JPH09271211A - イネ種子消毒方法およびイネ種子消毒剤 - Google Patents

イネ種子消毒方法およびイネ種子消毒剤

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JPH09271211A
JPH09271211A JP10478796A JP10478796A JPH09271211A JP H09271211 A JPH09271211 A JP H09271211A JP 10478796 A JP10478796 A JP 10478796A JP 10478796 A JP10478796 A JP 10478796A JP H09271211 A JPH09271211 A JP H09271211A
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JP
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rice
seed
water
seedling
bacterial
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JP10478796A
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Motohiro Hiramatsu
基弘 平松
Kazuyoshi Arita
一好 有田
Shinichi Kondo
真一 近藤
Hiroshi Yamamura
宏志 山村
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全で、かつ容易に種子消毒できる方法であ
って、確実に種子消毒効果が得られるイネ種子消毒方法
およびイネ種子消毒剤を提供すること。 【解決手段】イネ種籾をpH7以上の水に浸種すること
を特徴とするイネ種子消毒方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、イネ種子消毒方法
およびイネ種子消毒剤に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、水稲の種子消毒方法として
は、ベノミルとTMTD混合剤、ペフラゾエート剤など
の各種の種子消毒剤を用い、その水による希釈液中に種
子を浸漬したり、種子に各種薬剤を粉衣するなどの方法
が広く用いられている。この方法によれば、イネばか苗
病、イネごま葉枯病、イネいもち病、イネもみ枯細菌病
などの防除に有効であり、広く行われてきている。
【0003】しかしながら、これらの種子消毒剤を用い
る方法は、イネ苗立枯細菌病などの細菌性病害の防除に
対しては、必ずしも十分でない。
【0004】一方、本発明に関連する技術としては、イ
ネ苗立枯細菌病の防除方法として、イネ育苗培土を硫酸
と水酸化ナトリウムなどを用いてpH6.2とすること
である程度の防除効果があると報告されている(「今月
の農業」1988年32巻第2号 第20〜24頁)。
【0005】また、トリアゾール系殺菌剤と炭酸カルシ
ウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどの炭
酸塩を有効成分とするイネ種子用消毒剤が知られている
(特開平5−221812号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した育苗培土のp
H調整による方法では、イネ苗立枯細菌病の発病をある
程度抑制するが、条件によっては、ほとんど防除効果を
示さないことがある。したがって、この方法は高い種子
消毒効果を安定して発揮する方法ではない。
【0007】また、この方法は土壌全体のpHを調整す
る必要があるため、多量の酸−アルカリ液を処理するこ
とが不可欠である。しかも、ここに記載の使用例によれ
ば、強酸と強アルカリ(硫酸−水酸化ナトリウム)であ
り、多量の育苗培土のpH処理剤としては実用化できな
い。
【0008】また、「農業および園芸」1974年第4
9巻、第1号、第75〜76頁の記載によれば、育苗培
土のpHと水稲生育の関係において、育苗培土の至適p
Hは5であり、pHが5からpH7へと高くなるにした
がい、水稲の生育が不良になることが報告されている。
【0009】したがって、これらの従来の方法に代わっ
て、安全でかつ容易に種子消毒できる方法であって、確
実に種子消毒効果が得られ、特にイネ苗立枯細菌病に対
する新しい種子消毒方法の開発が望まれている。
【0010】本発明はこのような要望に合致した新しい
種子消毒方法を提供せんとするにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を解決するために鋭意検討を重ねてきた。その結
果、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、第1に、イネ種籾を
pH7以上の水に浸種することを特徴とする種子消毒方
法に関する。
【0013】第2に、次のグループ(1)〜(4)から
選ばれ、水に加えてpH7以上となりうる種子消毒剤に
関する。
【0014】グループ(1):アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸一水素塩、
リン酸二水素塩の1種または2種以上。
【0015】グループ(2):水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウムの1種または2種以上。
【0016】グループ(3):トリス(ヒドロキシメチ
ル)−アミノメタン
【0017】グループ(4):緩衝液
【0018】第3に、請求項2記載の化合物を水に希釈
してpHを7以上としてなることを特徴とする種子消毒
剤に関する。
【0019】これら本発明の実施により、イネ苗立枯細
菌病に卓効を示すとともに、イネばか苗病、イネごま葉
枯病、イネいもち病、イネもみ枯細菌病に対しても有効
であることを見いだした。
【0020】本発明においてpH調整に用いられること
ができる化合物はグループ(1)〜(4)に示したもの
であるが、そのうちグループ(1)と(4)のものを具
体的に示せば次のものがあげられる。
【0021】(1)−1;アルカリ金属またはアルカリ
土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩の例。 例 炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム。
【0022】(1)−2;アルカリ金属またはアルカリ
土類金属のリン酸一水素塩またはリン酸二水素塩の例。 例 第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第一
リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム。
【0023】(4);緩衝液の例。 例 第一リン酸ナトリウム−第二リン酸ナトリウム、
トリス−塩酸、トリス−マレイン酸塩、バルビタール−
塩酸、ホウ酸−ホウ酸塩、ホウ酸塩−水酸化ナトリウ
ム、グリシン−水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウム
−重炭酸ナトリウム。
【0024】なお、本発明では、グループ(1)、
(2)、(3)、(4)に具体的に例示したもの以外の
ものでも同様な方法で用いることができるものは、本発
明の種子消毒方法で用いることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明は次のように実施される。
【0026】(1) 種子消毒液の調製 本発明の方法でpH7以上に調整するには、前記したグ
ループ(1)の化合物、グループ(2)またはグループ
(3)の化合物の1種または2種以上を水1リットルに
対し、0.01%〜50%(重量比)の割合で加えるこ
とにより容易に得ることができる。特に、所望のpHと
するには、用いるグループ(1)〜(3)の化合物の種
類により、その添加量を調整すればよい。
【0027】また、グループ(4)の緩衝液を用いてp
H7以上に調整するには、それぞれの緩衝液をあらかじ
め上記の方法で水に溶かし、2種の化合物を一定の割合
で混合することにより得られる(例えば「農薬実験法、
環境化学及び分析編」 第515〜517頁、ソフトサ
イエンス社発行を参照)。
【0028】(2) 種子消毒方法 本発明の種子消毒方法は、一般の種子消毒剤を用いた種
子浸漬の方法と同じでよく、特別の方法による必要はな
い。
【0029】すなわち、上記したように、水に種子消毒
剤を加えてpH7以上に調整し、その薬液1に対してイ
ネ種籾を0.7〜4の割合で浸漬する。そして、種籾が
十分な水を吸収するまで(積算温度がおおむね80〜1
00℃となるまで)の間放置する。
【0030】その後、発芽を均一にさせるため、28〜
32℃の温度条件下に15〜24時間程度静置した後、
育苗箱中に播種すればよい。
【0031】なお、本発明でpH7とは、種子消毒液の
調製時のものをいう。そして薬液のpHは時間がたつと
ゆっくりと下がっていく。したがって、種子消毒は種子
消毒液を調製したらあまり時間をおかずに行うことが望
ましい。
【0032】(3) 種子消毒剤の調製 上記したように、pH7以上に調整して用いる本発明の
種子消毒剤は、市販のものをそのまま用いてもよい。ま
た通常当該技術において知られている農薬の製剤化方法
に準じて適当な固体および液体の担体、乳化分散剤など
を用いて、錠剤や水和顆粒剤などの任意の剤型にして適
用することができる。
【0033】そしてこれら種子消毒剤のpH調整液は、
使用直前に種子消毒剤を水に希釈して調製して用いても
よいが、あらかじめ調製しておいて用いてもよい。
【0034】
【実施例】次に、本発明の種子消毒剤の製剤例の実施例
を示す。
【0035】 実施例1(錠剤) 第二リン酸ナトリウム 10部 カルボキシメチルセルロース 20部 ホワイトカーボン 5部 乳糖 65部 合計 100部
【0036】 実施例2(水和顆粒剤) 第二リン酸ナトリウム 50部 ラウリル硫酸ナトリウム 2部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 3部 ホワイトカーボン 5部 クレー 40部 合計 100部
【0037】
【試験例】次に本発明の試験例を示し、その有用性を立
証する。
【0038】試験例1 イネ苗立枯細菌病に対する種子
消毒効果試験
【0039】供試籾:イネ苗立枯細菌病の汚染種子は、
あらかじめ、籾の開花期に104個/mlのイネ苗立枯
細菌病菌を噴霧することにより得た。
【0040】種子消毒液の調製:実施例2に準じて製造
した水和顆粒剤を水で希釈して、所定濃度の希釈液を調
製した。
【0041】種子消毒方法:上記方法により調製した薬
液中に、種籾対薬液比を1:1の割合で、15℃の温度
条件下に6日間浸種することにより消毒した。その後
は、処理籾を30℃の温度条件下で15時間静置するこ
とにより催芽処理し、育苗箱1箱あたり120g量を播
種した。播種21日後に、育苗箱あたり150苗を任意
に選抜し、下記の調査基準と計算式により発病度を求
め、無消毒区との対比により防除価を算出した。その試
験結果を表1および表2に示す。
【0042】なお、表2は種子消毒液のpHを変えて効
果の変動を調べたものである。
【0043】調査基準 No:発病していない苗数 N1:本葉第1葉あるいは第2葉に白化症状の病斑が認
められる苗数 N2:著しく生育が抑制されているかあるいは腐敗枯死
している苗数
【0044】
【数1】
【0045】
【数2】
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】試験例2 イネ苗立枯細菌病に対する種子
消毒効果試験
【0049】供試籾:イネ苗立枯細菌病の汚染種子は、
あらかじめ、籾の開花期に104個/mlのイネ苗立枯
細菌病菌を噴霧することにより得た。
【0050】種子消毒液の調製:リン酸緩衝液は、第一
リン酸ナトリウムおよび第二リン酸ナトリウムよりなる
緩衝液であり、それぞれの薬液をpHメーター下におい
て混合することにより、所定のpH液を得た。
【0051】またトリス緩衝液は、トリス溶液と塩酸よ
りなる緩衝液であり、それぞれの薬液をpHメーター下
において混合することにより、所定のpH液を得た。
【0052】種子消毒方法:試験例1と同様の方法によ
り試験実施した。
【0053】その試験結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】本発明の実施によると、次のような効果
がもたらされる。すなわち、本発明の種子消毒方法によ
れば、イネ苗立枯細菌病に対して安定した防除効果が得
られるとともに、イネばか苗病、イネごま葉枯病、イネ
いもち病、イネもみ枯細菌病に対しても高い種子消毒効
果を発揮し、有効に防除することができる。
【0056】さらに、本発明に係る有効成分は極めて低
毒性であり、環境汚染がほとんどない。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イネ種籾をpH7以上の水に浸種するこ
    とを特徴とするイネ種子消毒方法。
  2. 【請求項2】 下記のグループから選ばれ、水に加えて
    pH7以上となりうるイネ種子消毒剤。 (1)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、
    炭酸水素塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩の1種ま
    たは2種以上。 (2)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カル
    シウムの1種または2種以上。 (3)トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン (4)緩衝液
  3. 【請求項3】 請求項2記載の化合物を水に希釈してp
    Hを7以上としてなることを特徴とする種子消毒剤。 【0001】
JP10478796A 1996-04-03 1996-04-03 イネ種子消毒方法およびイネ種子消毒剤 Pending JPH09271211A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030035505A (ko) * 2001-10-31 2003-05-09 김혜자 종자 소독제 및 종자 소독법
JP2005306835A (ja) * 2004-04-20 2005-11-04 Nagaoka Kk 食品廃棄物の腐敗を抑制するアルカリ性粉剤
JP2006327982A (ja) * 2005-05-26 2006-12-07 Sumitomo Chemical Co Ltd 種子処理用イネばか苗病害防除剤
JP2007269817A (ja) * 1997-04-28 2007-10-18 Nippon Soda Co Ltd 種子消毒剤
JP2010530752A (ja) * 2007-06-22 2010-09-16 シンセシス ビー.ブイ. 植物種子を処理する方法および装置

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