JPH09157740A - 高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法 - Google Patents
高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法Info
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- JPH09157740A JPH09157740A JP31914695A JP31914695A JPH09157740A JP H09157740 A JPH09157740 A JP H09157740A JP 31914695 A JP31914695 A JP 31914695A JP 31914695 A JP31914695 A JP 31914695A JP H09157740 A JPH09157740 A JP H09157740A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】室温でのビッカース硬度が200〜385で、
室温〜200℃での熱膨張率が16×10-6/℃以上で
ある高硬度・高熱膨張率鋼材を製造する方法の提供。 【解決手段】C:0.80〜1.10%、Si:1.8
0〜2.15%、Mn:1.25〜1.55%、S:
0.050%以下、Cr:0.05%以下、P:0.0
30%以下、残部はFe及び不可避不純物の組成を有す
る鋼材を、オ−ステナイト域の温度に加熱した後、55
0℃からMs点までの温度域に急冷し、その温度域で恒
温保持した後に室温まで冷却し、更にサブゼロ処理す
る。Cr:0.20%以下の場合には、熱間での所要形
状への加工の前及び/又は後でソーキングを施す。
室温〜200℃での熱膨張率が16×10-6/℃以上で
ある高硬度・高熱膨張率鋼材を製造する方法の提供。 【解決手段】C:0.80〜1.10%、Si:1.8
0〜2.15%、Mn:1.25〜1.55%、S:
0.050%以下、Cr:0.05%以下、P:0.0
30%以下、残部はFe及び不可避不純物の組成を有す
る鋼材を、オ−ステナイト域の温度に加熱した後、55
0℃からMs点までの温度域に急冷し、その温度域で恒
温保持した後に室温まで冷却し、更にサブゼロ処理す
る。Cr:0.20%以下の場合には、熱間での所要形
状への加工の前及び/又は後でソーキングを施す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室温でのビッカー
ス硬度が200〜385で、且つ室温〜200℃での熱
膨張率が16×10-6/℃以上である高硬度・高熱膨張
率鋼材の製造方法に関する。
ス硬度が200〜385で、且つ室温〜200℃での熱
膨張率が16×10-6/℃以上である高硬度・高熱膨張
率鋼材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球的規模の環境汚染問題から、
鋼と非鉄金属材料とが共用される場合が増加してきてい
る。例えば、自動車の軽量化による燃費向上の要求を始
めとして、各種機械装置の軽量化が求められており、こ
の要望に応えてアルミニウムあるいはアルミニウム合金
などの軽量非鉄金属材料の使用が増加しつつある。しか
し、こうした軽量の非鉄金属材料は硬度(強度)が比較
的低い。このため高硬度の鋼と併用することで機械装置
の強度と軽量化とを両立させることが行われている。
鋼と非鉄金属材料とが共用される場合が増加してきてい
る。例えば、自動車の軽量化による燃費向上の要求を始
めとして、各種機械装置の軽量化が求められており、こ
の要望に応えてアルミニウムあるいはアルミニウム合金
などの軽量非鉄金属材料の使用が増加しつつある。しか
し、こうした軽量の非鉄金属材料は硬度(強度)が比較
的低い。このため高硬度の鋼と併用することで機械装置
の強度と軽量化とを両立させることが行われている。
【0003】ところで、非鉄金属材料の熱膨張率は一般
に鋼のそれより大きい。従って、両者を併用した場合の
熱膨張率の差異に基づく問題を解決するための提案が種
々なされてきた。
に鋼のそれより大きい。従って、両者を併用した場合の
熱膨張率の差異に基づく問題を解決するための提案が種
々なされてきた。
【0004】例えば、所謂「オ−ステナイト系ステンレ
ス鋼」を非鉄金属材料との併用材料として用いる提案が
ある。これはオ−ステナイト系ステンレス鋼の熱膨張率
がフェライト系の一般鋼材のそれよりも約1.5倍大き
いことを利用しようとするものである。
ス鋼」を非鉄金属材料との併用材料として用いる提案が
ある。これはオ−ステナイト系ステンレス鋼の熱膨張率
がフェライト系の一般鋼材のそれよりも約1.5倍大き
いことを利用しようとするものである。
【0005】しかしオ−ステナイト系ステンレス鋼は、
オ−ステナイト相を安定にするために高価なNi、Cr
を多量に含んでいるためコストが嵩み、一般的な機械構
造用鋼としては使用が困難である。更に機械構造用鋼と
しては、寒冷地域でも充分に使用できなければならな
い。すなわち、寒冷地域では冬場に−60℃程度にまで
気温が低下するので、こうした低温にさらされた後でも
安定した大きな熱膨張率の維持が必要である。しかしな
がら、オ−ステナイト系ステンレス鋼のオ−ステナイト
相はこうした低温環境では実用に耐えない不安定なもの
が多く、オ−ステナイト相の安定化を図るためにはNi
を更に多量に含有させる必要があって極めて高価なもの
になってしまう。
オ−ステナイト相を安定にするために高価なNi、Cr
を多量に含んでいるためコストが嵩み、一般的な機械構
造用鋼としては使用が困難である。更に機械構造用鋼と
しては、寒冷地域でも充分に使用できなければならな
い。すなわち、寒冷地域では冬場に−60℃程度にまで
気温が低下するので、こうした低温にさらされた後でも
安定した大きな熱膨張率の維持が必要である。しかしな
がら、オ−ステナイト系ステンレス鋼のオ−ステナイト
相はこうした低温環境では実用に耐えない不安定なもの
が多く、オ−ステナイト相の安定化を図るためにはNi
を更に多量に含有させる必要があって極めて高価なもの
になってしまう。
【0006】更に、オ−ステナイト系ステンレス鋼は一
般に固溶化熱処理ままの状態で使われるために強度が低
いという問題をも有している。
般に固溶化熱処理ままの状態で使われるために強度が低
いという問題をも有している。
【0007】特開平6−306456号公報には低Cr
−低Niで14.0〜26.0%のMnを含有した「高
強度オ−ステナイト組織鋼部品の製造方法」が提案され
ている。しかし、この公報に提案された鋼は上記のよう
に多量のMnを含むのでやはりコストが嵩む。
−低Niで14.0〜26.0%のMnを含有した「高
強度オ−ステナイト組織鋼部品の製造方法」が提案され
ている。しかし、この公報に提案された鋼は上記のよう
に多量のMnを含むのでやはりコストが嵩む。
【0008】特公昭58−42246号公報にはC:
0.40〜0.85%、Si:1.40〜2.50%、
Mn:0.30〜1.00%の鋼帯を、オ−ステナイト
化後TTT線図のノーズを通過する速度よりも大きい冷
却速度で380〜480℃まで冷却し、そこで恒温保持
して65〜85%のベイナイトと残部がオ−ステナイト
からなる「複合組織を有する高強度鋼帯の製造方法」が
提案されている。
0.40〜0.85%、Si:1.40〜2.50%、
Mn:0.30〜1.00%の鋼帯を、オ−ステナイト
化後TTT線図のノーズを通過する速度よりも大きい冷
却速度で380〜480℃まで冷却し、そこで恒温保持
して65〜85%のベイナイトと残部がオ−ステナイト
からなる「複合組織を有する高強度鋼帯の製造方法」が
提案されている。
【0009】この公報に開示された技術は、精密機械用
小物部品に使用される高強度熱処理鋼帯の延性を高める
ために65〜85%のベイナイトと残留オ−ステナイト
の複合組織にするものである。従って、鋼の熱膨張率を
大きくするということには配慮がなされておらず、上記
の割合のベイナイトとオ−ステナイトの組織割合では本
発明の指向するところの、室温〜200℃での熱膨張率
が16×10-6/℃以上という高い熱膨張率が得られな
い。
小物部品に使用される高強度熱処理鋼帯の延性を高める
ために65〜85%のベイナイトと残留オ−ステナイト
の複合組織にするものである。従って、鋼の熱膨張率を
大きくするということには配慮がなされておらず、上記
の割合のベイナイトとオ−ステナイトの組織割合では本
発明の指向するところの、室温〜200℃での熱膨張率
が16×10-6/℃以上という高い熱膨張率が得られな
い。
【0010】更に、上記公報で提案された鋼は焼入れ性
が低いため、これを一般の機械部品に用いた場合には、
TTT線図のノーズを通過する速度よりも大きい冷却速
度で380〜480℃まで冷却することは極めて困難
で、所望の組織とはならない。
が低いため、これを一般の機械部品に用いた場合には、
TTT線図のノーズを通過する速度よりも大きい冷却速
度で380〜480℃まで冷却することは極めて困難
で、所望の組織とはならない。
【0011】特開平1−108342号公報にはC:
0.5〜2.5%、Si:1.0〜4.0%、Mn:
0.6%以下、S:0.05%以下、B:0.01〜
0.1%でオーステンパ処理により、基地がベイナイト
と残留オ−ステナイトからなり、球状黒鉛が分散してい
る「高強度、高剛性、高靭性を有する鉄系鋳物およびそ
の製造法」が提案されている。
0.5〜2.5%、Si:1.0〜4.0%、Mn:
0.6%以下、S:0.05%以下、B:0.01〜
0.1%でオーステンパ処理により、基地がベイナイト
と残留オ−ステナイトからなり、球状黒鉛が分散してい
る「高強度、高剛性、高靭性を有する鉄系鋳物およびそ
の製造法」が提案されている。
【0012】この公報に提案された技術の場合にも、熱
膨張率を大きくするということには配慮がなされておら
ず、上記の球状黒鉛が分散したベイナイトとオ−ステナ
イトの組織とするだけでは必ずしも本発明の指向すると
ころの、室温〜200℃での熱膨張率が16×10-6/
℃以上という高い熱膨張率は得られない。
膨張率を大きくするということには配慮がなされておら
ず、上記の球状黒鉛が分散したベイナイトとオ−ステナ
イトの組織とするだけでは必ずしも本発明の指向すると
ころの、室温〜200℃での熱膨張率が16×10-6/
℃以上という高い熱膨張率は得られない。
【0013】更に、上記公報で提案された技術は「鉄系
鋳物」に関する提案であり、この組成の鋳鉄を熱間で加
工することはできない。
鋳物」に関する提案であり、この組成の鋳鉄を熱間で加
工することはできない。
【0014】特開昭61−252912号公報にはアル
ミニウム合金製の軸受部に、C:2.6〜4.0%、S
i:1.5〜3.5%、Mn:0.2〜1.0%、M
g:0.05〜0.08%の組成を有し、残留オ−ステ
ナイト量が30〜50%となるようにオーステンパ処理
した球状黒鉛鋳鉄製のクランクシャフトを支承する「エ
ンジンのクランクシャフト軸受構造」が開示されてい
る。
ミニウム合金製の軸受部に、C:2.6〜4.0%、S
i:1.5〜3.5%、Mn:0.2〜1.0%、M
g:0.05〜0.08%の組成を有し、残留オ−ステ
ナイト量が30〜50%となるようにオーステンパ処理
した球状黒鉛鋳鉄製のクランクシャフトを支承する「エ
ンジンのクランクシャフト軸受構造」が開示されてい
る。
【0015】上記公報で提案されたクランクシャフトに
関する技術は「鋳鉄」に関する提案であり、この組成の
鋳鉄を熱間で加工することはできない。
関する技術は「鋳鉄」に関する提案であり、この組成の
鋳鉄を熱間で加工することはできない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑みなされたもので、室温でのビッカース硬度が20
0〜385で、且つ室温〜200℃での熱膨張率が16
×10-6/℃以上である高硬度・高熱膨張率鋼材の製造
方法の提供を課題とする。
に鑑みなされたもので、室温でのビッカース硬度が20
0〜385で、且つ室温〜200℃での熱膨張率が16
×10-6/℃以上である高硬度・高熱膨張率鋼材の製造
方法の提供を課題とする。
【0017】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために種々検討を重ねた。その結果、本出
願人は先に特願平7−4294号の出願で、「高強度・
高熱膨張率鋼材とその製造方法」を提案した。
題を解決するために種々検討を重ねた。その結果、本出
願人は先に特願平7−4294号の出願で、「高強度・
高熱膨張率鋼材とその製造方法」を提案した。
【0018】すなわち、[1]特定の化学組成からなる
鋼組成を有し、体積率で30%以上70%以下のオ−ス
テナイトと残部がベイナイトもしくはベイナイトとマル
テンサイトである複合組織からなり、降伏強度が343
MPa以上、且つ、室温〜100℃での熱膨張率が13
×10-6/℃以上である高強度・高熱膨張率鋼材と、
[2]Ac1点以上に加熱した後、パーライトを生成する
臨界冷却速度よりも大きい冷却速度でMs点以上550
℃以下の温度域に冷却し、当該温度域で恒温保持した
後、室温まで冷却する前記[1]の高強度・高熱膨張率
鋼材の製造方法を提案した。
鋼組成を有し、体積率で30%以上70%以下のオ−ス
テナイトと残部がベイナイトもしくはベイナイトとマル
テンサイトである複合組織からなり、降伏強度が343
MPa以上、且つ、室温〜100℃での熱膨張率が13
×10-6/℃以上である高強度・高熱膨張率鋼材と、
[2]Ac1点以上に加熱した後、パーライトを生成する
臨界冷却速度よりも大きい冷却速度でMs点以上550
℃以下の温度域に冷却し、当該温度域で恒温保持した
後、室温まで冷却する前記[1]の高強度・高熱膨張率
鋼材の製造方法を提案した。
【0019】しかし、その後の検討で下記の問題点が明
らかになった。
らかになった。
【0020】(イ)機械装置はその運転中に200℃程
度まで温度が上昇する場合が多く、その場合には上記の
出願で提案した鋼材では必ずしも鋼と非鉄金属材料との
熱膨張率の差異に基づく各種の問題を解決できないこと
がある。
度まで温度が上昇する場合が多く、その場合には上記の
出願で提案した鋼材では必ずしも鋼と非鉄金属材料との
熱膨張率の差異に基づく各種の問題を解決できないこと
がある。
【0021】(ロ)上記提案の組成を有する鋼を実験室
レベルで小規模溶製した場合には上記提案の条件で処理
を行えば所望の組織(オ−ステナイト量)と特性が得ら
れる。
レベルで小規模溶製した場合には上記提案の条件で処理
を行えば所望の組織(オ−ステナイト量)と特性が得ら
れる。
【0022】しかし、工業的規模で溶製し、上記の条件
の処理を行って所望の組織と特性を得るためには、特に
鋼塊の寸法を調整する必要がある。
の処理を行って所望の組織と特性を得るためには、特に
鋼塊の寸法を調整する必要がある。
【0023】そこで、上記の問題点を解決すべく検討を
重ねたところ、次の重要な知見が得られた。
重ねたところ、次の重要な知見が得られた。
【0024】(a)鋼の室温〜200℃での熱膨張率が
16×10-6/℃以上であれば、機械装置がその運転中
に200℃程度まで温度が上昇する場合にも非鉄金属材
料と鋼との熱膨張率の差異に基づく問題を解決できる。
16×10-6/℃以上であれば、機械装置がその運転中
に200℃程度まで温度が上昇する場合にも非鉄金属材
料と鋼との熱膨張率の差異に基づく問題を解決できる。
【0025】(b)機械装置が200℃程度にまで温度
上昇した場合に熱分解してしまう残留オ−ステナイトが
存在する。この残留オ−ステナイトを上記の200℃程
度への温度上昇で熱分解させないためには、サブゼロ処
理しておけば良い。
上昇した場合に熱分解してしまう残留オ−ステナイトが
存在する。この残留オ−ステナイトを上記の200℃程
度への温度上昇で熱分解させないためには、サブゼロ処
理しておけば良い。
【0026】(c)サブゼロ処理後の残留オ−ステナイ
トの量が体積率にして40%以上であれば、室温〜20
0℃での熱膨張率が16×10-6/℃以上となる。
トの量が体積率にして40%以上であれば、室温〜20
0℃での熱膨張率が16×10-6/℃以上となる。
【0027】(d)工業的規模で溶製した場合の鋼塊寸
法の調整が製品の組織と特性に影響するのは、とりべ分
析値と製品分析値における成分元素量の違い、なかでも
Cr量の微妙な違いによるところが大きい。すなわち工
業的規模で溶製した場合には、Cr含有量がオ−ステナ
イトの残留量を大きく左右する。これはCrのミクロ偏
析のために恒温処理したときのベイナイト変態が著しく
遅延することと、ベイナイト変態させるための恒温処理
時間を長くすればオ−ステナイトが熱分解してしまって
残留するオ−ステナイト量が変化することによる。
法の調整が製品の組織と特性に影響するのは、とりべ分
析値と製品分析値における成分元素量の違い、なかでも
Cr量の微妙な違いによるところが大きい。すなわち工
業的規模で溶製した場合には、Cr含有量がオ−ステナ
イトの残留量を大きく左右する。これはCrのミクロ偏
析のために恒温処理したときのベイナイト変態が著しく
遅延することと、ベイナイト変態させるための恒温処理
時間を長くすればオ−ステナイトが熱分解してしまって
残留するオ−ステナイト量が変化することによる。
【0028】前述のサブゼロ処理後に所要の残留オ−ス
テナイト量を確保するためにはCrのミクロ偏析率(製
品分析値/とりべ分析値)を1.20以下に抑えること
が必要である。
テナイト量を確保するためにはCrのミクロ偏析率(製
品分析値/とりべ分析値)を1.20以下に抑えること
が必要である。
【0029】上記知見に基づく本発明は、下記(1)及
び(2)の高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法を要旨と
する。
び(2)の高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法を要旨と
する。
【0030】(1)重量%で、C:0.80〜1.10
%、Si:1.80〜2.15%、Mn:1.25〜
1.55%、S:0.050%以下、Cr:0.05%
以下、P:0.030%以下、残部はFe及び不可避不
純物の組成を有する鋼材を、オ−ステナイト域の温度に
加熱した後、550℃からMs点までの温度域に急冷
し、その温度域で恒温保持した後に室温まで冷却し、更
にサブゼロ処理することを特徴とする、体積率で40〜
65%のオ−ステナイトと残部がベイナイトもしくはベ
イナイトとマルテンサイトの複合組織からなり、室温で
のビッカース硬度が200〜385、室温〜200℃で
の熱膨張率が16×10-6/℃以上である高硬度・高熱
膨張率鋼材の製造方法。
%、Si:1.80〜2.15%、Mn:1.25〜
1.55%、S:0.050%以下、Cr:0.05%
以下、P:0.030%以下、残部はFe及び不可避不
純物の組成を有する鋼材を、オ−ステナイト域の温度に
加熱した後、550℃からMs点までの温度域に急冷
し、その温度域で恒温保持した後に室温まで冷却し、更
にサブゼロ処理することを特徴とする、体積率で40〜
65%のオ−ステナイトと残部がベイナイトもしくはベ
イナイトとマルテンサイトの複合組織からなり、室温で
のビッカース硬度が200〜385、室温〜200℃で
の熱膨張率が16×10-6/℃以上である高硬度・高熱
膨張率鋼材の製造方法。
【0031】(2)重量%で、C:0.80〜1.10
%、Si:1.80〜2.15%、Mn:1.25〜
1.55%、S:0.050%以下、Cr:0.20%
以下、P:0.030%以下、残部はFe及び不可避不
純物の組成を有する鋼片に、熱間での所要形状への加工
の前及び/又は後でソーキングを施し、次いで、オ−ス
テナイト域の温度に加熱した後、550℃からMs点ま
での温度域に急冷し、その温度域で恒温保持した後に室
温まで冷却し、更にサブゼロ処理することを特徴とす
る、体積率で40〜65%のオ−ステナイトと残部がベ
イナイトもしくはベイナイトとマルテンサイトの複合組
織からなり、室温でのビッカース硬度が200〜38
5、室温〜200℃での熱膨張率が16×10-6/℃以
上である高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法。
%、Si:1.80〜2.15%、Mn:1.25〜
1.55%、S:0.050%以下、Cr:0.20%
以下、P:0.030%以下、残部はFe及び不可避不
純物の組成を有する鋼片に、熱間での所要形状への加工
の前及び/又は後でソーキングを施し、次いで、オ−ス
テナイト域の温度に加熱した後、550℃からMs点ま
での温度域に急冷し、その温度域で恒温保持した後に室
温まで冷却し、更にサブゼロ処理することを特徴とす
る、体積率で40〜65%のオ−ステナイトと残部がベ
イナイトもしくはベイナイトとマルテンサイトの複合組
織からなり、室温でのビッカース硬度が200〜38
5、室温〜200℃での熱膨張率が16×10-6/℃以
上である高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法。
【0032】以下、上記(1)及び(2)の発明をそれ
ぞれ(1)の発明、(2)の発明ということにする。
ぞれ(1)の発明、(2)の発明ということにする。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明においては、「オーステン
パ」として知られている恒温変態処理によって、オ−ス
テナイト及び残部がベイナイトもしくはベイナイトとマ
ルテンサイトの混合組織を得ようとするものである。す
なわち、適正量のオ−ステナイトと残部がベイナイトも
しくはベイナイトとマルテンサイトの混合組織を得て室
温〜200℃での熱膨張率を16×10-6/℃以上とな
し、機械装置がその運転中に200℃程度まで温度が上
昇する場合にも非鉄金属材料と鋼との熱膨張率の差異に
基づく問題を解決しようとするものである。
パ」として知られている恒温変態処理によって、オ−ス
テナイト及び残部がベイナイトもしくはベイナイトとマ
ルテンサイトの混合組織を得ようとするものである。す
なわち、適正量のオ−ステナイトと残部がベイナイトも
しくはベイナイトとマルテンサイトの混合組織を得て室
温〜200℃での熱膨張率を16×10-6/℃以上とな
し、機械装置がその運転中に200℃程度まで温度が上
昇する場合にも非鉄金属材料と鋼との熱膨張率の差異に
基づく問題を解決しようとするものである。
【0034】以下、本発明の要件について説明する。な
お、成分元素の量における「%」は「重量%」を意味す
る。
お、成分元素の量における「%」は「重量%」を意味す
る。
【0035】(A)化学組成 C:Cは鋼の焼入れ性及び硬度(強度)を高める作用が
ある。又、結晶粒を微細化すると共にオ−ステナイトを
安定に残留させる作用を有する。しかし、その含有量が
0.80%未満ではサブゼロ処理後に安定して残留する
オ−ステナイトの体積率が40%未満となる。一方、
1.10%を超えて含有すると熱間での加工時に割れを
生じ易くなる。従って、Cの含有量を0.80〜1.1
0%とした。なおC含有量は0.85〜0.95%とす
ることが好ましい。
ある。又、結晶粒を微細化すると共にオ−ステナイトを
安定に残留させる作用を有する。しかし、その含有量が
0.80%未満ではサブゼロ処理後に安定して残留する
オ−ステナイトの体積率が40%未満となる。一方、
1.10%を超えて含有すると熱間での加工時に割れを
生じ易くなる。従って、Cの含有量を0.80〜1.1
0%とした。なおC含有量は0.85〜0.95%とす
ることが好ましい。
【0036】Si:Siは通常の鋼において含有される
ように脱酸剤としての作用及び固溶強化と焼入れ性向上
による機械的性質改善の作用も有するが、本発明におい
てはそうした作用よりも本発明に係る熱処理において残
留させるオ−ステナイトの量と安定性を確保する上で極
めて重要な元素である。Siの含有量が1.80%未満
ではサブゼロ処理後に安定して残留するオ−ステナイト
の体積率が40%未満となる。一方、2.15%を超え
て含有すると熱間での加工時に割れを生じ易くなる。
ように脱酸剤としての作用及び固溶強化と焼入れ性向上
による機械的性質改善の作用も有するが、本発明におい
てはそうした作用よりも本発明に係る熱処理において残
留させるオ−ステナイトの量と安定性を確保する上で極
めて重要な元素である。Siの含有量が1.80%未満
ではサブゼロ処理後に安定して残留するオ−ステナイト
の体積率が40%未満となる。一方、2.15%を超え
て含有すると熱間での加工時に割れを生じ易くなる。
【0037】従って、Siの含有量を1.80〜2.1
5%とした。なお、Si含有量は1.85〜2.15%
とすることが好ましい。
5%とした。なお、Si含有量は1.85〜2.15%
とすることが好ましい。
【0038】Mn:Mnは鋼の焼入れ性を高め、機械部
品を熱処理して残留オ−ステナイトとベイナイト、ある
いは残留オ−ステナイトとベイナイト及びマルテンサイ
トの複合組織を得るために必須の合金元素である。Cと
Siだけでは焼入れ性が充分でないためにMn含有量が
1.25%未満の場合、恒温熱処理時にパーライト変態
を伴ってその後のベイナイトの生成とオ−ステナイトの
残留に支障をきたす。一方、1.55%を超えて含有す
れば熱間での加工時に割れを生じ易くなると共に、オ−
ステナイトを残留させるための恒温処理時間が長くなる
ので逆に残留するオ−ステナイトの量が減少する。この
ためMnの含有量を1.25〜1.55%とした。
品を熱処理して残留オ−ステナイトとベイナイト、ある
いは残留オ−ステナイトとベイナイト及びマルテンサイ
トの複合組織を得るために必須の合金元素である。Cと
Siだけでは焼入れ性が充分でないためにMn含有量が
1.25%未満の場合、恒温熱処理時にパーライト変態
を伴ってその後のベイナイトの生成とオ−ステナイトの
残留に支障をきたす。一方、1.55%を超えて含有す
れば熱間での加工時に割れを生じ易くなると共に、オ−
ステナイトを残留させるための恒温処理時間が長くなる
ので逆に残留するオ−ステナイトの量が減少する。この
ためMnの含有量を1.25〜1.55%とした。
【0039】S:Sは添加しなくても良い。添加すれば
上記のMnと結合してMnSを生成し、鋼の被削性を高
める作用を有する。この効果を確実に得るには、Sは
0.010%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が0.050%を超えると熱間加工性の
劣化をきたす。従って、Sの含有量を0.050%以下
とした。なおS含有量の上限は0.035%とすること
が好ましい。
上記のMnと結合してMnSを生成し、鋼の被削性を高
める作用を有する。この効果を確実に得るには、Sは
0.010%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が0.050%を超えると熱間加工性の
劣化をきたす。従って、Sの含有量を0.050%以下
とした。なおS含有量の上限は0.035%とすること
が好ましい。
【0040】Cr:工業的規模で溶製した場合に、サブ
ゼロ処理後に所要の残留オ−ステナイト量を確保するた
めには、不純物元素としてのCrのミクロ偏析率(製品
分析値/とりべ分析値)を1.20以下に抑えることが
極めて重要となる。
ゼロ処理後に所要の残留オ−ステナイト量を確保するた
めには、不純物元素としてのCrのミクロ偏析率(製品
分析値/とりべ分析値)を1.20以下に抑えることが
極めて重要となる。
【0041】工業的規模で溶製後、熱間での所要形状
への加工の前及び/又は後でソーキングを行わない場合
には、不純物元素としてのCrの含有量が0.05%を
超えると上記のミクロ偏析率が1.20を超えるのでサ
ブゼロ処理後に所要の残留オ−ステナイト量であるとこ
ろの体積率で40%以上の量を確保できず、16×10
-6/℃以上の室温〜200℃での熱膨張率が得られな
い。従って、(1)の発明の場合には、不純物元素とし
てのCr含有量の上限を0.05%とした。
への加工の前及び/又は後でソーキングを行わない場合
には、不純物元素としてのCrの含有量が0.05%を
超えると上記のミクロ偏析率が1.20を超えるのでサ
ブゼロ処理後に所要の残留オ−ステナイト量であるとこ
ろの体積率で40%以上の量を確保できず、16×10
-6/℃以上の室温〜200℃での熱膨張率が得られな
い。従って、(1)の発明の場合には、不純物元素とし
てのCr含有量の上限を0.05%とした。
【0042】工業的規模で溶製して不純物元素として
のCr含有量が0.20%を超える場合には、熱間での
所要形状への加工の前及び/又は後でソーキング(均
熱)を行っても上記のミクロ偏析率を1.20以下に抑
えることは極めて困難である。
のCr含有量が0.20%を超える場合には、熱間での
所要形状への加工の前及び/又は後でソーキング(均
熱)を行っても上記のミクロ偏析率を1.20以下に抑
えることは極めて困難である。
【0043】この場合には、所要の体積率である40%
以上の残留オ−ステナイト量を安定して確保できず、1
6×10-6/℃以上の室温〜200℃での熱膨張率が得
られない。
以上の残留オ−ステナイト量を安定して確保できず、1
6×10-6/℃以上の室温〜200℃での熱膨張率が得
られない。
【0044】又、熱間での所要形状への加工の前及び/
又は後でのソーキングを行うことでミクロ偏析率を1.
20以下に抑えることができる場合でも、極めて高温で
長時間処理しなければならないので、オ−ステナイト粒
の粗大化や多大なスケールロスをきたし、更にエネルギ
ー消費も大きくなるという問題を生ずる。
又は後でのソーキングを行うことでミクロ偏析率を1.
20以下に抑えることができる場合でも、極めて高温で
長時間処理しなければならないので、オ−ステナイト粒
の粗大化や多大なスケールロスをきたし、更にエネルギ
ー消費も大きくなるという問題を生ずる。
【0045】従って、(2)の発明の場合には、不純物
元素としてのCr含有量の上限を0.20%とした。
元素としてのCr含有量の上限を0.20%とした。
【0046】P:不純物元素であるPはいかなる熱処理
を施してもその粒界偏析を消滅させることはできず、特
に、0.030%を超えて含有すると著しい粒界強度の
低下と靭性劣化をもたらす。従って、最終製品としての
機械部品に良好な機械的性質を付与するため、P含有量
の上限を0.030%とした。
を施してもその粒界偏析を消滅させることはできず、特
に、0.030%を超えて含有すると著しい粒界強度の
低下と靭性劣化をもたらす。従って、最終製品としての
機械部品に良好な機械的性質を付与するため、P含有量
の上限を0.030%とした。
【0047】(B)熱処理 (B−1)鋼材の加熱温度 鋼材、すなわち板・棒・線・管などの中間材、又は、こ
れらから作製された各種の部品を熱処理して体積率で4
0〜65%のオ−ステナイトと残部がベイナイトもしく
はベイナイトとマルテンサイトの複合組織とするために
は、先ずAc3点以上又はAcm点以上の温度に加熱してオ
−ステナイト組織とする必要がある。この加熱温度は細
粒の安定なオ−ステナイト状態とするために820〜9
80℃とすることが好ましい。又、このオ−ステナイト
化の加熱処理に際し、保持時間は細粒のオ−ステナイト
組織を得るために4時間未満とすることが好ましい。
れらから作製された各種の部品を熱処理して体積率で4
0〜65%のオ−ステナイトと残部がベイナイトもしく
はベイナイトとマルテンサイトの複合組織とするために
は、先ずAc3点以上又はAcm点以上の温度に加熱してオ
−ステナイト組織とする必要がある。この加熱温度は細
粒の安定なオ−ステナイト状態とするために820〜9
80℃とすることが好ましい。又、このオ−ステナイト
化の加熱処理に際し、保持時間は細粒のオ−ステナイト
組織を得るために4時間未満とすることが好ましい。
【0048】(B−2)冷却と恒温処理及びサブゼロ処
理 オ−ステナイト化加熱の後、所望の組織を得るために
は、オ−ステナイトからベイナイトへの変態に先立っ
て、オ−ステナイトから冷却する途上でパーライトが生
成しないようにその生成臨界冷却速度よりも大きい冷却
速度で急冷する必要がある。これは、パーライトが生成
してしまうと未変態のオ−ステナイト量が少なくなるた
め、その後の恒温変態とサブゼロ処理で残留するオ−ス
テナイトの量が所要量の下限値の40%に達しなくなる
からである。
理 オ−ステナイト化加熱の後、所望の組織を得るために
は、オ−ステナイトからベイナイトへの変態に先立っ
て、オ−ステナイトから冷却する途上でパーライトが生
成しないようにその生成臨界冷却速度よりも大きい冷却
速度で急冷する必要がある。これは、パーライトが生成
してしまうと未変態のオ−ステナイト量が少なくなるた
め、その後の恒温変態とサブゼロ処理で残留するオ−ス
テナイトの量が所要量の下限値の40%に達しなくなる
からである。
【0049】上記のパーライトの生成臨界冷却速度より
も大きい冷却速度で急冷し、恒温処理する温度域は55
0℃からMs点の間とする必要がある。急冷・恒温処理
する温度域が550℃を超えるとパーライトが生成して
しまい、Ms点を下回れば多量のマルテンサイトが生成
してしまって、いずれもサブゼロ処理後に所望量の下限
値である40%を下回る量のオ−ステナイトしか残留し
ないからである。
も大きい冷却速度で急冷し、恒温処理する温度域は55
0℃からMs点の間とする必要がある。急冷・恒温処理
する温度域が550℃を超えるとパーライトが生成して
しまい、Ms点を下回れば多量のマルテンサイトが生成
してしまって、いずれもサブゼロ処理後に所望量の下限
値である40%を下回る量のオ−ステナイトしか残留し
ないからである。
【0050】上記の温度域での恒温保持は、これによっ
てオ−ステナイトの一部をベイナイトに変態させ、且つ
未変態のオ−ステナイトを安定化させるために行う。ベ
イナイトの生成量が少なすぎると未変態オ−ステナイト
の安定化が不十分となってサブゼロ処理後に残留するオ
−ステナイトの量が所要量の下限値の40%に達しなく
なってしまうので、充分な量のベイナイトの変態生成に
必要な時間の恒温保持が必要である。一方、ベイナイト
変態させるための恒温処理時間を長くすればオ−ステナ
イトが熱分解してしまって残留するオ−ステナイト量が
やはり減少してしまう。このため、上記の温度域での恒
温保持時間は15分以上3時間未満とすることが好まし
い。
てオ−ステナイトの一部をベイナイトに変態させ、且つ
未変態のオ−ステナイトを安定化させるために行う。ベ
イナイトの生成量が少なすぎると未変態オ−ステナイト
の安定化が不十分となってサブゼロ処理後に残留するオ
−ステナイトの量が所要量の下限値の40%に達しなく
なってしまうので、充分な量のベイナイトの変態生成に
必要な時間の恒温保持が必要である。一方、ベイナイト
変態させるための恒温処理時間を長くすればオ−ステナ
イトが熱分解してしまって残留するオ−ステナイト量が
やはり減少してしまう。このため、上記の温度域での恒
温保持時間は15分以上3時間未満とすることが好まし
い。
【0051】上記のパーライトの生成臨界冷却速度より
も大きい冷却速度で急冷して恒温処理するには、前記の
温度域の温度に設定した塩浴や鉛浴の中に浸漬したり、
流動層熱処理炉を用いれば良い。
も大きい冷却速度で急冷して恒温処理するには、前記の
温度域の温度に設定した塩浴や鉛浴の中に浸漬したり、
流動層熱処理炉を用いれば良い。
【0052】恒温処理後の室温までの冷却は任意の冷却
速度で行って良い。
速度で行って良い。
【0053】サブゼロ処理は上記の恒温処理後に室温ま
で冷却した際の残留オ−ステナイトのうち不安定なもの
をマルテンサイトに変態させて、最終製品たる機械部品
に安定した特性を付与するために行う。このサブゼロ処
理の温度は、寒冷地域では冬場に−60℃程度にまで気
温が低下することを考えると、最終製品たる機械部品に
安定した特性を付与するために−60〜−85℃の所謂
「普通サブゼロ」処理の温度とすれば充分である。この
温度を下回る所謂「超サブゼロ」処理を行っても良い。
で冷却した際の残留オ−ステナイトのうち不安定なもの
をマルテンサイトに変態させて、最終製品たる機械部品
に安定した特性を付与するために行う。このサブゼロ処
理の温度は、寒冷地域では冬場に−60℃程度にまで気
温が低下することを考えると、最終製品たる機械部品に
安定した特性を付与するために−60〜−85℃の所謂
「普通サブゼロ」処理の温度とすれば充分である。この
温度を下回る所謂「超サブゼロ」処理を行っても良い。
【0054】サブゼロ処理後室温までの昇温は室温放置
によっても良いし、水中や油中に浸漬する所謂「サブゼ
ロ急熱法」によっても良い。
によっても良いし、水中や油中に浸漬する所謂「サブゼ
ロ急熱法」によっても良い。
【0055】機械装置はその運転中に100℃程度には
必ず温度上昇し、200℃程度まで温度が上昇する場合
も多い。従って、上記のサブゼロ処理で変態したマルテ
ンサイトは低温での焼戻しを受けることになるので、サ
ブゼロ処理後の焼戻しは必ずしも必要ではない。
必ず温度上昇し、200℃程度まで温度が上昇する場合
も多い。従って、上記のサブゼロ処理で変態したマルテ
ンサイトは低温での焼戻しを受けることになるので、サ
ブゼロ処理後の焼戻しは必ずしも必要ではない。
【0056】(C)ミクロ組織 室温〜200℃での熱膨張率を16×10-6/℃以上と
するためには、体積率で40%以上のオ−ステナイトが
残留していなければならない。一方、残留オ−ステナイ
トの量が体積率で65%を超えると、機械構造用鋼に要
求される所望の最低硬度(ビッカース硬度で200)が
得難くなる。従って、オ−ステナイト組織の割合を体積
率で40〜65%とした。所望の熱膨張率を得るための
オ−ステナイト以外の残部の組織は、恒温処理とサブゼ
ロ処理によって生成したベイナイト、又はベイナイトと
マルテンサイトであれば良い。
するためには、体積率で40%以上のオ−ステナイトが
残留していなければならない。一方、残留オ−ステナイ
トの量が体積率で65%を超えると、機械構造用鋼に要
求される所望の最低硬度(ビッカース硬度で200)が
得難くなる。従って、オ−ステナイト組織の割合を体積
率で40〜65%とした。所望の熱膨張率を得るための
オ−ステナイト以外の残部の組織は、恒温処理とサブゼ
ロ処理によって生成したベイナイト、又はベイナイトと
マルテンサイトであれば良い。
【0057】(D)室温での硬度 強度が要求される機械構造用鋼では、多くの場合にビッ
カース硬度で200以上が必要である。従って、機械部
品など機械構造用鋼への用途を想定している本発明で
は、ビッカース硬度は200以上なければならない。一
方、ビッカース硬度で385を上回ると遅れ破壊を生じ
ることが多くなるので、硬度の上限をビッカース硬度で
385とした。
カース硬度で200以上が必要である。従って、機械部
品など機械構造用鋼への用途を想定している本発明で
は、ビッカース硬度は200以上なければならない。一
方、ビッカース硬度で385を上回ると遅れ破壊を生じ
ることが多くなるので、硬度の上限をビッカース硬度で
385とした。
【0058】(E)熱膨張率 各種機械装置の軽量化が求められて鋼とアルミニウムあ
るいはアルミニウム合金などの非鉄金属材料との共用を
図る場合、これらの非鉄金属材料の熱膨張率が一般に鋼
のそれより大きい(例えば、Alの場合には22×10
-6/℃程度)ため、熱膨張率の不一致から様々な技術的
問題(例えば、締結部の緩みによる締結強度の低下や振
動など)が発生する。しかし、非鉄金属材料の熱膨張率
の低下には技術的な限界があって、現在のところ鋼の熱
膨張率に近づけることは困難な状況にある。そこでオ−
ステナイト組織がフェライト組織よりも大きな熱膨張率
を有することを利用して、鋼の室温〜200℃での熱膨
張率を16×10-6/℃以上にする。鋼と非鉄金属材料
との熱膨張率の差異がほぼ8×10-6/℃以下であれ
ば、併用する相手材としての非鉄金属材料が何であって
も、機械装置が200℃程度まで昇温した場合でも実用
上問題がない。
るいはアルミニウム合金などの非鉄金属材料との共用を
図る場合、これらの非鉄金属材料の熱膨張率が一般に鋼
のそれより大きい(例えば、Alの場合には22×10
-6/℃程度)ため、熱膨張率の不一致から様々な技術的
問題(例えば、締結部の緩みによる締結強度の低下や振
動など)が発生する。しかし、非鉄金属材料の熱膨張率
の低下には技術的な限界があって、現在のところ鋼の熱
膨張率に近づけることは困難な状況にある。そこでオ−
ステナイト組織がフェライト組織よりも大きな熱膨張率
を有することを利用して、鋼の室温〜200℃での熱膨
張率を16×10-6/℃以上にする。鋼と非鉄金属材料
との熱膨張率の差異がほぼ8×10-6/℃以下であれ
ば、併用する相手材としての非鉄金属材料が何であって
も、機械装置が200℃程度まで昇温した場合でも実用
上問題がない。
【0059】(F)ソーキング(均熱) 工業的規模で溶製した場合でも、ソーキング(均熱)を
施さなくともCrのミクロ偏析率(製品分析値/とりべ
分析値)を1.20以下に抑えることが可能な(1)の
発明の対象鋼(不純物元素としてのCr含有量が0.0
5%以下の鋼)に対しては、前記(B)の熱処理を行う
だけで所望の組織、換言すれば所望の特性を付与でき
る。
施さなくともCrのミクロ偏析率(製品分析値/とりべ
分析値)を1.20以下に抑えることが可能な(1)の
発明の対象鋼(不純物元素としてのCr含有量が0.0
5%以下の鋼)に対しては、前記(B)の熱処理を行う
だけで所望の組織、換言すれば所望の特性を付与でき
る。
【0060】しかし、(2)の発明の対象鋼であるCr
含有量が0.20%以下の鋼において、なかでもCr含
有量が0.05%を超え0.20%以下の鋼の場合には
前記(B)の熱処理を行うだけでは所望の組織が得られ
ない。上記鋼に対してCrのミクロ偏析率を1.20以
下に抑えるためには、熱間での所要形状への加工の前及
び/又は後でソーキングを行う必要がある。このソーキ
ングはCrのミクロ偏析率を低くすると共にオ−ステナ
イトの粗大化を防止するために、1000〜1280℃
の温度域で1〜20時間程度行うことが好ましい。
含有量が0.20%以下の鋼において、なかでもCr含
有量が0.05%を超え0.20%以下の鋼の場合には
前記(B)の熱処理を行うだけでは所望の組織が得られ
ない。上記鋼に対してCrのミクロ偏析率を1.20以
下に抑えるためには、熱間での所要形状への加工の前及
び/又は後でソーキングを行う必要がある。このソーキ
ングはCrのミクロ偏析率を低くすると共にオ−ステナ
イトの粗大化を防止するために、1000〜1280℃
の温度域で1〜20時間程度行うことが好ましい。
【0061】このCr含有量が0.20%以下の鋼に対
して、熱間での所要形状への加工の前及び/又は後でソ
ーキングを行い、更に前記(B)の熱処理を行えば所望
の組織、換言すれば所望の特性を付与できる。
して、熱間での所要形状への加工の前及び/又は後でソ
ーキングを行い、更に前記(B)の熱処理を行えば所望
の組織、換言すれば所望の特性を付与できる。
【0062】前記のソーキングは熱間での所要形状への
加工の前及び/又は後で1〜3回行えば充分である。4
回以上のソーキングはCrのミクロ偏析率低減の効果が
小さい反面スケールロスやエネルギーロスを生じて経済
的でない。
加工の前及び/又は後で1〜3回行えば充分である。4
回以上のソーキングはCrのミクロ偏析率低減の効果が
小さい反面スケールロスやエネルギーロスを生じて経済
的でない。
【0063】前記したように不純物元素としてのCr含
有量が0.05%以下の鋼に対しては、前記(B)の熱
処理を行うだけで所望の組織、換言すれば所望の特性を
付与できるため、熱間での所要形状への加工の前及び/
又は後でソーキングを行うことは必須ではない。しか
し、Crのミクロ偏析率を一層低くしたい場合には、上
記ソーキングを行っても良い。
有量が0.05%以下の鋼に対しては、前記(B)の熱
処理を行うだけで所望の組織、換言すれば所望の特性を
付与できるため、熱間での所要形状への加工の前及び/
又は後でソーキングを行うことは必須ではない。しか
し、Crのミクロ偏析率を一層低くしたい場合には、上
記ソーキングを行っても良い。
【0064】なお、鋼塊段階でのCrのミクロ偏析率を
低減しておけば鋼片の段階におけるCrのミクロ偏析率
が低減するために、鋼塊は連続鋳造で製造される鋳片と
することが好ましい。やむを得ず鋼塊を造塊法で製造す
る場合には、Crのミクロ偏析率を低減するために鋳型
はできるだけ小さいものを用いることが好ましい。
低減しておけば鋼片の段階におけるCrのミクロ偏析率
が低減するために、鋼塊は連続鋳造で製造される鋳片と
することが好ましい。やむを得ず鋼塊を造塊法で製造す
る場合には、Crのミクロ偏析率を低減するために鋳型
はできるだけ小さいものを用いることが好ましい。
【0065】以下、実施例に関連させて本発明を更に具
体的に説明する。
体的に説明する。
【0066】
【実施例】表1に示す化学組成を有する鋼を通常の方法
によって70t転炉溶製し、連続鋳造によって厚さ30
0mm×幅400mmの鋳片とした後、通常の方法によ
って1150℃に加熱してから270mm×270mm
の中間鋼片を作製した。なお、表1はとりべ分析値を示
すものである。
によって70t転炉溶製し、連続鋳造によって厚さ30
0mm×幅400mmの鋳片とした後、通常の方法によ
って1150℃に加熱してから270mm×270mm
の中間鋼片を作製した。なお、表1はとりべ分析値を示
すものである。
【0067】次いで、上記の中間鋼片を素材として表2
に示した条件で一旦180mm×180mmの角材とし
た後、直径が30mmの丸棒に圧延し、更に表2に示し
た条件で熱処理を施した後、丸棒から製品分析試験片、
ミクロ試験片及び熱膨張測定用試験片を切り出した。な
お、オ−ステナイト域の温度に加熱した後の急冷・恒温
保持の処理には塩浴炉を用いた。
に示した条件で一旦180mm×180mmの角材とし
た後、直径が30mmの丸棒に圧延し、更に表2に示し
た条件で熱処理を施した後、丸棒から製品分析試験片、
ミクロ試験片及び熱膨張測定用試験片を切り出した。な
お、オ−ステナイト域の温度に加熱した後の急冷・恒温
保持の処理には塩浴炉を用いた。
【0068】ミクロ試験片を用いて、ミクロ組織の観察
を行うと共に残留オ−ステナイト量と室温でのビッカー
ス硬度を測定した。なお、残留オ−ステナイト量の測定
にはフェライト相及びオ−ステナイト相のX線回折強度
積分値から求める通常の方法を用いた。
を行うと共に残留オ−ステナイト量と室温でのビッカー
ス硬度を測定した。なお、残留オ−ステナイト量の測定
にはフェライト相及びオ−ステナイト相のX線回折強度
積分値から求める通常の方法を用いた。
【0069】熱膨張率は室温〜200℃の間の線膨張係
数から求めた。
数から求めた。
【0070】Crのミクロ偏析率、残留オ−ステナイト
量、室温でのビッカース硬度及び室温〜200℃の熱膨
張率の測定結果を表3に示す。なお、ミクロ組織はすべ
ての場合において残留オ−ステナイトとベイナイト、又
は残留オ−ステナイト、ベイナイト及びマルテンサイト
から構成されていた。
量、室温でのビッカース硬度及び室温〜200℃の熱膨
張率の測定結果を表3に示す。なお、ミクロ組織はすべ
ての場合において残留オ−ステナイトとベイナイト、又
は残留オ−ステナイト、ベイナイト及びマルテンサイト
から構成されていた。
【0071】表3の結果から、本発明で規定する化学組
成を有し、且つ本発明で規定する条件で処理された鋼材
(試験番号 1〜 8)にあっては、Crのミクロ偏析率が
1.20以下であり所定のミクロ組織を有しているの
で、所望の室温におけるビッカース硬度と室温〜200
℃の熱膨張率が得られている。
成を有し、且つ本発明で規定する条件で処理された鋼材
(試験番号 1〜 8)にあっては、Crのミクロ偏析率が
1.20以下であり所定のミクロ組織を有しているの
で、所望の室温におけるビッカース硬度と室温〜200
℃の熱膨張率が得られている。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【発明の効果】本発明の高硬度・高熱膨張率鋼材の製造
方法によれば、比較的容易に体積率で40〜65%のオ
−ステナイトと残部がベイナイトもしくはベイナイトと
マルテンサイトの複合組織が得られるので、室温でのビ
ッカース硬度が200〜385且つ室温〜200℃での
熱膨張率が16×10-6/℃以上の特性を有する鋼材を
製造することが可能である。この鋼材をアルミニウムあ
るいはアルミニウム合金などの軽量非鉄金属材料と併用
しても熱膨張率の差異に基づく技術的問題が生ずること
はなく、従って、機械装置の強度と軽量化とを両立させ
ることができる。
方法によれば、比較的容易に体積率で40〜65%のオ
−ステナイトと残部がベイナイトもしくはベイナイトと
マルテンサイトの複合組織が得られるので、室温でのビ
ッカース硬度が200〜385且つ室温〜200℃での
熱膨張率が16×10-6/℃以上の特性を有する鋼材を
製造することが可能である。この鋼材をアルミニウムあ
るいはアルミニウム合金などの軽量非鉄金属材料と併用
しても熱膨張率の差異に基づく技術的問題が生ずること
はなく、従って、機械装置の強度と軽量化とを両立させ
ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.80〜1.10%、S
i:1.80〜2.15%、Mn:1.25〜1.55
%、S:0.050%以下、Cr:0.05%以下、
P:0.030%以下、残部はFe及び不可避不純物の
組成を有する鋼材を、オ−ステナイト域の温度に加熱し
た後、550℃からMs点までの温度域に急冷し、その
温度域で恒温保持した後に室温まで冷却し、更にサブゼ
ロ処理することを特徴とする、体積率で40〜65%の
オ−ステナイトと残部がベイナイトもしくはベイナイト
とマルテンサイトの複合組織からなり、室温でのビッカ
ース硬度が200〜385、室温〜200℃での熱膨張
率が16×10-6/℃以上である高硬度・高熱膨張率鋼
材の製造方法。 - 【請求項2】重量%で、C:0.80〜1.10%、S
i:1.80〜2.15%、Mn:1.25〜1.55
%、S:0.050%以下、Cr:0.20%以下、
P:0.030%以下、残部はFe及び不可避不純物の
組成を有する鋼片に、熱間での所要形状への加工の前及
び/又は後でソーキングを施し、次いで、オ−ステナイ
ト域の温度に加熱した後、550℃からMs点までの温
度域に急冷し、その温度域で恒温保持した後に室温まで
冷却し、更にサブゼロ処理することを特徴とする、体積
率で40〜65%のオ−ステナイトと残部がベイナイト
もしくはベイナイトとマルテンサイトの複合組織からな
り、室温でのビッカース硬度が200〜385、室温〜
200℃での熱膨張率が16×10-6/℃以上である高
硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31914695A JPH09157740A (ja) | 1995-12-07 | 1995-12-07 | 高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31914695A JPH09157740A (ja) | 1995-12-07 | 1995-12-07 | 高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09157740A true JPH09157740A (ja) | 1997-06-17 |
Family
ID=18106961
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31914695A Pending JPH09157740A (ja) | 1995-12-07 | 1995-12-07 | 高硬度・高熱膨張率鋼材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09157740A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100401985B1 (ko) * | 1998-12-01 | 2004-02-18 | 주식회사 포스코 | 고강도 이상복합조직강 제조방법 |
JP2008518169A (ja) * | 2004-10-29 | 2008-05-29 | リンデ アクチエンゲゼルシヤフト | 遮断装置及び遮断装置の製造方法 |
JP2014517151A (ja) * | 2011-05-17 | 2014-07-17 | アクティエボラゲット・エスコーエッフ | 改善された軸受鋼 |
-
1995
- 1995-12-07 JP JP31914695A patent/JPH09157740A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100401985B1 (ko) * | 1998-12-01 | 2004-02-18 | 주식회사 포스코 | 고강도 이상복합조직강 제조방법 |
JP2008518169A (ja) * | 2004-10-29 | 2008-05-29 | リンデ アクチエンゲゼルシヤフト | 遮断装置及び遮断装置の製造方法 |
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