JPH09270483A - 半導体装置とその製造方法及び電力変換装置 - Google Patents

半導体装置とその製造方法及び電力変換装置

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JPH09270483A
JPH09270483A JP1492197A JP1492197A JPH09270483A JP H09270483 A JPH09270483 A JP H09270483A JP 1492197 A JP1492197 A JP 1492197A JP 1492197 A JP1492197 A JP 1492197A JP H09270483 A JPH09270483 A JP H09270483A
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protective film
insulating protective
film layer
semiconductor substrate
semiconductor device
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JP1492197A
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Shin Morishima
森島  慎
Kazuhiro Suzuki
和弘 鈴木
Susumu Murakami
進 村上
Yasuo Onose
保夫 小野瀬
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い信頼性の半導体装置を提供する。 【解決手段】p−n接合部分が側面に露出した半導体基
体18における前記p−n接合部分の表面に2層以上の
絶縁保護膜層5,8を積層した半導体装置において、前
記第1層目の絶縁保護膜層5と第2層目の絶縁保護膜層
8の界面近傍に生じる界面分極電荷Qr[クーロン/c
2]が1.6×10-8≧|Qr|の関係となるようにす
ることにより、界面分極を低減して漏れ電流変動や増加
を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサイリスタやダイオ
−ド等の高電圧が印加される半導体装置とその製造方法
及びこの半導体装置を使用した電力変換装置に係わり、
特に、高電圧印加時においても安定な電圧阻止特性を有
する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高耐圧半導体装置としては、例えば、IE
E PROC. Vol129 Pt.I No5 173 (1982)に記載がある。
【0003】そして、高耐圧半導体装置の高信頼化に関
しては、従来から種々の技術が提案されている。
【0004】従来のサイリスタやゲートターンオフサイ
リスタ、ダイオード等の高耐圧半導体装置では、半導体
基体の側面がベベル形状に加工され、この側面に安定化
保護膜が形成されている。例えば、特開平6-5348
5号公報に半導体装置の高信頼化に関する技術として記
載された技術が知られている。この従来技術では、サイ
リスタの厚みの中央部分の側面が窪みを有するように該
側面を傾斜させて加工している。このように側面を傾斜
させることにより、半導体基体の側面のp−n−p構造
部分の1つのp−n接合に逆バイアス電圧が印加された
場合に、前記p−n接合の表面の空乏層がポジティブベ
ベル構造によって主にn層側に拡がり、半導体装置の耐
圧を高くすることができ、一方、側面の窪んだところは
逆に前記空乏層が拡がり難くなるために、側面のp−n
−p構造部分におけるパンチスルーを防止することがで
きるという効果が得られる。これらの半導体装置のp−
n接合が露出する側面及び半導体基体が露出する表面は
ポリイミド等の絶縁膜とその上に配置されたシリコーン
ゴムなどの絶縁膜で保護されており、高信頼化が達成で
きる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では、電圧を印加したまま高温にさらす、いわゆる高
温電圧印加試験で、絶縁保護膜の導電率差に起因した絶
縁保護膜中に生じる電荷が半導体装置の阻止特性に悪影
響を与える問題を解決する方法は提案されていない。
【0006】半導体装置の高耐圧化が要求されて絶縁保
護膜に印加される電界強度が高くなると、この絶縁保護
膜の特性が半導体装置の信頼性に大きな影響を及ぼすよ
うになる。
【0007】絶縁保護膜が半導体装置の阻止特性に影響
を及ぼす重要な因子に、半導体の電荷密度がある。この
電荷密度が変化すると半導体素子の漏れ電流の増加や耐
圧低下などの不良を引き起こす。一般に、前記電荷密度
は、半導体と絶縁保護膜との界面の近傍における電荷に
よって左右される。
【0008】絶縁保護膜を形成するパッシベーション工
程では、まず、半導体基体の端部(側面)を研削してダ
ブルポジティブベベル形状に加工する。研削面のチッピ
ングや汚れを洗浄するために、前記加工面をケミカルエ
ッチングする。エッチングした表面にポリイミド等の樹
脂を塗布して乾燥・硬化を行う。従来、この乾燥・硬化
を高温槽によって行っていた。高温槽による乾燥では、
塗布された樹脂は表面から徐々に乾燥する。このときダ
ブルポジティブベベルの窪みに溜まっている樹脂は徐々
に流れ出し、上部端面では樹脂が少なく下部端面では多
くなるといった偏積が生じ、このまま硬化する(図11
参照)。第1層目の絶縁保護膜層が偏積した状態で第2
層目の絶縁保護膜層を形成した半導体素子の耐圧を評価
すると、樹脂の膜厚が薄い側の耐圧が悪いこと分かる。
更に、この半導体素子の高温電圧印加試験を行うと、膜
厚が薄い側の電流−電圧特性が劣化することが分かっ
た。
【0009】本発明の目的は、半導体装置の動作時の漏
れ電流の発生を抑え、且つ、長期にわたり特性が安定し
た高い信頼性を有する半導体装置及びこの半導体装置を
使用した電力変換装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】図2に示すように、半導
体基板18における低不純物濃度ベース層(nベース
層)1の電荷密度は、絶縁保護膜層5,8の導電率差に
起因して該絶縁保護膜層を形成するポリイミド/シリコ
ーンゴム界面近傍に生じる界面分極9,10によって大
きく影響される。すなわち、この界面分極により生じた
電荷によってnベース層1の表面に電荷が誘起され、こ
の誘起電荷によって前記電荷密度が変化し、阻止特性が
劣化して半導体装置の長期信頼性に悪影響を及ぼす。従
って、半導体装置の阻止特性を改善するためには、低不
純物濃度ベース層(nベース層)1に誘起される電荷が
少なくなるように絶縁保護膜層を形成することが重要で
ある。
【0011】本発明の1つの半導体装置は、一方及び他
方の主面を有し少なくとも1つのp−n接合部分が側面
に露出した半導体基体と、前記半導体基体側面に露出し
たp−n接合部分の表面に積層した2層以上の絶縁保護
膜層を備えた半導体装置において、前記半導体基体の側
面の表面に設置された第1層目の絶縁保護膜層と前記第
1層目の絶縁保護膜層の表面に設置された第2層目の絶
縁保護膜層の界面近傍に生じる界面分極電荷Qr[クー
ロン/cm2]が(数1) 1.6×10-8>|Qr| ……(数1) に示す関係となるようにするものである。
【0012】前記半導体基体の側面の表面に設置された
第1層目の絶縁保護膜層と前記第1層目の絶縁保護膜層
の表面に設置された第2層目の絶縁保護膜層の界面近傍
に生じる界面分極電荷Qrは、それぞれの絶縁保護膜層
の静電容量分担分だけ半導体(シリコン)表面に電荷を
誘起する。前記界面分極電荷によってシリコン表面に誘
起された電荷をQs’とするとQrとQs’の関係は
(数3) Qs’=(C1/C1+C2)×Qr ……(数3) で表される。ここで、C1とC2は、それぞれ前記第1層
目の絶縁保護膜層の静電容量と前記第2層目の絶縁保護
膜層の静電容量である。静電容量は、誘電率を膜厚で割
ったものである。例えば、ポリイミドの比誘電率は2.
5〜3.5(1kHz,室温)、シリコーンゴムの比誘電
率は2.5〜3.0(1kHz,室温)である。一方、第
1層目の絶縁保護膜層の膜厚と第2層目の絶縁保護膜層
の膜厚を比較すると<第1層目の膜厚の方が小さいこと
からC2≦C1となり、その結果、1/2≦(C1/C1+
2)<1となる。
【0013】ここで、電荷密度の適正値は、シミュレー
ションより、+1×1011[cm-2]〜+3×1011[cm
-2]であることから、Qs’の適正値を絶対値で考える
と、|Qr|<1.6×10-8[クーロン/cm2]とな
る。
【0014】本発明の他の半導体装置は、一方及び他方
の主面を有し少なくとも1つのp-n接合部分が側面に露
出した半導体基体と、前記側面に露出したp−n接合部
分の上に積層された2層以上の絶縁保護膜層を備え、前
記露出したp-n接合部分に接する絶縁保護膜層(第1層目
の絶縁保護膜層)の導電率σ1と前記第1層目の絶縁保護
膜層に接する絶縁保護層(第2層目の絶縁保護膜層)の導
電率σ2との比σ2/σ1が(数2) 0.05≦σ2/σ1≦10 ……(数2) に示す関係となるようにするものである。
【0015】半導体の電荷密度は、絶縁保護膜層中に発
生する電荷により変化し、特に前記第1層目と前記第2
層目の絶縁保護膜層の界面に生じる界面分極による影響
を受ける。この界面分極は、誘電率と導電率の異なる物
質の界面に生じ、特に導電率の影響(寄与)が大きい。
この電荷密度に影響を及ぼす界面分極は、前記第1層目
の絶縁保護膜層の導電率と前記第2層目の絶縁保護膜層
の導電率に差が大きいときに生じる。計算によって求め
た電荷密度とσ2/σ1の関係を図3に示す。第1層目の
絶縁保護膜層の導電率σ1と第2層目の絶縁保護膜層の
導電率σ2の比σ2/σ1を0.05〜10とすることに
より、表面電荷密度の変動を±50%以内に収めること
ができる。
【0016】更に、本発明の他の半導体装置は、nベー
ス層の厚さを空乏層が拡がる幅と考えたとき、nベース
層の厚さを100μm〜5000μmとすることで、前記
nベース層の不純物濃度が1.0×1014の半導体基体
で1kVから、前記nベース層の不純物濃度が2.0×
1012の半導体基体で30kVまでの耐電圧を達成する
ことができるようにするものである。
【0017】更に、本発明の他の半導体装置は、nベー
ス層の比抵抗率を500±50Ωcmとしたとき、その厚
さを1000μm〜2000μmとすることにより、定格
電圧が6kV級から12kV級の耐電圧を達成できるよう
にするものである。
【0018】更に、本発明の他の半導体装置は、半導体
基体の側面の表面に設置された第1層目の絶縁保護膜層
として、ガラス転移温度Tgが150℃〜400℃の有
機材料を用いることで、装置の動作温度範囲である−4
0℃〜125℃で安定な物性値を有し、電荷密度の変動
の原因の1つであるイオン性不純物の移動・拡散を低下
させて半導体の表面を安定に保つことができるようにす
るものである。前記有機材料としては、例えば、ポリイ
ミド,ポリアミド,ポリベンゾオキサゾール,ポリベン
ズイミダゾール,ポリキノキサリン,ポリエーテルエー
テルケトン,ポリアリレートやこれらの混合材料などが
ある。ガラス転移温度Tgを400℃以下とする理由
は、半導体素子中のキャリヤのライフタイムにある。イ
ンバータやコンバータに使用される高耐圧半導体装置
は、電力変換時の損失を最小限に抑えるために半導体中
を流れるキャリヤのライフタイムを制御している。前記
ライフタイム制御は、半導体基体に放射線を照射してで
きた結晶欠陥を熱処理することで適切なライフタイムを
得るように行う。絶縁保護膜層を形成するために半導体
基体を400℃以上に加熱すると、適正値に制御してあ
る前記ライフタイムが変動して十分な装置性能が発揮で
きなくなってしまう。ここで、ガラス転移温度Tgが4
00℃以上の有機材料、例えば一部のポリイミドは、絶
縁保護膜層を形成するときに完全にイミド化反応を終了
させるために、これ以上の温度での熱処理を必要とする
ためにこの半導体装置には使用することができない。
【0019】更に、本発明の他の半導体装置は、前記第
1層目の絶縁保護膜層の表面に設置された第2層目の絶
縁保護膜層のエラストマが付加型シリコーンゴムで形成
するものである。シリコーンゴムは、広い温度範囲にわ
たって電気的特性に優れた絶縁材料である。シリコーン
ゴムは、その硬化反応メカニズムの観点で大別すると、
縮合型と付加型に分けることができる。縮合型シリコー
ンゴムは、水分を助触媒として室温で硬化反応が進行
し、反応に伴い低分子量の反応副生成物を生じるタイプ
である。一方、付加型シリコーンゴムは、熱によって硬
化反応が進行し、反応副生成物が生じないタイプであ
る。電力用半導体装置の多くは、セラミックパッケーッ
ジ中に気密封止されている。縮合型シリコーンゴムは、
これを密封中で高温放置すると、ゴムが逆硬化反応によ
って分解することから、密封中での耐熱性に弱い材料で
ある。図13は、縮合型シリコーンゴムを用いて作成し
た半導体装置の高温放置試験結果を示している。縮合型
シリコーンゴムを用いて作製した半導体装置は、その阻
止特性が劣化していることが分かる。これは、前述した
理由によるものである。
【0020】更に、本発明の他の半導体装置は、前記第
1層目の絶縁保護膜層としてSiO2やSiNなどの無機
材料を用いることで、より不純物の少ない絶縁保護膜層
を形成するものである。しかし、無機材料は弾性率が高
く、厚膜に形成すると、半導体との熱膨張差から生じる
応力によって絶縁保護膜層にクラックが入る可能性があ
る。そこで、第1層目の絶縁保護膜層として無機材料を
使用したときは、第2層目の絶縁保護膜層、更には第3
層目の絶縁保護膜層が必要となる。このとき、第2層目
及び第3層目の絶縁保護膜層の材料としては、上述した
ガラス転移温度Tgが150℃〜400℃の有機材料や
シリコーンゴムが望ましい。
【0021】更に、本発明の他の半導体装置は、半導体
基体の周辺部分の端面を一定角度で傾斜させることによ
り高耐圧化に適したダイオードやゲートターンオフター
ンオフサイリスタ(GTO)を作製するものである。
【0022】更に、本発明の他の半導体装置は、半導体
基体の周辺部分の端面を中心が滑らかに窪んだΣ字形状
に加工することにより、高耐圧大電流化に適したサイリ
スタを作製するものである。
【0023】更に、本発明の他の半導体装置は、一方及
び他方の主面を有し少なくとも1つのp−n接合部分が
側面に露出した半導体基体と、前記側面に露出したp−
n接合部分の表面に積層した2層以上の絶縁保護膜層を
備えた半導体装置において、前記半導体基体の側面の表
面に設置された第1層目の絶縁保護膜層の最大膜厚がn
ベース層の表面になるように形成されている。電荷密度
が敏感に影響する拡散層は、不純物濃度が低いnベース
層である。また、ダブルポジティブベベルの変曲点は電
界が集中するところであり、この点もまたnベース層に
なる。つまり、この発明のように第1層目の絶縁保護膜
層を形成することにより、前記界面分極の影響を低減す
ることができると共に順逆両方向の電流−電圧特性を等
価で且つ長期信頼性に優れた半導体装置を得ることがで
きる。
【0024】図7に示すような膜厚分布を有する第1層
目の絶縁保護膜層の形成方法として、半導体基体に前記
樹脂を塗布した後に、この半導体基体を回転させること
により余分な樹脂をスピンオフする。これを所定温度に
加熱したホットプレートに移動させて乾燥・硬化を行
う。この乾燥・硬化方法によれば、熱は半導体基体から
樹脂へ伝わって該樹脂をほぼ均一に乾燥することがで
き、樹脂が流れ出すのを防ぐと共に乾燥・硬化時間を従
来の約1/10〜1/20に大幅短縮することができ
る。また、ホットプレートでの乾燥が十分であるなら
ば、該樹脂の硬化は高温槽で行っても該樹脂が流れ出す
ことはない。
【0025】更に、本発明の他の半導体装置は、一方及
び他方の主面を有し少なくとも1つのp−n接合部分が
側面に露出した半導体基体と、前記半導体基体の側面に
露出したp−n接合部分の表面に積層した2層以上の絶
縁保護膜層を備えた半導体装置において、第1層目の絶
縁保護膜層と第2層目の絶縁保護膜層との界面近傍に生
じる界面分極を抑えることにより、半導体装置の耐久性
試験方法である高温電圧印加試験で、半導体素子を接合
温度が100℃になるように設定し、半導体装置の定格
電圧の70%の直流電圧を連続的に1000時間印加す
る試験条件で、25℃で前記半導体装置の定格電圧にお
ける漏れ電流の変動率が試験前後で±50%以内にする
ことができ、高い信頼性を有する半導体装置を作製する
ことができる。
【0026】本発明の前記各半導体装置は、前記第1層
目の絶縁保護膜層の膜厚は、低不純物濃度ベース層(n
ベース層)の表面部分での厚さが重要であり、その値は
5μm以上で熱履歴によりクラッキングが発生しない程
度までの厚さであることが望ましい。低不純物濃度ベー
ス層の表面部分で最も電界が集中する部分は、ダブルポ
ジティブベベル形状の変曲点(Σ形状の中心)部分であ
って、この部分の膜厚は10μm以上あることが望まし
く、30〜100μmの範囲に形成することが好まし
い。低不純物濃度ベース層部分以外の領域(pベース層
やpエミッタ層の表面部分)では、低不純物濃度ベース
層に影響しない程度に遠く離れた位置であれば、1μm
程度あるいはそれ以下の膜厚まで薄くなっても良い。
【0027】また、本発明の電力変換装置は、従来より
も高信頼の高耐圧大電流の半導体装置を使用することに
より、直流送電システムの低コスト化を実現する。具体
的には、送電容量が1400MWの直流送電システムを
建設する場合、定格電圧が6kVのサイリスタでは14
40個の半導体装置が必要であるのに対し、定格電圧が
8kVのサイリスタを使用すれば、約2/3の960個
で足りる。このことにより、付帯設備も大幅に削減する
ことが可能となり、電力変換所敷地を約32%も削減す
ることができ、工費節減が達成できる。
【0028】更に、本発明の半導体装置は、定格電圧が
8kV以上の装置において、素子の損失を4000W以
下、好ましくは3600W以下とすることにより、従来
製品よりも損失容量比を数パーセント向上させることを
可能にする。ここで、素子損失とは(最大オン電圧)×
(平均オン電流)/(位相数)、損失容量比とは(素子
損失)/(定格容量)と定義する。具体的には、定格電
圧と定格電流がそれぞれ8kV、3.5kAの光サイリス
タと、6kV、2.5kAの光サイリスタを比較すると、
8kV、3.5kAの光サイリスタの素子損失は2.8V
×3500Α/3相≒3270Wであり、6kV、2.
5kAの光サイリスタの素子損失は2.3V×2500
Α/3相≒1920Wである。また、8kV、3.5kA
の光サイリスタの損失容量比は3270W/(8000
V×3500Α)=1.16e-4であり、6kV、2.
5kAの光サイリスタの損失容量比は1920W/(6
000V×2500Α)=1.28e-4である。これに
より、電力変換装置として6kV、2.5kAの光サイリ
スタを使用するよりも8kV、3.5kAの光サイリスタ
を使用した方が全体損失の内の素子損失の部分で約9.
4%の損失低減を達成することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を用いて説明する。各実施形態における導電率は以
下の方法で求めた。
【0030】予めAlを厚さ1mmに真空蒸着した4イン
チシリコンウェハ(信越化学工業(株)製)上にサンプ
ル樹脂をスピンコート法により塗布し、所定の条件で硬
化させ、この樹脂膜の上にAlの上部電極(φ30〜5
0)を真空蒸着して測定用サンプルを作製した。樹脂の
膜厚は測定用サンプルから薄膜の3カ所を切り取り、触
針式膜厚計(Dectak 3030、Sloan Technology Corporati
on 製)を用いて測定した。吸湿水分の影響を少なくす
るために、測定用サンプルを190℃で16時間真空乾燥し
た後に、窒素ガス気流中、30℃でUltra high resista
nce mater(R8340 ADVANTEST社 製)を用いて、樹脂中
を流れる電流を測定し、次式(数4)により導電率σを
求めた。
【0031】 σ=(Ir×d)/(V×S)……(数4) (但し、V;印加電圧、S;電極面積、Ir;漏れ電
流、d;膜厚である。)また、半導体装置からミクロト
ームを用いて樹脂を約1μmの厚さで切り出し、Al電
極を真空蒸着して導電率を測定した。これらの測定結果
を(表1)に示す。
【0032】
【表1】
【0033】(実施例1)図1は、この実施例1におけ
る圧接型電力用半導体装置であるサイリスタの断面図で
ある。
【0034】図1において、1は低不純物濃度ベース層
であるnベース層、2はpベース層、3はpエミッタ
層、4はnエミッタ層、5は第1層目の絶縁保護膜層、
6はカソード電極、7はアノード電極、8は第2層目の
絶縁保護膜層である。
【0035】この実施例のサイリスタの製造工程を図4
を用いて説明する。まず、低不純物濃度のnベース層1
となる高抵抗のn型シリコン基板に、pベース層2,p
エミッタ層3,更にnエミッタ層4を拡散して半導体基
体18を作製する(a)。
【0036】次に、ホトレジスト加工によって主サイリ
スタ部のnエミッタ層4a,、補助サイリスタ部のnエ
ミッタ層4b,受光サイリスタ部のnエミッタ層4cを
それぞれ形成し、次に、カソード電極6及びアノード電
極7を蒸着により形成する(b)。
【0037】次に、半導体基体18の端部16を研削機
械あるいはサンドブラストなどにより、ダブルポジティ
ブベベル形状であるΣ形状に加工し、この半導体基体1
8の端部16のチッピングや汚れを洗浄するために該半
導体基体18の露出部を化学エッチングし、水洗乾燥し
た後に、第1の絶縁保護膜用の樹脂をスピンコート(ま
たは、ディップコート,筆塗りあるいはディスペンサー
など)により塗布し、図9に示すように80℃のホット
プレート19に載置して5分間乾燥する。これを窒素雰
囲気下で加熱硬化して第1の絶縁保護膜層5を形成する
(c)。この第1の絶縁保護膜層5を形成するための樹
脂(ワニス)は、ポリイミド(信越化学工業株式会社
製、KJR652)で、硬化条件は、100℃で1時
間、150℃で1時間、250℃で4時間である。この
条件で硬化した絶縁保護膜層の導電率は、1.66×1
-17[S/cm]である。また、ガラス転移温度Tgは、2
40℃(示差走査熱量計:DSC)である。このポリイ
ミドの第1の絶縁保護膜層5の膜厚は、nベース層1の
表面部分で最大となり、その値は5μm以上であって熱
履歴によりクラッキングが発生しない程度までの厚さと
なるようにする。nベース層1の表面部分で最も電界が
集中する部分は、ダブルポジティブベベル形状の変曲点
(Σ形状の中心)部分であって、この部分の膜厚は10
μm以上あることが望ましく、好ましい膜厚は、30〜
100μmである。この部分の膜厚は、塗布する樹脂の
粘度や塗布方法及び乾燥方法によって変わるが、この実
施例で得られる該部の膜厚は、55μm〜65μmであ
る。この第1の絶縁保護膜層5の膜厚は、nベース層1
の表面部分におけるΣ形状の中心部分からずれた領域で
は次第に薄くなる。そして、pベース層2とpエミッタ
層3の表面部分では1μm程度まで薄くなっても良い。
【0038】次に、前記第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜用の樹脂を型を使用して流し込み、加
熱硬化させて第2の絶縁保護膜層8を形成する(d)。
この第2の絶縁保護膜層8を形成するための樹脂は、付
加型シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、KJR
9060)であり、硬化条件は100℃で1時間、15
0℃で1時間、200℃で2時間である。この条件で硬
化した前記シリコーンゴムの導電率は、1.42×10
-18[S/cm]である。
【0039】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ(図示せず)中に納め、パッケージ内部の雰囲気を
乾燥窒素とした後に密閉して半導体装置を完成する。
【0040】この実施例の半導体装置の電流−電圧特性
を図5に示す。
【0041】(実施例2)実施例1と同様に半導体基体
18を加工し、化学エッチングし、水洗乾燥した後に、
第1の絶縁保護膜樹脂(信越化学工業株式会社製、KJ
R652)をスピンコートにより塗布し、図9に示すよ
うに80℃のホットプレート19に載置して5分間乾燥
する。これを乾燥窒素雰囲気下で加熱硬化することによ
り第1の絶縁保護膜層5を形成する。なお、硬化条件
は、100℃で1時間、150℃で1時間、250℃で
4時間である。この条件で硬化した第1の絶縁保護膜層
5の導電率は、1.66×10-17[S/cm]である。また、
ガラス転移温度Tgは、240℃(示差走査熱量計:D
SC)である。このポリイミドの第1の絶縁保護膜層5
の膜厚は、前述した実施例と同様に、nベース層1の表
面部分におけるΣ形状の中心部分で最大となり、その最
大値は55〜65μmであり、pベース層2及びpエミ
ッタ層3の表面部分では薄くなる。
【0042】次に、この第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜用の樹脂を型を使用して流し込み、加
熱硬化して第2の絶縁保護膜層8を形成する。この第2
の絶縁保護膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(信越
化学工業株式会社製、KJR9063)であり、硬化条
件は、100℃で1時間、150℃で1時間、200℃
で2時間である。この条件で硬化したシリコーンゴムの
導電率は、3.18×10-18[S/cm]である。
【0043】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素と
した後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この実
施例による半導体装置の電流−電圧特性を図5に示す。
【0044】(実施例3)実施例1と同様に半導体基体
18を加工し、化学エッチングし、水洗乾燥した後に、
第1の絶縁保護膜用樹脂(信越化学工業株式会社製、K
JR652)をスピンコートにより塗布し、図9に示す
ように80℃のホットプレート19に載置して5分間乾
燥する。これを乾燥窒素雰囲気下で加熱硬化することに
より第1の絶縁保護膜層5を形成する。なお、硬化条件
は、100℃で1時間、150℃で1時間、250℃で
4時間である。この条件で硬化した第1の絶縁保護膜層
5の導電率は、1.66×10-17[S/cm]である。また、
ガラス転移温度Tgは、240℃(示差走査熱量計:D
SC)である。このポリイミドの第1の絶縁保護膜層5
の膜厚は、前述した実施例と同様に、nベース層1の表
面部分におけるΣ形状の中心部分で最大となり、その最
大値は55〜65μmであり、pベース層2及びpエミ
ッタ層3の表面部分では薄くなる。
【0045】次に、この第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜用の樹脂を型を使用して流し込み、加
熱硬化して第2の絶縁保護膜層8を形成する。この第2
の絶縁保護膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(信越
化学工業株式会社製、KJR9025)であり、硬化条
件は80℃で2時間、150℃で1時間、200℃で2
時間である。この条件で硬化したシリコーンゴムの導電
率は、2.94×10-17[S/cm]である。
【0046】最後にこの半導体素子をセラミックパッケ
ージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素とし
た後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この実施
例による半導体装置の電流−電圧特性を図5に示す。
【0047】(実施例4)実施例1と同様に半導体基体
18を加工し、化学エッチングし、水洗乾燥した後に、
第1の絶縁保護膜樹脂(信越化学工業株式会社製、KJ
R652)をスピンコートにより塗布し、図9に示すよ
うに80℃のホットプレート19に載置して5分間乾燥
する。これを乾燥窒素雰囲気下で加熱硬化することによ
り、第1の絶縁保護膜層5を形成する。なお、硬化条件
は100℃で1時間、150℃で1時間、250℃で4
時間である。この条件で硬化した絶縁保護膜層5の導電
率は、1.66×10-17[S/cm]である。また、ガラス転
移温度Tgは240℃(示差走査熱量計:DSC)であ
る。この第1の絶縁保護膜層5の膜厚は、前述した実施
例と同様に、nベース層1の表面部分におけるΣ形状の
中心部分で最大となり、その最大値は55〜65μmで
あり、pベース層2及びpエミッタ層3の表面部分では
薄くなる。
【0048】次に、この第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜用の樹脂を型を使用して流し込み、加
熱硬化して第2の絶縁保護膜層8を形成する。この第2
の絶縁保護膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(東レ
・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、JCR61
21)であり、硬化条件は100℃で1時間、150℃
で1時間、200℃で2時間である。この条件で硬化し
たシリコーンゴムの導電率は、8.70×10-17[S/cm]
である。
【0049】最後にこの半導体素子をセラミックパッケ
ージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素とし
た後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この実施
例による半導体装置の電流−電圧特性を図5に示す。
【0050】(実施例5)図6を用いて実施例5を説明
する。実施例1と同様に半導体基体18を加工し、化学
エッチングし、水洗乾燥した後に、第1の絶縁保護膜樹
脂(信越化学工業株式会社製、KJR652)をスピン
コートにより塗布し、図9に示すように80℃のホット
プレート19に載置して5分間乾燥する。これを乾燥窒
素雰囲気下で100℃で1時間、150℃で1時間、2
50℃で4時間加熱硬化することにより絶縁保護膜層5
を形成し、更に、この絶縁保護膜層5の表面に同じ成分
の樹脂を同様に塗布した後に加熱硬化して2重に第1の
絶縁保護膜層5,11を形成する。この条件で硬化した
絶縁保護膜層5,11の導電率は、1.66×10-17[S
/cm]である。また、ガラス転移温度Tgは240℃(示
差走査熱量計:DSC)である。この第1の絶縁保護膜
層5,11の膜厚は、前述した実施例と同様に、nベー
ス層1の表面部分におけるΣ形状の中心部分で最大とな
り、その最大値は55〜65μmであり、pベース層2
及びpエミッタ層3の表面部分では薄くなる。
【0051】次に、前記絶縁保護膜層11の表面に第2
の絶縁保護膜樹脂を型を使用して流し込み、加熱硬化し
て第2の絶縁保護膜層8を形成する。この第2の絶縁保
護膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(信越化学工業
株式会社製、KJR9063)であり、硬化条件は10
0℃で1時間、150℃で1時間、200℃で2時間で
ある。この条件で硬化した第2の絶縁保護膜層8の導電
率は、3.18×10-18[S/cm]である。
【0052】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素と
した後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この実
施例による半導体装置の電流−電圧特性を図5に示す。
【0053】(実施例6)図7を用いて実施例6を説明
する。実施例1と同様に半導体基体18を加工し、化学
エッチングし、水洗乾燥した後に、第1の絶縁保護膜樹
脂(信越化学工業株式会社製、KJR652)をスピン
コートにより塗布し、これを図10に示すように種々の
温度に設定したホットプレート19に、低い温度から順
番に乗せ換えるように載置して乾燥・硬化する。それぞ
れのホットプレート19の温度と放置時間は、80℃で
5分間、150℃で5分間、250℃で5分間である。
この条件で硬化した絶縁保護膜層5の導電率は、1.7
5×10-17[S/cm]である。また、ガラス転移温度Tg
は240℃(示差走査熱量計:DSC)である。この第
1の絶縁保護膜層5の膜厚は、前述した実施例と同様
に、nベース層1の表面部分におけるΣ形状の中心部分
で最大となり、その最大値は55〜65μmであり、p
ベース層2及びpエミッタ層3の表面部分では薄くな
る。
【0054】次に、この第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜樹脂を型を使用して流し込み、加熱硬
化して第2の絶縁保護膜層8を形成する。この第2の絶
縁保護膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(信越化学
工業株式会社製、KJR9063)であり、硬化条件は
100℃で1時間、150℃で1時間、200℃で2時
間である。この条件で硬化したシリコーンゴムの導電率
は、3.18×10-18[S/cm]である。
【0055】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素と
した後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この実
施例による半導体装置の電流−電圧特性を図12に示
す。
【0056】(実施例7)図8を用いてこの実施例7を
説明する。実施例1と同様に半導体基体18を加工し、
化学エッチングし、水洗乾燥した後に、第1の絶縁保護
膜層17としてSiN膜をプラズマCVDで形成する。
この第1の絶縁保護膜層17は、その膜厚が1μmであ
り、導電率が2.22×10-16[S/cm]である。
【0057】次に、この第1の絶縁保護膜層17の表面
に第2の絶縁保護膜樹脂(信越化学工業株式会社製、K
JR652)をスピンコートにより塗布し、図9に示す
ように80℃のホットプレート19に載置して5分間乾
燥する。これを乾燥窒素雰囲気下で100℃で1時間、
150℃で1時間、250℃で4時間加熱硬化すること
により第2の絶縁保護膜層11を形成する。この条件で
硬化した絶縁保護膜層11の導電率は、1.66×10
-17[S/cm]である。また、ガラス転移温度Tgは240
℃(示差走査熱量計:DSC)である。この第2の絶縁
保護膜層11の膜厚は、前述した実施例における第1の
絶縁保護膜層と同様に、nベース層1の表面部分におけ
るΣ形状の中心部分で最大となり、その最大値は55〜
65μmであり、pベース層2及びpエミッタ層3の表
面部分では薄くなる。
【0058】更に前記絶縁保護膜層11の表面に第3の
絶縁保護膜樹脂を型を使用して流し込み、加熱硬化して
第3の絶縁保護膜層8を形成する。この第3の絶縁保護
膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(信越化学工業株
式会社製、KJR9063)であり、硬化条件は100
℃で1時間、150℃で1時間、200℃で2時間であ
る。この条件で硬化した第3の絶縁保護膜層8の導電率
は、3.18×10-18[S/cm]である。
【0059】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素と
した後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この実
施例による半導体装置の電流−電圧特性を図5に示す。
【0060】(実施例8)図14を用いてこの実施例8
を説明する。この実施例8は、実施例2の絶縁保護膜層
をゲートターンオフサイリスタ(GTO)に適用したも
のである。なお、12はゲート電極、13はn+層であ
る。
【0061】絶縁保護膜層の形成方法は実施例2と同様
であり、半導体基体18を加工し、化学エッチングし、
水洗乾燥した後に、第1の絶縁保護膜層5を形成し、引
き続いて第2の絶縁保護膜層8を形成する。
【0062】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ(図示せず)中に納め、パッケージ内部の雰囲気を
乾燥窒素とした後にこれを密閉して半導体装置を完成す
る。
【0063】(実施例9)図15を用いてこの実施例9
を説明する。この実施例9は、実施例2の絶縁保護膜層
をダイオードに適用したものである。なお、14はp+
層、15はn−層である。
【0064】絶縁保護膜層の形成方法は実施例2と同様
であり、半導体基体18を加工し、化学エッチングし、
水洗乾燥した後に、第1の絶縁保護膜層5を形成し、引
き続いて第2の絶縁保護膜層8を形成する。
【0065】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ(図示せず)中に納め、パッケージ内部の雰囲気を
乾燥窒素とした後にこれを密閉して半導体装置を完成す
る。
【0066】実施例8,実施例9の半導体装置につい
て、長期信頼性試験である高温直流電圧印加加速試験を
行った。試験条件は、接合温度125℃においてそれぞ
れの素子の定格電圧の75%の電圧を168時間連続し
て印加し続けるものである。その結果、試験後の電流−
電圧特性も試験前と変化無く、信頼性の高い素子である
ことが分かった。
【0067】(比較例1)実施例1と同様に半導体基体
を加工,化学エッチングして水洗乾燥した後に、第1の
絶縁保護膜樹脂をスピンコートし、図9に示すように8
0℃のホットプレート19に載置して5分間乾燥した。
これを窒素雰囲気下で加熱硬化して第1の絶縁保護膜層
5を形成する。この第1の絶縁保護膜用の樹脂は、ポリ
イミド(信越化学工業株式会社製、KJR652)であ
り、硬化条件は100℃で1時間、150℃で1時間、
250℃で4時間である。この条件で硬化した絶縁保護
膜層の導電率は、1.66×10-17[S/cm]である。ま
た、ガラス転移温度Tgは240℃(示差走査熱量計:
DSC)である。
【0068】次に、前記第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜樹脂を型を使用して流し込み、加熱硬
化して第2の絶縁保護膜層8を形成する。この第2の絶
縁保護膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(信越化学
工業株式会社製、KJR9028)であり、硬化条件は
100℃で1時間、150℃で1時間、200℃で2時
間であ。この条件で硬化したシリコーンゴムの導電率
は、5.32×10-19[S/cm]である。
【0069】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素と
した後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この半
導体装置の電流−電圧特性を図5に示す。
【0070】(比較例2)実施例1と同様に半導体基体
を加工し、化学エッチングし、水洗乾燥した後に、第1
の絶縁保護膜樹脂(信越化学工業株式会社製、KJR6
52)をスピンコートにより塗布し、図9に示すように
80℃のホットプレート19に載置して5分間乾燥す
る。これを乾燥窒素雰囲気下で加熱硬化することにより
第1の絶縁保護膜層5を形成する。なお、硬化条件は1
00℃で1時間、150℃で1時間、250℃で4時間
である。この条件で硬化した絶縁保護膜層の導電率は、
1.66×10-17[S/cm]である。また、ガラス転移温度
Tgは240℃(示差走査熱量計:DSC)である。
【0071】次に、この第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜樹脂を型を使用して流し込み、加熱硬
化して第2の絶縁保護膜層8を形成する。この第2の絶
縁保護膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(東芝シリ
コーン株式会社製、TSJ3150)であり、硬化条件
は100℃で1時間、150℃で1時間、200℃で2
時間である。この条件で硬化した第2の絶縁保護膜層8
の導電率は、4.96×10-16[S/cm]である。
【0072】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素と
した後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この半
導体装置の電流−電圧特性を図5に示す。
【0073】図5は、実施例1,実施例2,実施例3,
実施例4,実施例5及び比較例1,比較例2の半導体装
置のアノード電極とカソード電極間の電流−電圧特性を
示している。この図5によれば、比較例1,比較例2の
電流−電圧特性は、電圧印加初期から漏れ電流が増加し
ていることが分かる。これは、逆バイアスされたp−n
接合端面における空乏層の拡がりが異常となり、ここで
の漏れ電流が大きいために目的とする耐圧を満足してい
ない状態、いわゆる特性不良である。これに対して、実
施例1,実施例2,実施例3,実施例4では、何れの場
合においても比較例1にみられるような漏れ電流増加は
みられず、良好な特性を示している。
【0074】また、実施例1,実施例2,実施例3,実
施例4,実施例5及び比較例1,比較例2の半導体装置
について、長期信頼性試験である高温直流電圧印加加速
試験を行った。試験条件は、接合温度125℃において
それぞれの素子の定格電圧の75%の電圧を168時間
連続して印加し続けるものである。比較例1,比較例2
は試験開始後約5時間で破壊したのに対して、実施例
1,実施例2,実施例3,実施例4は、何れも、漏れ電
流が変動すること無く試験を終えた。また、試験後の電
流−電圧特性も試験前と変化無く、信頼性の高い素子で
あることが分かった。(比較例3)図11は比較例3の
半導体装置を示している。実施例1と同様に半導体基体
18を加工,化学エッチングし、水洗乾燥した後に、第
1の絶縁保護膜樹脂をスピンコートし、これを高温槽に
て窒素雰囲気下で加熱硬化して第1の絶縁保護膜層5を
形成する。この第1の絶縁保護膜用の樹脂は、ポリイミ
ド(信越化学工業株式会社製、KJR652)で、硬化
条件は100℃で1時間、150℃で1時間、250℃
で4時間であり、この条件で硬化した絶縁保護膜層の導
電率は1.76×10-17[S/cm]である。また、ガラス転
移温度Tgは240℃(示差走査熱量計:DSC)であ
る。
【0075】次に、前記第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜樹脂を型を使用して流し込み、加熱硬
化して第2の絶縁保護膜層8を形成する。この第2の絶
縁保護膜用の樹脂は、付加型シリコーンゴム(信越化学
工業株式会社製、KJR9063)であり、硬化条件は
100℃で1時間、150℃で1時間、200℃で2時
間であり、この条件で硬化したシリコーンゴムの導電率
は5.32×10-19[S/cm]である。このようにして作製
した半導体素子の第1の絶縁保護膜層5は、塗布後に高
温槽にて窒素雰囲気下で加熱硬化させて形成したことか
ら、図11に示すように、下側に流れ出した状態で硬化
している。
【0076】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素と
した後にこれを密閉して半導体装置を完成する。この半
導体装置の電流−電圧特性を図12に示す。
【0077】図12は、実施例6及び比較例3の半導体
装置のアノード電極にプラス電圧を印加し、カソード電
極にマイナスの電圧を印加したときの電流−電圧特性を
示している。図12から、比較例3の電流−電圧特性
は、実施例6と比較して漏れ電流が大きいことが分か
る。
【0078】また、実施例6と比較例3の半導体装置に
ついて、長期信頼性試験である高温直流電圧印加加速試
験を行った。試験条件は、接合温度125℃においてそ
れぞれの素子の定格電圧の75%の電圧を168時間連
続して印加し続けるものである。比較例3は試験終了後
の電流−電圧特性が劣化しているのに対し、実施例6は
試験後の電流−電圧特性も試験前と変化無く、信頼性の
高い素子であることが分かった。
【0079】(比較例4)実施例1と同様に半導体基体
18を加工し、化学エッチングし、水洗乾燥した後に、
第1の絶縁保護膜樹脂(信越化学工業株式会社製、KJ
R652)をスピンコートにより塗布し、図9に示すよ
うに80℃のホットプレート19に載置して5分間乾燥
した。これを乾燥窒素雰囲気下で加熱硬化することによ
り第1の絶縁保護膜層5を形成する。なお、硬化条件
は、100℃で1時間、150℃で1時間、250℃で
4時間である。この条件で硬化した絶縁保護膜層の導電
率は、1.66×10-17[S/cm]である。また、ガラス転
移温度Tgは240℃(示差走査熱量計:DSC)であ
る。
【0080】次に、前記第1の絶縁保護膜層5の表面に
第2の絶縁保護膜樹脂を型を使用して流し込み、室温で
湿度95%の高湿槽に24時間放置してゴムを硬化す
る。これの型をはずした後に熱処理して第2の絶縁保護
膜層8を形成する。この第2の絶縁保護膜用樹脂は、縮
合型シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、KJR
4013)であり、熱処理条件は100℃で1時間、1
50℃で1時間、200℃で2時間である。この条件で
硬化したシリコーンゴムの導電率は、2.35×10-17
[S/cm]である。
【0081】最後に、この半導体素子をセラミックパッ
ケージ中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素と
した後にこれを密閉して半導体装置を完成する。
【0082】この半導体装置について高温放置加速試験
前後の電流−電圧特性を図13に示す。試験条件は、こ
の半導体装置を150℃で168時間放置し続けるもの
である。比較例4は試験終了後の電流−電圧特性が劣化
しており、長期信頼性の低い装置であることが分かる。
【0083】(実施例10)図16は、本発明になる高
耐圧半導体装置を他励式整流回路に適用した一例を示し
ている。VR,VS,VTは三相の交流電圧(電源)、
Tはサイリスタ素子、RLは抵抗(負荷)、Lはリアク
トルを表す。サイリスタ素子Tはバルブとしての耐圧を
満たすように複数段直列接続されており、個々のサイリ
スタ素子Tには素子間の電圧分担を均等化するためにコ
ンデンサCと抵抗Rが並列に接続されている。
【0084】このような三相ブリッジ整流回路によれ
ば、三相の交流電圧VR,VS,VTを直流に安定して
変換して抵抗RLに供給することができる。
【0085】(実施例11)図17は、本発明になる高
耐圧半導体装置を他励式インバータ回路に適用した一例
を示している。Eは直流電源、VU,VV,VWは負荷
側の三相の交流電圧、Tはサイリスタ素子、Lはリアク
トルを表している。
【0086】サイリスタ素子Tは、バルブとしての耐圧
を満たすように複数段直列接続されており、個々のサイ
リスタ素子Tには素子間の電圧分担を均等化するために
コンデンサCと抵抗Rが並列に接続されている。
【0087】このような三相ブリッジ回路によれば、直
流電源Eを安定して三相の交流電圧VU,VV,VWに
変換することができる。
【0088】(実施例12)図18は、本発明になる高
耐圧半導体装置を他励式サイクロコンバータ回路に適用
した一例を示している。VR,VS,VTは三相の交流
電圧(電源)、Tはサイリスタ素子、RLは抵抗(負
荷)、Lはリアクトルを表している。サイリスタ素子T
はバルブとしての耐圧を満たすように複数段直列接続さ
れており、個々のサイリスタ素子Tには素子間の電圧分
担を均等化するためにコンデンサCと抵抗Rが並列に接
続されている。
【0089】このように三相ブリッジ整流回路を逆並列
に接続して、正弦波状の出力電圧電流を得るように出力
波形を制御することにより、入力周波数に対して出力周
波数を3/1や6/1に変換することができる。
【0090】(実施例13)図19は、本発明になるダ
イオードをゲートターンオフサイリスタのスナバ回路に
応用した例を示している。図19において、GTOは端
子T1,T2間に接続されたゲートターンオフサイリス
タ、DS及びCSは直列接続してゲートターンオフサイ
リスタGTOと並列に接続されたスナバダイオード及び
スナバコンデンサ、RSはスナバダイオードDSに並列
接続されたスナバ抵抗である。
【0091】(実施例14)図20は、本発明になるダ
イオード及びゲートターンオフサイリスタを電圧型イン
バータに適用した例を示している。図20において、3
0は直列接続して一対の直流端子T3,T4間に交流側の
相数と同数列だけ並列に接続したゲートターンオフサイ
リスタ(GTO)、40は各GTO30に逆並列に接続
して負荷電流を還元させるダイオード、T5,T6,T7
はGTO30の直列接続点に接続された交流端子であ
る。
【0092】通常、大容量インバータでは、半導体素子
の耐圧が要求される電圧よりも低いので、GTO30及
びダイオード40は図21に示すようにそれぞれ複数個
のGTO素子及びダイオード素子を直列接続して使用し
ている。図21の直列接続回路において、LAはアノー
ドリアクトル、RAはアノードリアクトル回路の減流抵
抗、DAはアノードリアクトル回路の環流ダイオード、
DFは負荷電流を還元させるダイオードである。DS,
RS,CSはそれぞれスナバダイオード,スナバ抵抗,
スナバコンデンサである。
【0093】このように、図16,17,18,19,
20及び21に示した電力変換器に本発明になる高耐圧
半導体装置を用いることによって、システムの高信頼性
化を図ることができる。
【0094】(実施例15)実施例1においてnベース
層の厚さがそれぞれ1050,1400,1700,1
950μmになるように4種類の半導体基体18をそれ
ぞれ作製した。これらの半導体基体18に対して、それ
ぞれ実施例2と同様に、加工,エッチング,絶縁保護膜
層形成を行い、この半導体素子をセラミックパッケージ
の中に納め、パッケージ内部の雰囲気を乾燥窒素とした
後にこれを密閉して半導体装置を完成した。
【0095】これらの半導体装置の耐電圧(ピーク繰り
返し逆電圧及びピー繰り返しオフ電圧)は、それぞれ
6,8,10,12kVであった。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、漏れ電流の変動や増加
を抑えた長期信頼性の高い半導体装置と電力変換装置を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における圧接型電力用半導体
装置であるサイリスタの断面図である。
【図2】半導体装置における界面分極の説明図である。
【図3】第1層目の絶縁保護膜層の導電率σ1と第2層
目の絶縁保護膜層の導電率σ2の比σ2/σ1と電荷密度
の関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例1における半導体装置の製造方
法を示す工程図である。
【図5】本発明の実施例及び比較例の半導体装置の電流
−電圧特性を示す図である。
【図6】本発明の実施例5の半導体装置の断面図であ
る。
【図7】本発明の実施例6の半導体装置の断面図であ
る。
【図8】本発明の実施例7の半導体装置の断面図であ
る。
【図9】本発明の実施例における乾燥工程の説明図であ
る。
【図10】本発明の実施例における乾燥・硬化工程の説
明図である。
【図11】従来の半導体装置の断面図である。
【図12】本発明の実施例及び比較例の半導体装置の電
流−電圧特性を示す図である。
【図13】比較例の半導体装置の高温放置試験前後の電
流−電圧特性を示す図である。
【図14】本発明の実施例8におけるゲートターンオフ
サイリスタの断面図である。
【図15】本発明の実施例9のダイオードの断面図であ
る。
【図16】本発明になる半導体装置を用いた他励式整流
回路(実施例10)の回路図である。
【図17】本発明になる半導体装置を用いた他励式イン
バータ回路(実施例11)の回路図である。
【図18】本発明になる半導体装置を用いた他励式サイ
クロコンバータ回路(実施例12)の回路図である。
【図19】本発明になるダイオードを用いたゲートター
ンオフサイリスタのスナバ回路(実施例13)の回路図
である。
【図20】本発明になるダイオード及びゲートターンオ
フサイリスタを用いたインバータ回路(実施例14)の
回路図である。
【図21】図20に示したインバータ回路の一部詳細図
である。
【符号の説明】
1…nベース層、2…pベース層、3…pエミッタ層、
4,4a,4b,4c…nエミッタ層、5…絶縁保護膜
層、6…カソード電極、7…アノード電極、8…絶縁保
護膜層、9…絶縁膜界面に蓄積した陽電荷、10…絶縁
膜界面に蓄積した陰電荷、11…絶縁保護膜層、12…
ゲート電極、13…n+層、14…p+層、15…n−
層、16…半導体基体の端部、17…SiN膜、18…
半導体基体、19…ホットプレート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/74 B (72)発明者 小野瀬 保夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方及び他方の主面を有し少なくとも1つ
    のp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前記
    半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層とこの第1層目の絶縁保護膜層の表面に設置
    された第2層目の絶縁保護膜層の界面近傍に生じる界面
    分極電荷Qr[クーロン/cm2]が(数1) 1.6×10-8≧|Qr| ……(数1) に示す関係となるようにしたことを特徴とする半導体装
    置。
  2. 【請求項2】一方及び他方の主面を有し少なくとも1つ
    のp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前記
    半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層の導電率σ1と前記第1層目の絶縁保護膜層
    の表面に設置された第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ
    2とが(数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係となるようにしたことを特徴とする半導体装
    置。
  3. 【請求項3】一方及び他方の主面を有し少なくとも1つ
    のp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前記
    半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層と前記第1層目の絶縁保護膜層の表面に設置
    された第2層目の絶縁保護膜層の界面近傍に生じる界面
    分極電荷Qr[クーロン/cm2]が(数1) 1.6×10-8≧|Qr| ……(数1) に示す関係となり、前記第1層目の絶縁保護膜層の導電
    率σ1と前記第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ2とが
    (数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係となるようにしたことを特徴とする半導体装
    置。
  4. 【請求項4】一方及び他方の主面を有し少なくとも1つ
    のp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前記
    半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層の導電率σ1と前記第1層目の絶縁保護膜層
    の表面に設置された第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ
    2とが(数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係となるようにし、この半導体装置の定格電圧
    が8kV以上であることを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】一方及び他方の主面を有し少なくとも1つ
    のp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前記
    半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層と前記第1層目の絶縁保護膜層の表面に設置
    された第2層目の絶縁保護膜層の界面近傍に生じる界面
    分極電荷Qr[クーロン/cm2]が(数1) 1.6×10-8≧|Qr| ……(数1) に示す関係を有し、前記第1層目の絶縁保護膜層の導電
    率σ1と前記第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ2とが
    (数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係となるようにし、この半導体装置の定格電圧
    が8kV以上であることを特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】一方及び他方の主面を有し少なくとも1つ
    のp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前記
    半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層の導電率σ1と前記第1層目の絶縁保護膜層
    の表面に設置された第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ
    2とが(数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係を有し、前記半導体基体のnベース層の厚さ
    を100μm〜5000μmに形成し、この半導体装置の
    定格電圧が6kV以上であることを特徴とする半導体装
    置。
  7. 【請求項7】一方及び他方の主面を有し少なくとも1つ
    のp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前記
    半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層と前記第1層目の絶縁保護膜層の表面に設置
    された第2層目の絶縁保護膜層の界面近傍に生じる界面
    分極電荷Qr[クーロン/cm2]が(数1) 1.6×10-8≧|Qr| ……(数1) に示す関係を有し、前記第1層目の絶縁保護膜層の導電
    率σ1と前記第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ2とが
    (数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係を有し、前記半導体基体のnベース層の厚さ
    を100μm〜5000μmに形成し、この半導体装置の
    定格電圧が8kV以上であることを特徴とする半導体装
    置。
  8. 【請求項8】請求項2または3において、前記半導体基
    体のnベース層の厚さが100μm〜5000μmである
    ことを特徴とする半導体装置。
  9. 【請求項9】請求項6または7において、この半導体装
    置の定格電圧は6kV以上で、前記半導体基体のnベー
    ス層の厚さが1000μm〜2000μmであることを特
    徴とする半導体装置。
  10. 【請求項10】請求項1〜7の1項において、前記半導
    体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶縁保護膜
    層は、ガラス転移温度が150℃〜400℃の有機材料
    としたことを特徴とする半導体装置。
  11. 【請求項11】請求項1〜7の1項において、前記第1
    層目の絶縁保護膜層の表面に設置された第2層目の絶縁
    保護膜層は、付加型シリコーン化合物としたことを特徴
    とする半導体装置。
  12. 【請求項12】請求項1〜7の1項において、前記第1
    層目の絶縁保護膜層は、ポリイミドであることを特徴と
    する半導体装置。
  13. 【請求項13】一方及び他方の主面を有し少なくとも1
    つのp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前
    記半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に
    積層した2層以上の絶縁保護膜層を備えたた半導体装置
    において、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層がポリイミドで形成され、前記第1層目の絶
    縁保護膜層の表面に設置された第2層目の絶縁保護膜層
    が付加型シリコーン化合物で形成され、前記第1層目の
    絶縁保護膜層の導電率σ1と前記第2層目の絶縁保護膜
    層の導電率σ2とが(数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係となるようにしたことを特徴とする半導体装
    置。
  14. 【請求項14】一方及び他方の主面を有し少なくとも1
    つのp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前
    記半導体基体側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 前記半導体基体側面表面に設置された第1層目の絶縁保
    護膜層は、無機材料としたことを特徴とする半導体装
    置。
  15. 【請求項15】請求項14において、前記第1層目の絶
    縁保護膜層の表面に設置された第2層目の絶縁保護膜層
    は、付加型シリコーン化合物であることを特徴とする半
    導体装置。
  16. 【請求項16】請求項14において、前記無機材料は、
    SiO2、SiN、SiCの何れかであることを特徴とする
    半導体装置。
  17. 【請求項17】請求項1〜7の1項において、前記半導
    体基体の側面部分は、ポジティブベベル形状であること
    を特徴とする半導体装置。
  18. 【請求項18】請求項1〜7の1項において、前記半導
    体基体の側面部分は、ダブルポジティブベベル形状であ
    ることを特徴とする半導体装置。
  19. 【請求項19】請求項14において、前記第1層目の絶
    縁保護膜層の表面に設置された第2層目の絶縁保護膜層
    は、ガラス転移温度が150℃〜400℃の有機材料で
    あることを特徴とする半導体装置。
  20. 【請求項20】請求項14において、前記第2層目の絶
    縁保護膜層の表面に設置された第3層目の絶縁保護膜層
    は、付加型シリコーン化合物であることを特徴とする半
    導体装置。
  21. 【請求項21】一方及び他方の主面を有し少なくとも1
    つのp−n接合部分が側面に露出した半導体基体の前記
    側面部分がダブルポジティブベベル形状をなすように加
    工され、前記半導体基体の側面に露出したp−n接合部
    分の表面に2層以上の絶縁保護膜層を積層した半導体装
    置において、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層の膜厚がnベース層の側面で最大値となるよ
    うに形成されていることを特徴とする半導体装置。
  22. 【請求項22】一方及び他方の主面を有し少なくとも1
    つのp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前
    記半導体基体の側面に露出したp−n接合部分の表面に
    積層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置に
    おいて、 半導体装置の耐久性試験方法である高温電圧印加試験に
    おいて、この半導体装置を半導体基体のp−n接合温度
    が100℃になるように設定し、定格電圧が6kV以上
    のこの半導体装置に定格電圧の70%の直流電圧を連続
    的に1000時間印加する試験条件で、この半導体装置
    の定格電圧における25℃での漏れ電流の試験前後の変
    動率が±50%以内である半導体装置。
  23. 【請求項23】一方及び他方の主面を有し少なくとも1
    つのp−n接合部分が側面に露出した半導体基体におけ
    る前記側面に露出したp−n接合部分の表面に2層以上
    の絶縁保護膜層が積層され、前記半導体基体のnベース
    層の厚さは100μm〜5000μmであり、前記半導体
    基体の側面の表面に設置された第1層目の絶縁保護膜層
    の導電率σ1と前記第1層目の絶縁保護膜層の表面に設
    置された第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ2とが(数
    2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係を有する半導体装置を使用した他励式整流回
    路,他励式インバータ回路,他励式サイクロコンバータ
    回路,電圧型インバータ回路等を有する電力変換装置。
  24. 【請求項24】一方及び他方の主面を有し少なくとも1
    つのp−n接合部分が側面に露出した半導体基体におけ
    る前記側面に露出したp−n接合部分の表面に2層以上
    の絶縁保護膜層が積層されており、前記半導体基体のn
    ベース層の厚さが100μm〜5000μmであり、前記
    半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶縁保
    護膜層の導電率σ1と前記第1層目の絶縁保護膜層の表
    面に設置された第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ2
    が(数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係を有する半導体装置を使用した自励式整流回
    路,自励式インバータ回路,自励式サイクロコンバータ
    回路,電圧型インバータ回路等を有する電力変換装置。
  25. 【請求項25】一方及び他方の主面を有し少なくとも1
    つのp−n接合部分が側面に露出した半導体基体と、前
    記半導体基体側面に露出したp−n接合部分の表面に積
    層した2層以上の絶縁保護膜層を備えた半導体装置にお
    いて、 定格電圧が8kV以上で素子の定常損失が4000W以
    下となるようにしたことを特徴とする半導体装置。
  26. 【請求項26】半導体基体にp型及びn型半導体層を拡
    散する工程と、前記半導体基体の周辺部分をポジティブ
    ベベルまたはダブルポジティブベベル形状に加工する工
    程と、前記加工面をエッチングする工程と、前記エッチ
    ングした表面上に絶縁保護樹脂を塗布し加熱乾燥・硬化
    させて絶縁保護膜層を形成する工程を含む半導体装置の
    製造方法において、 前記エッチングした表面上に絶縁保護樹脂を塗布した後
    に、スピンオフして余分な樹脂を除去して樹脂を加熱乾
    燥・硬化することで、前記半導体基体の側面の表面に設
    置された第1層目の絶縁保護膜層の膜厚がnベース層の
    側面で最大値となるように絶縁保護膜層を形成すること
    を特徴とする半導体装置の製造方法。
  27. 【請求項27】p−n接合部分が側面に露出した半導体
    基体と、前記半導体基体の側面に露出した前記p−n接
    合部分の表面に積層した2層以上の絶縁保護膜層を備え
    た半導体装置において、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層とこの第1層目の絶縁保護膜層の表面に設置
    された第2層目の絶縁保護膜層の界面近傍に生じる界面
    分極電荷Qr[クーロン/cm2]が(数1) 1.6×10-8≧|Qr| ……(数1) に示す関係で、前記第1層目の絶縁保護膜層の膜厚が低
    不純物濃度のベース層の側面で5μm以上となるように
    したことを特徴とする半導体装置。
  28. 【請求項28】p−n接合部分が側面に露出した半導体
    基体と、前記半導体基体の側面に露出した前記p−n接
    合部分の表面に積層した2層以上の絶縁保護膜層を備え
    た半導体装置において、 前記半導体基体の側面の表面に設置された第1層目の絶
    縁保護膜層の導電率σ1とこの第1層目の絶縁保護膜層
    の表面に設置された第2層目の絶縁保護膜層の導電率σ
    2が(数2) 0.05≦σ2 /σ1≦10 ……(数2) に示す関係で、前記第1層目の絶縁保護膜層の膜厚が低
    不純物濃度のベース層の側面で5μm以上となるように
    したことを特徴とする半導体装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006003936A1 (ja) * 2004-07-01 2006-01-12 The Kansai Electric Power Co., Inc. スナバ回路及びスナバ回路を有するパワー半導体装置
JP2008546172A (ja) * 2005-05-18 2008-12-18 クリー インコーポレイテッド 双方向阻止能力を有する高電圧炭化珪素デバイス及びその作製方法
WO2010095000A1 (en) 2009-02-20 2010-08-26 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Thermal conductive insulating resin molded material, core-shell particle for producing thermal conductive insulating resin molded material, and method of producing core-shell particle

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