JPH09259431A - 磁気記録媒体保護膜の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体保護膜の製造方法およびその製造装置

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JPH09259431A
JPH09259431A JP8067876A JP6787696A JPH09259431A JP H09259431 A JPH09259431 A JP H09259431A JP 8067876 A JP8067876 A JP 8067876A JP 6787696 A JP6787696 A JP 6787696A JP H09259431 A JPH09259431 A JP H09259431A
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JP8067876A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Zenitani
利宏 銭谷
Naoki Hibino
直樹 日比野
Konosuke Inagawa
幸之助 稲川
Yoshifumi Ota
賀文 太田
Kyuzo Nakamura
久三 中村
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Original Assignee
Ulvac Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸着磁気テープの保護膜として、耐摩耗・摩
擦特性に優れたDLC膜を極めてはやい速度で形成する
こと。 【解決手段】 排気系を有する真空糟内で磁気記録媒体
が形成されたテープを移送しながらその上にダイヤモン
ド状炭素膜を形成する際に、原料炭化水素ガスの分解を
促進するためのプラズマ増強手段として該テープ表面近
傍に磁場を発生させ、それにより捕捉された電子と原料
炭化水素ガスとの衝突回数を多くして、該ダイヤモンド
状炭素膜の形成速度を大きくし、また、該テープを移送
するための主ローラーに高周波電位を印加し、該主ロー
ラーと陽極との間に放電を起こさせて、原料炭化水素ガ
スを分解させ、該テープ表面には負の自己バイアス電圧
を生じさせ、炭化水素イオン種や炭素イオン及び水素イ
オンを引きつけて、緻密なダイヤモンド状炭素膜を形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックフィ
ルム上に形成された磁気記録媒体を摩耗や損傷等から保
護するために耐久性に優れたダイヤモンド状炭素膜(以
下、DLC膜と称す。)をはやい速度で形成する製造方
法および製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、磁気記録媒体として、これまでの
塗布型テープに対し、強磁性の金属または合金の薄膜を
プラスチックテープ上に形成する、いわゆる蒸着磁気テ
ープが注目され、究極の磁気記録媒体といわれている。
しかし、蒸着磁気テープは、磁気ヘッドとの摺動により
摩耗や損傷を受ける。これを防ぎ、耐久性に優れた磁気
記録媒体を実現する保護膜として、硬く、潤滑性も良好
なDLC膜が最も優れた候補材料といえる。
【0003】従来のDLC膜の形成法としては、イオン
ビーム法、高周波プラズマCVD法、スパッタリング法
等種々の方法がある。しかし、いずれの手法も成膜速度
がおそいため、はやい生産速度で走行するテープ上への
成膜法としては適用不可能である。
【0004】従来技術としてのDLCの成膜速度の例は
次の通りである。真空、第30巻(1987)322に
よれば、高周波マグネトロンスパッタリング法により、
反応ガスとしてはメタンと水素の混合ガスを、また、タ
ーゲットにはグラファイトを用いて、14〜49Å/minの
成膜速度でDLC膜を得ている。また、同論文によれ
ば、イオンビーム蒸着での成膜速度は、2.7〜10.7Å/m
inであり、スパッタリング法よりもおそい。
【0005】高周波プラズマCVD法の例としては、Jo
urnal of Applied Physics,第65巻(1989)39
14に記載されたように、反応ガスとしてメタンを用い
て最大220Å/minの成膜速度が得られており、この成膜
速度はイオンビーム法やスパッタリング法の場合よりは
はやい。しかし、この速さでも、高速度で走行するテー
プ上へのDLC膜の形成には使用できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のDLC膜の形成
においては、前述のように、成膜速度は高周波プラズマ
CVDにより最大220Å/minが得られている。
【0007】かかる成膜速度で走行するテープ上にDL
C膜を形成する場合について考察する。DLC膜の形成
される領域長さを1mとすると、固定基板での220Å/mi
nの成膜速度のときには、220×1Åm/minの動的成膜速
度となる。一方、磁気記録媒体としての蒸着磁気テープ
の保護膜の厚さとしては、スペーシング損失を押さえる
ために、100Å程度以下が適切とされている。従って、
上記220Åm/minの動的成膜速度から、100Å厚さのDL
C膜を得るためのテープ走行速度を逆算すると、2.2m/
minとなる。このテープ走行速度は、実験室規模での試
験では十分であるが、蒸着磁気テープが来るべきデジタ
ル磁気記録時代に多用されることを考慮すると、生産規
模では極めて不十分であり、適用できない。生産規模の
場合、一般的にはこの速さの5倍以上、すなわち10m/m
in以上、好ましくは10〜300m/min程度のテープ走行速
度が要求される。この場合、動的成膜速度としては、10
00Åm/min以上、好ましくは1000〜30000Åm/minである
が、これは、従来のDLC膜の形成技術では対応不可能
である。
【0008】本発明は、上記のような従来技術のもつ問
題点を解決するもので、蒸着磁気テープの保護膜とし
て、耐摩耗・摩擦特性に優れたDLC膜を極めてはやい
速度で形成することの可能な方法およびそのための装置
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体保
護膜の製造方法は、磁気記録媒体が形成されたテープ上
に保護膜としてDLC膜を形成するための製造方法にお
いて、排気系を有する真空糟内で該テープを移送しなが
らその上に該DLC膜を形成する際に、原料炭化水素ガ
スの分解を促進するためのプラズマ増強手段として該テ
ープ表面近傍に磁場を発生させ、それにより捕捉された
電子と原料炭化水素ガスとの衝突回数を多くして、該D
LC膜の形成速度を大きくし、また、該テープを移送す
るための主ローラーに高周波電位を印加し、該主ローラ
ーと陽極との間に放電を起こさせて、原料炭化水素ガス
を分解させ、該テープ表面には負の自己バイアス電圧を
生じさせ、炭化水素イオン種や炭素イオン及び水素イオ
ンを引きつけて、緻密なDLC膜を形成することを特徴
とする。
【0010】上記製造方法において、該磁気記録媒体が
形成されたテープを密着して移送するための主ローラー
の内部に永久磁石または電磁石を配置して、該テープ表
面近傍に磁場を生じさせ、それによりプラズマを増強す
るようにする。
【0011】上記主ローラーに100kHz〜13.56MHzの高周
波電位を印加し、該主ローラーとそれに対向するように
配置された陽極との間に放電を起こさせて、原料炭化水
素ガスを分解させ、テープ表面には負の自己バイアス電
圧を生じさせる。
【0012】上記原料炭化水素ガスとしては、特に制限
はないが、好ましくは、メタン、エタン、プロパン、ブ
タン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ナノ
ン、デカン、ウンデカン、ドデカン、エイコサンのよう
な飽和炭化水素、もしくは、エチレン、アセチレン、プ
ロピレン、メチルアセチレンのような不飽和炭化水素、
もしくは、ベンゼン、トルエン、ナフタレンのような芳
香族炭化水素から選ばれたいずれかの炭化水素からの単
体ガス、または、それらの混合ガスが使用され得る。さ
らに好ましくは、メタン、エチレン、アセチレン、ベン
ゼンである。
【0013】上記原料炭化水素ガスの導入と同時に、水
素、窒素、酸素もしくはアルゴンの単体ガスまたはそれ
らの混合ガスを導入してもよい。
【0014】本発明の磁気記録媒体保護膜の製造装置で
は、排気系を有する真空糟内に該テープを密着して移送
するための主ローラーおよび陽極が配置され、該主ロー
ラーの内部には磁石が配置され、該磁石は該主ローラー
の回転と共に回転しないように固定されてなることを特
徴とする。
【0015】上記製造装置において、該主ローラーに対
向して陽極が配置され、該主ローラーに印加される高周
波電位により、該主ローラーと該陽極との間に放電を起
こさせて、原料炭化水素ガスを分解させ、該テープの表
面には負の自己バイアス電圧を生じさせるようになって
いる。
【0016】上記陽極は、原料炭化水素ガスを真空糟内
に導入するための複数の噴出孔を備えていることが好ま
しい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明にしたがって用いるマグネ
トロンプラズマCVD法を実施するための装置では、D
LC膜を形成する際のプラズマCVD法における陰極の
背後に磁石を配置し、その磁力線は閉じ、磁力線の一部
が陰極面に平行になるようにする。これにより、陰極近
傍に電子が捕捉され、陰極近傍で電子による電流が閉じ
て、いわゆるマグネトロン放電が持続し、反応ガスとし
ての炭化水素ガスの分解が一層増強される。この方法に
より巻取蒸着装置で走行テープ上にDLC膜を形成する
ときの概略図を図1に示す。
【0018】図1に示されたように、真空糟1内におい
て、蒸着磁気記録テープ2は、送り出しローラー3か
ら、中間ローラー4およびエキスパンドローラー5を経
て、主ローラー6へ移送され、主ローラー6を通った後
に、エキスパンドローラー7および中間ローラー8を経
て、巻き取りローラー9に巻かれるように走行してい
る。主ローラー6の内部には、磁石10が多数対で磁性
体ヨーク11上に配置、固定されている。これらの磁性
体ヨーク11および磁石10は、主ローラー6が回転し
ても、それに伴って回転しないように固定されて保持さ
れている。主ローラー6に高周波電源12から高周波電
位を印加して陰極にし、この主ローラーに対向して配置
された、複数の導入孔を備えた陽極13から磁気記録テ
ープ2の表面に原料ガス導入口14を経て原料炭化水素
ガスを導入する。このようにすると、高周波放電が持続
され、かつ、磁石10により、主ローラー6の外部の磁
束が存在する所でマグネトロン放電が起こる。
【0019】図2に、図1に示した装置における磁石配
置の拡大図を示す。固定した磁性体ヨーク11に磁石対
10が多数対配置され、その各磁石対から非磁性体の主
ローラー6を通して発生している磁束に捕捉された電子
により、マグネトロン放電が、走行する磁気テープ2の
表面近傍で起こる。
【0020】なお、通常の巻取蒸着装置においては、主
ローラーは、真空槽壁と同電位であるが、本発明におい
ては、図1の装置の一部分の概念図を示してある図3か
ら明らかなように、主ローラー6の回転軸20と真空槽
壁21とは絶縁物22を介して結合され、このような状
態で高周波電源12から高周波電位が印加されるように
する。また、図1における送り出しローラー3、中間ロ
ーラー4および8、エキスパンドローラー5および7な
らびに巻き取りローラー9も真空槽1とは電気的に絶縁
されるようにする。
【0021】本発明によれば、プラズマCVD法での陰
極の背後に磁石を配置することにより、マグネトロン放
電が生じ、これによりマラズマが増強されてDLC膜の
原料となる反応炭化水素ガスの放電分解が強められ、D
LC膜の形成速度が著しく大きくなる。また、高周波放
電のために蒸着磁気テープの上に負の自己バイアス電圧
が生じ、それにより原料炭化水素ガスが分解して、生成
した炭化水素イオン種(CnHm+イオン種)やC+およ
びH+イオンが高速で引きつけられ、緻密なDLC膜が
形成される。このように、本発明によれば、蒸着磁気テ
ープ保護膜製造で必要とされる動的成膜速度1000〜3000
0Åm/minを十分満足する速さで、硬くて、潤滑性に富
むDLC膜が形成可能となる。磁石対は多数配置され、
かつ、テープは高速度で走行するため、走行方向のDL
C膜の膜厚の均一性は良好である。また、走行方向に垂
直なテープ幅方向の膜厚についても、図2に示すように
各磁石を紙面に垂直に連続的に配置することにより、分
布は極めて良好なものとなる。
【0022】なお、上記反応ガスとしての炭化水素ガス
の原料としては、飽和炭化水素である直鎖のパラフィン
炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ナノ
ン、デカン、ウンデカン、ドデカンおよびエイコサン
等、不飽和炭化水素、例えば、エチレン、プロピレン、
アセチレンおよびメチルアセチレン等、ならびに、芳香
族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエンおよびナフタ
レン等が使用されうる。好ましくは、メタン、エチレ
ン、アセチレン、ベンゼン等から選ばれた炭化水素から
のガスが使用されうる。
【0023】DLC膜の改善のために、上記反応ガスに
加えて、水素、窒素、酸素、アルゴン等のガスを単独
に、または、これらのガスを混合して、原料ガス導入口
を経てまたは別の経路から、同時に導入してもよい。
【0024】本発明で使用される高周波電源の周波数
は、一般的には50kHz〜27.12MHzであり、好ましくは100
kHz〜13.56MHzである。
【0025】また、上記したように陰極の背後に配置す
る磁石は、永久磁石であっても、電磁石であってもよ
い。
【0026】また、本発明で用いる上記磁気テープに形
成されている磁気記録媒体としては、特に制限はない
が、例えば、Co、Co−Ag、Co−Cr、Co−G
e、Co−Hf、Co−Mo、Co−Nb、Co−O
s、Co−O、Co−P、Co−Ru、Co−Si、C
o−Sm、Co−Ta、Co−Ti、Co−V、Co−
W、Co−Zr、Co−Ni、Co−Ni−O、Co−
Cr−Nb、Co−Ni−Pr、Co−Ni−Pr−O
等の強磁性金属薄膜である。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの範囲に制限されるものではない。
【0028】(実施例1)本実施例では、まず、図1の
巻取蒸着装置によりDLC膜の成膜を行った。真空槽1
を10-3Pa程度に排気後、原料ガス導入口14からエチレ
ンガスを導入し、26Paの圧力にした。その後、磁気記録
媒体としてCoを約1000Åの厚さに蒸着したテープを、
中間ローラー4、表面洗浄のためのボンバード室15、
次いでエキスパンドローラー5を通過させた後、主ロー
ラー6を通し、ここでDLC膜の形成を行い、膜形成
後、エキスパンドローラー7および中間ローラー4を経
て、巻き取りローラー9に巻き取った。DLC膜の形成
は、主ローラー6に13.56MHzの高周波電位を印加してマ
グネトロン放電を起こさせ、それによりエチレンの放電
分解をより一層増強させ、はやい成膜速度でDLC膜を
蒸着磁気テープ上に形成することによって行った。な
お、膜厚測定のためにテープ上にシリコンウエハーの小
片を固定し同時に走行させた。それによりテープ走行速
度を変えた時の動的成膜速度を求めた。走行速度を変え
た時の膜厚および動的成膜速度を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、テープ走行速度
が60m/minから10m/minに変化するのに対応して、DL
C膜の厚さは130Åから770Åになっている。動的成膜速
度は7600〜8000Åm/minであり、前述した蒸着磁気テー
プ保護膜として生産規模で要求されるDLC膜の動的成
膜速度1000〜30000Åm/minを十分充たしており、実用
可能なはやい成膜速度になっている。また、テープ幅方
向の膜厚分布も極めて良好であることがわかった。
【0031】(実施例2)本実施例では、図2の各磁石
対でマグネトロン放電が生じ、エチレンの放電分解が増
強されて成膜速度が大きくなる位置にシリコンウエハー
を固定したままで、前述の実施例1と同じ条件で厚膜を
形成し、その硬さを測定した。磁石対5組に対応して膜
厚はそれぞれ15500,16100,15900,16200,15800Åであ
り、荷重50mgでの超微小押込み硬さは、それぞれ1
10,120,100,110,110であった。これ
らの硬さはビッカース硬さ2000Kg/mm2以上に相当する
ものであり、非常に硬いことが確認された。従って、蒸
着磁気テープ上に形成された100Å程度の薄いDLC膜
についても優れた耐摩耗性が期待できる。
【0032】(実施例3)本実施例での実施手法は実施
例1と同じであるが、反応ガスとしてメタン、アセチレ
ン、ベンゼンを使用した。このときの動的成膜速度は、
メタンおよびアセチレンの場合には約5200Åm/minであ
った。また、ベンゼンの場合には約32000Åm/minで極
めて大きな動的成膜速度となり、エチレンの場合の4倍
のはやい成膜速度であった。従って、本発明の方法を用
いれば、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンのい
ずれを用いても、はやい成膜速度で蒸着磁気テープ保護
膜としてのDLC膜を巻取蒸着方式で形成することが可
能である。このように、反応ガスの種類を変えることに
より、動的成膜速度を任意に可変することもできる。
【0033】(実施例4)本実施例での実施手法は実施
例1と同じであるが、DLC膜の膜質の改善のために、
反応ガスとしての分圧26Paのエチレンと同時に水素ガス
を分圧26Paまで導入した。テープ走行速度は60m/minに
した。この時の動的成膜速度は約4000Åm/minであり、
水素を導入しない場合に比べて減少したが、DLC膜の
蒸着磁気テープ保護膜の生産規模で求められる動的成膜
速度は確保されている。また、実施例2と同様に行った
固定シリコン基板への厚膜DLCの超微小押込み硬さは
約120GPaであり、水素を導入しない場合に比べて若干硬
さが増す傾向にある。
【0034】(実施例5)実施例1と同手法で行った
が、反応ガスとしてのエチレンの分圧を3.9Paにした。
この時の動的成膜速度は約1000Åm/minであり、エチレ
ン分圧が26Paの場合に比べて小さくなるが、実用可能の
範囲内である。このように、反応ガスの導入量を変える
ことにより動的成膜速度を任意に可変できる。
【0035】(実施例6)実施例1〜5で用いた高周波
電源の周波数は13.56MHzであるが、本実施例ではそれよ
り周波数の低い100kHzの高周波電源を用いて、実施例1
および実施例2と同一条件でDLC膜を作製した。形成
された被膜の動的成膜速度は約7600Åm/minで、また超
微小押込み硬さは110GPa程度であった。これらの値は1
3.56MHz周波数を用いて生成したDLC膜の特性と同等
である。
【0036】なお、上記実施例で反応ガスとして用いた
メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンの代わりに、
飽和炭化水素である直鎖のパラフィン炭化水素として、
エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、ナノン、デカン、ウンデカン、ドデカ
ンおよびエイコサン、また、不飽和炭化水素として、プ
ロピレンおよびメチルアセチレン、また、芳香族炭化水
素として、トルエンおよびナフタレンからのガスを用い
た場合も同様な結果が得られる。
【0037】前述の実施例4では、DLC膜の改善のた
めに、反応ガスの他に水素ガスを同時に導入したが、そ
れに代るガスとして窒素、酸素、アルゴンを単独に、ま
たは、これらのガスを混合して導入しても、同様な結果
が得られる。
【0038】実施例で用いた高周波電源の周波数は13.5
6MHzおよび100kHzであるが、これに代って、この中間の
周波数を用いても同様な結果が得られる。
【0039】実施例で用いた陰極の背後に配置した磁石
は永久磁石であるが、それに代って電磁石を用いても同
様な結果が得られる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、磁気記録媒体保護膜と
してのDLC膜を形成するプラズマCVD法において、
回転してテープを移送するための主ローラーの内部に磁
石が配置され、磁石は主ローラーと共に回転しないよう
に固定されており、それによりテープ表面近傍に磁場を
生じさせて、主ローラーには高周波電位を印加してマグ
ネトロン放電を持続させることを特徴としているので、
プラズマは増強されて原料である炭化水素ガスの分解が
効率よく行われ、従って、DLC膜の形成速度が従来法
に比べて極めて大きい。また、蒸着磁気テープ表面には
負の自己バイアス電圧が発生するので、炭化水素イオン
種、炭素イオン、水素イオンがはやい速度で入射し、そ
のため、緻密なDLC膜が形成されて、硬い潤滑性に優
れた被膜になる。
【0041】以上述べたように、本発明は、磁気記録媒
体の保護膜としてのDLC膜を巻取蒸着装置を用いて生
産規模での製造を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるDLC膜の製造に使用
する装置の原理図
【図2】図1に示す装置の部分拡大図
【図3】図1に示す装置の一部分の概念図
【符号の説明】
1 真空槽 2 蒸着磁気記録テープ 3 送り出しローラー 4 中間ローラー 5 エキスパンドローラー 6 主ローラー 7 エキスパンドローラー 8 中間ローラー 9 巻き取りローラー 10 磁石 11 磁性体ヨーク 12 高周波電源 13 陽極 14 ガス導入口 15 ボンバード室 20 主ローラー回転軸 21 真空糟壁 22 絶縁物
フロントページの続き (72)発明者 太田 賀文 千葉県山武郡山武町横田523 日本真空技 術株式会社千葉超材料研究所内 (72)発明者 中村 久三 千葉県山武郡山武町横田523 日本真空技 術株式会社千葉超材料研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体が形成されたテープ上に保
    護膜としてダイヤモンド状炭素膜を形成するための製造
    方法において、排気系を有する真空糟内で該テープを移
    送しながらその上に該ダイヤモンド状炭素膜を形成する
    際に、原料炭化水素ガスの分解を促進するためのプラズ
    マ増強手段として該テープ表面近傍に磁場を発生させ、
    それにより捕捉された電子と原料炭化水素ガスとの衝突
    回数を多くして、該ダイヤモンド状炭素膜の形成速度を
    大きくし、また、該テープを移送するための主ローラー
    に高周波電位を印加し、該主ローラーと陽極との間に放
    電を起こさせて、原料炭化水素ガスを分解させ、該テー
    プ表面には負の自己バイアス電圧を生じさせ、炭化水素
    イオン種や炭素イオン及び水素イオンを引きつけて、緻
    密なダイヤモンド状炭素膜を形成することを特徴とする
    磁気記録媒体保護膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記磁気記録媒体が形成されたテープを
    密着して移送するための主ローラーの内部に永久磁石ま
    たは電磁石を配置して、該テープ表面近傍に磁場を生じ
    させ、それによりプラズマを増強するようにすることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体保護膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 上記主ローラーに100kHz〜13.56MHzの高
    周波電位を印加し、該主ローラーとそれに対向するよう
    に配置された陽極との間に放電を起こさせて、原料炭化
    水素ガスを分解させ、テープ表面には負の自己バイアス
    電圧を生じさせることを特徴とする請求項1または2記
    載の磁気記録媒体保護膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記原料炭化水素ガスは、メタン、エタ
    ン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
    ン、オクタン、ナノン、デカン、ウンデカン、ドデカ
    ン、エイコサンのような飽和炭化水素、または、エチレ
    ン、アセチレン、プロピレン、メチルアセチレンのよう
    な不飽和炭化水素、または、ベンゼン、トルエン、ナフ
    タレンのような芳香族炭化水素から選ばれたいずれかの
    炭化水素からの単体ガス或いはそれらの混合ガスである
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁
    気記録媒体保護膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記原料炭化水素ガスの導入と同時に、
    水素、窒素、酸素もしくはアルゴンの単体ガスまたはそ
    れらの混合ガスを導入することを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれかに記載の磁気記録媒体保護膜の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 磁気記録媒体が形成されたテープに保護
    膜としてダイヤモンド状炭素膜を形成するための製造装
    置において、排気系を有する真空糟内に該テープを密着
    して移送するための主ローラーおよび陽極が配置され、
    該主ローラーの内部には磁石が配置され、該磁石は該主
    ローラーの回転と共に回転しないように固定されてなる
    ことを特徴とする磁気記録媒体保護膜の製造装置。
  7. 【請求項7】 上記主ローラーに対向して陽極が配置さ
    れ、該主ローラーに印加される高周波電位により、該主
    ローラーと該陽極との間に放電を起こさせて、原料炭化
    水素ガスを分解させ、該テープの表面には負の自己バイ
    アス電圧を生じさせるようになっていることを特徴とす
    る請求項6記載の磁気記録媒体保護膜の製造装置。
  8. 【請求項8】 上記陽極は、原料炭化水素ガスを真空糟
    内に導入するための複数の噴出孔を備えていることを特
    徴とする請求項6または7記載の磁気記録媒体保護膜の
    製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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