JPH0925809A - トロコイド型オイルポンプ - Google Patents

トロコイド型オイルポンプ

Info

Publication number
JPH0925809A
JPH0925809A JP19706995A JP19706995A JPH0925809A JP H0925809 A JPH0925809 A JP H0925809A JP 19706995 A JP19706995 A JP 19706995A JP 19706995 A JP19706995 A JP 19706995A JP H0925809 A JPH0925809 A JP H0925809A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outer rotor
rotor
discharge port
oil pump
suction port
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP19706995A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeo Kato
武男 加藤
Minoru Endo
稔 遠藤
Kazuyoshi Yuge
和義 弓削
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JATCO Corp
Original Assignee
JATCO Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JATCO Corp filed Critical JATCO Corp
Priority to JP19706995A priority Critical patent/JPH0925809A/ja
Publication of JPH0925809A publication Critical patent/JPH0925809A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 騒音や振動の低いトロコイド型オイルポンプ
を提供する。 【解決手段】 カバー16の吸入ポート18と吐出ポー
ト17の間に、アウターロータ12の歯先円に沿って連
通溝21を形成する。連通溝21に沿って吐出ポート1
7側圧力と吸入ポート18側圧力を結ぶ圧力勾配が形成
され、インナーロータ11とアウターロータ12で囲い
込んだ空間10の内圧は、吸入ポート18から吐出ポー
ト17へ移動する過程で圧力勾配に沿って滑らかに変化
する。空間10における不要な減圧と過剰な加圧が無く
なるから、高速回転させた場合でも空間10におけるキ
ャビテーションが抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機やエン
ジンに組み込まれて内部機構の各部に必要なオイルを循
環させるオイルポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】自動変速機に組み込まれたオイルポンプ
は、エンジンの出力軸によって直接に駆動されて高圧の
オイルを出力する。高圧のオイルは、自動変速機の内部
機構を潤滑し、油圧制御回路を作動させ、クラッチ等の
内部機構を油圧駆動させる。自動変速機のオイルポンプ
としては、通常、トロコイド型ポンプやベーンポンプが
採用される。トロコイド型ポンプは、内接ギア式ポンプ
の一種であり、噛み合う一対の歯車の隙間に囲い込んだ
オイルを、一対の歯車の回転に伴って、吸入ポート側か
ら吐出ポート側へと送り出す。
【0003】図5、図6は、トロコイド型オイルポンプ
の構造の説明図である。図5はトロコイド型オイルポン
プの内部の平面図、図6はトロコイド型オイルポンプの
取り付け状態を示す軸方向の断面図である。図5に示す
ように、トロコイド型オイルポンプは、その内周側に噛
み合わせ面を形成して従動回転可能に保持されたアウタ
ーロータ52と、アウターロータ52の中心から偏心さ
せて配置され、その外周側にアウターロータ52に対す
る噛み合わせ面を形成して回転駆動可能に取り付けられ
たインナーロータ51とを有する。アウターロータ52
とインナーロータ51の1ピッチが囲い込む容積が最大
となる位置が上死点59である。ハウジング55には、
上死点59を挟んで吸入ポート58と吐出ポート57が
形成される。
【0004】図6に示すように、インナーロータ51
は、トルクコンバーター61のインペラスリーブ63と
嵌合して、図示しないエンジンの出力回転を直接に受け
る。アウターロータ52およびインナーロータ51は、
ポンプハウジングを構成するハウジング55とカバー5
6(一対のケース部材)によって軸方向の両側から挟み
込まれる。ハウジング55に回転中心から偏心させて形
成された凹所にアウターロータ52とインナーロータ5
1が相互に噛み合わせて格納される。カバー56の内周
側に固定されたスリーブ軸53は、インペラスリーブ6
3の内側を通ってトルクコンバーター61の内部に達
し、ステーター62を支持している。
【0005】図5に示すように、吸入ポート58と吐出
ポート57の間隔に相当する上死点59を挟む位置で
は、インナーロータ51とアウターロータ52の1ピッ
チに囲い込まれた空間が吸入ポート58と吐出ポート5
7の両方から隔離される。そして、隔離された空間が上
死点59に向かって体積をわずかに膨脹させると、非圧
縮性のオイルは圧力が急低下する。その後、隔離された
空間が上死点59を越えて体積をわずかに縮小すると、
オイルの圧力は逆に急上昇する。
【0006】そこで、特開昭63−246404号公報
に示されるトロコイド型オイルポンプでは、インナーロ
ータとアウターロータが摺動するポンプハウジング壁面
の吸入ポートと吐出ポートの間に、アウターロータの歯
先円に沿って吐出ポート側から延長された細い溝構造を
形成している。インナーロータとアウターロータの1ピ
ッチに囲い込まれた空間は、この溝構造を通じて吐出ポ
ート側にのみ連通している。そして、上述の急激な減圧
のタイミングではオイルが吐出ポート側から溝構造を通
じて補給され、上述の急激な加圧のタイミングではオイ
ルが溝構造を通じて吐出ポート側に排出される。これに
より、インナーロータとアウターロータで囲い込まれた
体積の圧力変化を緩やかにしている。
【0007】一方、特開昭62−276286号公報に
示されるベーンポンプでは、隣接する2つのベーン(隔
壁)で囲い込まれた空間を吐出ポート側にのみ連通させ
るくさび型の溝構造に加えて、この囲い込まれた体積を
吸入ポートと吐出ポートの両方に連通させる細い溝構造
も別に設けている。くさび型の溝構造は、特開昭63−
246404号公報の溝構造と同様に機能して囲い込ま
れた空間の圧力変化を緩和する。また、吐出ポート側の
圧力を越えた圧縮分のオイルを吐出ポート側に逃がすこ
とにより、オイルポンプの回転抵抗を下げて運転効率を
高めている。これに対して、細い溝構造は、吸入ポート
と吐出ポートの圧力差に駆動されたオイルの流れを形成
して、吸入ポートと吐出ポートの2つの圧力値を結ぶ圧
力勾配を形成する。吸入ポートから吐出ポートに至る期
間、2つのベーンで囲い込まれた空間の内圧は、この圧
力勾配を登って滑らかに変化し、空間内に発生する余分
な圧力変動が吸収される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開昭63−2
46404号公報に示されるトロコイド型オイルポンプ
では、見掛け上、インナーロータとアウターロータの1
ピッチで囲い込まれた空間におけるオイルの急激な減圧
と加圧が小さくなるが、騒音や振動の問題は十分に解決
されていない。吐出ポートに連通する細い溝構造を設け
ても、インナーロータとアウターロータの1ピッチで囲
い込まれた空間が上死点の直前で膨脹し、直後で圧縮さ
れて急激な圧力変化を起こすため、キャビテーションま
たは油振に起因するオイルポンプノイズが発生してい
る。
【0009】上述の特開昭62−276286号公報に
示されるベーンポンプでは、2つの溝構造を設けている
ため、ポンプハウジングの構造が複雑になり、加工の工
数が増してコスト高となる問題がある。また、2つの溝
構造の効果が複合的となって分離できないため、それぞ
れの溝構造の形状や寸法を最適化することが困難であ
る。また、一対のケース部材の両方に溝構造を形成して
いるから、加工に手間がかかる。
【0010】本発明は、運転中の振動や騒音が低くて、
高速回転でもキャビテーションが発生せず、しかも、ケ
ース部材の加工が簡単なトロコイド型オイルポンプを提
供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1のトロコイド型
オイルポンプは、その内周側に噛み合わせ面を形成して
従動回転可能に保持されたアウターロータと、前記アウ
ターロータの中心から偏心させて配置され、その外周側
に前記アウターロータに対する噛み合わせ面を形成して
回転駆動可能に取り付けられたインナーロータと、前記
アウターロータおよびインナーロータを軸方向の両側か
ら挟み込んでポンプハウジングを構成する一対のケース
部材とを有し、前記ケース部材の上死点を挟む位置に吸
入ポートと吐出ポートが形成された構成において、前記
ケース部材のアウターロータ摺動面におけるほぼアウタ
ーロータ歯先円上に、前記アウターロータと前記インナ
ーロータの歯先が囲い込む空間を前記吸入ポートおよび
前記吐出ポートに対して一体に連通させる溝構造を形成
したものである。
【0012】請求項2のトロコイド型オイルポンプは、
その内周側に噛み合わせ面を形成して従動回転可能に保
持されたアウターロータと、前記アウターロータの中心
から偏心させて配置され、その外周側に前記アウターロ
ータに対する噛み合わせ面を形成して回転駆動可能に取
り付けられたインナーロータと、前記アウターロータお
よびインナーロータを軸方向の両側から挟み込んでポン
プハウジングを構成する一対のケース部材とを有し、前
記ケース部材の上死点を挟む位置に吸入ポートと吐出ポ
ートが形成されたトロコイド型オイルポンプにおいて、
前記アウターロータと前記インナーロータの歯先が囲い
込む体積を前記吸入ポートおよび前記吐出ポートに対し
て一体に連通させる溝構造を形成し、前記溝構造は、前
記吐出ポートに連通する第1溝部と、第1溝部に連続し
て前記吸入ポートに連通する第2溝部とからなり、第1
溝部の断面積を第2溝部よりも大としたものである。
【0013】請求項3のトロコイド型オイルポンプは、
請求項1または2記載の構成において、前記溝構造の断
面積が、前記上死点で前記一対のケース部材と前記アウ
ターロータと前記インナーロータが囲む面積の0.1〜
2.5%に定められたものである。
【0014】
【作用】本発明のトロコイド型オイルポンプでは、ケー
ス部材に連通溝を設けて、インナーロータとアウターロ
ータの1ピッチで囲い込まれた空間を吸入ポートと吐出
ポートの両方に連通させて、上死点の直前直後における
圧力変化をさらに小さくしている。そして、特開昭62
−276286号公報に示されたベーンポンプの連通溝
をトロコイド型オイルポンプに採用する場合の新規な配
置と構造を提案している。
【0015】請求項1のトロコイド型オイルポンプで
は、その溝構造に、吐出ポート側から「インナーロータ
とアウターロータの1ピッチに囲い込まれた空間」を経
由して吸入ポート側に至るオイルの流れが形成される。
溝構造は、一対のケース部材の一方または両方に設け
る。インナーロータとアウターロータの回転に伴って1
ピッチで囲い込まれた空間の圧力が変化する。しかし、
1ピッチで囲い込まれた空間が吸入ポートを通過した後
も、溝構造を通じて囲い込まれた空間が吸入ポート側に
連通し続けるから、この遮断に伴う急激な圧力変動が発
生しない。また、吐出ポート側圧力と吸入ポート側圧力
の間で溝構造の抵抗が形成する圧力勾配に沿って1ピッ
チで囲い込まれた空間の内圧が緩やかに変化するから、
1ピッチで囲い込まれた空間に吐出ポート側の圧力が急
激に伝達されず、これによるキャビテーションが発生し
にくい。また、インナーロータとアウターロータの1ピ
ッチで囲い込まれた空間に発生した圧力変動は、吸入ポ
ートと吐出ポートの両方に速やかに拡散するから、一対
のケース部材が共振を起こしにくい。
【0016】請求項2のトロコイド型オイルポンプで
は、溝構造の断面積を途中で変化させており、吐出ポー
ト側の第1溝部では吸入ポート側の第2溝部よりも断面
積を拡大している。溝構造は圧力を高めたオイルを吐出
ポート側から吸入ポート側へ漏らす構造であるから、溝
構造の断面積が大きいと吐出圧力の低下、吐出流量の減
少、ポンプ効率の低下を招く。一方、溝構造の断面積が
大きい程、1ピットで囲い込まれた空間と外部の連通状
態が改善されて、上死点を通過する直前直後のオイルの
圧力変動は緩和される。そこで、第2溝部の断面積を小
さくして吸入ポート側へのオイルの漏れ量を最小限に押
さえるとともに、オイル漏れ量と直接には関係の無い第
1溝部の断面積を大きくして、1ピッチで囲い込まれた
空間の内外における圧力の連通状態を確保している。
【0017】請求項3のトロコイド型オイルポンプで
は、吐出圧力の低下や吐出流量の減少を許容できる範囲
で、騒音や振動を有効に抑制できる溝構造の断面積の限
界値が示されている。この限界値は、オイルの粘性、ポ
ンプ容量、ポンプ回転数等にも影響されるが、自動車の
自動変速機を前提として、通常のオイル条件、2000
rpm以下の回転数で実験的に求めた結果、吸入ポート
に連通する部分での溝構造の断面積を「上死点における
アウターロータとインナーロータの最大間隔の断面積の
0.1〜2.5%」とすればよいことが判明した。
【0018】
【発明の実施の形態】図1〜図4を参照して実施例のト
ロコイド型オイルポンプを説明する。実施例のトロコイ
ド型オイルポンプは、図示しないトルクコンバーターや
遊星歯車式変速装置に組み合わせて自動車用の自動変速
機(オートマチックトランスミッション)に組み立てら
れる。図1は実施例のトロコイド型オイルポンプの構成
の説明図、図2は連通溝の断面積の実用的な限界値の説
明図、図3は囲い込んだ空間における圧力変化の説明
図、図4は連通溝の深さに対する騒音および振動の改善
量の実験結果の線図である。図1中、(a)はカバーの
平面図、(b)は連通溝の断面図、(c)はインナーロ
ータとアウターロータの平面図である。図2中、(a)
は囲い込んだ空間の模式図、(b)は限界値を示す線図
である。図3中、(a)は連通溝が無い場合、(b)は
連通溝を形成した場合である。図4中、(a)は騒音の
低減効果、(b)は振動の低減効果である。
【0019】図1の(a)において、実施例のトロコイ
ド型オイルポンプでは、カバー16の中央部分に(c)
のインナーロータ11およびアウターロータ12を噛み
合わせて配置し、その上から図6に示されるハウジング
55を重ねてカバー16に固定する。ハウジング55
は、アウターロータ12をインナーロータ11に対する
所定の偏心状態に位置決めして、アウターロータ12を
回転可能に保持する。アウターロータ12は、カバー1
6とハウジング55によって囲い込まれた空間内で、イ
ンナーロータ11に噛み合って従動回転する。
【0020】カバー16は、その周囲にフランジ面16
A、その中央に貫通孔16Bを有する。フランジ面16
Aはハウジング55を取り付けた際のシール面を構成
し、貫通孔16Bは、図6に示されるスリーブ軸53を
貫通させて保持する。ハウジング55を貫通するインペ
ラ−スリーブ63は、外周の円筒面に形成した2面部で
図1の(c)に示したインナーロータ11の2面部11
Aを拘束してインナーロータ11と一体に回転する。ア
ウターロータ12とインナーロータ11は上死点19の
反対側で相互に噛み合っているから、インペラ−スリー
ブ63によってインナーロータ11が回転駆動される
と、外側のアウターロータ12が従動回転する。
【0021】上死点19を挟んで、カバー16の右側部
分に吸入ポート18の凹所、左側部分に吐出ポート17
の凹所が形成される。フランジ面16Aの内側の面(吸
入ポート18と吐出ポート17を除く)がインナーロー
タ11とアウターロータ12の側面に摺動する。運転
中、吸入ポート18には、オイル供給口18Aを通じて
低圧のオイルが供給され、圧力を高められた吐出ポート
17のオイルは、オイル出口17Aを通じて外部に出力
される。吸入ポート18と吐出ポート17の上死点19
を挟む間隔は、カバー16上に破線で示すように、アウ
ターロータ12の歯の1ピッチよりも長い距離に定めて
あるから、破線で示したようなインナーロータ11とア
ウターロータ12の位相位置では、図1の(c)に示し
たインナーロータ11とアウターロータ12の1ピッチ
に囲い込まれる空間10は、吸入ポート18と吐出ポー
ト17の両方から隔離される。
【0022】しかし、カバー16には、インナーロータ
11とアウターロータ12の歯先円に沿って連通溝21
が形成されており、空間10は、連通溝21を通じて吸
入ポート18と吐出ポート17の両方に連通している。
運転中、連通溝21には、吐出ポート17と吸入ポート
18の圧力差に駆動されたオイルの流れが発生して、連
通溝21に沿った圧力勾配が形成される。これにより、
図1の(c)の上死点19の前後における空間10の体
積変化にもかかわらず、空間10の内圧は、この圧力勾
配上の値に向かって案内され、急激な圧力変動(減圧と
加圧)が発生しにくい。
【0023】吐出ポート17と吸入ポート18の間隔を
空間10が移動する際、空間10の内圧は、吸入ポート
の圧力から吐出ポートの圧力まで徐々に高まる。上死点
19の直前における減圧や上死点19の直後における吐
出ポート17の圧力を越えた加圧が排除されるから、キ
ャビテーションの発生が抑制され、キャビテーションに
付随する高周波のキャビテーションノイズも消失する。
【0024】図1の(b)は、(a)のカバー16に形
成された連通溝21の詳細な構造を連通溝21に沿った
垂直断面で示している。吐出ポート17の連通溝21に
隣接する部分には、スロープ17Bが形成される。吸入
ポート17の連通溝21に隣接する部分には浅い部分1
8Bが形成される。連通溝21は、吸入ポート18側の
連通部21Bと吐出ポート17側の小溝部21Aからな
り、連通部21Bでは、小溝部21Aよりも流路断面積
を小さく設定してある。これにより、インナーロータ1
1とアウターロータ12の1ピッチで囲い込まれる空間
10に対する吐出ポート17側の圧力の伝達は、先ずス
ロープ17Bを通り更に小溝部21Aへと徐々に絞られ
るため、吐出ポート17側の圧力が空間10に急激に伝
達されることはない。
【0025】従って、吸入ポート18から吐出ポート1
7に至る期間、空間10の油圧は、徐々に上昇して圧力
変動が極力抑えられ、大きな騒音は発生しない。また、
インナーロータ11とアウターロータ12の回転速度が
上昇して、上死点19で空間10の圧力変動が生じた場
合にも、連通部21Bを通じて圧力変動分のオイルが吸
入ポート18と吐出ポート17の両方に逃げるため、圧
力変動が平準化される。
【0026】図2の(a)は、インナーロータ11とア
ウターロータ12の1ピッチで囲い込まれる空間10の
上死点19における状態を示す。空間10は、カバー1
6の摺動面16Cとハウジング55の摺動面15Cの間
隔を、インナーロータ11とアウターロータ12の歯先
11B、12Bで紙面の裏表方向の前後に囲い込んで形
成される。上死点19の付近では、インナーロータ11
とアウターロータ12の歯先円が一致し、インナーロー
タ11とアウターロータ12の噛み合わせ面が連通部2
1Bに向かって収束するくさび面(ノッチ)を形成す
る。空間10に発生した圧力変動は、くさび面に案内さ
れて連通部21Bへと効率的に伝達される。
【0027】図2の(b)に示される連通溝断面積は、
図2の(a)の空間10の面積に対する連通部21Bの
面積の割合である。連通溝断面積が1%の場合、連通部
21Bの断面積は、上死点19でカバー16とカバー1
5とインナーロータ11とアウターロータ12が囲む面
積の1%に相当する。連通部21Bの断面積を種々異な
らせてトロコイド型オイルポンプの吐出量とノイズ低減
効果を計測した結果、0.1%以下ではノイズ低減効果
が低く、2.5%以上では吐出量が不足して実用的でな
いことが判明した。従って、連通部21Bの断面積は、
0.1〜2.5%の範囲に定めることが望ましい。
【0028】図3は、実施例のトロコイド型オイルポン
プが吐出する油圧の線図である。図3の(a)は連通溝
21を形成する前、図3の(b)は、連通溝21を形成
した後の測定結果である。ここでは、ポンプ出力側にか
なり低い負荷を接続して油圧を計測しており、回転に伴
って空間10が吐出ポート17に接続されるごとに台形
波状の油圧の高まりが現れるが、その後は、次の空間1
0が吐出ポート17に接続されるまでオイルの吐出が途
絶えて油圧は急低下する。図3の(b)に示すように、
連通溝21を形成したことによって図3の(a)に見ら
れる油圧変動は消失している。
【0029】図4は、実施例のトロコイド型オイルポン
プの連通溝(連通部21B)の断面積を一定として、そ
の深さを3段階に異ならせた場合の騒音と振動の低減効
果を示している。ここでは、ポンプ回転数を2000r
pm以下とした場合の騒音レベルと上下振動の振幅を、
連通溝を持たない同型のポンプと比較している。騒音は
オイルポンプ直上10cmにおける放射音のレベルであ
る。上下振動は、オイルポンプ直上の振幅レベルであ
る。そして、1回転当たりm回吐出するオイルポンプを
毎秒n回転させた際の周波数mnの成分を1次、周波数
2mnの成分を2次、周波数4mnの成分を3次の成分
と定めている。オイルポンプノイズ(騒音)は、1次〜
3次の成分でほぼその大小を比較できるが、実用的に
は、振幅が桁違いに大きい1次の成分だけで比較しても
よい。図4の(a)、(b)によれば、連通溝の深さが
0.3mm以下では、1次の成分の低減効果が低いか
ら、0.5mm以上とすることが望ましい。
【0030】実施例のトロコイド型オイルポンプによれ
ば、カバー16という1つの部品におけるわずかな追加
加工によって、オイルポンプの騒音や振動を有効に低減
できる。新たな部品追加や複雑な加工を要しないから、
安価なオイルポンプを提供できる。アウターローター1
2の歯先円に沿って配置される連通溝21は、形成が容
易であるとともに、アウターローター12とインナーロ
ーター11の噛合せ面と協働して、空間10における圧
力変動を吸入ポート18と吐出ポート17の両方に有効
に排出する。また、振動レベルが低下した分、ハウジン
グ55やカバー16の肉厚を薄くしたり、振動抑制用に
設ける表面のリブ構造を簡単にでき、オイルポンプ全体
の設計の自由度が高まるから、小型軽量のオイルポンプ
が設計可能となる。また、不必要な加圧が抑制されて、
空間10における圧力上昇が必要最小限に抑えられるか
ら、オイルポンプの回転抵抗が低下して運転効率が高ま
り、エンジンのエンストが起きにくくなり、自動車の燃
費も向上する。また、吐出圧力の圧力変動が小さいか
ら、オイルポンプ自身や負荷側の油圧回路の動作が安定
し、自動変速機がオイルの圧力変動によって誤動作する
心配が無い。また、吸入ポート18と吐出ポート17の
間で空間10の内圧がなめらかに変化し、不要な減圧や
過剰な加圧を生じないから、空間10に閉じ込めたオイ
ルに気泡が形成されず、気泡の押し潰しによるキャビテ
ーションが発生する心配が無い。従って、キャビテーシ
ョンに起因する高周波ノイズが消滅するとともに、特別
な腐食対策無しでも長寿命と高い信頼性を確保できる。
さらに、オイルの流動性が不足する高速回転の領域で
も、アウターロータ12の歯先円上の連通溝21によっ
て、空間10内の圧力変動の抑制作用が維持されるか
ら、エンジンの広い回転数範囲でオイルポンプの安定し
た静かな動作を実現できる。
【0031】なお、連通溝21は、ハウジング55に形
成してもよい。連通溝21の小溝部21Aが発明の第1
溝部、連通部21Bが発明の第2溝部に相当する。
【0032】
【発明の効果】本発明のトロコイド型オイルポンプによ
れば、インナーロータとアウターロータの1ピッチで囲
い込まれる空間が吸入ポートと吐出ポートの間を移動す
る際の不要な減圧と過剰な加圧が消失して、この空間内
の圧力変動も最小限に抑えられるから、ポンプハウジン
グに対する加振力が小さくなり、運転に伴う振動や騒音
が抑制される。また、アウターロータの歯先円に沿った
溝構造は作り易く、既存の部品のわずかな仕様変更や追
加加工によって実現可能であるから、既存のオイルポン
プの設計に影響を与えず、加工に要するコストもわずか
である。また、高速回転した場合でも空間内の圧力変動
が有効に抑制され、空間内に発生した圧力変動が速やか
に吐出側と吸入側の両方に排出されるから、空間内のオ
イルにキャビテーションが発生しにくい。
【0033】溝構造を2つの部分に分割して、吐出ポー
ト側の断面積を大きくした場合、吐出量、吐出圧力、運
転効率等への悪影響を限定して、騒音と振動の抑制効果
を確保できる。溝構造の断面積をインナーロータとアウ
ターロータに囲まれる面積の0.1〜2.5%に定めた
場合、自動車の自動変速機のオイルポンプにおいて、吐
出量への悪影響を抑制しつつ騒音と振動に対する大きな
抑制効果を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のトロコイド型オイルポンプの構成の説
明図である。
【図2】連通溝の断面積の実用的な限界値の説明図であ
る。
【図3】囲い込んだ空間における圧力変化の説明図であ
る。
【図4】連通溝の深さに対する騒音および振動の改善量
の実験結果の線図である。
【図5】トロコイド型オイルポンプの内部の平面図であ
る。
【図6】トロコイド型オイルポンプの取り付け状態を示
す軸方向の断面図である。
【符号の説明】
11、51 インナーロータ 12、52 アウターロータ 55 ハウジング 16、56 カバー 17、57 吐出ポート 18、58 吸入ポート 19、59 上死点 21 連通溝 53 駆動軸 11A 2面部 11B、12B 歯先 15C、16C 摺動面 16A フランジ面 17A オイル供給口 17B スロープ 18A オイル出口 18B 浅い部分 21A 小溝部 21B 連通部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その内周側に噛み合わせ面を形成して従
    動回転可能に保持されたアウターロータと、 前記アウターロータの中心から偏心させて配置され、そ
    の外周側に前記アウターロータに対する噛み合わせ面を
    形成して回転駆動可能に取り付けられたインナーロータ
    と、 前記アウターロータおよびインナーロータを軸方向の両
    側から挟み込んでポンプハウジングを構成する一対のケ
    ース部材と、を有し、 前記ケース部材の上死点を挟む位置に吸入ポートと吐出
    ポートが形成されたトロコイド型オイルポンプにおい
    て、 前記ケース部材のアウターロータ摺動面におけるほぼア
    ウターロータ歯先円上に、前記アウターロータと前記イ
    ンナーロータの歯先が囲い込む空間を前記吸入ポートお
    よび前記吐出ポートに対して一体に連通させる溝構造を
    形成したことを特徴とするトロコイド型オイルポンプ。
  2. 【請求項2】 その内周側に噛み合わせ面を形成して従
    動回転可能に保持されたアウターロータと、 前記アウターロータの中心から偏心させて配置され、そ
    の外周側に前記アウターロータに対する噛み合わせ面を
    形成して回転駆動可能に取り付けられたインナーロータ
    と、 前記アウターロータおよびインナーロータを軸方向の両
    側から挟み込んでポンプハウジングを構成する一対のケ
    ース部材と、を有し、 前記ケース部材の上死点を挟む位置に吸入ポートと吐出
    ポートが形成されたトロコイド型オイルポンプにおい
    て、 前記アウターロータと前記インナーロータの歯先が囲い
    込む体積を前記吸入ポートおよび前記吐出ポートに対し
    て一体に連通させる溝構造を形成し、 前記溝構造は、前記吐出ポートに連通する第1溝部と、
    第1溝部に連続して前記吸入ポートに連通する第2溝部
    とからなり、 第1溝部は、第2溝部よりも断面積が大であることを特
    徴とするトロコイド型オイルポンプ。
  3. 【請求項3】 前記溝構造の断面積は、前記上死点で前
    記一対のケース部材とアウターロータとインナーロータ
    が囲む面積の0.1〜2.5%に定めてあることを特徴
    とする請求項1または2記載のトロコイド型オイルポン
    プ。
JP19706995A 1995-07-10 1995-07-10 トロコイド型オイルポンプ Withdrawn JPH0925809A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19706995A JPH0925809A (ja) 1995-07-10 1995-07-10 トロコイド型オイルポンプ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19706995A JPH0925809A (ja) 1995-07-10 1995-07-10 トロコイド型オイルポンプ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0925809A true JPH0925809A (ja) 1997-01-28

Family

ID=16368203

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19706995A Withdrawn JPH0925809A (ja) 1995-07-10 1995-07-10 トロコイド型オイルポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0925809A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100412612B1 (ko) * 2001-12-15 2003-12-31 현대자동차주식회사 오일펌프
KR100726377B1 (ko) * 2005-12-07 2007-06-08 기아자동차주식회사 차량용 파워 오일 펌프
JP2011021526A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Nippon Soken Inc 回転式ポンプおよびそれを備えたブレーキ装置
WO2012067175A1 (ja) 2010-11-19 2012-05-24 株式会社ジェイテクト オイルポンプ装置
US8303283B2 (en) 2008-12-03 2012-11-06 Hyundai Motor Company Power steering oil pump
JP2015059428A (ja) * 2013-09-17 2015-03-30 株式会社ジェイテクト オイルポンプ
US9074500B2 (en) 2011-06-09 2015-07-07 Hyundai Motor Company Engine oil pump including plunge pool to mitigate surge noise
US9470121B2 (en) 2014-07-01 2016-10-18 Hyundai Motor Company Engine oil pump with reduced noise and vibration
WO2017033720A1 (ja) * 2015-08-26 2017-03-02 株式会社デンソー 燃料ポンプ
JP2018145868A (ja) * 2017-03-06 2018-09-20 トーヨーエイテック株式会社 オイルポンプ

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100412612B1 (ko) * 2001-12-15 2003-12-31 현대자동차주식회사 오일펌프
KR100726377B1 (ko) * 2005-12-07 2007-06-08 기아자동차주식회사 차량용 파워 오일 펌프
US8303283B2 (en) 2008-12-03 2012-11-06 Hyundai Motor Company Power steering oil pump
JP2011021526A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Nippon Soken Inc 回転式ポンプおよびそれを備えたブレーキ装置
WO2012067175A1 (ja) 2010-11-19 2012-05-24 株式会社ジェイテクト オイルポンプ装置
US8833334B2 (en) 2010-11-19 2014-09-16 Jtekt Corporation Oil pump apparatus
US9074500B2 (en) 2011-06-09 2015-07-07 Hyundai Motor Company Engine oil pump including plunge pool to mitigate surge noise
JP2015059428A (ja) * 2013-09-17 2015-03-30 株式会社ジェイテクト オイルポンプ
US9470121B2 (en) 2014-07-01 2016-10-18 Hyundai Motor Company Engine oil pump with reduced noise and vibration
WO2017033720A1 (ja) * 2015-08-26 2017-03-02 株式会社デンソー 燃料ポンプ
JP2017044139A (ja) * 2015-08-26 2017-03-02 株式会社デンソー 燃料ポンプ
US10612547B2 (en) 2015-08-26 2020-04-07 Denso Corporation Fuel pump
JP2018145868A (ja) * 2017-03-06 2018-09-20 トーヨーエイテック株式会社 オイルポンプ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9581156B2 (en) Gear pump including an inner rotor having a plurality of teeth
JP6706690B2 (ja) オイルポンプ及びオイルポンプ一体型のバランサ装置
JP5479934B2 (ja) オイルポンプ
US4767296A (en) Trochoidal toothed oil pump with thin discharge channel communicating with discharge chamber
JPH0925809A (ja) トロコイド型オイルポンプ
WO2017043478A1 (ja) ギヤポンプ
JP2004301125A (ja) 歯車ポンプ
JPH0914152A (ja) 内接歯車式回転ポンプ
JP5721521B2 (ja) 内接ギヤ式オイルポンプ
JP3801536B2 (ja) 内接歯車式オイルポンプおよびこれを備えた自動変速機
JP4332772B2 (ja) 燃料ポンプ
JP2000192889A (ja) 内接歯車式ポンプ
JP2015094296A (ja) オイルポンプ装置およびリリーフ弁
JP3350633B2 (ja) ギヤ駆動式のオイルポンプ
JP5465248B2 (ja) ギヤポンプ
JP3642422B2 (ja) オイルポンプ
EP1970570B1 (en) Internal gear pump
US11795945B2 (en) Pump device with air introduction hole that opens into pump chamber at predetermined opening time immediately before suction stroke
JP3194044B2 (ja) オイルポンプの構造
US6652253B1 (en) Hydraulic pump having a noise reduction recess
JP3927316B2 (ja) 車両用オイルポンプ
JP2000220579A (ja) オイルポンプ
JP7021532B2 (ja) 可変オイルポンプ
KR0149327B1 (ko) 자동 변속기용 오일펌프
JP2010127241A (ja) ポンプ

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20021001