JPH0926271A - 非鉄製錬横型転炉用パンチングロッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 羽口レンガの損耗を可及的に遅くして転炉の
一サイクル寿命を延ばし、ひいては、転炉の吹錬コスト
の節減に大きく寄与し得る非鉄製錬横型転炉用パンチン
グロッドを提供する。 【構成】 本体と先端部とからなるパンチングロッドに
おいて、該先端部は、楔形状に形成されていることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、非鉄製錬横型転炉
用のパンチングロッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の非鉄製錬横型転炉用のパンチング
ロッドは、断面形状が円形の本体と先端部とからなる棒
鋼であり、この先端部をラッパ状に拡げたものを用いて
いた。図２５は、非鉄製錬横型転炉を羽口を含む縦断面
で切断した断面図の一部を示す。図２５において、転炉
吹錬の過程で付着物１１が羽口パイプ１２や羽口レンガ
１３などに付着してくる。この付着物１１をこのまま放
置して吹錬を続けると、付着物１１が成長して羽口パイ
プ１２からの送風が阻害されて送風効率が低下するの
で、上記パンチングロッドを用いてパンチングを行い、
付着物１１を打撃し、羽口パイプ１２から一度に引き剥
して転炉内に押し込む。なお、上記パンチングは、パン
チングロッドを羽口打開装置にセットして行う。しかし
ながら、上記パンチングロッドを用いて転炉吹錬を行う
と、羽口レンガ１３の損耗が非常に速い。転炉の羽口レ
ンガ１３、胴体部レンガ１４および鏡部レンガなどのレ
ンガの積み替え工事が必要になった段階で転炉の一サイ
クル寿命は終るが、この一サイクル寿命は、主として羽
口レンガ１３の損耗に依存しているのが現状である。つ
まり、転炉の一サイクル寿命の長短は、転炉吹錬コスト
の高低を大きく左右する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記事情に鑑み、羽口レンガの損耗を可及的に遅く
して転炉の一サイクル寿命を延ばし、ひいては、転炉吹
錬コストの節減に大きく寄与し得る非鉄製錬横型転炉用
パンチングロッドを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するものとして、本体と先端部とからなるパンチング
ロッドにおいて、該先端部は、楔形状に形成されている
ことを特徴とする非鉄製錬横型転炉用パンチングロッド
である。本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッド
において、本体は、断面形状を円形、多角形など使用上
適宜なものに形成することができる。本発明の非鉄製錬
横型転炉用パンチングロッドは、本体と先端部からな
り、該先端部が楔形状に形成されていることが重要であ
る。このような先端部を有するパンチングロッドを用い
ると、前記従来の、先端部をラッパ状に拡げたパンチン
グロッドを用いるのに比べて、非鉄製錬横型転炉の羽口
レンガの寿命を大きく軽減することができる。これは、
次の理由によるものと考えられる。即ち、前記従来の、
先端部をラッパ状に拡げたパンチングロッドを用いてパ
ンチングを行い、付着物１１（図２５参照）を打撃する
と、付着物１１に多大な衝撃力が加わる。このため、パ
ンチングそのものの目的は果たすことはできるが、付着
物１１が付着した羽口レンガ１３にも上記衝撃力が及ぶ
ので、羽口レンガ１３（図２５参照）にクラック１５
（図２５参照）が入り易く、時には羽口レンガ１３のス
ポーリング現象もおこる。

【０００５】これに対して、本発明のパンチングロッド
を用いてパンチングを行い、付着物１１を打撃すると、
該先端部から付着物１１に大きな圧力がかかり、この大
きな圧力をかけることにより付着物１１を切断し、この
切断部分を押し広げる。パンチングロッドの回転ととも
にこの切断と押し広げを行うことにより、付着物１１を
羽口パイプ１２から引き剥して転炉内に押し込む。この
ため、付着物１１が付着した羽口レンガ１３に与える衝
撃を大きく軽減することができ、従って、羽口レンガ１
３の寿命を大きく延ばすことができると考えられる。本
発明のパンチングロッドを用いてパンチングを行う際、
前記従来の技術で述べたように、羽口打開装置にセット
してパンチングを行うことができるが、一回のパンチン
グによって開口する羽口の孔の面積は、従来のパンチン
グロッドを用いて開口する場合の羽口の孔の面積に比べ
て若干小さくなる。しかし、本発明のパンチングロッド
は、転炉吹錬時の振動により自然に少しづつロッドの軸
線のまわりに回転したり、３６０／ｎ°（正ｎ角形のと
き）の角度づつ人為的にロッドの軸線のまわりに回転さ
せられるため、これらの回転によりパンチングロッドが
一回転すれば、開口する羽口の孔の面積は、従来のパン
チングロッドを用いて一度の打撃により開口するのと同
程度の羽口の孔の面積を確保することができる。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の非鉄製錬横型転
炉用パンチングロッドの第１実施例の平面図であり、図
２、図３および図４は、図１のそれぞれ正面図、本体の
端面図、先端部の端面図である。図３から分かるよう
に、本実施例の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッドの
本体１の断面形状は円形である。先端部２の厚みは、図
１および図４から分かるように、本体１側から最先端部
３に向かうにつれて本体１の直径ｄｏから直線的にｄま
で減少して楔形状に形成されている。この楔の先端を延
長して楔の先を尖らせたときにできる角（図１のθ）
は、１５〜９０°が好ましい。また、先端部２の幅は、
図２から分かるように、本体１側から最先端部３に向か
うにつれて本体１の直径ｄｏから直線的にｗまで増大し
ている。なお、先端部２の長さ（図１にｌで示されてい
る）は、特に制限はない。図５は、本発明の非鉄製錬横
型転炉用パンチングロッドの第２実施例の平面図であ
り、図６、図７および図８は、図５のそれぞれ正面図、
本体の端面図、先端部の端面図である。図７から分かる
ように、本実施例の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッ
ドの本体１の断面形状は円形である。先端部２の厚み
は、図５および図８から分かるように、本体１側から最
先端部３に向かうにつれて本体１の直径ｄｏから直線的
に減少し最先端部３で直線４状に尖っていて楔形状に形
成されている。図５に示す角θについては、第１実施例
で述べたのと同様である。

【０００７】また、先端部２の幅は、図６から分かるよ
うに、本体１側から最先端部３に向かうにつれて本体１
の直径ｄｏから直線的にｗまで増大し最先端部３付近で
はｗとなっている。なお、先端部２の長さ（図５にｌで
示されている）は、第１実施例の長さと同様である。図
９は、本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッドの
第３実施例の平面図であり、図１０、図１１および図１
２は、図９のそれぞれ正面図、本体の端面図、先端部の
端面図である。図１１から分かるように、本実施例の非
鉄製錬横型転炉用パンチングロッドの本体１の断面形状
は円形である。先端部２の厚みは、図９および図１２か
ら分かるように、本体１側から最先端部３に向かうにつ
れて本体１の直径ｄｏから直線的にｄまで減少して楔形
状に形成されている。この楔の先端を延長して楔の先を
尖らせたときにできる角（図９のθ）については、第１
実施例で述べたのと同様である。

【０００８】また、先端部２の幅は、図１０から分かる
ように、本体１側から最先端部３に向かうにつれて本体
１の直径ｄｏから直線的に一旦増大し、それから直線的
に減少し最先端部３でｗとなっている。なお、先端部２
の長さ（図９にｌで示されている）は、第１実施例の長
さと同様である。図１３は、本発明の非鉄製錬横型転炉
用パンチングロッドの第４実施例の平面図であり、図１
４、図１５および図１６は、図１３のそれぞれ正面図、
本体の端面図、先端部の端面図である。図１５から分か
るように、本実施例の非鉄製錬横型転炉用パンチングロ
ッドの本体１の断面形状は円形である。先端部２の厚み
は、図１３および図１６から分かるように、本体１側か
ら最先端部３に向かうにつれて本体１の直径ｄｏから直
線的に減少し最先端部３で点５状に尖って楔形状に形成
されている。図１３に示す角θについては、第１実施例
で述べたのと同様である。

【０００９】また、先端部２の幅は、図１４から分かる
ように、本体１側から最先端部３に向かうにつれて本体
１の直径ｄｏから直線的に一旦増大し、それから直線的
に減少している。なお、先端部２の長さ（図１３にｌで
示されている）は、第１実施例の長さと同様である。図
１７は、本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッド
の第５実施例の平面図であり、図１８、図１９および図
２０は、図１７のそれぞれ正面図、本体の端面図、先端
部の端面図である。図１９から分かるように、本実施例
の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッドの本体１の断面
形状は正四角形である。先端部２の厚み、幅、長さおよ
び図１７の角θは、第１実施例とほぼ同様に形成されて
いる。図２１は、本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチン
グロッドの第６実施例の平面図であり、図２２、図２３
及び図２４は、図２１のそれぞれ正面図、本体の端面
図、先端部の端面図である。図２３から分かるように、
本実施例の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッドの本体
１の断面形状は正八角形である。先端部２の厚み、幅、
長さおよび図２１の角θは、第１実施例とほぼ同様に形
成されている。

【００１０】以上、第１実施例〜第６実施例では、先端
部２の根元部分の厚さおよび幅が本体１の直径または厚
さ（幅）に等しくなっていて、付着物１１を打撃した後
パンチングロッドを引き抜き易いが、上記先端部２の根
元部分の寸法と本体１の寸法とは等しくなくてもよい。

【００１１】

【実施例】第１実施例（図１〜４参照）、第３実施例
（図９〜１２参照）および第５実施例（図１７〜２０参
照）のパンチングロッド、並びに従来のパンチングロッ
ド（棒鋼の先端部をラッパ状に拡げたもの）を用いて、
各々銅転炉の操業を行い、銅転炉の一サイクル寿命を測
定した。なお、第１実施例、第３実施例および第５実施
例のパンチングロッドの寸法は、前記図において、ｄｏ
＝２２ｍｍ、ｄ＝１２ｍｍ、ｗ＝３３ｍｍ、ｌ＝４５ｍ
ｍとし、全長を約２ｍとした。その結果、従来のパンチ
ングロッドを使用した一サイクル寿命（吹錬回数）に比
べて、第１実施例、第３実施例および第５実施例のパン
チングロッドを使用した一サイクル寿命（吹錬回数）
は、それぞれ１２％、１０％、１２％延びた。

【００１２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の非鉄製錬
横型転炉用パンチングロッドを用いれば、羽口レンガの
損耗を遅くして転炉の一サイクル寿命を大幅に延ばすこ
とができ、ひいては、転炉の吹錬コストの節減に大きく
寄与し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッド
の第１実施例の平面図である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】図１の本体の端面図である。

【図４】図１の先端部の端面図である。

【図５】本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッド
の第２実施例の平面図である。

【図６】図５の正面図である。

【図７】図５の本体の端面図である。

【図８】図５の先端部の端面図である。

【図９】本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッド
の第３実施例の平面図である。

【図１０】図９の正面図である。

【図１１】図９の本体の端面図である。

【図１２】図９の先端部の端面図である。

【図１３】本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッ
ドの第４実施例の平面図である。

【図１４】図１３の正面図である。

【図１５】図１３の本体の端面図である。

【図１６】図１３の先端部の端面図である。

【図１７】本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッ
ドの第５実施例の平面図である。

【図１８】図１７の正面図である。

【図１９】図１７の本体の端面図である。

【図２０】図１７の先端部の端面図である。

【図２１】本発明の非鉄製錬横型転炉用パンチングロッ
ドの第６実施例の平面図である。

【図２２】図２１の正面図である。

【図２３】図２１の本体の端面図である。

【図２４】図２１の先端部の端面図である。

【図２５】非鉄製錬横型転炉を羽口を含む縦断面で切断
した断面図の一部を示す。

【符号の説明】

１ パンチングロッドの本体 ２ パンチングロッドの先端部 ３ パンチングロッドの最先端部 ４ パンチングロッドの直線状最先端部 ５ パンチングロッドの点状最先端部 １１ 付着物 １２ 羽口パイプ １３ 羽口レンガ １４ 胴体部レンガ １５ クラック

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体と先端部とからなるパンチングロッ
   ドにおいて、該先端部は、楔形状に形成されていること
   を特徴とする非鉄製錬横型転炉用パンチングロッド。
2. 【請求項２】 本体は、断面形状が円形または多角形で
   ある請求項１に記載の非鉄製錬横型転炉用パンチングロ
   ッド。