JP2005194938A - シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法 - Google Patents

シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005194938A
JP2005194938A JP2004002301A JP2004002301A JP2005194938A JP 2005194938 A JP2005194938 A JP 2005194938A JP 2004002301 A JP2004002301 A JP 2004002301A JP 2004002301 A JP2004002301 A JP 2004002301A JP 2005194938 A JP2005194938 A JP 2005194938A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
protrusion
peripheral surface
inner peripheral
cylinder bore
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004002301A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3985786B2 (ja
Inventor
Noritaka Miyamoto
典孝 宮本
Masateru Hirano
雅揮 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2004002301A priority Critical patent/JP3985786B2/ja
Publication of JP2005194938A publication Critical patent/JP2005194938A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3985786B2 publication Critical patent/JP3985786B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】シリンダボア内周面と溶射皮膜との密着性を向上させ、溶射皮膜の剥離を抑制することができるシリンダブロックを提供する。
【解決手段】シリンダブロック10はシリンダボア11を有し、シリンダボア11の内周面12には溶射皮膜13が形成される。シリンダボア11の内周面12にはシリンダ軸方向に沿って延びる突条部15が形成され、突条部15はその頂部にシリンダ周方向に突出するアンカー部15aを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法に関する。
従来、内燃機関のシリンダブロックとして、シリンダボア内周面にライナを鋳込む代わりにその内周面に溶射皮膜を形成したライナレスシリンダが用いられている。このような構造においては、実質的にこの溶射皮膜がライナとして機能するため、シリンダライナ内周面と溶射皮膜との密着性確保が重要になる。特許文献1には、こうした密着性を向上するために、シリンダボアの内周面に螺旋状(周方向)に溝加工を施してから溶射皮膜を形成する技術が提案されている。
特開2002−155350号公報
こうした溝加工を施すことにより、シリンダボアの内周面と溶射皮膜との密着性を高めることはできる。
しかしながら、上記公報に開示されたシリンダブロックでは、図10に示すように、溶射皮膜形成時に生じる微小酸化物(いわゆるヒューム)を吸引する際に、同図矢印Sで示されるように、ヒュームがシリンダボア101内周面の溝101a部分に引掛って堆積してしまうことがある。更には、そのヒュームの堆積した部分が吸引されるのに伴って、それらヒュームの一部のみが脱落してヒュームの堆積部分に空隙部が形成されたりする。このようなヒュームの堆積やヒューム堆積部分に生じる空隙によって、溶射皮膜の脆弱化や密着力の低下を招くこととなり、結果として溶射皮膜が剥離する等の不具合が生じることとなる。
また、溶射皮膜形成後のシリンダボア内周面には、シリンダボア端部の面取り加工やボーリング加工など、周方向に刃具や砥石の外力が作用する加工が施されるが、従来の周方向に溝加工されたシリンダボアの溶射皮膜はそうした周方向の力に弱く剥離する虞がある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、シリンダボア内周面と溶射皮膜との密着性を向上させ、溶射皮膜の剥離を抑制することができるシリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、シリンダボアの内周面に溶射皮膜が形成されるシリンダブロックにおいて、前記シリンダボアの内周面にはシリンダ軸方向に沿って延びる突条部が形成され、該突条部はその頂部に同突条部の突出方向と異なる方向に突出するアンカー部を有してなることを要旨とする。
上記構成によれば、突条部がシリンダ軸方向に沿って形成されているため、ヒューム吸引を行う際に、突条部間にヒュームが堆積するのを抑制しつつその吸引を行うことができる。このため、こうしたヒュームが残留することに起因するシリンダボア内周面と溶射皮膜との密着性低下、ひいては溶射皮膜の剥離等を抑制することができる。
また、この突条部はその突出方向と異なる方向に突出するアンカー部を有しているため、このアンカー部によって溶射皮膜とシリンダボア内周面との密着力が高められる。従って、それらシリンダボア内周面と溶射皮膜との密着性を向上させ、溶射皮膜の剥離を抑制することができるようになる。
また、上記突条部については、請求項2に記載される発明によるように、突出高さが0.1mm〜0.6mmの頂部を圧潰してそのアンカー部を形成するようにするのが望ましい。同構成によれば、アンカー部によってシリンダボア内周面と溶射皮膜との密着性を更に高めることができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシリンダブロックにおいて、前記シリンダボアの内周面には周方向に同形状の突条部が一定ピッチで形成されることを要旨とする。
上記構成によれば、例えば、異形状の突条部を異なるピッチで形成するようにした構成と比較して、シリンダボア内周面と溶射皮膜との密着強度がシリンダ全周にわたり均一にすることができ、同溶射皮膜の密着強度が部分的に異なることに起因した溶射後の残留応力発生を抑制することができるようになる。
また、こうした効果は、請求項4に記載される発明によるように、突条部をシリンダボアの内周面の全周にわたって形成する、更に請求項5に記載される発明によるように、これを全周にわたって連続的に形成することにより一層顕著なものとなる。
尚、突条部をシリンダ周方向において連続的に形成する際には、請求項6に記載されるように、その形成ピッチを0.8mm以下とするのがシリンダボア内周面と溶射皮膜との密着力を高めるうえで好適であることが本願発明者による実験を通じて確認されている。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6に記載のシリンダブロックにおいて、前記突条部は前記シリンダボアの内周面側の基端部ほどその断面積が大きくなるようにその側面が斜状に形成されてなることを要旨とする。
上記構成によれば、突条部の剛性を高めてその変形を抑制することができるようになる。
請求項8に記載の発明は、シリンダボアの内周面に溶射皮膜が形成されるシリンダブロックの製造方法において、前記シリンダボアの内周面にシリンダ軸方向に沿って延びる突条部を形成する第1の工程と、前記突条部の頂部を圧潰して同突条部の突出方向と異なる方向に突出するアンカー部を形成する第2の工程とを含むことを要旨としている。
上記製造方法よれば、突条部の頂部を圧潰することよりアンカー部を容易に形成することができるようになる。
請求項9に記載の発明は、上記第1の工程において前記突条部の突出量が0.1mm〜0.6mmとなるようにこれを形成することを要旨とする。
上記製造方法では、その突出量が0.1mm〜0.6mmである突条部の頂部を圧潰することにより、アンカー部を形成するようにしている。このようにして形成されるアンカー部によれば、シリンダボア内周面と溶射皮膜との密着力を高められることが本願発明者による実験を通じて確認されている。
尚、前記突条部を形成する第1の工程においては、請求項10に記載される発明によるように、ブローチ加工を採用するのがその加工を容易とするうえで望ましい。また、第2の工程において、請求項11に記載される発明によるように、ショットブラスト加工により突条部の頂部を圧潰する方法を採用すれば、複数の突条部が形成される場合であれ、それらを短時間で圧潰することができ、加工時間の短縮を図ることができるようになる。更に、こうしたショットブラスト加工により突条部並びそれらの間の部分における表面硬度を高めることができる。
以下、本発明を内燃機関のシリンダブロックに具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a),(b)に示すアルミダイカストシリンダブロック10(以下、単に「シリンダブロック」という)は、複数のシリンダボア11を有しており、各シリンダボア11の内周面12には溶射皮膜13が形成されている。このシリンダボア11内にはピストン(図示略)が摺動可能に配置される。
シリンダブロック10の各シリンダボア11間の壁部には、複数のシリンダボア11を取り囲む(シリンダボア11周囲の)ウォータージャケット14が形成されている。尚、シリンダヘッドは、シリンダブロック10の上面10aに、ガスケット(図示略)を介してヘッドボルトにより締結される。また、シリンダブロック10の上面10aには、ヘッドボルトが羅合するボルト穴10bが形成されている。
図2に示すように、シリンダボア11の内周面12にはシリンダ軸方向に平行に突条部15が一定の形成ピッチPで形成されている。この突条部15はシリンダ周方向に同形状のものが全周にわたって連続的に形成されている。そして、突条部15はシリンダボア11の内周面12側の基端部ほどその断面積が大きくなるようにその側面が斜状に形成されており、その頂部に突条部15の突出方向と異なる方向、本実施形態ではシリンダ周方向に両側に突出するアンカー部15aを有する。
次に上記シリンダブロック10の製造方法について説明する。
先ず、図3に示すように、シリンダボア11の内周面12にシリンダ軸方向に沿って延びる突条部15を形成する第1の工程を行う。即ち、シリンダボア11の内周面12にブローチ加工等により切削加工を施し、シリンダボア11の軸方向全域にわたって突条部15を形成する。このとき、突条部15はシリンダボア11の内周面12の全周にわたって一定の形成ピッチPで一括形成される。尚、この形成ピッチPは、0.8(mm)以下であることが好ましい。また、突条部15は突出高さHで形成され、この突出高さHは0.1(mm)〜0.6(mm)であることが好ましい。
その後、図4に示す工具20を用いて、前記突条部15の頂部を圧潰して突条部15の突出方向と異なる方向に突出するアンカー部15aを形成する第2の工程を行う。即ち、シリンダボア11の内周面12に形成された突条部15にショットブラスト加工を施す。工具20は下端近傍にブラスト材21を吹き出すためのノズル22を備えており、このノズル22をシリンダボア11内部に挿入し下方に移動させながらブラスト材21を所定の圧力で噴射して、シリンダボア11の内周面12に対してショットブラスト加工を行う。尚、このとき、ブラスト材21の粒度は突条部15の間に入り込む大きさとされることが好ましい。
すると、図5に示すように、突条部15の頂部が押し潰されてアンカー部15aが形成される。このように、シリンダボア11の内周面12において全面に対してショットブラスト加工を施すことで突条部15の頂部が圧潰されてアンカー部15aが形成されるため、簡易な方法で突条部15を完成させることができる。尚、ブラスト材21の粒度を突条部15の間に入り込む大きさとすれば、ショットブラスト加工を行う際にこの部分にもブラスト材21が当るため、表面が鍛造されて表面硬度が向上する。
また、このとき、アンカー部15aがシリンダ周方向に突出する程度は、工具20のノズル22から吹き出されるエアー圧力により決まる。このエアー圧力が大きいほど突条部15の頂部は押し潰されてアンカー部15aはシリンダ周方向に大きく突出し、突条部15の突出高さは小さくなる。
図6(a)はノズル22のエアー圧力を3.5(kg/cm2)にした場合のアンカー部15bを有する突条部15を示す。また、図6(b)はノズル22のエアー圧力を4.5(kg/cm2)にした場合のアンカー部15cを有する突条部15を、図6(c)はノズル22のエアー圧力を6.0(kg/cm2)にした場合のアンカー部15dを有する突条部15をそれぞれ示す。図6(a)に示す突条部15の高さH1と図6(b)に示す突条部15の高さH2と図6(c)に示す突条部15の高さH3との関係は、H3<H2<H1(<H)となった。このように、ノズル22のエアー圧力が大きいほど突条部15の頂部は押し潰されてアンカー部15b,15c,15dのシリンダ周方向への突出の程度が大きくなり突条部15の突出高さは小さくなった。つまり、ノズル22からのエアー圧力を調節することでシリンダボア11の内周面12に形成される突条部15の突出高さを設定することができる。
上記ショットブラスト加工が完了した後、突条部15が形成されたシリンダボア11の内周面12に対してクロム鋼などの鉄材を溶射して溶射皮膜13を形成する。
このとき、シリンダボア11の一端側から鉄材を溶射する工具を挿入して溶射を行い、他端側から溶射皮膜形成時に生じる微小酸化物(ヒューム)の吸引を行う。このとき、突条部15はシリンダ軸方向と平行に形成されており、突条部15の頂部のアンカー部15aも同じ方向に形成されている。このため、シリンダ周方向に溝が形成されている場合と比較して、ヒューム吸引時にシリンダボア11内周面に引っ掛るヒュームを軽減し、またヒュームが堆積されて一部のみが脱落して空隙部が形成されるのを防止することができる。このため、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着性が向上し、形成された溶射皮膜13の剥離を抑制することができる。
次に、上記のシリンダブロック10の実施例を説明する。以下に説明する各実施例においては、溶射皮膜13にクロム鋼を使用し、図3に示す突条部15を形成する際にはブローチ加工を行った。各実施例においては、シリンダボア11の内周面12において突条部15の形状を変化させて、それぞれの内周面12に形成された溶射皮膜13の引張密着強度F(MPa)を測定した。尚、具体的には、この引張密着強度Fが58.0(MPa)以上であればシリンダボア11の内周面に対する溶射皮膜13の密着強度が十分となり、溶射皮膜13形成後にシリンダボア11に加えられる力、特にシリンダ周方向に加えられる力に耐えることができる。このため、各実施例における引張密着強度Fの目標値は58.0(MPa)とした。
(実施例1)
実施例1においては、突条部15にショットブラスト加工を施す際のノズル22のエアー圧力を4.5(kg/cm2)とした。そして、上記のシリンダブロック10において、突条部15の形成ピッチPを0.4(mm)とし、突出高さH(図3参照)を変化させて、前記引張密着強度F(Mpa)を計測した。その結果を図7に示す。
図7に示すように、突条部15の突出高さHが0.1(mm)〜0.6(mm)であると、引張密着強度Fは目標値を超えた。このように、突条部15の突出高さHが0.1(mm)〜0.6(mm)であれば十分な引張密着強度Fを得ることができた。
また、実施例1に対する比較例1として、シリンダボア11の内周面12にショットブラスト加工を施さず突条部15が形成された状態のまま溶射により溶射皮膜13を形成した場合について、上記の場合と同様に引張密着強度Fを測定した。その結果を図7に示す。この比較例1によれば、突条部15の突出高さHが0.3(mm)以上となると引張密着強度Fの目標値を下回ってしまい、0.6(mm)以上となれば引張密着強度Fを殆ど得ることはできなかった。
以上の結果から、シリンダボア11の内周面12に突条部15を形成した上でショットブラスト加工を施すと、即ち、突条部15の頂部にアンカー部15aを形成すると、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着性が向上することが確認できる。また、突条部15の突出高さHを0.1(mm)〜0.6(mm)とすれば、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着強度を確保できることが確認できる。
(実施例2)
実施例2においては、突条部15にショットブラスト加工を施す際のノズル22のエアー圧力を4.5(kg/cm2)とした。そして、上記のシリンダブロック10において、突条部15の突出高さHを0.3(mm)とし、そのシリンダ周方向の形成ピッチPを変化させて前記引張密着強度F(Mpa)を計測した。その結果を図8に示す。
図8に示すように、突条部15の形成ピッチPが0.8(mm)以下であると引張密着強度Fは目標値を超えた。このように、形成ピッチPが0.8(mm)以下であれば十分な引張密着強度Fを得ることができた。
また、実施例2に対する比較例2として、シリンダボア11の内周面12にショットブラスト加工を施さず突条部15が形成された状態のまま溶射により溶射皮膜13を形成した場合について、上記の場合と同様に引張密着強度Fを測定した。その結果を図8に示す。この比較例2によれば、突条部15の形成ピッチPが0.4(mm)以上となると引張密着強度Fの目標値を下回ってしまい、0.8(mm)以上となれば引張密着強度Fを殆ど得ることはできなかった。
以上の結果から、シリンダボア11の内周面12に突条部15を形成した上でショットブラスト加工を施すと、即ち、突条部15の頂部にアンカー部15aを形成すると、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着性が向上することが確認できる。また、突条部15の形成ピッチPを0.8(mm)以下とすれば、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着強度を確保できることが確認できる。
(実施例3)
実施例3においては、突条部15にショットブラスト加工を施す際のノズル22のエアー圧力を変化させた。そして、上記のシリンダブロック10において、突条部15(図3参照)の突出高さHを0.3(mm)とし、そのシリンダ周方向の形成ピッチPを0.4(mm)として、前記引張密着強度F(Mpa)を計測した。その結果を図9に示す。
また、実施例3に対する比較例3として、シリンダボア11の内周面12に周方向に溝加工を施して、その面にエアー圧力を変化させてショットブラスト加工を施した上で溶射皮膜を形成した場合(図10参照)について、上記の場合と同様に引張密着強度Fを測定した。また、比較例4として、突条部15をも形成しない平面形状のまま、シリンダボア11の内周面12にエアー圧力を変化させてショットブラスト加工を施した上で溶射皮膜を形成した場合について、上記の場合と同様に引張密着強度Fを測定した。比較例3,4の結果を図9に示す。
図9に示すように、実施例3によれば、ノズル22のエアー圧力が4.5(kg/cm2)以上であれば十分な引張密着強度Fを得ることができた。しかし、比較例3,4によれば、何れの場合もエアー圧力を変化させても十分な引張密着強度Fを得ることはできなかった。また、実施例3においては、エアー圧力を大きくするほど引張密着強度Fは向上したが、比較例3,4においてはエアー圧力を大きくしても引張密着強度Fを殆ど向上させることはできなかった。
実施例3と比較例3との比較から、シリンダボア11の内周面12には、シリンダ周方向よりも軸方向に沿って突条部(溝)を形成した方がシリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着強度を確保できることが確認できる。また、実地例3と比較例4との比較から、シリンダボア11の内周面12が平面形状のままの状態で溶射皮膜を形成するよりも突条部15を形成してから溶射皮膜13を形成した方が、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着強度を確保できることが確認できる。
更には、実施例3により、ショットブラスト加工時にノズル22から大きなエアー圧力でブラスト材21を吹き出した方が、即ちアンカー部15aをシリンダ周方向に大きく突出させた方が(図6(a)〜(c)参照)、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着強度を向上できることが確認できる。
上記したように、本実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、突条部15がシリンダ軸方向に沿って形成されているため、ヒューム吸引を行う際に、突条部15間にヒュームが堆積するのを抑制しつつその吸引を行うことができる。このため、こうしたヒュームが残留することに起因するシリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着性低下、ひいては溶射皮膜13の剥離等を抑制することができる。また、この突条部15はシリンダ周方向に突出するアンカー部15aを有しているため、このアンカー部15aによって溶射皮膜13とシリンダボア11の内周面12との密着力が高められる。従って、それらシリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着性を向上させ、溶射皮膜13の剥離を抑制することができるようになる。
(2)本実施形態では、突条部15については、突出高さHが0.1mm〜0.6mmの頂部を圧潰してそのアンカー部15aを形成すれば、アンカー部15aによってシリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着性を更に高めることができることが確認できた。
(3)本実施形態では、シリンダボア11の内周面12に全周にわたって連続的に同形状の突条部15を一定の形成ピッチPで形成した。このため、例えば、異形状の突条部を異なるピッチで形成するようにした構成と比較して、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着強度をシリンダ全周にわたり均一にすることができ、同溶射皮膜13の密着強度が部分的に異なることに起因した溶射後の残留応力発生を抑制することができるようになる。尚、突条部15をシリンダ周方向において連続的に形成する際に、その形成ピッチPを0.8mm以下とすれば、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との密着力を高めるうえで好適であることが確認できた。
(4)本実施形態では、突条部15はシリンダボア11の内周面12側の基端部ほどその断面積が大きくなるようにその側面を斜状に形成した。このため、突条部15の剛性を高めてその変形を抑制することができるようになる。
(5)本実施形態のシリンダブロック10の製造方法では、シリンダボア11の内周面12にシリンダ軸方向に沿って延びる突条部15を形成する第1の工程と、突条部15の頂部を圧潰してシリンダ周方向に突出するアンカー部15aを形成する第2の工程とを含む。このため、突条部15の頂部を圧潰することよりアンカー部15aを容易に形成することができるようになる。尚、突条部15を形成する第1の工程においてブローチ加工を採用したため、その加工を容易に行うことができる。また、第2の工程において、ショットブラスト加工により突条部15の頂部を圧潰する方法を採用したため、複数の突条部15が形成される場合であれ、それらを短時間で圧潰することができ、加工時間の短縮を図ることができるようになる。更に、こうしたショットブラスト加工により突条部15並びにそれらの間の部分における表面硬度を高めることができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ブローチ加工によりシリンダボア11の内周面12に突条部15を一括形成したが、突条部15を形成する態様はこれに限定されない。例えば、切削加工により突条部15を1本1本加工して形成してもよい。
・上記実施形態では、突条部15はシリンダ周方向に全周にわたって設けたが、シリンダボア11の内周面12と溶射皮膜13との十分な密着強度を得ることができるのであれば、突条部15は全周にわたって設けなくてもよい。
・上記実施形態では、シリンダボア11の内周面12に対してショットブラスト加工を施すことで突条部15の頂部を押し潰してアンカー部15aを形成したが、アンカー部15aを形成する方法はこれに限定されない。例えば、面状の加圧部材により突条部15の頂部を押し潰してアンカー部15aを形成してもよい。
・上記実施形態では、突条部15はシリンダボア11の内周面12側の基端部ほどその断面積が大きくなるものとしたが、突条部15はシリンダボア11の内側に突出していればこの形状でなくてもよく、例えば基端部から頂部まで略同じ幅で突出する形状としてもよい。
・上記実施形態では、突条部15はシリンダ軸方向と平行に形成したが、突条部15はシリンダ軸方向に沿った方向に形成すればよく、シリンダボア11の開口部からヒューム吸引する際にヒュームが引っ掛らない程度に螺旋状に形成してもよい。
・上記実施形態では、突条部15の頂部にシリンダ周方向に両側に突出するアンカー部15aを形成したが、アンカー部の形状はこれに限定されない。例えば、シリンダ周方向一方のみに突出した形状としてもよいし、突条部15の突出方向と異なり、且つシリンダ周方向から傾斜する方向に突出するように形成してもよい。
内燃機関のシリンダブロックの一部を示す(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図。 図1(a)のX部分拡大図。 シリンダブロックの製造工程を説明する図1(a)のX部分拡大図。 シリンダブロックの製造工程を説明するシリンダブロックの断面図。 シリンダブロックの製造工程を説明する図1(a)のX部分拡大図。 (a)〜(c)は突条部を説明する断面図。 突条部の突出高さ−引張密着強度特性図。 突条部の形成ピッチ−引張密着強度特性図。 ブラストエアー圧力−引張密着強度特性図。 従来のヒューム吸引の説明図。
符号の説明
10…シリンダブロック、11…シリンダボア、12…内周面、13…溶射皮膜、15…突条部、15a,15b,15c,15d…アンカー部、P…形成ピッチ、H…突出高さ。

Claims (11)

  1. シリンダボアの内周面に溶射皮膜が形成されるシリンダブロックにおいて、
    前記シリンダボアの内周面にはシリンダ軸方向に沿って延びる突条部が形成され、該突条部はその頂部に同突条部の突出方向と異なる方向に突出するアンカー部を有してなる
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  2. 前記突条部はその突出高さが0.1mm〜0.6mmの頂部を圧潰して前記アンカー部を形成してなる
    請求項1に記載のシリンダブロック。
  3. 前記シリンダボアの内周面にはシリンダ周方向に同形状の突条部が一定ピッチで形成される
    請求項1又は2に記載のシリンダブロック。
  4. 前記突条部は前記シリンダボアの内周面の全周にわたって形成される
    請求項1〜3のいずれかに1項に記載のシリンダブロック。
  5. 前記突条部は前記シリンダボアの内周面の全周にわたって連続的に形成される
    請求項4に記載のシリンダブロック。
  6. 前記突条部のシリンダ周方向における形成ピッチが0.8mm以下である
    請求項5に記載のシリンダブロック。
  7. 前記突条部は前記シリンダボアの内周面側の基端部ほどその断面積が大きくなるようにその側面が斜状に形成されてなる
    請求項1〜6に記載のシリンダブロック。
  8. シリンダボアの内周面に溶射皮膜が形成されるシリンダブロックの製造方法において、
    前記シリンダボアの内周面にシリンダ軸方向に沿って延びる突条部を形成する第1の工程と、
    前記突条部の頂部を圧潰して同突条部の突出方向と異なる方向に突出するアンカー部を形成する第2の工程とを含む
    ことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  9. 前記第1の工程において前記突条部の突出量が0.1mm〜0.6mmとなるようにこれを形成する
    請求項8記載のシリンダブロックの製造方法。
  10. 前記第1の工程において前記突条部をブローチ加工により形成する
    請求項8又は9に記載のシリンダブロックの製造方法。
  11. 前記第2の工程においてショットブラスト加工により前記突条部の頂部を圧潰する
    請求項8〜10のいずれか1項に記載のシリンダブロックの製造方法。
JP2004002301A 2004-01-07 2004-01-07 シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法 Expired - Fee Related JP3985786B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004002301A JP3985786B2 (ja) 2004-01-07 2004-01-07 シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004002301A JP3985786B2 (ja) 2004-01-07 2004-01-07 シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005194938A true JP2005194938A (ja) 2005-07-21
JP3985786B2 JP3985786B2 (ja) 2007-10-03

Family

ID=34817563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004002301A Expired - Fee Related JP3985786B2 (ja) 2004-01-07 2004-01-07 シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3985786B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006083456A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Nissan Motor Co Ltd 溶射前処理方法およびエンジンのシリンダブロック
JP2006083455A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Nissan Motor Co Ltd 溶射前処理形状および溶射前処理方法ならびにエンジンのシリンダブロック
JP2006097045A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Nissan Motor Co Ltd 溶射前処理方法およびエンジンのシリンダブロック
JP2011005549A (ja) * 2009-06-25 2011-01-13 Ford Global Technologies Llc 金属表面を粗くする方法
JP2011117079A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Sulzer Metco Ag 噴霧材料、熱噴霧層、並びに熱噴霧層を備えたシリンダ
JP4866917B2 (ja) * 2006-02-02 2012-02-01 ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト 溶射層用の表面調整方法
FR2973810A1 (fr) * 2011-04-08 2012-10-12 Peugeot Citroen Automobiles Sa Procede de preparation d'une surface interne d'un fut d'un carter-cylindres
CN105604722A (zh) * 2016-01-25 2016-05-25 重庆长安汽车股份有限公司 一种无缸套铝合金发动机缸体及其加工方法
WO2019174866A1 (de) * 2018-03-14 2019-09-19 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Verfahren zum bearbeiten eines kurbelgehäuses sowie bearbeitungsvorrichtung

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4586471B2 (ja) * 2004-09-17 2010-11-24 日産自動車株式会社 溶射前処理方法およびエンジンのシリンダブロック
JP2006083455A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Nissan Motor Co Ltd 溶射前処理形状および溶射前処理方法ならびにエンジンのシリンダブロック
JP2006083456A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Nissan Motor Co Ltd 溶射前処理方法およびエンジンのシリンダブロック
JP4507786B2 (ja) * 2004-09-17 2010-07-21 日産自動車株式会社 溶射前処理方法
JP4617806B2 (ja) * 2004-09-28 2011-01-26 日産自動車株式会社 溶射前処理方法
JP2006097045A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Nissan Motor Co Ltd 溶射前処理方法およびエンジンのシリンダブロック
JP4866917B2 (ja) * 2006-02-02 2012-02-01 ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト 溶射層用の表面調整方法
US8209831B2 (en) 2006-02-02 2012-07-03 Daimler Ag Surface conditioning for thermal spray layers
DE102006004769B4 (de) 2006-02-02 2022-05-25 Mercedes-Benz Group AG Oberflächenkonditionierung für thermische Spritzschichten
JP2011005549A (ja) * 2009-06-25 2011-01-13 Ford Global Technologies Llc 金属表面を粗くする方法
JP2011117079A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Sulzer Metco Ag 噴霧材料、熱噴霧層、並びに熱噴霧層を備えたシリンダ
FR2973810A1 (fr) * 2011-04-08 2012-10-12 Peugeot Citroen Automobiles Sa Procede de preparation d'une surface interne d'un fut d'un carter-cylindres
CN105604722A (zh) * 2016-01-25 2016-05-25 重庆长安汽车股份有限公司 一种无缸套铝合金发动机缸体及其加工方法
WO2019174866A1 (de) * 2018-03-14 2019-09-19 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Verfahren zum bearbeiten eines kurbelgehäuses sowie bearbeitungsvorrichtung
US11571752B2 (en) 2018-03-14 2023-02-07 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Method for machining a crankcase and machining device

Also Published As

Publication number Publication date
JP3985786B2 (ja) 2007-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3780840B2 (ja) 円筒内面の溶射前処理形状および溶射前処理方法
US8105133B2 (en) Airfoil mask, airfoil and mask system
US7882818B2 (en) Cylinder liner and engine
JP3985786B2 (ja) シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法
US8877285B2 (en) Process for repairing a cylinder running surface by means of plasma spraying processes
JP4097472B2 (ja) コンロッドの破断分割構造
KR101699788B1 (ko) 피스톤 링의 제조 방법
US10214803B2 (en) Method for machining a cylinder wall of an internal combustion engine
JP2002200562A (ja) ロータへの羽根の固定部の寿命を延ばすための方法
JP2006170203A (ja) 耐疲労性を有する金属部品、金属エーロフォイルならびにその製造方法
US10226787B2 (en) Method for coating a cylinder wall of an internal combustion engine
JP4984214B2 (ja) シリンダブロック用鉄系溶射薄膜及びシリンダブロック
US9862021B2 (en) Connecting rod for internal combustion engine
JP5499790B2 (ja) シリンダブロックの加工方法、シリンダブロック及び溶射用シリンダブロック
US7127813B2 (en) Method for the production of pistons having depression edge armoring, for internal combustion engines
US20180066349A1 (en) Method for coating a cylinder of an internal combustion engine, and cylinder for an internal combustion engine
JP4379277B2 (ja) 溶射前処理形状および溶射方法
JP2006250231A (ja) 打ち込み式ファスナー
JP4287180B2 (ja) アルミニウム基複合材製ライナ及びその製造方法
JP2010216628A (ja) オイルリング用線材
JP2005106271A (ja) 分割型コンロッド
US20200166001A1 (en) Thermal barrier cylinder liner insert
EP2169281B1 (en) Wire rod for i-type oil ring, and its manufacturing method
JP2002221078A (ja) アルミニウム合金製シリンダブロック及びその製造方法
JP2015218608A (ja) ピストンおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060711

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070410

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070702

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100720

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110720

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110720

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120720

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130720

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees