JPH09280277A - 防錆カバーの製造方法及びこれを用いた防錆カバー - Google Patents

防錆カバーの製造方法及びこれを用いた防錆カバー

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JPH09280277A
JPH09280277A JP9153096A JP9153096A JPH09280277A JP H09280277 A JPH09280277 A JP H09280277A JP 9153096 A JP9153096 A JP 9153096A JP 9153096 A JP9153096 A JP 9153096A JP H09280277 A JPH09280277 A JP H09280277A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組付時には充分な強度を確保することがで
き、しかも不要時には簡単に取り外すことができるよう
にする。 【解決手段】 従来のDFM製法に替えてWFM製法に
よって防錆カバーを製造することとした。即ち、紙繊維
62を主材とし発水剤68が所定量添加された第1混合
水溶液74中に多孔質の防錆カバー型76のXの範囲を
浸漬させて吸引する。これにより、Xの範囲において非
マスキング部分の表面に第1紙繊維層104が形成され
る。次に、微量の発水剤68が添加された第2混合水溶
液132中に防錆カバー型76の全体を浸漬させて吸引
する。これにより、Yの範囲に劣化し易い第2紙繊維層
が形成される。この結果、吸引時間によって板厚を調整
することで組付時の要求強度を確保することができ、し
かも紙繊維62による結合を基調としかつ劣化し易い部
分を備えているため破断し易く取外し易い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防錆カバーの製造
方法及びこれを用いた防錆カバーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
は、組立完了後から納車までの間、保管等のために長期
間露天下に晒されることがある。この状態で放置した場
合、ディスクブレーキ装置の一要素を構成するディスク
ロータ等に錆が発生することがあるため、従来から防錆
カバーを使用している。なお、防錆カバーには、ディス
クロータの防錆性能確保(第1の要求性能〔基本性
能〕)以外に、製品として出荷されてから組立工場に納
品されるまでの輸送の間並びに組立工場でのライン組付
時に変形しない(開かない)こと(第2の要求性能)、
車両への組付後も容易には外れないこと(第3の要求性
能)、不要時に簡単に取り外せること(第4の要求性
能)といった性能も要求される。
【0003】実開昭57−80734号公報にはこの種
の防錆カバーが開示されており、以下この公報に開示さ
れた構成について簡単に説明する。
【0004】図15に示されるように、防錆カバー15
0は略環状に形成されており、一般面を構成するハット
部152と、このハット部152の一部を切り欠いて形
成した狭幅のブリッジ部154と、ハット部152とブ
リッジ部154とを接続する一対のフラットな当接部1
56と、を備えている。なお、ハット部152の周方向
所定位置には、組付用の一対の係合突起158が形成さ
れている。また、ハット部152におけるブリッジ部1
54と反対側には、防錆カバー150の取外し時に把手
として利用される脚部160が一体に形成されている。
【0005】さらに、上述したブリッジ部154の中央
部には、径方向外側へ突出する回り止め部162が一体
に形成されている。この回り止め部162の軸心側には
第1スリット164が形成されており、又回り止め部1
62と一方の当接部156との間には第2スリット16
6が形成されている。
【0006】上記構成によれば、防錆カバー150は、
ディスクブレーキ装置の一要素を構成する図示しないデ
ィスクロータとタイヤを支持するディスクホイールのデ
ィスク部との間に介在される。これにより、第1の要求
性能であるディスクロータの防錆性能確保は満たされ
る。
【0007】また、防錆カバー150は、回り止め部1
62がキャリパの一対の爪部間に配置されることでキャ
リパに対する回り止めがなされ、かつ、この状態で一対
の当接部156にキャリパのトルクメンバの端部がそれ
ぞれ当接されると共に係合突起158がディスクロータ
の内側に配置された図示しないダストカバーの外周部と
係合されることで弾性的な組付状態となる。これによ
り、車両への組付後も容易には外れないという第3の要
求性能が満たされる。
【0008】ここで、第2の要求性能及び第4の要求性
能に対する達成度について考察すると、以下の点で問題
が残る。
【0009】すなわち、上述した防錆カバー150は、
木材のチップを一旦繊維化して板状に成形したベースと
なるボードを製作した後、型で打ち抜き、その後プレス
成形を行う所謂DFM(ドライ・ファイバー・モール
ド)製法によって製作されることが多い。この場合、木
材繊維という結合強度が比較的高い材料から防錆カバー
150が製作されることになるため、製品として出荷さ
れてから組立工場に納品されるまでの輸送の間に変形し
ない(開かない)という第2の要求性能の一部は満たさ
れる。しかしながら、結合強度が比較的高いことを考慮
して第1スリット164及び第2スリット166を設け
ているため、組立工場でのライン組付時に変形し易いと
いう問題がある。
【0010】また、上記構成によれば、把手である脚部
160が矢印A方向へ引っ張られることにより、第2ス
リット166から破断して防錆カバー150が取り外さ
れる。なお、この際、上記構成では、矢印A方向への引
張力によってブリッジ部154に作用する矢印B方向へ
の引張力により、回り止め部162がキャリパの爪部に
当接して破断荷重が吸収されるのを避けるべく、前述し
た第1スリット164が形成されている。すなわち、こ
の第1スリット164によって回り止め部162が結果
的には湾曲方向が反転するように弾性変形することで、
第2スリット166に破断荷重を集中させてこれを破断
させるようになっている。しかしながら、前述した如
く、結合強度が高いことから、第2スリット166での
破断強度も高くなり、不要時に簡単に取り外せるという
第4の性能に対しては未だ不充分な感がある。
【0011】本発明は上記事実を考慮し、組付時には充
分な強度を確保することができ、しかも不要時には簡単
に取り外すことができる防錆カバーの製造方法及びこれ
を用いた防錆カバーを得ることが目的である。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明に
係る防錆カバーの製造方法は、紙材の繊維を粉砕する第
1の工程と、粉砕された繊維を水に溶かすと共に耐劣化
性についての性質が互いに異なる第1溶液並びに第2溶
液を作る第2の工程と、第1溶液中に多孔質の型を浸漬
させ、型内部から所定の吸引力で吸引することにより防
錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層を形成する第3
の工程と、第2溶液中に第1紙繊維層形成後の型を浸漬
させ、型内部から所定の吸引力で吸引することにより防
錆カバーの他の一部を構成する第2紙繊維層を形成する
第4の工程と、を有する、ことを特徴としている。
【0013】請求項2記載の本発明に係る防錆カバーの
製造方法は、紙材の繊維を粉砕して長繊維及び短繊維を
作る第1の工程と、粉砕された長繊維を水に溶かした第
1溶液並びに粉砕された短繊維を水に溶かした第2溶液
を作る第2の工程と、第1溶液中に多孔質の型を浸漬さ
せ、型内部から所定の吸引力で吸引することにより当該
型の表面に防錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層を
形成する第3の工程と、第2溶液中に第1紙繊維層形成
後の型を浸漬させ、型内部から所定の吸引力で吸引する
ことにより当該型の第1紙繊維層の表面に防錆カバーの
他の一部を構成する第2紙繊維層を形成する第4の工程
と、を有する、ことを特徴としている。
【0014】請求項3記載の本発明に係る防錆カバーの
製造方法は、紙材の繊維を粉砕する第1の工程と、粉砕
された繊維を水に溶かすと共に劣化防止材料を所定量添
加した第1溶液並びに粉砕された繊維を水に溶かすと共
に前記所定量よりも少ない量の劣化防止材料を添加し或
いは劣化防止材料を無添加とした第2溶液を作る第2の
工程と、第1溶液中に多孔質の型の一部を浸漬させ、型
内部から所定の吸引力で吸引することにより当該型の一
部の表面に防錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層を
形成する第3の工程と、第2溶液中に型の他の一部又は
全体を浸漬させ、型内部から所定の吸引力で吸引するこ
とにより当該型の他の一部の表面に防錆カバーの他の一
部を構成する第2紙繊維層を形成する第4の工程と、を
有する、ことを特徴としている。
【0015】請求項4記載の本発明に係る防錆カバーの
製造方法は、請求項3に記載の発明において、前記劣化
防止材料として撥水剤を用いた、ことを特徴としてい
る。
【0016】請求項5記載の本発明に係る防錆カバーの
製造方法は、請求項3又は請求項4に記載の発明におい
て、前記第2紙繊維層を、防錆カバーの取外し時にディ
スクブレーキ装置の構成部品との干渉範囲に設定した、
ことを特徴としている。
【0017】請求項6記載の本発明に係る防錆カバー
は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の製造方法
によって製造した、ことを特徴としている。
【0018】請求項1記載の本発明によれば、第1の工
程によって紙材の繊維が粉砕される。次いで、第2の工
程によって、粉砕された繊維が水に溶かされると共に耐
劣化性についての性質が互いに異なる第1溶液並びに第
2溶液が作られる。次いで、第3の工程によって、第1
溶液中に多孔質の型が浸漬され、型内部から所定の吸引
力で吸引することにより、防錆カバーの一部を構成する
第1紙繊維層が形成される。その後、第4の工程によっ
て、第2溶液中に第1紙繊維層形成後の型が浸漬され、
型内部から所定の吸引力で吸引することにより、防錆カ
バーの他の一部を構成する第2紙繊維層が形成される。
上記工程を経て得られた第1紙繊維層及び第2紙繊維層
によって防錆カバーが構成される。
【0019】このように本発明によれば、第3の工程及
び第4の工程における吸引時間を調整することで、任意
の板厚の防錆カバーが得られる。すなわち、組付時の要
求強度に対しては、防錆カバーを構成する第1紙繊維層
及び第2紙繊維層の板厚をコントロールすることで確保
することが可能となる。
【0020】また、従来のDFM製法による場合、結合
強度が比較的高い木材繊維による結合を基調としている
ため、組付時の要求強度と取外し時に破断し易い破断強
度との調和点が見出しにくく、必要以上に強度が高くな
りがちである。その結果、スリットを設ける必要が生じ
てこれが組付時の変形の誘因になると共に、不要時に防
錆カバーを取り外す際に破断強度が高すぎて防錆カバー
が取外しにくくなる。これに対し、本発明の製法による
場合、結合強度が比較的低い紙繊維による結合を基調と
しているため、組付時の要求強度と取外し時に破断し易
い破断強度との調和点を板厚をコントロールすることで
容易に見出すことができ、更にスリット等を設ける必要
もなくなる。
【0021】加えて、本発明では、第1溶液と第2溶液
は耐劣化性についての性質が異なるため、これらの溶液
から形成された第1紙繊維層及び第2紙繊維層のいずれ
か一方は劣化し易く、いずれか他方は劣化しにくくな
る。そして、この劣化性の差異を利用することで、不要
時に防錆カバーが更に取外し易くなる。
【0022】総じていえば、本発明では、組付時の強度
確保については防錆カバーの板厚をコントロールするこ
とで対処し、取外し性については結合強度が比較的低い
紙繊維を利用したこと並びに劣化し易い部分と劣化しに
くい部分とを設けたことの双方で対処している。
【0023】請求項2記載の本発明によれば、第1の工
程によって紙材の繊維が粉砕されて長繊維及び短繊維が
作られる。次いで、第2の工程によって、粉砕された長
繊維が水に溶かされた第1溶液並びに粉砕された短繊維
が水に溶かされた第2溶液が作られる。次いで、第3の
工程によって、第1溶液中に多孔質の型が浸漬され、型
内部から所定の吸引力で吸引することにより、当該型の
表面に防錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層が形成
される。その後、第4の工程によって、第2溶液中に第
1紙繊維層形成後の型が浸漬され、型内部から所定の吸
引力で吸引することにより、当該型の第1紙繊維層の表
面に防錆カバーの他の一部を構成する第2紙繊維層が形
成される。上記工程を経て得られた第1紙繊維層及び第
2紙繊維層によって防錆カバーが構成される。
【0024】このことから、本発明においても、請求項
1記載の発明と同様に、組付時の強度確保については防
錆カバーの板厚をコントロールすることで対処すること
ができ、取外し性については結合強度が比較的低い紙繊
維を利用したこと並びに劣化し易い部分と劣化しにくい
部分とを設けたことの双方で対処することができる。
【0025】なお、劣化し易い部分及び劣化しにくい部
分について補足すると、本発明では、第1溶液中に長繊
維を溶かし、この第1溶液から第1紙繊維層を形成して
いることから、第1紙繊維層の繊維間の結合面積は比較
的小さく、劣化し易くなる。逆に、第2溶液中に短繊維
を溶かし、この第2溶液から第2紙繊維層を形成してい
ることから、第2紙繊維雄の繊維間の結合面積は比較的
大きく、劣化しにくくなる。
【0026】請求項3記載の本発明によれば、第1の工
程によって紙材の繊維が粉砕される。次いで、第2の工
程によって、粉砕された長繊維が水に溶かされると共に
劣化防止材料を所定量添加した第1溶液並びに粉砕され
た短繊維が水に溶かされると共に前記所定量よりも少な
い量の劣化防止材料を添加し或いは劣化防止材料を無添
加とした第2溶液が作られる。次いで、第3の工程によ
って、第1溶液中に多孔質の型の一部が浸漬され、型内
部から所定の吸引力で吸引することにより、当該型の一
部の表面に防錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層が
形成される。その後、第4の工程によって、第2溶液中
に第1紙繊維層形成後の型の他の一部又は全体が浸漬さ
れ、型内部から所定の吸引力で吸引することにより、当
該型の他の一部の表面に防錆カバーの他の一部を構成す
る第2紙繊維層が形成される。上記工程を経て得られた
第1紙繊維層及び第2紙繊維層によって防錆カバーが構
成される。
【0027】このことから、本発明においても、請求項
1記載の発明と同様に、組付時の強度確保については防
錆カバーの板厚をコントロールすることで対処すること
ができ、取外し性については結合強度が比較的低い紙繊
維を利用したこと並びに劣化し易い部分と劣化しにくい
部分とを設けたことの双方で対処することができる。
【0028】なお、劣化し易い部分及び劣化しにくい部
分について補足すると、本発明では、第1溶液中には所
定量の劣化防止材料が添加されていることから、この第
1溶液から形成される第1紙繊維層は劣化しにくくな
る。逆に、第2溶液中には前記所定量よりも少ない量の
劣化防止材料が添加され或いは劣化防止材料が無添加と
されていることから、この第2溶液から形成される第2
紙繊維層は劣化し易くなる。
【0029】請求項4記載の本発明によれば、請求項3
に記載の発明において、劣化防止材料として撥水剤を用
いたため、撥水剤の添加量を変えれば、第1紙繊維層及
び第2紙繊維層の各耐劣化性も変わる。
【0030】請求項5記載の本発明によれば、請求項3
又は請求項4に記載の発明において、防錆カバーの取外
し時にディスクブレーキ装置の構成部品との干渉範囲に
劣化し易い第2紙繊維層を設定したので、防錆カバーの
取外し時に当該防錆カバーとディスクブレーキ装置の構
成部品とが干渉した場合に容易に破れる。
【0031】請求項6記載の本発明によれば、防錆カバ
ーが請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の製造方法
によって製造されているため、組付時の要求強度の確保
と取外し時の取外し性の向上との両立が達成された防錆
カバーが得られる。特に、取外し時の取外し性について
は、劣化し易い部分と劣化しにくい部分とを設けること
で、更なる向上が図られている。
【0032】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕以下、図1〜図12を用いて、第1実
施形態について説明する。なお、この第1実施形態が、
請求項1及び請求項3乃至請求項6記載の本発明の一実
施形態に相当する。
【0033】図10には、車両のホイール付近の縦断面
構造が示されている。この図に示されるように、上部に
ショックアブソーバの下端部がブラケット10を介して
固定され、下部にロアアーム12の外端部がロアボール
ジョイント14を介して連結されたステアリングナック
ル16の軸心部には、アンギュラボールベアリング18
を介してアクスルハブ20のボス部20Aが軸支されて
いる。アクスルハブ20のボス部20Aはアクスル22
の小径軸22Aにスプライン嵌合されており、この状態
でナット24が螺合されることによりアクスルハブ20
がアクスル22に固定されている。
【0034】また、アクスルハブ20のフランジ部20
Bの外側には、ディスクロータ26が配置されている。
ディスクロータ26は、アクスルハブ20のフランジ部
20Bに当接状態で配置される有底円筒状の取付部26
Aと、この取付部26Aの外周部から半径方向外側へ延
出されたフランジ部26Bと、から成り、ディスクブレ
ーキ装置28の一部を構成する。ディスクブレーキ装置
28の他の一部を構成する浮動型のキャリパ30はステ
アリングナックル16に取り付けられており、キャリパ
30内に配置されたインナパッド32及びアウタパッド
34がディスクロータ26のフランジ部26Bの外周部
に対向して配置されている。
【0035】また、ディスクロータ26の外側には、デ
ィスクホイール36が配置されている。ディスクホイー
ル36は、ディスクロータ26の取付部26Aに当接状
態で配置されるディスク部36Aと、このディスク部3
6Aから一体的に形成されタイヤを支持する円筒状のリ
ム部36Bと、から成る。このうち、ディスク部36A
がディスクロータ26の取付部26Aと共にハブボルト
38及びハブナット40によって共締めされることによ
り、ディスクロータ26及びディスクホイール36がア
クスルハブ20のフランジ部20Bに固定されている。
【0036】上述したディスクロータ26のフランジ部
26Bの内側にはその内側面を覆うようにダストカバー
42が配設されており、又ディスクロータ26のフラン
ジ部26Bの外側(ディスクロータ26のフランジ部2
6Bとディスクホイール36のディスク部36Aとの
間)にはその外側面を覆うように防錆カバー44が配設
されている。なお、ダストカバー42はディスクロータ
26に塵埃等が付着するのを防止するためのものであ
り、又防錆カバー44はディスクロータ26が長期間の
保管時等に錆びるのを防止するためのものである。
【0037】図11に示されるように、防錆カバー44
は、一般面を構成するハット状のカバー本体46と、こ
のカバー本体46の一部を切り欠いて形成した狭幅のブ
リッジ部48と、を含んで構成されている。このうち、
ブリッジ部48の切欠きには、前述したキャリパ30が
配置されている。別言すれば、キャリパ30との干渉を
避けるべく、切欠きを設けてブリッジ部48としてい
る。また、カバー本体46におけるブリッジ部48と反
対側には、取外し用の把手50(図9参照)が一体に形
成されている。
【0038】さらに、図11及び図12(A)に示され
るように、カバー本体46の外周部所定位置には、弾性
変形可能な複数の係合突起52が一体に形成されてい
る。これらの係合突起52は、ディスクホイール36の
ディスク部36Aに周方向に所定の間隔で形成された開
口54内へ弾性的に係合されるようになっている。ま
た、図10及び図12(B)に示されるように、カバー
本体46の外周縁の所定部位には、鉤状の係合鉤部56
が一体に形成されている。この係合鉤部56には、前述
したダストカバー42の外周縁42Aが弾性的に係合さ
れるようになっている。そして、これらの係合突起52
及び係合鉤部56によって防錆カバー44は、ディスク
ホイール36とダストカバー42とに取り付けられてい
る。なお、係合突起52及び係合鉤部56といった構成
を用いる以外でも、防錆カバー44を確実に組付けるこ
とができる係合手段であればすべて適用することができ
る。
【0039】次に、上述した防錆カバー44の製造方法
について説明し、この説明を通して本実施形態の作用並
びに効果を説明する。なお、以下に説明する製法は、W
FM(ウェット・ファイバー・モールド)製法と呼ばれ
るものである。
【0040】まず、原料用の混合水溶液の製造工程が行
われる。具体的には、図1に示されるように、廃品回収
により回収された紙材としての古新聞58やダンボール
60が、図示しないミキサーによって粉砕される。これ
により、古新聞58やダンボール60は繊維化されて紙
繊維62となる。なお、以上が、請求項1及び請求項3
記載の「第1の工程」に相当する。
【0041】次に、この紙繊維62が水槽64内へ投入
されて、水中に紙繊維62を溶け込ませた水溶液66が
作られる。次に、図2に示される如く、水槽64内へ劣
化防止材料としての撥水剤68、及びバージンパルプ7
0が投入され、攪拌機72によって攪拌される。なお、
撥水剤68を投入するのは、防錆カバー44が製品化さ
れた後に雨水や湿気等を吸水して必要以上に劣化するの
を防止するためである。また、撥水剤68としては、本
実施形態では環境に対する配慮からワックス(蝋)を使
用しているが、樹脂を使用することも可能である。ま
た、バージンパルプ70を投入するのは、製品化された
防錆カバー44の強度をある程度コントロールするため
である。これにより、図3に示されるように、原料とな
る請求項1及び請求項3の第1溶液としての第1混合水
溶液74が完成する。
【0042】また、第1混合水溶液74の製造と並行し
て、後述する図5(B)に示される請求項1及び請求項
3の第2溶液としての第2混合水溶液132が製造され
る。具体的には、別の水槽130に前述した水溶液66
に撥水剤68及びバージンパルプ70を添加する際に、
撥水剤68の添加量を微量とすることで第2混合水溶液
132が作られる。ちなみに、本実施形態では、第2混
合水溶液132の撥水剤濃度が、第1混合水溶液74の
撥水剤濃度の1/10程度になるように設定している。
なお、以上が、請求項1及び請求項3記載の「第2の工
程」に相当する。
【0043】次に、防錆カバー型への吸着工程が行われ
る。図4に示されるように、防錆カバー型76は、方形
板状の基台78と、この基台78の上端面に立設された
円柱形状の型本体80と、によって構成されており、セ
ラミック製とされている。なお、防錆カバー型76は、
木型から転写することにより製作される。基台78の四
隅には、ボルト挿通孔82が形成されている。また、型
本体80の上端面及び周面には、多数の吸引孔84が形
成されている(なお、本図では、吸引孔84を点描で示
している)。さらに、型本体80の上端面所定範囲及び
周面所定範囲には、紙繊維62を吸着させないためのマ
スキング86が施されている。上述した防錆カバー型7
6を用いて、以下の如くして吸着工程が行われる。
【0044】図5(A)に示されるように、まず、基台
78のボルト挿通孔82内へ固定ボルト88を挿通させ
てワーク90に螺合させることにより、防錆カバー型7
6がワーク90に取り付けられる。なお、ワーク90に
は吸引手段ともいえるバキュームポンプ92がホース9
4を介して接続されており、コントロール弁96の開度
を調節することにより吸引速度等を調整することができ
るようになっている。そして、このワーク90を垂直に
立てた状態で、水槽64内へ所定量挿入して防錆カバー
型76を第1混合水溶液74中に浸漬させる。このと
き、防錆カバー型76の型本体80がXで示される範囲
のみ浸漬されるように、ワーク90が第1混合水溶液7
4中に挿入される。次いで、バキュームポンプ92を駆
動させて第1混合水溶液74ごと吸引する。これによ
り、第1混合水溶液74はXの範囲においてマスキング
86が施された以外の部分の吸引孔84から吸引され
て、マスキング86が施された以外の部分の表面に第1
紙繊維層104(図11参照)が形成される。このと
き、バキュームポンプ92による吸引時間を調整するこ
とで、第1紙繊維層104の板厚を任意にコントロール
することができる。なお、以上が、請求項1及び請求項
3記載の「第3の工程」に相当する。
【0045】次に、ワーク90を水槽64から引き上げ
た後、図5(B)に示されるように、予め別の水槽13
0内に用意された第2混合水溶液132中にワーク90
を浸漬させる。なお、この工程では、防錆カバー型76
の型本体80の全体が第2混合水溶液132中に浸漬さ
れるようにワーク90が挿入される。次いで、前述した
場合と同様にして、バキュームポンプ92を駆動させて
第2混合水溶液132ごと吸引する。これにより、第2
混合水溶液132は、既に第1紙繊維層104が形成さ
れた範囲(この範囲では吸引孔84が既に閉塞されてい
る)以外の範囲(即ち、Yの範囲)においてマスキング
86が施された以外の部分の表面に第2紙繊維層134
(図11参照〔網掛け表示部分〕)が形成される。この
とき、バキュームポンプ92による吸引時間を第3の工
程の場合と同一時間に設定することにより、第2紙繊維
層134の板厚は第1紙繊維層104の板厚と同一にな
る。これにより、板厚が均一な第1紙繊維層104及び
第2紙繊維層134から成る紙繊維層136(図6
(A)参照)が形成される。以上が、請求項1及び請求
項3記載の「第4の工程」に相当する。
【0046】次に、紙繊維層の水分を除去するべく、乾
燥工程が行われる。まず、図6(A)に示される如く、
ワーク90を水槽130から離脱させると共に、防錆カ
バー型76が上方を向くようワーク90をセットする。
次いで、図6(B)に示される如く、別のバキュームポ
ンプ106が連結された吸引型108を防錆カバー型7
6に被嵌させて吸引する。これにより、図6(C)に示
される如く、防錆カバー44を構成する紙繊維層136
が型本体80から離脱して吸引型108内に吸着され
る。
【0047】次いで、図7に示される如く、バキューム
ポンプ106を逆転駆動させる等により紙繊維層136
を加圧する。これにより、紙繊維層136は吸引型10
8から離脱してベルトコンベア110上に落下する。次
いで、ベルトコンベア110によって紙繊維層136が
乾燥炉112に搬送されてきたら、ベルトコンベア11
0を一旦停止させて紙繊維層136を乾燥させる。紙繊
維層136が乾燥したら、ベルトコンベア110を再び
駆動させて台車114に積層させていく。なお、乾燥炉
112の長手方向寸法や乾燥温度等によってはベルトコ
ンベア110を停止させる必要はない。
【0048】次に、製品精度を確保するべく、最終プレ
ス工程が行われる。まず、図8に示されるように、下型
116の凹部118内に一方の紙繊維層136(本図で
は図示省略)をセットすると共に、上型120の凸部1
22に他方の紙繊維層136を被嵌させる。なお、この
とき、凹部118の内周面及び凸部122の外周面に離
型剤(油)が塗布される。次いで、上型120を下型1
16にプレスして、双方の紙繊維層136を加圧及び加
熱成形しながら形状を整える。これにより、図9に示さ
れる如く、紙繊維62を主材料とした防錆カバー44の
完成品が得られる。
【0049】このように本実施形態では、従来のDFM
製法に替えてWFM製法によって防錆カバー44を製造
することとしたので、以下の効果が得られる。
【0050】第一に、第3の工程及び第4の工程におけ
るバキュームポンプ92による吸引時間を調整すること
で、任意の板厚の防錆カバー44を得ることができる。
すなわち、防錆カバー44のディスクホイール36等へ
の組付時の要求強度に対しては、紙繊維層136を構成
する第1紙繊維層104及び第2紙繊維層134の板厚
をコントロールすることで容易に確保することができ
る。なお、このことから、当然に、製品として出荷され
てから組立工場に納品されるまでの輸送の間に要求され
る強度に対しても充分な強度が確保される。この結果、
製品として出荷されてから組立工場に納品されるまでの
輸送の間並びに組立工場でのライン組付時に変形しない
(開かない)こと(第2の要求性能)を満足する。
【0051】第二に、本実施形態によれば、結合強度が
比較的低い紙繊維62による結合を基調とするWFM製
法を採用したので、組付時の要求強度と取外し時に破断
し易い破断強度との調和点を板厚をコントロールするこ
とで容易に見出すことができる。すなわち、本実施形態
によれば、防錆カバー44が紙繊維層136によって構
成されているため、不要時に防錆カバー44を取り外す
場合には、ディスクホイール36の外側から手を入れて
把手50を持って引っ張れば容易に破断してこれを取り
外すことができる。この結果、不要時に簡単に取り外せ
ること(第4の要求性能)も満足する。
【0052】特に、本実施形態では、最初に、撥水剤6
8が比較的多く添加された第1混合水溶液74中に防錆
カバー型76のXの範囲を浸漬させて当該Xの範囲に第
1紙繊維層104を形成し、続いて、微量の撥水剤68
が添加された第2混合水溶液132中に防錆カバー型7
6の全体を浸漬させることでYの範囲に第2紙繊維層1
34を形成する方法を採ったので、第2紙繊維層134
を第1紙繊維層104よりも劣化し易くすることができ
る。つまり、第2紙繊維層134の方は撥水剤68の含
有量が少ないため、雨水や湿気等を吸収し易く、それだ
け劣化し易くなる。従って、不要時に防錆カバー44を
取り外す際には、把手50を持って引っ張れば極めて容
易に第2紙繊維層134が破断して防錆カバー44を取
り外すことができる。よって、本実施形態では、防錆カ
バー44の取外し性をより一層向上させることができ
る。
【0053】総じていえば、本実施形態によれば、組付
時の強度確保については防錆カバー44を構成する第1
紙繊維層104及び第2紙繊維層134の板厚をコント
ロールすることで対処し、取外し性については結合強度
が比較的低い紙繊維62を利用したこと、並びに劣化し
易い部分と劣化しにくい部分とを設けたことの双方で対
処し、第2の要求性能確保と第4の要求性能確保との両
立を図ることができる。
【0054】また、本実施形態によれば、撥水剤68の
添加量を調整することにより、第1紙繊維層104及び
第2紙繊維層134の耐劣化性を容易に調整することが
できる。
【0055】さらに、図11からも判るように、防錆カ
バー44の取外し時には、防錆カバー44の特定部分
(Yで示される範囲の部分)がキャリパ30やディスク
ロータ26と干渉することが多いが、本実施形態ではこ
の部分が劣化し易くなっているため、キャリパ30やデ
ィスクロータ26と干渉しても容易に前記特定部分が破
れる。従って、防錆カバー44の取外し性をより一層向
上させることができる。
【0056】なお、防錆カバー44は、前述した係合突
起52をディスクホイール36の開口54へ弾性的に係
合させると共に係合鉤部56にダストカバー42の外周
縁46Aを弾性的に係合させることによりディスクロー
タ26の外側に組付けられ、これによりディスクロータ
26の防錆性能確保(第1の要求性能〔基本性能〕)並
びに車両への組付後も容易には外れないこと(第3の要
求性能)をも満足することになる。
【0057】以上説明した本実施形態では、第4の工程
において使用される第2混合水溶液132中に微量の撥
水剤68を添加する方法を採ったが、これに限らず、撥
水剤68(即ち、劣化防止材料)を全く添加しなくても
よい。
【0058】また、本実施形態では、第4の工程におい
て防錆カバー型76の型本体80の全体を第2混合水溶
液132中に浸漬させたが、これに限らず、第3の工程
後にワーク90を上下反転させる等して型本体80のY
の範囲のみを第2混合水溶液132中に浸漬させるよう
にしてもよい。 〔第2実施形態〕以下、主として図13及び図14を用
いて、第2実施形態について説明する。なお、この第2
実施形態が、請求項1及び請求項2並びに請求項6記載
の本発明の一実施形態に相当する。
【0059】図13に示されるように、本実施形態で
は、繊維長を変えた二種類の紙繊維を用いている点に特
徴がある。すなわち、一方の水槽200内には、繊維長
が長い長繊維202が溶け込んだ第1水溶液204が貯
留されている。これに対し、他方の水槽206内には、
繊維長が短い短繊維208が溶け込んだ第2水溶液21
0が貯留されている。そして、これら二種類の第1水溶
液204及び第2水溶液210を用いて、以下の如く防
錆カバー212が製造される。
【0060】まず、予め、前述した第1実施形態の図1
に示される如くして、古新聞58やダンボール60等の
紙材がミキサーによって粉砕され紙繊維が形成される。
但し、ここでは、長繊維202から成る紙繊維と、短繊
維208から成る紙繊維とが別々に作られる。なお、以
上が、請求項1及び請求項2記載の「第1の工程」に相
当する。
【0061】次に、前述した第1実施形態の図2に示さ
れる如くして、一方の水槽200内へ長繊維202から
成る紙繊維が投入されて、請求項1及び請求項2記載の
第1溶液としての第1水溶液204が作られる。また、
これと並行して、他方の水槽200内へ短繊維208か
ら成る紙繊維が投入されて、請求項1及び請求項2記載
の第2溶液としての第2水溶液210が作られる。な
お、以上が、請求項1及び請求項2記載の「第2の工
程」に相当する。
【0062】次に、一方の水槽200の直上に防錆カバ
ー型214を位置させる。なお、防錆カバー型214
は、レール216に沿ってワーク218がスライドする
ことにより水平移動可能に構成されており、又油圧によ
って伸縮ロッド220を伸縮させることにより上下動可
能に構成されている。また、防錆カバー型214には、
バキュームポンプ222がホース224を介して連結さ
れている。次いで、伸縮ロッド220を所定長さ伸ばす
ことにより、防錆カバー型214の型本体226を第1
水溶液204中に浸漬させる。次いで、その状態で、バ
キュームポンプ222を駆動させて第1水溶液204ご
と吸引する。これにより、防錆カバー型214の型本体
226の表面に長繊維202から成る第1紙繊維層22
8が形成される。なお、以上が、請求項1及び請求項2
記載の「第3の工程」に相当する。
【0063】次に、伸縮ロッド220を初期状態まで縮
ませると共にワーク218をレール216に沿ってスラ
イドさせて他方の水槽206の直上まで移動させる。次
いで、再び伸縮ロッド220を所定長さ伸ばすことによ
り、防錆カバー型214の型本体226を第2水溶液2
10中に浸漬させる。次いで、その状態で、バキューム
ポンプ222を駆動させて第2水溶液210ごと吸引す
る。これにより、既に形成された第1紙繊維層228の
表面に、短繊維208から成る第2紙繊維層230が形
成される。なお、以上が、請求項1及び請求項2記載の
「第4の工程」に相当する。
【0064】その後、前述した第1実施形態の場合と同
様にして、第1紙繊維層228及び第2紙繊維層230
から成る紙繊維層232を型本体226から離脱させて
ベルトコンベヤ234上に落下させ、乾燥工程、最終プ
レス工程が行われる。この結果、図14に示される如
く、第1紙繊維層228及び第2紙繊維層230から成
る最終製品としての二層構造の防錆カバー212が得ら
れる。
【0065】ここで、第1紙繊維層228及び第2紙繊
維層230の性質について補足しておくと、長繊維20
2を一次吸着することにより得られる第1紙繊維層22
8にあっては、繊維間の結合面積が全体としては小さい
ことから、劣化し易く剛性も低い。これに対し、短繊維
208を二次吸着することにより得られる第2紙繊維層
230にあっては、繊維間の結合面積が全体としては大
きいことから、劣化しにくく剛性も高い。但し、短繊維
208も紙繊維には違いないことから、木材繊維を基調
とするDFM製法と比較すれば結合強度は低いといえ
る。また、短繊維208は長繊維202に比べ繊維長が
短いことから、剛性は高いものの引張強度は低く、その
意味では破れ易く取外しには好都合な性質を有してい
る。
【0066】このように本実施形態においても、従来の
DFM製法に替えてWFM製法によって防錆カバー21
2を製造することとしたので、前述した第1実施形態と
同様の効果が得られる。
【0067】簡単に説明すると、第3の工程及び第4の
工程におけるバキュームポンプ222による吸引時間を
調整することで第1紙繊維層228及び第2紙繊維層2
30の板厚を任意にコントロールすることができる。こ
れにより、防錆カバー212のディスクホイール36等
への組付時の要求強度を確保することができる。また、
結合強度が比較的低い紙繊維による結合を基調とするW
FM製法を採用したので、不要時には防錆カバー212
を簡単に取り外すことができる。特に、第1紙繊維層2
28は長繊維202から形成され劣化し易く構成されて
いるため、(更には第2紙繊維層230にあっても剛性
は高いものの引張強度は低いため、)防錆カバー212
の取外し性をより一層向上させることができる。この結
果、本実施形態においても、組付時の強度確保について
は防錆カバー212を構成する第1紙繊維層228及び
第2紙繊維層230の板厚をコントロールすることで対
処し、取外し性については結合強度が比較的低い紙繊維
を利用したこと、並びに劣化し易い部分と劣化しにくい
部分とを設けたことの双方で対処し、第2の要求性能確
保と第4の要求性能確保との両立を図ることができる。
【0068】さらに、本実施形態では、耐劣化性が劣る
第1紙繊維層228、耐劣化性に優れた第2紙繊維層2
30の順に形成されていくことから、防錆カバー212
の表面側は劣化しにくく、裏面側は劣化し易くなる。従
って、防錆カバー212の裏面側(内側)ではある程度
の吸湿効果を期待でき、これによりディスクブレーキ装
置28の構成部品(ディスクロータ26やキャリパ3
0)に錆が発生するのを防止することができる。すなわ
ち、本実施形態によれば、ディスクロータ26等の防錆
性能確保という第1の要求性能に対する更なる改善を図
ることができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の本発
明に係る防錆カバーの製造方法は、紙材の繊維を粉砕す
る第1の工程と、粉砕された繊維を水に溶かすと共に耐
劣化性についての性質が互いに異なる第1溶液並びに第
2溶液を作る第2の工程と、第1溶液中に多孔質の型を
浸漬させ、型内部から所定の吸引力で吸引することによ
り防錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層を形成する
第3の工程と、第2溶液中に第1紙繊維層形成後の型を
浸漬させ、型内部から所定の吸引力で吸引することによ
り防錆カバーの他の一部を構成する第2紙繊維層を形成
する第4の工程と、を有するので、組付時には充分な強
度を確保することができ、しかも不要時には簡単に取り
外すことができるという優れた効果を有する。
【0070】請求項2記載の本発明に係る防錆カバーの
製造方法は、紙材の繊維を粉砕して長繊維及び短繊維を
作る第1の工程と、粉砕された長繊維を水に溶かした第
1溶液並びに粉砕された短繊維を水に溶かした第2溶液
を作る第2の工程と、第1溶液中に多孔質の型を浸漬さ
せ、型内部から所定の吸引力で吸引することにより当該
型の表面に防錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層を
形成する第3の工程と、第2溶液中に第1紙繊維層形成
後の型を浸漬させ、型内部から所定の吸引力で吸引する
ことにより当該型の第1紙繊維層の表面に防錆カバーの
他の一部を構成する第2紙繊維層を形成する第4の工程
と、を有するので、組付時には充分な強度を確保するこ
とができ、しかも不要時には簡単に取り外すことができ
るという優れた効果を有する。
【0071】さらに、本発明では、耐劣化性が劣る第1
紙繊維層、耐劣化性維に優れた第2紙繊維層の順に形成
することから、防錆カバーの表面側では劣化しにくく裏
面側では劣化し易くなる。このため、防錆カバーの裏面
側(内側)ではある程度の吸湿効果が期待でき、これに
よりディスクブレーキ装置の構成部品に錆が発生するの
を防止することができる。すなわち、本発明では、ディ
スクロータ等の防錆性能確保という第1の要求性能に対
する更なる改善を図ることができるという優れた効果を
有する。
【0072】請求項3記載の本発明に係る防錆カバーの
製造方法は、紙材の繊維を粉砕する第1の工程と、粉砕
された繊維を水に溶かすと共に劣化防止材料を所定量添
加した第1溶液並びに粉砕された繊維を水に溶かすと共
に前記所定量よりも少ない量の劣化防止材料を添加し或
いは劣化防止材料を無添加とした第2溶液を作る第2の
工程と、第1溶液中に多孔質の型の一部を浸漬させ、型
内部から所定の吸引力で吸引することにより当該型の一
部の表面に防錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層を
形成する第3の工程と、第2溶液中に型の他の一部又は
全体を浸漬させ、型内部から所定の吸引力で吸引するこ
とにより当該型の他の一部の表面に防錆カバーの他の一
部を構成する第2紙繊維層を形成する第4の工程と、を
有するので、組付時には充分な強度を確保することがで
き、しかも不要時には簡単に取り外すことができるとい
う優れた効果を有する。
【0073】請求項4記載の本発明に係る防錆カバーの
製造方法は、請求項3に記載の発明において、劣化防止
材料として撥水剤を用いたので、撥水剤の添加量を調整
することで、第1紙繊維層及び第2紙繊維層の耐劣化性
を調整することができるという優れた効果を有する。
【0074】請求項5記載の本発明に係る防錆カバーの
製造方法は、請求項3又は請求項4に記載の発明におい
て、第2紙繊維層を、防錆カバーの取外し時にディスク
ブレーキ装置の構成部品との干渉範囲に設定したので、
防錆カバーの取外し性をより一層向上させることができ
るという優れた効果を有する。
【0075】請求項6記載の本発明に係る防錆カバー
は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の製造方法
によって製造したので、組付時には充分な強度を確保す
ることができると共に不要時には簡単に取り外すことが
でき、特には不要時の取外し性を向上させることができ
るという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態において、紙繊維が溶け込んだ水
溶液が作られるまでの工程を示す工程図である。
【図2】水溶液に撥水剤及びバージンパルプが添加され
て攪拌される工程を示す工程図である。
【図3】図2に示される工程を経て得られた第1混合水
溶液を示す工程図である。
【図4】吸着工程で用いられる防錆カバー型の斜視図で
ある。
【図5】防錆カバー型が第1混合水溶液中又は第2混合
水溶液中に浸漬されて吸着がなされる工程を示す工程図
である。
【図6】バキュームポンプに防錆カバーが吸着されるま
での工程を示す工程図である。
【図7】乾燥工程を示す工程図である。
【図8】最終成形工程を示す工程図である。
【図9】以上の工程を経て得られた防錆カバーの完成品
を示す斜視図である。
【図10】防錆カバーの組付状態を示す車両のホイール
付近の縦断面図である。
【図11】防錆カバーが組付けられた状態をホイール側
方から見て示す正面図である。
【図12】防錆カバーの組付時に用いられる係合手段の
構成を示す概略図である。
【図13】第2実施形態において、防錆カバー型が第1
水溶液中又は第2水溶液中に順次浸漬されて吸着がなさ
れる工程を示す工程図である。
【図14】第2実施形態における防錆カバーの完成品を
示す縦断面図である。
【図15】従来の防錆カバーの構成を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
26 ディスクロータ(ディスクブレーキ装置の構成
部品) 30 キャリパ(ディスクブレーキ装置の構成部品) 44 防錆カバー 58 古新聞(紙材) 60 ダンボール(紙材) 62 紙繊維 66 水溶液 68 撥水剤(劣化防止材料) 74 第1混合水溶液(第1溶液) 76 防錆カバー型 92 バキュームポンプ 104 第1紙繊維層 132 第2混合水溶液(第2溶液) 134 第2紙繊維層 202 長繊維 204 第1水溶液(第1溶液) 208 短繊維 210 第2水溶液(第2溶液) 212 防錆カバー 214 防錆カバー型 222 バキュームポンプ 228 第1紙繊維層 230 第2紙繊維層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙材の繊維を粉砕する第1の工程と、 粉砕された繊維を水に溶かすと共に耐劣化性についての
    性質が互いに異なる第1溶液並びに第2溶液を作る第2
    の工程と、 第1溶液中に多孔質の型を浸漬させ、型内部から所定の
    吸引力で吸引することにより防錆カバーの一部を構成す
    る第1紙繊維層を形成する第3の工程と、 第2溶液中に第1紙繊維層形成後の型を浸漬させ、型内
    部から所定の吸引力で吸引することにより防錆カバーの
    他の一部を構成する第2紙繊維層を形成する第4の工程
    と、 を有する、 ことを特徴とする防錆カバーの製造方法。
  2. 【請求項2】 紙材の繊維を粉砕して長繊維及び短繊維
    を作る第1の工程と、 粉砕された長繊維を水に溶かした第1溶液並びに粉砕さ
    れた短繊維を水に溶かした第2溶液を作る第2の工程
    と、 第1溶液中に多孔質の型を浸漬させ、型内部から所定の
    吸引力で吸引することにより当該型の表面に防錆カバー
    の一部を構成する第1紙繊維層を形成する第3の工程
    と、 第2溶液中に第1紙繊維層形成後の型を浸漬させ、型内
    部から所定の吸引力で吸引することにより当該型の第1
    紙繊維層の表面に防錆カバーの他の一部を構成する第2
    紙繊維層を形成する第4の工程と、 を有する、 ことを特徴とする防錆カバーの製造方法。
  3. 【請求項3】 紙材の繊維を粉砕する第1の工程と、 粉砕された繊維を水に溶かすと共に劣化防止材料を所定
    量添加した第1溶液並びに粉砕された繊維を水に溶かす
    と共に前記所定量よりも少ない量の劣化防止材料を添加
    し或いは劣化防止材料を無添加とした第2溶液を作る第
    2の工程と、 第1溶液中に多孔質の型の一部を浸漬させ、型内部から
    所定の吸引力で吸引することにより当該型の一部の表面
    に防錆カバーの一部を構成する第1紙繊維層を形成する
    第3の工程と、 第2溶液中に型の他の一部又は全体を浸漬させ、型内部
    から所定の吸引力で吸引することにより当該型の他の一
    部の表面に防錆カバーの他の一部を構成する第2紙繊維
    層を形成する第4の工程と、 を有する、 ことを特徴とする防錆カバーの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記劣化防止材料として撥水剤を用い
    た、 ことを特徴とする請求項3に記載の防錆カバーの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記第2紙繊維層を、防錆カバーの取外
    し時にディスクブレーキ装置の構成部品との干渉範囲に
    設定した、 ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の防錆カ
    バーの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
    の製造方法によって製造した、 ことを特徴とする防錆カバー。
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