JPH09290228A - 漏水検知装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工期の短縮、長期に渡る破損検知機能の確保
を可能とする漏水検知装置を提供する。 【解決手段】 遮水性と共に電気絶縁性を有する遮水シ
ート１を有し、その内部には、多数対の電圧印加用導電
線１０及び電流検知用導電線２０が、互いに間隔をもっ
て分散配置され、電圧印加用導電線１０には、電圧印加
手段４０が接続され、各電流検知用導電線２０には、破
損検知出力手段５０が接続され、破損検知出力手段５０
は、多数の電流検知用導電線２０ごとに電流ｉを検知し
て表示することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、遮水性を有する遮
水シートを備えてなる漏水検知装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常、廃棄物等は土中に埋め立て処理さ
れる。この際、埋め立てた廃棄物から油、酸、及び塩基
等が含まれる有害な浸出水が土壌中に洩れ出す可能性が
ある。そこで、廃棄物を埋め立てる場合、その処分場の
地面に浸出水の漏出を防止するための遮水シートが敷設
される。遮水シートは、遮水性を有するゴム材料などか
らなるものである。

【０００３】しかし、遮水シートを敷設したにもかかわ
らず上記浸出水が漏出しており、これが近年社会問題と
して報道されるなどしている。この浸出水は上記遮水シ
ートが何らかの原因により破損して、この破損部から漏
出したものと考えられる。しかし、遮水シートを敷設
し、廃棄物を一度土中に埋め立ててしまうと、上記浸出
水がその埋め立て地から漏出したものであるか否かを確
かめるには極めて、手間、時間、及び費用を要する。

【０００４】そこで、浸出水等の漏出を検知するための
漏水検知システムが提案されている。この漏水検知シス
テムでは、まず、遮水シートの上下に格子状に電線又は
電極を設置しておく。このため、遮水シートが破損して
浸出水等が漏出すると、漏出部分の抵抗率等の電気的特
性が変化する。従って、遮水シート全体を検査して、そ
の電気的特性が変化した部分を探すことで、漏出部分の
検知を可能とするものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、そのような漏
水検知システムにおいては、遮水シートの上下に電線又
は電極を隈無く設置する作業が煩雑で極めて時間を要す
る。このため、遮水シートの敷設を含む施工全体の工期
が長期化するという問題がある。

【０００６】更に、現場で配線するので、品質の確保が
難しい上、遮水シートの上の電線又は電極は、廃棄物に
よる損傷や浸出水による腐食が起こることが懸念される
ので、その電線又は電極の耐久性に不安がある。よっ
て、長期に渡る破損漏水の検知機能の確保が難しいとい
う問題がある。

【０００７】本発明は、上記事情に鑑み、工期の短縮、
長期に渡る破損検知機能の確保を可能とする漏水検知装
置を提供する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の第一の発明は、
遮水性を有する遮水シートを備えてなる漏水検知装置に
おいて、遮水シートが、遮水性を有すると共に電気絶縁
性を有し、遮水シートの内部には、電圧印加用導電線と
電流検知用導電線が、互いに間隔をもって配置され、電
圧印加用導電線には、電圧印加手段が接続され、電流検
知用導電線には、電流検知手段が接続されて構成され
る。

【０００９】即ち、遮水シートを敷設すると、その敷設
部分が遮水され被覆される。そこで、電圧印加手段によ
り、電圧印加用導電線に電圧を印加して施工を完了す
る。また、電圧印加用導電線と電流検知用導電線は、遮
水シートの内部に予め配置されているので、品質の向
上、廃棄物による損傷の防止や浸出水による腐食の防止
が図られる。そして、この遮水シートの表面が破損した
場合には、浸出水が遮水シート内に流れ込み、電圧印加
用導電線と電流検知用導電線とが短絡される。すると、
電圧印加用導電線から電流検知用導電線に電流が流れる
ので、電流検知手段が、直ちに、その破損を検知する。

【００１０】本発明の第二の発明は、第一の発明におい
て、電圧印加用導電線及び電流検知用導電線が、多数
対、遮水シートに分散されて配置され、電流検知手段
は、多数の電流検知用導電線ごとに電流を検知するの
で、電流検知手段により電流が検知された電流検知用導
電線の位置に基づいて、破損箇所が高精度に特定され
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づき説明する。図１に示すように、本実施形態の漏
水検知装置１００は、遮水性及び電気絶縁性を有する遮
水シート１と、遮水シート１の内部に設けられ、互いに
間隔をもって配置された多数対の電圧印加用導電線１０
及び電流検知用導電線２０と、多数対の電圧印加用導電
線１０及び電流検知用導電線２０が接続された制御装置
３０とを備えている。制御装置３０は、電圧印加用導電
線１０に接続された電圧印加手段４０と、電流検知用導
電線２０に接続された破損検知出力手段５０とを備えて
なるものである。

【００１２】遮水シート１は、図２に示すように、塩化
ビニル、合成ゴム、ポリエチレンなどの遮水性及び電気
絶縁性を有するシートにより形成された表面側遮水シー
ト部２及び裏面側遮水シート部３と、表面側遮水シート
部２と裏面側遮水シート部３の間に介装される補強用基
布部５とからなっており、補強用基布部５は、ポリエス
テル等の電気絶縁性を有する繊維を編上げてなる布状部
材である。

【００１３】電圧印加用導電線１０及び電流検知用導電
線２０は、補強用基布部５の中に織り込まれている。

【００１４】図１に示すように、多数対の電圧印加用導
電線１０及び電流検知用導電線２０は、遮水シート１内
に、定間隔で平行に並べられ、全体に隈無く分散されて
配置されている。各電圧印加用導電線１０の基端は、互
いに接続されて電圧印加手段４０に接続されている。

【００１５】電圧印加手段４０は、交流電源４１と、交
流電源４１に接続されるプラグ４２と、交流電源４１か
ら供給される電圧を調整して電圧印加用導電線１０に印
加する電圧印加制御部４３とからなっている。また、電
圧印加手段４０のプラグ４２は、制御装置３０の電源プ
ラグであり、即ち、プラグ４２から供給される電流は、
分岐され、破損検知出力手段５０などの駆動電流とな
る。

【００１６】破損検知出力手段５０は、ディスプレー又
は多数のランプなどからなる表示部５１と、多数の電流
検知用導電線２０ごとに電流ｉを検知して、表示部５１
に電流検知信号ｓを出力する電流検知手段としての電流
検知回路５２とからなり、表示部５１は、電流検知信号
ｓに基づいて、多数の電流検知用導電線２０ごとにその
電流検知を表示する。

【００１７】漏水検知装置１００は以上のような構成を
有するので、例えば、図３に示す廃棄物Ｄを廃棄するた
めの処分場６０への漏水検知装置１００の施工は、その
処分場６０の地面６１に遮水シート１を敷設すると共
に、制御装置３０を処分場６０の周囲に設置し、その図
１のプラグ４２を、交流電源４１に接続して、各電圧印
加用導電線１０に電圧を印加することにより完了する。

【００１８】漏水検知装置１００では、電圧印加用導電
線１０と電流検知用導電線２０を遮水シート１の内部に
予め配置させているため、従来の遮水シートの上下に電
線又は電極を隈無く設置する作業に相当する現場作業が
ない。よって、施工期間を短縮することができる。

【００１９】施工後には、遮水シート１により、その敷
設部分である処分場６０の地面６１は、遮水され被覆さ
れる。よって、処分場６０に廃棄物Ｄを廃棄された場合
には、処分場６０の地面６１への廃棄物Ｄからの浸出水
Ｄｌの漏出を防止することができる。尚、図２に示すよ
うに遮水シート１の表面側遮水シート部２と裏面側遮水
シート部３は、補強用基布部５により、廃棄物Ｄなどに
よる破損が防止されるので、高い耐久性を備えている。

【００２０】また、多数の電圧印加用導電線１０と電流
検知用導電線２０は、電気絶縁性を有する表面側遮水シ
ート部２と補強用基布部５との間に配線されており、互
いに離間されているので、通常時には、電流検知用導電
線２０に図１のような電流ｉが流れることはない。

【００２１】さて、この遮水シート１の表面側遮水シー
ト部２が破損した場合には、その破損箇所Ｐから浸出水
Ｄｌが遮水シート１内に流れ込み、補強用基布部５を介
して広がり、その近傍の電圧印加用導電線１０と電流検
知用導電線２０が短絡される。すると、電圧印加用導電
線１０から電流検知用導電線２０に電流ｉが流れ、電流
検知用導電線２０に接続された制御装置３０の電流検知
回路５２は、その電流ｉに基づいて、電流ｉが検知され
た電流検知用導電線２０に対応した電流検知信号ｓを表
示部５１に出力する。すると、その表示部５１は、その
電流検知信号ｓに基づいて、その電流検知用導電線２０
での電流検知を表示する。よって、その表示部５１を監
視している作業員は、直ちに、その破損を認識すること
ができる。

【００２２】また、図１の表示部５１は、電流ｉが検知
された電流検知用導電線２０が分かるように電流検知を
表示するので、その電流検知用導電線２０が配線された
位置に基づいて破損箇所Ｐを高精度に特定することがで
きる。これによって、破損箇所Ｐの修復作業を容易にす
ることができる。

【００２３】また、遮水シート１の破損の検知は、遮水
シート１内に漏れた浸出水Ｄｌを介して電圧印加用導電
線１０から電流検知用導電線２０に流れる電流ｉを破損
検知出力手段５０が検知し表示するので、継続的に行な
うことができる。

【００２４】また、電圧印加用導電線１０と電流検知用
導電線２０は、表面側遮水シート部２、裏面側遮水シー
ト部３により、図３の廃棄物Ｄによる損傷の防止や浸出
水Ｄｌによる腐食が防止され、更に、図１の補強用基布
部５によっても、損傷が防止されている。加えて、電圧
印加用導電線１０と電流検知用導電線２０は、遮水シー
ト１の内部に予め配置されているので、従来に比して品
質の向上を図ることができる。

【００２５】これにより、長期に渡る破損検知機能の確
保が可能である。

【００２６】尚、電圧印加制御部４３に、交流を直流に
変換する変換器を設けてよいことは勿論である。また、
漏水検知装置１００は、汚染土処分場に用いても好適で
ある。

【００２７】

【発明の効果】本発明の第一の発明の漏水検知装置によ
れば、電圧印加用導電線と電流検知用導電線とが、遮水
シートの内部に予め配置されているので、施工期間を短
縮することができる。

【００２８】また、遮水シートの破損の検知は、遮水シ
ートの内部に浸出水が流れ込んだ時点で、その浸出水を
介して電圧印加用導電線から電流検知用導電線に電流が
流れ、その電流を電流検知手段が検知することでなされ
る。また、この遮水シートの破損の検知は、継続的に行
なうことができる。

【００２９】更に、その電圧印加用導電線と電流検知用
導電線は、遮水シートの内部に予め配置されているの
で、従来に比して品質の向上を図ることができ、且つ
又、廃棄物による損傷の防止や浸出水による腐食の防止
が図られる。よって、長期に渡る破損検知機能の確保が
可能である。

【００３０】本発明の第二の発明の漏水検知装置によれ
ば、上記効果に加えて、電流検知手段により電流が検知
された電流検知用導電線に基づいて、破損箇所が高精度
に特定されるので、破損箇所の修復作業を容易にするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の漏水検知装置の一実施形態を示す図
である。

【図２】 図１の漏水検知装置の遮水シートを示す分解
図である。

【図３】 図１の漏水検知装置の敷設状態の一例を示す
図である。

【符号の説明】

１…遮水シート、１０…電圧印加用導電線、２０…電流
検知用導電線、４０…電圧印加手段、５２…電流検知手
段、１００…漏水検知装置、ｉ…電流

フロントページの続き (72)発明者 大西 雄二 東京都港区芝浦一丁目２番３号 清水建設 株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 遮水性を有する遮水シートを備えてなる
   漏水検知装置において、 前記遮水シートは、遮水性を有すると共に電気絶縁性を
   有し、 該遮水シートの内部には、電圧印加用導電線と電流検知
   用導電線が、互いに間隔をもって配置され、 前記電圧印加用導電線には、電圧印加手段が接続され、 前記電流検知用導電線には、電流検知手段が接続されて
   構成される漏水検知装置。
2. 【請求項２】 前記電圧印加用導電線及び前記電流検知
   用導電線が、多数対、前記遮水シートに分散されて配置
   され、 前記電流検知手段は、多数の前記電流検知用導電線ごと
   に電流を検知することを特徴とする請求項１記載の漏水
   検知装置。