JPH09262100A - テロメラーゼ活性の存在を測定することによる尿試料中のヒト膀胱癌細胞の検出方法 - Google Patents

テロメラーゼ活性の存在を測定することによる尿試料中のヒト膀胱癌細胞の検出方法

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JPH09262100A
JPH09262100A JP17495696A JP17495696A JPH09262100A JP H09262100 A JPH09262100 A JP H09262100A JP 17495696 A JP17495696 A JP 17495696A JP 17495696 A JP17495696 A JP 17495696A JP H09262100 A JPH09262100 A JP H09262100A
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cells
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telomerase
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JP17495696A
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Brian Liu
リウ ブライアン
Elizabeth Kaveler
カヴェラー エリザベス
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SINAI SCHOOL MEDICINE, University of
Icahn School of Medicine at Mount Sinai
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SINAI SCHOOL MEDICINE, University of
Mount Sinai School of Medicine
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    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/574Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膀胱癌の検出のためのより鋭敏で特異的な非
侵襲性のアッセイを開発する。 【解決手段】 患者から回収された尿試料中の膀胱癌細
胞を検出するための方法であって、テロメラーゼ活性を
測定することを含み、テロメラーゼ活性の増加が試料中
の膀胱癌細胞の存在と正の関連性を有する前記方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、患者から回収され
た細胞学的試料における膀胱癌細胞を検出するための方
法に関し、該方法はテロメラーゼ活性を測定することを
含み、テロメラーゼ活性の増加が試料中の膀胱癌細胞の
存在と正の関連を有するものである。
【0002】
【従来の技術】発明の背景 1.細胞増殖及びテロメラーゼ活性 1973年にOlovnikovは、細胞が各複製においてDNA の末
端部分で少量のDNAを失うと提唱した。親DNAの3'から5'
への(リーディング)鎖は連続的にコピーされるが、親
DNAの5'から3'への(ラギング)鎖は岡崎フラグメント
として非連続的にコピーされる。各フラグメントは、RN
A プライマーによりプライミングされ、これはその後分
解される。そのフラグメントは、次にその複製フォーク
の背後で働くDNA 修復酵素によって結合される。ラギン
グ鎖の3'末端は不完全にコピーされたまま残り、失われ
ることになる。ヌクレオチドのこの部分は、テロメアと
呼ばれる(Blackburn, 1991, Trends Biol. Sci. 16:37
8) 。
【0003】細胞は、親DNAの配列が消失する前にこれ
らのテロメアの有限な数しか失ってはならず、クロモソ
ームの不安定さとその後の細胞の死滅を招く(Harley, 1
991,Mutation Res. 256:271)。50〜200のヌクレオチド
が、複製の各サイクルで失われる(Blackburn, 1991, Na
ture 350:569)。生殖細胞テロメアは、複数回の複製に
もかかわらず発現され、テロメア長を維持する酵素であ
るテロメラーゼをそれらが生成することを示唆している
(Hastieet al., 1990, Nature 346:866)。テロメア配列
は、テロメラーゼと呼ばれるリボヌクレオタンパク質に
よって合成される。
【0004】テロメアの長さとテロメラーゼ活性は、細
胞の複製の来歴を示すものであるようである。テロメラ
ーゼは、生殖細胞の他にヒト腫瘍不死細胞系中にみられ
るが、通常の体細胞中には見られない。死を免れない体
細胞が不死の腫瘍細胞へ形質転換することにおいてテロ
メラーゼ活性化が鍵となる役割を演ずる可能性がある(H
aber, 1995, N. Engl. J. Med. 332:955)。
【0005】Kim 及びその共同研究者は、癌とテロメラ
ーゼの発現との間の関連性を報告した(Kim et al., 199
4, Science 266:2011-2015)。彼のグループは、広範な
種類の癌の組織標本及び不死細胞系からテロメラーゼ活
性を同定しており、テロメラーゼ活性を発現した悪性腫
瘍組織としては、皮膚、結合組織、脂肪組織、乳房、
肺、胃、膵臓、卵巣、子宮頸部、子宮、腎臓、膀胱、大
腸、前立腺、神経系組織及び血液細胞がある。
【0006】Bednarek et al. (1995, Cancer Res. 55:
4566-4569)は、マウス皮膚の化学的発癌系中で、テロメ
ラーゼ活性が悪性前の腫瘍進行に比例して増加したと報
告した。West et al. によるアメリカ特許第5,489,508
号は、テロメア長及び/またはテロメラーゼ活性に関連
する症状の治療と診断に関する。悪性腫瘍とテロメラー
ゼ活性との間の関連性が記述されているが、テロメラー
ゼアッセイを尿標本中の剥離した膀胱癌細胞の鋭敏で特
異的な検出手段として使用できることは何等開示されて
いない。
【0007】2.現在の膀胱癌を診断するための方法 現在の膀胱癌の診断方法は適当なものではない。血尿は
膀胱癌にかかった患者中に最も共通して示される症状で
あるが、これは非特異的な研究的所見であって、良性の
疾患の患者に起こることがあり得る。血尿を示す患者の
診断の最初の段階は、排泄された尿試料の細胞学的分析
である。しかし細胞学的検査は多数の短所を持ち、その
最も重大なものは、良性の症状の患者における非定型性
の高い比率と、特に低段階の腫瘍を有する患者における
間違った陰性の結果である。低段階の膀胱腫瘍に使用で
きる診断試験が排泄された尿の細胞学のみであると、25
%の患者しか正しい診断が得られない(Gamarra and Zei
n, 1984, Supplement to Urology 23(3):23)。従って、
典型的には、侵襲性の方法である手術前の膀胱鏡検査が
尿の細胞学的検査とともに行われてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】膀胱癌の検出のための
より鋭敏で特異的な非侵襲性のアッセイの必要性を考慮
して、我々は血尿を示す患者の排泄された尿からの剥離
した細胞中のテロメラーゼ活性のレベルを測定し、テロ
メラーゼ活性の増加が膀胱癌の診断との強い関連性を有
し、従来の細胞学と比較して間違った陽性あるいは間違
った陰性の結果が有意に少ない方法を開発した。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明の概要 本発明は、膀胱癌の存在について評価する患者からの尿
試料をテロメラーゼ活性について測定する診断方法に関
する。テロメラーゼ活性の存在が、従来の細胞学的分析
と比較して、膀胱癌細胞、特に低段階の膀胱癌細胞の存
在のより鋭敏で特異的な指示手段であることが見出され
た。テロメラーゼアッセイの結果の増強された感度及び
特異性により、間違った陰性の細胞学結果を示すような
患者においても、侵襲性の膀胱鏡検査の実施を不必要な
ものとして回避することができる。
【0010】図の説明 図1: アッセイの感度:検出の感度の測定には、侵襲
性(T24)膀胱癌細胞からの細胞抽出物中のテロメラーゼ
活性の同定を使用した。細胞ライゼートは既知の数の細
胞から抽出し、テロメラーゼ反復増幅プロトコル(TRAP)
アッセイを行ってテロメアを増幅した。この方法によ
り、テロメラーゼ活性を確認するためには試料あたり50
の侵襲性腫瘍細胞があればよいことが確認できた。 図2: アッセイの感度:表面(RT4) 膀胱癌細胞からの
細胞抽出物を使用した場合、テロメラーゼ活性をTRAPア
ッセイで確認するためには試料あたり200の表面腫瘍細
胞があればよいことが確認できた。 図3: 排泄された尿標本からの剥離した細胞を、軽度
の血尿を起こしている患者、及び血尿を示す前立腺癌の
一人の患者から得た。レーン1:対照としてのT24膀胱
癌細胞である。レーン2〜レーン4は、軽度の血尿を起
こしている患者番号2〜4である。レーン5は溶解バッ
ファーであって、陰性の対照である。 図4: 種々の段階の膀胱癌を有する患者の排泄された
尿試料からの剥離した細胞をテロメラーゼ活性について
検査した。
【0011】
【発明の実施の形態】発明の詳細な説明 本発明は、患者の尿試料中の膀胱癌細胞の存在を検出す
るための方法に関し、該患者はそのような評価を必要と
しているものであり、該方法においては対照レベルに対
するテロメラーゼ活性のレベルの増加が膀胱癌細胞の存
在と正の関連を有するものである。
【0012】「そのような評価を必要とする患者」と
は、限定するものではないが、血尿を示す患者、排尿困
難もしくは排尿痛、又は過度に頻繁な排尿に苦しむ患
者、又は膀胱癌に進行する危険のある患者等の、膀胱癌
の存在について試験する理由のあるあらゆる患者を含
む。膀胱癌に進行する危険のある患者とは、膀胱癌又は
被毒の来歴のある患者、尿カテーテルを有する患者、喫
煙者、住血吸虫症感染に罹患するかそのの病歴を有して
いる患者等である。そのような評価の必要性がある他の
患者としては、以前膀胱癌と診断され、その治療を受
け、そして再発性の疾患について経過観察を必要とする
患者である。あるいは、「そのような評価を必要とする
患者」は無症候性であってもよく、ルーチンのスクリー
ニング目的のためにだけ評価を行うこともできる。
【0013】本発明では、「患者」は好ましくはヒト患
者であるが、ヒトではない哺乳動物を対象としてもよ
い。本発明では、尿試料は排泄された尿試料であるか、
あるいはカテーテル法によって得られたものでもよい。
好ましい非限定的な態様においては、尿試料の容量は少
くとも20 ml、より好ましくは少くとも100 mlである。
本発明の好ましい非限定的な態様においては、試料のサ
イズは、少くとも50〜400の剥離した細胞、より好まし
くは少くとも200の剥離した細胞がその試料中に存在す
るようなものである。「剥離した細胞」の用語は、膀胱
の粘膜中にその起源を有する正常または悪性腫瘍細胞を
示すものである。
【0014】「増加したテロメラーゼ活性」の用語は、
ここでは、悪性疾患に罹患していない患者からの実質的
に同じ量の尿試料中に存在するテロメラーゼ活性の量と
して定義される陰性対照に対して、増加したテロメラー
ゼ活性のレベルをいうものである。「増加」とは、好ま
しくはバックグラウンドレベルの少くとも1.5倍、より
好ましくは少くともバックグラウンドレベルの5倍をい
うものである。正常な試料中ではテロメラーゼ活性のレ
ベルは実質的にゼロであるので、実際的な目的において
は、「増加したテロメラーゼ活性」の用語は、バックグ
ラウンドレベルより高いテロメラーゼ活性のいずれをも
示すものであり、実際の試験試料とともに対照の尿試料
を使用して試験を行うことは必ずしも必要でない。
【0015】本明細書において記載する方法は、テロメ
ラーゼ又はテロメラーゼ活性の存在または非存在を検出
するために使用できるだけでなく、テロメラーゼ又はテ
ロメラーゼ活性の量を測定するために使用することもで
きる。本明細書にいう「測定」の用語は、定量的測定、
又はより厳格でない比較評価、例えばテロメラーゼの量
又はテロメラーゼ活性のレベルがバックグラウンドの量
又はレベルの何倍かというような測定のいずれをも示
す。ゲル又はブロットのオートラジオグラフィー分析自
体を、本発明によりテロメラーゼ又はテロメラーゼ活性
の量を測定するために使用することができる。
【0016】テロメラーゼ活性のレベルは当分野で知ら
れている任意の方法により検出及び/または測定するこ
とができ、そのような方法には、限定するものではない
が、核酸プライマー基質上でテロメラーゼ活性の活性を
検出及び/または測定するアッセイ、並びにテロメラー
ゼタンパク質の量又はテロメラーゼタンパク質をコード
するRNA の量を検出及び/または測定するアッセイが含
まれる。例えば、抗体(ポリクローナル又はモノクロー
ナル)を使用して、例えばin situ ハイブリダイゼーシ
ョン、ELISA法、もしくはディップスティック(dip
stick) 法又は臨床上実際に使用されている任意の方法
により存在するテロメラーゼ酵素の量を検出及び/また
は定量することができる。あるいは、テロメア長を測定
し、加齢、腫瘍段階、侵襲のレベル、又は他の予後徴候
指標において一致する患者からの尿試料中の同じ組織学
的タイプの細胞のテロメア長と比較することができる。
【0017】テロメラーゼ酵素活性のレベルは種々の方
法により測定することができ、そのような方法として
は、限定するものではないが、Kim et al., 1994, Scie
nce 266:2011-2015 に開示されるテロメア反復配列増幅
プロトコル(以下「TRAP」)がある。このポリメラーゼ
連鎖反応(「PCR」)をベースとする技術は、テロメラ
ーゼ活性の非常に低いレベルの検出を可能とするという
利点を提供する。
【0018】テロメラーゼ活性の測定を不明瞭なものと
し得るバックグラウンドレベルを最小にするためには、
テロメラーゼ活性の測定に先立って赤血球、白血球、壊
死組織及び/または細胞破片の量を減らすか、又は除去
することが好ましい。これらの要素は、濾過、遠心分
離、沈殿、クロマトグラフィー、それらの任意の組合
せ、あるいは当分野で知られる任意のその他の方法によ
って除去又は減らすことができる。本発明の好ましい態
様においては、赤血球、白血球、壊死組織及び細胞破片
を実質的に除去することができ、ここで「実質的に除去
された」の用語は、尿試料中に存在する赤血球、白血
球、壊死組織及び細胞破片の全量の少くとも50パーセン
トが除去されることをいう。
【0019】本発明の特定の非制限的な態様において
は、約100 mlの量の排泄された尿試料をテロメラーゼ活
性について以下のように評価することができる。収集さ
れた直後の試料を0.45ミクロンミリポアフィルターに適
用し、テロメラーゼ活性を含む剥離した細胞が前記フィ
ルターによって保持されるようにし、赤血球成分を含む
その他の成分を除去することができる。その後、フィル
ター上に保持される細胞を氷冷リン酸塩緩衝食塩水で洗
浄し、4 ℃において10,000 gで30分ペレット化し、氷冷
洗浄緩衝液〔10 mM HEPES-KOH (pH 7.5) 、1.5 mM MgCl
2、10 mM KCl、1mMジチオトレイトール〕中に再懸濁
し、再びペレット化し、次に氷冷溶解緩衝液〔10 mM ト
リス-HCl (pH 7.5)、1 mM MgCl2、1 mM EGTA、0.1 mM
フェニルメチルスルホニルフルオリド、5 mM β-メルカ
プトエタノール、0.5% CHAPS (Pierce)、10% グリセリ
ン〕の5〜100μl 当たり50〜104の細胞で再懸濁する。
その懸濁液を次にPotter-Elvejhem で均質にし、30分氷
上でインキュベートし、次に10分マイクロ遠心分離(1
4,000 g、4℃)で遠心分離することができる。その後上
清をさらにアッセイするために回収し、ペレットは捨て
てよい。上清が濁っている場合には、30分間さらにマイ
クロ超遠心分離(100,000 g、4℃)することができ、そ
の後得られたペレットを捨て、上清をテロメラーゼアッ
セイのために使用することができる。以下、収集された
任意の上清を含む、上記したように調製した細胞抽出
物、即ちテロメラーゼ活性について分析される物質を
「試料抽出物」という。試料抽出物はドライアイス上で
急速冷凍し、アッセイまで-70 ℃で貯蔵することができ
る。テロメラーゼアッセイを実施するために以下のオリ
ゴヌクレオチドを使用する。即ち、第1のオリゴヌクレ
オチド上でテロメラーゼがテロメア反復を合成し得る第
1のオリゴヌクレオチド(例えば、限定するものではな
いが、「TS」オリゴヌクレオチド、5'-AATCCGTCGAGCAGA
GTT-3'、配列番号1);及びテロメラーゼ産物の増幅のた
めのプライマーとして働く第2のオリゴヌクレオチド
(例えば、限定するものではないが、「CX」オリゴヌク
レオチド、5'-(CCCTTA)3CCCTAA-3、配列番号2)を使用
することができる。
【0020】さらにこの特異的な非制限的な態様におい
ては、TRAPアッセイは次のように実施することができ
る。アッセイチューブは、少くとも0.25 ml のエッペン
ドルフアッセイチューブの底に0.1 μg のCXプライマー
を凍結乾燥し、次に生じたペレットを65℃で約2分間加
熱した融解ワックス(Ampliwax 、Perkin-Elmer)7〜10
μl でシールすることによって製造することができる。
ワックスを室温で凝固させた後、チューブは4℃で貯蔵
することができる。次に、20 mM トリス-HCl (pH8.3)、
1.5 mM MgCl2、63 mM KCl、0.005% Tween-20、1 mM EGT
A、0.1 mg/ml ウシ血清アルブミン及び50μmol デオキ
シヌクレオシド三リン酸であるTRAP反応混合物並び
に、0.1 μg のTSオリゴヌクレオチド、1 μg のT4g3
2タンパク質(Boehringer Mannheim)、2 単位のTaq DNA
ポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)、0.15μl の[α
-32P]dCTP及び1〜15μl(好ましくは15μl)の上記のよう
に製造した試料抽出物を含むTRAP反応混合物をワックス
上に調製することができる。ここで最終的な反応容量
は、蒸留され、オートクレーブされて滅菌された水によ
り50μl に調整することができる。次に、存在するテロ
メラーゼによるTSオリゴヌクレオチドの延長を約23℃に
おいて約10分間進行させ、次いでアッセイチューブを熱
サイクラーへ移し、94℃に30秒間、50℃に30秒間及び72
℃に1.5 分間を約27サイクル行うことができる。サイク
ルプロセスの間に温度が上昇してワックスが溶融するこ
とによりCXプライマーが放出され、増幅を起こす。その
後12% ポリアクリルアミド変性ゲル上の0.5 X トリス−
borate EDTA 中の電気泳動によってTRAP反応の結果物を
分析し、次いでオートラジオグラフィーにかけることが
できる。
【0021】当業者であれば、上記の特定の態様はテロ
メラーゼ活性を測定する方法を種々改変することができ
ることが理解されるであろう。例えば、上記の方法にお
いて、放射性標識の使用に代わるものとして、TSオリゴ
ヌクレオチドに相補的な検出可能なように標識されたプ
ローブを使用して、これらの生成物を検出するためにTR
APの非標識反応生成物のDNAブロットにハイブリダイズ
させるとができる。他の態様においては、TSオリゴヌク
レオチドを改変し、又はユニークな部分(これを検出法
においてハイブリダイズさせることができる)若しくは
テロメラーゼ延長に適した部分を有する類似した配列で
置き換えることができ、テロメラーゼが非テロメア配列
のオリゴヌクレオチドを延長することができる(Morin,
1991, Nature 353:454)。あるいは、延長されるオリゴ
ヌクレオチドは、特に延長反応又はその増幅の生成物が
直接標識される場合は、そのようなユニークな部分を欠
いていてもよい。さらに別の態様においては、CXオリゴ
ヌクレオチドは、少くとも1つの繰り返し(CCCTTA、配
列番号3) 、並びにテロメラーゼ延長のために基質とし
て使用される部分にハイブリダイズする部分を含まなけ
ればならないが、改変されていてもよい。さらに、任意
の検出可能な標識を使用することができ、酵素的、化学
的方法又は蛍光に基づく方法によって検出することがで
きる非放射性標識が含まれる。あるいは、好ましさにお
いては劣る態様であるが、アッセイは増幅ステップを含
む必要はなく、テロメラーゼ延長生成物を直接測定する
こともできる。
【0022】「正の関連性」の用語は、尿試料がバック
グラウンドレベルを越えるテロメラーゼ活性を含んでい
ることが観察される場合で、膀胱癌細胞が存在する実質
的な可能性をいうものである。現在利用できるデータに
基づくと、テロメラーゼアッセイによる真に陽性の結果
のパーセンテージは約75パーセントを超え、誤った陰性
のパーセンテージは約25パーセント未満である。
【0023】
【実施例】実施例:テロメラーゼ活性を測定することによる排泄さ
れた尿試料中における剥離した膀胱癌細胞の検出 1.材料及び方法 細胞系 :ヒト膀胱癌細胞系T24及びRT4を使用した。すべ
ての培養物は、10% の熱活性化ウシ胎児血清、2 mMのグ
ルタミン、1%の非必須アミノ酸、mlあたり100μg のペ
ニシリン及びmlあたり100μgのストレプトマイシンを含
むRPM1-1640(Whittaker Bio-Products、MD) 中で維持し
た。
【0024】細胞系ライゼート:細胞をリン酸塩緩衝食
塩水で1 回洗浄し、10,000 x gで10分間 4℃においてペ
レット化し、氷冷洗浄緩衝液〔10 mM Hepes-KOH (pH 7.
5)、1.5 mM MgCl2、10 mM KCl、1 mMジチオトレイトー
ル〕に再懸濁し、再びペレット化し、氷冷溶解緩衝液
〔10 mM トリス-HCl (pH 7.5)、1 mM MgCl2、1 mM EGT
A、0.1 mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、5 mM
β-メルカプトエタノール、0.5% CHAPS (Pierce)、10%
グリセリン〕に5 〜100 μl あたり50〜104 細胞を再懸
濁した。その懸濁液を氷上で30分間インキュベートし、
マイクロ遠心分離(14,000 g、4℃で10分)で遠心分離
した。その上清(以下「試料抽出物」)を取り出し、急
速冷凍し、-70 ℃で使用まで貯蔵した。
【0025】患者試料:20〜100 mlの排泄された尿試料
を、血尿を有する患者から得た。試料を新鮮なうちに0.
45μフィルターユニット(Nalgene)でろ過した。フィル
ター上に保持された細胞を氷冷リン酸塩緩衝食塩水で洗
浄し、4 ℃において10,000 gで30分ペレット化し、氷冷
洗浄緩衝液〔10 mM HEPES-KOH (pH 7.5) 、1.5 mM MgCl
2、10 mM KCl、1 mMジチオトレイトール〕に再懸濁し、
再びペレット化し、 5〜100 μl の氷冷溶解緩衝液〔10
mM トリス-HCl (pH 7.5)、1 mM MgCl2、1 mMEGTA、0.1
mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、5 mM β-メ
ルカプトエタノール、0.5% CHAPS (Pierce), 10% グリ
セリン〕中に50〜104 細胞を再懸濁した。得られた懸濁
液を次にPotter-Elvejhem で均質にし、30分氷上でイン
キュベートし、次に10分マイクロ遠心分離(14,000 g、
4℃)で遠心分離し、上清を回収した。上清が濁ってい
る場合には、30分間さらにマイクロ超遠心分離し(100,
000 g 、4℃)、その後生じたペレットは捨て、上清を
テロメラーゼアッセイに使用した。マイクロ遠心分離及
び/またはマイクロ超遠心分離の後の上清を以下「試料
抽出物」というが、これをTRAPアッセイにおいて使用し
た。
【0026】テロメア反復配列増幅プロトコル(TRAP)
アッセイ:アッセイチューブは、チューブの底に0.1 μ
g のCXプライマー (下記参照) を凍結乾燥し、それをAm
pliwax (Perkin-Elmer)でシールすることによって製造
した。ワックスバリア上に、20 mM トリス-HCl (pH 8.
3)、1.5 mM MgCl2、63 mM KCl、0.005% Tween-20、1 mM
EGTA、50μM dNTP、0.1 μg のTSプライマー (下記参
照) 、2 単位のAmpliTaqDNAポリメラーゼ(Perkin-Elme
r)、1 μg のT4g32タンパク質(Boehringer Mannhei
m)、ウシ血清アルブミン(0.1 mg/ml)、1〜15μl の試料
抽出物及び0.2 μlのα-32P[dCTP] (Amersham) を含む5
0μl のTRAP反応物を、Kim et al., 1994,Science 266:
2011に記載されたように加えた。
【0027】約23℃において約10分間のテロメラーゼに
よるオリゴヌクレオチドTSの延長の後、以前に記載され
たようにチューブを熱サイクラーへ移し、94℃に30秒
間、50℃に30秒間、72℃に1.5 分間、27サイクル行った
(Kim et al., 1994, Science 266:2011)。以前に記載さ
れたように、12% ポリアクリルアミド変性ゲル上の0.5X
トリス-borate EDTA 中の電気泳動によって反応物を分
析し、次いでオートラジオグラフィーにかけた(Kim et
al., 1994, Science 266:2011)。
【0028】TSプライマーは、5'-AATCCGTCGAGCAGAGTT-
3' (配列番号1)である。CXプライマーは、5'-(CCCTT
A)3CCCTAA-3'(配列番号2)である。これらのプライマ
ーは以前に記載されたものである(Kim et al., 1994, S
cience 266:2011)。
【0029】2. 結果 アッセイの感度 :検出の感度の測定は、公知の表在性
(RT4)及び侵襲性(T24)膀胱癌細胞系からの細胞抽出物
中のテロメラーゼ活性の同定により行った。細胞ライゼ
ートを既知の数の細胞から抽出し、テロメラーゼ反復配
列増幅プロトコル(TRAP)アッセイを行ってテロメアを増
幅した。この方法で、テロメラーゼ活性を同定するため
には、試料あたり50の侵襲性腫瘍細胞、及び200の表在
性腫瘍細胞でよいことが判った(図1及び図2)。さら
に、このPCRをベースとするTRAPアッセイで10,000の正
常細胞あたり1つの癌細胞を発見することができること
が判った。
【0030】膀胱癌を有しない患者における陰性のテロ
メラーゼ発現:排泄された尿標本からの剥離した細胞
を、良性の血尿を示す13人の患者、及び血尿を示す前立
腺癌の1人の患者から得た。前立腺癌にかかった患者
は、排泄された尿の細胞学的検査において誤った陽性の
結果を示したが、膀胱鏡検査では膀胱腫瘍について陰性
であった。これらの試験された14の標本はいずれも、我
々のアッセイでは陽性のテロメラーゼ活性を示さなかっ
た(図3及び表1)。特に、良性の4人の患者及び悪性
の前立腺疾患にかかった1人の患者はいずれも血尿を示
していたが、テロメラーゼ活性については陰性であるこ
とが判った(表1)。我々が研究した膀胱癌を有してい
ない他の患者の中では、1人の患者は末梢部の尿管結石
により起こった血尿を示し、1人の患者はBCGにより治
療を受けており細胞学的に陰性であり、1人の患者は淋
病から生じた狭窄疾患を有しており、1人の患者は膀胱
腫瘍(TC49)の最近の病歴を有する者であった。この患
者の群においては、感染、結石、あるいは良性の前立腺
過形成を有する患者で誤った陽性の結果がなかった点に
注目すべきである。
【0031】
【表1】 表1 膀胱癌のない患者におけるテロメラーゼアッセイの結果 試料番号 細胞学的結果 テロメラーゼ結果 病理 評価の症状 TC2 陰性 陰性 標本なし 顕微鏡的血尿 TC3 陰性 陰性 標本なし 顕微鏡的血尿 TC4 陰性 陰性 標本なし 顕微鏡的血尿 TC5 結晶 陰性 標本なし 膀胱癌経過観察 3月 s/p TURBT TC6 陰性 陰性 BPH 肉眼的血尿 TC7 陰性 陰性 良性前立腺 顕微鏡的血尿 ポリープ TC8 結晶 陰性 シュウ酸カ 顕微鏡的血尿/pai ルシウム結石 n TC9 陰性 陰性 前立腺梗塞 顕微鏡的血尿 TC10 陰性 陰性 標本なし BCG X 1 年 TC11 陰性 陰性 標本なし 淋病続発性 狭窄症 TC12 陰性 陰性 BPH 閉塞性尿路疾患 TC20 陽性 陰性 前立腺癌 顕微鏡的血尿 TC36 陰性 なし ステント切除 s/p ESWL TC49 陽性 陰性 腫瘍なし rexent hx.BT
【0032】膀胱癌を有する患者における陽性のテロメ
ラーゼ発現:種々の段階の膀胱癌を有する23人の患者の
排泄された尿試料からの剥離した細胞をテロメラーゼ活
性について試験した(表2及び図4参照)。特に、試料
15、23、26、33、41及び43において、患者は細胞学的に
陰性であったが、テロメラーゼ活性についてのアッセイ
で陽性を示した。例えば、患者番号23は、その後手術前
の膀胱鏡検査において陽性の結果を示し、2つの小さい
乳頭状病変を示した。病理学的結果によりこれらの病変
が段階1の膀胱癌であったことが示された(表2)。4
人の患者(番号16、17、19及び22)において、テロメラ
ーゼ活性の試験をすることにより不必要な手術前の膀胱
鏡検査が避けられた。段階I腫瘍のすべて(4/4)及び段
階II腫瘍の87.5% (7/8)が、テロメラーゼアッセイによ
って診断された。
【0033】試験した膀胱癌を有する23人の患者におい
て、3人(3/23)だけ誤った陰性の結果が観察され、一
方、細胞学的検査のみでは13人のうち6人(6/13)の誤
った陰性の結果が観察された。それぞれの誤った陰性結
果は手術前の膀胱鏡検査 (陽性の結果が得られたときは
行わない) によって追跡調査されるので、テロメラーゼ
アッセイに伴う、誤った陽性の結果の低い割合により、
不必要な膀胱鏡検査のかなりの数が回避される。膀胱鏡
検査は、低いもののなお有意な死亡率を示す侵襲的方法
である。
【0034】
【表2】 表2 膀胱癌を有する患者におけるテロメラーゼアッセイの結果 試料番号 細胞学的所見 テロメラーゼ結果 病理 15 陰性 陽性 段階II 16 陽性 段階I 17 陽性 段階I 18 陽性 陽性 段階III 19 陽性 段階III 21 陽性 陽性 段階III 侵襲性 22 陽性 段階III 23 陰性 陽性 段階I 26 陰性 陽性 段階II 27 陽性 陽性 段階II 28 陽性 陽性 段階III 侵襲性 29 陰性 段階III 33 陰性 陽性 段階I 34 陽性 陽性 段階II 35 陽性 段階II 37 陰性 段階II 39 陽性 標本なし 41 陰性 陽性 段階III 42 陰性 段階III 43 陰性 陽性 段階II 44 陽性 陽性 段階III 侵襲性 50 陽性 低段階 51 陽性 陽性 CIS
【0035】3.考察 排泄された尿からの剥離した細胞を膀胱癌のスクリーニ
ング方法として使用することは最初にドイツのOppenhei
merによって提案された(Gamarra and Zein, 1984, Supp
lement to Urology 23(3):23)。Papanicolaou及びMarsh
allは、1945年に尿細胞学を膀胱癌についてのスクリー
ニング試験として紹介した(Papanicolaou and Marshal
l, 1945, Science 101:519)。膀胱癌の診断をする基準
としては、限定するものではないが、異常な核、細胞質
の変化、細胞サイズ及び形態の変化の存在が挙げられ
る。彼らは、堆積スミアに基づいて腫瘍の存在の診断を
することが可能な割合で膀胱の新生物が落屑すると主張
した。細胞学的検査は、単純で、非侵襲性でかつ安価で
あるので、スクリーニングのための優れた試験となり得
る。
【0036】しかし、経験上、特に低い段階の腫瘍では
その感度は0から73 %まで変化し、尿細胞学の限界が示
された(Rabb et al., 1994, Cancer 74:1621) 。Raab e
t alは、種々の細胞学的な変数について段階的ロジステ
ィック回帰分析を行い、細胞学のみにより低い段階にあ
る移行状態の細胞癌を診断するための鍵となる基準を見
つけようとした。彼らは、3つの特徴、即ち増加した核
/細胞質比、不規則な核境界及び細胞質の均質性を確認
した。これらの特徴のすべてが存在する場合、彼らは細
胞学により45% の感度と98% の特異性が得られると主張
した(Rabb et al. 1994, Cancer 74:1621)。しかし、こ
れらの特徴のうち2つのみが使用された場合、感度は85
% まで増加したが特異性は減少する(Rabb et al., 199
4, Cancer74:1621)。
【0037】いくつかの研究により、剥離した細胞の検
査単独では感度は低いことが確認されている。Umiker e
t al.が3,609人の患者をスクリーニングしたところ、83
人が細胞学的に陽性であり、そのうち22人だけが実際に
膀胱腫瘍を有していた(Umiker, 1964, Symp Diagn Accu
r Cytolog Techniq 8:166)。Rifeは3500人の患者をスク
リーニングしたが、106 人が陽性の細胞学的結果を有
し、69人だけが膀胱腫瘍を有していた(Rife et al., 19
79, Symp Advan Lab Intraoper Diagn Techniq 6:59
9)。
【0038】特異性及び感度に関連する問題のために、
Murphy et al. は膀胱癌の測定のために適当な基準を記
載した報告を発表した(Murphy et al., 1984, Cancer 5
3:1555)。この報告においては、著者は段階1膀胱癌病
変の76% 並びに段階II及び段階III 膀胱癌病変の100%を
診断できたとしている。さらに彼らは、100%のin situ
での腫瘍の診断を行うことができた(Murphy et al., 19
84 , Cancer 53:1555)。彼らの場合、誤った陽性の結果
の割合は、すべての腫瘍を合わせたものについて10〜14
%であった(Murphy et al., 1984, Cancer 53:1555)。
【0039】これらの改善にもかかわらず、研究者の大
多数は、低い段階の膀胱腫瘍を発見することにおいて尿
の細胞学がその有用性において限界があることを認めて
いる。さらに、誤った陽性の結果(非定型性)を与え得
る条件として、過形成病変、放射線の影響、感染、尿結
石がある。Trott及びEdwardsは、膀胱洗浄標本を排泄さ
れた尿の細胞学と比較した(Trottand Edwards, 1973,
J. Urol. 110:664)。その研究の背景となる理論は、低
い段階の病変は非常に少数の細胞しか尿に放出しないと
いうことであった。新鮮な膀胱洗浄物は、容量あたりの
増加した細胞の数を有し得、診断をより正確にすること
ができる。試験された160人の患者のうち、22人は膀胱
洗浄標本において陽性の細胞学的結果を有し、別の6人
は「膀胱癌の疑い」を有していた。膀胱鏡検査では、9
人の患者だけが真正の病変を有していた。他の19人の患
者は、慢性膀胱炎、放射線による変化あるいは健康な組
織を有していた(Trott and Edwards,1973, J. Urol. 11
0:664)。
【0040】フローサイトメトリーは尿細胞学の代替物
となる。これは定性的及び低量的にDNA含有量を測定す
る。新生物細胞は、増加したDNA含有量を反映する核の
拡大と過染色性を示す。試料を正常な対照細胞と比較
し、DNAの量がヒストグラムにより二倍体、四倍体ある
いは異数体として表示されている(Badalament et al. ,
1987, Cancer 60:1423)。
【0041】フローサイトメトリーは排泄された尿試料
を使用して行うことができる。フローサイトメトリーに
よりすべての膀胱癌の約80% が検出されることが報告さ
れている。例えば、Badalament et al.(1987, Cancer 6
0:1423)は、膀胱鏡検査により膀胱癌と確認された70人
の患者からの膀胱洗浄物をフローサイトメトリーにより
分析すると、膀胱癌の83 %が検出されたとしている。細
胞学によるのと同様に、検出率はより高い段階とステー
ジの病変について良好である。段階1の乳頭腫は50 %の
患者のみに検出され、Ta、Tis 及び侵襲性病変は、約82
% 、89% 及び90% の患者において検出された(Badalamen
t et al., 1988, Sem Urol 6:22)。
【0042】剥離した細胞において腫瘍細胞を確認する
ためのより新しい技術として、モノクローナル抗体を使
用するものがある(Long, 1995, Infect Urol 8:103)。
新しいモノクローナル抗体、486P3-12の使用は、従来の
細胞学の少なくとも2倍の感度を示した(90%対43%)(Hul
and et al. ,1987, J Urol 137:654; Walker et al.,19
89, J Urol 142:1578)。細胞学によるのと同様に、高段
階の病変について良好な結果を示したが、低い段階の病
変の診断は問題のままである。
【0043】腫瘍細胞の存在のマーカーとしてテロメラ
ーゼ活性を使用する上記の結果は、他の現在のアッセイ
のいずれよりも高い感度及び特異性を示す。血尿を示し
得る症状に関係なく、テロメラーゼ活性(TRAPアッセイ
を使用)は、腫瘍細胞の存在と強い正の関連性を示す。
我々の方法で使用した細胞の数及び標本を得る方法は、
排泄された尿の細胞学的研究において使用されるものと
同様であった。特に早期段階の腫瘍についてのテロメラ
ーゼアッセイの診断率は、既知の非侵襲性腫瘍検出方法
をはるかに越えるものである。
【0044】我々は任意の容量中の200 個という少ない
腫瘍細胞でテロメラーゼ活性の存在を発見することがで
きた(図1及び図2)。すべての腫瘍段階がテロメラー
ゼ活性を発現することが判った(表2及び図4)。段階
1の疾患にかかった4人の患者のすべては、その剥離し
た細胞が陽性のテロメラーゼ活性を有していた(表2及
び図4)。さらに、いくつかの試料において、陰性の尿
細胞学的結果にもかかわらずテロメラーゼ活性の存在を
発見することができた(表2及び図4、細胞学について
の50% 対テロメラーゼについての100%)。
【0045】TRAPアッセイによるテロメラーゼ活性の特
異性は、血尿をもたらす、癌でない患者において示され
ている。結石疾患、良性の狭窄疾患、良性の前立腺過形
成及び炎症を有するすべての患者は、その剥離した細胞
におけるテロメラーゼ活性で陰性を示した(表1及び図
3)。ユーザーの観点からは、テロメラーゼ活性につい
てのTRAPアッセイは完全に客観的である。その結果は、
ポリアクリルアミドゲルの上で主観的な解釈なしで示さ
れる(図1、2、3及び4を参照)。本明細書において
引用した種々の刊行物は引用によりその全体を本明細書
の一部とする。
【0046】
【発明の効果】本発明により、テロメラーゼ活性の存在
を測定することによる尿試料中のヒト膀胱癌細胞の検出
方法が提供される。
【0047】
【配列表】
配列番号1 配列の長さ: 18 配列の型: 核酸 鎖の数: 一本鎖 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: DNA アンチセンス: No 配列 AATCCGTCGA GCAGAGTT
【0048】配列番号2 配列の長さ: 24 配列の型: 核酸 鎖の数: 一本鎖 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: DNA アンチセンス: No 配列 CCCTTACCCT TACCCTTACC CTAA
【0049】配列番号3 配列の長さ: 6 配列の型: 核酸 鎖の数: 一本鎖 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: DNA アンチセンス: No 配列 CCCTTA
【図面の簡単な説明】
【図1】 アッセイの感度を示す図である。
【図2】 ヒト膀胱癌RT4細胞系によるTRAP感度
アッセイを示す図である。
【図3】 非癌患者試料についてのTRAPアッセイを
示す図である。
【図4】 癌患者試料についてのTRAPアッセイを示
す図である。
フロントページの続き 特許法第30条第1項適用申請有り 1996年3月27日 T HE NEW YORK SECTION of TH E AMERICAN UROIOGICAL ASS OCIATION,INC. and THE SEC TION ON UROLOGY of THE NE W YORK ACADEMY OF MEDICIN E主催の「THE FERDINAND C.VALE NINE UROLOGY RESIDENTS’ E SSAY MEETING」において文書をもって発表 (72)発明者 エリザベス カヴェラー アメリカ合衆国 10128 ニューヨーク州 ニューヨーク,エイピーティー.12エ フ, パークアベニュー 1245番地

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 評価を必要とする患者の尿試料中の膀胱
    癌細胞を検出する方法であって、対照レベルに対するテ
    ロメラーゼ活性のレベルの増加が膀胱癌細胞の存在と正
    の関連性を有する方法。
  2. 【請求項2】 評価を必要とする患者の尿試料中の膀胱
    癌細胞を検出する方法であって、以下のステップ: (i) 尿試料から剥離した細胞を回収し、 (ii) 試料から赤血球、白血球、壊死組織及び細胞破片
    を実質的に除去し、 (iii) 試料中のテロメラーゼ活性の量を測定することを
    含み、対照レベルに対するテロメラーゼ活性のレベルの
    増加が膀胱癌細胞の存在と正の関連性を有する前記方
    法。
  3. 【請求項3】 評価を必要とする患者の尿試料中の膀胱
    癌細胞を検出する方法であって、以下のステップ: (i) 尿試料から剥離した細胞を回収し、 (ii) 試料から赤血球、白血球、壊死組織及び細胞破片
    を実質的に除去し、 (iii) テロメラーゼ酵素が存在する場合にオリゴヌクレ
    オチド基質のテロメア伸長を生じる反応条件下に試料の
    一部分をオリゴヌクレオチド基質と合わせ、その後生成
    された伸長オリゴヌクレオチドを検出し、そのレベルを
    測定することを含むプライマー伸長プロトコルにより試
    料中のテロメラーゼ活性の量を測定することを含み、対
    照レベルに対するテロメラーゼ活性のレベルの増加が膀
    胱癌細胞の存在と正の関連性を有する前記方法。
  4. 【請求項4】 伸長オリゴヌクレオチドの数がポリメラ
    ーゼ連鎖反応によって増幅される請求項3の方法。
JP17495696A 1996-03-27 1996-07-04 テロメラーゼ活性の存在を測定することによる尿試料中のヒト膀胱癌細胞の検出方法 Pending JPH09262100A (ja)

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