JPH09277286A - ポリイミドチューブの製造方法およびその製造装置 - Google Patents

ポリイミドチューブの製造方法およびその製造装置

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JPH09277286A
JPH09277286A JP9096496A JP9096496A JPH09277286A JP H09277286 A JPH09277286 A JP H09277286A JP 9096496 A JP9096496 A JP 9096496A JP 9096496 A JP9096496 A JP 9096496A JP H09277286 A JPH09277286 A JP H09277286A
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tube
metal core
polyimide
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core
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JP9096496A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Iwata
俊光 岩田
Shuji Kon
修二 今
Yuji Suzuki
祐司 鈴木
Junichi Nishioka
淳一 西岡
Kimiki Kobayashi
公樹 小林
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SWCC Corp
Original Assignee
Showa Electric Wire and Cable Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属製芯体の表面にポリイミド前駆体溶液を
実質的に均一な厚さで付着させ、次いで加熱によりイミ
ド転化反応を行わせてチューブ状物を形成し、しかるの
ちこのチューブ状物を芯体から分離するようにしたポリ
イミドチューブの製造方法において、チューブ状物を芯
体から容易に分離し得る製法を提供する。 【解決手段】 加熱により、イミド転化反応を行わせる
と同時に、チューブ状物に接した芯体の表面を酸化して
金属酸化被膜を形成し、この酸化被膜をチューブ状物と
ともに芯体の表面から剥離させて、チューブ状物を芯体
から分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子複写機などの
熱定着部での使用に適したポリイミド樹脂チューブの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真方式による普通紙複
写機、いわゆる電子複写機としては、光により電荷を発
生する感光体を利用して静電潜像を形成し、その静電潜
像に着色荷電粉体であるトナーを付着させて現像すなわ
ち可視像化し、これを熱により記録紙上に定着させる方
式のものが知られている。定着にあたっては、内部にヒ
ータを備えた熱定着ローラを用いる方式が一般的であ
る。これは、熱定着ローラに圧接して加圧ローラを設
け、この2つのローラ間に、トナー像が形成された記録
紙を順次送りこむことによってトナーの加熱溶融を行
い、トナー像を記録紙上に定着させるという方法であ
る。
【0003】ところで、近年の複写機のめざましい普及
に伴い、機器の簡易化・小型化、そして高速化・省エネ
ルギー化の要求がさらに高まっている。そのような要求
に応えるべく、熱定着ローラを使用しない熱定着方式が
開発されている。そのような方式の一つとして、熱定着
ローラの代わりに、ポリイミドあるいはポリイミド系樹
脂フィルムからなるシームレス管状物、すなわちポリイ
ミドチューブを使用するようにした、フィルム定着方式
とよばれるものがある。
【0004】この方式による定着装置は、薄膜ポリイミ
ドフィルムからなるチューブの内側にヒータと駆動ロー
ルとを備え、ヒータに圧接した部分の外側に加圧ロール
を備えた構造を有しており、さらにポリイミドチューブ
の内側には、フィルムのエンドレス走行を安定させるた
めのテンションローラや、ヒータのホルダーなどが必要
に応じて設けられる。定着にあたっては、トナー像を形
成した記録紙をポリイミドチューブと加圧ロールとの間
に供給しつつ、ポリイミドチューブ内側のヒータからの
加熱により、順次トナー像を定着させる機構となってい
る。
【0005】この定着装置は、薄いポリイミドフィルム
の内側に設置されたヒータが、外表面上を通過する記録
紙上のトナーを加熱し溶融させることによって熱定着を
行なうため、熱定着ローラのように予め定着ローラを予
備加熱する時間を必要とせず、電源スイッチを入れると
すぐに熱定着を開始できるという特長を有している。ま
た、熱容量の大きいローラを加熱する必要がないことか
ら、ヒータの電気容量も小さくて済み消費電力も少ない
という利点もある。
【0006】このようなポリイミドチューブにおいて、
厚みにバラツキがあるとトナーの溶融が均一にできなく
なり、オフセット現象が発生する。また、チューブの周
長差、すなわち管状物の長さ方向における内径のバラツ
キは、薄膜チューブを2軸又は3軸間で回転させる場合
に、チューブの長さ方向への蛇行を発生させることにな
る。したがって、ポリイミドチューブの熱定着用シーム
レスベルトとしての使途に対しては、精度の高い円筒度
が要求される。また、駆動プーリーからの駆動力をチュ
ーブにスムーズに伝達するためには、チューブの内面の
粗さも用途に応じて一定の粗度が必要である。
【0007】そこで、熱定着フィルムとしての使用に適
して厚みの一様なポリイミドシームレスチューブを得る
ため、これまでにも様々な方法が提案されている。な
お、ポリイミドチューブの製造に際しては、熱可塑性樹
脂で作るチューブのように押出成形やインフレーション
または真空成形ができないという問題がある。そのた
め、たとえば特開平3−180309号公報や特開平3
−261518号公報に開示されているように、芯体と
なる金型の外面にポリアミド酸溶液のようなポリイミド
前駆体溶液を均一な厚さで付着させ、加熱により乾燥お
よびイミド化した後、チューブ状物を芯体から分離する
という方法が、その代表的な製造方法として開発されて
いる。
【0008】しかしながら、ポリイミド樹脂は接着剤と
して使用される樹脂であり、ポリアミド酸溶液を金型塗
布し加熱によりイミド転化すると、ポリイミドチューブ
は収縮して金型に密着または接着してしまい、その緊縛
力から、芯体とポリイミドチューブを取り外すことは一
層困難になる。
【0009】そこで、このような金型からの離型を容易
にするため、さらに様々な方法が提案されている。たと
えば、特開平3−110137号公報に開示されている
ように、ポリイミド前駆体溶液を芯体に塗布した後、溶
剤が1〜30%程度残存した時点で芯体から離型し、次
いでそのチューブの内径よりも小径の芯体に再挿入し、
その後焼成してイミド転化すなわちイミド閉環させ、芯
体からチューブを離型するという2種類の大きさの芯体
を使用する方法が提案されている。あるいは、特開平6
−143512号公報、特開平6−344360号公
報、あるいは特開平6−298952号公報などに開示
されているように、芯体に小孔を設けておき、芯体にポ
リイミド前駆体溶液を塗布後、芯体の内側から小孔を通
して空気を圧送し、芯体からチューブを離型するという
方法も提案されている。
【0010】さらには、芯体とチューブをスムーズに分
離するために、芯体の表面を離型性樹脂で被覆して表面
の接着エネルギーを下げるようにする方法も考えられて
いる。たとえば、特開平6−23770号公報には、芯
体表面にシリコーンオイルを塗布する方法が開示されて
いる。しかしながら、接着エネルギーを下げることによ
り、芯体とチューブの分離は容易になるものの芯体表面
はぬれにくくなるため、液状のポリイミド前駆体を芯体
表面に塗布する時に、ハジキ現象や流れ現象など多くの
好ましくない現象が新たに発生し、ムラなく均一な厚さ
の塗膜を得ることを難しくしていた。
【0011】そこで、芯体とチューブの分離を容易にす
ると同時にこれらの現象を起こり難くするために、たと
えば特開平3−261518号公報では、芯体表面を耐
熱性の樹脂でかつ接触角が小さい材質で被覆するという
方法が、あるいは特開平7−76025号公報では、芯
体表面を無機コーティング層で被覆するという方法が、
それぞれ提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た改良方法にもそれぞれ難点があり、現在のところで
は、チューブの芯体からの離型が容易になったとは未だ
いい難い。たとえば、2種類の大きさの芯体を使用する
方法は、完全にイミド閉環したときに収縮するチューブ
の内径を予想して2番目の芯体の大きさを設定する必要
があり、工程が繁雑なばかりでなく、イミド化の中間段
階でチューブの取り出しと再挿入を行うため、製品の歩
留まりも低下するという難点があった。
【0013】一方、外側に膜を形成するよう構成された
芯体に小孔を設ける方法には、空気孔が複雑となるため
芯体の作製費が高騰するという難点があった。そればか
りでなく、焼成後はチューブが収縮するため、その緊縛
力に逆らうべく空気を圧送すると、膜の剥がれや折れ曲
りが生じ易くなり、製品の品質が低下し歩留まりも低下
するという難点もあった。
【0014】また、芯体表面を、たとえばフッ素樹脂や
無機コーティング層などの耐熱性の材質で被覆するよう
にした方法は、形成された被覆層の表面強度や芯体との
接着強度が十分とはいえず、打疵や傷が付いたり剥がれ
たりしやすいという難点があった。そして、ごくわずか
であっても表面が傷付き平滑性が損なわれた芯体を用い
てチューブを作製した場合には、ピンホールや傷跡を生
じ易いため、製品の品質面で悪影響を及ぼすことになっ
た。したがって、このような被覆層を有する芯体の取扱
いには細心の注意を必要とし、また、傷が付いたものは
使用しないようにするなどの配慮が必要であった。
【0015】本発明は、このような従来の事情に対処し
て成されたものであり、定着フィルムとしての使用に適
したポリイミドチューブの製造方法、さらに詳しくは、
芯体とチューブの分離が容易で高品質のチューブが簡便
に得られるポリイミドチューブの製造方法およびその製
造装置を提供することを、その目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、金
属製芯体の表面にポリイミド前駆体溶液を実質的に均一
な厚さで付着させ、次いで加熱してイミド転化反応を行
わせてチューブ状物を形成し、しかるのちこのチューブ
状物を前記金属製芯体から分離するようにしたポリイミ
ドチューブの製造方法において、加熱により、イミド転
化反応を行わせると同時に、前記チューブ状物に接した
前記金属製芯体の表面を酸化して金属の酸化被膜を形成
し、この酸化被膜を前記チューブ状物とともに前記金属
製芯体の表面から剥離させて、前記チューブ状物を前記
金属製芯体から分離するようにしたことを特徴としてい
る。
【0017】本発明において、金属製芯体の表面を構成
し、イミド転化反応の加熱温度において酸化被膜を形成
し得る金属としては、たとえば銅や亜鉛、あるいはスズ
などが好適に使用可能である。このような金属により構
成される芯体の表面にポリイミド前駆体溶液を付着させ
た後、加熱して通常300〜400℃とされる完全イミ
ド転化反応温度に所定の時間保持した場合には、表面に
付着したポリイミド前駆体溶液からポリイミドから成る
チューブ状物が形成されるとともに、芯体表面を構成す
る金属が酸素と化合することにより、ポリイミドチュー
ブの内側に付着して金属の酸化物からなるごく薄い酸化
被膜が形成される。本発明において、形成される酸化被
膜の厚さは0.2μm〜5μmの範囲にあることが好ま
しく、イミド転化反応のための加熱条件は、酸化被膜が
このような厚さに形成されるように設定することが望ま
しい。
【0018】本発明においては、ポリイミドチューブと
芯体表面の金属との間に、このような酸化被膜が形成さ
れることにより、ポリイミド樹脂と芯体との接着力が弱
められるので、チューブを芯体から分離しやすくなる。
また、ポリイミドチューブを芯体から分離するときに
は、形成された酸化被膜の表面がポリイミドチューブの
内周面に付着した状態でチューブが芯体から剥離され
る。本発明において、剥離面は本質的には酸化被膜の層
内にあって、内周面に薄い酸化被膜が付着したチューブ
を芯体から分離させた後、ごく薄い酸化被膜が芯体表面
にも残ることになるが、このことは芯体の再使用には差
支えない。あるいは、酸化被膜と芯体外周面との界面が
剥離面となって、酸化被膜の全厚がチューブ側に付着し
た場合であっても、本発明の効果は、変わらずに得られ
る。
【0019】本発明は、厚さ10μm〜150μm、内
径10mm〜300mmのポリイミドチューブの製造に
適用可能であり、所望の均一な厚さと内径のポリイミド
チューブを得るためには、ポリイミド前駆体溶液の濃度
や粘度を調整することが望ましい。本発明においてポリ
イミド前駆体溶液の粘度は、150ポアズ〜5000ポ
アズの範囲内であることが望ましい。
【0020】本発明において使用可能なポリイミド前駆
体としてはとくに制限はないが、たとえば芳香族ジアミ
ンと芳香族テトラカルボン酸とを反応させて得られるも
のなどがあげられ、芳香族ジアミンとしては、たとえば
3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、
3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジ
アミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンな
ど、芳香族テトラカルボン酸としては、たとえば3,3
´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3´,
4,4´−テトラカルボン酸二無水物などがあげられ
る。これらの芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸
との反応は、たとえばジメチルアセトアミド、ジメチル
ホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機
極性溶剤中で行なわれる。
【0021】本発明により製造されたポリイミドチュー
ブは、その内周面に酸化被膜が付着していることによ
り、酸化被膜がないものに比べて熱伝導係数が小さくな
る。また、製品にこのような酸化被膜が不要な場合に
は、希硫酸に漬浸するなどの簡単な操作によって、酸化
被膜をチューブから容易に取除くことができる。
【0022】また、本発明の製造方法は、ポリイミドチ
ューブの上にたとえばフッ素樹脂層を有するような複層
構成のチューブの製造にも、問題なく適用可能である。
イミド転化反応を行わせてチューブ状物を形成した後、
たとえばフッ素樹脂ディスパージョンのスプレー塗装な
どを常法にしたがって行うことができる。
【0023】本発明において、所望の厚さを得るため
に、ポリイミド前駆体溶液は比較的高い粘度で使用され
ることになる。そこで、芯体の外周全体に均一な厚さで
付着させるにあたってどのような方法を用いてもよい
が、たとえば浸漬や塗布などの一般的な塗装方法により
芯体の外周上部に所定量付着させた後、その長手方向を
鉛直に保持した金属芯体の外側に、所定のクリアランス
を有する『通しダイス』状の外金型を嵌め、その自重に
よって外金型を降下させる、いわゆるダイスコート法な
どはとくに好適である。
【0024】本発明に係わる金属製芯体は、全体が上記
金属から成っている必要はなく、少なくともその表面が
上記金属から成るようにすれば、本発明の効果を得るこ
とができる。芯体全体を上記金属により形成するように
してもよいが、価格的に高価なものになる。そこで、強
度があって銅や亜鉛などより安価なステンレスなどによ
り芯体を作製し、その表面にメッキなどにより上記金属
を被覆するようにすれば、本発明に係わる金属製芯体を
安価に得ることができる。メッキ層の厚さが0.3μm
〜200μmであれば、好ましい厚さの酸化被膜を形成
するのに十分であり、本発明の効果を安定して得るため
にも強度的にも十分である。
【0025】本発明において、上記芯体の表面は、樹脂
材料や無機コーティングなどの被覆層ではなく、金属そ
のものの表面あるいは金属メッキ面であるので、表面強
度や芯体との接着強度が十分であり、芯体の取扱いにさ
ほどの注意を要しない。打疵や傷、剥がれの生じるおそ
れが小さいため、品質の安定したチューブを製造し得
る。また、製造されたチューブを分離した後、たとえば
アルコールやアセトンなどによる簡単な清拭だけで次回
の使用が可能であるので、連続使用が容易である。ま
た、ハジキ現象や流れ現象などの好ましくない現象が発
生せず、ムラなく均一な厚さの塗膜を得易い。
【0026】すなわち、本発明のポリイミドチューブの
製造装置は、少なくとも表面が、加熱により酸化被膜を
形成し得る金属から成る金属製芯体と、この金属製芯体
の外周に所定のクリアランスをもって配置され、かつ、
前記金属製芯体の長手方向に移動可能な外金型とを有す
ることを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を実施例にし
たがって説明する。
【0028】実施例1 ポリイミドチューブの製造に先立ち、本発明に係わる金
属製芯体を作製した。まず、外径20.0mm、長さ4
50mm、肉厚1.5mmのステンレス(STKM−1
3A)素管の表面を、Rmax =3.2μmに仕上げた。
そして常法にしたがって、電気メッキにより平均厚さ6
μmの銅メッキ層を形成し、その後、酸洗、水洗を行っ
た。このようにして得られた一般的な銅メッキステンレ
スパイプを、本発明に係わる金属製芯体とした。
【0029】図1は、本発明に係わる金属製芯体の一実
施例の断面の概略図である。同図に示されるように、ス
テンレスパイプ1の表面には銅メッキ層2が形成されて
いる。
【0030】次いで、ポリアミド酸(宇部興産社製、商
品名uワニスS)を、溶剤ジメチルアセトアミド/ナフ
サ(9/1)中に溶解させて、樹脂分21%、粘度13
0ポアズのポリイミド前駆体溶液を調製し、この25g
を金属製芯体1の外周表面上部にヘラで塗布した。
【0031】そして、図2に示すようにこの芯体1の上
部に、その長手方向に移動可能であって所定のクリアラ
ンスをもって配置される外金型3を嵌めて、外金型3の
自重とポリイミド前駆体溶液の粘性によって自然降下さ
せ、芯体1外表面にポリイミド前駆体溶液の薄膜4を形
成した。なお、この薄膜形成は室温で行った。図2に示
した外金型3は、上部内径21.3mm、下部内径45
mm、全長38mm(内径21.3mmの部分の長さは
3mm)の『通しダイス』状であった。その内面は表面
粗さRmax =3.2μmに鏡面仕上げされ、自重は31
0gであった。 その後この芯体を、入口温度120℃
出口温度420℃のほぼ直線上昇温炉中に25分間保持
して加熱焼成させ、炉から出た直後にその表面に水霧を
かけて、表面温度が43℃になるまで冷却をした。その
まま放冷して、表面温度が28℃になった時点で、芯体
からポリイミドチューブを取り外したところ、容易に取
り外すことができた。
【0032】このようにして得られたポリイミドチュー
ブの内径は、19.98±0.003mm、肉厚46.
32±0.001μm、有効長さ445mmであり、寸
法精度の高いチューブが得られた。なお、このチューブ
の物性を調べたところ、引張強さ21.6kg/mm2
(25℃)、伸び66%(25℃)、銅酸化物層の厚さ
2μm、熱伝導率2.1×10-4cal/cm・sec
・℃であった。
【0033】実施例2 ポリイミドチューブの製造に先立ち、本発明に係わる金
属製芯体を作製した。まず、外径31.0mm、長さ5
00mm、肉厚1.5mmのステンレス(STKM−1
3A)素管の表面を、Rmax =3.2μmに仕上げた。
そして常法にしたがって、電気メッキにより平均厚さ1
30μmの亜鉛メッキ層を形成し、その後、酸洗、水洗
を行った。このようにして得られた一般的な亜鉛メッキ
ステンレスパイプを、本発明に係わる金属製芯体とし
た。
【0034】次いで、外金型として、上部内径32.6
mm、全長60mm(内径32.6mmの部分の長さ3
mm)自重は480gの『通しダイス』状の金型を用い
た他は実施例1と同様にして、芯体外表面にポリイミド
前駆体溶液の薄膜を形成した。
【0035】その後この芯体を、入口温度120℃出口
温度450℃のほぼ直線上昇温炉中に25分間保持して
加熱焼成させ、焼成後に水冷却を行い芯体からポリイミ
ドチューブを取り外したところ、容易に取り外すことが
できた。
【0036】このようにして得られたポリイミドチュー
ブの内径は30.98mm、肉厚46.11μm、有効
長さ490mmで、長手方向の外径差および肉厚差は
0.1%以下という、きわめてバラツキのない高寸法精
度のチューブが得られた。なお、このチューブの物性を
調べたところ、引張強さ20.5kg/mm2 (25
℃)、伸び70.1%(25℃)、銅酸化物層の厚さ2
μm、熱伝導率2.36×10-4cal/cm・sec
・℃であった。
【0037】実施例3 実施例2で使用した芯体の表面をアルコール拭きし、再
使用してポリイミドチューブを作製したところ、内径3
0.98mm、肉厚46.53μm、有効長さ490m
mの高品質・高精度のポリイミドチューブが得られた。
【0038】実施例4 実施例1と同様にして作製したポリイミドチューブを、
濃度7%の希硫酸に15分間浸漬し、その後26℃の水
道水で2回繰返して洗浄し、80℃の温風を用いて乾燥
させた。
【0039】得られたチューブの物性を調べたところ、
引張強さ20.8kg/mm2 (25℃)、伸び65%
(25℃)、熱伝導率1.2×10-4cal/cm・s
ec・℃であった。
【0040】実施例5 樹脂分を18.8%、粘度を740ポアズに変えた他は
実施例1と同様にして、のポリイミド前駆体溶液を調製
し、実施例1で使用した芯体に塗布した。次いで、34
0℃で50分間焼成した。芯体の外周に形成されたチュ
ーブ状物の表面に、フッ素樹脂としてPTFEディスパ
ージョン(旭硝子社製)をスプレー塗装した。そしてこ
の芯体を、360℃の炉中に8分間保持して加熱焼成さ
せた後、21℃の水を毎分18リットルの割合でかけて
水冷却を行った。表面温度が室温にまで下がった時点
で、芯体から複層のポリイミドチューブを取り外したと
ころ、容易に取り外すことができた。
【0041】得られた複層ポリイミドチューブは、ポリ
イミド層厚41.05μm、PTFE層厚12.20μ
mであり、引張強さ17.4kg/mm2 (25℃)、
伸び63%(25℃)であった。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
芯体とチューブの分離が容易で、商品質のチューブが簡
便に得られるポリイミドチューブの製造方法、およびそ
の製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる金属製芯体の一実施例の断面図
である。
【図2】ポリイミド薄膜形成の様子を示す概略図であ
る。
【符号の説明】 1……金属製芯体 2……メッキ層 3……外金型 4……ポリイミド前駆体溶液の薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 祐司 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番1 号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 西岡 淳一 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番1 号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 小林 公樹 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番1 号 昭和電線電纜株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製芯体の表面にポリイミド前駆体溶
    液を実質的に均一な厚さで付着させ、次いで加熱により
    イミド転化反応を行わせてチューブ状物を形成し、しか
    るのちこのチューブ状物を前記金属製芯体から分離する
    ようにしたポリイミドチューブの製造方法において、 加熱により、イミド転化反応を行わせると同時に、前記
    チューブ状物に接した前記金属製芯体の表面を酸化して
    金属の酸化被膜を形成し、この酸化被膜を前記チューブ
    状物とともに前記金属製芯体の表面から剥離させて、前
    記チューブ状物を前記金属製芯体から分離するようにし
    たことを特徴とするポリイミドチューブの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属製芯体の少なくとも表面が、銅
    から成ることを特徴とする特許請求の範囲請求項1記載
    のポリイミドチューブの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記金属製芯体の少なくとも表面が、亜
    鉛から成ることを特徴とする特許請求の範囲請求項1記
    載のポリイミドチューブの製造方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも表面が、加熱により酸化被膜
    を形成し得る金属から成る金属製芯体と、この金属製芯
    体の外周に所定のクリアランスをもって配置され、か
    つ、前記金属製芯体の長手方向に移動可能な外金型とを
    有することを特徴とするポリイミドチューブの製造装
    置。
  5. 【請求項5】 前記金属製芯体の少なくとも表面が、銅
    または亜鉛によりメッキされて成ることを特徴とする特
    許請求の範囲請求項4記載のポリイミドチューブの製造
    装置。
JP9096496A 1996-04-12 1996-04-12 ポリイミドチューブの製造方法およびその製造装置 Withdrawn JPH09277286A (ja)

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