JPH09271984A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JPH09271984A
JPH09271984A JP11114696A JP11114696A JPH09271984A JP H09271984 A JPH09271984 A JP H09271984A JP 11114696 A JP11114696 A JP 11114696A JP 11114696 A JP11114696 A JP 11114696A JP H09271984 A JPH09271984 A JP H09271984A
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JP
Japan
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bead
flux
wire
welding
cored wire
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Application number
JP11114696A
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English (en)
Inventor
Masao Kamata
政男 鎌田
Rikiya Takayama
力也 高山
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Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 シ−ルドガスとして安価なCO2ガスと組み
合わせて使用し、溶接速度を速くした場合においても、
ビ−ドの凸状化や止端部にオ−バ−ラップやアンダ−カ
ット等の溶接欠陥の発生がなく、ビ−ド止端部と母材と
のなじみ性がよいすみ肉ビ−ドが得られるワイヤの提
供。 【解決手段】 鋼製外皮内にフラックスを充填してなる
ルチ−ル系ガスシ−ルドア−ク溶接用フラックス入りワ
イヤにおいて、粒径が1.0μm以下で、Fe34及び
/又はMnFe24をFe23換算値で25重量%以上
含有し、かつSiO2を主体とするガラス質で溶融固着
された形態の微粒子複合金属酸化物を、ワイヤ全重量に
対して0.10〜2.0重量%含有させる。さらにTiO
2:1.0〜7.5重量%、SiO2:0.2〜2.5重量
%、ZrO2:0.2〜1.5重量%、Na及びKの1種
または2種の合計:0.05〜0.30重量%、脱酸剤:
1.5〜5.0重量%を必須成分として含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は船舶、鉄骨、橋梁等
の各種鋼構造物の製作に際し、特にT字すみ肉継ぎ手溶
接や重ねすみ肉継ぎ手溶接に使用して、耐疲労強度性に
優れたビ−ド形状が得られるガスシ−ルドア−ク溶接用
フラックス入りワイヤ(以下、フラックス入りワイヤと
いう。)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種鋼構造物の製作にフラックス
入りワイヤを使用したガスシ−ルドア−ク溶接が広く行
われているが、施工現場からはさらに個々の溶接箇所に
最適なフラックス入りワイヤの開発要望が強い。その一
つに溶接構造物の疲労強度向上の観点から、すみ肉溶接
におけるビ−ド止端部と母材とのなじみ性の改善があ
る。
【0003】これに対し、特開平4−361876号公
報はルチール系フラックス入りワイヤとAr系ガスを組
み合わせた溶接方法を提案したものであるが、シ−ルド
ガスが高価のために溶接コストが問題となる。また特開
昭61ー147993号公報、特開平3ー294092
号公報等の提案では、フラックス入りワイヤの成分を限
定することによる水平すみ肉ビ−ド形状の改善が図られ
ている。しかし、水平すみ肉溶接を高速度化した場合、
あるいは薄板の重ねすみ肉溶接に適用した場合、ビ−ド
の凸状化や止端部にオーバーラップやアンダーカットが
発生しやすく、手直しや溶接速度制限等が必要となり作
業能率の低下が問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はシ−
ルドガスとして安価なCO2ガスとフラックス入りワイ
ヤとを組み合わせて使用し、溶接速度を速くした場合に
おいても、上記溶接欠陥の発生がなく、ビ−ド止端部と
母材とのなじみ性がよいすみ肉ビ−ドが得られるガスシ
−ルドア−ク溶接用フラックス入りワイヤを提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、鋼製外
皮内にフラックスを充填してなるルチ−ル系ガスシ−ル
ドア−ク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、粒径が
1.0μm以下で、Fe34及び/又はMnFe24
Fe23換算値で25重量%以上含有し、かつSiO2
を主体とするガラス質で溶融固着された形態の微粒子複
合金属酸化物(以下、Fe基微粒子複合金属酸化物とい
う)を、ワイヤ全重量に対して0.10〜2.0重量%
含有させたこと、及びさらに必要に応じてTiO2
1.0〜7.5重量%、SiO2:0.2〜2.5重量
%、ZrO2:0.2〜1.5重量%、Na及びKの1
種または2種の合計:0.05〜0.30重量%、脱酸
剤:1.5〜5.0重量%を必須成分として含有させた
ことを特徴とするガスシ−ルドア−ク溶接用フラックス
入りワイヤにある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記課題に対し種
々のフラックス入りワイヤを試作し、水平すみ肉溶接及
び重ねすみ肉溶接試験により詳細に検討した結果、次の
ような知見を得て本発明を完成したものである。
【0007】一般的な市販のフラックス入りワイヤを使
用した場合、溶着量に見合うように溶接電流を高くして
溶接速度を速くしていくと溶接欠陥が発生しやすくな
る。図2(a)に水平すみ肉溶接におけるビ−ド1の凸
状化と止端部のオーバーラップ2、図2(b)に薄板の
重ねすみ肉溶接における上板側及び下板側ビ−ド1の止
端部のカット3の発生状況を示した。このような溶接欠
陥をもつすみ肉溶接部は繰り返し荷重に対し極めて脆弱
となる。
【0008】図1にすみ肉溶接部の耐疲労強度性と密接
な関係があるとされるビ−ド止端部形状(ビ−ド止端部
の曲率半径ρ及び止端部角度θ)の計測要領を示す。図
1において、ビ−ド断面マクロ試験片を採取し、これを
投影機等により20倍に拡大したトレース図とし、曲率
半径ρ(mm)はビ−ド止端部4から10mm離れたA
点、及び母材側に10mm離れたB点の範囲内に各種径
の円ゲ−ジを当て、最も適当に合致した円の半径とす
る。止端部角度θ(度)は、止端部から曲率半径ρの円
とビ−ド曲線5の接する点を通過する直線と母材基準線
6とのなす角度とする。つまり、ビ−ド止端部と母材と
のなじみ性がよいすみ肉ビ−ド1では、曲率半径ρ及び
止端部角度θが大きな値となり、この場合に耐疲労強度
性が向上する。なお、本発明では目標値として、曲率半
径ρ≧1.00mm、止端部角度θ≧120度の両方を
満足することとした。
【0009】本発明によるフラックス入りワイヤは、溶
接欠陥の発生がなくビ−ド止端部と母材とのなじみ性を
改善するために、ルチールとともにFe基微粒子複合金
属酸化物を、ワイヤ全重量に対して0.10〜2.0重
量%含有させたことを基本的な特徴とする。このときル
チールはア−ク安定化とビ−ド形成のための主要なスラ
グ形成剤として作用し、Fe基微粒子複合金属酸化物は
溶融スラグのみならず溶融金属にも十分に酸素を供給
し、凝固温度及び粘性が低く流動性のよい溶融金属及び
溶融スラグを形成するように作用する。このような溶融
金属は母材との濡れ性が良好でオーバーラップのないな
じみ性のよいビ−ド止端部をもたらし、また溶融スラグ
は溶融金属全体を均一に被包し保護するので、ビ−ドの
凸状化及びビ−ド止端部のアンダーカットの発生を防止
することができる。
【0010】Fe基微粒子複合金属酸化物によるビ−ド
形状改善効果は、フラックス入りワイヤの原料として通
常用いられているFeOやFe23のような単体の鉄酸
化物原料を含有させた場合に比較して極めて大きい。こ
れはFe基微粒子複合金属酸化物が1.0μm以下とい
う微粒子で、かつ個々の粒子中の鉄酸化物やMn酸化物
が融点の低いガラス質と接触した形態にあるために、ア
−ク雰囲気中及び溶融金属プール中で容易に溶融し、溶
融金属及び溶融スラグに十分な酸素を有効に均一に供給
できることによると考えられる。なお、酸素量を富化し
て凝固温度及び粘性が低く流動性のよい溶融金属及び溶
融スラグを形成したことは、プライマ塗装鋼板や表面に
潤滑性油が付着している薄板鋼板のすみ肉溶接における
発生ガスの放出能を高めるので、ピットを発生しにくく
することにも効果的である。。
【0011】本発明で用いる粒径、組成及び形態のFe
基微粒子複合金属酸化物の原料としては、例えばMn及
びSiを脱酸剤として含有した被覆ア−ク溶接棒やフラ
ックス入りワイヤ等による溶接ヒューム、あるいはFe
−MnーSi合金を溶解製造する場合に発生するヒュー
ム、所定の組成にした溶解凝固物の微粉砕品などが利用
できる。
【0012】さらに、本発明では上記Fe基微粒子複合
金属酸化物以外に、特にTiO2とともにSiO2及びZ
rO2をスラグ形成剤として所定量含有させ、凝固温
度、粘性及びスラグ生成量を調整することによりビ−ド
形状改善効果を一層発揮させることができる。なお本発
明でいうルチール系ガスシールドア−ク溶接用フラック
ス入りワイヤとは、ワイヤ中にTi02(溶解原料成分
を含む)を1.0重量以上含有し、Ti02によるア−
ク安定化効果及びスラグ被包効果をもたらすものをい
う。
【0013】以下に本発明のフラックス入りワイヤの成
分限定理由を述べる。
【0014】Fe基微粒子複合金属酸化物:0.10〜
2.0重量% Fe基微粒子複合金属酸化物の粒径を1.0μm以下に
限定した理由は、個々の粒子の溶融を迅速にし、溶接金
属及び溶融金属への酸素供給源としての効果を発揮させ
るためである。
【0015】Fe34及び/又はMnFe24をFe2
3換算値で25重量%以上に限定した理由は、溶接金
属及び溶融金属への酸素供給源としてFe基微粒子複合
金属酸化物に十分な酸素量を保持させるためである。F
23換算値で25重量%未満ではビ−ド形状改善効果
が小さく、また酸素供給量を確保しようとして、フラッ
クス中にFe基微粒子複合金属酸化物の配合量を多くす
ると、Fe34、MnF24以外のSiO2等ガラス質
を構成する成分やその他の成分の含有量が増加し、溶融
スラグの粘性が高くなりビ−ド止端部がオーバーラップ
気味になったり、逆に粘性が過剰に低下し極端な下付き
ビ−ドなる場合がある。
【0016】Fe23換算値の上限については、粒子の
溶融を速めるためにSiO2を主体とするガラス質で溶
融固着された形態にすること及び原料の溶解製造の際の
作業性等を考慮して85重量%以下であることが好まし
い。
【0017】なお、Fe基微粒子複合金属酸化物に上記
成分以外のTiO2、ZrO2、MgO、Al23、Ca
O、Na2O、K2O、F及びNi、Cr、Mo等の酸化
物を含有させることは本発明の効果を損なわない範囲で
可能である。
【0018】Fe基微粒子複合金属酸化物の形状は球
状、不定形状いずれでもよい。水分量についても特に限
定しないが、微粒子であるため原料保管中の吸湿に注意
し、またフラックス充填前に十分な乾燥処理をすること
が好ましい。
【0019】本発明では、このようなFe基微粒子金属
複合酸化物を、ワイヤ全重量比で0.10〜2.0重量
%含有させることによって、前記すみ肉ビ−ド形状を改
善できる。Fe基微粒子複合金属酸化物の含有量が0.
10重量%未満では溶融金属及び溶融スラグへの酸素供
給量が不十分で、ビ−ドが凸状になりオーバーラップや
アンダーカットが発生する。一方、Fe基微粒子複合金
属酸化物の含有量が2.0重量%を超えると溶融スラグ
中にFe酸化物成分が過剰となり、溶融スラグによる溶
融金属の保持効果が弱まり極端に下板側のみ脚長が大き
い下付きビ−ドとなる他、溶融スラグに被包むらが生じ
スラグ剥離性が劣化する。また溶接金属についても酸素
量が過剰となり機械的性質が劣化する。
【0020】TiO2:1.0〜7.5重量% TiO2はア−クを持続して安定させる成分である。本
発明ではア−クを安定にし、かつビ−ド形状、外観を整
えるために1.0重量%以上含有させる。TiO2
1.0重量%未満ではア−クが不安定になりスパッタが
多発する他、スラグ生成量が不足して上記Fe基微粒子
複合金属酸化物を含有させたとしてもビ−ド形状が凸状
気味になる。またスラグ被包むらが生じスラグが剥離し
にくく外観も不良となる。一方、TiO2が7.5重量
%を超えるとスラグ生成量が多く、かつ溶融スラグの粘
性も大きくなるので、スラグ巻き込みやプライマが塗装
されていたり表面付着潤滑剤が多い鋼板を高速溶接した
場合にはピットやガス溝が発生しやすくなる。またTi
2が過剰の場合、ビ−ド止端部はオーバーラップにな
りやすい。
【0021】SiO2:0.2〜2.5重量% SiO2は溶融スラグの流動性を調整しビ−ド形状を整
えるために含有させる。SiO2が0.2重量%未満で
は下付きビ−ドとなり、一方、SiO2が2.5重量%
を超えると溶融スラグの粘性が大きくなりビ−ドは丸み
を帯び、止端部と母材とのなじみ性が悪くなる。またス
ラグ巻き込みやピットが発生しやすくなる。
【0022】ZrO2:0.2〜1.5重量% ZrO2は溶融スラグの流動性が過剰になるのを抑えて
溶融金属全体を均一に被包しビ−ド表面を滑らかにする
ために0.2重量%以上含有させる。ZrO2が0.2
重量%未満では均一なスラグ被包性が得られずビ−ド表
面にざらつきや起伏が見られる他、ビ−ド止端部にアン
ダーカットカットが発生しやすく、また上板側のスラグ
被包が極めて薄くなりスラグを除去しにくくなる。一
方、ZrO2が1.5重量%を超えると丸みを帯びた凸
状のビ−ドとなり、凝固スラグは緻密で固くスラグを除
去しにくくなる。
【0023】Na及びKの1種または2種の合計:0.
05〜0.30重量% Na及びKはア−ク安定剤として含有させる。これらの
1種または2種の合計が0.05重量%未満又は0.3
0重量%を超えた場合には、ア−ク状態が不安定でスパ
ッタが多発し、これにともない溶融プールの安定性が失
われビ−ド形状が乱れる。特に過剰な場合にはア−ク長
が長くなり過ぎてビ−ド止端部にカットが発生しやすく
なる。
【0024】脱酸剤:1.5〜5.0重量% C(0.01〜0.10重量%)、Si(0.2〜1.
5重量%)、Mn(1.0〜4.0重量%)、Ti
(0.5重量%以下)、Al(1.0重量%以下)、M
g(1.0重量%以下)、Zr(0.5重量%以下)等
の脱酸剤を溶接金属の脱酸不足による気孔発生防止及び
機械的性質の確保のために外皮成分を含む合計で1.5
重量%以上含有させる。一方、脱酸剤が5.0重量%を
超えると、スラグ焼き付きによるスラグ剥離性不良や強
度が高くなりすぎて耐割れ性が劣化する。脱酸剤は溶接
金属中に歩留まり合金剤として働く以外に溶融スラグ化
し、溶融スラグの組成および生成量にも影響するので、
本発明の効果を損なわないようにそれぞれ前記()内の
範囲内であることが好ましい。
【0025】上記TiO2、SiO2、ZrO2、Na、
Kの含有量は、Fe基微粒子複合金属酸化物にこれらの
成分が含有されている場合にはその含有量も合計して算
出する。これらの必須成分以外に、本発明のフラックス
入りワイヤは、フラックス入りワイヤの用途に応じてビ
ート形状や外観をさらに整えるために、Al23、Mg
O、CaO等のスラグ形成剤、耐プライマ性向上のため
に弗化物や炭酸塩等、スラグ剥離性強化のためにBi
(0.01〜0.10重量%)やS(0.01〜0.0
5重量%)、対象鋼種の拡大ためにNi、Mo、Cr、
B等の合金剤、溶着速度向上に効果的な鉄粉あるいは鉄
合金などを適宜添加できる。フラックス充填率は溶接能
率及びワイヤの生産性面から8〜25重量%の範囲内が
好ましい。
【0026】ワイヤ径は電流密度を高くし高溶着性を得
るために細径の0.9〜2.0mmが好ましい。ワイヤ
断面形状は図3に示すような鋼製外皮7及びフラックス
8で構成される一般的な形状のものでよいが、外皮部に
合わせ目がある(b)及び(c)に比較して、外皮部に
開口部がないシ−ムレスタイプ(a)がワイヤ送給性、
直進性に優れているのでア−ク及びワイヤ先端狙い位置
が安定し、コーナー部の溶け込みやビ−ド止端部の揃い
が良好になるとともに、フラックスの吸湿がなく耐プラ
イマ性や耐割れ性面からも優れている。ワイヤのポテン
シャル水素量については耐プライマ性及び耐割れ性の面
から極力抑える必要があり、不活性ガス融解熱伝導度法
による測定方法で100ppm以下であることが好まし
い。
【0027】本発明によるフラックス入りワイヤはシ−
ルドガスとしてCO2ガスであっても十分に良好なビ−
ド形状が得られるが、溶接作業環境面からヒューム量が
少ないAr−CO2混合ガスやArガスを使用した場合
にはさらに良好なビ−ド形状が得られる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。
【0029】軟鋼パイプ(C:0.05重量%,Si:
0.03重量%,Mn:0.22重量%、P:0.00
8重量%、S:0.004重量%)に、表1に示すFe
基微粒子複合金属酸化物を含有させたフラックスを充填
後、伸線して(外皮部の軟化及び低水素化のための中間
焼鈍を1回実施、各試作ワイヤのポテンシャル水素量を
100ppm以下にした。)、フラックス充填率15重
量%、及び20重量%、ワイヤ径1.4mmのフラック
ス入りワイヤを試作した。表2に試作フラックス入りワ
イヤ(ワイヤ記号W1〜W20)を示す。これら試作ワ
イヤを用いて、表3及び表4に示す鋼板、溶接条件によ
り通常のT字及び重ねすみ肉継ぎ手とし、水平すみ肉溶
接試験を行った。T字すみ肉溶接は両側を溶接し耐プラ
イマ性も調査した。表5に溶接試験結果を示す。表5
中、試験No.1〜10は板厚9mm(目標脚長5m
m)のT字水平すみ肉溶接試験結果である。試験No.
1〜3は本発明のフラックス入りワイヤ記号W1〜3を
用いた場合で、溶接作業性が良好でスラグ巻き込みやピ
ットの発生もなく、ビ−ド形状はビ−ド止端部の曲率半
径ρ、止端部角度θの計測結果からわかるよう母材との
なじみ性が極めて良好である。これに対し、No.4〜
10は比較例で、No.4はワイヤ記号W4にFe基微
粒子複合金属酸化物でなく、ミルスケール(Fe23
を含有させたために、ピットが発生し、ビ−ド形状はや
や凸状でビ−ド止端部のなじみ性は改善されない。
【0030】No.5はワイヤ記号W5にFe基微粒子
複合金属酸化物を過剰に含有させたためにスラグ凝固む
らによるスラグ剥離性不良、下付きビ−ドとなり上板側
ビ−ド止端部にカットが発生した。
【0031】No.6はワイヤ記号W6のSiO2が不
足しているために下付きビ−ドとなりビ−ド止端部と母
材となじみ性が改善されない。
【0032】No.7はワイヤ記号W7のNa、Kが不
足しているためにア−クが非常に不安定になり、大粒の
スパッタが多発し、スラグ剥離性不良、スラグ巻き込み
の発生とともにビ−ド形状も劣悪となった。
【0033】No.8はワイヤ記号W8のNa、Kが過
剰なために、同様にア−クが乱れ溶接作業性、ビ−ド形
状とも極めて不良でなった。
【0034】No.9はワイヤ記号W9の脱酸剤が過剰
のためにスラグが焼き付きスラグ剥離性が不良となっ
た。
【0035】No.10はワイヤ記号W10の脱酸剤不
足によるピットが多発した。
【0036】次に、試験No.11〜14は板厚6mm
の重ね水平すみ肉溶接試験結果である。試験No.11
は本発明のフラックス入りワイヤ記号W11を用いた場
合で、溶接作業性が良好でスラグ巻き込みやピットの発
生もなく、ビ−ド形状はビ−ド止端部も含め極めて良好
である。これに対し、No.12〜14は比較例で、N
o.12はワイヤ記号W12のFe基微粒子複合金属酸
化物の含有量が不足しているために、凸状のビ−ドとな
り、さらに上板側にカット、下板側はオーバーラップ気
味になった。従ってビ−ド止端部形状の曲率半径ρ及び
止端部角度θとも小さい値を示している。
【0037】No.13はワイヤ記号W13のTiO2
が不足しているために、ア−ク安定性に欠けスパッタが
多発し、スラグ被包性も十分でなくスラグ剥離性が悪
く、またビ−ド形状も凸状で母材とのなじみ性が悪い。
【0038】No.14はワイヤ記号W14のZrO2
が含有されていないために、上板側の凝固スラグが薄く
て除去しにくい。ビ−ドは表面に滑らかさがなく、下板
側止端部にカットが発生した。
【0039】さらに、試験No.15〜20は本発明を
大脚長水平すみ肉溶接(板厚16mm、目標脚長8m
m)に適用した結果である。試験No.15は本発明の
フラックス入りワイヤ記号W15用いた場合で、溶接作
業性が良好で、溶接欠陥も発生しない。このような大脚
長ビ−ドにおいても極めて良好なビ−ド止端部形状が得
られる。No.16〜20は比較例で、No.16はワ
イヤ記号W16にFe基微粒子複合金属酸化物でなく、
ミルスケール(Fe23)を含有させたために、ビ−ド
形状が丸みを帯びた凸状になりビ−ド止端部のなじみ性
は改善されない。
【0040】No.17はワイヤ記号W17のTiO2
が過剰のために、スラグ巻き込みが発生し、ビ−ド止端
部はラップ気味になった。
【0041】No.18はワイヤ記号W18のSiO2
が過剰のためにピットが発生し、ビ−ド形状は丸みを帯
びた凸状となりビ−ド止端部と母材とのなじみ性が悪
い。
【0042】No.19はワイヤ記号W19のZrO2
が過剰のためにスラグが固く除去しにくく、ビ−ドは凸
状でオーバーラップ気味になった。
【0043】No.20はワイヤ記号W20に含有させ
たFe基微粒子複合金属酸化物のFe23換算値が少な
いために、ビ−ド止端部形状の改善効果が小さい。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のガスシ−
ルドア−ク溶接用フラックス入りワイヤによれば、シ−
ルドガスとして安価なCO2ガスと組み合わせて高速化
した場合でも、溶接作業性が良好で溶接欠陥が発生しに
くく、すみ肉溶接部の耐疲労強度向上に不可欠のビ−ド
止端部と母材とのなじみ性を大幅に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビ−ド止端部形状(曲率半径ρ及び止端部角度
θ)の計測要領を示す図である。
【図2】水平すみ肉ビ−ドに発生する溶接欠陥を示す図
である。
【図3】フラックス入りワイヤの断面形状を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ビード 2 オーバーラップ 3 カット 4 ビード止端部 5 ビード曲線 6 母材基準線 7 外皮 8 フラックス

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮内にフラックスを充填してなる
    ルチ−ル系ガスシ−ルドア−ク溶接用フラックス入りワ
    イヤにおいて、粒径が1.0μm以下で、Fe34及び
    /又はMnFe24をFe23換算値で25重量%以上
    含有し、かつSiO2を主体とするガラス質で溶融固着
    された形態の微粒子複合金属酸化物を、ワイヤ全重量に
    対して0.10〜2.0重量%含有させたことを特徴と
    するガスシ−ルドア−ク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 TiO2:1.0〜7.5重量%、Si
    2:0.2〜2.5重量%、ZrO2:0.2〜1.5
    重量%、Na及びKの1種または2種の合計:0.05
    〜0.30重量%、脱酸剤:1.5〜5.0重量%を必
    須成分として含有させたことを特徴とする請求項1記載
    のガスシ−ルドア−ク溶接用フラックス入りワイヤ。
JP11114696A 1996-04-09 1996-04-09 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Pending JPH09271984A (ja)

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JP11114696A JPH09271984A (ja) 1996-04-09 1996-04-09 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20140086893A (ko) 2012-12-28 2014-07-08 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 가스 실드 아크 용접용 플럭스 함유 와이어 및 가스 실드 아크 용접 방법

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KR20140086893A (ko) 2012-12-28 2014-07-08 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 가스 실드 아크 용접용 플럭스 함유 와이어 및 가스 실드 아크 용접 방법

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