JPH09279246A - 鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法Info
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- JPH09279246A JPH09279246A JP8089160A JP8916096A JPH09279246A JP H09279246 A JPH09279246 A JP H09279246A JP 8089160 A JP8089160 A JP 8089160A JP 8916096 A JP8916096 A JP 8916096A JP H09279246 A JPH09279246 A JP H09279246A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 MnSe、MnS をインヒビターとする方向性電磁
鋼板の製造方法において、従来より低鉄損の鋼板を安定
して製造する。 【解決手段】 熱間圧延に供するスラブ中のTi、Al量
を、それぞれTi:10ppm 以下、Al:10ppm 以下にする。
中間焼鈍に引き続く冷却を、鋼板の表面温度が900〜200
℃である間は冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭化物
の析出を防止する。中間焼鈍後の冷間圧延を、鋼板の表
面が100 ℃〜250 ℃となる温度で行う。
鋼板の製造方法において、従来より低鉄損の鋼板を安定
して製造する。 【解決手段】 熱間圧延に供するスラブ中のTi、Al量
を、それぞれTi:10ppm 以下、Al:10ppm 以下にする。
中間焼鈍に引き続く冷却を、鋼板の表面温度が900〜200
℃である間は冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭化物
の析出を防止する。中間焼鈍後の冷間圧延を、鋼板の表
面が100 ℃〜250 ℃となる温度で行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、MnSe、MnS とい
ったMn化合物をインヒビターとして用いる方向性電磁鋼
板の製造方法に関し、特に低鉄損の製品を安定して得る
ことのできる方法を提案しようとするものである。
ったMn化合物をインヒビターとして用いる方向性電磁鋼
板の製造方法に関し、特に低鉄損の製品を安定して得る
ことのできる方法を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、トランス等の電気機
器の鉄心材料として用いられるものであり、その特性と
して、鉄損が低く、磁束密度が高いことが要求される。
器の鉄心材料として用いられるものであり、その特性と
して、鉄損が低く、磁束密度が高いことが要求される。
【0003】このような磁気特性の優れた方向性電磁鋼
板を製造するには、その一連の製造工程における最終仕
上焼鈍によって、(110)〔001〕方位、いわゆる
ゴス方位に高度に揃った二次再結晶粒を得ることか必要
である。そのためには、二次再結晶過程で(110)
〔001〕方位以外の好ましくない方位をもつ結晶粒の
成長を抑制するインヒビターの存在が不可欠であり、こ
のインヒビターには、AlN 系インヒビターやMnSe、MnS
系インヒビターが用いられている。
板を製造するには、その一連の製造工程における最終仕
上焼鈍によって、(110)〔001〕方位、いわゆる
ゴス方位に高度に揃った二次再結晶粒を得ることか必要
である。そのためには、二次再結晶過程で(110)
〔001〕方位以外の好ましくない方位をもつ結晶粒の
成長を抑制するインヒビターの存在が不可欠であり、こ
のインヒビターには、AlN 系インヒビターやMnSe、MnS
系インヒビターが用いられている。
【0004】また、ゴス方位二次再結晶粒を完全に発達
させるためには、上記のようなインヒビターの存在とと
もに、最終仕上焼鈍前の鋼板に、(110)〔001〕
方位の二次再結晶粒が優先的に核発生し成長できるよう
な一次再結晶粒の集合組織を形成させておくことが極め
て重要とされる。このような一次再結晶集合組織は、方
向性電磁鋼板の複雑な製造工程、とりわけ熱延工程から
冷延工程にわたる各処理条件を適切に組み合わせること
によって初めて得られるものであり、従来技術における
この一次再結晶集合組織の制御手段としては、最終冷延
圧下率を所定の範囲内にする方法があるほか、特開昭5
8−157917号公報、特公昭62−37688号公
報に記載されているような中間焼鈍後に炭化物を微細分
散析出させる方法がある。
させるためには、上記のようなインヒビターの存在とと
もに、最終仕上焼鈍前の鋼板に、(110)〔001〕
方位の二次再結晶粒が優先的に核発生し成長できるよう
な一次再結晶粒の集合組織を形成させておくことが極め
て重要とされる。このような一次再結晶集合組織は、方
向性電磁鋼板の複雑な製造工程、とりわけ熱延工程から
冷延工程にわたる各処理条件を適切に組み合わせること
によって初めて得られるものであり、従来技術における
この一次再結晶集合組織の制御手段としては、最終冷延
圧下率を所定の範囲内にする方法があるほか、特開昭5
8−157917号公報、特公昭62−37688号公
報に記載されているような中間焼鈍後に炭化物を微細分
散析出させる方法がある。
【0005】また、特開昭60−121223号公報に
は、適切な量のMoを添加し、最終冷延を温間圧延とする
ことにより、更に、特開昭61−149432号公報に
は、中間焼鈍後の冷却の際、急冷と加工歪の付与との組
み合わせにより、それぞれ一次再結晶集合組織を制御す
ることが試みられている。
は、適切な量のMoを添加し、最終冷延を温間圧延とする
ことにより、更に、特開昭61−149432号公報に
は、中間焼鈍後の冷却の際、急冷と加工歪の付与との組
み合わせにより、それぞれ一次再結晶集合組織を制御す
ることが試みられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した方法は、いず
れも鉄損の低い方向性電磁鋼板を得るには有効であった
けれども、低鉄損の方向性電磁鋼板を安定して製造する
という観点からは、なお改善の余地が残されていた。例
えば、板厚0.23mmの場合にW17/50が0.87W/kg以下のもの
の収率が70%、板厚0.35mmの場合にW17/50が1.15W/kg以
下のものの収率が60%ということもあった。
れも鉄損の低い方向性電磁鋼板を得るには有効であった
けれども、低鉄損の方向性電磁鋼板を安定して製造する
という観点からは、なお改善の余地が残されていた。例
えば、板厚0.23mmの場合にW17/50が0.87W/kg以下のもの
の収率が70%、板厚0.35mmの場合にW17/50が1.15W/kg以
下のものの収率が60%ということもあった。
【0007】また、方向性電磁鋼板に対する低鉄損への
要請は、省エネルギーを達成するために止まるところは
なく、より一層の低鉄損化が望まれていた。
要請は、省エネルギーを達成するために止まるところは
なく、より一層の低鉄損化が望まれていた。
【0008】この発明は、MnSe、MnS をインヒビターと
する方向性電磁鋼板において、従来より低鉄損の電磁鋼
板を安定して製造することのできる方法を提案すること
を目的とする。
する方向性電磁鋼板において、従来より低鉄損の電磁鋼
板を安定して製造することのできる方法を提案すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記の目的を
達成すべく研究開発を進めた結果、低鉄損方向性電磁鋼
板を安定して得るためには、従来技術のように中間焼鈍
後に炭化物を析出させるよりはむしろ、炭化物を析出さ
せないほうが好ましく、そして、このような状態にある
鋼板を温間圧延することにより、その後は特に好ましい
一次再結晶粒が得られることを見出した。更に、このよ
うな有利な一次再結晶粒は、熱延前のスラブ中のTi量、
Al量を低減することによって初めて得られることを見出
した。
達成すべく研究開発を進めた結果、低鉄損方向性電磁鋼
板を安定して得るためには、従来技術のように中間焼鈍
後に炭化物を析出させるよりはむしろ、炭化物を析出さ
せないほうが好ましく、そして、このような状態にある
鋼板を温間圧延することにより、その後は特に好ましい
一次再結晶粒が得られることを見出した。更に、このよ
うな有利な一次再結晶粒は、熱延前のスラブ中のTi量、
Al量を低減することによって初めて得られることを見出
した。
【0010】この発明は、上記の知見に立脚するもので
ある。すなわち、この発明は、C:0.01〜0.06wt%、S
i:2.0 〜4.0 wt%、Mn:0.01〜0.2 wt%及びSe、Sの
いずれか1種又は2種を合計で0.005 〜0.1 wt%含有す
る方向性電磁鋼板用スラブを熱間圧延した後、中間焼鈍
を挟む2回の冷間圧延を施して最終冷延板厚とし、次い
で脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を行った後、焼鈍分離剤
を塗布してから最終仕上焼鈍を施す一連の製造工程より
なる方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延に供
するスラブ中のTi、Al量を、それぞれTi:10wtppm (以
下、単にppm で示す。)以下、Al:10ppm 以下にするこ
と、中間焼鈍に引き続く冷却を、鋼板の表面温度が900
〜200 ℃である間は冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭
化物の析出を防止すること、及び中間焼鈍後の冷間圧延
を、鋼板の表面が100 ℃〜250 ℃となる温度で行うこと
の結合を特徴とする鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方
法である。
ある。すなわち、この発明は、C:0.01〜0.06wt%、S
i:2.0 〜4.0 wt%、Mn:0.01〜0.2 wt%及びSe、Sの
いずれか1種又は2種を合計で0.005 〜0.1 wt%含有す
る方向性電磁鋼板用スラブを熱間圧延した後、中間焼鈍
を挟む2回の冷間圧延を施して最終冷延板厚とし、次い
で脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を行った後、焼鈍分離剤
を塗布してから最終仕上焼鈍を施す一連の製造工程より
なる方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延に供
するスラブ中のTi、Al量を、それぞれTi:10wtppm (以
下、単にppm で示す。)以下、Al:10ppm 以下にするこ
と、中間焼鈍に引き続く冷却を、鋼板の表面温度が900
〜200 ℃である間は冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭
化物の析出を防止すること、及び中間焼鈍後の冷間圧延
を、鋼板の表面が100 ℃〜250 ℃となる温度で行うこと
の結合を特徴とする鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方
法である。
【0011】
【発明の実施の形態】先に述べたこの発明の解明経緯か
ら分かるように、この発明では、(1) スラブ中のTi、Al
といった不純物の含有量を削減し、(2) 2回目の冷間圧
延時において、その次に行われる1次再結晶時の再結晶
を促進するため、歪みエネルギーの蓄積を増やすことが
必要である。
ら分かるように、この発明では、(1) スラブ中のTi、Al
といった不純物の含有量を削減し、(2) 2回目の冷間圧
延時において、その次に行われる1次再結晶時の再結晶
を促進するため、歪みエネルギーの蓄積を増やすことが
必要である。
【0012】上記(1) を達成するためには、製銑、製鋼
の際において、 酸化精錬の実施、 Ti、Al量の上昇の原因となる汚染源の除去(例えば、
Ti,Al含有量が極力少ない合金鉄や取鍋保温材の使用、
含Ti,Al鋼を受鋼処理した精錬容器(例えば、取鍋、脱
ガス槽)の洗浄処理(Ti、Al無添加溶鋼を事前に受鋼処
理するなど))、 Ti、Alの酸化物を含有する耐火物の使用回避 等の処理を行い、スラブ中のTi、Alの含有量をいずれも
10ppm 以下とする。また、上記(2) を達成するために
は、1回目の冷間圧延後の中間焼鈍の後の冷却過程にお
いて、25℃/sec以上の急冷を行うことで、結晶粒内に炭
化物を析出させず、粒内に固溶した状態としたままで、
その第2回目の冷間圧延工程において、100 〜250 ℃の
板温となるような冷間圧延を行って、1次再結晶後の集
合組織を適切に制御するのである。
の際において、 酸化精錬の実施、 Ti、Al量の上昇の原因となる汚染源の除去(例えば、
Ti,Al含有量が極力少ない合金鉄や取鍋保温材の使用、
含Ti,Al鋼を受鋼処理した精錬容器(例えば、取鍋、脱
ガス槽)の洗浄処理(Ti、Al無添加溶鋼を事前に受鋼処
理するなど))、 Ti、Alの酸化物を含有する耐火物の使用回避 等の処理を行い、スラブ中のTi、Alの含有量をいずれも
10ppm 以下とする。また、上記(2) を達成するために
は、1回目の冷間圧延後の中間焼鈍の後の冷却過程にお
いて、25℃/sec以上の急冷を行うことで、結晶粒内に炭
化物を析出させず、粒内に固溶した状態としたままで、
その第2回目の冷間圧延工程において、100 〜250 ℃の
板温となるような冷間圧延を行って、1次再結晶後の集
合組織を適切に制御するのである。
【0013】図1に、Ti及びAlの含有量を種々に変化さ
せた複数本のスラブを用いて、常法に従い製造した方向
性電磁鋼板(板厚0.35mm)について、スラブのTi量、Al
量と製品の磁気特性との関係を調べた結果を示す。な
お、中間焼鈍後の冷却速度は25℃/sec以上、中間焼鈍後
の圧延は、100 ℃〜250 ℃となる温間圧延で行ってい
る。図1から明らかなように、Ti、Al不純物の量は、そ
れぞれ10ppm 以下でなければ中間焼鈍後の冷却条件や最
終冷延条件を満足させてもW17/50が1.15W/kg以下の低鉄
損方向性電磁鋼板を十分に得ることはできない。
せた複数本のスラブを用いて、常法に従い製造した方向
性電磁鋼板(板厚0.35mm)について、スラブのTi量、Al
量と製品の磁気特性との関係を調べた結果を示す。な
お、中間焼鈍後の冷却速度は25℃/sec以上、中間焼鈍後
の圧延は、100 ℃〜250 ℃となる温間圧延で行ってい
る。図1から明らかなように、Ti、Al不純物の量は、そ
れぞれ10ppm 以下でなければ中間焼鈍後の冷却条件や最
終冷延条件を満足させてもW17/50が1.15W/kg以下の低鉄
損方向性電磁鋼板を十分に得ることはできない。
【0014】また、図2にTi、Al不純物の量を、それぞ
れ10ppm 以下に抑制したスラブについて、図1と同様に
常法に従い中間焼鈍を行ってから、第2回目の冷間圧延
の温度を種々に変化させて最終板厚0.35mmとした方向性
電磁鋼板に関し、製品磁気特性に及ぼす第2回目の冷間
圧延時の鋼板温度の関係を示す。図2から、第2回目の
圧延を、鋼板温度が100 ℃以上になるような圧延とする
ことによって、W17/50が1.15W/kg以下という低鉄損の方
向性電磁鋼板を得ることができることがわかる。しか
し、第2回目の圧延時の鋼板温度が200 ℃以上になる
と、鉄損低減効果が少なくなる傾向となり、250 ℃を超
えると、W17/50が1.15W/kg以下の製品の収率が低下す
る。
れ10ppm 以下に抑制したスラブについて、図1と同様に
常法に従い中間焼鈍を行ってから、第2回目の冷間圧延
の温度を種々に変化させて最終板厚0.35mmとした方向性
電磁鋼板に関し、製品磁気特性に及ぼす第2回目の冷間
圧延時の鋼板温度の関係を示す。図2から、第2回目の
圧延を、鋼板温度が100 ℃以上になるような圧延とする
ことによって、W17/50が1.15W/kg以下という低鉄損の方
向性電磁鋼板を得ることができることがわかる。しか
し、第2回目の圧延時の鋼板温度が200 ℃以上になる
と、鉄損低減効果が少なくなる傾向となり、250 ℃を超
えると、W17/50が1.15W/kg以下の製品の収率が低下す
る。
【0015】この図2には、中間焼鈍での冷却速度を15
℃/secとして、焼鈍後の結晶粒内に微細なカーバイドを
析出させた場合(図中▲印)と、30℃/secとしてカーバ
イドを粒内に析出させずに粒内に固溶したままにした場
合(図中○印)とを示してある。両者の対比から明らか
なように、中間焼鈍で急冷を行い、カーバイドを粒内に
析出させずに粒内固溶させた場合のほうが、鉄損は低く
かつ100 〜250 ℃での温間圧延による低鉄損化も有効で
あった。なお、冷却速度を30℃/secとした場合は、100
Å以上の炭化物は、電子顕微鏡での観察では観察されな
かった。この発明におけるスラブのC含有量は、0.06wt
%以下であり、また、Ti量、Al量は、前述のとおりそれ
ぞれ10ppm 以下であり、これらの条件のもとで中間焼鈍
後の結晶粒内に炭化物を析出させないためには、中間焼
鈍時の冷却速度を25℃/sec以上とすることが必要であ
る。
℃/secとして、焼鈍後の結晶粒内に微細なカーバイドを
析出させた場合(図中▲印)と、30℃/secとしてカーバ
イドを粒内に析出させずに粒内に固溶したままにした場
合(図中○印)とを示してある。両者の対比から明らか
なように、中間焼鈍で急冷を行い、カーバイドを粒内に
析出させずに粒内固溶させた場合のほうが、鉄損は低く
かつ100 〜250 ℃での温間圧延による低鉄損化も有効で
あった。なお、冷却速度を30℃/secとした場合は、100
Å以上の炭化物は、電子顕微鏡での観察では観察されな
かった。この発明におけるスラブのC含有量は、0.06wt
%以下であり、また、Ti量、Al量は、前述のとおりそれ
ぞれ10ppm 以下であり、これらの条件のもとで中間焼鈍
後の結晶粒内に炭化物を析出させないためには、中間焼
鈍時の冷却速度を25℃/sec以上とすることが必要であ
る。
【0016】この発明の作用については必ずしも明らか
ではないが、発明者らは以下のように考える。従来より
良好な二次再結晶を発現させるためには、インヒビター
強度と一次再結晶の集合組織のバランスが重要であるこ
とが指摘されている(例えば、特公平7−26155号
公報)。
ではないが、発明者らは以下のように考える。従来より
良好な二次再結晶を発現させるためには、インヒビター
強度と一次再結晶の集合組織のバランスが重要であるこ
とが指摘されている(例えば、特公平7−26155号
公報)。
【0017】このインヒビターの効果に関して、スラブ
中のTi量、Al量を低減することは、二次再結晶焼鈍時
に、AlN 、TiN 等がこの発明でインヒビターとするMnSe
やMnSと複合析出物を形成するのを防止するのに有効に
寄与する。これにより、インヒビター効果が維持されて
ゴス方位以外の二次再結晶粒の成長を防止することがで
きる。かかる作用効果は、特公昭59−48933号公
報にも記載がある。
中のTi量、Al量を低減することは、二次再結晶焼鈍時
に、AlN 、TiN 等がこの発明でインヒビターとするMnSe
やMnSと複合析出物を形成するのを防止するのに有効に
寄与する。これにより、インヒビター効果が維持されて
ゴス方位以外の二次再結晶粒の成長を防止することがで
きる。かかる作用効果は、特公昭59−48933号公
報にも記載がある。
【0018】この発明におけるTi、Al量の低減は、上記
の作用ばかりでなく、中間焼鈍に引き続く冷却時の際に
炭化物の析出を防止し得るという作用を利用するもので
ある。つまり、炭化物の析出を防止し得ることにより、
中間焼鈍の鋼板中の固溶C量が増加して、引き続いて行
われる圧延(温間圧延)により導入された転位に、コッ
トレル雰囲気が有効に形成されることから、それ以降に
行われる一次再結晶時の再結晶を促進するための歪エネ
ルギーの蓄積が十分に図られ、一次再結晶粒の集合組織
が変化する。すなわち、このとき形成された集合組織
の、{110}〈001〉方位と{111}〈112〉
方位粒とのバランスは、前述したインヒビターに極めて
有効に適合するものとなる。かくして、ゴス方位に高度
に揃えられた二次再結晶粒が発現することが、この発明
で低鉄損の方向性電磁鋼板を得るのに貢献するものと考
えられる。
の作用ばかりでなく、中間焼鈍に引き続く冷却時の際に
炭化物の析出を防止し得るという作用を利用するもので
ある。つまり、炭化物の析出を防止し得ることにより、
中間焼鈍の鋼板中の固溶C量が増加して、引き続いて行
われる圧延(温間圧延)により導入された転位に、コッ
トレル雰囲気が有効に形成されることから、それ以降に
行われる一次再結晶時の再結晶を促進するための歪エネ
ルギーの蓄積が十分に図られ、一次再結晶粒の集合組織
が変化する。すなわち、このとき形成された集合組織
の、{110}〈001〉方位と{111}〈112〉
方位粒とのバランスは、前述したインヒビターに極めて
有効に適合するものとなる。かくして、ゴス方位に高度
に揃えられた二次再結晶粒が発現することが、この発明
で低鉄損の方向性電磁鋼板を得るのに貢献するものと考
えられる。
【0019】次に、この発明の方法において、使用され
るけい素鋼素材の成分限定理由を説明する。 C:0.01〜0.06wt% Cは、γ変態による熱延集合組織の改善を図るために役
立つ成分であるが、0.06wt%を超えると脱炭工程で脱炭
するのに時間がかさみ、生産性が低下する。一方、C量
が0.01wt%に満たないと熱延工程におけるγ相が不足し
て結晶組織が粗大となり、二次再結晶が不完全となるか
ら、0.01〜0.06wt%の範囲に限定した。
るけい素鋼素材の成分限定理由を説明する。 C:0.01〜0.06wt% Cは、γ変態による熱延集合組織の改善を図るために役
立つ成分であるが、0.06wt%を超えると脱炭工程で脱炭
するのに時間がかさみ、生産性が低下する。一方、C量
が0.01wt%に満たないと熱延工程におけるγ相が不足し
て結晶組織が粗大となり、二次再結晶が不完全となるか
ら、0.01〜0.06wt%の範囲に限定した。
【0020】Si:2.0 〜4.0 wt% Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損を低減するので、方向性
電磁鋼板に必須の成分であるが、Si量が2.0 wt%に満た
ないと電気抵抗が低く、渦電流損失による鉄損値の増加
を招き、一方4.0 wt%を超えると冷延性が劣化するの
で、2.0 〜4.0 wt%の範囲に限定した。
電磁鋼板に必須の成分であるが、Si量が2.0 wt%に満た
ないと電気抵抗が低く、渦電流損失による鉄損値の増加
を招き、一方4.0 wt%を超えると冷延性が劣化するの
で、2.0 〜4.0 wt%の範囲に限定した。
【0021】Mn:0.01〜0.2 wt% Mnは、この発明ではインヒビター成分として、最終仕上
焼鈍時にゴス方位以外の結晶粒の成長を抑制して、ゴス
方位二次再結晶粒を先鋭に発達させるのに必要な成分で
あるが、Mn量が0.01wt%に満たない場合及び0.2 wt%を
超える場合のいずれも、ゴス方位二次再結晶粒を十分に
成長させることが望めなくなり、目的とする優れた磁気
特性が得られなくなるため、0.01〜0.2 wt%の範囲に限
定した。
焼鈍時にゴス方位以外の結晶粒の成長を抑制して、ゴス
方位二次再結晶粒を先鋭に発達させるのに必要な成分で
あるが、Mn量が0.01wt%に満たない場合及び0.2 wt%を
超える場合のいずれも、ゴス方位二次再結晶粒を十分に
成長させることが望めなくなり、目的とする優れた磁気
特性が得られなくなるため、0.01〜0.2 wt%の範囲に限
定した。
【0022】Se、Sのいずれか1種又は2種を合計で0.
005 〜0.1 wt% Se、Sは、Mn同様にインヒビター成分として添加される
ものであり、その一方又は双方を単独又は合計で0.005
〜0.1 wt%含有させる。0.005 wt%に満たない場合及び
0.1 wt%を超える場合のいずれも、ゴス方位二次再結晶
粒を十分に成長させることが望めなくなり、目的とする
優れた磁気特性が得られなくなるからである。
005 〜0.1 wt% Se、Sは、Mn同様にインヒビター成分として添加される
ものであり、その一方又は双方を単独又は合計で0.005
〜0.1 wt%含有させる。0.005 wt%に満たない場合及び
0.1 wt%を超える場合のいずれも、ゴス方位二次再結晶
粒を十分に成長させることが望めなくなり、目的とする
優れた磁気特性が得られなくなるからである。
【0023】この発明の方法が適用されるけい素鋼素材
は、上記各成分の他は実質的に鉄及び不可避的不純物よ
りなるものでも良いが、さらに必要に応じて、インヒビ
ターを補強する成分であるところの、例えばAs、Bi、P
b、Sn、Cu、W、更にSb、Mo等を、Asは0.005 〜0.05wt
%、Biは0.001 〜0.05wt%、Pbは0.001 〜0.01wt%、Sn
は0.01〜0.1 wt%、Cuは0.01〜0.1 wt%、Wは0.001 〜
0.05wt%、Moは0.005 〜0.05wt%、Sbは0.005 〜0.05wt
%の範囲で、単独又は複合して添加してもよい。
は、上記各成分の他は実質的に鉄及び不可避的不純物よ
りなるものでも良いが、さらに必要に応じて、インヒビ
ターを補強する成分であるところの、例えばAs、Bi、P
b、Sn、Cu、W、更にSb、Mo等を、Asは0.005 〜0.05wt
%、Biは0.001 〜0.05wt%、Pbは0.001 〜0.01wt%、Sn
は0.01〜0.1 wt%、Cuは0.01〜0.1 wt%、Wは0.001 〜
0.05wt%、Moは0.005 〜0.05wt%、Sbは0.005 〜0.05wt
%の範囲で、単独又は複合して添加してもよい。
【0024】そして、この発明では、不可避的不純物で
あるTi及びAlの含有量を前述のとおりそれぞれ10ppm 以
下に限定する。Ti量、Al量が10ppm を超えると、インヒ
ビターたる微細分散析出物が複合析出物となって粗大化
するばかりでなく、中間焼鈍後に炭化物が析出し易くな
って、この発明の作用効果による鉄損低減効果が得られ
なくなるからである。
あるTi及びAlの含有量を前述のとおりそれぞれ10ppm 以
下に限定する。Ti量、Al量が10ppm を超えると、インヒ
ビターたる微細分散析出物が複合析出物となって粗大化
するばかりでなく、中間焼鈍後に炭化物が析出し易くな
って、この発明の作用効果による鉄損低減効果が得られ
なくなるからである。
【0025】次に、上記の成分組成になるスラブを得る
ため、特にに、Ti量、Al量を10ppm以下に低減したスラ
ブを得るために、この発明では、目的とする成分組成を
溶鋼を溶製する際には、使用に供する脱酸剤及びSi源と
してのフェロシリコン又は金属シリコン中のAl及びTi含
有量に特に注意を払ったり、更には前述したような酸化
精錬の実施、精錬容器の洗浄、Ti,Al酸化物を含有する
耐火物の使用回避など適切な処理を施すことが重要であ
る。
ため、特にに、Ti量、Al量を10ppm以下に低減したスラ
ブを得るために、この発明では、目的とする成分組成を
溶鋼を溶製する際には、使用に供する脱酸剤及びSi源と
してのフェロシリコン又は金属シリコン中のAl及びTi含
有量に特に注意を払ったり、更には前述したような酸化
精錬の実施、精錬容器の洗浄、Ti,Al酸化物を含有する
耐火物の使用回避など適切な処理を施すことが重要であ
る。
【0026】造塊−分塊法又は連続鋳造法により得られ
た前記成分組成のスラブは、1250℃以上に加熱して熱間
圧延を施し、板厚1.2 〜5mmの熱延板とする。その後、
必要に応じて均一化焼鈍を施してから、第1回目の冷間
圧延によって例えば中間板厚0.50〜1.5 mmとした後、中
間焼鈍を施す。この均一化焼鈍及び中間焼鈍は、圧延後
の含有成分や結晶組織の均質化を目的とするものであ
り、通常は、800 〜1100℃で30秒〜10分間保持する。
た前記成分組成のスラブは、1250℃以上に加熱して熱間
圧延を施し、板厚1.2 〜5mmの熱延板とする。その後、
必要に応じて均一化焼鈍を施してから、第1回目の冷間
圧延によって例えば中間板厚0.50〜1.5 mmとした後、中
間焼鈍を施す。この均一化焼鈍及び中間焼鈍は、圧延後
の含有成分や結晶組織の均質化を目的とするものであ
り、通常は、800 〜1100℃で30秒〜10分間保持する。
【0027】この中間焼鈍による加熱均熱に引き続く冷
却に際して、鋼板の表面温度が900〜200 ℃である間は
冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭化物の析出を防止す
る。かかる炭化物が析出し易い温度域での冷却速度が25
℃/secに満たないと炭化物が析出してしまい、この発明
で所期した鉄損低減効果が得難い。より好適には、30℃
/sec以上である。なお、冷却速度の上限は、鉄損低減と
いう観点からは特に限定されないが、冷却後の鋼板の形
状を良好にするという観点からは、70℃/sec程度を上限
とすることが好ましい。
却に際して、鋼板の表面温度が900〜200 ℃である間は
冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭化物の析出を防止す
る。かかる炭化物が析出し易い温度域での冷却速度が25
℃/secに満たないと炭化物が析出してしまい、この発明
で所期した鉄損低減効果が得難い。より好適には、30℃
/sec以上である。なお、冷却速度の上限は、鉄損低減と
いう観点からは特に限定されないが、冷却後の鋼板の形
状を良好にするという観点からは、70℃/sec程度を上限
とすることが好ましい。
【0028】中間焼鈍後は圧延により0.15〜0.50mm程度
の最終製品板厚を有する鋼板に仕上げる。ここで、この
発明の方法においては、鋼板の表面が100 ℃〜250 ℃と
なるような温間圧延とする。圧延温度が100 ℃に満たな
いとコットレル雰囲気が形成されず、一次再結晶焼鈍後
に好適な集合組織が得られない。一方、250 ℃を超える
と回復が進行してしまい、歪の蓄積が不十分となって、
同じく一次再結晶焼鈍後には好適な集合組織が得られな
い。
の最終製品板厚を有する鋼板に仕上げる。ここで、この
発明の方法においては、鋼板の表面が100 ℃〜250 ℃と
なるような温間圧延とする。圧延温度が100 ℃に満たな
いとコットレル雰囲気が形成されず、一次再結晶焼鈍後
に好適な集合組織が得られない。一方、250 ℃を超える
と回復が進行してしまい、歪の蓄積が不十分となって、
同じく一次再結晶焼鈍後には好適な集合組織が得られな
い。
【0029】最終圧延を終えて製品板厚となった鋼板
を、次いで脱炭焼鈍に付す。この焼鈍は、冷延組織を一
次再結晶組織にするとともに、最終仕上焼鈍で{11
0}〈001〉方位の二次再結晶粒を発達させるのに有
害となるCを除去するのが目的であり、例えば750 〜85
0 ℃で2〜15分程度を湿水素雰囲気中で行う如く、既に
公知になっているいかなる方法を採用してもよい。
を、次いで脱炭焼鈍に付す。この焼鈍は、冷延組織を一
次再結晶組織にするとともに、最終仕上焼鈍で{11
0}〈001〉方位の二次再結晶粒を発達させるのに有
害となるCを除去するのが目的であり、例えば750 〜85
0 ℃で2〜15分程度を湿水素雰囲気中で行う如く、既に
公知になっているいかなる方法を採用してもよい。
【0030】次いでその脱炭焼鈍を終えた鋼板に、MgO
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布したのち、コイル状に
巻き取って最終仕上焼鈍を施す。この最終仕上焼鈍は、
{110}〈001〉方位の二次再結晶粒を十分に発達
させて所望の磁気特性を得るために施されるものであっ
て、通常は直ちに1000℃以上に昇温してその温度に保持
することによって行われるが、{110}〈001〉方
位に極度に揃った二次再結晶組織を発達させるために
は、820 ℃から900 ℃程度の比較的低温で保持する焼鈍
が有利であり、また、場合によっては、0.5 〜15℃/h程
度の低昇温速度での徐熱焼鈍を行ってもよい。
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布したのち、コイル状に
巻き取って最終仕上焼鈍を施す。この最終仕上焼鈍は、
{110}〈001〉方位の二次再結晶粒を十分に発達
させて所望の磁気特性を得るために施されるものであっ
て、通常は直ちに1000℃以上に昇温してその温度に保持
することによって行われるが、{110}〈001〉方
位に極度に揃った二次再結晶組織を発達させるために
は、820 ℃から900 ℃程度の比較的低温で保持する焼鈍
が有利であり、また、場合によっては、0.5 〜15℃/h程
度の低昇温速度での徐熱焼鈍を行ってもよい。
【0031】
(実施例1)C:0.04wt%、Si:3.45wt%、Mn:0.075
wt%、Se:0.023 wt%及びS:0.003 wt%を含み、かつ
Ti及びAl量を次に示す量だけ含有し、残部は鉄及び不可
避的不純物よりなる2種類のスラブ(鋼A,B)を準備
した。 鋼A‥‥‥Ti:6ppm 、Al:2ppm 鋼B‥‥‥Ti:15ppm 、Al:13ppm
wt%、Se:0.023 wt%及びS:0.003 wt%を含み、かつ
Ti及びAl量を次に示す量だけ含有し、残部は鉄及び不可
避的不純物よりなる2種類のスラブ(鋼A,B)を準備
した。 鋼A‥‥‥Ti:6ppm 、Al:2ppm 鋼B‥‥‥Ti:15ppm 、Al:13ppm
【0032】この鋼Aは、上記Ti:6ppm 、Al:2ppm
の含有量とするために、 高炉から出銑した溶銑に予備処理すなわち酸化精錬
を行って溶銑中のTi量を0.005 wt%以下にまで低減して
から転炉に供給し、かつ、この転炉では、スクラップや
予備処理を行わなかった溶銑を用いないこととして、こ
の転炉で酸化精錬し、 本ヒートを精錬するに先立って、用いる取鍋にTi:
0.003 wt%以下、Al:0.003 wt%以下の溶鋼を1ヒート
以上受鋼し、また、RH槽も上記の溶鋼で1ヒート以上
処理して洗浄しておき、 添加するFeSi合金鉄につき、含有Tiが100 ppm 以下
のものを使用し、 RH脱ガス処理する際に、(%CaO )/(%SiO2)
つまり塩基度が0.4 になるように調整したフラックスを
添加して、最終的に取鍋スラグ塩基度を0.7 にしてTi、
Al低減を図る という、〜の処理を行った。一方、鋼Bは、上記
〜のうちの処理を行わなかったためにTi:15ppm
、Al:13ppm の含有量となっている。
の含有量とするために、 高炉から出銑した溶銑に予備処理すなわち酸化精錬
を行って溶銑中のTi量を0.005 wt%以下にまで低減して
から転炉に供給し、かつ、この転炉では、スクラップや
予備処理を行わなかった溶銑を用いないこととして、こ
の転炉で酸化精錬し、 本ヒートを精錬するに先立って、用いる取鍋にTi:
0.003 wt%以下、Al:0.003 wt%以下の溶鋼を1ヒート
以上受鋼し、また、RH槽も上記の溶鋼で1ヒート以上
処理して洗浄しておき、 添加するFeSi合金鉄につき、含有Tiが100 ppm 以下
のものを使用し、 RH脱ガス処理する際に、(%CaO )/(%SiO2)
つまり塩基度が0.4 になるように調整したフラックスを
添加して、最終的に取鍋スラグ塩基度を0.7 にしてTi、
Al低減を図る という、〜の処理を行った。一方、鋼Bは、上記
〜のうちの処理を行わなかったためにTi:15ppm
、Al:13ppm の含有量となっている。
【0033】この2種類のスラブを加熱したのち熱間圧
延、第1回目の冷間圧延、中間焼鈍を行った。中間焼鈍
の後冷却は、900 〜200 ℃の温度範囲を30℃/secの冷却
速度で実施した。次いで第2回目の冷間圧延を、鋼板の
表面温度が160 〜180 ℃で行って最終板厚0.35mmに仕上
げた。その後は、湿水素雰囲気中脱炭焼鈍、次いでMgO
を主成分とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布してから最
終仕上仕上焼鈍を行った。かくして得られた方向性電磁
鋼板の磁気特性を表1に示す。表1から、この発明に従
う実施例は、Ti,Al量が多い比較例よりも鉄損が低く、
優れた磁気特性を有することが分かる。
延、第1回目の冷間圧延、中間焼鈍を行った。中間焼鈍
の後冷却は、900 〜200 ℃の温度範囲を30℃/secの冷却
速度で実施した。次いで第2回目の冷間圧延を、鋼板の
表面温度が160 〜180 ℃で行って最終板厚0.35mmに仕上
げた。その後は、湿水素雰囲気中脱炭焼鈍、次いでMgO
を主成分とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布してから最
終仕上仕上焼鈍を行った。かくして得られた方向性電磁
鋼板の磁気特性を表1に示す。表1から、この発明に従
う実施例は、Ti,Al量が多い比較例よりも鉄損が低く、
優れた磁気特性を有することが分かる。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】この発明の方向性電磁鋼板の製造方法
は、熱間圧延に供するスラブ中のTi、Al量を、それぞれ
Ti:10ppm 以下、Al:10ppm 以下にし、かつ中間焼鈍に
引き続く冷却を、鋼板の表面温度が900 〜200 ℃である
間は冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭化物の析出を防
止し、さらに中間焼鈍後の冷間圧延を、鋼板の表面が10
0℃〜250 ℃となる温度で行うことにより、従来よりも
鉄損の低い方向性電磁鋼板を確実に得ることが可能とな
った。
は、熱間圧延に供するスラブ中のTi、Al量を、それぞれ
Ti:10ppm 以下、Al:10ppm 以下にし、かつ中間焼鈍に
引き続く冷却を、鋼板の表面温度が900 〜200 ℃である
間は冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭化物の析出を防
止し、さらに中間焼鈍後の冷間圧延を、鋼板の表面が10
0℃〜250 ℃となる温度で行うことにより、従来よりも
鉄損の低い方向性電磁鋼板を確実に得ることが可能とな
った。
【図1】スラブのTi量、Al量と製品の磁気特性との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図2】製品磁気特性に及ぼす第2回目の冷間圧延時の
鋼板温度の関係を示すグラフである。
鋼板温度の関係を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】C:0.01〜0.06wt%、 Si:2.0 〜4.0 wt%、 Mn:0.01〜0.2 wt%及びSe、Sのいずれか1種又は2種
を合計で0.005 〜0.1 wt%含有する方向性電磁鋼板用ス
ラブを熱間圧延した後、中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延
を施して最終冷延板厚とし、次いで脱炭を兼ねた一次再
結晶焼鈍を行った後、焼鈍分離剤を塗布してから最終仕
上焼鈍を施す一連の製造工程よりなる方向性電磁鋼板の
製造方法において、 熱間圧延に供するスラブ中のTi、Al量を、それぞれTi:
10ppm 以下、Al:10ppm 以下にすること、 中間焼鈍に引き続く冷却を、鋼板の表面温度が900 〜20
0 ℃である間は冷却速度25℃/sec以上で急冷して炭化物
の析出を防止すること、及び中間焼鈍後の冷間圧延を、
鋼板の表面が100 ℃〜250 ℃となる温度で行うことの結
合を特徴とする鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8089160A JPH09279246A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8089160A JPH09279246A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09279246A true JPH09279246A (ja) | 1997-10-28 |
Family
ID=13963090
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8089160A Pending JPH09279246A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09279246A (ja) |
-
1996
- 1996-04-11 JP JP8089160A patent/JPH09279246A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050418 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050517 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050715 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060926 |