JPH09277545A - インクカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクカートリッジ内のインク消費によるイ
ンク供給速度の低下を防ぎ、さらにはインクカートリッ
ジ内にインクを残すことなく、最後まで効率よくインク
を供給し得るインクカートリッジを提供すること。 【解決手段】 インクジェット記録に用いるインクと、
このインクを内部の空孔に吸収保持するインク吸収体
と、これらを収納するカートリッジ本体とからなるイン
クカートリッジにおいて、カートリッジ本体の一端部
に、印字を行うプリントヘッドにインクを供給するイン
ク供給部を形成し、インク吸収体の空孔のサイズを、イ
ンク供給部に近接するに従って小さくなるように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタに用いら
れるインクカートリッジにかかり、特に、インクジェッ
ト記録に用いられるインクを吸収保持するインク吸収体
と、このインク吸収体を使用するインクカートリッジに
関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ノンインパクト記録方式は、記録
時における騒音が極めて小さく、また高速記録が可能で
あるという点において関心を集めている。特に、その中
でも、プリントヘッドから液体状のインク滴を飛ばすこ
とによって記録紙に付着させ、文字、図形等の記録を行
うインクジェット記録方式は、高速記録を行えるととも
に、普通紙に特別の定着処理をしないで記録が行える極
めて有効な記録方式であり、現在、このインクジェット
記録方式を用いた種々のインクジェットプリンタが提案
され、商品化されている。

【０００３】ここで、一般的なインクジェットプリンタ
では、インクはインクカートリッジに収納されてプリン
トヘッドに供給されるようになっており、そのインクカ
ートリッジにはプリントヘッドと一体化されたものと、
ヘッドに対して着脱自由に取り付け可能なものがある。

【０００４】このインクカートリッジは、一般にインク
と、インクを吸収保持するインク吸収体と、このインク
吸収体を収納して大気連通孔を有するインク収納部と、
この大気連通孔とは異なる位置でヘッドに連通するイン
ク供給部とを有する構造となっている。

【０００５】これらインクジェットプリンタあるいはイ
ンクカートリッジにおいては、主にインクカートリッジ
内に、多孔質体からなるインク吸収体を設け、このイン
ク吸収体にインクを吸収保持させるようになっている。
インクカートリッジの一般的な例としては、図６に示す
ように、カートリッジ本体５３と、インクを吸収保持す
るフォーム５５と、上蓋５７を主要構成要素としてい
る。そして、カートリッジ本体５３の底部に形成された
インク供給部（図示略）からプリントヘッド（図示略）
にインクを供給するようになっている。

【０００６】このようなインク吸収体を用いたインクカ
ートリッジ及びインクジェットプリンタの例としては、
特開平４−３５７０４６号公報（第１引用例）及び特開
平５−１６３８５号公報（第２引用例）に開示されてい
る従来例を挙げることができる。即ち、これら両引用例
は、インク吸収体の圧縮率と１インチあたりのセル（空
孔）の数を適切に設定することにより、連続記録特性、
回復特性等の改善を図るためのものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
従来例には以下のような不都合が有った。即ち、両公報
に記載された発明では、インクカートリッジ内の印字を
する前の初期状態におけるインク保持状態を平均化する
ための条件を規定しているに過ぎない。つまり、印字作
業でのインクの消費に起因するインクカートリッジ内の
負圧状態の変化や、これに伴うインク供給速度の低下に
ついては何らの考慮もされていない。このため、インク
カートリッジ内のインクを最後まて使い切ることが出来
ないといった問題があった。

【０００８】

【発明の目的】本発明は、上記従来例の有する不都合を
改善して、特に、インクカートリッジ内のインク消費に
よるインク供給速度の低下を防ぎ、さらにはインクカー
トリッジ内にインクを残すことなく、最後まで効率よく
インクを供給し得るインクカートリッジを提供すること
を、その目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、請求項１記載の発明では、インクジェット記録
に用いるインクと、このインクを内部の空孔に吸収保持
するインク吸収体と、これらを収納するカートリッジ本
体とからなるインクカートリッジにおいて、カートリッ
ジ本体の一端部に、印字を行うプリントヘッドにインク
を供給するインク供給部を形成し、インク吸収体の空孔
のサイズを、インク供給部に近接するに従って小さくな
るように構成する、という手段を採っている。

【００１０】以上のように構成されたインクカートリッ
ジにおいて、インク吸収体に吸収保持されているインク
は、印字作業の進展に伴ってインクがインク供給部から
プリントヘッドに供給されて消費される。このとき、イ
ンク吸収体の内、インク供給部の近傍に吸収保持されて
いるインクが最初に消費される。

【００１１】そして、更に印字作業が進展すると、イン
ク吸収体の上部に吸収保持されていたインクが下方に移
動する。この場合、インク吸収体の上部領域のセルサイ
ズは大きく構成されているので、円滑にインクを下方領
域に移動させることができる。加えて、インク吸収体の
下方のセルサイズは小さく構成されているので、いわゆ
る毛細管現象から生じる毛細管力が大きく作用し、重力
の影響との相互作用によって、円滑にインクを上部から
下部に向かって移動させることができる。

【００１２】また、請求項２記載の発明では、インク吸
収体を、空孔のサイズが異なる複数の吸収体を組み合わ
せて構成し、空孔のサイズの小さな吸収体をインク供給
部側に配設するという構成を採り、その他の構成は、請
求項１記載の発明と同様である。以上のように構成した
ことで、異なるセルサイズのインク吸収体を別個に製造
できるので、セルサイズが各部で異なるインク吸収体と
同様に機能することに加え、このように機能するインク
吸収体を容易に製造することができる。

【００１３】請求項３記載の発明では、インクジェット
記録に用いるインクと、このインクを内部の空孔に吸収
保持するインク吸収体と、これらを収納するカートリッ
ジ本体とからなるインクカートリッジにおいて、カート
リッジ本体の一端部に、印字を行うプリントヘッドにイ
ンクを供給するインク供給部を形成し、カートリッジ本
体の形状を、インク供給部に近接するに従って断面積が
減少するように構成する、という手段を採っている。以
上のように構成することで、セルサイズの均一なインク
吸収体を使用しても、インク吸収体の下部領域はカート
リッジ本体の内壁により圧縮される。これにより、見か
け上のセルサイズが小さくなる。

【００１４】また、請求項４記載の発明では、カートリ
ッジ本体の側壁に傾斜構造を構成するという手段を採
り、その他の構成は請求項３記載の発明と同様である。
以上のように構成することで、セルサイズの均一なイン
ク吸収体を使用しても、インク吸収体の下部領域はカー
トリッジ本体の傾斜構造により圧縮される。これによ
り、請求項３記載の発明と同様に見かけ上のセルサイズ
が小さくなる。

【００１５】更に、請求項５記載の発明では、カートリ
ッジ本体の側壁に段差構造を形成するという構成を採
り、その他の構成は請求項３記載の発明と同様である。
以上のように構成することで、セルサイズの均一なイン
ク吸収体を使用しても、インク吸収体の下部領域はカー
トリッジ本体の段差構造により圧縮される。これによ
り、請求項３記載の発明と同様に見かけ上のセルサイズ
が小さくなる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て、図面に基づいて説明する。先ず、図１に示すよう
に、インクカートリッジは、インクジェット記録に用い
るインクと、このインクを内部の空孔（以下「セル」と
いう）に吸収保持するインク吸収体２と、これらを収納
するカートリッジ本体１とからなる。そして、このイン
クカートリッジ本体１の一端部に、印字を行うプリント
ヘッドにインクを供給するインク供給部４が形成される
と共に、インク吸収体２の空孔のサイズが、インク供給
部４に近接するに従って小さくなるように構成されてい
る。

【００１７】以上を詳細に説明すると、図１に示すよう
に、カートリッジ本体１は箱形の形状で構成され、上部
が解放されている。一方、カートリッジ本体１の下部に
は、図示しないプリントヘッドに対してインクを供給す
るインク供給部４が形成されている。

【００１８】また、カートリッジ本体１内に収納される
インク吸収体２は、その内部構造が図中の拡大図のよう
になっている。即ち、インク吸収体２の内部に形成され
ているセルのサイズが、一方向に向かって徐々に変化す
るように製造されている。具体的には、インク供給部４
から離れた側のセル３ａとインク供給部４の近傍のセル
３ｂとでは、セル３ｂの方のサイズが小さく形成されて
いる。

【００１９】以上のように構成されたインクカートリッ
ジの機能を説明すると、インク吸収体２に吸収保持され
ているインクは、印字作業の前には十分な量が保持され
ている。そして、印字作業の進展に伴ってインクがイン
ク供給部４からプリントヘッドに供給されて消費され
る。このとき、インク吸収体２の内、インク供給部４の
近傍に吸収保持されているインクが最初に消費される。

【００２０】そして、更に印字作業が進展すると、イン
ク吸収体２の上部領域に吸収保持されていたインクが下
方に移動する。この場合、インク吸収体２の上部領域の
セルサイズは大きく構成されているので、円滑にインク
を下方領域に移動させることができる。加えて、インク
吸収体２の下方のセルサイズは小さく構成されているの
で、いわゆる毛細管現象から生じる毛細管力が大きく作
用し、重力の影響との相互作用によって、円滑にインク
を上部から下部（インク供給部４側）に向かって移動さ
せることができる。

【００２１】これにより、印字作業が進展して、インク
が消費された場合でも、円滑にインク供給部４にインク
が補充され、長期間の印字作業に際しても高品質な印字
を継続することができる。また、インクの消費に起因す
るカートリッジ本体１内での負圧現象等に対しても本発
明は有効に機能する。

【００２２】図２は、本発明の第２の実施形態を示す図
であり、カートリッジ本体１ａにおいて、その内部に収
納されるインク吸収体と接触する内側壁に傾斜構造５が
設けてあり、且つ、カートリッジ本体１ａには、第１の
実施形態と同じく、セルサイズが徐々に変化するインク
吸収体２を、インク供給部４ａ側のセルサイズが小さく
なるように収納している。但し、セルサイズが均一なイ
ンク吸収体を収納した場合でも、上記した傾斜構造によ
り同様の効果を得ることは可能である。即ち、図１に開
示したと同様の矩形形状のインク吸収体を収納すると、
インク吸収体の下部領域は、上記した傾斜構造５によっ
て圧縮される。これにより、見かけ上のセルサイズが小
さくなり、第１の実施形態と同様に機能する。

【００２３】次に、図３は本発明の第３の実施形態を示
す図であり、カートリッジ本体１ｂにおいて、その内部
に収納されるインク吸収体と接触する内側壁に所定の段
差構造６が設けてあり、且つ、カートリッジ本体１に
は、第１の実施形態と同様に、セルサイズが徐々に変化
するインク吸収体をインク供給部４ｂ側のセルサイズが
小さくなるように収納している、但し、セルサイズが均
一なインク吸収体２を収納した場合でも、上記した段差
構造６により同様の効果を得ることは可能である。即
ち、図１に開示したと同様の矩形形状のインク吸収体を
収納すると、インク吸収体の下部領域は上記した段差構
造６によって圧縮される。これにより、見かけ上のセル
サイズが小さくなり、第１の実施形態と同様に機能す
る。

【００２４】図４は本発明の第４の実施形態を示す図で
あり、カートリッジ本体１ｃにおいて、その内部に収納
されるインク吸収体と接触する内側壁の内部に、インク
供給部４ｃに向かって内側に突出する量が徐々に増大す
るリブ７が形成されている。そして、カートリッジ本体
１ｃには、第１の実施形態と同様に、セルサイズが徐々
に変化するインク吸収体をインク供給部４ｃ側のセルサ
イズが小さくなるように収納している。但し、セルサイ
ズが均一なインク吸収体を収納した場合でも、上記した
リブ７により同様の効果を得ることは可能である。即
ち、図１に開示したと同様の矩形形状のインク吸収体を
収納すると、インク吸収体の下部領域は上記したリブ７
によって圧縮される。これにより、見かけ上のセルサイ
ズが小さくなり、第１の実施形態と同様に機能する。

【００２５】更に、図５は本発明の第５の実施形態であ
り、カートリッジ本体内に収納されるインク吸収体を、
セルサイズの異なる複数個のインク吸収体２１及び２２
から構成するものである。本実施形態では、インク供給
部に近い側をセルサイズの小さなインク吸収体２２で構
成している。また、本実施形態では、二種類のインク吸
収体から構成しているが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、三つ以上のインク吸収体から構成しても良
い。以上のような構成を採ることにより、異なるセルサ
イズのインク吸収体を別個に製造できるので、第１の実
施形態と同様の効果を奏するインク吸収体を容易に製造
することができる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクジ
ェット記録に用いられるインクを吸収し保持するインク
吸収体と、このインク吸収体を使用するインクカートリ
ッジとを用いると、インクカートリッジ内のインク消費
による負圧の変化に伴うインク供給速度の低下を防ぐと
共に、インクカートリッジ内にインクを残留させること
なく、最後まで効率よくインクを供給することができ
る、という優れた効果を生じる。

【００２７】また、このインクカートリッジを用いるイ
ンクジェットプリンタによれば、プリントヘッドでの安
定したインク吐出状態と印字品位を長期間にわたり維持
することができる、という優れた効果を生じる。

【００２８】また、カートリッジ本体に傾斜構造，段差
構造またはリブ等を形成することで、インク吸収体のセ
ルサイズを各部において連続的又は段階的に変化させる
ことができる。このため、セルサイズが均一なインク吸
収体を用いた場合でも、セルサイズが各部で異なるイン
ク吸収体を用いたのと同様の優れた効果を得ることがで
きる。

【００２９】更には 、異なるセルサイズのインク吸収
体を複数組み合わせる場合には、異なるセルサイズのイ
ンク吸収体を別個に製造できるので、各部でセルサイが
異なるインク吸収体を容易に製造することができる、と
いう優れた効果を生じる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す一部省略した斜視図
である。

【図２】本発明の第２の実施形態に係るカートリッジ本
体を示す斜視図である。

【図３】本発明の第３の実施形態に係るカートリッジ本
体を示す斜視図である。

【図４】本発明の第４の実施形態に係るカートリッジ本
体を示す図であり、図４（Ａ）は平面図を示し、図４
（Ｂ）は側方断面図を示す。

【図５】本発明の第５の実施形態に係るインク吸収体を
示す斜視図である。

【図６】従来例に係るインクカートリッジを示す斜視図
である。

【符号の説明】

１，１ａ，１ｂ，１ｃ カートリッジ本体 ２ インク吸収体 ３ａ，３ｂ セル ４，４ａ，４ｂ，４ｃ インク供給部 ５ 傾斜構造 ６ 段差構造 ７ リブ ２１ インク吸収体 ２２ インク吸収体

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクジェット記録に用いるインクと、
   このインクを内部の空孔に吸収保持するインク吸収体
   と、これらを収納するカートリッジ本体とからなるイン
   クカートリッジにおいて、 前記カートリッジ本体の一端部に、印字を行うプリント
   ヘッドに前記インクを供給するインク供給部を形成し、
   前記インク吸収体の空孔のサイズを、前記インク供給部
   に近接するに従って小さくなるように構成することを特
   徴としたインクカートリッジ。
2. 【請求項２】 前記インク吸収体を、空孔のサイズが異
   なる複数の吸収体を組み合わせて構成し、空孔のサイズ
   の小さな吸収体を前記インク供給部側に配設することを
   特徴とした請求項１記載のインクカートリッジ。
3. 【請求項３】 インクジェット記録に用いるインクと、
   このインクを内部の空孔に吸収保持するインク吸収体
   と、これらを収納するカートリッジ本体とからなるイン
   クカートリッジにおいて、 前記カートリッジ本体の一端部に、印字を行うプリント
   ヘッドに前記インクを供給するインク供給部を形成し、
   前記カートリッジ本体の形状を、インク供給部に近接す
   るに従って断面積が減少するように構成することを特徴
   とするインクカートリッジ。
4. 【請求項４】 前記カートリッジ本体の側壁に傾斜構造
   を構成したことを特徴とした請求項３記載のインクカー
   トリッジ。
5. 【請求項５】 前記カートリッジ本体の側壁に段差構造
   を構成することを特徴とした請求項３記載のインクカー
   トリッジ。