JPH09278658A - 新規ifn インデューサー - Google Patents

新規ifn インデューサー

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JPH09278658A
JPH09278658A JP8112098A JP11209896A JPH09278658A JP H09278658 A JPH09278658 A JP H09278658A JP 8112098 A JP8112098 A JP 8112098A JP 11209896 A JP11209896 A JP 11209896A JP H09278658 A JPH09278658 A JP H09278658A
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dna
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Akira Kaji
昭 梶
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、新規なIFNインデューサ
ーを見出すことにある。 【解決手段】 本発明によって、M13ファージに由来
する一本鎖DNAがIFNインデューサーとして格別に
有効であることが見出だされた。M13 ファージに由
来する一本鎖DNA(M13 DNA)を、投与した後
の4時間以内に、血清インターフェロン(IFN、主と
してβ型)力価は、検出できないレベルから約700I
U/mlほどの多量にまで増加し、さらに投与した後の
12時間の長時間にわたり、IFNが検出された。ま
た、M13 DNAを脾臓培地に添加した場合に、検出
できないレベルから1050IU/mlほどの多量のI
NFの誘発がインビトロで検出された(図1参照)。従
って、M13DNAは強力なIFNインデューサーであ
ることが証明された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、新規なIFNインデ
ューサーに関するものである。
【0002】
【背景技術】異種二重鎖RNA(バンクス[Banks]ら,N
ature (1968) 218, 542〜545及びヒルマン[Hilleman]Ar
ch. Intern. Med.126, 109〜124(1970)など参照)また
は一重鎖RNA(バロン[Baron] Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 64, 67〜74)及び;ダイアンザニ[Dianzani]らPr
oc. Soc. Exp. Biol. Med. 145, (1974) 428〜433など
参照)あるいは二重鎖DNA(ホルステイン[Holstei
n]ら、Acta Virol. 15, 381〜386 (1971) 参照)が、
ほとんどそのインターフェロン(IFN)誘発によって
インビトロまたはインビボで抗ウイルス活性を有するこ
とは公知である。天然核酸の抗ウイルス作用に基づい
て、合成二重鎖RNA、例えばポリリボイノシン酸、ポ
リリボシチジル酸(polyI:polyC)または不
適正二重鎖RNA(アンプリゲン[Ampligen])が、ヒト
免疫不全症候群ウイルス(モンテフィオリ[Montefiori]
ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 (1987) 2985〜298
9参照)、ヘルペスシンプレックスウイルス(例えば、リ
ンド[Lindh]ら、Proc. Soci.Exp. Biol. Med. 132(196
9)83〜87参照)およびまたワクシニアウイルス(前掲リ
ンド[Lindh]らによる報文参照)を包含する各種ウイル
スに対するそれらの活性に係わり試験されている。抗ウ
イルス活性に加えて、これらの合成二重鎖RNAが抗腫
瘍活性を有することも証明されている(例えば、アダム
ソン[Adamson]ら、Antimicrob. Agents Chemother. 9
(1969) 148〜152)。他方で、一本鎖DNAの生物学的活
性に関しては、限られた数の実験が報告されているのみ
である(例えば、メッシーナ[Messina]ら、J. Immunol.
147 (1991) 1759〜1764参照)。
【0003】以前の研究において、本発明者はバクテリ
オファージM13の一本鎖DNA(以下M13 DNA
と略記する)が、感染したアヒルに静脈注入された場合
に、抗アヒルB型肝炎ウイルス(抗−DHBV)を有す
ることを証明した(Hepatology 19,(1994)1079〜1087参
照)。この薬剤の抗ウイルス作用のメカニズムに関し
て、2−5Aシンテアーゼ活性が、アヒル血清で有意に
増加することが見出された。この発見は、IFN誘発を
示唆している(同報文参照)。
【0004】
【発明の開示】本発明者は、上記予測に従いさらに研究
を進めた結果、M13ファージに由来する一本鎖DNA
を、ワクシニアウイルスに感染したマウスに投与したと
ころ、血清インターフェロン(IFN、主としてβ型)
力値が、予測を超えて増加することを見出した。本発明
は、かかる知見に基づくものである。すなわち、本発明
は、M13ファージに由来する一本鎖DNAを有効成分
として含有することを特徴とするIFN インデューサ
ーを提供するものである。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明
は、マウスに注入されたM13 DNAが動物により異
物として認識され、これにより防衛機構が誘発されるこ
とに基づいて、IFNが誘発されることを発見したので
ある。本発明者のこの発見は、バクテリアシグナル鎖D
NAがマウスリンパ球増殖を刺激するが、哺乳動物DN
Aはこれを刺激しないというMessinaらによる最近の報
告(前掲報文参照)と類似している。さらにまた、真核
細胞DNAではなくて、原核細胞DNAが天然キラー細
胞を活性化し、IFN活性を誘発させることが山本らに
より報告されている(Microbiol. Immunol. 36 (1992),
983〜997参照)。
【0006】真核細胞DNA配列の回文構造(palindro
mic sequences)は重要であるように見做される。バク
テリア変性DNAに見出される9種の特異なヘキサマー
回文構造(AACGTT、AGCGCT、ATCGA
T、CGATCG、CGTACG、CGCGCG、GA
CGTC、GCGCGCおよびTCGCGA)は、天然
キラー細胞の活性化にとって重要である。本発明者はま
た、M13 DNAがこのような配列、すなわち2個の
AACGTT(4634−4639、5930−593
5)、2個のAGCGCT(2710−2715、30
39−3044)および2個のATCGAT(2527
−2532、6039−6044)を含有していること
を見出した。さらにまた、複製原型および末端シグナル
領域には多くのヘアピン構造(hairpin structures)が
存在する。これらの回文構造およびヘアピン構造は、M
13 DNAによるIFN誘発に重要な役割を演じる可
能性がある。
【0007】核酸によるIFN誘発の分子メカニズムに
関して、細胞膜上にはpolyI:polyCに対する
特異レセプターが存在する(吉田ら、Acta Virol. 36,
347〜358)。このレセプターへのpolyI:poly
Cの結合は、蛋白質キナーゼCの活性化を経て、NF−
KBのβIFNプロモーターの一部への結合を活性化し
(ビスバナザン[Visvanathan]ら、The EMBO Journal
8、 (1989) 1129〜1138参照)、NF−KB/I−KB複
合体の解離およびNF−KBの核への移動(ゴーシュ
[Ghosh]ら、Nature 344, (1990) 678〜682参照)を導
くものと見做される。さらにまた、IFNの正転写因子
として知られている、インターフェロン調節因子(IF
N−1)は、レセプターへのpolyI:polyCの
結合を誘発する(レイズ[Reis]ら、The EMBO Journal
11, (1992) 185〜193参照)。合成されたIRF−1
は、IFNプロモーターに結合したIFNに係わる逆転
写因子であるIRF−2を復元する。IFNプロモータ
ーにはIRF−1およびNF−KBが存在することか
ら、IFN mRNAの転写が刺激される。本発明者
は、類似のメカニズムによって、M13 DNAによる
IFN誘発を操作しうるという知見を得たものである。
【0008】IFNはウイルス性疾患および癌に対する
最も有効な薬剤の1種として使用されているが、外因性
IFNの投与はいくつかの欠陥を有する。例えば、静脈
注射後のその半減期は1〜3分間にすぎないとされてい
る。その外にも、重篤な疲労感、発熱、頭痛および吐き
気を生じさせるとされている。polyI:polyC
はIFNインデューサーとして開発されたけれども、こ
の化合物はまた、IFNに類似する各種の副作用を有す
るとされており、臨床的に使用することはできなかっ
た。これに対して、M13 DNAは最高可能投与量
(単次静脈投与で、300mg/kg)で副作用を有し
ていない。
【0009】前記したように、M13 DNA投与は、
外部から注入されたIFNに比較して、より長期間にわ
たりIFNレベルを維持した。従って、M13 DNA
の臨床的使用は極めて有望であると結論される。
【0010】本発明のIFNインデューサーの有効成分
であるM13ファージに由来する一本鎖DNAは、製剤
の調製に一般に用いられる適当な溶剤、賦形剤、補助剤
などの添加剤を使用して、製剤製造の常法に従って注射
剤、液剤、軟膏剤および坐剤などの製剤を製造すること
ができる。処方にあたっては、他の医薬活性成分との配
合剤とすることも可能である。次に実験例により、M1
3ファージに由来する一本鎖DNAが強力なIFNイン
デューサーであることを説明する。
【0011】
【実験例】
材料および方法 1.化学材料(M13 DNAの調製) 指数増殖期に培養されたE.coli K−12 JM
101に、M13ファージ(m.o.i.:10)を感
染させた。上清中のM13ファージを、ポリエチレング
リコール6000および塩化ナトリウムで沈殿させた。
このM13 DNAを次いで、フェノール/クロロホル
ム(1:1)で抽出した。エタノール−沈殿の後に、こ
のM13 DNAをヒドロキシアパタイトカラムにより
さらに精製し、次いで限外濾過により濃縮した。リポポ
リサッカライド(LPS)を、2%ナトリウムデオキシ
コレートの存在の下に、限外濾過により除去した。この
最終DNA調製物のLPS含有量は、リムルス−テスト
により、1.9ng/mgDNAであった。このM13
DNAの純度および完全性は、ゲル濾過により95%
以上であった。ヒト胎盤DNAおよび子ウシ胸腺DNA
は、シグマケミカル社製のものを用いた。これらの2組
のDNAは、フェノール/クロロホルムによりさらに精
製し、エタノール−により沈殿させ、塩類溶液に対して
透析し、使用時まで−20℃で保存した。これらのDN
A調製物のLPS含有量は、0.3ng/mgDNA
(ヒト胎盤DNA)および2.2ng/mgDNA(子
ウシ胸腺DNA)であった。LPSは、開示されている
とおりにして、E.coli K−12 JM101か
ら調製した。
【0012】ポリリボイノシン酸:ポリリボシチジル酸
(polyI:polyC)およびヌクレオチド(AM
P、TMP、GMP、およびCMP)は、ヤマサ醤油
(株)製を用いた。マウスインターフェロン(IFN)
はジャパンケミカルリサーチ製を、抗−マウスIFN−
α/βおよび抗−マウスIFN−βは、パッセル プラ
ス ローレイ社製をそれぞれ用いた。
【0013】2. マウスのワクシニアウイルス感染 雌ddYマウスに、尾静脈を経てワクシニアウイルス
(Lister株)2.0×104 PFU/マウスを静
脈接種した。感染後の7日目に、尾に出現した病巣の数
を、1%フルオレセイン、0.5%メチレンブルー溶液
による染色によって数えた。この方法は、ボイル(Bo
yle)らによる方法(Antimicrob. Agents Chermothe
r. 6,(1966) 536〜539)に従い行った。試料は、各実験
に記載のスケジュールに従い静脈投与した。対照として
は、動物に塩類溶液(0.1ml/体重10g)を静脈
投与した。
【0014】実験1.インビトロ脾臓細胞におけるM1
3 DNAによるIFNの誘発 脾臓細胞懸濁液を、マエハラ(Maehara)らによ
る方法(Infect. Immun.15, (1977) 78〜83)に従い、
5週齢マウスから調製した。この細胞(1×107
を、24個のウエルを有するプラスティックプレート
[ナンク社製(Nunc,Inc.)]の各ウエル(1ml)に
入れ、次いで37℃において5%CO2 雰囲気中で2
4時間、種々の濃度のM13 DNAとともにインキュ
ベートした。インキュベーション後に、これらの培養物
からの上清を収穫し、IFN力価を評価するまで、−7
0℃で保存した。この上清のIFN力価は、公知の方法
(ルビンステイン[Rubinstein]ら、J. Viol. 37, (19
81) 755〜758)に従い、L−929細胞でVSVの細胞
変性作用を抑制する能力を測定することによって評価し
た。NIH標準対照IFNと均等である、市販マウスI
FNを、各実験の標準として使用し、またIFN力価は
国際単位(IU)で表わした。
【0015】実験2. 血清中におけるIFN生産の動
力学的考察 40匹のマウスに、M13 DNAを50.0mg/k
gの量で、1度に投与した。各時間のポイントで5匹の
マウスから、投与後の0時間、2時間、4時間、6時
間、8時間、10時間、12時間および24時間の時点
で、心臓穿刺によって採血した。遠心分離により血清を
採取し、次いでIFN分析法(前掲Rubinsteinらによる
方法)によりIFN力価を評価するまで、−70℃で保
存した。
【0016】〔実験結果〕 1. ワクシニアウイルスにより発現された尾病巣の数
に対するM13 DNAの効果 ワクシニアウイルスにより発現された尾病巣の数に対す
るM13 DNAの効果を下記のとおりに測定した。こ
の結果を下記表1に示す。この表の注釈文に記載されて
いるスケジュールの下に、各種量のM13 DNAを、
静脈投与した。この試験系において、ワクシニアウイル
ス感染による疾患の進行は、ワクシニアウイルスにより
発現した典型的尾病巣の出現によって観察することがで
きる。M13 DNAは、5.7mg/kg/日ほどの
少量で、ウイルス感染後の7日目に病巣の出現を約80
%抑制した。最高投与量(50mg/kg/日)では、
尾病巣の出現をほぼ完全に(90%以上)抑制した。公
知のIFNインデューサーであるpolyI:poly
Cは、少量(0.6mg/kg/日)で有効であった
が、極めて高い毒性を示した。
【0017】
【表1】 表1:ワクシニアウイルスにより発症した尾病巣の形成
に対するM13 DNAの効果
【0018】註 a: 試料は、0.6〜50.0mg/kg/日の用量
で、静脈投与した。この投与は、ワクシニアウイルスに
よる感染前の3日の時点で開始し、引き続いて7日間継
続した。 b: 塩類溶液と比較したP<0.001。P値はスチ
ューデントt−テストにより決定した。
【0019】他の実験において、感染前の1日の時点
で、M13 DNAを単次投与した場合に(50mg/
kg)、尾病巣は対照値(29.9±3.2)から3.
7±2.3に減少された。この効果は、M13 DNA
を毎日(7日間)静脈投与した場合と同様であり、この
7日間の処置は尾病巣の数を2.3±0.8にまで減少
させた。この薬剤の7回投与、5回投与、3回投与およ
び単次投与の間で、M13 DNAの効力に有意の差異
は認められなかった。M13 DNAをワクシニアウイ
ルス感染日の2日前、または1日前、または当日に投与
した場合に、この抗ウイルス効果が観察された。
【0020】投与が感染後の1日目に遅延された場合に
は、その有効性は失なわれた。下記表2に示されている
ように、M13 DNAの組成に従い調製したヌクレオ
チド混合物および真核細胞DNAは、尾病巣の出現の防
止には無効であった。従って、IFN誘発に基づく抗ウ
イルス効果はM13 DNAに特異であって、他のどの
DNAもこの活性を有してはいないことは明白である。
【0021】
【表2】 表2:ワクシニアウイルスにより発現した尾病巣の形成
に対する数種のDNA調製物またはLPSの抗ウイルス
効果の比較
【0022】註 a: 各試料は、ワクシニアウイルスによる感染前の1
日の時点で一度に静脈投与した。 b: ATGC混合物は、M13 DNAの組成に従い
調製されたAMP、TMP、GMPおよびCMPの混合
物である。 c: 塩類溶液と比較したP<0.001。P値はスチ
ューデントt−テストにより決定した。 d: 塩類溶液と比較したP<0.01。P値はスチュ
ーデントt−テストにより決定した。
【0023】2. M13 DNAのIFN誘発効果
は、M13 DNA調製物中の夾雑LPSによるもので
はないことの証明 LPSがIFNを誘発させること、および感染に対して
非特異的に抵抗すること、およびまたマクロファージを
活性化することは公知である(ウェストファル[Westph
al]ら、 Adv. Immunopharmacol. 3, (1986) 13〜34)。従
って、上記表2および下記表3に記載の各実験におい
て、M13 DNAの抗ウイルス効果が夾雑LPSによ
るものである可能性について試験した。上記表2に示さ
れているように、LPSの量は、0.01μg/M13
DNA 50mgほどの少量に減少されていた。この
M13 DNA調製物は、10倍多い量(M13 DN
A50mg中、LPS0.1μg)のLPSを含有する
M13 DNA調製物とほとんど同一の抗ウイルス活性
を有していた。さらにまた、M13 DNA調製物中に
存在する量(0.01μg/50mgおよび0.1μg
/50mg)のLPSは、これらを単独でマウスに注入
した場合には、いかなる抗ウイルス活性も示さなかっ
た。LPSは、多量(M13 DNAとともに注入され
る量よりも10〜100倍多い量)で投与した場合に、
その抗ウイルス活性を示した。この実験結果から、M1
3 DNA調製物中に夾雑する量のLPSは、この量で
LPSを単独使用した場合に抗ウイルス効果を示すには
充分ではないものと結論することができる。
【0024】下記表3に示されているように、LPS低
応答性マウスにおいてさえも、M13 DNAは有意の
抗ウイルス活性を有していた。これらのマウスがLPS
に対して確実に無感受性であるという事実は、10μg
/kgほど多量のLPSがいかなる有意の抗ウイルス活
性も示さないという観察結果から見ることができる。従
って、M13 DNAのIFN誘発効果はLPSによる
ものではないものと結論することができる。
【0025】
【表3】 表3:C3H/HeJマウス(LPS低応答性マウス)
aにおいてワクシニアウイルスにより発現した尾病巣に
対するM13 DNAの効果
【0026】註 a: 雌のC3H/HeJマウスに、その尾静脈を経て
ワクシニアウイルスを1.0×105PFU/マウスの
量で静脈接種した。LPS低応答性マウスの使用は技術
的に困難を伴うことから、これらのデータは各群で24
匹のマウスから誘導した。。 b: 各試料は、ワクシニアウイルスによる感染前の1
日の時点で静脈投与した。 c: 塩類溶液と比較したP<0.01。P値はスチュ
ーデントt−テストにより決定した。
【0027】3. M13 DNAによるIFNの誘発 前記の結果から、M13 DNAのワクシニアウイルス
に対する強力な抗ウイルス活性が確立された。次に、こ
の薬剤によるIFNの誘発可能性について試験をした。
この結果を下記表4示す。この試験は新しく調製した脾
臓細胞を、インビトロで種々の量のM13 DNAとと
もに処理することによって行い、用量依存様相でIFN
が誘発されることが見出された。0.1μg/mlほど
の少量のM13 DNAが有意の量のIFNを誘発させ
た。M13 DNA(1μg/ml)は、100μg/
mlのpolyI:polyCにより誘発されるIFN
と同等のIFNを誘発させた。従って、このインビトロ
試験において、M13 DNAのIFN誘発能力は、p
olyI:polyCに比較した優れていることが証明
された。
【0028】
【表4】 表4:マウス脾臓細胞培地におけるM13 DNAによ
るIFN誘発
【0029】4. マウス血清中のIFN誘発に係る動
力学的試験 マウスにM13 DNAを単次静脈注射し、M13 D
NA投与後の種々の時点で、血液試料を採取して、IF
N分析を行った。この結果を図1に示す。血清中のIF
Nの量は、M13 DNA投与後の4時間の時点で、検
出できないレベルから700IU/mlほどの多量に上
昇した。この血清中のIFN濃度は、M13 DNA投
与後の12時間にもわたる長時間にわたりピークレベル
の1/6に維持された。誘発されたIFNの量は、レオ
ウイルスなどのウイルスに感染したマウスによって観察
されている量に匹敵する(Tytellら、Proc. Natl. Aca
d.Sci. USA 58, (1967) 1719〜1722)。他方、測定され
たIFNレベルは、5mg/kgのpolyI:pol
yCの静脈投与後の4時間の時点で達成されたレベル
(38,400IU/ml)よりもそれほど少なくな
い。この結果は、M13DNAがインビトロでのIFN
誘発に係わりpolyI:polyCよりも優れている
ことを示しているインビトロ実験(表4)で得られた結
果とは対照的である。
【0030】図1は、M13 DNAを投与したマウス
の血清中のIFN誘発に係る動力学的試験結果を示すも
のである。この試験では、マウスにM13 DNAを5
0.0mg/kgの用量で単次静脈投与した。M13
DNA投与後の0時間、2時間、4時間、6時間、8時
間、10時間、12時間および24時間の時点で、5匹
のマウスを採血した。IFN力値は、前記材料および方
法の項に記載のとおりに、L−929細胞におけるVS
Vの細胞変性作用の抑制を測定することによって評価し
た。誤差棒印は、各数値の標準誤差を示すものである。
【0031】5. M13 DNAにより誘発されるI
FN M13 DNAにより誘発されるIFNの種類を測定す
る目的で、M13 DNAをマウスに投与後4時間の時
点で血液試料を採取した。この結果を下記表5に示す。
表5に示されているように、この血清中のIFN活性
は、抗−IFN−α/β抗体により完全に中和され、か
つまた抗−IFN−β抗体によりほとんど完全に中和さ
れた。さらにまた、このIFN活性は、pH2における
処理では有意に減少されないが、56℃で加熱すると失
われた。低pHに対して、IFN−γは感受性を有する
が、IFN−βおよびIFN−αは無感受性であること
が知られている。さらにまた、56℃における1時間の
加熱に対して、IFN−βは感受性であるが、IFN−
αは無感受性であることも公知である。従って、M13
DNAにより誘発されるIFNは主として、IFN−
βであると結論することができる。
【0032】
【表5】 表5:M13 DNA誘発マウスインターフェロンの特
【図面の簡単な説明】
【図1】M13 DNAを投与したマウスの血清中のI
FN誘発に係わる動力学的試験結果を示すグラフ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 M13ファージに由来する一本鎖DNA
    を有効成分として含有することを特徴とするIFN イ
    ンデューサー。
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