JPH09279288A - 仮設構造物用組立金具およびその製造方法 - Google Patents

仮設構造物用組立金具およびその製造方法

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JPH09279288A
JPH09279288A JP11320196A JP11320196A JPH09279288A JP H09279288 A JPH09279288 A JP H09279288A JP 11320196 A JP11320196 A JP 11320196A JP 11320196 A JP11320196 A JP 11320196A JP H09279288 A JPH09279288 A JP H09279288A
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temperature
cast iron
spheroidal graphite
temporary structure
assembly
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JP11320196A
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Toshiki Yoshida
敏樹 吉田
Katsuhiko Kojo
勝彦 古城
Yoshimi Kiyama
善美 木山
Kiyotaka Arimasu
清隆 有益
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重仮設構造物の構築に使用される組立金具の
本体のつかみ力が強いなどの機械的性質に優れ、しかも
被削性にも優れて、熱処理後でもドリル加工やネジ孔加
工などの機械加工が行える仮設構造物用組立金具(以
下、「組立金具」という)を得る。 【解決手段】 本発明の組立金具は、オーステンパ球状
黒鉛鋳鉄組成の鋳造品からなり、基地組織中の残留オー
ステナイト量の平均が30%以上あり、伸びが7%以
上、かつ耐力が800MPa以上であり、またγプール
の平均面積が400μm2 以下である。この組立金具の
製造方法は、球状黒鉛鋳鉄組成の鋳造品を、オーステナ
イト化後、360℃を超え420℃以下の温度に急冷し
恒温変態処理を施すか、または、オーステナイト化のた
めの昇温途中の650℃〜800℃の温度域にて15分
以上保持した後、若しくは650℃〜800℃の温度域
にて5℃/分以下に制御して昇温した後、820〜95
0℃に0.5〜5時間保持し、360℃を超え420℃
以下の温度に急冷し恒温変態処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形鋼や鋼板等の構造用
材料を使用して構造物を組み立てるのに用いる仮設構造
物用組立金具(以下、単に「組立金具」という)および
その製造方法に関し、より詳しくは、オーステンパ球状
黒鉛鋳鉄組成からなり、伸び、耐力を大きくて重仮設構
造物に安全に使用することができ、更に被削性を向上し
て低コストに製造することができる組立金具およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、建築現場等における仮設構造
物としての構台、桟橋、支保構等の構築に関しては、形
鋼立柱と形鋼横材との交差部の締結、止着のために、溝
形を有する接続金具や万力形状の組立金具が用いられて
いる。
【0003】例えば、特公平6−49962号公報にお
いては、接続金具の受板と形鋼フランジとを、組立金具
の両端部のボルトにより挟持する重仮設物構築法を提案
している。即ち、図3において、溝形金具1の一端に受
板2を一体に溶接接続し、この受板2に溝形金具1の溝
に沿って切欠溝3を形成している接続金具4を用い、溝
形金具1の溝および切欠溝3の内部に形鋼立材5の中程
フランジ5aを挿入し、溝形金具1の両外側から溝内に
ボルト6、6を対向して螺入して、前記ボルト6、6の
先端によって中程フランジ5aの両側端を挟持し、かつ
その状態において、受板2の受け面に形鋼横板7を上設
し、形鋼横材フランジ7aと受板2とを組立金具8のボ
ルト9、9により挟持する重仮設物構築法である。な
お、図3において、20は組立金具8に直交平面に沿っ
て取り付けられたブレースを示す。
【0004】また、図1は組立金具8の正面図、図2は
接続金具4の斜視図を示す。図1に示す組立金具8は、
C形金具本体8aとボルト9、9とよりなり、ボルト先
端部9a、9aとの間に接続金具4の受板2および形鋼
横板フランジ7aを挟持し、ボルト9、9により締め付
け固定して接続部を形成する。図2に示す接続金具4
は、溝形金具1の一端に受板2を一体に接続し、この受
板2に溝形金具1の溝(図示せず)に沿って切欠を形成
している。仮設構造物の構築には、組立金具8および接
続金具4が複数個使用される。図3に示すようにして構
築した仮設構造物は、形鋼横板7上に作業に必要な装置
が積載されたり、周囲の土砂の土止めとして用いられ
る。ここで、積載重量物の荷重や土止め等のために組立
金具8や接続金具4のつかみ力が緩むと安全上問題であ
るため、組立金具8や接続金具4は機械的性質に優れた
性質が選定される。なお、図1および図2は、各々組立
金具8のつかみ部がC形、接続金具4のつかみ部がH形
のものを示したが、形鋼のつかみ部に応じて種々のつか
み形状のものも使用される。
【0005】従来、組立金具や接続金具は、機械構造用
炭素鋼鋼材(JIS:S45C)を熱間鍛造し、その
後、焼入れ、焼戻しを施して製作されてきており、引張
強度は約60kg/mm2 (約588MPa)、硬さH
B240程度の機械的性質を有している。
【0006】しかし、この鍛造で製作した組立金具や接
続金具は、強度確保に必要な部分以外も肉厚があって重
量が重くなる。更に、重仮設構造物に使用するには、ま
だ強度が不十分であり、僅かな力で塑性変形し、つかみ
(クランプ)力が弱くなり、接合部が緩むため、安全上
では十分注意する必要がある。
【0007】これを改善するものとして、特開平7−5
4097号公報には、重量比率で、C:3.0〜4.0
%、Si:2.0〜3.5%、Mn:0.1〜0.7%
を含有し、また更にCu:0.1〜2.0%、Ni:
0.1〜2.0%、Mo:0.05〜0.5%のうち1
種またはそれ以上を含有させ、残部が実質的にFeおよ
び微量不純物からなるダクタイル鋳鉄で形成し、820
〜950℃に0.5〜5時間保持した後、直ちに280
〜360℃に急冷し、その温度で0.5時間以上保持す
るオーステンパ処理を施してなる、鋳造製組立金具を提
案している。この提案の組立金具は、前記、機械構造用
炭素鋼鋼材(JIS:S45C)を熱間鍛造、焼入れ焼
戻しした、引張強度約60kg/mm2 (約588MP
a)のものを、引張強度120kg/mm2 (1,17
6MPa)に向上するとしている。更に、鋳造製のため
一体構造に成形でき、しかも軽量であるとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平7−54097号公報で提案する組立金具は、引張
強度120kg/mm2 (1,176MPa)と十分あ
るが、伸びが4%程度と小さい。このため重仮設構造物
に用いて衝撃荷重等が加わった場合、発生応力が最大に
なる付近から亀裂が生じるおそれがある。また、熱処理
後の被削性が悪いため、装着するボルトのネジ孔等の加
工が困難である。
【0009】本発明者等は、重仮設構造物の構築に使用
される組立金具(以下、組立金具と接続金具等をまとめ
て「接続金具」という)について、衝撃荷重等が加わっ
た場合に亀裂を生じさせないこと、組立金具本体の変形
やへたりのためつかみ力に緩みが生じさせないこと等の
安全作業上の点や、用途上低コスト化を図るべきこと等
を勘案し、鋭意検討した。そして、球状黒鉛鋳鉄組成の
組立金具の鋳造品を、オーステンパ処理する際の恒温変
態処理を適切に行うことにより、機械的性質のうち特に
伸びおよび耐力が格段に優れる組立金具が得られるこ
と、またオーステンパ処理する際に、オーステナイト化
処理途中の変態点直下の温度でいったん保持するか、若
しくは適切な温度勾配に制御して昇温し、次いでオース
テナイト化温度まで昇温、所定時間保持し、その後適切
な温度範囲に急冷、保持する恒温変態処理を行うこと
で、オーステナイトの粒成長が抑制されてベイナイトや
γプールが微細化し、通常のオーステンパ球状黒鉛鋳鉄
より格段に被削性が向上して、熱処理後でもネジ孔加工
などの機械加工が行えることを見い出し、本発明に想到
した。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、第1発明の組立金
具は、オーステンパ球状黒鉛鋳鉄組成の鋳造品からな
り、基地組織中の残留オーステナイト量の平均が30%
以上あることを特徴とする。そして組立金具は、伸びが
7%以上、かつ耐力が800MPa以上有することを特
徴とする。
【0011】また、第2発明の組立金具は、オーステン
パ球状黒鉛鋳鉄組成の鋳造品からなり、基地組織中の残
留オーステナイト量の平均が30%以上、かつγプール
の平均面積が400μm2 以下であることを特徴とす
る。
【0012】第1発明および第2発明の組立金具におい
て、オーステンパ球状黒鉛鋳鉄の組成は、重量比率で、
C:3.0〜4.0%、Si:2.0〜3.5%、M
n:0.1〜0.7%、または更にCu:0.1〜2.
0%、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.05〜0.
5%のうち1種または2種以上、残部が実質的にFeお
よび不可避不純物を含有することを特徴とする。
【0013】第3発明の組立金具の製造方法は、球状黒
鉛鋳鉄組成の鋳造品を、820℃〜950℃に0.5〜
5時間保持してオーステナイト化処理後、360℃を超
え420℃以下、好ましくは370℃〜410℃の温度
に急冷し、その温度で0.5時間以上保持して恒温変態
処理を施すことを特徴とする。
【0014】また、第4発明の組立金具の製造方法は、
球状黒鉛鋳鉄組成の鋳造品を、オーステナイト化のため
の昇温途中において、650℃〜800℃の温度域にて
15分以上保持した後、若しくは650℃〜800℃の
温度域にて5℃/分以下に制御して昇温した後、820
〜950℃に0.5〜5時間保持し、360℃を超え4
20℃以下、好ましくは370℃〜410℃の温度に急
冷し、その温度で0.5時間以上保持して恒温変態処理
を施すことを特徴とする。
【0015】第3発明および第4発明の組立金具の製造
方法において、球状黒鉛鋳鉄組成は、重量比率で、C:
3.0〜4.0%、Si:2.0〜3.5%、Mn:
0.1〜0.7%、または更にCu:0.1〜2.0
%、Ni:0.1〜2.0%、Mo:0.05〜0.5
%のうち1種または2種以上、残部が実質的にFeおよ
び不可避不純物からなることを特徴とする。
【0016】本発明の組立金具は、伸びが大きいので、
重仮設構造物にして使用して衝撃荷重が加わった場合で
も亀裂が生じるおそれが少なく、また、形鋼材を締め付
けて仮設構造物を構築した後、外部からの重荷重を受け
ても、引張強度だけでなく耐力が十分高いので、へたり
を生じることがなく、安全性が確保される。更に、本発
明の組立金具は、被削性に優れるオーステンパ球状黒鉛
鋳鉄の鋳造品からなり、つかみ部ほかのネジ孔加工等が
容易に行えること、また鋳造一体で製作できること、更
にネジ孔加工以外は加工の必要がないことから、低コス
トで製作することが可能である。
【0017】以下、本発明の組立金具を構成する組織、
組成範囲(重量%)、および熱処理条件の限定理由につ
いて説明する。 (1)基地組織中の残留オーステナイト量の平均が30
%以上 組立金具は、上記組成の球状黒鉛鋳鉄と下記(10)に
示す熱処理を含ませ施すことにより、基地組織中の残留
オーステナイト量の平均が30%以上となる。基地組織
中の残留オーステナイト量の平均が30%以上であれ
ば、組織の変形が比較的容易であり、伸びを7%以上と
することができる。そして耐力も800MPa以上とす
ることができる。
【0018】(2)伸びが7%以上、耐力が800MP
a以上 重仮設構造物に使用する組立金具として、伸びが7%以
上あれば、衝撃荷重が加わった場合でも亀裂が生じるお
それが少なく、また耐力が800MPa以上あれば、塑
性変形が少ないのでつかみ(クランプ)力も十分にあっ
て接合部が緩む危険が少なく、安全である。
【0019】(3)基地組織中のγプールの平均面積が
400μm2 以下 組立金具は、下記組成の球状黒鉛鋳鉄と(11)に示す
熱処理を含み施すことにより、基地組織中のγプールの
平均面積が400μm2 以下となる。γプールの平均面
積が400μm2 以下であれば、機械的性質を通常のオ
ーステンパ球状黒鉛鋳鉄と同等またはそれ以上に確保す
ると共に、被削性が通常のオーステンパ球状黒鉛鋳鉄よ
り約2.5倍に向上する。そして、組立金具へのドリル
加工やネジ孔タップ加工などが、熱処理後においても可
能となる。
【0020】(4)C(炭素):3.0〜4.0% Cは、Siと共に鋳鉄において重要な成分であり、3.
0%未満ではチルが発生し易く、4.0%を超えると球
状化処理した時にドロスが発生し易くなる。このため、
Cは3.0〜4.0%とする。
【0021】(5)Si(けい素):2.0〜3.5% Siは、Cと共に鋳鉄において重要な成分であり、2.
0%未満では注湯時の溶湯の湯流れ性が悪く、3.5%
を超えると靱性の低下を招く。このため、Siは2.0
〜3.5%とする。
【0022】(6)Mn(マンガン):0.1〜0.7
% Mnは、焼入れ性を増すために必要な元素であり、0.
1%未満ではその効果が少なく、0.7%を超えると靱
性の低下を招く。このため、Mnは0.1〜0.7%と
する。
【0023】(7)Cu(銅):0.1〜2.0% Cuは、ベーナイト化促進効果がある有効な元素であ
り、0.1%未満ではその効果が少なく、2.0%を超
えると靱性の低下を招く。このため、Cuは0.1〜
2.0%とする。
【0024】(8)Ni(ニッケル):0.1〜2.0
% Niは、ベーナイト化促進効果がある有効な元素であ
り、0.1%未満ではその効果が少なく、2.0%を超
えると靱性の低下を招く。このため、Niは0.1〜
2.0%とする。
【0025】(9)Mo(モリブデン):0.05〜
0.5% Moは、ベーナイト化促進効果がある有効な元素であ
り、0.05%未満ではその効果が少なく、0.5%を
超えると靱性の低下を招く。このため、Moは0.05
〜0.5%とする。
【0026】(10)恒温変態処理 恒温変態処理温度を360℃を超え420℃以下とする
のは、組立金具としての伸び、耐力を付与するためであ
る。表1に恒温変態温度と、残留オーステナイト量、お
よび機械的性質の関係を示す。
【0027】
【表1】 機械的性質 恒温変態温度 残留オーステナイト量 引張強さ 耐力 伸び (℃) (%) (MPa) (MPa) (%) 300 18.1 1530 1290 2.9 325 24.1 1420 1170 4.0 350 26.5 1290 1030 6.0 360 28.6 1160 920 6.7 375 36.1 1120 870 9.9 400 39.2 1070 840 11.5 420 32.4 1060 810 7.5 425 24.5 1020 780 5.1
【0028】表1より、恒温変態温度が360℃以下で
は、耐力は800MPaを超えるが、伸びが7%未満と
少ない。一方、恒温変態温度が420℃を超えると、耐
力が低下し、また伸びが7%未満と少なくなる。伸び7
%以上、耐力800MPa以上とするため、恒温変態温
度は、360℃を超え420℃以下とする。好ましく
は、恒温変態温度は370℃〜410℃とする。
【0029】(11)オーステナイト化昇温途中の熱処
理 オーステナイト化のための昇温途中において、650℃
〜800℃の温度域にて15分以上保持した後、若しく
は650℃〜800℃の温度域にて5℃/分以下に制御
して昇温した後、820〜950℃に0.5〜5時間保
持し、直ちに急冷して所定時間保持するオーステンパ処
理を施すことにより、基地組織は、鋳造したままで熱処
理しない球状黒鉛鋳鉄の鋳放し組織に存在するパーライ
ト中のセメンタイトが粒状化して、フェライト基地中に
微細なセメンタイト粒子が数多く存在するようになる。
このセメンタイト粒子は、もとのフェライト基地中の結
晶粒界にも析出する。
【0030】前記特開平7−54097号公報で提案す
る組立金具のような通常の熱処理ならば、フェライト結
晶の結晶粒界はオーステナイト化したときにはオーステ
ナイトの結晶粒界とはならない。ところが、上記(1
1)オーステナイト化昇温途中の熱処理に続いて、恒温
変態処理を施すことにより、フェライト中の結晶粒界
は、オーステナイトの結晶粒に吸収されず、オーステナ
イト結晶粒界となることが多いので、オーステナイトの
大きさはきわめて小さくなる。この微細なオーステナイ
トから生成するベイナイトは、オーステナイトのすべて
の粒界から成長しはじめる。そして、通常ならば不安定
なオーステナイトとして残留し、γ(ガンマ)プールと
なるところも、ベイナイト変態してγプールを小さくす
る。
【0031】詳しく説明すると、通常鋳放し時にパーラ
イトが析出するのは、共晶セル粒界の不純物元素の偏析
し易い部分である。従って、この部分は恒温変態処理を
行った際にも、不純物元素の偏析によって残留オーステ
ナイトが偏在したγプールが生成するのである。それ
が、きわめて微細なオーステナイト組織から恒温変態処
理を行うことで、微細なオーステナイトから生成するベ
イナイトが、本来ならばγプールとなるべきところにお
いても成長し、その結果γプールは小さくなる。γプー
ルが小さくなり、その平均面積が400μm2 以下とな
れば、前述のとおり被削性が向上する。
【0032】ここで、保持温度が650℃未満では、鋳
放し時の組織であるパーライト中のセメンタイトの分解
がきわめて遅く、或いは分解しないため、前記のような
組織は得られない。一方、800℃を超えて保持する
と、オーステナイト変態開始点であるため、前記のよう
な組織は得られない。
【0033】また、15分未満の保持時間では、鋳放し
時の組織であるパーライト中のセメンタイトが分解する
のに不十分であるため、やはり前記のような組織は得ら
れない。また、650〜800℃からの昇温速度が5℃
/分を超える場合は、通常のオーステンパ処理と変わら
ない領域であるため、やはり前記のような組織は得られ
ない。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明のオーステンパ球状
黒鉛鋳鉄製組立金具の実施の形態について説明する。先
ず、通常のオーステンパ球状黒鉛鋳鉄の戻り屑および市
販鋼屑を使用して、100kg酸性高周波炉で溶解を行
い、C:3.60〜3.65%、Si:2.20〜2.
32%、Mn:0.33〜0.38%、Cu:0.48
〜0.52%、Mo:0.35〜0.40%とした溶湯
に、Fe−Si−5.5%Mgを1.2%用いてサンド
イッチ法で球状化処理後、Fe−75%Siを0.2%
接種して溶製する。次に、CO2 で作製した組立金具の
砂鋳型キャビティ内に、注湯温度1,380℃、注湯速
度1.4kg/s(秒)で注湯し、単量が2.2kgの
組立金具を鋳造する。
【0035】鋳造した組立金具には、2通りのオーステ
ナイト化昇温途中の熱処理と、その後360℃を超え4
20℃以下で恒温変態処理を施すもの(発明材1、およ
び発明材2)と、通常のオーステナイト化処理と恒温変
態処理を施す(比較材)。即ち、発明材1は、組立金具
を鋳造後、加熱を行い700℃で1時間保持し、その後
850℃まで加熱して1時間保持を行い、390℃に保
持された塩浴中に浸漬させて急冷し、その温度で1時間
保持してベイナイト変態させている。また発明材2は、
組立金具を鋳造後、650℃〜800℃の温度領域を昇
温速度1℃/sで加熱し、その後850℃に加熱して1
時間保持を行い、370℃に保持された塩浴中に浸漬さ
せて急冷し、その温度で1時間保持してベイナイト変態
させている。一方、従来材は、組立金具を鋳造後、特開
平7−54097号公報で提案するような従来の熱処
理、即ち、連続的に850℃の温度まで加熱し、1時間
保持した後、直ちに350℃に保持された塩浴中に浸漬
させて急冷し、その温度で1時間保持してベイナイト変
態させている。
【0036】上記、鋳造および熱処理して得られた発明
材1、発明材2、および従来材の組立金具から、組織観
察、引張強さ、耐力、伸び、硬さ、および被削性測定用
として試料を作製する。発明材1の金属組織写真を図4
(100倍)、図5(400倍)に示し、発明材2の金
属組織写真を図6(100倍)、図7(400倍)に示
す。また、特開平7−54097号公報で提案する従来
材の金属組織写真を図8(100倍)、図9(400
倍)に示す。表2に、発明材1および発明材2と、従来
材の残留オーステナイト量の平均と機械的性質の関係を
示す。
【0037】
【表2】 残留オーステナイト量の平均 引張強さ 0.2%耐力 伸び 硬さ 材 料 (%) (MPa) (MPa) (%) (HB) 発明材1 38.2 1050 870 9 293 発明材2 33.5 1100 920 8 302 従来材 28.3 1210 730 4 321
【0038】表2から、発明材1および発明材2は、残
留オーステナイト量の平均が30%以上有し、引張強
さ、0.2%耐力、および硬さ(HB)とも、従来材と
同等またはそれ以上の特性を有していることがわかる。
伸びについては、従来材が4%と小さいのに対し、発明
材1、発明材2とも7%以上と大きい。従来材の伸びが
4%と小さいのは、残留オーステナイト量が30%未満
であるため、組織が変形し難いためである。重仮設構造
物用に使用した場合、発明材1および発明材2は、従来
材に比較して伸びが大きいので、衝撃荷重が加わった場
合でも亀裂が生じるおそれが少なく、更に、引張強度だ
けでなく耐力が十分高いので、へたりを生じることが少
なく、安全性が確保される。
【0039】図4(発明材1)と図8(従来材)を比較
すると、図4(発明材1)は、線1と2の交点に見られ
るような白い大きな集まりのγプール(本発明ではこれ
をγプールと称する)が、図8(従来材)より小さくな
っている。また、図5(発明材1)は、線3と4の交点
に見られるベイナイト形状が白色棒状で小さいのに対
し、図9(従来材)では黒色の細い棒条の大きな束にな
っている。図6、図7に示す発明材2も上記発明材1と
同様に、従来材と比較して、γプール、ベイナイト形状
共に小さい。
【0040】表3に、発明材1および発明材2と従来材
のγプール平均面積を示す。γプール平均面積は、従来
材が500μm2 と大きいのに対し、発明材1が190
μm2 、発明材2が210μm2 と非常に小さい。
【0041】
【表3】
【0042】γプール平均面積の分布状態を調査したと
ころ、従来材が14,000〜16,000μm2 程度
と大面積のものも存在しているが、発明材1および発明
材2においては、1,000〜1,200μm2 程度の
ものが一部に存在するが、大面積のものが減少して、γ
プール平均面積は400μm2 以下となっている。
【0043】次に、発明材1および発明材2、および従
来材から作製した試料について、スローアウエイ方式の
工具を使用し、長手方向連続旋削により工具寿命試験を
行った。そして、工具逃げ面摩耗幅を工具顕微鏡によっ
て測定し、工具逃げ面摩耗幅が0.4mmに達したとき
をもって寿命到達と判定した。表4に切削条件を示し、
表5に工具寿命試験を行った結果を示す。
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】材 料 工具寿命(min) 発明材1 46 発明材2 50 従来材 20
【0046】表5より、一般的に球状黒鉛鋳鉄組成の鋳
造品を旋削するのによく用いられる切削速度100m/
minにおける工具寿命は、発明材1および発明材2
が、従来材の約2.3〜2.5倍となっている。発明材
1および発明材2は、γプールの平均面積が400μm
2 以下と従来材より非常に小さいため、加工時にマルテ
ンサイト化する領域が小さくなり、被削性が向上したも
のと考えられる。
【0047】
【実施例1】発明材1および発明材2からなる組立金具
に、M24のボルトを装着するネジ孔を、下孔をボール
盤でドリル加工後、タッピング機で加工する。負荷によ
り、ドリルやタップが折れたり、機械が止まるなどの問
題もなく、組立金具を量産することができる。また、図
1および図2の組立金具を使用して、図3の仮設構造物
を組み立てる。そして、この仮設構造物上に運搬用具を
積載して、作業を行った場合でも、組立金具には亀裂が
生じるおそれが少ない。
【0048】
【発明の効果】以上詳細に説明のとおり、本発明の組立
金具は、オーステンパ球状黒鉛鋳鉄組成となる鋳造品か
らなり、基地組織中の残留オーステナイト量の平均が3
0%以上で、伸びが7%以上、耐力800MPaと大き
いので、衝撃荷重が加わった場合でも亀裂が生じるおそ
れが少なく、安全性が確保される。また基地組織中のγ
プールの平均面積が400μm2 以下に微細化している
オーステンパ球状黒鉛鋳鉄からなるので、ドリル加工や
ネジ孔タップ加工などが行えて被削性が向上して低コス
トで製造できる。更に本発明の組立金具の製造方法は、
球状黒鉛鋳鉄の組成で鋳造した後、オーステナイト化処
理途中での加熱条件を、いったん変態点直下の温度に保
持した後オーステナイト化領域まで昇温して残留オース
テナイト量を30%以上にし、その後、360℃を越え
る恒温変態処理を施すことにより、γプールの平均面積
を400μm2 以下に微細化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の仮設構造物用組立金具の一実施例を示
す正面図である。
【図2】本発明の仮設構造物用組立金具の別の実施例を
示す正面図である。
【図3】仮設構台の構築構造を示す正面図である。
【図4】本発明材1の金属顕微鏡組織写真(100倍)
である。
【図5】本発明材1の金属顕微鏡組織写真(400倍)
である。
【図6】本発明材2の金属顕微鏡組織写真(100倍)
である。
【図7】本発明材2の金属顕微鏡組織写真(400倍)
である。
【図8】従来材の金属顕微鏡組織写真(100倍)であ
る。
【図9】従来材の金属顕微鏡組織写真(400倍)であ
る。
【符号の説明】
1:溝形金具、 2:受板、 3:
切欠溝、4:接続金具、 5:形鋼立材、
5a:中程フランジ、6:ボルト、 7:
形鋼横板、 7a:形鋼横板フランジ、8:組立金
具、 8a:C形金具本体、 9:ボルト、9
a:ボルト先端部、 20:ブレース。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有益 清隆 福岡県北九州市京都郡苅田町長浜町35番地 日立金属株式会社九州工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーステンパ球状黒鉛鋳鉄組成の鋳造品
    からなり、基地組織中の残留オーステナイト量の平均が
    30%以上であることを特徴とする仮設構造物用組立金
    具。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の仮設構造物用組立金具に
    おいて、伸びが7%以上、かつ耐力が800MPa以上
    有することを特徴とする仮設構造物用組立金具。
  3. 【請求項3】 オーステンパ球状黒鉛鋳鉄組成の鋳造品
    からなり、基地組織中の残留オーステナイト量の平均が
    30%以上、かつγプールの平均面積が400μm2
    下であることを特徴とする仮設構造物用組立金具。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3何れか1項記載の
    仮設構造物用組立金具において、前記オーステンパ球状
    黒鉛鋳鉄の組成は、重量比率で、C:3.0〜4.0
    %、Si:2.0〜3.5%、Mn:0.1〜0.7
    %、または更にCu:0.1〜2.0%、Ni:0.1
    〜2.0%、Mo:0.05〜0.5%のうち1種また
    は2種以上、残部が実質的にFeおよび不可避不純物を
    含有することを特徴とする仮設構造物用組立金具。
  5. 【請求項5】 球状黒鉛鋳鉄組成の鋳造品を、820℃
    〜950℃に0.5〜5時間保持してオーステナイト化
    処理後、360℃を超え420℃以下の温度に急冷し、
    その温度で0.5時間以上保持して恒温変態処理を施す
    ことを特徴とする仮設構造物用組立金具の製造方法。
  6. 【請求項6】 球状黒鉛鋳鉄組成の鋳造品を、オーステ
    ナイト化のための昇温途中において、650℃〜800
    ℃の温度域にて15分以上保持した後、若しくは650
    ℃〜800℃の温度域にて5℃/分以下に制御して昇温
    した後、820〜950℃に0.5〜5時間保持し、3
    60℃を超え420℃以下の温度に急冷し、その温度で
    0.5時間以上保持して恒温変態処理を施すことを特徴
    とする仮設構造物用組立金具の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6記載の仮設構造
    物用組立金具の製造方法において、前記恒温変態処理を
    施す温度は、好ましくは370℃〜410℃であること
    を特徴とする仮設構造物用組立金具の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5乃至請求項7何れか1項記載の
    仮設構造物用組立金具の製造方法において、前記球状黒
    鉛鋳鉄組成は、重量比率で、C:3.0〜4.0%、S
    i:2.0〜3.5%、Mn:0.1〜0.7%、また
    は更にCu:0.1〜2.0%、Ni:0.1〜2.0
    %、Mo:0.05〜0.5%のうち1種または2種以
    上、残部が実質的にFeおよび不可避不純物からなるこ
    とを特徴とする仮設構造物用組立金具の製造方法。
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