JPH09268208A - トランス−1,4− ポリブタジエン及び蓄熱材 - Google Patents

トランス−1,4− ポリブタジエン及び蓄熱材

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JPH09268208A
JPH09268208A JP8169547A JP16954796A JPH09268208A JP H09268208 A JPH09268208 A JP H09268208A JP 8169547 A JP8169547 A JP 8169547A JP 16954796 A JP16954796 A JP 16954796A JP H09268208 A JPH09268208 A JP H09268208A
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Shigeru Igai
滋 猪飼
Eiko Narisawa
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (1) トランス-1,4- 結合の含有量が95モル%
以上、(2) 重量平均分子量が100 万以下、(3) 示差走査
型熱量計で測定された融解エンタルピー変化ΔHfが50J/
g 以上、(4) 示差走査型熱量計で測定された低温結晶構
造から高温結晶構造への結晶転移エンタルピー変化ΔH
が70J/g 以上であることを特徴とするトランス-1,4- ポ
リブタジエン及びそれを用いた蓄熱材。 【効果】 トランス-1,4- ブタジエンの結晶転移による
潜熱を利用するものであり、成形加工が容易で使用中に
その形状を保ち、低温下、一定温度での蓄熱が可能な蓄
熱量の大きい新規な蓄熱材を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なトランス-
1,4- ポリブタジエンに関する。更にそれを用いた蓄熱
材、特に、大きな潜熱を有し、低温領域で利用可能な有
機高分子蓄熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、物質の転移、融解を利用する潜熱
蓄熱材としてAlCl3 、AlCl3/FeCl3 混合物、NaOH-NaNO3
あるいはNaOH-NaNO2の水酸化物系の二元系混合溶融塩な
どの無機化合物、尿素、ネオペンチルグリコール、2,2-
ジメチル-1,3- プロパンジオール、2-ハイドロオキシメ
チル2-メチル-1,3- プロパンジオールなどの有機化合
物、高密度ポリエチレンなどの有機高分子物が知られて
いる。
【0003】有機高分子物は、蓄熱材としては、軽量で
あり、潜熱が大きく、材料として安価で、成形加工が容
易であるなどの特徴を有している。一方、熱安定性や熱
伝導が劣り、特に融解熱を利用する場合に融着しやす
く、液体としての取扱いなどでの問題点がある。液化融
着の欠点を解決する目的で、例えば、日本産業技術振興
協会技術資料, 1983年, 129 巻, 18頁、特開昭58-27773
号公報などに、シリコンカップリング剤によるシリコー
ングラフト重合、アルゴンプラズマによる表面架橋が提
案されている。しかし、こうした処理のために特別の装
置を必要とするため経済的ではない。さらに蓄熱材の使
用温度が100 ℃以上であるものが多く、比較的100 ℃以
下の低温で利用できる蓄熱材は少ない。
【0004】有機高分子物の結晶転移を利用する蓄熱方
法は固体・液体の相変化がなく、比較的体積変化も少な
く、また可逆的であり過冷却が小さく、融解熱よりは優
位な点が多い。これまでポリマーの結晶転移の例として
は、月間フィジクス, 第4巻, No.9, 1983年, 566 頁な
どに開示されている様に、α型 Polyamides (Nylon66,6
10 ,7など)、Poly-P-Xylylene 、Poly(vinylidene flu
oride) などの多くのものが知られている。しかし、主
として100 ℃以上の温度下で使用する必要がある。
【0005】J.Macromol.Sci.-Phys.,B4(1),39-46(197
0) には、トランス-1,4- ポリブタジエンは100 〜141
℃に融点、50〜80℃に低温結晶構造から高温結晶構造へ
の結晶転移があることが報告されている。しかし、蓄熱
材としてのトランス-1,4- ポリブタジエンの物性につい
ての記載はなく、蓄熱材への適用については何らの開示
もない。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、特定の物性
値を有する新規なトランス-1,4- ポリブタジエン及び大
きな潜熱を有し、低温領域で利用可能な有機高分子蓄熱
材を提供するものである。
【0007】
【課題解決のための手段】本発明は、(1) トランス-1,4
- 結合の含有量が95モル% 以上、(2) 重量平均分子量 1
万〜 100万、及び、(3) 示差走査型熱量計で測定された
低温結晶構造から高温結晶構造への結晶転移エンタルピ
ー変化ΔH が70J/g 以上であることを特徴とするトラン
ス-1,4- ポリブタジエンに関する。
【0008】本発明は、更に、上記のトランス-1,4- ポ
リブタジエンを用いることを特徴とする蓄熱材に関す
る。
【0009】
【発明の実施の態様】本発明のトランス-1,4- ポリブタ
ジエンは、トランス-1,4結合の含量がIRスペクトル、あ
るいは1H-NMR、13C-NMR 等スペクトルからの算出で、95
モル% 以上、好ましくは98% 以上、さらに好ましくは99
% 以上である。トランス-1,4結合の含有率が上記の範囲
よりも低くなる、即ちポリマーの立体規則性が小さくな
ると結晶化度が下がり、従って結晶転移エンタルピー変
化ΔH が小さくなるため、大きな結晶転移潜熱が得られ
ない。
【0010】本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンは
重量平均分子量が、 1万〜 100万以下、さらに好ましく
は 1万〜10万である。ここで重量平均分子量とは、スチ
レンを標準物質としゲル浸透クロマトグラフィー(GPC
)により、溶媒としてo-ジクロロベンゼンを用いて求
めたものである。一般に、ポリマーの結晶化度は、立体
規則性以外に分子量にも依存し、特定の分子量範囲にお
いて最大値を持つ。本発明では重量平均分子量が上記範
囲外であると、結晶化度が急激に下がり、従って結晶転
移潜熱が小さくなる。
【0011】また、本発明のトランス-1,4- ポリブタジ
エンは、低温結晶構造から高温結晶構造への結晶転移温
度が50〜80℃であり、分子量、ミクロ構造などによって
変えることができる。かつ、2つの結晶構造間の転移速
度が速い。従って、一定温度での蓄熱が可能となる。
【0012】本発明のトランス-1,4- ポリブタジエン
は、融解エンタルピー変化ΔHfが好ましくは 40J/g以
上、より好ましくは 60J/g以上である。上記範囲外であ
ると、蓄熱材として使用量が多くなり、装置を大きくす
る必要があり好ましくない。本発明のトランス-1,4- ポ
リブタジエンは、結晶転移エンタルピー変化ΔH が70J/
g 以上、好ましくは90〜150J/gである。上記範囲外であ
ると、蓄熱材として使用量が多くなり、装置を大きくす
る必要があり好ましくない。
【0013】ここで、融点、結晶転移点は示差走査型熱
量計(DSC )を用いて測定した。窒素雰囲気下、まず一
定温度で昇温し、200 ℃で完全に融解させた後、一定温
度で30℃まで降温し再結晶化し、再度200 ℃まで昇温す
る。2 回目の昇温時の示差熱を測定し融解に相当するピ
ークのピーク点、結晶転移に相当するピークのピーク点
を融点、結晶転移点とする。融解エンタルピー変化ΔH
f、及び結晶転移エンタルピー変化ΔH は、上述のそれ
ぞれのピークにおいて、160 ℃以上のほぼ直線と見なさ
れる示差熱曲線をベースラインとし、その低温側への延
長線と示差熱曲線との間に挟まれた領域の面積から求め
られるそれぞれの熱量をサンプル重量で換算して求めた
値である。
【0014】本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンは
融点が 130〜140 ℃付近である。比較的低温であるた
め、ペレット、薄板、金属板とのラミネーション、中空
糸、構造体、キャストフィルム等への成形加工が可能で
ある。
【0015】また、本発明の蓄熱材は、熱媒体中に懸濁
させ、スラリーとすることにより、液状の蓄熱体として
使用できる。熱媒体としては、水、シリコンオイル、エ
チレングリコールなどのグリコール類、流動パラフィン
などが挙げられる。シリコンオイル、エチレングリコー
ルなどはトランス-1,4- ポリブタジエンの溶解性を小さ
く、それらを熱媒体として利用することができる。さら
に、窒素密閉雰囲気においては長時間連続使用できる。
【0016】本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンに
は、アミン−ケトン系、芳香族第2級アミン系、モノフ
ェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系ベン
ツイミダゾール系、ジチオカルバミン酸系、チオウレア
系、亜リン酸系、有機チオ酸系、特殊ワックス系、また
2種類以上の混合系等の抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤
等を、約0.01〜4phr添加することによってポリマーの安
定性、寿命を伸ばすことができる。これらは、たとえば
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2,6-ジ-tert-
ブチル-4- メチルフェノールなどである。
【0017】さらに、有機系核剤、無機系核剤、または
高融点ポリマー核剤などの結晶核剤を0.01〜6wt%添加す
ることによって結晶化度、転移潜熱を高めることができ
る。有機系核剤としては、例えば芳香族カルボン酸の金
属塩、ソルビトール系誘導体、及び有機リン酸塩、アル
ミニウムヒドロキシジパラt-ブチルベンゾエート、環状
トリエチレングリコールテレフタレート、ソジウムフェ
ニルフォスフィネート、メラミン、チミン、コーヒドロ
キシベンズイミダゾール、ソジウム6-ニトロベンズイミ
ダゾール等含窒素高融点物、ブロム化ビフェニルエーテ
ル、顔料/ε-カプロラクタム、Terylene&Nylon 繊
維、Dechloraue Bなどが挙げられる。
【0018】無機系核剤としては、例えばタルク、カオ
リン、シリカ、アルミナ、アルミナム、TiO2、CaO 、Pb
3(PO4)2 、NaH2PO4 、Na2P5O16、微小粒金属、ガラス繊
維などが挙げられる。
【0019】高融点ポリマー核剤としては、例えばナイ
ロン66、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリビニ
ルシクロアルカン、ポリ3-メチルブテン-1、ポリアルケ
ニルシランなどが挙げられる。
【0020】また、通常の条件で、融点以下の温度でア
ニーリングすることにより、結晶化度を高めることで、
融解エンタルピー変化ΔHf及び結晶転移エンタルピー変
化ΔH を大きくすることができる。このことにより、蓄
熱剤としての効果を大きくすることができる。
【0021】また、トランス-1,4- ポリブタジエンを弱
架橋、もしくは、一部又は表面を架橋することにより、
ポリマーの安定性、機械的強度、形状安定性、耐薬品性
を高めることができる。
【0022】本発明のトランス-1,4- ポリブタジエン
は、公知の重合方法によって製造することができる。以
下に具体例を示す。触媒として、バナジウムトリアセチ
ルアセトナート、三塩化バナジウムTHF錯体、オキシ
三塩化バナジウム、ナフテン酸バナジウムなどのバナジ
ウム化合物、助触媒としての周期律表第I 乃至III 族主
元素金属の有機金属化合物、有機金属ハロゲン化合物、
水素化有機金属化合物、またはアルモキサンからなる触
媒系を用いることができる。
【0023】助触媒の有機金属化合物としては、例え
ば、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウ
ム、ジブチルマグネシウム、トリメチルアルミニウム、
トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニ
ウムなどが挙げられる。有機金属ハロゲン化合物として
は、例えば、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマ
グネシウムクロライド、ジメチルアルミニウムクロライ
ド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルア
ルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライ
ドなどが挙げられる。水素化有機金属化合物としては、
例えば、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエ
チルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0024】アルモキサンとは、一般式(-Al(R)O-)m
示される直鎖状、あるいは環状重合体である(R は炭素
数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/
又はRO基で置換されたものも含む。m は重合度であり5
以上、好ましくは10以上である)有機アルミニウムオキ
シ化合物である。R としてはメチル、エチル、プロピ
ル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好まし
い。
【0025】上記において、各触媒成分の接触は、通常
0 〜100 ℃、10〜180 分行う。各成分の使用量は、助触
媒/遷移金属化合物のモル比は通常0.1 〜 10000、好ま
しくは1 〜3000、アルモキサンの場合はAl/遷移金属化
合物のモル比は、通常10〜5000、好ましくは10〜1000で
ある。さらに有機金属化合物を共用する場合には、有機
金属化合物/遷移金属化合物のモル比は通常0.1 〜1000
0 、好ましくは 1〜1000である。重合体の分子量は水素
添加、重合温度、触媒濃度によって制御することができ
る。
【0026】重合法として溶媒を用いて行う溶液重合、
触媒を担体に担持して用いる気相重合、ブタジエンモノ
マーを媒体とするバルク重合など採用できる。溶液重合
で使用できる溶媒としては例えば、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、
クロロホルム、メチレンクロライド、ジクロロエタン、
クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ミネラルオ
イルなどが挙げられる。
【0027】気相重合などでの担体としての無機化合物
としては、無機酸化物、無機塩化物、無機水酸化物が好
ましく、少量の炭酸塩、硫酸塩を含有したものも採用で
きる。特に好ましいものは無機酸化物であり、シリカ、
アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、カルシ
アなどを挙げことができる。これらの無機酸化物は、平
均粒子径が 5〜150 μ、比表面積が2 〜800m2/g の多孔
性微粒子が好ましく、例えば100 〜800 ℃で熱処理して
用いることができる。
【0028】有機高分子化合物としては、側鎖に芳香族
環、置換芳香族環、あるいはヒドロキシ基、カルボキシ
ル基、エステル基、ハロゲン原子などの官能基を有する
ものが好ましい。具体例としては、エチレン、プロピレ
ン、ポリブテンなどの化学変成によって前記官能基を有
するαオレフィンホモポリマー、αオレフィンコポリマ
ー、アクリル酸、メタクリル酸、塩化ビニル、ビニルア
ルコール、スチレン、ジビニルベンゼンなどのホモポリ
マー、共重合体、さらにそれらの化学変成物を挙げるこ
とができる。これらの有機高分子化合物は、平均粒子径
が 5〜250 μの球状微粒子が用いられる。遷移金属化合
物及び/又は助触媒を担持することによって、触媒の重
合反応器への付着による汚染を防止することができる。
【0029】各々の重合方法においては、重合時間が10
分〜12時間、好ましくは30分〜6 時間、重合温度が0 〜
100 ℃、好ましくは10〜50℃で行うことができる。
【0030】本発明においては、特に限定されないが、
前記の触媒系でブタジエンの重合を行うことができる。
ただし、ポリマー物性を損なわない範囲において少量の
異種オレフィン、共役ジエン、又は非共役ジエンとの共
重合を行ってもよい。オレフィンとしては、エチレン、
プロピレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン
-1、オクテン-1、ノルボルネン、シクロペンテン、トリ
メチルビニルシランなどが挙げられる。共役ジエンとし
ては、イソプレン、2,3-ジメチルブタジエン、1,3-ペン
タジエン、2-メチル-1,3- ペンタジエン、4-メチル-1,3
- ペンタジエン、2,4-ヘキサジエンなどが挙げられる。
非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、5-エチ
リデン-2- ノルボルネン、あるいは1,5-ヘキサジエンな
どが挙げられる。
【0031】
【実施例】実施例において、「重合活性」とは、バナジ
ウムトリアセチルアセトナートV(AA)3含有触媒固体成分
1mmol 当たりの生成ポリマーの収量(g)である。
【0032】「重量平均分子量」は以下のように求め
た。スチレンを標準物質としWaters製150C型(カラムは
昭和電工製Shodex HT-806M2本、プレカラムとしてShod
ex HT-800P1本を使用)のゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC )により、溶媒O-ジクロロベンゼン、カラム温度
135 ℃で、同一条件で標準ポリスチレンの測定を行い校
正曲線を作成し校正して求めたGPC 曲線より求めたもの
を示す。
【0033】「トランス-1,4結合の含量」とは、日本電
子製回折格子赤外分光光度計(FT-IR)JIR-5500 を用い、
KBr 錠剤法で求めたIRスペクトルから算出した。すな
わち、トランス-1,4結合に相当する966cm -1付近のピー
ク、シス-1,4結合に相当する730cm -1付近のピーク、及
びビニル結合に相当する912cm -1付近のピークの各面積
を求め、各ピーク面積の和でトランス-1,4結合に相当す
るピーク面積を割ったものをトランス-1,4結合の含量と
した。
【0034】「融点」及び「結晶転移点」は以下のよう
に求めた。セイコー電子工業株式会社製SSC 5200の示差
走査型熱量計(DSC )を用い、アルミ製サンプルパンに
試料10mgを入れシールしたものを、窒素雰囲気下、まず
室温より10℃/分で昇温し、200 ℃5 分加熱することに
より完全に融解させた後、-10 ℃/分で30℃まで降温し
5 分間再結晶化し、再度10℃/分で200 ℃まで昇温し
た。2 回目の昇温時の示差熱を測定し融解に相当するピ
ークのピーク点、結晶転移に相当するピークのピーク点
をそれぞれ「融点」、「結晶転移点」とした。
【0035】「融解エンタルピー変化ΔHf」及び「結晶
転移エンタルピー変化ΔH 」は、上述のそれぞれのピー
クにおいて、160 ℃以上のほぼ直線と見なされる示差熱
曲線をベースラインとし、その低温側への延長線と示差
熱曲線との間に挟まれた領域の面積から求められるそれ
ぞれの熱量をサンプル重量で換算して求めたものであ
る。
【0036】(実施例1)十分に窒素置換したオートク
レーブ中にトルエン300ml を入れ、ブタジエン100ml を
加えた後、触媒としてバナジウムトリアセチルアセトナ
ートV(AA)3を0.1mmol 、助触媒としてエチルアルミニウ
ムセスキクロライドEASCを1mmol 、ジエチルアルミニウ
ムクロライドを14mmolを順次加え重合を開始した。重合
は窒素雰囲気下、40℃で60分間行った。老化防止剤とし
てトリス(ノニルフェニル)ホスファイトを0.65g 、チ
バガイギー製イルガノックス1076を0.35g 再沈用エタノ
ール400ml に加えたものに、重合溶液を加え、重合体を
沈殿させ、回収した。この時これにより得られたポリブ
タジエンは活性70g/mmol、重量平均分子量は8.2 万、ト
ランス含量は99.9%であった。融点及び融解エンタルピ
ー変化ΔHfは138 ℃、70J/g 、結晶転移点、及び結晶転
移エンタルピー変化ΔH はそれぞれ、77℃、140J/gであ
った。
【0037】(実施例2)十分に窒素置換したオートク
レーブ中にトルエン300ml を入れ、ブタジエン100ml を
加えた後、触媒としてバナジウムトリアセチルアセトナ
ートV(AA)3を0.1mmol 、助触媒としてジエチルアルミニ
ウムクロライドを15mmolを順次加え重合を開始した。重
合は窒素雰囲気下、10℃で60分間行った。重合体の回収
は、実施例1と同様に行った。この時これにより得られ
たポリブタジエンは活性27g/mmol、重量平均分子量は6
万、トランス含量は100 %であった。融点及び融解エン
タルピー変化ΔHfは137 ℃、79J/g 、結晶転移及び結晶
転移エンタルピー変化ΔH はそれぞれ、77℃、147J/gで
あった。
【0038】(実施例3)十分に窒素置換したオートク
レーブ中にトルエン300ml を入れ、ブタジエン100ml を
加えた後、触媒としてバナジウムトリアセチルアセトナ
ートV(AA)3を0.1mmol 、助触媒としてエチルアルミニウ
ムセスキクロライドEASCを15mmolを順次加え重合を開始
した。重合は窒素雰囲気下、20℃で60分間行った。重合
体の回収は、実施例1と同様に行った。この時これによ
り得られたポリブタジエンは活性218g/mmol 、重量平均
分子量は80万、トランス含量は100 %であった。融点及
び融解融解エンタルピー変化ΔHfは136 ℃、63J/g 、結
晶転移点、及び結晶転移エンタルピー変化ΔH はそれぞ
れ、60℃、92J/g であった。表1に実施例1〜3のポリ
ブタジエンの特性値をまとめた示した。
【0039】(実施例4)実施例1で得られたポリブタ
ジエンを200 ℃でプレスして、フィルム化し、これを約
5mm 角に切りチップ状とした。50mlビーカーに、イオン
交換水20mlに攪拌子とチップ状ポリマー4gを入れ、バー
ナーで加熱して1 分間沸騰させた。これを火から下ろし
た時点を測定開始時間とし、ビーカーを保温材で包み、
攪拌しながら、系内の温度変化を測定した。図1に放冷
中の系内の温度変化を示す。これより、約62℃付近での
ポリマーの蓄熱による保温効果が約2 分間認められた。
表2に実施例4による沸騰水の放冷による温度変化を示
した。
【0040】(実施例5、6)実施例2、3で得られた
ものについても実施例4と同様の実験を行った。実施例
2の重合体では約62℃付近でのポリマーの蓄熱による保
温効果が約3 分間はっきりと見られた。実施例3の重合
体では約50℃付近で約1.5 分間保温効果が認められた。
【0041】(実施例7〜9)実施例1において、重合
条件を変えてポリブタジエンを合成した。表3に、物性
値をまとめて示した。
【0042】(実施例10)熱安定性評価として、実施
例1で得られたポリブタジエンを窒素雰囲気下、20℃か
ら 100℃へ20℃/min.で昇温した後、 100℃から20℃へ
-20℃/min.で降温する操作を繰り返し1500回行ったと
ころ、結晶転移温度及び結晶転移熱はほとんど変化はな
かった。図2に結晶転移温度(Ttr)、図3に結晶転移
熱(ΔH)の変化を示した。
【0043】(実施例11)酸素雰囲気下での耐熱性試
験として実施例1で得られたポリブタジエンを酸素雰囲
気下で、85℃で約 9時間保持し、その後15時間室温に保
持する操作を約20日間繰り返したところ、結晶転移温度
及び結晶転移熱はほとんど変化はなかった。表4に、融
点、融解熱量、結晶転移点、転移熱量の変化を示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【発明の効果】本発明はトランス-1,4- ブタジエンの結
晶転移による潜熱を利用するものであり、成形加工が容
易で使用中にその形状を保ち、低温下、一定温度での蓄
熱が可能な蓄熱量の大きい新規な蓄熱材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4の沸騰水の放冷による温度変化を示し
たものである。
【図2】実施例10の熱安定性評価における結晶転移温
度の変化を示したものである。
【図3】実施例10の熱安定性評価における結晶転移熱
の変化を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成沢 栄子 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社高分子研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) トランス-1,4- 結合の含有量が95モ
    ル% 以上、(2) 重量平均分子量 1万〜 100万、及び、
    (3) 示差走査型熱量計で測定された低温結晶構造から高
    温結晶構造への結晶転移エンタルピー変化ΔH が70J/g
    以上であることを特徴とするトランス-1,4- ポリブタジ
    エン。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のトランス-1,4- ポリブ
    タジエンを用いることを特徴とする蓄熱材。
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