JPH09270256A - Liイオン二次電池用コバルトーニッケル水酸化物の製造法 - Google Patents

Liイオン二次電池用コバルトーニッケル水酸化物の製造法

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JPH09270256A
JPH09270256A JP8078528A JP7852896A JPH09270256A JP H09270256 A JPH09270256 A JP H09270256A JP 8078528 A JP8078528 A JP 8078528A JP 7852896 A JP7852896 A JP 7852896A JP H09270256 A JPH09270256 A JP H09270256A
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nickel hydroxide
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秀行 北
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臼井  猛
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有純 亀田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般式Co1−yNi(OH)で表さ
れ、その粒子形状が略球状であり、水酸化コバルトがコ
バルトに換算して5〜15wt%共沈していることから
なるLiイオン二次電池用コバルトーニッケル水酸化
物。 【解決手段】 反応槽を用い、塩濃度が調整されたコバ
ルトーニッケル塩水溶液、ニッケルイオンと錯塩を形成
する錯化剤、及びアルカリ金属水酸化物をそれぞれ連続
供給し、ニッケル錯塩を生成させ、次いでこの錯塩をア
ルカリ金属水酸化物により分解してコバルトーニッケル
水酸化物を析出させ、上記錯塩の生成及び分解を槽内で
循環させながら繰り返し、コバルトーニッケル水酸化物
をオーバーフローさせて取り出すことからなるコバルト
ーニッケル水酸化物の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水溶媒リチウム
イオン二次電池の正極活物質材料であるCo共沈水酸化
ニッケルのコバルトーニッケル水酸化物の製造法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、小型携帯機器が普及するのに伴
い、それらに使用される電池に小型軽量、高容量が求め
られている。これらの要求に対応する電池としてリチウ
ムイオン二次電池が挙げられる。リチウムイオン二次電
池の正極活物質として使用されるニッケル酸リチウムは
原料に安価な水酸化ニッケルが使用されているが、この
原料を用いたリチウムイオン二次電池はサイクル特性が
劣り、改良を図ることが検討されている。即ち、水酸化
ニッケルに対し結晶性が良好で、サイクル特性に優れ、
より安定に生産することが要求される。
【0003】しかしながら、従来の水酸化ニッケルの製
造法において上記のような特性を備えた水酸化ニッケル
を得ることは困難であった。従来の製造法では、pH調
整により結晶性を制御することによってX線回析におけ
る(101)面ピークの半値幅を制御した水酸化ニッケ
ルを得た。上記の製造法で得られた水酸化ニッケルをリ
チウム二次電池の正極活物質材料として用いた場合、そ
の電池の特性は乏しい、即ち充放電を繰り返すことによ
り電気容量の低下が著しくサイクル特性が劣っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のことにより水酸
化ニッケル及びその製造法の改善が望まれるところであ
る。即ち、Liイオン二次電池の材料として炭酸ニッケ
ルを用いた場合(特公平1−294364)、任意の粉
体特性を得ることが困難であったが、本発明において硫
酸ニッケルを用いることにより、任意の粉体特性を有す
る水酸化ニッケルを得ることが可能になった。
【0005】また、従来の水酸化ニッケル及びその製造
法においてpH調整にて結晶を制御しさらに改良するこ
とは困難であった。本発明はこのような問題点を解決す
るもので、電池を構成した場合、その電池特性、即ち充
放電の繰り返しによって生じるサイクル劣化を抑制する
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この問題点を解決するた
めに、本発明は、リチウムイオン二次電池の正極活物質
材料である水酸化ニッケルに水酸化コバルトを共沈させ
ることにより水酸化ニッケルの結晶構造の改良を図るも
のである。そのためにニッケル塩水溶液に含まれる塩濃
度を制御することにより得られる粉体の特性を制御して
製造するものである。本発明における塩濃度とは、水溶
液中に含まれる無機性電解質の総量を示すものであり、
この塩濃度を構成する無機性電解質としてはNa+、N
+、Co+、SO4 --等があげられる。そして、この塩
濃度の測定手段としては、導電率計ES−12(ホリ
バ)が使用され、又25℃での測定値が用いられた。
【0007】また、この方法により得られたCo共沈水
酸化ニッケルであるコバルトーニッケル水酸化物をリチ
ウムイオン二次電池の正極活物質材料として用いた場
合、電池特性、即ち充放電の繰り返しによるサイクル劣
化が抑制され、優れた電池となるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のCo共沈水酸化ニッケル
であるコバルトーニッケル水酸化物において、各物性の
数値限定は、次の理由に基づいている。
【0009】(1) 共沈するコバルトの量に関して; ・ 5wt%より少ないと、充放電の繰り返しによるサ
イクル劣化が大きい。 ・ 15wt%より多いと、粒子形状が球状を帯びなく
なり、又粒度分布幅が広くなる。
【0010】(2) コバルトーニッケル水酸化物の析
出機構に関して 水溶液の状態から固体結晶が析出する機構は、水溶液
が、準飽和状態、飽和状態、過飽和状態へと移行し、結
晶が析出するというものである。この機構において、水
溶液の濃度勾配の絶対値が大きいと、析出する固体結晶
は、微粒子のものが多くなる。粒子を成長させるために
は、上記機構を出来るだけゆっくりと円滑に行う必要が
ある。即ち、飽和状態付近の濃度勾配を小さくする必要
がある。ところが、水酸化ニッケルの溶解度曲線は、p
Hに対して非常に大きく変化する。すなわち、水溶液中
でのpHに対するニッケルの濃度勾配は、非常に大き
い。従って、通常の方法では、微粒子の生成しか望めな
い。
【0011】本発明のCo共沈水酸化ニッケルであるコ
バルトーニッケル水酸化物の製造法においては、ニッケ
ルを錯塩としたので、水溶液中でのpHに対するニッケ
ルの濃度勾配が小さくなり、結晶の成長が促進される。
【0012】なお、上記機構の状態を維持するために
は、必要とするニッケルに見合った錯化剤及びアルカリ
金属水酸化物が常に必要となるため、反応工程は連続と
する。コバルトーニッケル塩水溶液として硫酸コバルト
ーニッケルを用い、錯化剤としてアンモニウムイオン供
給体である硫酸アンモニウムを用いる場合、反応槽内の
反応は、次式(I)、(II)のようになる。 (NiCo1−x)SO+(NHSO→(NHNiC o1−x(SO ・・・・ (I) (NHNiCo1−x(SO+2NaOH→(NiCo −x )(OH)+(NHSO+NaSO ・・・ (II) 0.75≦x≦0.95
【0013】上記(I)式の生成物である(NH
NiCo1−x(SOは溶解度が小さい。この
ため、上記(I)と(II)式の反応を別の槽で行う場合
には、後の槽に供給する上記生成物の濃度を低くする必
要があり、生産性が悪かった。しかし、本発明では、一
つの反応槽にて上記(I)式と(II)式の反応が行われ
るので、上記生成物の次工程への供給濃度を低くする必
要はなく、生産性は向上する。
【0014】また、硫酸アンモニウムを用いると、中性
塩効果が期待できるため、水酸化ニッケルはより高密度
になる。なお、アンモニウムイオン供給体としては硫酸
アンモニウムの他に塩化アンモニウム、炭酸アンモニウ
ム、弗化アンモニウム等が使用される。
【0015】本発明において、ニッケル塩水浴液の塩濃
度を50〜200mS/cmに調整し、反応槽内のpH
を11.0〜13.0の範囲内の所定値の±0.05の
範囲内に維持し、温度を20〜80℃の範囲内の所定値
の±0.5℃の範囲に維持することにより、より良好な
特性を有するCo共沈水酸化ニッケルであるコバルトー
ニッケル水酸化物が得られる。又塩濃度を調整するもの
として無機塩(硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム)を用
いた。これらの数値限定は、次の理由に基づいている。
【0016】(3) 塩濃度に関して; ・ 50mS/cm より小さいと、結晶成長が抑制さ
れ低密度のものしか得られない。 ・ 200mS/cm より大きいと、ニッケル塩水浴
液が結晶化しやすくなり安定供給できなくなる。 ・ 所定値の±10の範囲にすると、結晶のばらつきが
少なくなる。
【0017】(4) pHに関して; ・ 11.0より小さいと、結晶成長が速くなり、結晶
が大きくなりすぎる。 ・ 13.0より大きいと、結晶成長が抑制され低密度
のものしか得られない。 ・ 所定値の±0.05の範囲とすると、結晶のばらつ
きが少なくなる。
【0018】(5) 温度に関して; ・ 20℃より低いと、NaSOの結晶が析出しや
すくなり、高密度が維持できなくなる。 ・ 80℃より大きいと、pH計による調整が困難にな
る。 ・ 所定値の±0.5℃の範囲とすると、結晶のばらつ
きが少なくなる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について、具体的に説
明する。
【0020】
【実施例1】コバルト塩を含むニッケル塩水溶液として
硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合した水溶液を、錯化
剤としてアンモニウムイオン供給体である硫酸アンモニ
ウム水溶液を、アルカリ金属水酸化物として水酸化ナト
リウム水溶液を、それぞれ用い、次のように行った。
【0021】即ち、反応槽内に、塩濃度が100mS/
cmに調整され、且つ0.2mol/lの硫酸コバルト
を含む2mol/lの硫酸ニッケル水溶液を300 m
l/min、また、6mol/lの硫酸アンモニウム水
溶液を150ml/min、同時に連続投入した。一
方、10mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を、反応
槽内のpHが自動的に12.5に維持されるように投入
した。反応槽内の温度は45℃に維持し、撹拌機により
常に撹拌した。生成したコバルトーニッケル水酸化物
は、オーバーフロー管からオーバーフローさせて取り出
し、水洗、脱水、乾燥処理した。こうして実施例1のC
o共沈水酸化ニッケルであるコバルトーニッケル水酸化
物を得た。
【0022】
【実施例2】塩濃度が50mS/cmに調整され、且つ
0.3mol/lの硫酸コバルトを含む2mol/lの
硫酸ニッケル水溶液を用い、反応槽内のpHが自動的に
11.5、温度を50℃に維持し、その他は実施例1と
同様に行って、実施例2のCo共沈水酸化ニッケルであ
るコバルトーニッケル水酸化物を得た。
【0023】
【実施例3】塩濃度が200 mS/cmに調整され、
且つ0.5mol/lの硫酸コバルトを含む2mol/
lの硫酸ニッケル水溶液を用い、反応槽内のpHが自動
的に11.5、温度を50℃に維持し、その他は実施例
1と同様に行って、実施例3のCo共沈水酸化ニッケル
であるコバルトーニッケル水酸化物を得た。
【0024】
【比較例1】塩濃度が50mS/cm、且つコバルト塩
を含まない、ニッケル塩のみの水溶液を用い、その他は
実施例1と同様に行って、比較例1の水酸化ニッケルを
得た。
【0025】
【比較例2】塩濃度が30mS/cm、且つ 0.3m
ol/lの硫酸コバルトを含む2mol/lの硫酸ニッ
ケル水溶液を用い、その他は実施例1と同様に行って、
比較例2のコバルトーニッケル水酸化物を得た。
【0026】
【比較例3】塩濃度が50mS/cm に調整され、且
つ0.8mol/lの硫酸コバルトを含む2mol/l
の硫酸ニッケル水溶液を用い、その他は実施例1と同様
に行って、比較例3のコバルトーニッケル水酸化物を得
た。
【0027】
【比較例4】塩濃度が200mS/cm以上に調整さ
れ、且つ0.2mol/lの硫酸コバルトを含む2mo
l/lの硫酸ニッケル水溶液を用い、その他は実施例1
と同様に行って、比較例4のコバルト−ニッケル水酸化
物ニッケルを得た。
【0028】実施例1−3と比較例1−4によって得ら
れたコバルトーニッケル水酸化物等の形状とCo含有量
とを示すと表1のとおりである。
【0029】
【表1】
【0030】また、実施例1−3と比較例1−4によっ
て得られたコバルトーニッケル水酸化物等の原料液とそ
の得られた粉体の成分組成を示すと表2のとおりであ
る。
【0031】
【表2】
【0032】電池評価 コバルト共沈水酸化ニッケルであるコバルトーニッケル
水酸化物のリチウムイオン電池正極活物質用材料として
の有効性を示すように、および、従来の水酸化ニッケル
からの改良点を明確にするために、以下のようにして実
施例1〜3および比較例1〜4のコバルトーニッケル水
酸化物又は水酸化ニッケルからリチウム含有複合酸化物
を合成し、電池特性の評価を行った。
【0033】試験例 (リチウム含有複合酸化物の合成)水酸化リチウム・1
水和物と実施例1のCo共沈水酸化ニッケルを(Li:
(Ni+Co))=1.03:1.00)のモル比で混
合し、酸素中、650℃で4時間加熱した後、酸素中、
750℃で10時間反応させてLi(Nio.90Co
0.10)O(コバルトニッケル酸リチウム)を合成
した。
【0034】(電池作製)正極は、上記のようにして得
たコバルトニッケル酸リチウムと、導電剤としてのアセ
チレンブラックと、結着剤としてのポリテトラフルオロ
エチレンとを、重量比50:40:10で混合して正極
合剤を得た後、この正極合剤を加圧成形し、直径16m
m、厚さ0.3mmの円板状に切り抜いて作製した。負
極は、金属リチウム薄膜を直径16mmの円板状に切り
抜いて作製した。参照極は、ニッケル線の先端にリチウ
ム箔片を巻き付けて作製した。電解液は、等しい体積の
プロピレンカーボネートと、1,2−ジメトキシエタン
とを混合し、これに、LiCl0を1mol/lの割
合で溶解させて作製した。
【0035】上記のようにして作製した正極、負極、参
照極、及び非水電解液を用いて、図1に示す評価用電池
を組み立てた。この電池は、三電極電池である。図1に
おいて、1は正極、2は負極、3はセパレータ、4は非
水電解液、5は参照極、6はセル本体、7は正極ホルダ
ー、8は負極ホルダーである。非水電解液4は、セル本
体6と両ホルダー7,8とで囲まれた空間に充満されて
いる。正極1は、正極ホルダー7の内側にスポット溶接
で固定されたチタンメッシュ11上に載せられた後、さ
らにチタンメッシュ21に挟持されている。セパレータ
3としては、イオン透過性を有するポリプロピレン製の
微孔性多孔膜を用いている。セパレータ3には非水電解
液が含浸されている。
【0036】(充放電サイクル試験)作製した電池を用
いて充放電サイクル試験を行った。充放電サイクルは、
1/36CmAにて4.2Vまで充電し、1/24Cm
Aにて3.0Vまで放電させ、これを繰り返した。な
お、正極活物質の電池特性を重点的に検討するため、上
記評価用電池において、電池電位として正極と参照極と
のポテンシャルを測定した。
【0037】実施例2のCo共沈水酸化ニッケルについ
て、実施例1のCo共沈水酸化ニッケルと同様にしてL
i(Ni0.84Co0.16)O(コバルトニッケ
ル酸リチウム)を合成し、電池作製の後、充放電サイク
ル試験を行った。
【0038】実施例3の水酸化ニッケルについて、実施
例1と同様にしてLi(Ni0.7 Co0.24)O
(コバルトニッケル酸リチウム)を合成し、電池作製
の後、充放電サイクル試験を行った。
【0039】比較例1の水酸化ニッケルについて、実施
例1と同様にしてLiNiO(ニッケル酸リチウム)
を合成し、電池作製の後、充放電サイクル試験を行っ
た。
【0040】比較例2のコバルトーニッケル水酸化物に
ついて、実施例1と同様にしてLiNi0.85Co
0.15(コバルトニッケル酸リチウム)を合成し、
電池作製の後、充放電サイクル試験を行った。
【0041】比較例3の水酸化ニッケルについて、実施
例1と同様にしてliNi0.67Co0.33(コバ
ルトニッケル酸リチウム)を合成し、電池作製の後、充
放電サイクル試験を行った。
【0042】比較例4の水酸化ニッケルについて、実施
例1と同様にしてliNiCoO(コバルトニッケル
酸リチウム)を合成し、電池作製の後、充放電サイクル
試験を行った。
【0043】実施例1〜3および比較例1〜4のリチウ
ム含有複合酸化物の充放電サイクル試験の結果を表3お
よび表4に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】実施例1,2および3のコバルトニッケル
酸リチウムは比較例1のニッケル酸リチウムよりも単位
重量当たり大きな放電容量を示した。実施例1,2およ
び3のコバルトニッケル酸リチウムは比較例1のニッケ
ル酸リチウムよりもサイクルによる容量劣化が小さい。
【0047】ニッケルのみを原料として合成したリチウ
ム含有酸化物を電池に組み込んだ場合、特に1サイクル
目の充電時において、4V付近に顕著な電圧の一定の領
域が見られる、この電圧一定の領域ではニッケル酸リチ
ウムの結晶構造が急激な変化を起こし、充放電サイクル
による電気容量劣化の要因であるとされている。
【0048】図2のAは実施例2の1サイクル目の充電
曲線であり、Bは比較例1の1サイクル目の充電曲線で
ある。比較例1の充電曲線では4V付近に電圧一定の領
域が見られたのに対して、実施例2の充電曲線では電圧
の一定の領域がなくなる。コバルトを固溶させることに
より4V付近の電圧一定領域がなくなり、充放電サイク
ルの繰り返しによる放電容量の劣化が抑制されたものと
考えられる。さらに、コバルトの固溶により電圧一定の
領域がなくなり、1サイクル目の充電時における構造変
化が抑制され、表2に示したように実施例2のコバルト
ニッケル酸リチウムでは1サイクル目の充放電効率は比
較例1のニッケル酸リチウムと比較し改善されている。
この充放電効率の改善により実施例2のコバルトニッケ
ル酸リチウムは比較例1のニッケル酸リチウムと比較し
大きいものと考えられる。
【0049】また、比較例2のコバルトニッケル酸リチ
ウムでは、放電容量、容量維持率共に実施例1,2およ
び3のコバルトニッケル酸リチウムと比較し良くない。
図2のCは比較例2の1サイクル目の充電曲線である。
4.2 V付近に電圧一定の領域が見られる。比較例2
のコバルト共沈水酸化ニッケルは球状をとどめておら
ず、それはコバルトニッケルが均一に分布していないこ
とが原因であると考えられる。
【0050】比較例3についても比較例2と同様に原料
であるコバルト共沈水酸化ニッケルは球形をとどめてい
ない。4.2V付近には電圧の一定領域は見られておら
ず10サイクル目の容量維持、1サイクル目および10
サイクル目の充放電効率ともに良好である。しかし、コ
バルトの共沈量が多いため、ニッケルとコバルトが均一
に分布せず、放電容量の大きなコバルトニッケル酸リチ
ウムの特性が生かされていないものと思われる。
【0051】比較例4のコバルトニッケル酸リチウムは
放電容量、容量維持率共に実施例1、2および3のコバ
ルトニッケル酸リチウムと比較して良くない。比較例4
のコバルト共沈水酸化ニッケルは、粒子が粗く不均一
で、リチウムとの焼成において反応が不完全であるため
と考えられる。
【0052】以上の結果から本発明によるコバルト共沈
水酸化ニッケルは、コバルトニッケル酸リチウムの充放
電の繰り返しによる電気容量の低下を抑制する、すなわ
ちサイクル特性を十分に向上させることができる材料で
ある。なお、本発明のコバルトニッケル酸リチウムの一
般式は、Li(NiCo1−x)O:0.75≦x
≦0.95で表される。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明のCo共沈水酸化
ニッケルであるコバルトーニッケル水酸化物によれば、
充放電の繰り返しによる電気容量の低下を抑制する、即
ちサイクル特性を十分に向上させることができる。
【0054】また、本発明のCo共沈水酸化ニッケルの
製造法によれば、ニッケル錯塩の生成と分解を繰り返す
ことにより、結晶の成長をゆっくりと進行させることが
でき、球状で結晶性の良好なCo共沈水酸化ニッケルを
得ることができる。
【0055】なお、上記方法において、コバルト塩を含
むニッケル塩水溶液の塩濃度を維持すれば、より結晶の
成長をゆっくりと進行させることができ、即ち粉体特性
の制御が容易になり、より良好な特性を有するCo共沈
水酸化ニッケルを得ることができる。
【0056】また、上記方法において、反応槽内のpH
を11.0〜13.0の範囲内の所定値の±0.05
の範囲内に維持し、温度を20〜80℃の範囲内の所定
値の±0.5℃の範囲に維持すれば、より良好な特性を
有するCo共沈水酸化ニッケルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 組み立てられた評価用電池の構造を示す図で
ある。
【図2】 コバルトニッケル酸リチウムの放電曲線を示
す図である。
【符号の説明】
1:正極、2:負極、3:セパレータ、4:非水電解
液、5:参照極、6:セル本体、7:正極ホルダー、
8:負極ホルダー、11及び21:チタンメッシュ。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年2月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【課題を解決するための手段】この問題点を解決するた
めに、本発明は、リチウムイオン二次電池の正極活物質
材料である水酸化ニッケルに水酸化コバルトを共沈させ
ることにより水酸化ニッケルの結晶構造の改良を図るも
のである。そのためにニッケル塩水溶液に含まれる塩濃
度を制御することにより得られる粉体の特性を制御して
製造するものである。本発明における塩濃度とは、水溶
液中に含まれる無機性電解質の総量を示すものであり、
この塩濃度を構成する無機性電解質としてはNa+、N
2+、Co2+、SO4 --等があげられる。そして、この
塩濃度の測定手段としては、導電率計ES−12(ホリ
バ)が使用され、又25℃での測定値が用いられた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式Co1−yNi(OH)(0
    <y<1)で表されるLiイオン二次電池用コバルトー
    ニッケル水酸化物の製造法において、反応槽を用い、こ
    れに塩濃度が調整されたコバルトーニッケル塩水溶液、
    ニッケルイオンと錯塩を形成する錯化剤、及びアルカリ
    金属水酸化物をそれぞれ連続供給し、ニッケル錯塩を生
    成させ、次いでこの錯塩をアルカリ金属水酸化物により
    分解してコバルトーニッケル水酸化物を析出させ、上記
    錯塩の生成及び分解を槽内で循環させながら繰り返し、
    コバルトーニッケル水酸化物をオーバーフローさせて取
    り出すことにより、粒子形状が略球状であり、且つ水酸
    化コバルトがコバルトに換算して5〜15wt%共沈し
    ていることを特徴とするコバルトーニッケル水酸化物の
    製造法。
  2. 【請求項2】 錯化剤として、アンモニウムイオン供給
    体、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリト三
    酢酸、ウラシル二酢酸、ジメチルグリオキシム、ジチゾ
    ン、オキシン、アセチルアセトン、又はグリシンを用い
    る請求項1記載のコバルトーニッケル水酸物の製造法。
  3. 【請求項3】 塩濃度が50〜200mS/cm、反応
    槽内のpHを11.0〜13.0の範囲内の所定値の±
    0.05の範囲内に維持し、温度を20〜80℃の範囲
    内の所定値の±0.5℃の範囲に維持する請求項1記載
    のコバルトーニッケル水酸化物の製造法。
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