JPH09262281A - 生体活性インプラント材及びその製造方法 - Google Patents
生体活性インプラント材及びその製造方法Info
- Publication number
- JPH09262281A JPH09262281A JP8103170A JP10317096A JPH09262281A JP H09262281 A JPH09262281 A JP H09262281A JP 8103170 A JP8103170 A JP 8103170A JP 10317096 A JP10317096 A JP 10317096A JP H09262281 A JPH09262281 A JP H09262281A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- glass
- implant material
- bone
- biologically active
- substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Materials For Medical Uses (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い生体活性を示すとともに、機械的強度等
の特性に優れ、また材料自体の破壊が起こり難い生体活
性インプラント材と、その製造方法を提供する。 【解決手段】 SiO2 含有ガラス又は結晶化ガラスか
らなる基材の表面に、アルカリシリケートを含む被膜が
形成されてなることを特徴とする。このようなインプラ
ント材を製造するには、SiO2 含有ガラス又は結晶化
ガラスからなる基材をアルカリ溶液に浸漬すればよい。
の特性に優れ、また材料自体の破壊が起こり難い生体活
性インプラント材と、その製造方法を提供する。 【解決手段】 SiO2 含有ガラス又は結晶化ガラスか
らなる基材の表面に、アルカリシリケートを含む被膜が
形成されてなることを特徴とする。このようなインプラ
ント材を製造するには、SiO2 含有ガラス又は結晶化
ガラスからなる基材をアルカリ溶液に浸漬すればよい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工骨、人工股関節、
人工歯根等の生体代替材料として有用な生体活性インプ
ラント材と、その製造方法に関するものである。
人工歯根等の生体代替材料として有用な生体活性インプ
ラント材と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、人工骨、人工股関節、人工歯
根等の生体代替材料として、生体活性を示すインプラン
ト材が種々知られている。例えばCaO−P2 O5 −S
iO2−MgO系ガラス又は結晶化ガラス、アパタイト
焼結体、これらの生体活性材料をTi等の基材に溶射又
は焼き付けて被膜を形成したもの等が知られている。
根等の生体代替材料として、生体活性を示すインプラン
ト材が種々知られている。例えばCaO−P2 O5 −S
iO2−MgO系ガラス又は結晶化ガラス、アパタイト
焼結体、これらの生体活性材料をTi等の基材に溶射又
は焼き付けて被膜を形成したもの等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらガラスや
結晶化ガラスからなるインプラント材は、生体活性を示
す組成系が限られており、組成選択の自由度が小さい。
このため他の特性、例えば機械的強度や成形性の改善に
は限界がある。
結晶化ガラスからなるインプラント材は、生体活性を示
す組成系が限られており、組成選択の自由度が小さい。
このため他の特性、例えば機械的強度や成形性の改善に
は限界がある。
【0004】アパタイト焼結体からなるインプラント材
は機械的強度が不充分である。
は機械的強度が不充分である。
【0005】また、生体活性材料からなる被膜を有する
インプラント材は、被膜内部又は基材との界面で剥離が
生じ易いという欠点がある。
インプラント材は、被膜内部又は基材との界面で剥離が
生じ易いという欠点がある。
【0006】本発明の目的は、高い生体活性を示すとと
もに、機械的強度等の特性に優れ、また材料自体の破壊
が起こり難い生体活性インプラント材と、その製造方法
を提供することである。
もに、機械的強度等の特性に優れ、また材料自体の破壊
が起こり難い生体活性インプラント材と、その製造方法
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の生体活性インプ
ラント材は、SiO2 含有ガラス又は結晶化ガラスから
なる基材の表面に、アルカリシリケートを含む被膜が形
成されてなることを特徴とする。
ラント材は、SiO2 含有ガラス又は結晶化ガラスから
なる基材の表面に、アルカリシリケートを含む被膜が形
成されてなることを特徴とする。
【0008】また本発明の生体活性インプラント材の製
造方法は、SiO2 含有ガラス又は結晶化ガラスからな
る基材をアルカリ溶液に浸漬することにより、基材表面
にアルカリシリケートを含む被膜を形成することを特徴
とする。
造方法は、SiO2 含有ガラス又は結晶化ガラスからな
る基材をアルカリ溶液に浸漬することにより、基材表面
にアルカリシリケートを含む被膜を形成することを特徴
とする。
【0009】
【作用】本発明の生体活性インプラント材は、生体内に
埋入すると、被膜のアルカリシリケートからアルカリ成
分が溶出し、材料近傍の体液のpHを上昇させて、アパ
タイトを析出させ易くする。またアルカリシリケートの
アルカリ成分が溶出するとシリカゲルが生成する。この
シリカゲルが核となって材料表面に骨類似のアパタイト
層が生成し、自然骨と強固に結合する。
埋入すると、被膜のアルカリシリケートからアルカリ成
分が溶出し、材料近傍の体液のpHを上昇させて、アパ
タイトを析出させ易くする。またアルカリシリケートの
アルカリ成分が溶出するとシリカゲルが生成する。この
シリカゲルが核となって材料表面に骨類似のアパタイト
層が生成し、自然骨と強固に結合する。
【0010】次に、本発明の生体活性インプラント材を
製造する方法について述べる。
製造する方法について述べる。
【0011】まず、所望の形状を有するSiO2 含有ガ
ラス又は結晶化ガラスからなる基材を用意する。これら
のガラス又は結晶化ガラスは、有毒な成分を含まない限
り、組成系や各成分の含有量には特に制限はない。具体
的には、SiO2 の他に、TiO2 、Na2 O、Mg
O、P2 O5 、Ta2 O3 、Nb2 O3 、ZrO2 、A
l2 O3 、SnO2 、CaO、Li2 O等の成分がガラ
ス組成として使用できる。このため組成選択の自由度が
大きく、所望の特性を有するガラス又は結晶化ガラスが
使用可能となる。またSiO2 の含有量は30重量%以
上であることが望ましく、これより少なくなるとアルカ
リシリケートの生成量が少なくなり、生体活性が低下し
易くなる。なお、基材の強度を向上させるために、ガラ
ス又は結晶化ガラス中に、アルミナ、ジルコニア等の微
粒子を分散させておいてもよい。
ラス又は結晶化ガラスからなる基材を用意する。これら
のガラス又は結晶化ガラスは、有毒な成分を含まない限
り、組成系や各成分の含有量には特に制限はない。具体
的には、SiO2 の他に、TiO2 、Na2 O、Mg
O、P2 O5 、Ta2 O3 、Nb2 O3 、ZrO2 、A
l2 O3 、SnO2 、CaO、Li2 O等の成分がガラ
ス組成として使用できる。このため組成選択の自由度が
大きく、所望の特性を有するガラス又は結晶化ガラスが
使用可能となる。またSiO2 の含有量は30重量%以
上であることが望ましく、これより少なくなるとアルカ
リシリケートの生成量が少なくなり、生体活性が低下し
易くなる。なお、基材の強度を向上させるために、ガラ
ス又は結晶化ガラス中に、アルミナ、ジルコニア等の微
粒子を分散させておいてもよい。
【0012】次に基材表面をアルカリ溶液中に浸漬す
る。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化カルシウム等の水溶液が使用可能であ
る。基材表面をアルカリ溶液で処理すると、ガラス中の
SiO2 成分と溶液中のアルカリ成分が反応してアルカ
リシリケートを含む被膜が形成される。このようにして
形成された被膜は、基材がアルカリ溶液で侵食されるこ
とによって生成したものであるため、非常に薄く、しか
も基材中心に向かうに従って反応生成物であるアルカリ
シリケートの含有量が連続的に減少する傾斜構造をとっ
ており、基材と一体化している。
る。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化カルシウム等の水溶液が使用可能であ
る。基材表面をアルカリ溶液で処理すると、ガラス中の
SiO2 成分と溶液中のアルカリ成分が反応してアルカ
リシリケートを含む被膜が形成される。このようにして
形成された被膜は、基材がアルカリ溶液で侵食されるこ
とによって生成したものであるため、非常に薄く、しか
も基材中心に向かうに従って反応生成物であるアルカリ
シリケートの含有量が連続的に減少する傾斜構造をとっ
ており、基材と一体化している。
【0013】なお被膜形成後に、インプラント材をガラ
ス又は結晶化ガラスの軟化点以下の温度で熱処理する
と、被膜を安定化することが可能である。さらにカルシ
ウムとリンを含む溶液中に浸漬して、前記被膜上にアパ
タイトを含む表面層を形成しておくと、より早期に自然
骨と結合させることができる。
ス又は結晶化ガラスの軟化点以下の温度で熱処理する
と、被膜を安定化することが可能である。さらにカルシ
ウムとリンを含む溶液中に浸漬して、前記被膜上にアパ
タイトを含む表面層を形成しておくと、より早期に自然
骨と結合させることができる。
【0014】
(実施例1)まず、基材として重量百分率でSiO2
65%、ZrO2 15%、CaO5%、Na2 O 1
5%の組成を有し、10×10×1mmの大きさのガラ
スを用意した。次にこの基材を、60℃のNaOH水溶
液(1モル)5mlに24時間浸漬した後、蒸留水で洗
浄した。得られた試料を薄膜X線回折装置にて評価した
ところ、基材表面にナトリウムシリケートを主成分とす
る被膜の形成が確認された。
65%、ZrO2 15%、CaO5%、Na2 O 1
5%の組成を有し、10×10×1mmの大きさのガラ
スを用意した。次にこの基材を、60℃のNaOH水溶
液(1モル)5mlに24時間浸漬した後、蒸留水で洗
浄した。得られた試料を薄膜X線回折装置にて評価した
ところ、基材表面にナトリウムシリケートを主成分とす
る被膜の形成が確認された。
【0015】次に、作製した試料を用いて骨との接着性
及び被膜の強度を評価した。
及び被膜の強度を評価した。
【0016】接着性の評価方法は、生体中の体液と同じ
イオン濃度になるように調製した疑似体液に試料を浸漬
し、アパタイト層が生成するかどうかを観察することに
よって行った。その結果、浸漬後7日目でアパタイト層
の生成が確認できた。
イオン濃度になるように調製した疑似体液に試料を浸漬
し、アパタイト層が生成するかどうかを観察することに
よって行った。その結果、浸漬後7日目でアパタイト層
の生成が確認できた。
【0017】また被膜の強度については引き剥がし試験
によって評価した。まず試料の表面に接着剤で治具を接
着した後、治具と試料との引き剥がし強度を測定したと
ころ、100MPaで治具と接着剤の界面で剥離が起こ
った。この事実から、被膜の強度は、100MPa以上
であると考えられる。
によって評価した。まず試料の表面に接着剤で治具を接
着した後、治具と試料との引き剥がし強度を測定したと
ころ、100MPaで治具と接着剤の界面で剥離が起こ
った。この事実から、被膜の強度は、100MPa以上
であると考えられる。
【0018】なお基材を用いて骨との接着性を評価した
ところ、浸漬後14日を経過してもアパタイト層は全く
生成しなかった。
ところ、浸漬後14日を経過してもアパタイト層は全く
生成しなかった。
【0019】(実施例2)まず、基材として重量百分率
でSiO2 80%、Li2 O 17%、P2 O5 3
%の組成を有し、10×10×1mmの大きさの結晶化
ガラス(主結晶:Li2 O・2SiO2 )を用意した。
次にこの基材に実施例1と同様の方法で被膜を形成し
た。
でSiO2 80%、Li2 O 17%、P2 O5 3
%の組成を有し、10×10×1mmの大きさの結晶化
ガラス(主結晶:Li2 O・2SiO2 )を用意した。
次にこの基材に実施例1と同様の方法で被膜を形成し
た。
【0020】この試料について実施例1と同様にして骨
との接着性及び被膜の強度を評価したところ、浸漬後7
日目でアパタイトが生成し、また被膜の強度は100M
Pa以上であった。
との接着性及び被膜の強度を評価したところ、浸漬後7
日目でアパタイトが生成し、また被膜の強度は100M
Pa以上であった。
【0021】なお基材を用いて骨との接着性を評価した
ところ、浸漬後14日を経過してもアパタイト層は全く
生成しなかった。
ところ、浸漬後14日を経過してもアパタイト層は全く
生成しなかった。
【0022】
【発明の効果】本発明の生体活性インプラント材は、高
い生体活性を示すとともに、被膜が基材と一体化してい
るために、材料自体の破壊が起こり難い。また基材に適
当なガラス又は結晶化ガラスを使用することによって所
望の特性を得ることができる。
い生体活性を示すとともに、被膜が基材と一体化してい
るために、材料自体の破壊が起こり難い。また基材に適
当なガラス又は結晶化ガラスを使用することによって所
望の特性を得ることができる。
【0023】また本発明の方法によれば、高い生体活性
を示すとともに、機械的強度等の特性に優れ、また材料
自体の破壊が起こり難い生体活性インプラント材を高価
で複雑な装置を使用することなく製造することが可能で
ある。
を示すとともに、機械的強度等の特性に優れ、また材料
自体の破壊が起こり難い生体活性インプラント材を高価
で複雑な装置を使用することなく製造することが可能で
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 SiO2 含有ガラス又は結晶化ガラスか
らなる基材の表面にアルカリシリケートを含む被膜が形
成されてなることを特徴とする生体活性インプラント
材。 - 【請求項2】 SiO2 含有ガラス又は結晶化ガラスか
らなる基材をアルカリ溶液中に浸漬することにより、基
材表面にアルカリシリケートを含む被膜を形成すること
を特徴とする生体活性インプラント材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8103170A JPH09262281A (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 生体活性インプラント材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8103170A JPH09262281A (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 生体活性インプラント材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09262281A true JPH09262281A (ja) | 1997-10-07 |
Family
ID=14347040
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8103170A Pending JPH09262281A (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 生体活性インプラント材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09262281A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002532202A (ja) * | 1998-12-18 | 2002-10-02 | クリストファー ニードハルト | 生物活性インプラント及びその製造方法 |
-
1996
- 1996-03-28 JP JP8103170A patent/JPH09262281A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002532202A (ja) * | 1998-12-18 | 2002-10-02 | クリストファー ニードハルト | 生物活性インプラント及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR0149134B1 (ko) | 뼈 대체재료와 그 제조방법 | |
US5068122A (en) | Process for forming a bioactive hydroxyapatite film | |
Strnad | Role of the glass phase in bioactive glass-ceramics | |
Hench et al. | Molecular control of bioactivity in sol-gel glasses | |
Kokubo et al. | Spontaneous formation of bonelike apatite layer on chemically treated titanium metals | |
JP2795824B2 (ja) | チタン系インプラントの表面処理方法及び生体親和性チタン系インプラント | |
JP2009067669A (ja) | 金属基材上にタンパク質媒介カルシウムヒドロキシアパタイト(hap)コーティングを作製する方法 | |
JP3461818B2 (ja) | 硬組織修復材及びその製造方法 | |
Nordström et al. | Physics of bone bonding mechanism of different surface bioactive ceramic materials in vitro and in vivo | |
EP1338292A1 (en) | Osteoconductive biomaterial and method for its production | |
JPH09262281A (ja) | 生体活性インプラント材及びその製造方法 | |
JPH09262280A (ja) | 生体活性インプラント材及びその製造方法 | |
JP2775523B2 (ja) | 骨代替材料とその製造方法 | |
JPH10179718A (ja) | 生体インプラント材料及びその製造方法 | |
JP4472805B2 (ja) | 炭酸カルシウム複合体および生体適合性材料 | |
JPH0773600B2 (ja) | 生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法 | |
JP4625943B2 (ja) | 骨代替材料及びその製造方法 | |
JP2535662B2 (ja) | 生体活性水酸アパタイト膜の製造方法 | |
JPH09238965A (ja) | 骨修復材料及びアパタイト膜付き骨修復材料並びにそれらの製造方法 | |
Kędzia et al. | Glass and glass-ceramic porous materials for biomedical applications | |
JPH10179719A (ja) | 生体インプラント材料及びその製造方法 | |
JPH10243997A (ja) | 生体インプラント材料の製造方法 | |
Mortin et al. | Primary bone-derived cell colonization of unconditioned and pre-conditioned Bioglass 45S5 surfaces in vitro | |
JPH01265969A (ja) | 生体用材料及びその製造方法 | |
JPS59500501A (ja) | 生物活性材料より成る人工補整器または人工補整器部材について生物不活性部分領域を製造する方法並びにそれから製造される人工補整器 |