JPH09262609A - 圧延機におけるカップリングの支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 きわめて簡単な構造で上下のカップリングの
支持ができしかもロール組替えの作業も速やかに行える
カップリングの支持装置を提供すること。 【解決手段】 圧延機のハウジングに組み込まれる上下
のロールチョックの軸線方向の端面に対峙して位置し且
つ駆動用のスピンドルをロールチョックに保持されたロ
ールに連接させる上下一対のカップリングを受ける支持
装置であって、カップリングの上方及び下方の位置にそ
れぞれ独立して昇降動作可能な一対の支持装置を配置
し、上側配置の支持装置では上カップリングを吊り上げ
る状態でこれを保持できるようにし、下側配置の支持装
置では下カップリングを受載することによってそれぞれ
を保持する。また、上側配置の支持装置にはカップリン
グを吸着保持可能なマグネットを備えることによって支
持装置の昇降動作だけでカップリングの保持を可能とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、圧延機においてロ
ールを交換するときにこのロールを回転駆動用のスピン
ドルに連接しているカップリングを支持してロールの組
替え作業を行うためのカップリングの支持装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】圧延機において、圧延ロールをミルハウ
ジングから抜き取って新たな圧延ロールに組み替える作
業では、圧延ロールを回転駆動用のスピンドルに連接し
ているカップリングをミルハウジング側に保持しておく
必要がある。

【０００３】このようなロール組替えに際しては、ハウ
ジングに付帯した支持装置によってカップリングを仮置
きするようにして保持され、この支持装置として、たと
えば特公平２−４３５６３号公報に記載されたものがあ
る。

【０００４】この支持装置は、上ロールと下ロールのそ
れぞれのカップリングを受けるための上下のカップリン
グ支持器をそれぞれ独立して昇降動作可能にハウジング
に付帯し、これらのカップリング支持器のそれぞれを個
別に操作可能とすることによって、カップリングの下側
周面の２点を拘束して保持する構成としたものである。
そして、圧延機を運転して通板するときには、上下のカ
ップリング支持器を通板ラインの下方まで下降させた待
避位置に設定できる機構を備えている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上下のカッ
プリング支持器のそれぞれを独立して昇降駆動させる機
構が必要なので、ハウジングに付設する縦方向のフレー
ムや昇降装置等の駆動系の嵩が大きくなり、部品点数も
多くなる傾向にある。このため、圧延機の組み立てや保
守点検の負担が増加してしまう。

【０００６】また、圧延ロールの昇降ストロークが大き
い圧延設備の場合では、カップリング支持器とカップリ
ング自身とが干渉しないようにすることが重要な課題で
あり、これを避けるためにはカップリング支持器の昇降
動作が必要となり、構造がより一層複雑化する。

【０００７】更に、上下のロールの軸芯の間の距離を一
定にしてロール組替えを行う場合には、これらのロール
の両端をハウジング側に保持するためのロールチョック
の間に挟み込むスペーサの取り付けや抜き取りの作業が
煩雑になり、作業性に与える影響も大きい。そして、駆
動側のスピンドルも含めて交換する作業が必要なときに
は、カップリング支持器をその昇降用のフレームから取
り外す等の作業が必要となり、同様に作業性の面での障
害が大きい。

【０００８】このように従来のカップリングの支持装置
では、構造が複雑であってロールの組替えの条件によっ
ては支持装置までもハウジングから分解して取り外す等
の作業が必要となり、圧延ラインの停止による稼働率及
び生産性の向上の障害となっている。

【０００９】本発明において解決すべき課題は、きわめ
て簡単な構造で上下のカップリングの支持ができしかも
ロール組替えの作業も速やかに行えるカップリングの支
持装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、圧延機のハウ
ジングに組み込まれる上下のロールチョックの軸線方向
の端面に対峙して位置し且つ駆動用のスピンドルを前記
ロールチョックに保持されたロールに連接させる上下一
対のカップリングを受ける支持装置であって、前記カッ
プリングの上方及び下方の位置にそれぞれ独立して昇降
動作可能な一対の支持装置を配置し、上側配置の支持装
置は上カップリングを吊り上げる吊支機構を備え、下側
配置の支持装置は下カップリングを搭載する受載機構を
備えてなることを特徴とする。

【００１１】このような構成において、吊支機構は、カ
ップリングを吸着保持可能なマグネットを備えたものと
したり、カップリングの芯に対して通板方向にずれた位
置を回転支点とした支持アームを備えたものとしたり、
カップリングの上方よい挟み付ける支持アームを備えた
ものとすることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】上下のカップリングのそれぞれの
上方及び下方に支持装置を独立して昇降動作できるよう
に備えることによって、ハウジングの全体に及ぶような
支持装置を保持するためのフレーム等が不要となり、支
持装置のそれぞれをカップリングから離れた上方及び下
方に待避させる動作も可能なので、カップリング及びこ
れに連接する回転駆動用のスピンドルとの干渉も避けら
れる設備を得ることができる。

【００１３】また、上側配置の支持装置にマグネットを
備える場合では、支持装置が下降してこのマグネットで
カップリングを吸着させるだけの操作で済むので、支持
装置とカップリングとの間での機械的な接合のための動
作が不要となり、設備がより一層簡略化される。

【００１４】あるいは、上側配置の支持装置にカップリ
ングの芯に対して通板方向にずれた位置を回転支点とし
た支持アームを備える場合でも、あるいは、カップリン
グの上方より挟みつける支持アームを備える場合でも、
カップリング周辺のメンテナンススペースを広くとるこ
とが可能となり、特にスペーサの取付け及び取り外しが
容易に行える。

【００１５】

【実施例】図１は本発明のカップリングの支持装置を備
えた圧延機のハウジングを通板方向と直交する方向に駆
動サイド側から見た要部の正面図であって、ロールの組
替え時を示す図であり、図２は図１のＡ−Ａ線矢視図で
ある。

【００１６】図において、圧延機のハウジング１の上端
側の内部には昇降駆動させる圧下スクリュー２を備える
と共にバランスビーム３が組み込まれ、このバランスビ
ーム３に上ロールチョック４を上下に移動可能に連接
し、更にこの上ロールチョック４と圧下スクリュー２と
の間には圧下力を伝達するための台座２ａを配置してい
る。

【００１７】上ロールチョック４の下方には下ロールチ
ョック５を組み込み、これらの上下のロールチョック
４，５にはそれぞれ圧延ロールが回転可能に取り付けら
れている。そして、下ロールチョック５には複数のスペ
ーサ取付け軸６を設けてその上端には上ロールチョック
４の下面に突き当たるスペーサ６ａを取り付けられる構
造として、ロール組替え時にはスペーサ６ａを取り付
け、圧延時にはスペーサ６ａを取り外し、上ロールチョ
ック４の高さが圧延毎に変化したとしても、上ロールチ
ョック４の穴部６ｂにスペーサ取付け軸６が入り込んで
障害とならない。

【００１８】ロールの組替えは、後述する駆動用スピン
ドルとの連接を解除した後に、ハウジング１の内部まで
送り込んだロール組替え台車Ｖの上に下ロールチョック
５を搭載し、上ロールチョック４と共にハウジング１の
外に引き出すことによって行う。そして、新たなロール
を組み込んだチョックを再びロール組替え台車Ｖに搭載
してハウジング１の中に搬入することで、ロールの組替
えが行われる。

【００１９】一方、上下のロールチョック４，５にそれ
ぞれ保持されたロールを駆動用のスピンドルに連接する
ためのカップリング７，８がスピンドルの先端に取り付
けられ、これらのカップリング７，８は上下のロールチ
ョック４，５の端面に対峙した位置に設定されている。
そして、ロールの組替えの際には、カップリング７，８
はピン９ａ，１０ａによってそれぞれ連接したスピンド
ル９，１０の先端で自由端となっているので、これらの
カップリング７，８を受けて支持するための支持装置１
１，１２をハウジング１の端面に備える。

【００２０】上段配置のカップリング７を支持する支持
装置１１は、昇降シリンダ１１ａによって昇降駆動され
る磁石（図示せず）を内蔵した支持ヘッド１１ｂとこの
支持ヘッド１１ｂの下面に設けられカップリング７を磁
束によって吸着するマグネット１１ｃとを備えたもので
ある、マグネット１１ｃは、支持ヘッド１１ｂに設けた
シリンダ１１ｄに連接したレバー１１ｅによって磁束の
流れを替えてマグネット１１ｃのオン・オフを行ってお
り、図１に示すレバー１１ｅの姿勢のときにマグネット
１１ｃよりカップリング７に磁束が流れて吸着する。一
方、レバー１１ｅをシリンダ１１ｄにより時計方向に回
すと、磁束はマグネット１１ｃには流れず、このマグネ
ット１１ｃとカップリング７は吸着せず、切り離される
ことになる。

【００２１】また、下段配置の支持装置１２は、スピン
ドル８の真下に位置してハウジング１の端面に固定した
昇降シリンダ１２ａのロッド１２ｂの上端にスピンドル
８の下面を受載するためのサポート１２ｃを設けたもの
である。

【００２２】以上の構成において、ロール組替えの作業
は、図１に示すようにハウジング１の中にロール組替え
台車Ｖを送り込んで下ロールチョック５を搭載すると同
時に、支持装置１１ではその支持ヘッド１１ｂを下降さ
せると共にシリンダ１１ｄによってマグネット１１ｃを
オンさせ、カップリング７を吸着して保持する。また、
下側の支持装置１２では昇降シリンダ１２ａによってサ
ポート１２ｂを上昇させてカップリング８の下面を搭載
してこれを支持する。

【００２３】このように、ハウジング１の上端及び下端
からそれぞれ下降及び上昇動作するマグネット１１ｃ及
びサポート１２ｂによって上下のカップリング７，８を
支持することができ、この支持の間に上下のロールチョ
ック４，５をハウジング１から引き出してロールを組み
替えることができる。そして、新たなロールを組み込ん
だ上下のロールチョック４，５をハウジング１の中に搬
入して固定した後には、昇降シリンダ１１ａによって支
持ヘッド１１ｂを上昇させると共に昇降シリンダ１２ａ
によってサポート１２ｂを下降させることで、支持装置
１１，１２をカップリング７，８から待避させる。

【００２４】以上のように、ハウジング１の上下に配置
した支持装置１１，１２の昇降動作によってそれぞれカ
ップリング７，８の支持及び待避の動作が可能であり、
従来の昇降式の支持装置に比べると構造の簡略化が図ら
れる。

【００２５】また、スペーサ６ａを取り付ける作業で
は、図３に示すように上側の支持装置１１の支持ヘッド
１１ｂを上昇させた位置に待避させる。これにより、カ
ップリング７を支持装置１１に干渉させることなく上ロ
ールチョック４をハウジング１内で上昇させることがで
き、下ロールチョック５との間の間隔を広げることがで
き、この間にスペーサ６ａの取付け作業を行うことがで
きる。この作業を行うためのスペースが広く取れるの
で、スペーサ取付け軸６へのスペーサ６ｂの取付け及び
取り外しを短時間の内に終えることができ、ロール組替
えに要する時間の短縮が可能となると共に安全作業も確
保される。

【００２６】更に、支持装置１１，１２をそれぞれ待避
位置に設定すれば、カップリング７，８の上下方向の動
きには全く干渉しない。したがって、ハウジング１に組
み込まれるロールの昇降ストロークが大きな圧延機であ
っても、カップリング７，８の位置設定に支持装置１
１，１２が邪魔になることがなく、ロールのストローク
設定値に制限を受けることのない設備とすることができ
る。

【００２７】また、スピンドル１０，１１を交換する場
合でも、支持装置１１，１２はこれらのスピンドル９，
１０とも干渉しない待避位置に設定できるので、交換作
業の度に支持装置９をハウジング１から取り外したり分
解したりする作業は不要となる。したがって、ロールの
組替え作業だけでなく、スピンドル１０，１１の交換作
業においても、その作業性が向上し短時間での交換が可
能となる。

【００２８】図４は上側配置のカップリング７をマグネ
ット１１ｃによる吸着保持ではなく機械的に吊り上げる
構成とした例を示す要部の正面図、図５は図４の左側面
図である。

【００２９】先の例と同様にカップリング７の真上に位
置する部分のハウジング１の端面に支持装置１３が配置
され、この支持装置１３は昇降シリンダ１３ａとそのロ
ッド１３ｂの下端に図５において左右方向に揺動可能に
取り付けたフック１３ｃとから構成されたものである。
フック１３ｃはその下端部に凹部１３ｄを形成したもの
であり、一方カップリング７の端面には図６に示すよう
に凹部１３ｄの中に入り込む係合突起７ａを一体に設け
ておく。

【００３０】このような支持装置１３ではロッド１３ｂ
を下降させていき、フック１３ｃがカップリング７の周
面に突き当たったときにはロッド１３ｂとの間での揺動
可能な連接を利用してカップリング７の外郭にフック１
３ｃを倣わせながら下降させることができる。そして、
フッ１３ｃが所定の高さまで下降すれば、図６の（ｂ）
に示すよう凹部１３ｄの中に係合突起７ａを入り込ませ
ることができる。これにより、カップリング７はフック
１３ｄによって保持されることになり、ロール組替え作
業の間を通じてカップリング７は支持装置１３によって
吊り上げられた状態で支持される。

【００３１】この吊り上げ式の支持装置１３であって
も、先の例と同様にロール組替え作業の時間の短縮が可
能となるほか、設備も従来例で挙げたものに比べると格
段に簡単になる。

【００３２】図７は上側配置のカップリング７をマグネ
ット１１ｃによる吸着保持ではなく機械的に支持する方
法を示す要部の正面図である。

【００３３】カップリング７の芯に対して通板方向にず
れた位置を回転支点とした片持ち式の支持アーム１５を
備えて、この支持アーム１５を揺動操作用のシリンダ１
４に連接したものであり、図はロール組替え時でカップ
リング７を支持アーム１５で保持した状態を示す。

【００３４】圧延時においては、支持アーム１５はカッ
プリング７の周面側から斜め下方に退避した位置となる
ような姿勢をとり、これらの支持装置はカップリング７
及びスピンドルとの干渉がないように設定できる。

【００３５】この片持ち式の支持アーム１５であって
も、先の例と同様にロール組替え作業時間の短縮が可能
となるほか、設備も従来例で挙げたものに比べると格段
に簡単になる。

【００３６】図８も上側配置のカップリング７をマグネ
ット１１ｃによる吸着保持ではなく機械的に支持する方
法を示す要部の正面図である。

【００３７】カップリング７の上方より挟みつける支持
アーム１６を備えて、この支持アーム１６を開閉操作用
のシリンダ１７に連接したものであり、図はロール組替
え時でカップリング７を支持アーム１６にて保持した状
態を示す。

【００３８】圧延時においては、支持アーム１５はカッ
プリング７の周面側から左右上方に退避した位置となる
ような姿勢をとり、これらの支持装置はカップリング７
及びスピンドルとの干渉がないように設定できる。

【００３９】この挟み式の支持アーム１６であっても、
先の例と同様にロール組替え作業時間の短縮が可能とな
るほか、設備も従来例で挙げたものに比べると格段に簡
単になる。

【００４０】

【発明の効果】本発明では、上下のカップリングを保持
するための支持装置をそれぞれ独立してこれらのカップ
リングの上方及び下方に配置するので、ハウジングの全
体に及ぶような支持装置用の保持フレーム等が不要とな
り、設備が簡略化される。そして、上側配置の支持装置
にマグネットを備えるものでは、支持装置の下降動作だ
けでカップリングを吸着保持することができるので、支
持装置とカップリングとを機械的な接合するものに比べ
るとより一層設備が簡単になる。

【００４１】また、支持装置をその待避位置に設定した
ときには、ハウジング側に連接されているカップリング
と干渉しないので、ロールの昇降ストロークが大きな設
備にも対応でき、汎用性の向上も図られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のカップリングの支持装置を備えた圧
延機の要部を駆動側から見た正面図である。

【図２】 図２のＡ−Ａ線矢視図である。

【図３】 上側の支持装置を上方に待避させて上ロール
チョックを上昇させた状態を示す要部の正面図である。

【図４】 上側配置のカップリングを吊り上げ式によっ
て保持する支持装置の例を示す要部の正面図である。

【図５】 図４の左側面図である。

【図６】 同図の（ａ）はカップリングの端面に設ける
係合突起の位置を示すための正面図、同図の（ｂ）は係
合突起とフックとの係合を示す要部の概略縦断面図であ
る。

【図７】 上側配置のカップリングを片持ち式の支持ア
ームによって保持する構成を示す要部の正面図である。

【図８】 上側配置のカップリングを挟み式の支持アー
ムによって保持する構成を示す要部の正面図である。

【符号の説明】

１ ：ハウジング ２ ：圧下スクリュー ２ａ：台座 ３ ：バランスビーム ４ ：上ロールチョック ５ ：下ロールチョック ６ ：スペーサ取付け軸 ６ａ：スペーサ ７ ：カップリング ７ａ：係合突起 ８ ：カップリング ９ ：スピンドル １０ ：スピンドル １１ ：支持装置 １１ａ：昇降シリンダ １１ｂ：支持ヘッド １１ｃ：マグネット １１ｄ：シリンダ １１ｅ：レバー １２ ：支持装置 １２ａ：昇降シリンダ １２ｂ：ロッド １２ｃ：サポート １３ ：支持装置 １３ａ：昇降シリンダ １３ｂ：ロッド １３ｃ：フック １３ｄ：凹部 １４ ：揺動操作用のシリンダ １５ ：支持アーム １６ ：支持アーム １７ ：開閉操作用のシリンダ Ｖ ：ロール組替え台車

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧延機のハウジングに組み込まれる上下
   のロールチョックの軸線方向の端面に対峙して位置し且
   つ駆動用のスピンドルを前記ロールチョックに保持され
   たロールに連接させる上下一対のカップリングを受ける
   支持装置であって、前記カップリングの上方及び下方の
   位置にそれぞれ独立して昇降動作可能な一対の支持装置
   を配置し、上側配置の支持装置は上カップリングを吊り
   上げる吊支機構を備え、下側配置の支持装置は下カップ
   リングを搭載する受載機構を備えてなる圧延機における
   カップリング支持装置。
2. 【請求項２】 前記吊支機構は、前記カップリングを吸
   着保持可能なマグネットを備えてなる請求項１記載の圧
   延機におけるカップリング支持装置。
3. 【請求項３】 前記吊支機構は、前記カップリングを該
   カップリングの芯に対して通板方向にずれた位置を回転
   支点とした支持アームを備えてなる請求項１記載の圧延
   機におけるカップリング支持装置。
4. 【請求項４】 前記吊支機構は、前記カップリングを該
   カップリングの上方より挟みつける支持アームを備えて
   なる請求項１記載の圧延機におけるカップリング支持装
   置。