JPH09283334A - 磁性膜及びこれを用いた磁気ヘッド - Google Patents

磁性膜及びこれを用いた磁気ヘッド

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JPH09283334A
JPH09283334A JP9721296A JP9721296A JPH09283334A JP H09283334 A JPH09283334 A JP H09283334A JP 9721296 A JP9721296 A JP 9721296A JP 9721296 A JP9721296 A JP 9721296A JP H09283334 A JPH09283334 A JP H09283334A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic film
film
atomic
composition
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Withdrawn
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JP9721296A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Omori
広之 大森
Toshihiko Yaoi
俊彦 矢追
Yuko Takanashi
祐子 高梨
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】磁性膜とこれを用いた磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】Fexy(但し、Mは、Ru、Cr、T
i、Mo、W、Rh、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、A
l、Ga、Si、Geの少なくとも1以上を表し、x、
yは、各元素の組成を原子%で示したものである。)な
る一般式で表され、各元素の組成範囲が、85<x≦1
00、0≦y<15であり、厚さt1が、10nm≦t
1≦200nmである第1の磁性膜と、NiqFeuCo
vw(但し、Lは、Y、Hf、Zr、Ta、Nbの少な
くとも1以上を表し、q、u、v、wは、各元素の組成
を原子%で示したものである。)なる一般式で表され、
各元素の組成範囲が、65≦q≦85、0≦u≦30、
0≦v≦10、2≦w≦15、または、0≦q≦10、
0≦u≦10、70≦v≦95、2≦w≦15であり、
厚さt2が、1nm≦t2≦50nmである第2の磁性膜
とを複数積層してなる積層磁性膜から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な軟磁気特性
を有する磁性膜に関するものであり、さらには、これを
コア材料として使用した磁気ヘッドに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、ハードディスク装置等の磁気記
録装置において、記憶容量等を向上させるために、記録
信号の高密度化が進められており、これに対応して、磁
性層がCo−Pt−Cr等からなる高抗磁力磁気記録媒
体の開発が進められている。
【0003】ところで、このような磁気記録媒体の高抗
磁力化が進むにつれて、記録再生に使用する磁気ヘッド
のコア材料には、高い飽和磁束密度と優れた軟磁気特性
が要求される。
【0004】従来、このような磁気ヘッドのコア材料と
しては、Ni−Fe(パーマロイ)合金が主に使用され
ている。しかしながら、このパーマロイ合金では、飽和
磁束密度が1テスラ程度であるため、上述した要求を満
足するものではなく、高抗磁力媒体の記録に十分対処す
ることが難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したような状況か
ら、近年、鉄を基本として窒素を添加した窒化鉄膜から
なる磁性膜が注目されている。
【0006】しかしながら、窒化鉄膜は、安定した異方
性を付与するのが難しく、磁気特性の制御が難しいため
生産性に乏しい。特に1μm前後のトラック幅で磁区を
安定させるためには、十分に大きな異方性を付与しなが
ら保磁力を小さく抑えなければならないため、従来の磁
場中の熱処理方法では、十分な磁気特性が得られない。
【0007】そこで、本発明は、上述のような問題点を
解決するために提案されたものであり、飽和磁束密度が
高く、磁気特性の制御性に優れた磁性膜を提供すること
を目的とし、さらには優れた記録特性を有する磁気ヘッ
ドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究を重ねた結果、FeにH
f、Zr、Ta、Nb、Al、Si等を添加した磁性膜
と、Ni−FeにY、Hf、Zr、Ta、Nb等を添加
した磁性膜とを、窒素を含んだ雰囲気中で積層成膜する
ことによって、優れた軟磁性膜が得られることを見いだ
した。
【0009】すなわち、本発明に係る磁性膜は、Fex
y(但し、Mは、Ru、Cr、Ti、Mo、W、R
h、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、Al、Ga、Si、
Geの少なくとも1以上を表し、x、yは、各元素の組
成を原子%で示したものである。)なる一般式で表さ
れ、各元素の組成範囲が、85<x≦100、0≦y<
15であり、厚さt1が、10nm≦t1≦200nm
である第1の磁性膜と、NiqFeuCovw(但し、L
は、Y、Hf、Zr、Ta、Nbの少なくとも1以上を
表し、q、u、v、wは、各元素の組成を原子%で示し
たものである。)なる一般式で表され、各元素の組成範
囲が、65≦q≦85、0≦u≦30、0≦v≦10、
2≦w≦15、または、0≦q≦10、0≦u≦10、
70≦v≦95、2≦w≦15であり、厚さt2が、1
nm≦t2≦50nmである第2の磁性膜とを複数積層
してなる積層磁性膜から構成されるものである。この積
層磁性膜は、窒素含有量が2原子%≦15原子%以下で
あり、酸素含有量が3原子%以下であることを特徴とす
る。
【0010】上記磁性膜において、第1の磁性膜は、体
心立方格子構造をもつFeのみから構成されてもよい
が、磁歪を小さくし、耐食性の向上させ、結晶の配向を
制御するために、Hf、Al、Si等の元素を適量含有
していることが好ましい。また、上記第1の磁性膜中に
おけるAl、Si等の含有量は、磁歪の上昇や飽和磁束
密度の低下を避けるために、15原子%以下が好まし
い。
【0011】また、第2の磁性膜は、面心立方格子構造
を持つものが好ましく、磁歪が零に近いNi−Fe合金
やCoを基本として、Y、Zr等の元素を適量含有して
いることが好ましい。また、Y、Zr等の含有量は、2
原子%以上で効果が現れ、飽和磁束密度の低下を抑える
ためには、15原子%以下であることが好ましい。
【0012】これら第1の磁性膜と第2の磁性膜の厚み
は、飽和磁束密度が大きく、かつ優れた軟磁性を得るた
めには、それぞれ200nm以下、50nm以下が好ま
しく、磁歪の増加を抑えるためには、第1の磁性膜の厚
みがそれぞれ10nm以上、1nm以下であることが好
ましい。
【0013】上記磁性膜の窒素含有量は、2原子%以上
で効果が得られ、磁歪を低く抑えるためには、15原子
%以下であることが好ましい。窒素を含有する磁性膜
は、窒素を含んだ雰囲気中で成膜することにより得ら
れ、軟磁気特性に優れる。また、成膜時に少量の酸素を
雰囲気中に含有させることで、軟磁性の改善、結晶の配
向状態を変える効果があり、必要に応じ含有させるのが
好ましい。ただし、磁性膜中の酸素含有量は、軟磁気特
性の劣化を抑えるために、3原子%以下とすることが好
ましい。
【0014】一方、本発明に係る磁気ヘッドは、上述の
磁性膜をコア材として用いたものであって、この磁性膜
が少なくとも磁気ギャップを挟んで対向配置されてな
る。
【0015】この場合、コア材の全体が上述の磁性膜で
あってもよいが、磁気ギャップ近傍のみを本願発明の磁
性膜とすることで、例えばオーバーライト特性を改善す
ることができる。このように、磁気ギャップ近傍のみを
本願発明の磁性膜で構成する場合、その他の部分は、パ
ーマロイ合金、非晶質合金等の上記磁性膜以外の軟磁性
膜により構成する。
【0016】また、本発明の磁気ヘッドにおいては、第
1の磁性膜の体心立方格子の(110)方位成分がトラ
ック幅方向に多く分布するように積層磁性膜を配置する
ことが好ましい。これによって、特にトラック幅を1.
5μm以下の狭トラックとしたときにも、小さな記録電
流で十分な記録ができるようになる。
【0017】本発明においては、FeにRu、Cr、T
i、Mo、W、Rh、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、A
l、Ga、Si、Geの少なくとも1種を添加した体心
立方格子を主成分とする膜と、Ni、Fe、CoにY、
Hf、Zr、Ta、Nbの少なくとも1種を添加した面
心立方格子を主成分とする膜とを窒素、あるいは窒素と
酸素を含む雰囲気中で積層成膜しており、これによって
優れた軟磁気特性が実現される。また、体心立方格子を
主成分とする膜の(110)結晶方位を特定の方位に分
布させることにより、安定して磁気異方性が付与され、
例えば磁気ヘッドとしたときに、優れた性能が発揮され
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係る磁性膜は、Fexy
(但し、Mは、Ru、Cr、Ti、Mo、W、Rh、
Y、Hf、Zr、Ta、Nb、Al、Ga、Si、Ge
の少なくとも1以上を表し、x、yは、各元素の組成を
原子%を示す。)なる一般式で表され第1の磁性膜と、
NiqFeuCovw(但し、Lは、Y、Hf、Zr、T
a、Nbの少なくとも1以上を表し、q、u、v、w
は、各元素の組成を原子%を示す。)る一般式で表され
る第2の磁性膜とが積層されてなる積層磁性膜から構成
される。この積層磁性膜は、窒素含有量が2原子%≦1
5原子%以下、酸素含有量が3原子%以下である。
【0019】上記一般式Fexyで表せる第1の磁性膜
の各元素の組成範囲は、85<x≦100、0≦y<1
5であり、厚さt1が、10nm≦t1≦200nmで
あることが好ましい。
【0020】上記第1の磁性膜は、体心立方格子構造を
もつFeのみから構成されてもよいが、磁歪を小さく
し、耐食性の向上させ、結晶の配向を制御するために、
Hf、Al、Si等の元素を適量含有していることが好
ましい。また、上記第1の磁性膜中におけるAl、Si
等の含有量は、磁歪の上昇や飽和磁束密度の低下を避け
るために、15原子%以下が好ましい。
【0021】また、一般式NiqFeuCovwで表され
る第2の磁性膜の各元素の組成範囲は、65≦q≦8
5、0≦u≦30、0≦v≦10、2≦w≦15、また
は、0≦q≦10、0≦u≦10、70≦v≦95、2
≦w≦15であり、厚さt2が、1nm≦t1≦50n
mであることが好ましい。
【0022】また、第2の磁性膜は、面心立方格子構造
を持つものが好ましく、磁歪が零に近いNi−Fe合金
やCoを基本として、Y、Zr等の元素を適量含有して
いることが好ましい。また、Y、Zr等の含有量は、2
原子%以上で効果が現れ、飽和磁束密度の低下を抑える
ためには、15原子%以下であることが好ましい。
【0023】これら第1の磁性膜と第2の磁性膜の厚み
は、飽和磁束密度が大きく、かつ優れた軟磁性を得るた
めには、それぞれ200nm以下、50nm以下が好ま
しく、磁歪の増加を抑えるためには、第1の磁性膜の厚
みがそれぞれ10nm以上、1nm以下であることが好
ましい。
【0024】上記磁性膜の窒素含有量は、2原子%以上
で効果が得られ、磁歪を低く抑えるためには、15原子
%であることが好ましい。窒素を含有する磁性膜は、窒
素を含んだ雰囲気中で成膜することにより得られ、軟磁
気特性に優れる。また、成膜時に少量の酸素を雰囲気中
に含有させることで、軟磁性の改善、結晶の配向状態を
変える効果があり、必要に応じ含有させるのが好まし
い。磁性膜中の酸素含有量は、軟磁気特性の劣化を抑え
るために、3原子%以下が好ましい。
【0025】また、本発明に係る磁性膜の好ましい形態
としては、第1の磁性膜が体心立方格子を基本とする結
晶構造をもち、第2の磁性膜が面心立方格子を基本とす
る結晶構造をもち、第1の磁性膜の体心立方格子の(1
10)方位成分が、磁性膜の困難軸方向に容易軸方向よ
り多く分布していることが挙げられる。
【0026】このような形態を有する磁性膜は、体心立
方格子の(110)方位成分の強い方向に十分な磁気異
方性をもつ困難軸が形成され、磁場中熱処理などを行わ
なくても、安定した磁気異方性が得られる。さらに、磁
場中熱処理等を行うことによって、より安定した磁気異
方性を付与することができる。
【0027】本発明に係る磁気ヘッドは、上述した一般
式Fexyで表される第1の層と、一般式NiqFeu
vwで表される第2の磁性膜とを複数積層してなる積
層磁性膜が、磁気ギャップを挟んで対向配置されてなる
ものである。
【0028】図1は、誘導型の薄膜磁気ヘッドの一例を
示すものである。この薄膜磁気ヘッドは、基板1上に下
部磁性膜2、上部磁性膜3を順次形成してなるもので、
これら下部磁性膜2と上部磁性膜3の間には、層間絶縁
膜5を介して薄膜コイル4が形成され、磁気記録媒体摺
動面に磁気ギャップgが形成される。
【0029】このような薄膜磁気ヘッドにおいて、上記
下部磁性膜2や上部磁性膜3を先の磁性膜により形成す
る。
【0030】このとき、図1に示すように、下部磁性膜
2や上部磁性膜3の全体を本発明の磁性膜により構成し
てもよいが、図2に示すように、上述した磁性膜を下部
磁性膜2及び上部磁性膜3の磁気ギャップ近傍部2a、
3aのみに配置することによって、特に狭トラック幅記
録において記録効率を向上させることができる。
【0031】この場合、下部磁性膜2や上部磁性膜3の
主要部分は、Ni−Fe合金或いはCo−Nb−Zr等
の非晶質からなる他の磁性膜で構成する。
【0032】上述の構造の磁気ヘッドにおいては、第1
の磁性膜の体心立方格子の(110)方位成分が磁気ヘ
ッドのトラック幅方向に多く分布していることが好まし
い。
【0033】第1の磁性膜の体心立方格子の(110)
方位成分を磁気ヘッドのトラック幅方向に多く分布させ
ることによって、十分な磁気特性が得られ、狭トラック
磁気ヘッドにおいても効率的な記録が行え、特に1.5
μm以下のトラック幅の記録ヘッドにおいて顕著な効果
が得られる。
【0034】ところで、第1の磁性膜の体心立方格子の
(110)方位成分を磁気ヘッドのトラック幅方向に多
く分布させることは、例えば、磁性膜を連続回転で成膜
するに際して、磁気ヘッドを形成するためのパターンの
トラック幅方向を回転方向に一致させて適当な条件で成
膜すること、磁気ヘッドの基板を傾斜させること、スパ
ッタを行う際のターゲット上に、スパッタされて基板に
入射する原子の方向を規定するコリメーター等を配置す
ること、或いはこれらを組み合わせることによって可能
である。
【0035】また、第1の磁性膜及び第2の磁性膜は、
スパッタリングなどの気相メッキ技術によって製造され
る。スパッタリングは、所望の組成比になるように調整
された合金ターゲットを用いてもよいし、各原子のター
ゲットを個別に用意し、その面積や印加出力等を調整し
て組成をコントロールしてもよい。特に前者の方法を採
用した場合には、膜組成がターゲットの組成によってほ
ぼ一意に決まるので、例えば大量生産するうえで好適で
ある。
【0036】第1の磁性膜と第2の磁性膜とが積層され
てなる積層磁性膜の製造方法は、ターゲットを複数用意
し同時に或いは順番に放電を行いながら、回転する基板
取付テーブルに配置した基板に連続或いは断続的に回転
しながら成膜することによって行われる。
【0037】窒素を含有させる方法としては、雰囲気中
に窒素またはアンモニアガスを導入してスパッタを行う
方法等がある。酸素を含有させる方法としては、雰囲気
中に酸素ガス、または二酸化炭素、水蒸気を導入してス
パッタを行う方法等がある。
【0038】また、本発明に係る磁性膜は、第1の磁性
膜と第2の磁性膜のみの積層膜であってもよいし、パー
マロイ等の磁性金属や、Ag、Cu等の非磁性金属、さ
らには、Si34、SiO2等のセラミック材料等で分
断して積層構造とした多層膜であってもよい。
【0039】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて、実験結果等に基づいて詳細に説明する。
【0040】先ず、種々の組成を有する第1の磁性膜
と、第2の磁性膜を積層して積層磁性膜を作製した。
【0041】各実施例における第1の磁性膜の組成及び
膜厚、第2の磁性層の組成及び膜厚、膜中の窒素量、酸
素量、さらには作製された積層磁性膜の保磁力及び飽和
磁束密度を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】同様に、膜厚や組成等が本願発明の範囲を
外れる比較例についても、第1の磁性膜の組成及び膜
厚、第2の磁性層の組成及び膜厚、膜中の窒素量、酸素
量、さらには作製された積層磁性膜の保磁力及び飽和磁
束密度を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】これらの表を比較すると明らかなように、
本願発明の要件を満たす各実施例の磁性膜は、高飽和磁
束密度を実現しながら、保磁力も非常に小さな値となっ
ている。これに対して、比較例では、飽和磁束密度は高
いものの、保磁力が大きい。
【0046】次に、Fe9812及びNi75Fe15Zr10
なる組成の膜をそれぞれ30nm、10nmの周期でト
ータル膜厚2μm、膜中窒素量が5原子%となるように
積層した磁性膜において、シャッタを用いてターゲット
の直上のみで成膜したした膜(A)、ターゲット上でい
ったん基板テーブルを止めて断続的に回転させながら成
膜した膜(B)、基板テーブルを連続的に回転させなが
ら成膜した膜(C)の3種類の膜を作製し、これらの膜
について、体心立方格子の(110)方位を調べた。図
3は、これらの膜A、B、Cの極点図X線回折図形であ
る。
【0047】また、これらの膜に対して、基板テーブル
回転方向及び回転中心方向に0.1テスラの磁場をかけ
ながら300℃で1時間熱処理を行ったときの磁化曲線
を、図4に示す。図4においては、回転方向と回転中心
方向のそれぞれについて、磁化曲線を示してある。
【0048】これら図面から明らかなように、基板テー
ブルを連続的に回転させながら成膜した膜(C)におい
て、体心立方格子の(110)方位に異方性が付与され
ており(この例では回転方向に多くなるように分布され
ている。)、その結果、図4に示されるように、他の場
合に比べて大きな磁気異方性が付与されている。
【0049】次に、Fe95Hf5膜とNi80Fe155
をそれぞれ20nm、5nmで積層し、膜中窒素量7原
子%を含む磁性膜を用いて薄膜磁気ヘッドを作製した。
【0050】図1に示すように2μmのコアをすべて前
記磁性膜で構成した磁気ヘッドと、図2に示すようにギ
ャップ近傍部(1μm)に上記の磁性膜を用いコアの主
要部分を2μmのCo−Nb−Zr非晶質磁性膜で構成
した薄膜ヘッドのそれぞれについて、記録電流対オーバ
ーライト特性を測定した。結果を図5に示す。
【0051】なお、薄膜磁気ヘッドの加工は、ギャップ
付近をフォーカス・イオン・ビーム加工、それ以外をイ
オン・ミリングによって行った。トラック幅は1.4μ
m、ギャップ長は0.25μmである。コイルの巻数は
30である。また、記録実験は保磁力2200エルステ
ッドのハードディスク媒体を用いて記録波長2μmの記
録を十分に行った後、0.5μmの記録波長で再度記録
を行い、長波長の記録の消し残りを測定した。再生は、
再生トラック幅1.2μmの磁気抵抗効果型磁気ヘッド
を用いた。また、積層磁性膜の成膜は、磁気ヘッドのト
ラック幅を回転方向に配置して連続回転で行った。
【0052】この図5より明らかなように、オーバーラ
イト特性は、後者(磁気ギャップ近傍部にのみ本願発明
の積層磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド)の方が優れてい
る。
【0053】また、作製した磁性膜の体心立方格子層の
(110)方位の分布と磁化曲線とを図6、図7にそれ
ぞれ示す。
【0054】体心立方格子層の(110)方位を均一に
した磁気ヘッドと、トラック幅方向に分布させた磁気ヘ
ッド、さらにはギャップ深さ方向に分布させた磁気ヘッ
ドについて、トラック幅に対する飽和記録電流の値を測
定した。結果を図8に示す。トラック幅1.5μm以下
のトラック幅においては、体心立方格子の(110)方
位をトラック幅方向に分布させた方が小さな記録電流で
十分な記録ができることがわかる。
【0055】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、飽和磁束密度が高く、軟磁気特性や磁気異
方性の制御性に優れた磁性膜を得ることができる。
【0056】また、体心立方格子を基本とする層の(1
10)結晶方位を磁性膜の困難軸方向に容易軸方向より
多く分布させることによって、十分かつ安定した異方性
を付与することができ、この(110)方位が多く分布
される方向を狭トラックヘッドのトラック幅方向に設定
することで、優れた記録特性を有する磁気ヘッドとする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜磁気ヘッドの一構成例を模式的に示す要部
概略断面図である。
【図2】薄膜磁気ヘッドの他の構成例を模式的に示す要
部概略断面図である。
【図3】成膜条件を変えて作製した各磁性膜の体心立方
格子の(110)方位の分布を示す極点図X線回折図形
である。
【図4】成膜条件を変えて作製した各磁性膜の磁化曲線
を示す特性図である。
【図5】ヘッド構造の違いによるオーバーライト特性の
違いを示す特性図である。
【図6】薄膜磁気ヘッドを作製する際に使用した磁性膜
の体心立方格子の(110)方位の分布を示す極点図X
線回折図形である。
【図7】薄膜磁気ヘッドを作製する際に使用した磁性膜
の磁化曲線を示す特性図である。
【図8】体心立方格子の(110)方位の分布方向を変
えた薄膜磁気ヘッドのトラック幅と飽和記録電流の関係
を示す特性図である。
【符号の説明】
2 下部磁性膜、3 上部磁性膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fexy(但し、Mは、Ru、Cr、T
    i、Mo、W、Rh、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、A
    l、Ga、Si、Geの少なくとも1以上を表し、x、
    yは、各元素の組成を原子%で示したものである。)な
    る一般式で表され、各元素の組成範囲が、 85<x≦100 0≦y<15 であり、厚さt1が、10nm≦t1≦200nmである
    第1の磁性膜と、 NiqFeuCovw(但し、Lは、Y、Hf、Zr、T
    a、Nbの少なくとも1以上を表し、q、u、v、w
    は、各元素の組成を原子%で示したものである。)なる
    一般式で表され、各元素の組成範囲が、 65≦q≦85 0≦u≦30 0≦v≦10 2≦w≦15 または、 0≦q≦10 0≦u≦10 70≦v≦95 2≦w≦15 であり、厚さt2が、1nm≦t2≦50nmである第2
    の磁性膜と、 を複数積層してなる積層磁性膜よりなり、 この積層磁性膜に含まれる窒素含有量が2原子%≦15
    原子%以下であり、酸素含有量が3原子%以下であるこ
    とを特徴とする磁性膜。
  2. 【請求項2】 第1の磁性膜が体心立方格子を基本とす
    る結晶構造を有するとともに、第2の磁性膜が面心立方
    格子を基本とする結晶構造を有し、 第1の磁性膜の体心立方格子の(110)方位成分が、
    磁性膜の困難軸方向に容易軸方向より多く分布している
    ことを特徴とする請求項1記載の磁性膜。
  3. 【請求項3】 Fexy(但し、Mは、Ru、Cr、T
    i、Mo、W、Rh、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、A
    l、Ga、Si、Geの少なくとも1以上を表し、x、
    yは、各元素の組成を原子%で示したものである。)な
    る一般式で表され、各元素の組成範囲が、 85<x≦100 0≦y<15 であり、厚さt1が、10nm≦t1≦200nmである
    第1の磁性膜と、 NiqFeuCovw(但し、Lは、Y、Hf、Zr、T
    a、Nbの少なくとも1以上を表し、q、u、v、w
    は、各元素の組成を原子%で示したものである。)なる
    一般式で表され、各元素の組成範囲が、 65≦q≦85 0≦u≦30 0≦v≦10 2≦w≦15 または、 0≦q≦10 0≦u≦10 70≦v≦95 2≦w≦15 であり、厚さt2が、1nm≦t2≦50nmである第2
    の磁性膜と、 を複数積層してなる積層磁性膜よりなり、 この積層磁性膜に含まれる窒素含有量が2原子%≦15
    原子%以下であり、酸素含有量が3原子%以下である磁
    性膜が、少なくとも磁気ギャップを挟んで対向配置され
    てなることを特徴とする磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 磁気ギャップ近傍のみが上記積層磁性膜
    よりなり、他の部分が他の軟磁性膜よりなることを特徴
    とする請求項3記載の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 第1の磁性膜が体心立方格子を基本とす
    る結晶構造をもち、第2の磁性膜が面心立方格子を基本
    とする結晶構造をもち、第1の磁性膜の体心立方格子の
    (110)方位成分が磁気ヘッドのトラック幅方向に多
    く分布するように積層磁性膜が配置されていることを特
    徴とする請求項3記載の磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 記録トラック幅が1.5μm以下である
    ことを特徴とする請求項5記載の磁気ヘッド。
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