JPH09274865A - 周期磁界集束進行波管 - Google Patents

周期磁界集束進行波管

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JPH09274865A
JPH09274865A JP8396196A JP8396196A JPH09274865A JP H09274865 A JPH09274865 A JP H09274865A JP 8396196 A JP8396196 A JP 8396196A JP 8396196 A JP8396196 A JP 8396196A JP H09274865 A JPH09274865 A JP H09274865A
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electron beam
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magnetic
ripple rate
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リップル率の低い電子ビームを有する周期磁
界集束進行波管を提供すること。 【解決手段】 磁気回路の永久磁石の磁界周期を、近軸
方程式から導かれるリップル率が2.5%〜5.0%と
なる範囲に設定したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周期磁界集束進行
波管に関し、特に、電子ビームを集束する機構を備えた
周期磁界集束装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周期磁界集束進行波管の1従来例を電子
ビーム軸を含む面の断面である図5に示す。図5中、電
子銃は陰極501、電子ビーム形成電極502、陽極5
03によって構成され、電子ビーム504を射出整形す
る。505は強磁性体磁極、506は永久磁石、507
は真空封止及び磁極505を支持するスペーサであり、
これらによって磁気回路が構成される。508は、電子
ビームと相互作用する電磁波を電子ビームとほぼ同等の
速度で電子銃側からコレクタ側へ伝搬させる遅波回路で
あり、管軸に対して役120゜に配置された3本の誘電
体支柱510によって機械的に支持されている。また遅
波回路508への電磁波の入出力は同軸管509を介し
て行われる。511は相互作用の終った電子ビームを回
収するコレクタである。
【0003】進行波管は、微小高周波電力を入力し、直
流速度で走行する電子ビームとの相互作用を起こすこと
によって、電子ビームの運動エネルギーを高周波エネル
ギーに変換する高周波増幅装置である。そこで電子ビー
ムが遅波回路の途中で遅波回路に衝突してしまうと、電
子ビームの持つ運動エネルギーは、高周波エネルギーで
はなく、熱エネルギーに変換されてしまうために進行波
管の動作効率が低下してしまう。また、遅波回路上で局
部的に熱が発生すると、遅波回路の溶断等の不具合を誘
発し、ついには進行波管としての動作が不可能となって
しまう。
【0004】上記の様な不具合の発生を防止し、なおか
つ効率良く電子ビームの持つ運動エネルギーを高周波エ
ネルギーに変換するためには、全ての電子ビームが遅波
回路を透過し、コレクタに到達することが必要となる。
この必要性を満たすためには、磁気回路の計設が重要に
なる。電子ビームは個々の電子が負電荷を持つために、
クーロン力による反発力が生じ、走行距離に沿ってその
直径が拡がっていく。
【0005】そこで磁気回路によって適当な磁場を電子
ビームに印加し、これによって電子ビームに回転方向速
度を発生させて、拡がりを抑制して集束させることが行
われている。進行波管では、小型化による持ち運びの手
軽さや、運用上の容易さ等の理由で、磁気回路には永久
磁石を使用した周期磁界が用いられる。
【0006】周期磁界集束進行波管の磁気回路断面の1
例を図6に示す。中心部に、遅波回路挿入及び電子ビー
ム透過のための穴のあいた円板状の強磁性体磁極505
の間に、リング状の永久磁石が、その磁性を交互に反転
させながら設置されている。この構成により、中心軸上
では図7に示すような磁界分布が発生する。ここで、周
期磁界集束進行波管の磁気回路の設計は、電子ビームの
電流値や加速電圧、及びビーム直径に対して図7に示す
磁界周期Lと中心軸上磁束密度の尖頭値B0を最適値に
設定することによって行われる。従来技術では、磁界周
期Lと中心軸上磁束密度の尖頭値B0は、電子ビームが
中心軸のごく近傍を通過すると仮定することによって得
られる近軸理論と経験則に基づいて決められていた。こ
こで従来技術での磁界周期Lの決定法について説明す
る。電子ビームが中心軸のごく近傍を通過することを仮
定することによって得られる電子ビームの径方向の運動
方程式は、一般に近軸方式と呼ばれる。この近軸方程式
によると電子ビームのリップル率Rを、
【0007】
【数2】 で定義すると、リップル率Rが最小となる条件での最小
電子ビーム半径Rminは、
【0008】
【数3】 で表される。なお、
【0009】
【数4】 である。ここでB0は中心軸上磁束密度の尖頭値(Wb
/m2)、Lは磁界周期(m)、πは円周率、Vは電位
(V)、Wpはプラズマ角周波数(Hz)、ravは平均
電子ビーム半径、|ρ|はravで定義した空間電荷密度
(coul/m3)、ε0は真空中の誘電率(coul/
m)、ηは電子の比電荷(coul/kg)である。磁
気回路を設計する際に、リップル率Rが小さいことは良
好な電子ビーム透過特性が得られることを意味してお
り、電子ビームが入射角を持たずに周期磁界で構成され
た磁気回路中に入射したときの(1)式で定義されたリ
ップル率は、
【0010】
【数5】 で与えられることが近軸方程式から導かれる。ここで
(6)式はα、βの関数であり、(3)式と(4)式よ
りα、βはいずれも磁界周期Lの関数であるが、リップ
ル率Rと磁界周期Lがともに正の値から零までとなる範
囲では、磁界周期Lの減少に伴ってリップル率Rは減少
する。すなわち、磁界周期Lを小さくすれば、リップル
率の低い電子ビームが得られると考えられていた。
【0011】また、従来技術では中心軸上磁束密度の尖
頭値B0は次の様に決定される。
【0012】近軸方程式の導出と同じく、電子ビームが
遅波回路の中心軸のごく近傍を通過することと、電子ビ
ームが適正な回転速度と直径を持って周期磁界中に入射
するという仮定の下では、電子ビームを集束するために
必要な最小の中心軸上磁束密度としてブリルアン集束磁
界Bbが算出される。しかし実際には電子ビームは、電
子銃部の陰極から射出する際に、熱電子放出の原理に従
うために陰極温度に対応した熱速度を持つので、適正な
回転速度と直径を持つことが困難となる。そこで、中心
軸上磁束密度の尖頭値B0は、(3)式のαの値を増加
させ、リップル率を増大させない範囲で、熱速度による
回転速度と直径の乱れが生じても電子ビームが集束でき
る様に、経験則から、電子ビームの直径によらず一律に
ブリルアン集束磁界の
【0013】
【外1】 倍の範囲に設定していた。以下に、従来例の具体的な説
明を述べる。
【0014】特開昭59−228344号公報には遅波
回路であるらせんの内径が2mm以下であり、磁界周期
をLとし、らせんの外側の半径と内側の半径の和を2で
割った値の2/3をr0としたときL/r0≦30が成り
立つことを磁界周期の設定条件とする技術が開示されて
いる。これは電子ビーム透過調整時に電子ビーム軌道が
非常に乱れることを前提として電子ビームが周期磁界装
置への入射時に入射角5°を持つという仮定の基で
(6)式で表されたリップル率Rに、入射角が存在する
ことによるリップル率の増加分を追加した、
【0015】
【数6】 によって得られる結果から導かれた技術である。ここ
で、
【0016】
【外2】 はそれぞれ、z=0の位置での電子ビーム半径(m)、
電子ビームの傾き(rad)である。rav=r0とした
とき、リップル率が50%以下ならば電子ビームの山が
ヘリックスに衝突することはない。従ってリップル率と
αの関係をL/r avをパラメータとして示した図8にお
いてL/ravが30以下ならばリップル率が50%以下
となることから、L/r0≦30と設定している。
(7)式から明らかなように、磁界周期Lが小さければ
小さいほどリップル率は低下する。近軸理論に基づく限
り、周期磁界への電子ビームの入射角度が、0度を含め
て何度であろうと、磁界周期Lが小さいほどリップル率
が小さくなることに変わりない。
【0017】また、特開昭63−291340号公報に
は、当該公報中に記載の図である図9に示す様に、出力
側10〜30%の範囲の磁界周期が、入力側または中間
部の磁界周期の80〜95%範囲に設定される技術が開
示されている。この技術の理論的背景も近軸方程式から
説明される。高周波と相互作用を行い、その運動エネル
ギーを高周波エネルギーに変換しつつ進行していく電子
ビームは、出力側付近では運動エネルギーが減少してい
るために電子ビームの電位は、入力側への入射時よりも
低下していることになる。つまり(3)式で電位Vの値
が小さくなるために、入力側よりもαの値が増加し、リ
ップル率Rが大きくなってしまう。そこで電位Vの低下
によるαの増加を相殺するために磁界周期Lを小さくす
るという技術である。
【0018】また、特開平3−208233号公報に
は、当該公報中に記載の図である図10に示す様に、磁
気回路の途中で高周波の入出力のため等の理由から磁気
回路の途中の半周期分だけ、周期を長くする必要がある
時、その半周期の中心軸上磁束密度の尖頭値を、他の周
期の磁束密度の尖頭値よりも50〜200Gauss低
く設定する技術が開示されている。この技術的背景も近
軸方式によって説明がなされる。局部的に周期Lが増加
することにより(3)式、(4)式のα、βの値が変化
するために、長くした半周期の前後で、(2)式で表さ
れる最小ビーム半径が不連続になってしまう現象を、中
心軸上磁束密度の尖頭値を低下することによって解消さ
せる技術である。その際の中心軸上磁束密度の尖頭値の
低下の範囲が50〜200gaussに設定されるとい
うことである。
【0019】このように従来技術に於いて、磁界周期L
と中心軸上磁束密度の尖頭値B0は全て、近軸理論と経
験則によって決定される技術であった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の技術に
おいては以下に記すような問題点がある。
【0021】第1の問題点は、従来の技術は近軸理論に
基づいているので磁界周期が小さいほど、リップル率が
低減できると考えて磁界周期を小さくしすぎてしまい、
却ってリップル率の大きな電子ビームを形成してしまう
ことである。
【0022】その理由は、近軸理論には、近似が多く含
まれており、周期磁界の軸方向成分と径方向成分は、中
心軸から離れるに従って、その強度が増大する分布を持
つという現実を考慮に入れていないためである。
【0023】第2の問題点は、従来の技術において、中
心軸上の磁束密度の尖頭値を、電子ビームの直径によら
ず一律に、ブリルアン集束磁界の
【0024】
【外3】 倍の範囲に設定すると、電子ビームの直径が大きな場
合、電子ビームの最外層での磁束密度が大きくなりす
ぎ、リップル率が増大してしまうことである。
【0025】その理由は、中心軸上磁束密度を設定する
際に、近軸理論と経験則を使用していたために、周期磁
界の半径方向の分布を考慮していなかったからである。
【0026】本発明は上述したような従来の技術が有す
る問題点に鑑みてなされたものであって、リップル率の
低い電子ビームを有する周期磁界集束進行波管を提供す
ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明の周期磁界集束進
行波管は、磁気回路の磁界周期が、近軸方程式から導か
れるリップル率が2.5%〜5.0%となる範囲に設定
された磁気回路を有する。
【0028】また、電子ビームの直径が2mm以上の周
期磁界集束進行波管において、磁気回路の中心軸上磁束
密度の尖頭値B0を、電子ビームを集束するために必要
な最小の磁束密度であるブリルアン集束磁界Bbに対し
【0029】
【数7】 の範囲に設定された磁気回路を有する。
【0030】「作用」上記のように構成される本発明に
おいては、磁界周期を実際の電子ビームのリップル率が
最小となる範囲に設定できるので、良好な電子ビーム透
過特性を持つ周期磁界集束進行波管が得られる。
【0031】また、中心軸上磁束密度の尖頭値が、従来
よりも低い値に設定される。このために、電子ビームの
直径が大きな場合には、電子ビームの最外部の電子に対
して良好な磁界が印加されるので、リップル率が低減さ
れ、良好な電子ビーム透過特性を持つ周期磁界集束進行
波管が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例について図
面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実
施例を要部構成を示す断面図である。図1に示す構成は
図6に対応する磁気回路の部分であり、図1中の強磁性
体磁極5、永久磁石6、スペーサ7、遅波回路8および
誘電体支柱10のそれぞれは図5中の強磁性体磁極50
5、永久磁石506、スペーサ507、遅波回路508
および誘電体支柱510と同様に構成されたものであ
り、設定値のみを変更したものである。この他の構成は
図5に示したものと同様であるために説明は省略し、本
実施例の要部となる部分の構成および作用について説明
する。
【0033】本実施例は、周期磁界集束進行波管の磁気
回路の磁界周期を、近軸方程式から導かれるリップル率
が、2.5%〜5.0%となる範囲に設定している。
【0034】このような磁界周期でリップル率の低い磁
気回路が構成できる理由を説明する。電界ベクトルEと
磁界ベクトルBが存在する空間を電荷−eの電子が速度
ベクトルvで運動する時、電子に働く力はローレンツ力
であり、相対論を考慮した運動方程式は
【0035】
【数8】 で表される。なお、
【0036】
【数9】 である。ここでrは相対論係数、m0は電子の静止質量
(kg)eは電子の電荷(coul)、cは光速であ
る。(8)式を円筒座標系r−φ−Zのもとで、加速度
の各座標成分を求めると
【0037】
【数10】 となる。ここでEr、Eφ、Ezは電界ベクトルEの各座
標成分(V/m)Br、Bφ、Bzは磁界ベクトルBの各
座標成分(Wb/m)、rは電子の半径方向位置
(m)、
【0038】
【外4】 は速度ベクトルvの各座標成分(m/s)、
【0039】
【外5】 は加速度ベクトルの各座標成分である。特に、
【0040】
【外6】 はφ方向速度として
【0041】
【外7】 で定義している。
【0042】(10)〜(12)式は近軸理論に基づく
近似を含まない厳密な式であり、この微分方程式を解く
ことによって電子ビームの軌道が決定される。特に電子
ビームのリップル率は、(1)式に示す様に、電子ビー
ムのr座標位置で定義されるために、(10)式の微分
方程式を解くことができればリップル率を解析的に求め
ることができる。しかし、(10)式は全ての座標方向
の速度成分を含み、かつ、Z方向磁界BZは半径方向座
標rが大きくなるのに従って増加する分布を持っている
ことを考慮すると、電子ビームの半径方向座標rに関す
る解析的な方程式を得ることは不可能で、計算機による
数値解析によってのみ解を得ることができる。そこで、
厳密な微分方程式を計算機による数値解析を行って解い
た結果得られたリップル率と近軸方程式から得たリップ
ル率には差が生じる。近軸方程式から得たリップル率
は、磁界周期を小さくするに従って、限りなく零に近づ
く結果となる。図2に3種類の電子ビーム直径に関し、
磁界周期の変化に対するリップル率の変化を、近軸方程
式から求めた結果と計算機による数値計算によって厳密
な微分方程式を解いた結果を合せて、示す。図2から分
かるように厳密な微分方程式から得られた結果による
と、リップル率が最小になる磁界周期には必ず最適値が
存在する。これは磁界周期を小さくしていくと、周期磁
界のビーム進行方向成分Bzと半径方向磁界成分Br
が、中心軸から電子ビームの半径方向に離れた位置で
は、中心軸上の値よりも顕著に大きくなっていくという
理由による。厳密な微分方程式を計算機で解いた結果、
図2に示すように、リップル率を最小にする磁界周期は
近軸方程式から得られるリップル率が2.5%〜5.0
%の範囲となる磁界周期内に収まることが明らかになっ
た。
【0043】次に、本発明の第2の実施例について図面
を参照して説明する。図3を参照すると、本発明の第2
の実施例は、電子ビームの直径が2mm以上である周期
磁界集束進行波管の磁気回路の中心軸上磁束密度の尖頭
値B0を、電子ビームを集束するために必要な中心軸上
磁束密度であるブリルアン集束磁界Bbに対して、
【0044】
【数11】 の範囲に設定している。
【0045】このような中心軸上磁束密度の尖頭値でリ
ップル率の低い磁気回路が構成できる理由を説明する。
中心軸に関して軸対称である周期磁界集束進行波管の磁
気回路を構成する周期磁界の、電子ビームの進行方向成
分の中心軸上の磁束密度BZ(O,Z)は正弦的に変化
すると仮定すると、
【0046】
【数12】 で表される。ここでzは、電子ビームの進行方向位置で
ある。周期磁界の電子ビームの進行方向成分Bzを(1
3)式を適用して中心軸に関するテーラー展開を行い6
次の微分項まで考慮すると、任意の進行方向位置Zと半
径方向位置rに於いて、
【0047】
【数13】 が得られる。また、
【0048】
【外8】 であることから、任意の進行方向位置Zと半径方向位置
rにおける周期磁界の電子ビームの半径方向成分Br
は、
【0049】
【数14】 で表される。
【0050】ここで、有限の直径を持つ電子ビームは、
半径方向に層状に分割が可能であること仮定する。これ
は電子ビームの軌道解析に、頻繁に使用される仮定であ
り不自然なことではない。この仮定によると、電子ビー
ムには必ず中心軸近傍を通過する層が存在するために、
電子ビームを集束するために必要な中心軸上磁束密度の
尖頭値B0は、ブリルアン集束磁界Bbが実効値であるこ
とから、周期磁界の磁束密度の尖頭値としては
【0051】
【外9】 以上に設定する必要がある。また、この仮定により、電
子ビームのリップル率を決定するのは最外層の電子ビー
ム軌道であることになる。この時、最外層の電子ビーム
の半径方向位置は零以外の有限の値を持つために、(1
4)式から分かるように、最外層の電子ビームに作用す
る電子ビームの進行方向磁束密度Bzは中心軸上よりも
大きくなっている。また、(15)式から分かるよう
に、最外層の電子ビームには半径方向の磁束密度Brも
作用する。図4(a)(b)に周期磁界の周期を10m
m、14mmとした時の電子ビーム直径に対する、最外
層の電子ビームに作用する、進行方向磁束密度BZの中
心軸上の値からの増加の割合を示す。図4から分かる様
に、電子ビームの直径が2mm以上となる範囲では、最
外層の電子ビームに作用する進行方向磁束密度BZの増
加の割合は急激に大きくなる。また、進行方向磁束密度
Zの増加は、同時に半径方向の磁束密度BZの増加を意
味している。図2を参照すると、電子ビームの直径が2
mmの時には、それよりも電子ビームの直径が小さい2
例に比べて、計算機による数値計算を行い厳密な微分方
程式を解いて得られたリップル率が、近軸方程式から得
られたリップル率よりも掛け離れて大きくなっている。
これは、電子ビームの直径が大きくなるのにつれて、近
軸方程式を得るために仮定した、電子ビームが中心軸の
ごく近傍を通過するという条件から外れていくために、
電子ビームに対して、中心軸上の磁束密度よりも大きな
進行方向磁束密度Bzと、半径方向磁束密度Brが作用す
るという理由のためである。中心軸上磁束密度の尖頭値
0の値をパラメータとして計算機による解析を行った
結果、電子ビームの直径が2mmを越える場合、リップ
ル率を10%以下にするためには、中心軸上磁束密度の
尖頭値B0
【0052】
【外10】 以下にする必要のあることが分かった。PPM集束にお
ける尖頭値B0の理論的な最小値は
【0053】
【外11】 であるから、結局B0
【0054】
【数15】 の範囲に設定しなければならない。
【0055】本実施例のように構成される周期磁界集束
進行波管の場合、リップル率は図1に示した例でいう
と、永久磁石6の配置間隔を調整することにより調節さ
れ、また、尖頭値B0は永久磁石6の磁化の強さにより
決定されるもので、本実施例における永久磁石6の強さ
および配置は近軸方程式から得られるリップル率が2.
5%〜5.0%の範囲となる磁界周期内に収まるととも
に尖頭値B0に関する上記の関係式を満たすように選択
されている。
【0056】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載するような効果を奏する。
【0057】第1の効果は、磁気回路の永久磁石の磁界
周期を、近軸方程式から導かれるリップル率が2.5〜
5.0%となる範囲に設定することにより実際の電子ビ
ームに於いてリップル率がほぼ最小となる磁界周期を設
定できることである。これにより磁界周期を短くしすぎ
て却ってリップル率を悪化させることがない。
【0058】その理由は、厳密な微分方程式を数値解析
によって解いた結果、最小なリップル率をあたえる磁界
周期は、近軸方程式から得られるリップル率が2.5〜
5.0%となる磁界周期の範囲内にあり、この範囲内設
定すれば、ほぼ最小なリップル率が得られるからであ
る。
【0059】第2の効果は、電子ビームの直径が2mm
以上の場合、中心軸上磁束密度の尖頭値を、
【0060】
【数16】 の範囲に設定することにより、電子ビームの最外層に作
用する磁束密度を適正化し、リップル率を低く抑えるこ
とである。これによりKW級の大出力進行波管やS帯以
下の低周波数進行波管のように電子ビーム直径が太くな
る場合に、リップル率の小さい良好な電子ビームを得る
ことができる。
【0061】その理由は、周期磁界の軸方向成分は、中
心軸上よりも、中心軸から半径方向に離れた方が強度が
大きくなる分布を持っている。このために、電子ビーム
の直径が大きい場合には中心軸上の磁束密度を下げるこ
とによって、電子ビームの最外部の電子に適正な磁界が
印加できるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す周期磁界集束進行
波管の磁気回路部の部分断面図である。
【図2】(a)は電子ビーム直径が0.5mmのときの
近軸方程式と厳密方程式の双方から得られたリップル率
と磁界周期の関係を示すグラフ、(b)は電子ビーム直
径が0.8mmのときの近軸方程式と厳密方程式の双方
から得られたリップル率と磁界周期の関係を示すグラ
フ、(c)は電子ビーム直径が2.0mmのとき、近軸
方程式と厳密方程式の双方から得られたリップル率と磁
界周期の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の他の実施例に於いて周期磁界集束進行
波管の磁気回路の中心軸上磁束密度の尖頭値B0をブリ
ルアン集束磁界の
【外12】 の間に設定したことを示すグラフである。
【図4】(a)は磁界周期が10mmのとき、電子ビー
ム直径に対する最外層の電子ビームに作用する軸方向磁
束密度BZの増加割合を示すグラフ、(b)は磁界周期
が14mmのとき、電子ビーム直径に対する最外層の電
子ビームに作用する軸方向磁束密度BZの増加割合を示
すグラフである。
【図5】周期磁界集束進行波管の断面図である。
【図6】従来の周期磁界集束進行波管の磁気回路部の部
分断面図である。
【図7】従来の周期磁界集束進行波管の磁気回路の中心
軸上磁束密度分布図である。
【図8】横軸にα、縦軸にリップル率Rをとり、L/r
avをパラメータとして周期磁界へ5度の角度で入射した
電子ビームの安定性を表すグラフである。
【図9】出力側の磁界周期を小さくした磁気回路の中心
上磁束密度の分布を表す図である。
【図10】(a)は磁気回路の半周期を他より大きくし
た時の断面図、(b)は電子ビーム半径、(c)は中心
軸上磁束密度の分布を表す図である。
【符号の説明】
5 強磁性体磁極 6 永久磁石 7 スペーサ 8 遅波回路 10 誘電体支柱

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気回路の永久磁石の磁界周期を、近軸
    方程式から導かれるリップル率が2.5%〜5.0%と
    なる範囲に設定したことを特徴とする周期磁界集束進行
    波管。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の周期磁界集束進行波管に
    おいて、 電子ビームの直径が2mm以上であり、磁気回路の永久
    磁石の中心軸上磁束密度の尖頭値B0が、電子ビームを
    集束するために必要な最小の磁束密度であるブリルアン
    集束磁界Bbに対して、 【数1】 となる範囲に設定したことを特徴とする周期磁界集束進
    行波管。
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