JPH09287009A - 高炉操業方法 - Google Patents
高炉操業方法Info
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- JPH09287009A JPH09287009A JP12078396A JP12078396A JPH09287009A JP H09287009 A JPH09287009 A JP H09287009A JP 12078396 A JP12078396 A JP 12078396A JP 12078396 A JP12078396 A JP 12078396A JP H09287009 A JPH09287009 A JP H09287009A
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- blast furnace
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 経済的負荷を増大することなく高炉スラグの
粘度を精度良く推定し、高炉の安定操業のために速やか
な対応を可能とする。 【解決手段】 高炉の出銑時に、スラグ中のFeOとM
nOのモル分率およびメタル中のC,Si,Mn濃度お
よびCのモル分率を測定し、高炉内のFeとMnのスラ
グ−メタル間の平衡反応に基づくいて、高炉内のスラグ
浴の温度を求め、その温度とスラグ中のCaO,SiO
2 ,MgO,Al2 O3 濃度の測定値からスラグ粘度を
計算し、溶銑温度の増減、装入物の組成調整により該粘
度を管理範囲に保持する高炉操業方法。
粘度を精度良く推定し、高炉の安定操業のために速やか
な対応を可能とする。 【解決手段】 高炉の出銑時に、スラグ中のFeOとM
nOのモル分率およびメタル中のC,Si,Mn濃度お
よびCのモル分率を測定し、高炉内のFeとMnのスラ
グ−メタル間の平衡反応に基づくいて、高炉内のスラグ
浴の温度を求め、その温度とスラグ中のCaO,SiO
2 ,MgO,Al2 O3 濃度の測定値からスラグ粘度を
計算し、溶銑温度の増減、装入物の組成調整により該粘
度を管理範囲に保持する高炉操業方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉スラグの粘度
を適切に保ち、スラグの流動性を確保することにより、
安定して銑鉄を生産することができる高炉操業方法に関
する。
を適切に保ち、スラグの流動性を確保することにより、
安定して銑鉄を生産することができる高炉操業方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】出銑滓を手際よく行うことは、高炉の安
定操業にとって非常に重要である。その理由は、単位時
間当たりの銑滓生成量以上に銑滓が排出できない場合、
炉内の貯銑滓量が増大し、通気抵抗増大等の悪影響が出
るばかりでなく、最悪の場合は操業を休止せざるを得な
いからである。単位時間当たりの銑滓排出量はスラグの
粘度に影響され、スラグ粘度が低い程スラグの流動性は
良好となり単位時間当たりの銑滓排出量は増加する。反
対に、スラグ粘度が高い程スラグの流動性は悪化し単位
時間当たりの銑滓排出量は低下する。従って、スラグ粘
度を管理し適正範囲に保持することは、高炉の安定操業
にとって不可欠である。
定操業にとって非常に重要である。その理由は、単位時
間当たりの銑滓生成量以上に銑滓が排出できない場合、
炉内の貯銑滓量が増大し、通気抵抗増大等の悪影響が出
るばかりでなく、最悪の場合は操業を休止せざるを得な
いからである。単位時間当たりの銑滓排出量はスラグの
粘度に影響され、スラグ粘度が低い程スラグの流動性は
良好となり単位時間当たりの銑滓排出量は増加する。反
対に、スラグ粘度が高い程スラグの流動性は悪化し単位
時間当たりの銑滓排出量は低下する。従って、スラグ粘
度を管理し適正範囲に保持することは、高炉の安定操業
にとって不可欠である。
【0003】ところで、日常の操業ではスラグ粘度を測
定することは技術的にも経済的にも非常に困難である。
従って、スラグ組成とスラグ温度から(2)式のような
実験式を用いて計算しなければならない。このときのス
ラグ温度としては、溶銑温度または溶銑温度に数十度加
えた温度で計算してきた。しかし、この方法は以下の理
由で、精度良く高炉スラグの粘度を推定することが困難
であった。
定することは技術的にも経済的にも非常に困難である。
従って、スラグ組成とスラグ温度から(2)式のような
実験式を用いて計算しなければならない。このときのス
ラグ温度としては、溶銑温度または溶銑温度に数十度加
えた温度で計算してきた。しかし、この方法は以下の理
由で、精度良く高炉スラグの粘度を推定することが困難
であった。
【0004】まず、スラグ温度として、溶銑温度または
溶銑温度に数十度加えた温度を用いているが、これは炉
内のスラグ温度の測定が非常に困難であるために仮定し
ているものであり、必ずしも実際のスラグ温度であると
は限らないことが挙げられる。次に、スラグ粘度の実験
式では温度に強く影響されるため、温度を仮定すること
により誤差が大きくなることが挙げられる。従って、ス
ラグ温度を実測すれば上記の問題点は解決されるが、ス
ラグ温度の測定には特殊なプローブや技術を必要とする
ため、日常実測することは経済的にも技術的にも困難で
ある。
溶銑温度に数十度加えた温度を用いているが、これは炉
内のスラグ温度の測定が非常に困難であるために仮定し
ているものであり、必ずしも実際のスラグ温度であると
は限らないことが挙げられる。次に、スラグ粘度の実験
式では温度に強く影響されるため、温度を仮定すること
により誤差が大きくなることが挙げられる。従って、ス
ラグ温度を実測すれば上記の問題点は解決されるが、ス
ラグ温度の測定には特殊なプローブや技術を必要とする
ため、日常実測することは経済的にも技術的にも困難で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
技術では精度良くかつ低コストで高炉スラグの粘度を推
定することが困難であった。このため、本発明では経済
的負荷を増大することなく高炉スラグの粘度を精度良く
推定し、高炉の安定操業のために速やかな対応を可能と
するものである。
技術では精度良くかつ低コストで高炉スラグの粘度を推
定することが困難であった。このため、本発明では経済
的負荷を増大することなく高炉スラグの粘度を精度良く
推定し、高炉の安定操業のために速やかな対応を可能と
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、以下の手段を考え出した。すなわち、
高炉の出銑時に、スラグ中のFeOとMnOのモル分
率およびメタル中のC,Si,Mn濃度およびCのモル
分率を測定し、高炉内のFeとMnのスラグ−メタル間
の平衡反応に基づく下記(1)式により高炉内のスラグ
浴の温度を求め、その温度とスラグ中のCaO,SiO
2 ,MgO,Al2 O3 濃度の測定値から、下記(2)
式によりスラグ粘度を計算し、溶銑温度の増減、装入物
の組成調整により該粘度を管理範囲に保持することを特
徴とする高炉操業方法。
解決するために、以下の手段を考え出した。すなわち、
高炉の出銑時に、スラグ中のFeOとMnOのモル分
率およびメタル中のC,Si,Mn濃度およびCのモル
分率を測定し、高炉内のFeとMnのスラグ−メタル間
の平衡反応に基づく下記(1)式により高炉内のスラグ
浴の温度を求め、その温度とスラグ中のCaO,SiO
2 ,MgO,Al2 O3 濃度の測定値から、下記(2)
式によりスラグ粘度を計算し、溶銑温度の増減、装入物
の組成調整により該粘度を管理範囲に保持することを特
徴とする高炉操業方法。
【0007】該粘度が管理上限値から0.1[poi
se]増大する毎に溶銑温度を2[℃]以上4[℃]以
下の範囲で増加させることを特徴とする高炉操業方法。 該粘度が管理下限値から0.1[poise]低下す
る毎に溶銑温度を2[℃]以上4[℃]以下の範囲で減
少させることを特徴とする高炉操業方法。
se]増大する毎に溶銑温度を2[℃]以上4[℃]以
下の範囲で増加させることを特徴とする高炉操業方法。 該粘度が管理下限値から0.1[poise]低下す
る毎に溶銑温度を2[℃]以上4[℃]以下の範囲で減
少させることを特徴とする高炉操業方法。
【0008】該粘度が管理上限値から0.1[poi
se]増大する毎にスラグ中Al2O3 を0.8[ma
ss%]以上1.0[mass%]以下の範囲で減少さ
せることを特徴とする高炉操業方法。 該粘度が管理上限値から0.1[poise]増大す
る毎にスラグ中MgOを0.8[mass%]以上1.
0[mass%]以下の範囲で増加させることを特徴と
する高炉操業方法である。
se]増大する毎にスラグ中Al2O3 を0.8[ma
ss%]以上1.0[mass%]以下の範囲で減少さ
せることを特徴とする高炉操業方法。 該粘度が管理上限値から0.1[poise]増大す
る毎にスラグ中MgOを0.8[mass%]以上1.
0[mass%]以下の範囲で増加させることを特徴と
する高炉操業方法である。
【0009】 Tslag[℃]=(20353−4233[%Si] +3915(xc /(1−xc ))2 ) /(9.41+0.124[%C] −2.22[%Si]−0.829(xc /(1−xc ))2 +ln(XMnO ・(1−2xc ) /([%Mn]・XFeO ・(1−xc ))))−273 ・・・(1) log η[poise] =1.709・(WCaO /WSiO2)2 −4.742・(WCaO /WSiO2) +0.933・(WMgO /100)2 −1.886・(WMgO /100) +7.991・(WAl2O3 /100)2 −1.032・(WAl2O3 /100)+4.269×106 /Tslag 2 +2.675×103 /Tslag+0.258 ・・・(2)
【0010】ただし、 Tslag:スラグ温度[℃] [%C]:メタル中のC濃度[mass%] [%Si]:メタル中のSi濃度[mass%] [%Mn]:メタル中のMn濃度[mass%] xc :メタル中のCのモル分率[−] XMnO :スラグ中のMnOのモル分率[−] XFeO :スラグ中のFeOのモル分率[−] η:スラグ粘度[poise] WCaO :スラグ中のCaO濃度[mass%] WSiO2:スラグ中のSiO2 濃度[mass%] WMgO :スラグ中のMgO濃度[mass%] WAl2O3 :スラグ中のAl2 O3 濃度[mass%]
【0011】
【発明の実施の形態】高炉内でほぼ平衡に到達している
と考えられるFe−Mn−O系の反応を考え、スラグ組
成とメタル組成のデータのみからスラグ浴の温度を推定
する。すなわち、(3)式の反応を考えることにより、
スラグ組成とメタル組成からスラグ温度を推定すること
ができる。以下に、Fe,Mnのスラグ−メタル間の分
配平衡から、炉内のスラグ温度を計算する方法を示す。
スラグ−メタル間のFe,Mnの反応として、下記
(3)式の反応を考えた。
と考えられるFe−Mn−O系の反応を考え、スラグ組
成とメタル組成のデータのみからスラグ浴の温度を推定
する。すなわち、(3)式の反応を考えることにより、
スラグ組成とメタル組成からスラグ温度を推定すること
ができる。以下に、Fe,Mnのスラグ−メタル間の分
配平衡から、炉内のスラグ温度を計算する方法を示す。
スラグ−メタル間のFe,Mnの反応として、下記
(3)式の反応を考えた。
【0012】 Fe(1)+MnO(s)=FeO(1)+Mn ・・・(3) ΔG°(3) =167316−78.26T ∴K(3) =(γFeO ・XFeO ・fMn・[%Mn]) /(aFe(1) ・γMnO ・XMnO ) −exp(ΔG°(3) /RT) ここで、ln γFeO =580/T ln γMnO =351/T log fMn=0.0538[%C]+(−1838/
T+0.964)[%Si] log aFe(1)=(0.36+1700/T)(xc
/(1−xc ))2+log((1−2xc )/(1−
xc )) の関係式を用いてTについて整理すると、下記(4)式
が得られる。
T+0.964)[%Si] log aFe(1)=(0.36+1700/T)(xc
/(1−xc ))2+log((1−2xc )/(1−
xc )) の関係式を用いてTについて整理すると、下記(4)式
が得られる。
【0013】 T[K]=(20353−4233[%Si] +3915(xc /(1−xc ))2 ) /(9.41+0.124[%C]−2.22[%Si] −0.829(xc /(1−xc ))2 +ln(XMnO ・(1−2xc ) /([%Mn]・XFeO ・(1−xc )))) ・・・(4) このようにして得られた温度はスラグ−メタル反応が起
きている部分の温度、すなわち、スラグ浴の温度を代表
していると考えられる。従って、スラグ浴の温度とし
て、(1)式が得られる。
きている部分の温度、すなわち、スラグ浴の温度を代表
していると考えられる。従って、スラグ浴の温度とし
て、(1)式が得られる。
【0014】 Tslag[℃]=(20353−4233[%Si] +3915(xc /(1−xc ))2 ) /(9.41+0.124[%C] −2.22[%Si]−0.829(xc /(1−xc ))2 +ln(XMnO ・(1−2xc ) /([%Mn]・XFeO ・(1−xc ))))−273 ・・・(1) ここで、ΔG°(3) :(3)式の反応の標準自由エネル
ギー変化[J/mol] K(3) :(3)式の反応の平衡定数[−] fMn:温度T[K]におけるメタル中のMnの活量係数
[−] γMnO :温度T[K]におけるスラグ中のMnOの活量
係数[−] γFeO :Feと平衡する純溶融FeOを基準とする温度
T[K]におけるスラグ中のFeOの活量係数[−] aFe(1) :メタル中のFeの活量[−] xc :メタル中のCのモル分率[−] R:気体定数[J/K]
ギー変化[J/mol] K(3) :(3)式の反応の平衡定数[−] fMn:温度T[K]におけるメタル中のMnの活量係数
[−] γMnO :温度T[K]におけるスラグ中のMnOの活量
係数[−] γFeO :Feと平衡する純溶融FeOを基準とする温度
T[K]におけるスラグ中のFeOの活量係数[−] aFe(1) :メタル中のFeの活量[−] xc :メタル中のCのモル分率[−] R:気体定数[J/K]
【0015】上記(1)式は、スラグ組成とメタル組成
の分析値のみからスラグ温度が推定できることを示して
いる。このようにして得られたスラグ温度と実測の溶銑
温度との比較を図1に示す。図1から明らかなように、
スラグ温度と溶銑温度の差は一定ではなく、溶銑温度が
高くなる程その差は大きくなる。従って、従来のスラグ
温度の仮定である溶銑温度そのものまたは溶銑温度に数
十度加えた値とは異なる。溶銑温度とスラグ温度の関係
は、下記(5)式で表される。 Tslag[℃]=1.67*Tpig [℃]−977 ・・・(5)
の分析値のみからスラグ温度が推定できることを示して
いる。このようにして得られたスラグ温度と実測の溶銑
温度との比較を図1に示す。図1から明らかなように、
スラグ温度と溶銑温度の差は一定ではなく、溶銑温度が
高くなる程その差は大きくなる。従って、従来のスラグ
温度の仮定である溶銑温度そのものまたは溶銑温度に数
十度加えた値とは異なる。溶銑温度とスラグ温度の関係
は、下記(5)式で表される。 Tslag[℃]=1.67*Tpig [℃]−977 ・・・(5)
【0016】一方で、スラグ粘度の実験式として、
(2)式が提示されている。(2)式でスラグ粘度を計
算する際に、(1)式で得られたスラグ温度を用いる。 log η[poise] =1.709・(WCaO /WSiO2)2 −4.742・(WCaO /WSiO2) +0.933・(WMgO /100)2 −1.886・(WMgO /100) +7.991・(WAl2O3 /100)2 −1.032・(WAl2O3 /100)+4.269×106 /Tslag 2 +2.675×103 /Tslag+0.258 ・・・(2) なお、(1)式で計算されるスラグ浴の温度は、Si,
S,P,Tiのスラグ−メタル反応の計算や熱収支の計
算にも用いることができる。
(2)式が提示されている。(2)式でスラグ粘度を計
算する際に、(1)式で得られたスラグ温度を用いる。 log η[poise] =1.709・(WCaO /WSiO2)2 −4.742・(WCaO /WSiO2) +0.933・(WMgO /100)2 −1.886・(WMgO /100) +7.991・(WAl2O3 /100)2 −1.032・(WAl2O3 /100)+4.269×106 /Tslag 2 +2.675×103 /Tslag+0.258 ・・・(2) なお、(1)式で計算されるスラグ浴の温度は、Si,
S,P,Tiのスラグ−メタル反応の計算や熱収支の計
算にも用いることができる。
【0017】前述の本発明の請求項2および3でスラグ
粘度が0.1[poise]増減する毎に溶銑温度を2
[℃]以上4[℃]以下の範囲で増減する理由は、
(5)式からこの範囲での溶銑温度の変化は、スラグ温
度に換算して3[℃]以上6[℃]以下の変化に対応し
ており、(2)式からスラグ粘度に換算して0.1[p
oise]相当になるからである。
粘度が0.1[poise]増減する毎に溶銑温度を2
[℃]以上4[℃]以下の範囲で増減する理由は、
(5)式からこの範囲での溶銑温度の変化は、スラグ温
度に換算して3[℃]以上6[℃]以下の変化に対応し
ており、(2)式からスラグ粘度に換算して0.1[p
oise]相当になるからである。
【0018】また、同様にして本発明の請求項4および
5で、スラグ粘度が0.1[poise]増加する毎
に、スラグ中Al2 O3 を0.8[mass%]以上
1.0[mass%]以下の範囲で減少させたり、スラ
グ中MgOを0.8[mass%]以上1.0[mas
s%]以下の範囲で増加させたりする理由も、(2)式
からスラグ粘度に換算して0.1[poise]相当に
なるからである。すなわち、図2はスラグ組成が一定の
ときのスラグ粘度に及ぼす溶銑温度の影響を示したもの
である。また、図3および図4は溶銑温度が一定のとき
のスラグ粘度に及ぼすスラグ中Al2 O3 、スラグ中M
gOの影響を示したものである。
5で、スラグ粘度が0.1[poise]増加する毎
に、スラグ中Al2 O3 を0.8[mass%]以上
1.0[mass%]以下の範囲で減少させたり、スラ
グ中MgOを0.8[mass%]以上1.0[mas
s%]以下の範囲で増加させたりする理由も、(2)式
からスラグ粘度に換算して0.1[poise]相当に
なるからである。すなわち、図2はスラグ組成が一定の
ときのスラグ粘度に及ぼす溶銑温度の影響を示したもの
である。また、図3および図4は溶銑温度が一定のとき
のスラグ粘度に及ぼすスラグ中Al2 O3 、スラグ中M
gOの影響を示したものである。
【0019】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって説明する。
実施例1は、スラグ粘度の管理範囲を1〜3.5[po
ise]にしている高炉で、該粘度が管理上限よりも増
大したために溶銑温度を上昇させたケースである。通常
操業時には、該粘度は管理範囲にあるが、装入鉱石中の
焼結鉱の被還元性指数であるJIS RIが67から6
1まで低下したため、炉下部の還元負荷が増大しスラグ
温度は日平均値で1495℃まで低下し、溶銑温度は日
平均値で1485℃まで低下した。このときのスラグ粘
度は4.5[poise]まで増大したため、燃料比を
通常の485〜490kg/tを495kg/tまで増
加すると共に、送風湿分を通常の20〜23g/Nm3
から15g/Nm3 まで低下させた。その結果、24時
間後には溶銑温度は1515℃まで上昇しスラグ温度は
1555℃まで回復した。これによって、スラグ粘度を
2.7[poise]まで下げることができた。
実施例1は、スラグ粘度の管理範囲を1〜3.5[po
ise]にしている高炉で、該粘度が管理上限よりも増
大したために溶銑温度を上昇させたケースである。通常
操業時には、該粘度は管理範囲にあるが、装入鉱石中の
焼結鉱の被還元性指数であるJIS RIが67から6
1まで低下したため、炉下部の還元負荷が増大しスラグ
温度は日平均値で1495℃まで低下し、溶銑温度は日
平均値で1485℃まで低下した。このときのスラグ粘
度は4.5[poise]まで増大したため、燃料比を
通常の485〜490kg/tを495kg/tまで増
加すると共に、送風湿分を通常の20〜23g/Nm3
から15g/Nm3 まで低下させた。その結果、24時
間後には溶銑温度は1515℃まで上昇しスラグ温度は
1555℃まで回復した。これによって、スラグ粘度を
2.7[poise]まで下げることができた。
【0020】実施例2は、スラグ粘度の管理範囲を2〜
4[poise]にしている高炉で、該粘度が管理下限
よりも低下したために溶銑温度を下げたケースである。
通常操業時には、該粘度は管理範囲にあるが、装入物分
布の調整によりガス利用率を50.2%から52.1%
まで増大することができたため、スラグ温度は日平均値
で1596℃まで上昇し溶銑温度は1540℃まで上昇
した。このため、スラグ粘度が1.8[poise]ま
で低下したため、燃料比を通常の495〜500kg/
tを490kg/tまで減少させることにより、溶銑温
度を1530℃まで低下させ、スラグ温度を1580℃
まで低下させることができた。このとき、スラグ粘度は
2[poise]であり、流動性は良好であった。
4[poise]にしている高炉で、該粘度が管理下限
よりも低下したために溶銑温度を下げたケースである。
通常操業時には、該粘度は管理範囲にあるが、装入物分
布の調整によりガス利用率を50.2%から52.1%
まで増大することができたため、スラグ温度は日平均値
で1596℃まで上昇し溶銑温度は1540℃まで上昇
した。このため、スラグ粘度が1.8[poise]ま
で低下したため、燃料比を通常の495〜500kg/
tを490kg/tまで減少させることにより、溶銑温
度を1530℃まで低下させ、スラグ温度を1580℃
まで低下させることができた。このとき、スラグ粘度は
2[poise]であり、流動性は良好であった。
【0021】実施例3は、スラグ粘度の管理範囲を1〜
3.2[poise]にしている高炉で、該粘度が管理
上限よりも増大したためにスラグ中Al2 O3 を低下さ
せたケースである。通常操業時には、該粘度は管理範囲
にあるが、装入鉱石とコークスの重量比(O/C)を
4.20から4.50まで増大させたため、炉下部の還
元負荷が増大しスラグ温度は日平均値で1502℃まで
低下し、溶銑温度は日平均値で1490℃まで低下し
た。このときのスラグ粘度は3.3[poise]まで
増大したため、焼結鉱中のAl2 O3 含有量を通常の
1.80〜1.90[mass%]を1.65[mas
s%]まで低下させた。その結果、スラグ中Al2 O3
は通常の15.4[mass%]から14.5[mas
s%]まで低下した。これによって、スラグ粘度を3.
2[poise]まで下げることができた。
3.2[poise]にしている高炉で、該粘度が管理
上限よりも増大したためにスラグ中Al2 O3 を低下さ
せたケースである。通常操業時には、該粘度は管理範囲
にあるが、装入鉱石とコークスの重量比(O/C)を
4.20から4.50まで増大させたため、炉下部の還
元負荷が増大しスラグ温度は日平均値で1502℃まで
低下し、溶銑温度は日平均値で1490℃まで低下し
た。このときのスラグ粘度は3.3[poise]まで
増大したため、焼結鉱中のAl2 O3 含有量を通常の
1.80〜1.90[mass%]を1.65[mas
s%]まで低下させた。その結果、スラグ中Al2 O3
は通常の15.4[mass%]から14.5[mas
s%]まで低下した。これによって、スラグ粘度を3.
2[poise]まで下げることができた。
【0022】実施例4は、スラグ粘度の管理範囲を1〜
3.2[poise]にしている高炉で、該粘度が管理
上限よりも増大したためにスラグ中MgOを増加させた
ケースである。通常操業時には、該粘度は管理範囲にあ
るが、装入鉱石とコークスの重量比(O/C)を4.2
0から4.50まで増大させたため、炉下部の還元負荷
が増大しスラグ温度は日平均値で1502℃まで低下
し、溶銑温度は日平均値で1490℃まで低下した。こ
のときのスラグ粘度は3.3[poise]まで増大し
たため、焼結鉱中のMgO含有量を通常の1.2〜1.
3[mass%]を1.60[mass%]まで増加さ
せた。その結果、スラグ中MgOは通常の4.5[ma
ss%]から5.4[mass%]まで増加した。これ
によって、スラグ粘度を3.2[poise]まで下げ
ることができた。
3.2[poise]にしている高炉で、該粘度が管理
上限よりも増大したためにスラグ中MgOを増加させた
ケースである。通常操業時には、該粘度は管理範囲にあ
るが、装入鉱石とコークスの重量比(O/C)を4.2
0から4.50まで増大させたため、炉下部の還元負荷
が増大しスラグ温度は日平均値で1502℃まで低下
し、溶銑温度は日平均値で1490℃まで低下した。こ
のときのスラグ粘度は3.3[poise]まで増大し
たため、焼結鉱中のMgO含有量を通常の1.2〜1.
3[mass%]を1.60[mass%]まで増加さ
せた。その結果、スラグ中MgOは通常の4.5[ma
ss%]から5.4[mass%]まで増加した。これ
によって、スラグ粘度を3.2[poise]まで下げ
ることができた。
【0023】
【発明の効果】本発明により、高炉スラグの粘度を適切
に保ち、スラグの流動性を確保することにより、安定し
て銑鉄を生産することが可能である。
に保ち、スラグの流動性を確保することにより、安定し
て銑鉄を生産することが可能である。
【図1】実測した溶銑温度と計算したスラグ温度の関係
を示す図
を示す図
【図2】スラグ組成が一定のときのスラグ粘度に及ぼす
溶銑温度の影響を示す図
溶銑温度の影響を示す図
【図3】溶銑温度が一定のときのスラグ粘度に及ぼすス
ラグ中Al2 O3 の影響を示す図
ラグ中Al2 O3 の影響を示す図
【図4】溶銑温度が一定のときのスラグ粘度に及ぼすス
ラグ中MgOの影響を示す図
ラグ中MgOの影響を示す図
Claims (5)
- 【請求項1】 高炉の出銑時に、スラグ中のFeOとM
nOのモル分率およびメタル中のC,Si,Mn濃度お
よびCのモル分率を測定し、高炉内のFeとMnのスラ
グ−メタル間の平衡反応に基づく下記(1)式により高
炉内のスラグ浴の温度を求め、その温度とスラグ中のC
aO,SiO2 ,MgO,Al2 O3濃度の測定値か
ら、下記(2)式によりスラグ粘度を計算し、溶銑温度
の増減、装入物の組成調整により該粘度を管理範囲に保
持することを特徴とする高炉操業方法。 Tslag[℃]=(20353−4233[%Si] +3915(xc /(1−xc ))2 ) /(9.41+0.124[%C] −2.22[%Si]−0.829(xc /(1−xc ))2 +ln(XMnO ・(1−2xc ) /([%Mn]・XFeO ・(1−xc ))))−273 ・・・(1) log η[poise] =1.709・(WCaO /WSiO2)2 −4.742・(WCaO /WSiO2) +0.933・(WMgO /100)2 −1.886・(WMgO /100) +7.991・(WAl2O3 /100)2 −1.032・(WAl2O3 /100)+4.269×106 /Tslag 2 +2.675×103 /Tslag+0.258 ・・・(2) ただし、 Tslag:スラグ温度[℃] [%C]:メタル中のC濃度[mass%] [%Si]:メタル中のSi濃度[mass%] [%Mn]:メタル中のMn濃度[mass%] xc :メタル中のCのモル分率[−] XMnO :スラグ中のMnOのモル分率[−] XFeO :スラグ中のFeOのモル分率[−] η:スラグ粘度[poise] WCaO :スラグ中のCaO濃度[mass%] WSiO2:スラグ中のSiO2 濃度[mass%] WMgO :スラグ中のMgO濃度[mass%] WAl2O3 :スラグ中のAl2 O3 濃度[mass%] - 【請求項2】 該粘度が管理上限値から0.1[poi
se]増大する毎に溶銑温度を2[℃]以上4[℃]以
下の範囲で増加させることを特徴とする請求項1記載の
高炉操業方法。 - 【請求項3】 該粘度が管理下限値から0.1[poi
se]低下する毎に溶銑温度を2[℃]以上4[℃]以
下の範囲で減少させることを特徴とする請求項1記載の
高炉操業方法。 - 【請求項4】 該粘度が管理上限値から0.1[poi
se]増大する毎にスラグ中Al2 O3 を0.8[ma
ss%]以上1.0[mass%]以下の範囲で減少さ
せることを特徴とする請求項1記載の高炉操業方法。 - 【請求項5】 該粘度が管理上限値から0.1[poi
se]増大する毎にスラグ中MgOを0.8[mass
%]以上1.0[mass%]以下の範囲で増加させる
ことを特徴とする請求項1記載の高炉操業方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12078396A JPH09287009A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 高炉操業方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12078396A JPH09287009A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 高炉操業方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09287009A true JPH09287009A (ja) | 1997-11-04 |
Family
ID=14794900
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12078396A Withdrawn JPH09287009A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 高炉操業方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09287009A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002294315A (ja) * | 2001-04-03 | 2002-10-09 | Kawasaki Steel Corp | 炉内スラグレベル推定方法 |
WO2003076858A1 (en) * | 2002-03-12 | 2003-09-18 | Xstrata Queensland Limited | Control of refractory wear |
CN110295261A (zh) * | 2019-07-20 | 2019-10-01 | 武钢集团昆明钢铁股份有限公司 | 一种高锰炼钢铁水的冶炼方法 |
CN111863146A (zh) * | 2020-07-21 | 2020-10-30 | 张家港宏昌钢板有限公司 | 一种高铝高炉渣粘度的预测方法 |
CN113189086A (zh) * | 2021-04-12 | 2021-07-30 | 东北大学 | 一种测定高铝型高炉渣中MgO活度的方法 |
-
1996
- 1996-04-19 JP JP12078396A patent/JPH09287009A/ja not_active Withdrawn
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