JPH09270567A - 量子井戸構造及びこれを備える半導体光素子 - Google Patents

量子井戸構造及びこれを備える半導体光素子

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JPH09270567A
JPH09270567A JP10408196A JP10408196A JPH09270567A JP H09270567 A JPH09270567 A JP H09270567A JP 10408196 A JP10408196 A JP 10408196A JP 10408196 A JP10408196 A JP 10408196A JP H09270567 A JPH09270567 A JP H09270567A
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well structure
barrier layer
well
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JP10408196A
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Takuya Ishikawa
卓哉 石川
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 量子井戸構造における光学利得の偏波依存性
を解消した半導体光素子を提供する。 【解決手段】 量子井戸構造において、障壁層12及び
井戸層11の格子定数が、量子井戸構造の下地を成す半
導体の格子定数とほぼ整合条件(格子定数の差が0.3
5%以下)にあり、障壁層12及び井戸層11の双方の
価電子帯エネルギーが相互にほぼ等しくなる(エネルギ
ー差が25meV以下)ように構成する。価電子帯のエネ
ルギー構造がバルク構造のものと同様になり、有効質量
差に起因する光学利得の偏波依存性が生じない。また、
価電子帯のエネルギーを井戸層及び障壁層相互間で等し
くすることにより、井戸間のキャリア分布が均一にな
る。多数の井戸を有する多重量子井戸構造においても、
広い変調帯域幅及び良好な温度特性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、量子井戸構造及び
これを備える半導体光素子に関し、更に詳しくは、偏光
依存性が改善された量子井戸構造及びその量子井戸構造
を備える半導体レーザ、増幅器、スイッチなどの半導体
光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信に用いられる半導体レーザには特
に高い性能が要求されており、その要求性能には、変調
帯域幅が大きいこと、及び、温度特性が良いことが含ま
れる。近年では、これら要求性能に応えるために活性層
に量子井戸構造を用いた半導体レーザが用いられてい
る。多重量子井戸構造においては、活性層を構成する量
子井戸層の層数を大きくすると、発振しきい値における
各量子井戸層のキャリア密度が小さくなり、微分利得が
向上して変調帯域幅が大きくなること、及び、等価的に
障壁層のエネルギー障壁が大きくなって温度特性が向上
することなどが理論的に指摘されている。
【0003】しかし、多重量子井戸構造では、量子井戸
層の層数を増やしていくと、注入されたキャリアが各多
重量子井戸層に均一に分布しなくなり、かえって変調帯
域幅が小さくなり、或いは、温度特性が悪化する現象が
知られている。このような現象は、一般的に有効質量が
大きな正孔は障壁を乗り越えて隣の井戸に移動する速度
が遅いことに起因しており、特に井戸数が10個程度以
上の多重量子井戸構造において顕著になる。従って、多
重量子構造で井戸数を増やすことには限界があった。
【0004】ところで、量子井戸構造では、井戸層及び
障壁層が基板に格子整合した通常の構造では、ある特定
の偏波(TEモード)に対する利得が、他の偏波(TM
モード)に対する利得よりも大きいことが知られてい
る。これは、おおよそ以下のような事情から生じてい
る。即ち、正孔には重い正孔と軽い正孔とがあり、重い
正孔が関与する遷移はTEモードのみに対して利得(強
度3/2)を生じさせ、他方、軽い正孔が関与する遷移
は、TEモードに対しては強度1/2の利得を、TMモ
ードに対しては強度2の利得を夫々生じさせる。更に、
正孔はその有効質量の違いによって量子化エネルギーが
異なる。量子化エネルギーは、およそ有効質量の逆数に
比例するので、重い正孔に対する量子化エネルギーは、
軽い正孔に対する量子化エネルギーよりも小さい。従っ
て、通常の量子井戸構造においては、電子と重い正孔と
の間で生じる遷移によって光学利得が生じ、電子と重い
正孔との間の遷移は、上述のようにTEモードのみに対
して利得を生じることから、通常構造の量子井戸の利得
に偏波依存性を与えることとなる。
【0005】しかし、半導体素子からなる光増幅器を、
光ファイバをベースとした光学システム中で用いるため
には、その光増幅器の利得の偏波依存性を小さくするこ
とが求められている。
【0006】利得の偏波依存性を解消するため、歪量子
井戸構造を用いる提案がなされている。このような歪量
子井戸構造は、例えば、特開平1−251685号公
報、特開平4−27183号公報、及び、特開平4−2
33783号公報などに記載されている。
【0007】特開平1−251685号公報に記載の技
術は、わずかに伸張歪が導入された量子井戸層を用いる
ものである。井戸層に歪が導入されると、一般に、重い
正孔に対するエネルギーと、軽い正孔に対するエネルギ
ーとが分離する。伸張歪が導入される場合には、軽い正
孔に対するエネルギーがよりバンド端に近づくようにな
る。軽い正孔の量子化エネルギーは、重い正孔の量子化
エネルギーよりも大きいので、井戸層の伸長歪の量とそ
の膜厚とを適当に選ぶと、軽い正孔の量子準位が、重い
正孔の量子準位よりもバンド端に僅かに近く、且つ、軽
い正孔と重い正孔の量子準位の差を充分に小さくでき
る。このとき、光学遷移は、電子−重い正孔間及び電子
−軽い正孔間の双方でほぼ均一に生じ、TEモードに対
する利得は3/2(重い正孔)+1/2(軽い正孔)、
TMモードに対する利得は2(軽い正孔)となり、これ
により、利得の偏波依存性が解消されるというものであ
る。
【0008】また、特開平4−27183号公報に記載
の技術は、大きな伸張歪が導入された障壁層及び格子整
合した井戸層を組み合わせた量子井戸構造を採用する。
大きな伸張歪が導入された障壁層は、電子及び重い正孔
に対しては実際にエネルギー障壁として作用するが、軽
い正孔に対しては、障壁層として作用せず、むしろ、井
戸層として作用する。この構造によると、量子井戸層内
で電子−重い正孔間の遷移が生じ、また、量子井戸層の
電子−障壁層の軽い正孔間の遷移も同時に生じる。これ
により、やはり利得の偏波依存性が解消されるというも
のである。
【0009】特開平4−233783号公報に記載の技
術は、大きな伸張歪が導入された井戸層と大きな圧縮歪
が導入された井戸層とを組み合わせた量子井戸構造を採
用する。大きな伸張歪が導入された井戸層では、軽い正
孔がバンド端となり、電子−軽い正孔間の遷移のみが生
じる。また、大きな圧縮歪が導入された井戸層では、重
い正孔がバンド端となるので、電子−重い正孔間の遷移
のみが生じる。この遷移のエネルギーを、双方の井戸層
間で揃えることによって、TEモードに対する利得を3
/2(圧縮歪井戸層)+1/2(伸張歪井戸層)、TM
モードに対する利得を2(伸張歪井戸層)とすることが
でき、これにより、利得の偏波依存性が解消されるとい
うものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】特開平1−25168
5号公報に記載の技術では、量子井戸層中に、重い正孔
の量子準位と軽い正孔の量子準位とがほぼ重なって存在
する。このような場合には、正孔に対する量子井戸面内
の運動量−エネルギーの関係、いわゆる、エネルギー分
散関係は、例えば図7に示すようになり、典型的には一
方の正孔(図7の例では軽い正孔)の量子井戸面内方向
のバンド構造が間接遷移型となってしまうため、注入さ
れた正孔が有効に光学利得に寄与しないという問題があ
る。
【0011】特開平4−27183号公報に記載の技術
では、障壁層の伸張歪の量を1.7%程度と大きくとる
ため、井戸の層数が大きな多重量子井戸構造の場合に
は、積層の際に歪が蓄積し、上層では容易に臨界膜厚を
越えてミスフィット転移が生じ、表面状態が劣化すると
いう問題がある。従って、この技術は、井戸の層数が大
きな多重量子井戸構造には適用し難い。
【0012】特開平4−233783号公報に記載の技
術では、重い正孔と軽い正孔との間の干渉は生じない
が、大きな伸張歪を有する井戸層及び大きな圧縮歪を有
する井戸層の夫々で生じる遷移エネルギーを精度良く合
わせないと、意図したような光学利得の偏波依存性の改
善が得られないが、このように遷移エネルギーを精度よ
く合わせることは困難という問題がある。
【0013】本発明は、上記に鑑み、光学利得の偏波依
存性が小さな量子井戸構造、及び、そのような量子井戸
構造を備える半導体光素子を提供することを目的とす
る。
【0014】本発明は、更に、井戸の層数が大きな多重
量子井戸構造を採用した場合にも、均一なキャリア分布
が容易に得られる量子井戸構造、及び、これを備える半
導体光素子を提供することをも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の量子井戸構造は、井戸層及び障壁層を備え
る量子井戸構造において、井戸層及び障壁層の双方の格
子定数が、量子井戸構造の下地を成す半導体の格子定数
とほぼ整合条件にあり、且つ、井戸層及び障壁層の双方
の価電子帯エネルギーが相互にほぼ等しいことを特徴と
する。
【0016】ここで、本発明の量子井戸構造では、井戸
層及び障壁層の格子定数と下地を成す半導体の格子定数
との差の絶対値は例えば0.35%以下とし、障壁層と
井戸層の双方の価電子帯のエネルギー差を25meV以下
とすることが好ましい。その理由は、半導体中のキャリ
アが有する室温での熱エネルギーは約25meVであり、
この程度の障壁は容易に越えることが出来るため、25
meV以下のエネルギー差であればエネルギー障壁として
機能せず、実質上エネルギーがほぼ等しいとみなしてよ
いからである。
【0017】上記障壁層を、InAlAs又はInAlGaA
sから構成し、且つ、井戸層をInGaAsPから構成する
ことが出来る。
【0018】本発明の量子井戸構造では、電子に対する
量子準位のうち、2つ以上の準位からの遷移を同時に利
用する構成を採用することも出来る。
【0019】本発明の量子井戸構造では、井戸層及び障
壁層の格子定数を共に下地の半導体の格子定数とほぼ整
合させ、且つ、井戸層及び障壁層の双方の価電子帯エネ
ルギーがほぼ等しくなるような組成を用いる。まず、格
子定数の絶対値を0.35%以下としているので歪みに
よる正孔のエネルギー分離は25meV以下となり、上述
のように、実質的にはエネルギー分離はないものとみな
せる。しかも、障壁層と井戸層の双方の価電子帯エネル
ギーがほぼ等しいことから、正孔に対しては量子化エネ
ルギーが実質的に存在しない。即ち、正孔に対するエネ
ルギーバンド構造はバルク構造と同様であり、バンド間
遷移による光学利得も、バルクにおけるバンド間遷移と
同様に、実質的に偏波依存性を有しない。
【0020】正孔に対するエネルギーバンド構造がバル
クにおけるバンド構造と同様であることから、特開平1
−251685号公報に記載の技術で生じるような、重
い正孔と軽い正孔の間での干渉問題は生じない。また、
井戸層及び障壁層が下地の半導体とほぼ格子整合してい
るので、特開平4−27183号公報に記載の技術で生
じるような、歪が蓄積するという問題も生じない。
【0021】特開平4−233783号公報に記載の技
術では、少なくとも、1)障壁層の組成、2)伸張歪井
戸層の組成、3)伸張歪井戸層の厚さ、4)圧縮歪井戸
層の組成、5)圧縮歪井戸層の厚さ、の5つのパラメー
タを夫々高精度に制御する必要がある。しかし、本発明
の量子井戸構造によれば、1)障壁層の組成、2)井戸
層の組成、3)井戸層の厚さ、の3つのパラメータを制
御すれば足りる。この3つのパラメータは、特に利得の
偏波依存性の改善を要しない量子井戸構造においても一
般的に制御が必要なパラメータである。即ち、本発明の
量子井戸構造は、最も基本的な量子井戸構造と比較して
も、制御するパラメータ数が増加することはない。
【0022】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明を更に説明
する。図1に、本発明の第1の実施形態例の量子井戸構
造におけるエネルギーバンド構造を示す。基板にはIn
P基板を用い、井戸層11は、その組成がIn0.72Ga
0.28As0.610.39、厚さが9.5nmであり、また、障
壁層12の組成はIn0.52Al0.45Ga0.03Asである。こ
の組成を用いると、障壁層12におけるバンドギャップ
λgが0.834μm、井戸層11におけるバンドギャッ
プλgが1.37μmとなり、且つ、井戸層11と障壁層
12間では、伝導帯にのみエネルギーギャップが生じ、
価電子帯にはエネルギーギャップが生じない。つまり、
伝導帯のエネルギー構造のみが通常の量子井戸構造とな
り、価電子帯のエネルギー構造はバルクのエネルギー構
造と同じになる。本実施形態例の量子井戸構造における
光学利得は、波長1.31μm付近にピークを有し、実
質的に偏波依存性を有しない。
【0023】図2に、本発明の第2の実施形態例の量子
井戸構造におけるエネルギーバンド構造を示す。基板に
はInP基板を用い、井戸層13は、その組成がIn0.59
Ga0.41As0.870.13、厚さが9.5nmであり、障壁層
14の組成はIn0.53Al0.14Ga0.33Asである。この組
成を用いると、障壁層14のバンドギャップλgが1.
34μm、井戸層13のバンドギャップλgが1.62μ
mとなり、且つ、井戸層13と障壁層14間では、伝導
帯にのみエネルギーギャップが生じ、価電子帯にはエネ
ルギーギャップが生じない。つまり、伝導帯のエネルギ
ー構造のみが通常の量子井戸構造になり、価電子帯のエ
ネルギー構造はバルクのエネルギー構造と同様になる。
本実施形態例の量子井戸構造における光学利得は、波長
1.55μm付近にピークを有し、実質的に偏波依存性
を有しない。
【0024】図3に、本発明の第3の実施形態例の量子
井戸構造におけるエネルギーハンド構造を示す。基板に
はInP基板を用い、該基板上に充分に厚いInAs0.28
0.72バッファ層を成長形成し、更にその上にInAs
0.280.72クラッド層15を成長する。InAs0.28
0.72はInPよりも格子定数が大きく、その格子不整合
量は0.9%である。このため、厚いバッファ層を成長
すると、臨界膜厚を越えてInAs0.280.72本来の格子
定数を有する結晶が得られる。この上に、更に、In
0.67Al0.31Ga0.03As障壁層16、In0.80Ga0.20As
0.720.28井戸層17、In0.67Al0.31Ga0.03As障壁
層18、及び、InAs0.280.72クラッド層19を積層
することにより、図3に示したバンド構造の単一量子井
戸が得られる。例えば、井戸層17の厚みは8.5nm、
障壁層16、18の厚みは約0.05μm程度とする。
【0025】井戸層17を挟む障壁層16、18は、合
計で約0.1μmの厚みを有しており、この大きな厚み
により、InAs0.280.72クラッド層16、18で挟ま
れることによる正孔のエネルギーの量子化は実質的にな
いものと見なせる。本実施形態例の量子井戸構造におけ
る光学利得は、電子の第1量子準位からの遷移が波長
1.55μm付近にピークを有し、電子の第2量子準位
からの遷移が波長1.31μm付近にピークを有し、2
つの波長帯で光学利得を有する。また、価電子帯のエネ
ルギー構造はバルクと同様であるから、何れの波長にお
いても偏波依存性は生じない。
【0026】図4は、本発明の第4の実施形態例の半導
体光増幅器の構造を示す斜視図である。本実施形態例
は、図2に示したバンド構造の量子井戸を、埋め込み構
造の半導体光増幅器に適用した例である。本実施形態例
の光増幅器は、n−InP基板21上に、n−InPクラ
ッド22層、多重量子井戸構造のストライプ活性層2
3、p−Inクラッド層24を順次に成長形成し、その
上下を電極27、28で挟んだ構造を有する。ストライ
プ活性層23の両側には、p−InP埋込み層25及び
n−InP埋込み層26から成る埋込み成長層が形成さ
れている。
【0027】量子井戸構造は、図2に示したバンド構造
を有し、量子井戸層を10層含んでいる。ストライプ活
性層23の両側の周囲領域では、InPの導電型が上部
電極27側から下部電極28側に向かってp−n−p−
n構造を成しており、この周囲領域を流れる電流が有効
に阻止される。なお、n型基板に代えてp型基板を用い
る場合には、上部電極側から見てn−p−n−p導電型
から成るInP積層を形成して周囲領域の電流を阻止す
る。また、これら周囲領域の構造に代えて、活性層の両
側に光閉じ込め層を有する、いわゆるSCH層構造を採
用してもよい。
【0028】半導体光増幅器として用いるために、スト
ライプ状の活性層23及び上部電極27を、劈開面29
に垂直方向な面から基板面と平行方向に約7度傾け、ま
た双方の劈開面29には無反射コーティング(AR)を
施している。本実施形態例の光増幅器を作製し、波長
1.55μmにおける増幅率を測定した。増幅率は、注
入電流が200mAのときに、TEモードで25.2dB、
TMモードで24.7dBを示し、利得の偏波依存性は僅
かに0.5dBであった。
【0029】比較例として、厚みが9.5nmのIn0.58
Ga0.42As0.900.10量子井戸層(バンドギャップ1.
65μm)と、In0.84Ga0.16As0.350.65障壁層(バ
ンドギャップ1.15μm)とを組み合わせた量子井戸
構造を有し、上記実施形態例と同様な埋込み構造で井戸
数が10個の半導体光増幅器を作製した。この比較例の
半導体光増幅器では、注入電流が200mAのときの利得
は、TEモードで27dB、TMモードでは9dB程度
であり、大きな偏波依存性を示した。
【0030】図5は、本発明の第5の実施形態例の半導
体光増幅器の構造を示す斜視図である。量子井戸からな
る活性層には、図3に示した構造の単一量子井戸を採用
した。本実施形態例の半導体光増幅器は、n−InP基
板31上に、n−InAs0.280.71バッファ層32及び
n−InAs0.280.71クラッド層33を成長形成し、そ
の上に、In0.80a0.20As0.720.28井戸層及びIn
0.67l0.31a0.03As障壁層からなる単一量子井戸構
造の活性層34を形成し、更にその上に、p−InAs0
.280.71クラッド層を形成し、これらを上部電極38
及び下部電極39で挟んだ構造を有する。ストライプ状
の活性層34及び上部電極38は、先の例と同様に約7
度の傾きを持たしてある。ストライプ活性層34の側部
には、p−InAsP埋込み層36及びn−InAsP埋込
み層37が成長形成されている。
【0031】上記実施形態例の半導体光増幅器を試作し
た。利得を測定したところ、電子の第1量子準位からの
遷移は波長1.55μm付近に利得のピークがあり、電
子の第2量子準位からの遷移は波長1.31μm付近に
利得のピークがあった。この光増幅器は、波長1.31
μm附近及び1.55μm附近で10dB以上の増幅率
を有しており、偏波依存性はどちらの波長においても1
dB以下であった。
【0032】図6は、本発明の第6の実施形態例の半導
体レーザの斜視図である。本実施形態例は、図1に示し
たバンド構造を有する量子井戸構造を半導体レーザに適
用した例である。本実施形態例の半導体レーザは、n−
InP基板41上に、n−InPクラッド42を介して、
In0.52Al0.45Ga0.03As障壁層及びIn0.72Ga0.28
s0.610.39活性層を含む多重量子井戸活性層43を形
成し、更にその上にp−InPクラッド層44を形成
し、これらを上部電極47及び下部電極48で挟んだ構
造である。活性層43及び上部電極47は先の実施形態
例と同様に約7度の傾きを有し、また、ストライプ活性
層43の両側にp−InP埋込み層45及びn−InP埋
込み層46が成長形成されている。活性層43における
井戸の層数は20である。本実施形態例の半導体レーザ
は、1.31μmの波長で発振する。
【0033】上記実施形態例の半導体レーザを試作する
と共に、比較例として、厚さ9.5nmのIn0.72G a
0.28As0.610.39井戸層(バンドギャップ1.37μ
m)とIn0.91Ga0.09As0.210.79障壁層(バンドギャ
ップ1.05μm)とから成り、同様に20個の量子井
戸層を有する量子井戸構造を備えた、発振波長が1.3
1μmの埋込み型レーザを試作した。
【0034】上記比較例では、変調度が3dB低下する
変調帯域幅は約10GHzであったが、第5の実施形態
例では、同様な変調帯域幅は15GHzであった。ま
た、特性温度は、比較例では50Kであったが、本実施
形態例では100Kであり、温度特性にかなりの向上が
見られた。本実施形態例によると、井戸数が20ときわ
めて多数の井戸層を有する多重量子井戸構造において
も、キャリアの不均一分布に起因した影響は観測されな
かった。
【0035】以上、本発明をその好適な実施形態例に基
づいて説明をしたが、本発明の量子井戸構造及び半導体
光素子は、上記実施例の構成にのみ限定されるものでは
なく、上記実施例の構成から種々の修正及び変更を施し
た量子井戸構造及び半導体光素子も、本発明の範囲に含
まれる。
【0036】例えば、上記実施形態例では、素子構造と
して埋込み構造型の半導体光素子を有する例を挙げて説
明したが、本発明の量子井戸構造は、かかる素子構造に
限らず、リッジ構造など他の素子構造を有する半導体光
素子にも適用できる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の量子井戸
構造によると、正孔のエネルギー準位が量子化されない
ので、光ファイバを含む光学系に好適に利用できる、偏
波依存性が小さな半導体光素子を容易に作製することが
出来る。また、正孔の注入効率低下に起因するキャリア
の不均一分布も改善されるため、多重量子井戸レーザに
おける井戸数を増加させることができ、変調帯域幅の増
大及び温度特性の向上が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態例の量子井戸構造のバ
ンド構造を示す線図。
【図2】本発明の第2の実施形態例の量子井戸構造のバ
ンド構造を示す線図。
【図3】本発明の第3の実施形態例の量子井戸構造のバ
ンド構造を示す線図。
【図4】本発明の第4の実施形態例の多重量子井戸活性
層を有する半導体光増幅器の斜視図。
【図5】本発明の第5の実施形態例の単一量子井戸活性
層を有する半導体光増幅器の斜視図。
【図6】本発明の第6の実施形態例の多重量子井戸活性
層を有する埋め込み型レーザの斜視図。
【図7】従来技術における電子及び正孔のエネルギー準
位を示す模式図。
【符号の説明】
11、13、17 量子井戸層 12、14、16、18 障壁層 15、19 クラッド層 21、31、41 n−InP基板 22、42 InPクラッド層 23、34、43 量子井戸層 32 n−InAsPバッファ層 33 n−InAsPクラッド層 24、44 p−InPクラッド層 25、45 p−InP埋込み層 26、46 n−InP埋込み層 27、38、47 上部電極 28、39、48 下部電極 29 劈開面 35 p−InAsPクラッド層 36 p−InAsP埋込み層 37 n−InAsP埋込み層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 井戸層及び障壁層を備える量子井戸構造
    において、 井戸層及び障壁層の双方の格子定数が、量子井戸構造の
    下地を成す半導体の格子定数とほぼ整合条件にあり、且
    つ、井戸層及び障壁層の双方の価電子帯エネルギーが相
    互にほぼ等しいことを特徴とする量子井戸構造。
  2. 【請求項2】 井戸層及び障壁層の格子定数と下地を成
    す半導体の格子定数との差の絶対値が0.35%以下で
    あり、障壁層と井戸層の双方の価電子帯のエネルギー差
    が25meV以下である、請求項1に記載の量子井戸構
    造。
  3. 【請求項3】 障壁層がInAlAs又はInAlGaAsか
    ら成り、井戸層がInGaAsPから成る、請求項1又は
    2に記載の量子井戸構造。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載の量子井戸構造を有
    する半導体光素子。
  5. 【請求項5】 電子に対する量子準位のうち、2つ以上
    の準位からの遷移を同時に利用する、請求項4に記載の
    半導体光素子。
JP10408196A 1996-03-29 1996-03-29 量子井戸構造及びこれを備える半導体光素子 Pending JPH09270567A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016513889A (ja) * 2013-03-15 2016-05-16 プレビウム リサーチ インコーポレイテッド 広帯域可変掃引光源

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