JPH09276393A - 人工血管及びその製造方法 - Google Patents

人工血管及びその製造方法

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JPH09276393A JP15388096A JP15388096A JPH09276393A JP H09276393 A JPH09276393 A JP H09276393A JP 15388096 A JP15388096 A JP 15388096A JP 15388096 A JP15388096 A JP 15388096A JP H09276393 A JPH09276393 A JP H09276393A
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JINKOU KETSUKAN GIJUTSU KENKYU
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小口径でも閉塞が少なく、開存率の高い人工
血管を提供する。 【解決手段】 延伸ポリテトラフルオロエチレンの多孔
質チューブからなり、その内面からの深さが壁厚の5%
以上96%未満の範囲の層に親水基を導入し、所望によ
りその層に抗血栓性物質および生体組織誘導性物質から
成る群から選択される少なくとも1種の物質を固定した
人工血管。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工血管に関し、
さらに詳しくは、大動脈、冠状動脈、末梢血管などの疾
患の治療に用いる人工血管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエステル繊維の織物また
は編物や延伸ポリテトラフルオロエチレン(以下、eP
TFE)のチューブが人工血管として用いられている。
ePTFEチューブは、素材であるポリテトラフルオロ
エチレン自体が抗血栓性に優れる上、延伸によって得ら
れる繊維−結節からなる多孔質構造が生体適合性に優れ
るため、ポリエステルに比べてより小口径の人工血管に
適用されてきた。
【0003】しかしながらePTFEでも抗血栓性が十
分ではなく、内径5mm以下、特に内径4mm以下の人工血
管では十分な開存率は得られていない。そこでこれらを
解決する方法として、材料自体の抗血栓性を高める方
法、人工血管を移植後に、内面に抗血栓性の組織形成
を促すように工夫する方法、人工血管内に、抗血栓性
の組織を培養(播種)する方法が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】具体的には、の方法
としては、ミクロ相分離構造の抗血栓性高分子材料や抗
血栓剤固定化材料の開発が検討されている(野色ら、ト
ランザクションズ・オブ・アサイオ(Trance.A.S.
A.I.O),23,253(1977)など)。の方
法としては、コラーゲンやフィブロネクチン等の細胞接
着性たんぱくを塗布後に架橋した人工血管が提案されて
いる(ルンドグレンら、トランザクションズ・オブ・ア
サイオ,32,346(1986))など。の方法と
しては、人工血管内面に血管内皮細胞を播種する方法が
検討されている(高木ら、人工臓器、17、679、
(1988)、特開平1−170466号報)など。
【0005】しかし、の方法は、ヒトの血管内皮細胞
の確保が困難でかつ、培養に数週間かかることが問題で
あり、実用化されていない。本発明者らは、ePTFE
表面を様々な材料、条件で複合化することでおよび
の方法に類似した研究を行った。その結果、単に抗血栓
材料や組織誘導性物質をePTFE全面に複合化しただ
けでは、使用する薬剤に唱われているような効果が得ら
れず、開存性は何も処理を施さない従来のePTFEと
同等かそれ以下でしかなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、移植直後に内壁に一定の血液が侵入するよう
な構造、例えば壁の半分を親水化処理した構造を有する
ePTFEチューブの開存性は、そのような処理を施さ
ないePTFEチューブに比べ開存性が高まることを発
見し、さらに、この親水化層に抗血栓性物質や細胞接着
性蛋白質を複合化すれば、薬剤の効果を有効に引き出す
ことが出来ることを見いだした。また、更に開存率を高
めるためには、抗血栓性物質または組織誘導性物質をそ
の親水化層に固定すればよいことを見いだした。
【0007】すなわち、本発明は、延伸ポリテトラフル
オロエチレンの多孔質チューブからなり、その内面から
の深さが壁厚の5%以上96%未満の範囲の層を親水性
にし、所望により親水性層に抗血栓性物質および生体組
織誘導性物質から成る群から選択される少なくとも1種
の物質を固定した人工血管、および延伸ポリテトラフル
オロエチレンの多孔質チューブに、その外面から壁厚の
一部分に熱可塑性物質を浸透させた後、該熱可塑性物質
が浸透していない部分を親水処理する人工血管及びその
製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】吻合部において生体血管と人工血
管との間に強固な結合を早期に形成するためには、eP
TFEの繊維長は20〜200μm、空隙率は50%以
上、好ましくは70%以上であることが望ましい。ま
た、ePTFEチューブの壁厚は、生体血管に合わせる
ために、300〜1000μmの間で選択すれば良い。
【0009】ePTFEチューブの内面から一定の深さ
の範囲で化学的に親水基を導入する方法としては、次に
ような方法が例示できす。ePTFEチューブの外面か
ら一定の深さの範囲をPTFEに対し親和性のあるパラ
フィン等でマスキングした後に、アルカリ金属を用いた
化学処理、またはγ線や電子線などの放射線放射やコロ
ナ放電、グロー放電処理などの物理的処理によりマスキ
ングされていない部分のePTFEを脱フッ素化し、次
いで、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、エ
ポキシ基等を有する化合物を負荷させることで官能基を
導入後、マスキングに用いた物質を除去する。
【0010】このとき、開存率を高めるためには、パラ
フィン等によってマスキングされていない部分の厚さ
を、壁厚の5%以上95%以下、好ましくは50%以上
90%以下とするのが好ましい。この厚さの制御は、好
ましくは、チューブの内腔に流す冷却水の温度を制御す
ることで壁内の温度勾配を変化させると、溶融させたパ
ラフィンが侵入する深さが変化するのを利用して行う
か、壁全体にパラフィンを浸透させた後に内腔側のパラ
フィンを溶剤で抽出して行う。
【0011】化学処理に用いるアルカリ金属化合物とし
ては、例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、t
−ブチルリチウム、ナトリウム−ナフタレン、ナフタレ
ン−ベンゾフェノン、ビニルリチウムなどが挙げられ、
これらを溶液として使用する。ナトリウム−ナフタレン
またはナトリウム−ベンゾフェノンは、処理によってP
TFE表面に黒褐色の層を形成する上、均一に処理する
ことが困難であるので、本発明の人工血管を作成するた
めにはメチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチ
ルリチウムを用いることが望ましい。メチルリチウム、
n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムはこれ自体で
はフッ素を引き抜く作用が弱いので、キレート試薬であ
るヘキサメチルリン酸トリアミドやN,N,N,N−テト
ラメチルエチレンジアミン等を添加することが必要であ
る。
【0012】分子内に水酸基、カルボキシル基、エポキ
シ基またはアミノ基を含有する物質としては、グリセロ
ール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リル酸、アリルアミン、2−アミノエチル(メタ)アク
リレート、アクリルアミド等が挙げられる。また、無水
マレイン酸等の無水物を付加し、その後に加水分解して
もよい。
【0013】より具体的には、アルゴン雰囲気下、PT
FEチューブをメチルリチウムのジエチルエーテル溶液
に浸漬しておき、ここへヘキサメチルリン酸トリアミド
を添加して−10℃で30分間放置してPTFEのフッ
素原子を引き抜いた後、反応液を除去し、ここにアクリ
ル酸の水溶液を加えて80℃で10時間反応させる。反
応後に余剰のアクリル酸とその重合体を洗浄除去してア
クリル酸のグラフト体を得ることが出来る。
【0014】PTFEにこれらの官能基を導入するため
に、γ線や電子線などの放射線照射やグロウ放電を用い
てもよい。しかし公知の事実より、放射線による処理で
は、PTFEの結晶内部までPTFEが分解されるた
め、PTFEの分子量が低下し強度が著しく低下するの
で、人工血管として実用に供するのは困難である。また
グロー放電処理では延伸PTFEの多孔質内部まで処理
を施すことは困難である。
【0015】これに対し、アルカリ金属化合物により処
理すると、厚さ約数百オングストロームのごく表層だけ
が処理されるため、チューブの強度の低下はなく、更に
ePTFEのような多孔質体であっても均一に処理する
ことが可能である。
【0016】抗血栓性物質および/または組織誘導性物
質を固定するためには、単に物理的に塗布しても良い
し、予め導入した官能基に化学結合させてもよい。目的
の物質が化学結合によっても活性を失わない物質であれ
ば、導入した官能基に化学結合させる方法を用いた方が
より好ましい。その方法はその官能基に適した方法を選
択すればよく、好ましくは固定することによって活性を
失うことがない方法を選択すればよい。
【0017】例えば、水酸基、カルボキシル基およびア
ミノ基に対しては脱水縮合により、エポキシ基に対して
は付加反応により、共有結合を形成させる。水酸基に対
しては、そのままカルボジイミドを触媒として脱水縮合
により結合させてもよいし、水酸基に例えばトリフルオ
ロメタンスルホニル基等の脱離基を導入して反応性を上
げておいてから組織誘導性物質のアミノ基と反応させて
もよい。またカルボキシル基に対しては、そのままカル
ボジイミド等の脱水縮合触媒を用いて結合してもよい
し、N−ヒドロキシコハク酸イミドを反応させて活性エ
ステルを導入して反応性を上げておいてから抗血栓性物
質または組織誘導性物質のアミノ基と反応させてもよ
い。
【0018】複合化する抗血栓性物質には、例えばヒル
ジン、ヘパリン等の抗凝固薬、t-PAやウロキナーゼ等
のプラスミノーゲンアクチベータ、プラスミンやスブチ
リシン等の線溶酵素、プロスタサイクリン、アスピリン
等の抗血小板剤を用いればよいが、特にヘパリンが最も
好ましい。その固定量は、チューブ1cmあたり、300
〜2000μg(約60〜400単位)が良い。
【0019】複合化する組織誘導性物質には、例えばコ
ラーゲン、ゼラチン、ラミニンやフィブロネクチン等の
細胞接着性を有する蛋白質を用いればよいが、特にフィ
ブロネクチンが好ましい。その固定量は、チューブ1cm
あたり、50μg〜500μgが良い。
【0020】以上のような処理によって、延伸PTFE
からなるチューブ内面からの深さが壁厚の5%以上96
%未満の範囲の層を親水性にした人工血管、およびその
親水基を導入した層に抗血栓性物質および/または組織
誘導性物質を固定した、開存性が改善された人工血管が
得られる。
【0021】
【実施例】以下の実施・比較例で述べるePTFEの繊
維長とは、走査型電子顕微鏡で測定した結節間距離の平
均値である。次に、実施例を示し、本発明を具体的に説
明するが、本発明の範囲は、これら実施例により限定さ
れるものではない。実施例1 内径2.0mm、外径3.0mm、長さ20mm、平均繊維長3
0μm、空隙率75%のePTFEチューブの外表面か
ら約50μmの深さまでパラフィンを含浸した後、−1
0℃でアルゴン雰囲気下、メチルリチウムのエーテル溶
液(1.4M)20mlとヘキサメチルリン酸アミド2ml
の混合溶液に30分間浸漬した。その後、溶液だけを除
去し、アクリル酸1gの水20ml中溶液を加え、80℃
で10時間反応させた。次いで、余剰のアクリル酸と重
合したアクリル酸とパラフィンを洗浄除去し、アクリル
酸グラフト化ePTFEチューブを得た。重量変化から
計算したところ、アクリル酸のグラフト量は、チューブ
1cm当たり約235μgであった。
【0022】実施例2 内径2.0mm、外径3.0mm、長さ20mm、平均繊維長3
0μm、空隙率75%のePTFEチューブの外表面か
ら約100μmの深さまでパラフィンを含浸した後、−
10℃でアルゴン雰囲気下、メチルリチウムのエーテル
溶液(1.4M)20mlとヘキサメチルリン酸アミド2m
lの混合溶液に30分間浸漬した。その後、溶液だけを
除去し、アクリル酸1gの水20ml中溶液を加え、80
℃で10時間反応させた。次いで、余剰のアクリル酸と
重合したアクリル酸とパラフィンを洗浄除去し、アクリ
ル酸グラフト化ePTFEチューブを得た。重量変化か
ら計算したところ、アクリル酸のグラフト量は、チュー
ブ1cm当たり約195μgであった。
【0023】実施例3 内径2.0mm、外径3.0mm、長さ20mm、平均繊維長3
0μm、空隙率75%のePTFEチューブの外表面か
ら約300μmの深さまでパラフィンを含浸した後、−
10℃でアルゴン雰囲気下、メチルリチウムのエーテル
溶液(1.4M)20mlとヘキサメチルリン酸アミド2m
lの混合溶液に30分間浸漬した。その後、溶液だけを
除去し、アクリル酸1gの水20ml中溶液を加え、80
℃で10時間反応させた。次いで、余剰のアクリル酸と
重合したアクリル酸とパラフィンを洗浄除去し、アクリ
ル酸グラフト化ePTFEチューブを得た。重量変化か
ら計算したところ、アクリル酸のグラフト量は、チュー
ブ1cm当たり約90μgであった。
【0024】実施例4 内径2.0mm、外径3.0mm、長さ20mm、平均繊維長3
0μm、空隙率75%のePTFEチューブの外表面か
ら約480μmの深さまでパラフィンを含浸した後、−
10℃でアルゴン雰囲気下、メチルリチウムのエーテル
溶液(1.4M)20mlとヘキサメチルリン酸アミド2m
lの混合溶液に30分間浸漬した。その後、溶液だけを
除去し、アクリル酸1gの水20ml中溶液を加え、80
℃で10時間反応させた。次いで、余剰のアクリル酸と
重合したアクリル酸とパラフィンを洗浄除去し、アクリ
ル酸グラフト化ePTFEチューブを得た。重量変化か
ら計算したところ、アクリル酸のグラフト量は、チュー
ブ1cm当たり約20μgであった。
【0025】実施例5 実施例3と同じチューブを0.5%ヘパリン(SANO
FI社)水溶液に10分浸漬した後、凍結乾燥し、ヘパ
リン複合化ePTFEチューブを得た。重量変化から計
算したところ、固定されたヘパリンの量は、チューブ1
cm当たり約550μgであった。
【0026】実施例6 0.05%フィブロネクチン(牛血漿由来、日本ハム)
及び0.5%1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミドの水溶液を1N塩酸でpH5に
調整し、この溶液に、実施例3で製造したアクリル酸グ
ラフト化ePTFEを24時間浸漬した後、水で洗浄
し、フィブロネクチン結合ePTFEを得た。重量変化
から計算したところ、結合しているフィブロネクチンの
量は、チューブ1cm当たり160μgであった。
【0027】実施例7 実施例6でフィブロネクチン結合ePTFEチューブ
を、0.5%ヘパリン(SANOFI社)水溶液に10
分浸漬した後、凍結乾燥し、ヘパリン複合化ePTFE
チューブを得た。重量変化から計算したところ、固定さ
れたヘパリンの量は、チューブ1cm当たり約550μg
であった。
【0028】比較例1 内径2.0mm、外径3.0mm、長さ20mm、平均繊維長3
0μm、空隙率75%のePTFEチューブをそのまま
人工血管として用いた。。
【0029】比較例2 内径2.0mm、外径3.0mm、長さ20mm、平均繊維長3
0μm、空隙率75%のePTFEチューブを、アルゴ
ン雰囲気下、メチルリチウムのエーテル溶液(1.4
M)20mlとヘキサメチルリン酸アミド2mlの混合溶液
に30分間浸漬した。その後、溶液だけを除去し、アク
リル酸1gの水20ml中溶液を加え、80℃で10時間
反応させた。次いで、余剰のアクリル酸と重合したアク
リル酸を洗浄除去し、アクリル酸グラフト化ePTFE
チューブを得た。重量変化から計算したところ、アクリ
ル酸のグラフト量は、チューブ1cm当たり約250μg
であった。
【0030】比較例3 比較例2と同じチューブを0.5%ヘパリン(SANO
FI社)水溶液に10分浸漬した後、凍結乾燥し、ヘパ
リン複合化ePTFEチューブを得た。重量変化から計
算したところ、固定されたヘパリンの量は、チューブ1
cm当たり約920μgであった。
【0031】比較例4 0.05%フィブロネクチン(牛血漿由来、日本ハ
ム)、及び0.5%1−エチル−3−(3−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミドの水溶液を1N塩酸でp
H5に調整し、この溶液に、比較例2で製造したアクリ
ル酸グラフト化ePTFEチューブを24時間浸漬した
後、水で洗浄し、フィブロネクチン結合ePTFEチュ
ーブを得た。重量変化から計算したところ、結合してい
るフィブロネクチンの量は、チューブ1cm当たり290
μgであった。
【0032】比較例5 比較例4で製造したフィブロネクチン結合ePTFEチ
ューブを、0.5%ヘパリン(SANOFI社)水溶液
に10分浸漬した後、凍結乾燥し、フィブロネクチン/
ヘパリン複合化ePTFEを得た。重量変化から計算し
たところ、固定されたヘパリンの量は、チューブ1cm当
たり約920μgであった。
【0033】比較例6 内径2.0mm、外径3.0mm、長さ20mm、平均繊維長3
0μm、空隙率75%のePTFEチューブの外表面か
ら約20μmの深さまでパラフィンを含浸した。その
後、−10℃でアルゴン雰囲気下、メチルリチウムのエ
ーテル溶液(1.4M)20mlとヘキサメチルリン酸ア
ミド2mlの混合溶液に30分間浸漬した後、溶液だけを
除去し、アクリル酸1gの水20ml中溶液を加え、80
℃で10時間反応させた。この後、余剰のアクリル酸と
重合したアクリル酸とパラフィンを洗浄除去し、アクリ
ル酸グラフト体を得た。重量変化から計算したところ、
アクリル酸のグラフト量はチューブ1cm当たり約250
μgであった。
【0034】実施例および比較例で製造した人工血管そ
れぞれを、ウサギの頚動脈に置換移植し、1週間後およ
び1カ月後の開存率を調べた。結果を表1に示す。これ
らの結果から明らかなように、親水層の厚さが壁厚の5
%から95%である人工血管の開存率は、何も処理を施
さないePTFEチューブの開存率に比べて高く、壁全
体の約半分まで親水層を設けた人工血管の開存率が最も
高かった。また、このチューブに抗血栓剤を塗布したも
のは初期の開存率がよく、細胞接着性蛋白質を複合化し
たものは長期で開存率が高まることが分かる。さらに抗
血栓剤と細胞接着性蛋白質の両方を複合化したものは他
のどの人工血管よりも、初期から長期にわたって、開存
率が高い結果となった。ちなみに、全面に親水基を導入
し、抗血栓剤または細胞接着性蛋白質を複合化したもの
は開存率が良くない。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】従来より延伸ポリテトラフルオロエチレ
ン(以下PTFEと略記)のチューブが人工血管として
用いられている。しかしながらこの材料自体は抗血栓性
が十分ではなく、特に内径4mm以下の小口径領域では血
栓による閉塞が頻発する。本発明では、ePTFEから
なるチューブ内面より深さが壁厚の5〜95%の範囲で
化学的に親水基を導入した人工血管とその親水基を導入
した層に抗血栓性物質または組織誘導性物質を物理的ま
たは化学的に固定することによって、開存性が高まる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸ポリテトラフルオロエチレンの多孔
    質チューブからなり、その内面からの深さが壁厚の5%
    以上96%未満の範囲の層を親水性にした人工血管。
  2. 【請求項2】 延伸ポリテトラフルオロエチレンの多孔
    質チューブからなり、その内面からの深さが壁厚の5%
    以上96%未満の範囲の層に親水基を導入し、その層に
    抗血栓性物質および生体組織誘導性物質から成る群から
    選択される少なくとも1種の物質を固定した人工血管。
  3. 【請求項3】 延伸ポリテトラフルオロエチレンの多孔
    質チューブに、その外面から壁厚の一部分に熱可塑性物
    質を浸透させた後、該熱可塑性物質が浸透していない部
    分を親水処理する請求項1の人工血管の製造方法。
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