物の有用性を明らかにすべ
く実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施例の
みに限定されるものではなく、本発明はその趣旨を逸脱
しない範囲内で当業者の知識に基づき、種々なる改良、
変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
【0091】はじめに、本発明の実施例において用いる
一般式(5)で表されるジアミン化合物のうち、ビス
(2-(4-アミノフェノキシ)エチル)エーテルの調整方
法を説明し、実施例の参考に供する。なお、Na塩、ジ
ニトロ体、ジアミン化合物の収率及び融点については表
1に示した。
【0092】
【表1】
【0093】
【参考例 1】 p−ニトロフェノールNa塩の合成 メカニカルスターラーを取りつけた容量1リットルのセ
パラブルフラスコに、192.99g(1.39mo
l)のp−ニトロフェノールと55.5g(1.39m
ol)の水酸化ナトリウムを水500ccに溶解させた
水溶液を仕込んだ。100℃で4時間反応させた後、室
温に戻した。このまま反応溶液を1夜静置したところ、
結晶が析出してきたので、濾過床上で結晶を集めた。水
を取り除くために、トルエンで結晶を洗浄し、乾燥させ
たところ、165.57g(収率;80.3%)のNa
塩を得た。融点は、113.4℃(文献値;113℃)
であった。
【0094】ビス(2−(4−ニトロフェノキシ)エ
チル)エーテルの合成 滴下漏斗とメカニカルスターラーを取りつけた1リット
ル容のセパラブルフラスコに、74.5g(0.46m
ol)のp−ニトロフェノールNa塩と250mlのジ
メチルホルムアミド(以下、DMFという)を仕込み、
反応系を140℃にした。Na塩が完全に溶解した後、
滴下漏斗より、33g(0.23mol)のジクロロエ
チルエーテルをゆっくり滴下した。1夜反応を続けた
後、反応溶液を大量の水にあけ、沈澱物を得た。沈澱を
吸引濾過により集めた後、トルエンを溶媒として再結晶
操作を行ったところ、56.66g(収率;70.3
%)のジニトロ体;ビス(2−(4−ニトロフェノキ
シ)エチル)エーテルを得た。融点は、157.4℃
(文献値;157℃)であった。
【0095】ビス(2−(4−アミノフェノキシ)エ
チル)エーテルの合成 ジム漏斗還流冷却管、滴下漏斗とメカニカルスターラー
を取りつけた1リットル容のセパラブルフラスコに、2
3.63g(0.067mol)のビス(2−(4−ニ
トロフェノキシ)エチル)エーテルと500mlのエタ
ノールと3gの10%のパラジウム活性炭素を仕込ん
だ。還流を続けた後に、滴下漏斗により、16g(0.
135mol)のヒドラジン水和物をゆっくり滴下し
た。1夜還流を続けた後、セライト床を用いて減圧下に
パラジウム活性炭素を濾過した。溶媒を減圧下に留去し
たところ、固体状の粗生成物が得られた。エタノールを
溶媒として再結晶操作を行ったところ、15.9g(収
率;81.8%)のジアミン;ビス(2−(4−アミノ
フェノキシ)エチル)エーテルが得られた。融点は、6
0.7℃(文献値;60℃)であった。
【0096】〔参考例 2〜8〕一般式(5)で表され
る他のジアミン化合物の合成結果を表1にまとめた。な
お、合成方法は参考例1と実質的に同様である。
【0097】以下、実施例により本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定される
ものではない。
【0098】
【実施例1】攪拌機を備え、窒素置換した500ml三口
フラスコ(1)に一般式(4)で表されるジアミノジフ
ェニルエーテル15.20g(0.0750モル)と一
般式(5)で表される参考例1で得た式(7)で表され
るビス(2−(4−アミノフェノキシ)エチル)エーテ
ル21.63g(0.0750モル)とジメチルホルム
アミド(以下DMFという)300gとを仕込んだ。そ
の中に、一般式(5)で表されるエステル酸二無水物と
して3,3',4,4'-エチレングリコールジベンゾエートテト
ラカルボン酸二無水物(以下TMEGという)41.2
3g(0.1005モル)と一般式(6)で表されるテ
トラカルボン酸二無水物としてベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物(以下、BTDAという。)14.5
0g(0.0450mol)との混合物を粉体で添加し
た。更にB型粘度計の測定による三口フラスコ(1)中
の粘度に注目しながら、TMEG1.85g(0.00
45モル)をDMF20gに溶解させた溶液を、三口フ
ラスコ(1)内に徐々に投入した。最大粘度に達したと
ころで、TMEG溶液の投入を終了し、1時間攪拌しな
がら放置した。その後、DMFを40g加えて攪拌し、
一般式(1)と一般式(2)のモル比が7:3のポリア
ミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液の構造
(一般式(1)(2)のモル比、R3 のモル比、R1
4 基、n、置換部位)と到達粘度(ポイズ)を表2及
び表3に示した。なお、粘度は5℃にて測定した。
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】このポリアミド酸溶液をPETフィルム上
に塗布し、80℃で25分間加熱した後、PETフィル
ムから剥がし、金属支持体に端部を固定して150℃、
200℃、250℃、270℃、300℃で各5分間加
熱し、熱的イミド化により、ポリイミドフィルムを得
た。得られたポリイミドフィルムについて、吸水率
(%)、誘電率、引張伸び(%)を測定した。吸水率に
ついてはASTM D−570に従って20℃の純水中
に浸した後の重量変化率を測定し、誘電率についてはQ
メーター法(常態、1MHz)により測定した。なお、
Qメーター法とはJISC6481に準拠して測定する
ことによる誘電率の測定法を意味する。また、引張伸び
率の測定は同じくJISC6481に準拠して行った。
これらの測定結果を表4に示す。
【0102】
【表4】
【0103】次に、35μmの電解銅箔と得られた25
μmのポリイミドフィルムと50μmのポリイミドフィ
ルム「アピカル50NPI(登録商標;鐘淵化学工業株
式会社製)」を重ね合わせ、250℃、30kg/cm2
10分でプレスし、フレキシブル銅張板(以下、FCC
Lという。)を得た。得られたFCCLを用い、JIS
C6481に準拠してピール強度(kg/cm)を測定し
た。その結果を表4に示す。
【0104】
【実施例2〜5】一般式(4)で表されるジアミン化合
物と、一般式(4)で表される(2−(4−アミノフェ
ノキシ)エチル)エーテルと、一般式(5)で表される
エステル酸二無水物と一般式(6)で表されるテトラカ
ルボン酸二無水物とを、任意のモル比で組み合わせて用
い、実質的に実施例1と同様の方法で、一般式(1)と
一般式(2)のモル比、及びR1 基,R2 基,R3 基等
の構造がそれぞれ表2及び表3に示すようなポリアミド
酸溶液を得た。得られた各ポリアミド酸溶液の構造と到
達粘度(ポイズ)を表2及び表3に示す。そして、この
ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様に、25μm
のポリイミドフィルムを得て、更にFCCLを得た。得
られたポリイミドフィルム、FCCLについて、実施例
1と同様にして吸水率(%)、誘電率、引張伸び
(%)、ピール強度(kg/cm)を測定し、それぞれの測
定結果を表4に示した。
【0105】
【実施例6〜9】一般式(3)又は一般式(4)で表さ
れるジアミン化合物と、一般式(5)で表されるエステ
ル酸二無水物と一般式(6)で表されるテトラカルボン
酸二無水物から、実質的に実施例1と同様の方法で、一
般式(1)と一般式(2)のモル比、及びR1 基,R2
基,R3 基,R4 基の構造が表2及び表3に示すような
ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液の
構造と到達粘度(ポイズ)を表2及び表3に示す。そし
て、このポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様に、
25μmのポリイミドフィルムを得て、更にFCCLを
得た。得られたポリイミドフィルム、FCCLについ
て、実施例1と同様にして吸水率(%)、誘電率、引張
伸び(%)、ピール強度(kg/cm)を測定し、その測定
結果を表4に示した。
【0106】
【実施例10】攪拌機を備え、窒素置換した500ml
三口フラスコに、DMF300gに一般式(3)で表さ
れるジアミン成分として、ジアミノジフェニルエーテル
12.0g(60mmol)と、一般式(4)で表され
るジアミン成分として(2−(4−アミノフェノキシ)
エチル)エーテル20.0g(60mmol)とを仕込
んだ。その中に、一般式(7)で表される3,3,
4,4, −エチレングリコールベンゾエートテトラカル
ボン酸二無水物(以下、TMEGという。)24.6g
(84mmol)と、一般式(6)で表されるテトラカ
ルボン酸二無水物としてベンゾフェノンテトラカルボン
酸二無水物(以下、BTDAという。)11.5g(3
6mmol)との混合物を粉体で添加した。さらにB型
粘度計の測定による三口フラスコ中の粘度に注目しなが
ら、TMEG4gをDMF20gに溶解させた溶液を、
三口フラスコ内に徐々に投入した。最大粘度に達したと
ころで、TMEG溶液の投入を終了し、一時間攪拌しな
がら、放置した。その後、DMFを40g加え、攪拌
し、一般式(1)と一般式(2)のモル比が7:3のポ
リアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液の構
造(式(1)(2)のモル比、R2 のモル比、R1 〜R
3 基、n、置換部位)と到達粘度を表5及び表6に示し
た。なお、粘度は5℃にて測定した。
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】このポリアミド酸溶液を0℃に冷却した
後、ポリアミド酸1繰り返し単位当たり約4倍量の無水
酢酸と約2倍量のイソキノリンを加えて混合した後、た
だちにガラス板上に流延塗布し、110℃の熱風乾燥炉
中にて約5分乾燥硬化したあと、ガラス板から引き剥が
した。このようにして得られた自己指示性フィルムの周
辺端部を指示枠に固定した後、150℃、200℃、2
50℃、270℃、300℃で各5分間加熱する化学的
イミド化によりポリイミドフィルムを得た。
【0110】得られたポリイミドフィルムについて吸水
率(%)、誘電率、引張伸び(%)、ガラス転移点を測
定した。吸水率については、ASTM D−570に従
って23℃の純水中に浸した後の重量変化率を測定し、
誘電率についてはQメーター法(常態、1MHz)によ
り測定した。なお、Qメーター法とはJISC6481
に準拠して測定することによる誘電率の測定法を意味す
る。また、引張伸び率の測定は同じくJISC6481
に準拠して行った。さらに、ガラス転移点は、リガク製
TMAにて10℃/分の昇温速度にて測定した。これら
の測定結果を表6に示す。
【0111】次に、35μmの電解銅箔と、得られた2
5μmのポリイミドフィルムと、50μmのポリイミド
フィルム「アピカル50NPI」(登録商標;鐘淵化学
工業株式会社製)を重ね合わせ、250℃、30kg/
cm2 、10分間プレスし、フレキシブル銅張積層板
(以下、FCCLという。)を得た。得られたFCCL
を用い、JISC6481に準拠してピール強度を測定
した。その結果を表2に示す。
【0112】
【実施例11〜18】それぞれのジアミン化合物と酸二
無水物の組合せから、実質的に実施例1と同様の方法
で、一般式(1)と一般式(2)のモル比、及びR
1 基、R2 基、R3基等の構造がそれぞれ表5に示すよ
うなポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶
液の構造と到達粘度を表1及び表2に示す。そして、こ
のポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様に、25μ
mのポリイミドフィルムを得て、更にFCCLを得た。
得られたポリイミドフィルム、FCCLについて、実施
例1と同様にして吸水率(%)、誘電率、引張伸び
(%)、ピール強度(kg/cm)、ガラス転移点
(℃)を測定し、それぞれの測定結果を表6に示した。
【0113】
【比較例1】ジアミン成分を、一般式(4)のジアミン
を使用しないことを除いては、実施例1と同様の材料を
使用し、一般式(1)と一般式(2)のモル比を1:9
であるポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸
溶液の構造と到達粘度を表5及び表6に示す。そして、
このポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様に、25
μmのポリイミドフィルムを得て、更にFCCLを得
た。得られたポリイミドフィルム、FCCLについて、
実施例1と同様にして吸水率(%)、誘電率、引張伸び
(%)、ピール強度(kg/cm)、ガラス転移点
(℃)を測定し、それぞれの測定結果を表6に示した。
【0114】
【比較例2】ピロメリット酸二無水物とジアミノジフェ
ニルエーテルから実施例1と同様の操作でポリアミド酸
溶液を得た。また、実施例1と同一の操作から25μm
のポリイミドフィルムを製膜した。ついで、得られたポ
リイミドフィルムを用いて実施例1と同様にしてFCC
Lを作製しようとしたが、融着せず、得ることができな
かった。なお、ポリアミド酸溶液の到達粘度は表2に示
す通りであり、得られたポリイミドフィルムについて、
実施例1と同様に吸水率(%)、誘電率、引張伸び
(%)を測定したところ、表6に示す結果を得た。
【0115】
【比較例3】ピロメリット酸二無水物とパラフェニレン
ジアミンからポリアミド酸溶液を得て、実施例1と同様
にして25μmのポリイミドフィルムを製膜した。つい
で、得られたポリイミドフィルムを用いて実施例1と同
様にしてFCCLを作製しようとしたが、融着せず、得
ることができなかった。なお、ポリアミド酸溶液の到達
粘度は表6に示す通りであり、得られたポリイミドフィ
ルムについて、実施例1と同様に吸水率(%)、誘電
率、引張伸び(%)を測定したところ、表6に示す結果
を得た。
【0116】
【発明の効果】以上、具体的な実施例で示したように、
本発明に係る熱融着性を有する新規なポリイミド重合体
組成物は、機械的強度、耐熱性、加工性及び接着性に優
れ、低吸水特性と優れた低誘電特性とを同時に満足する
もので、本発明により例えば、FPCとの接着工程にお
けるカバーレイフィルムの加工時間短縮に貢献しうる熱
融着性を有する新規な共重合体及びこれを主成分とする
共重合体組成物を得ることができる。従って、本発明に
係る熱融着性を有する新規なポリイミド重合体組成物
は、例えば、絶縁被覆用積層フィルムやFPC、カバー
フィルム、カバーレイフィルム、ボンディングシート、
カバーコートインク、リードオンチップ、リードフレー
ム固定用テープ等に好適に供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 真次 滋賀県大津市比叡辻1−25−1

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移点が100℃〜250℃であ
    り、更に1%以下の吸水率と3以下の誘電率とを併せ持
    つ熱可塑性樹脂からなることを特徴とする熱融着性を有
    する新規な共重合体及び該共重合体組成物。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂が、一般式(1)化1 【化1】 及び一般式(2)化2 【化2】 (式中、R1 、R3 は2価の有機基、R2 は4価の有機
    基を示し、またXは、化3 【化3】 から選択される3価の結合基である。)で表されるブロ
    ック単位の双方からなる共重合体からなることを特徴と
    する熱融着性を有する新規な共重合体及び該共重合体組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記一般式(1)中のR1 が化4 【化4】 に示す2価の有機基の群から選択される少なくとも1種
    であることを特徴とする請求項2に記載する熱融着性を
    有する新規な共重合体及び該共重合体組成物。
  4. 【請求項4】 前記一般式(2)中のR2 が化5 【化5】 に示す4価の有機基の群から選択される少なくとも1種
    であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載す
    る熱融着性を有する新規な共重合体及び該共重合体組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記一般式(1),(2)中のR3 が化
    6 【化6】 及び一般式(3)化7 【化7】 (式中、R4 は水素、メチル基、フェニル基から選択さ
    れる有機基を示し、nは1〜4の整数である。)に示す
    2価の有機基の群から選択される少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記
    載する熱融着性を有する新規な共重合体及び該共重合体
    組成物。
  6. 【請求項6】 前記一般式(1)中のR1 が −CH2 CH2 − に示す2価の有機基であることを特徴とする請求項1に
    記載する共重合体からなる熱融着性を有する新規な共重
    合体及び該共重合体組成物。
  7. 【請求項7】 23℃でB型粘度計で500ポイズ以上
    の重縮合反応溶液を得て、加熱下にイミド閉環せしめ、
    25ミクロンフィルムの引張破断時伸び率が50%以上
    であることを特徴とする重縮合反応による前記請求項1
    乃至請求項7に記載する熱融着性を有する新規な共重合
    体及び該共重合体組成物の製造方法。
JP10156396A 1995-07-14 1996-04-23 熱融着性を有する新規な共重合体及び該共重合体組成物とその製造方法 Withdrawn JPH09291151A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000061658A1 (fr) * 1999-04-09 2000-10-19 Kaneka Corporation Resine polyimide, composition de resine a resistance amelioree a l'humidite la comprenant, solution adhesive, colle en film adhesif en couches et leurs procedes de production

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000061658A1 (fr) * 1999-04-09 2000-10-19 Kaneka Corporation Resine polyimide, composition de resine a resistance amelioree a l'humidite la comprenant, solution adhesive, colle en film adhesif en couches et leurs procedes de production
US6693162B2 (en) 1999-04-09 2004-02-17 Kaneka Japan Corporation Polyimide resin and resin composition, adhesive solution, film-state joining component,and adhesive laminate film improved in moisture resistance using it, and production methods therefor

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