JPH09257859A - 車両用ワイヤハーネスの異常電流検出方法及びその装置 - Google Patents

車両用ワイヤハーネスの異常電流検出方法及びその装置

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JPH09257859A
JPH09257859A JP8061525A JP6152596A JPH09257859A JP H09257859 A JPH09257859 A JP H09257859A JP 8061525 A JP8061525 A JP 8061525A JP 6152596 A JP6152596 A JP 6152596A JP H09257859 A JPH09257859 A JP H09257859A
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JP8061525A
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Kimihiro Sato
公宏 佐藤
Yoshio Hori
純郎 堀
Tatsuo Morimoto
辰男 森本
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Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)
  • Testing Electric Properties And Detecting Electric Faults (AREA)
  • Emergency Protection Circuit Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レアショートやリークの発生の有無を確実に
検出すること。 【解決手段】 車両のバッテリ3を流れる電流をバッテ
リ電流計測手段23bで計測し、これを基に、バッテリ
3の電流変化をバッテリ電流変化検出手段25Aで検出
し、バッテリ3と接続された複数の負荷17A〜17N
の作動に伴い、両者を接続する複数のワイヤハーネス6
A〜6Nに正常時に生じる電流の変化のデータを負荷電
流データ保持手段25bAに記憶、保持させ、バッテリ
電流変化検出手段25Aの検出したバッテリ3を流れる
電流の変化が、負荷電流データ保持手段25bAの保持
する各ワイヤハーネス6A〜6Nの電流変化のデータ、
及び、このデータを2つ以上の負荷17A〜17N分足
し合わせた合成データのうちいずれにも該当しないと電
流変化照合手段25Bが判別すると、複数のワイヤハー
ネス6A〜6N中に異常電流が流れていると判別するこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のバッテリと
複数の負荷とをそれぞれ接続する電力供給用の複数のワ
イヤハーネスにおける異常電流を検出する方法及びその
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】乗用車を始めとする車両では、スピード
メータや各種ウォーニングランプを備えるコンビネーシ
ョンメータ、パワーウィンド、並びに、前照灯やハザー
ドランプ等の照明系といった電装機器からなる負荷に、
バッテリからの電力を個別のワイヤハーネスによりそれ
ぞれ供給している。
【0003】図9は従来のこの種のワイヤハーネスの結
線状態を示す車両電装系の説明図で、図9中引用符号1
で示す電装系において、バッテリ3には、イグニッショ
ンスイッチ5の切換状態に応じて使用可能となる負荷1
7a1 ,17a2 〜17dに給電するための基幹ハーネ
ス7が接続されており、この基幹ハーネス7は、リレー
ボックス(以下、R/Bと略記する)9の内部で、イグ
ニッションスイッチ5の切換状態に関係なく常時使用可
能な負荷17eに暗電流を供給するための補助基幹ハー
ネス11と2本に分岐されている。
【0004】前記基幹ハーネス7は前記R/B9の下流
側でイグニッションスイッチ5の共通接点に接続され、
このイグニッションスイッチ5の「ACC(アクセサ
リ)」、「ON」(この場合は「ON1」、「ON2」
の2つの並列接点)、及び、「START」の各接点
は、中間ハーネス13a〜13dを介してジョイントボ
ックス及びヒューズボックス(以下、総称してJ/Bと
略記する)15にそれぞれ接続され、また、基幹ハーネ
ス7から分岐された補助基幹ハーネス11もJ/B15
に接続されている。
【0005】前記J/B15は、イグニッションスイッ
チ5が「START」及び「ON」の各接点にある時に
使用可能な負荷17a1 ,17a2 用、同じく、「ST
ART」及び「ON」の各接点にある時に使用可能な負
荷17b用、「START」、「ON」、及び、「AC
C」の各接点にある時に使用可能な負荷17c用、「S
TART」の接点にある時に使用可能な負荷17d用、
並びに、イグニッションスイッチ5の接点位置に関係な
く使用できるように暗電流が供給される負荷17e用の
小電流用ヒューズ15a1 ,15a2 〜15eを有して
おり、各小電流用ヒューズ15a1 ,15a2 〜15e
の下流側は、複数の分岐ハーネス19a 1 ,19a2
19eを介して対応する各負荷17a1 ,17a2 〜1
7eに接続されている。
【0006】また、前記R/B9内には、所定値を越え
る電流が流れると発熱、溶断するスローブローヒューズ
(=大電流用ヒューズ、以下、S/Bと略記する)9
a,9bが収容されており、S/B9aは、補助基幹ハ
ーネス11との分岐点よりもイグニッションスイッチ5
側の基幹ハーネス7箇所に介設され、S/B9bは補助
基幹ハーネス11に介設されている。
【0007】このような従来の電装系1においては、デ
ッドショートの発生により過電流状態となった場合に、
基幹ハーネス7及び中間ハーネス13a〜13dについ
ては、過電流により発熱したS/B9aを溶断させ、補
助基幹ハーネス11についてはS/B9bを同じく溶断
させ、さらに、分岐ハーネス19a1 ,19a2 〜19
eについては小電流用ヒューズ15a1 ,15a2 〜1
5eを同じく溶断させて、デッドショートの発生箇所と
バッテリ3との接続を遮断し、これにより、各ハーネス
7,11,13,19a1 ,19a2 〜19eを過熱、
発火等の損傷から保護するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の電装系1において、各ハーネス7,11,13a〜
13d,19a1 ,19a2 〜19eの被覆に亀裂等が
生じて、内部の心線が車両の走行等に伴う振動で車体へ
の接離を繰り返す、所謂レアショートが発生したり、或
は、各ハーネス7,11,13a〜13d,19a1
19a2 〜19eにおいて電流のリークが発生すると、
デッドショートが発生した場合ほど大きくはないもの
の、そのまま放置しておくとハーネス7,11,13a
〜13d,19a1 ,19a2 〜19eが過熱、発火し
かねない程度の過電流が、レアショートやリークの発生
したハーネス7,11,13a〜13d,19a1 ,1
9a2〜19eに流れる場合がある。
【0009】しかしながら、このようなレアショートや
リークの発生時には、上述したように、デッドショート
が発生した場合ほど過電流が大きくないことから、それ
に合わせた仕様のS/B9a,9bや小電流用ヒューズ
15a1 ,15a2 〜15eが溶断するまで加熱されな
い可能性があり、そのまま放置しておくのは、レアショ
ートやリークの発生したハーネス7,11,13a〜1
3d,19a1 ,19a2 〜19eがいずれ過熱、発火
しかねないことを考えると好ましくなく、安全面から見
てさらなる対策を講じることが望ましい。
【0010】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、本発明の第1の目的は、デッドショートよりも過電
流の大きさが小さいレアショートやリークの発生の有無
を確実に検出できる車両用ワイヤハーネスの異常電流検
出方法及びその装置を提供することにあり、また、本発
明の第2の目的は、デッドショートに対応した既存のヒ
ューズでは対応しきれないレアショートやリークの発生
時に、レアショートやリークが発生したワイヤハーネス
箇所とバッテリの接続を確実に遮断できる車両用ワイヤ
ハーネスの異常電流検出方法及びその装置を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
る請求項1乃至請求項4記載の本発明は、車両用ワイヤ
ハーネスの異常電流検出方法に関するもので、請求項6
乃至9記載の本発明は、車両用ワイヤハーネスの異常電
流検出装置に関するものである。また、前記第2の目的
を達成する請求項5記載の本発明は、車両用ワイヤハー
ネスの異常電流検出方法に関するもので、請求項10記
載の本発明は、車両用ワイヤハーネスの異常電流検出装
置に関するものである。
【0012】そして、請求項1に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法は、車両のバッテ
リと複数の負荷とをそれぞれ接続する電力供給用の複数
のワイヤハーネスにおける異常電流の発生を検出するに
当たり、前記バッテリの電流を計測し、前記計測したバ
ッテリの電流が変化した際に、該計測したバッテリの電
流の変化を、前記各負荷の作動に伴い該負荷が接続され
た前記ワイヤハーネスに正常時に生じる電流の変化のデ
ータと照合することにより、前記複数のワイヤハーネス
のうちいずれかに異常電流が流れているか否かを判別す
るようにしたことを特徴とする。
【0013】また、請求項2に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出方法は、あらかじめ定め
られた期間において、前記各負荷の作動に伴い前記バッ
テリに生じた電流の変化を前記データとして収集し、前
記期間の終了後、前記収集したデータを基に、前記複数
のワイヤハーネス中に異常電流が流れているか否かの判
別を行うようにした。
【0014】さらに、請求項3に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法は、前記計測した
バッテリの電流の変化の量が、前記各負荷の作動に伴い
該負荷が接続された前記ワイヤハーネスに正常時に流れ
る通常電流のデータと、前記各負荷に対応する前記通常
電流のデータを少なくとも2つ以上足し合わせた合計通
常電流のデータとのうちいずれかに合致するか否かによ
り、前記複数のワイヤハーネスのうちいずれかに異常電
流が流れているか否かを判別するようにした。
【0015】また、請求項4に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出方法は、前記計測したバ
ッテリの電流の変化を示す波形パターンが、前記各負荷
の作動に伴い該負荷が接続された前記ワイヤハーネスに
正常時に生じる電流の変化を示す波形パターンと、前記
各負荷に対応する前記波形パターンを少なくとも2つ以
上合成した合成波形パターンとのうちいずれかに合致す
るか否かにより、前記複数のワイヤハーネスのうちいず
れかに異常電流が流れているか否かを判別するようにし
た。
【0016】さらに、請求項5に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法は、前記複数のワ
イヤハーネス中に異常電流が流れていると判別した際
に、前記バッテリと前記複数の負荷との間の電気的接続
を遮断するようにした。
【0017】また、請求項6に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出装置は、図1の基本構成
図に示すように、車両のバッテリ3と複数の負荷17A
〜17Nとをそれぞれ接続する電力供給用の複数のワイ
ヤハーネス6A〜6Nにおける異常電流の発生を検出す
る装置において、前記バッテリ3を流れる電流を計測す
るバッテリ電流計測手段23bと、前記バッテリ電流計
測手段23bの計測電流を基に、前記バッテリ3を流れ
る電流の変化を検出するバッテリ電流変化検出手段25
Aと、前記各負荷17A〜17Nの作動に伴い該負荷1
7A〜17Nが接続された前記ワイヤハーネス6A〜6
Nに正常時に生じる電流の変化のデータを記憶、保持す
る負荷電流データ保持手段25bAと、前記バッテリ電
流変化検出手段25Aの検出した前記バッテリ3を流れ
る電流の変化が、前記負荷電流データ保持手段25bA
の保持する前記各負荷17A〜17Nが接続された前記
ワイヤハーネス6A〜6Nに正常時に生じる電流の変化
のデータ、及び、前記各負荷17A〜17Nに対応する
前記電流の変化のデータを少なくとも2つ以上足し合わ
せた合成データのうちいずれかと合致するか否かを判別
する電流変化照合手段25Bとを備え、前記バッテリ電
流変化検出手段25Aの検出した前記バッテリ3を流れ
る電流の変化が、前記負荷電流データ保持手段25bA
の保持する前記データ及び前記合成データのいずれにも
該当しないと前記電流変化照合手段25Bが判別した際
に、前記複数のワイヤハーネス6A〜6Nのうちいずれ
かに異常電流が流れていると判別することを特徴とす
る。
【0018】さらに、請求項7に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出装置は、学習期間を設
定する学習期間設定手段26と、前記学習期間中に、前
記各負荷17A〜17Nの作動に伴って前記バッテリ電
流変化検出手段25Aが検出した前記バッテリ3を流れ
る電流の変化を、前記データとして前記負荷電流データ
保持手段25bAに記憶させる負荷電流データ学習手段
25Cとをさらに備え、前記電流変化照合手段25B
が、前記バッテリ電流変化検出手段25Aの検出した前
記バッテリ3を流れる電流の変化が、前記負荷電流デー
タ保持手段25bAの保持する前記データ及び前記合成
データのうちいずれかと合致するか否かの判別を、前記
学習期間後に行うものとした。
【0019】また、請求項8に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出装置は、前記負荷電流デ
ータ保持手段25bAの保持する前記データが、前記各
負荷17A〜17Nの作動に伴い該負荷17A〜17N
が接続された前記ワイヤハーネス6A〜6Nに正常時に
流れる通常電流の値であり、前記電流変化照合手段25
Bが、前記バッテリ電流変化検出手段25Aの検出した
前記バッテリ3を流れる電流の変化の量が、前記負荷電
流データ保持手段25bAの保持する前記各負荷17A
〜17Nの作動に伴う前記通常電流、及び、少なくとも
2つ以上の前記負荷17A〜17Nに対応する前記通常
電流を組み合わせた合成通常電流のうちいずれかと合致
するか否かを判別するものとした。
【0020】さらに、請求項9に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出装置は、前記負荷電流
データ保持手段25bAの保持する前記データが、前記
各負荷17A〜17Nの作動に伴う該負荷17A〜17
Nが接続された前記ワイヤハーネス6A〜6Nの電流の
変化を示す波形パターンであり、前記電流変化照合手段
25Bが、前記バッテリ電流変化検出手段25Aの検出
した前記バッテリ3を流れる電流の変化の波形パターン
が、前記負荷電流データ保持手段25bAの保持する前
記各負荷17A〜17Nの作動に伴う前記波形パター
ン、及び、少なくとも2つ以上の前記負荷17A〜17
Nに対応する前記波形パターンを合成した合成波形パタ
ーンのうちいずれかと合致するか否かを判別するものと
した。
【0021】また、請求項10に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出装置は、前記バッテリ
3と前記複数のワイヤハーネス6A〜6Nとの間に介設
され、該複数のワイヤハーネス6A〜6Nを流れる電流
の正常時に導通状態とされるリレー23aと、前記バッ
テリ電流変化検出手段25Aの検出した前記バッテリ3
を流れる電流の変化が、前記負荷電流データ保持手段2
5bAの保持する前記データ及び前記合成データのいず
れにも該当しないと前記電流変化照合手段25Bが判別
した際に、前記リレー23aを開放させるリレー開放手
段25Dとをさらに備えるものとした。
【0022】請求項1に記載した本発明の車両用ワイヤ
ハーネスの異常電流検出方法によれば、複数のワイヤハ
ーネスを介して複数の負荷が接続された車両のバッテリ
に流れる電流の変化は、ワイヤハーネスにレアショート
やリークといった異常がない限り、複数の負荷のうち少
なくとも1つが作動することによるものである。従っ
て、バッテリに流れる電流が変化した際に、その変化
を、各負荷の作動に応じてその負荷及びこの負荷が接続
されたワイヤハーネスに正常時に生じる電流の変化と照
合することで、負荷が作動したことによる電流の変化
か、それとも、ワイヤハーネスにレアショートやリーク
といった異常が発生したことによる電流の変動か、各負
荷及びこの負荷が接続されたワイヤハーネスに実際に流
れる電流を計測しなくても、確実に特定することが可能
となる。尚、このことは、請求項6に記載した本発明の
車両用ワイヤハーネスの異常電流検出装置についても同
様に言える。
【0023】また、請求項2に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出方法によれば、あらかじ
め定められた期間において実際に各負荷を作動させた際
のバッテリに生じた電流の変化を、各負荷の作動に応じ
てその負荷及びこの負荷が接続されたワイヤハーネスに
正常時に生じる電流の変化のデータとして収集すること
で、各負荷の作動に伴う電流変化のデータをあらかじめ
構築しておく手間を省くことが可能となる。尚、このこ
とは、請求項7に記載した本発明の車両用ワイヤハーネ
スの異常電流検出装置についても同様に言える。
【0024】さらに、請求項3に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法によれば、各負荷
が接続されたワイヤハーネスに異常電流が流れているか
否かの判別基準を、前記各負荷の作動に伴い該負荷が接
続された前記ワイヤハーネスに正常時に流れる通常電流
のデータや、その通常電流のデータを少なくとも2つ以
上の負荷分合成した合成通常電流とすることで、レアシ
ョートやリークといった異常の発生を確実に判別するた
めに必要となるデータを、各負荷に対応する通常電流の
データのみで済ませ、複雑な判別基準とせず、しかも、
少ない量のデータで、負荷が接続されたワイヤハーネス
に生じるレアショートやリークといった異常を確実に検
出することが可能となる。尚、このことは、請求項8に
記載した本発明の車両用ワイヤハーネスの異常電流検出
装置についても同様に言える。
【0025】また、請求項4に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出方法によれば、各負荷が
接続されたワイヤハーネスに異常電流が流れているか否
かの判別基準を、各負荷の作動に伴いその負荷が接続さ
れたワイヤハーネスに生じる電流変化の波形パターン
や、その波形パターンを少なくとも2つ以上の負荷分合
成した合成波形パターンとすることで、負荷がモータで
ある場合等、レアショートやリークといった異常が発生
していなくても、その負荷が接続されたワイヤハーネス
に生じる電流変化が時間の経過と共に変わる場合であっ
ても、その負荷の作動に伴うワイヤハーネス上での正常
な電流変化を、レアショートやリークといった異常の発
生によるものと確実に区別することが可能となる。尚、
このことは、請求項9に記載した本発明の車両用ワイヤ
ハーネスの異常電流検出装置についても同様に言える。
【0026】さらに、請求項5に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法によれば、従来、
デッドショートの発生時にしか行えなかったバッテリと
複数の負荷との間の電気的接続の遮断を、レアショート
やリークといった異常が発生した際にも実行し、レアシ
ョートやリークといった異常に起因するワイヤハーネス
の損傷の発生を確実に防止することが可能となる。尚、
このことは、請求項10に記載した本発明の車両用ワイ
ヤハーネスの異常電流検出装置についても同様に言え
る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明による車両用ワイヤ
ハーネスの異常電流検出方法を、車両用ワイヤハーネス
の異常電流検出装置と共に図面を参照して説明する。
【0028】図2は本発明の一実施形態に係る異常電流
検出装置を備える車両電装系の説明図で、図2中図9に
示すものと同一の部分、箇所には、図9で付したものと
同一の引用符号を付して、重複する説明を省略する。
【0029】そして、図2中引用符号21で示す本実施
形態の電装系は、R/B9の内部において基幹ハーネス
7に介設されていたS/B9aがメインリレー23aに
変わった点と、R/B9の内部に、バッテリ3を流れる
電流を計測する従来公知の電流センサ23b(バッテリ
電流計測手段に相当)を設け、この電流センサ23b
を、メインリレー23aよりもイグニッションスイッチ
5側の基幹ハーネス7箇所に介設した点が、図9に示す
従来の電装系1とは構成が異なっている。
【0030】また、本実施形態の電装系21は、電流セ
ンサ23bにより計測したバッテリ3を流れる電流に応
じてメインリレー23aの開閉動作を制御するマイクロ
コンピュータ(以下、マイコンと略記する)25を、R
/B9の内部に設けた点と、R/B9の内部において基
幹ハーネス7に分岐接続していた補助基幹ハーネス11
を、イグニッションスイッチ5の共通接点に接続された
基幹ハーネス7の終端に接続した点が、図9に示す従来
の電装系1とは構成が異なっている。
【0031】前記マイコン25は、図3に電気的構成の
ブロック図で示すように、CPU(Central Processing
Unit 、中央処理装置)25aと、このCPU25aに
接続されたRAM(Random Access Memory)25b及び
ROM(Read-Only Memory)25cで構成されており、
このマイコン25は、バッテリ3から基幹ハーネス7及
び不図示のDC/DCコンバータを介して供給される電
源により作動する。
【0032】前記CPU25aには、前記RAM25b
及びROM25cが接続されていると共に、前記メイン
リレー23aのドライバ23cと、電流センサ23b
と、ヘッドライト(図示せず)のビームスイッチ27と
ワイパスイッチ29、並びに、リセットスイッチ31が
接続されている。
【0033】前記RAM25bには、図4にメモリエリ
アマップで示すように、レアショートやリーク、及び、
デッドショートを検出する判別基準となる各種データを
記憶するデータエリアと、各種処理作業に用いるワーク
エリアとが設けられており、このうちワークエリアに
は、電流変化量バッファ、電流変化波形パターンバッフ
ァ、レアショート検出禁止フラグ、学習終了済フラグ、
並びに、学習中フラグの各エリア等が設けられている。
前記ROM25cには、CPU25aが各種処理を行う
のに必要な制御プログラムが格納されている。
【0034】次に、前記ROM25cに格納された制御
プログラムに従いCPU25aが行う処理について、図
5乃至図8のフローチャートを参照して説明する。
【0035】バッテリ3に接続されて電源の供給を受け
たマイコン25が起動し、プログラムがスタートする
と、CPU25aは、図5にメインルーチンのフローチ
ャートで示すように、初期設定を行う(ステップS
1)。このステップS1の初期設定では、RAM25b
の電流変化量バッファエリア及び電流変化波形パターン
バッファエリアをそれぞれクリアすると共に、レアショ
ート検出禁止フラグエリアのフラグF1、学習終了済フ
ラグエリアのフラグF3、並びに、学習中フラグエリア
のフラグF5をそれぞれ「0」に設定する。
【0036】ステップS1の初期設定が済んだならば、
RAM25bのレアショート検出禁止フラグエリアのフ
ラグF1が「0」であるか否かを確認し(ステップS
3)、フラグF1が「0」でない場合は(ステップS3
でN)、後述するステップS35に進み、「0」である
場合は(ステップS3でY)、RAM25bの学習終了
済フラグエリアのフラグF3が「0」であるか否かを確
認する(ステップS5)。
【0037】学習終了済フラグエリアのフラグF3が
「0」でない場合は(ステップS5でN)、後述するス
テップS27に進み、「0」である場合は(ステップS
5でY)、RAM25bの学習中フラグエリアのフラグ
F5が「0」であるか否かを確認し(ステップS7)、
フラグF5が「0」でない場合は(ステップS7で
N)、後述するステップS13に進み、「0」である場
合は(ステップS7でY)、ビームスイッチ27及びワ
イパスイッチ29の2つによる、通常の作動時には行わ
れない特別な組み合わせ操作による、学習開始を指示す
る操作が行われたか否かを確認する(ステップS9)。
学習開始操作が行われていない場合は(ステップS9で
N)、ステップS3にリターンし、行われた場合は(ス
テップS9でY)、フラグF5を「1」に設定した後
(ステップS11)、ステップS3にリターンする。
【0038】また、ステップS7において学習中フラグ
エリアのフラグF5が「0」でない場合(N)に進むス
テップS13では、ビームスイッチ27及びワイパスイ
ッチ29の2つによる、前記学習開始操作とは異なる内
容の、通常の作動時には行われない特別な組み合わせ操
作による学習終了を指示する操作が行われたか否かを確
認し、学習終了操作が行われた場合は(ステップS13
でY)、後述するステップS21に進み、行われていな
い場合は(ステップS13でN)、電流センサ23bに
より計測されて取り込まれた電流に変化があったか否か
を確認する(ステップS15)。
【0039】取り込まれた電流に変化がない場合は(ス
テップS15でN)、ステップS3にリターンし、変化
があった場合は(ステップS15でY)、学習処理を行
う(ステップS17)。
【0040】前記ステップS17の学習処理では、図6
にサブルーチンのフローチャートで示すように、ステッ
プS15で変化があったと確認された電流の変化量ΔA
を、電流センサ23bにより計測されて取り込まれた電
流から取得し(ステップS17a)、取得した電流変化
量ΔAが、RAM25bのデータエリアに格納されてい
る電流変化量のデータ中に存在するか否かを確認する
(ステップS17b)。ステップS17aで取得した電
流変化量ΔAがデータエリア中の電流変化量のデータ中
に存在する場合は(ステップS17bでY)、後述する
ステップS17dに進み、存在しない場合は(ステップ
S17bでN)、ステップS17aで取得した電流変化
量ΔAをRAM25bの電流変化量バッファエリアに格
納した後(ステップS17c)、ステップS17dに進
む。
【0041】ステップS17dでは、ステップS15で
変化があったと確認された電流の変化の波形パターンS
を、電流センサ23bにより計測されて取り込まれた電
流から取得し、次に、取得した波形パターンSが、RA
M25bのデータエリアに格納されている電流変化波形
パターンのデータ中に存在するか否かを確認する(ステ
ップS17e)。
【0042】ステップS17dで取得した電流変化波形
パターンSがデータエリア中の電流変化波形パターンの
データ中に存在する場合は(ステップS17eでY)、
メインルーチンに戻ってステップS19に進み、存在し
ない場合は(ステップS17eでN)、ステップS17
dで取得した電流変化波形パターンSをRAM25bの
電流変化波形パターンバッファエリアに格納した後(ス
テップS17f)、メインルーチンに戻ってステップS
19に進む。
【0043】ステップS17の学習処理を終えた後に進
むステップS19では、図5に示すように、基幹ハーネ
ス7、補助基幹ハーネス11、中間ハーネス13a〜1
3d、及び、分岐ハーネス19a1 ,19a2 〜19e
中にデッドショートが発生したか否かを検出するデッド
ショート検出処理を行う。
【0044】ステップS19のデッドショート検出処理
では、図7にサブルーチンのフローチャートで示すよう
に、電流センサ23bにより計測されて取り込まれた電
流の値Aを取得し(ステップS19a)、次に、取得し
た電流値Aが、デッドショートの発生の判別基準とな
る、負荷17a1 ,17a2 〜17eの作動時に対応す
る分岐ハーネス19a1 ,19a2 〜19eを流れる正
常な電流の合計値よりも高い基準電流値ATHに達してい
るか否かを確認する(ステップS19b)。
【0045】電流センサ23bにより計測され取り込ま
れて取得した電流値Aが基準電流値ATHに達していない
場合は(ステップS19bでN)、メインルーチンに戻
ってステップS3にリターンし、電流値Aが基準電流値
THに達している場合は(ステップS19bでY)、ド
ライバ23cに対するメインリレー23aを閉成させる
ためのメインリレー閉成信号の出力を停止し(ステップ
S19c)、次に、レアショート検出禁止フラグエリア
のフラグF1を「1」に設定した後(ステップS19
d)、メインルーチンに戻ってステップS3にリターン
する。
【0046】また、ステップS13において学習終了操
作が行われた場合(Y)に進むステップS21では、図
5に示すように、電流変化量バッファエリアに格納した
電流変化量ΔAと、電流変化波形パターンバッファエリ
アに格納した電流変化波形パターンSとを、RAM25
bのデータエリアに転記すると共に、電流変化量バッフ
ァエリアと電流変化波形パターンバッファエリアをそれ
ぞれクリアする学習データ転記処理を行い、次に、学習
終了済フラグエリアのフラグF3を「1」に設定すると
共に(ステップS23)、学習中フラグエリアのフラグ
F5を「0」に設定した後(ステップS25)、ステッ
プS3にリターンする。
【0047】さらに、ステップS5において学習終了済
フラグエリアのフラグF3が「0」でない場合(N)に
進むステップS27では、電流センサ23bにより計測
されて取り込まれた電流に変化があったか否かを確認
し、取り込まれた電流に変化がない場合は(ステップS
27でN)、ステップS3にリターンし、変化があった
場合は(ステップS27でY)、デッドショート検出処
理を行う(ステップS29)。
【0048】ステップS29のデッドショート検出処理
では、ステップS19と同様に、図7に示すように、電
流センサ23bにより計測されて取り込まれた電流の値
Aを取得し(ステップS29a)、次に、取得した電流
値Aが、デッドショートの発生の判別基準となる、負荷
17a1 ,17a2 〜17eの作動時に対応する分岐ハ
ーネス19a1 ,19a2 〜19eを流れる正常な電流
の合計値よりも高い基準電流値ATHに達しているか否か
を確認する(ステップS29b)。
【0049】電流センサ23bにより計測され取り込ま
れて取得した電流値Aが基準電流値ATHに達していない
場合は(ステップS29bでN)、メインルーチンに戻
ってステップS31に進み、電流値Aが基準電流値ATH
に達している場合は(ステップS29bでY)、メイン
リレー23aを閉成させるためのドライバ23cに対す
るメインリレー閉成信号の出力を停止し(ステップS2
9c)、次に、レアショート検出禁止フラグエリアのフ
ラグF1を「1」に設定した後(ステップS29d)、
メインルーチンに戻ってステップS31に進む。
【0050】また、ステップS29のデッドショート検
出処理を終えた後に進むステップS31では、図5に示
すように、レアショート検出禁止フラグエリアのフラグ
F1が「0」であるか否かを確認し、フラグF1が
「0」でない場合は(ステップS3でN)、ステップS
3にリターンし、「0」である場合は(ステップS3で
Y)、基幹ハーネス7、補助基幹ハーネス11、中間ハ
ーネス13a〜13d、及び、分岐ハーネス19a1
19a2 〜19e中にレアショートやリークが発生した
か否かを検出するレアショート、リーク検出処理を行う
(ステップS33)。
【0051】ステップS33のレアショート、リーク検
出処理では、図8にサブルーチンのフローチャートで示
すように、ステップS27で変化があったと確認された
電流の変化量ΔAを、電流センサ23bにより計測され
て取り込まれた電流から取得し(ステップS33a)、
取得した電流変化量ΔAが、データエリアに格納されて
いる電流変化量のデータ中に存在するか否かを確認する
(ステップS33b)。
【0052】ステップS33aで取得した電流変化量Δ
Aがデータエリア中の電流変化量のデータ中に存在しな
い場合は(ステップS33bでN)、後述するステップ
S33eに進み、存在する場合は(ステップS33bで
Y)、ステップS27で変化があったと確認された電流
の変化の波形パターンSを、電流センサ23bにより計
測されて取り込まれた電流から取得し(ステップS33
c)、次に、取得した波形パターンSが、データエリア
に格納されている電流変化波形パターンのデータ中に存
在するか否かを確認する(ステップS33d)。
【0053】ステップS33dで取得した電流変化波形
パターンSがデータエリア中の電流変化波形パターンの
データ中に存在する場合は(ステップS33dでY)、
メインルーチンに戻ってステップS3にリターンし、存
在しない場合は(ステップS33dでN)、ステップS
33eに進む。ステップS33eでは、ドライバ23c
に対するメインリレー23aを閉成させるためのメイン
リレー閉成信号の出力を停止し、次に、レアショート検
出禁止フラグエリアのフラグF1を「1」に設定した後
(ステップS33f)、メインルーチンに戻ってステッ
プS3にリターンする。
【0054】また、ステップS5においてレアショート
検出禁止フラグエリアのフラグF1が「0」でない場合
(N)に進むステップS35では、図5に示すように、
リセットスイッチ31が操作されたか否かを確認し、操
作されていない場合は(ステップS35でN)、ステッ
プS3にリターンし、操作された場合は(ステップS3
5でY)、メインリレー23aを閉成させるためにドラ
イバ23cに対してメインリレー閉成信号を出力し(ス
テップS37)、次に、レアショート検出禁止フラグエ
リアのフラグF1を「0」に設定した後(ステップS3
9)、メインルーチンに戻ってステップS3にリターン
する。
【0055】以上の説明からも明らかなように、本実施
形態では、前記基幹ハーネス7、補助基幹ハーネス1
1、中間ハーネス13a〜13d、及び、分岐ハーネス
19a 1 ,19a2 〜19eにより、請求項中のワイヤ
ハーネス6A〜6Nが構成され、前記負荷17a1 ,1
7a2 〜17dが請求項中の負荷17A〜17Nに相当
し、前記ビームスイッチ27及びワイパスイッチ29に
より、請求項中の学習期間設定手段26が構成され、メ
インリレー23aとそのドライバ23c、電流センサ2
3b、マイコン25、ビームスイッチ27、及び、ワイ
パスイッチ29により、異常電流検出装置が構成されて
いる。
【0056】また、本実施形態では、請求項中の負荷電
流データ保持手段25bAがRAM25bのデータエリ
アで構成されており、バッテリ電流変化検出手段25A
が、図5のフローチャートにおけるステップS15及び
ステップS27と、図6のフローチャートにおけるステ
ップS17a及びステップS17dと、図8のフローチ
ャートにおけるステップS33a及びステップS33c
によって構成されている。
【0057】さらに、本実施形態では、請求項中の電流
変化照合手段25Bが図8中のステップS33a及びス
テップS33cで構成され、負荷電流データ学習手段2
5Cが図6中のステップS17b、ステップS17c、
ステップS17e、並びに、ステップS17fで構成さ
れ、リレー開放手段25Dが図8中のステップS33e
で構成されている。
【0058】次に、上述した構成による本実施形態の異
常電流検出装置の動作(作用)について説明する。
【0059】例えば、車両が完成して納車前の最終の走
行テストを受ける前等においては、マイコン25のRA
M25bには、前記基幹ハーネス7、補助基幹ハーネス
11、中間ハーネス13a〜13d、及び、分岐ハーネ
ス19a1 ,19a2 〜19eに、レアショートやリー
クが発生したか否かを検出するための判別基準となる、
各負荷17a1 ,17a2 〜17eの作動に伴い対応す
る分岐ハーネス19a 1 ,19a2 〜19eを流れる電
流に生じる変化の変化量ΔAや変化波形パターンSのデ
ータが全く格納されていない。
【0060】従って、まず、ビームスイッチ27及びワ
イパスイッチ29の特別な組み合わせによる学習開始の
指示操作を行って、マイコン25に学習期間の開始を通
知する。尚、この学習期間の開始がマイコン25に通知
されるよりも以前は、電流センサ23bにより計測され
てマイコン25に取り込まれた電流値Aが前記基準電流
値ATHに達したか否かを確認することによる、デッドシ
ョートの発生の検出動作のみが行われる。
【0061】そして、学習期間の開始がマイコン25に
通知された以後は、前記デッドショートの発生の検出動
作に加えて、レアショートやリークの発生を検出するた
めの判別基準となる前記電流変化量ΔAや電流変化波形
パターンSを収集するための学習動作が行われる。この
学習動作では、各負荷17a1 ,17a2 〜17eが単
独、或は、2つ以上同時に作動して、これに伴い、電流
センサ23bにより計測されてマイコン25に取り込ま
れた電流値Aが変化する毎に、変化した電流値Aからマ
イコン25により取得される電流変化量ΔAや電流変化
波形パターンSが、ダブりがないようにRAM25bに
収集、格納される。
【0062】尚、この学習期間において、各負荷17a
1 ,17a2 〜17eを順に1つずつ作動させながら、
電流センサ23bにより計測されてマイコン25に取り
込まれた電流値Aを基にマイコン25で取得した電流変
化量ΔAや電流変化波形パターンSを、RAM25bに
収集、格納すれば、各負荷17a1 ,17a2 〜17e
の単独の作動に伴う、基幹ハーネス7、補助基幹ハーネ
ス11、中間ハーネス13a〜13d、及び、分岐ハー
ネス19a1 ,19a2 〜19eの正常な電流変化量Δ
Aや電流変化波形パターンSを、もれなく収集すること
ができる。また、そうすれば、複数の負荷17a1 ,1
7a2 〜17eが同時に作動した際の、基幹ハーネス
7、補助基幹ハーネス11、中間ハーネス13a〜13
d、及び、分岐ハーネス19a1 ,19a2 〜19eの
正常な合成電流変化量ΔAや合成電流変化波形パターン
Sを割り出す上でも有利である。
【0063】そして、学習期間の開始がマイコン25に
通知された以後、所定の期間が過ぎる等したならば、ビ
ームスイッチ27及びワイパスイッチ29の、学習終了
の指示操作とは異なる特別な組み合わせによる学習終了
の指示操作を行って、マイコン25に学習期間の終了を
通知する。尚、この学習期間の終了がマイコン25に通
知された以後は、前記学習動作が行われなくなる代わり
に、前記デッドショートの発生の検出動作に加えて、電
流センサ23bにより計測されてマイコン25に取り込
まれた電流値Aの変化量や変化波形パターンが、上述し
た学習動作によりRAM25bに収集、格納した電流変
化量ΔAや電流変化波形パターンSに該当するか否かを
確認することによる、レアショートやリークの発生の検
出動作が、合わせて行われる。
【0064】そして、前記デッドショートの発生の検出
動作において、電流センサ23bにより計測されてマイ
コン25に取り込まれた電流値Aが基準電流値ATHに達
するかこれを越えた場合、及び、前記レアショートやリ
ークの発生の検出動作において、電流センサ23bによ
り計測されてマイコン25に取り込まれた電流値Aの変
化量や変化波形パターンが、RAM25bの電流変化量
ΔAや電流変化波形パターンSに全く該当しないと、メ
インリレー23aが開放されてバッテリ3と各負荷17
1 ,17a2 〜17eの電気的接続が遮断される。
【0065】さらに、メインリレー23aが開放された
場合、その後、リセットスイッチ31を操作するとメイ
ンリレー23aが閉成されるが、その時点で電流値Aが
基準電流値ATHに達したりこれを越えているデッドショ
ート状態であるか、或は、電流値Aの変化量や変化波形
パターンが、RAM25bの電流変化量ΔAや電流変化
波形パターンSに全く該当しないレアショートやリーク
状態であると、メインリレー23aは再び開放される。
従って、デッドショート、及び、レアショートやリーク
の発生時には、その原因を取り除きデッドショート状態
やレアショート状態、或は、リーク状態を解消しない
と、バッテリ3と各負荷17a1 ,17a2 〜17eの
電気的接続は遮断され続けたままとなる。
【0066】このように、本実施形態の異常電流検出装
置によれば、バッテリ3と、各負荷17a1 ,17a2
〜17eへの分岐点となるイグニッションスイッチ5の
共通接点とを接続する基幹ハーネス7上で、バッテリ3
を流れる電流を電流センサ23bにより計測し、その計
測した電流値Aから取得した変化量や変化波形パターン
が、RAM25bに収集、格納した電流変化量ΔAや電
流変化波形パターンSと一致するか否か照合すること
で、基幹ハーネス7、補助基幹ハーネス11、中間ハー
ネス13a〜13d、及び、分岐ハーネス19a1 ,1
9a2 〜19eに、レアショートやリークが発生したか
否かを検出する構成とした。
【0067】このため、学習期間の終了後、電流センサ
23bにより計測したバッテリ3を流れる電流値Aから
取得した変化量や変化波形パターンが、RAM25bに
収集、格納した各負荷17a1 ,17a2 〜17eの正
常な作動に伴う電流変化量ΔAや電流変化波形パターン
Sと合致するか否かにより、バッテリ3に流れる電流が
変化した際に、その変化を、各負荷17a1 ,17a2
〜17eの作動に応じて分岐ハーネス19a1 ,19a
2 〜19eに生じた正常な電流の変化であるのか、それ
とも、各ハーネス7,11,13a〜13d,19a
1 ,19a2 〜19eのどこかにレアショートやリーク
といった異常が発生したものによる電流の変動かを、確
実に特定することができる。
【0068】そして、基幹ハーネス7、補助基幹ハーネ
ス11、中間ハーネス13a〜13d、及び、分岐ハー
ネス19a1 ,19a2 〜19eにそれぞれ電流センサ
23bを設けて、これら各ハーネス7,11,13a〜
13d,19a1 ,19a2〜19eを実際に流れる電
流を計測しなくても、レアショートやリークといった異
常が発生したのか否かを特定することができることか
ら、各ハーネス7,11,13a〜13d,19a1
19a2 〜19e分の電流センサ23bが必要ない分だ
け、装置の構成とマイコン25への結線を簡略化し、コ
ストを安価に済ますことができる他、結線を簡略化でき
る分だけ、レアショートやリークといった異常の発生す
る可能性がある部分を減らし、或は、増えるのを防ぐこ
とができる。
【0069】尚、各負荷17a1 ,17a2 〜17eの
正常な作動に伴う電流変化量ΔAや電流変化波形パター
ンSは、これらを既知としておいて、RAM25bにあ
らかじめ格納させておくようにしてもよい。そして、そ
のようにすれば、電装系21の構成が同じ例えば同一車
種の各車両の電流変化量ΔAや電流変化波形パターンS
のデータを、一度作成しておけば、後は、各車両のマイ
コン25のRAM25bに、或は、別途設ける外部の不
揮発性メモリ(NVM)等にコピーするだけで済み、各
車両毎に上述のデータを保持させる際の手間を大幅に省
けるという利点がある。
【0070】さらに、各負荷17a1 ,17a2 〜17
eの正常な作動に伴う電流変化量ΔAや電流変化波形パ
ターンSを既知とし、RAM25bにあらかじめ格納さ
せる場合には、それら電流変化量ΔAや電流変化波形パ
ターンSを全て、単一の負荷17a1 ,17a2 〜17
eに関するものの形態で格納し、その他に、同時に使用
する可能性がある負荷17a1 ,17a2 〜17eの組
み合わせに応じた数及び内容の、合成電流変化量や合成
電流変化波形パターンを格納することが望ましい。
【0071】また、上述した合成電流変化量や合成電流
変化波形パターンを格納する代わりに、同時に使用する
可能性がある負荷17a1 ,17a2 〜17eの組み合
わせパターンを格納しておくことで、同時に使用する可
能性がある負荷17a1 ,17a2 〜17eの合成電流
変化量や合成電流変化波形パターンを逐一格納しておく
よりも、RAM25bに格納するデータ量を少なくする
ことができる。
【0072】一方、本実施形態のように、ビームスイッ
チ27及びワイパスイッチ29の特別な組み合わせによ
る学習開始や学習終了の指示操作によりマイコン25に
通知される学習期間において、各負荷17a1 ,17a
2 〜17eが単独、或は、2つ以上同時に作動するのに
伴い、電流センサ23bにより計測されてマイコン25
に取り込まれた電流値Aが変化する毎に、変化した電流
値Aから各負荷17a 1 ,17a2 〜17eの正常な作
動に伴う電流変化量ΔAや電流変化波形パターンSをマ
イコン25により取得して、学習により収集する構成と
すれば、各負荷17a1 ,17a2 〜17eに関する電
流変化量ΔAや電流変化波形パターンSを既知としてお
いて、RAM25bにあらかじめ格納する手間を省くこ
とができる。
【0073】特に、本実施形態のように、各負荷17a
1 ,17a2 〜17eの正常な作動に伴う電流変化量Δ
Aや電流変化波形パターンSを学習により収集、格納す
る構成によれば、車両のユーザが空きの分岐ハーネス1
9a1 ,19a2 〜19eに、車両メーカで提供されて
いないスペック不明の負荷(図示せず)を独自に接続し
た場合、このスペック不明の負荷の正常な作動に伴う電
流変化量ΔAや電流変化波形パターンSを取得し、RA
M25bに格納することができる点で、有利である。
【0074】尚、この各負荷17a1 ,17a2 〜17
eに関する電流変化量ΔAや電流変化波形パターンSの
収集を行う学習期間は、例えばデフォッガ等の、限られ
た季節にのみ通常使用される負荷があることを考慮し
て、負荷の内容別に期間を別にして設定できるように構
成してもよい。また、学習期間の開始のマイコン25に
対する通知操作を省略したり、学習期間の終了のマイコ
ン25に対する通知操作を省略して、学習期間の開始の
マイコン25に対する通知から、例えば所定期間経過し
た後や、所定距離車両が走行した後、自動的に学習期間
が終了するように構成してもよい。
【0075】さらに、本実施形態では、レアショートや
リークの発生を検出するための判別基準として電流変化
量ΔAを用いたので、判別基準を単純化して複雑になる
のを防ぎ、しかも、RAM25bに格納するデータ量を
少なくすることができる。また、本実施形態では、レア
ショートやリークの発生を検出するための判別基準とし
て電流変化波形パターンSを用いたので、モータの始動
時等、負荷17a 1 ,17a2 〜17eの作動に伴う正
常な電流変化で、各ハーネス7,11,13a〜13
d,19a1 ,19a2 〜19eを流れる電流の変化の
度合いが時間の経過と共に変わる場合であっても、その
負荷17a1 ,17a2 〜17eの作動に伴う正常な電
流変化を、レアショートやリークといった異常の発生に
よるものと確実に区別することができる。
【0076】尚、本実施形態では、レアショートやリー
クの発生を検出するための判別基準として、電流変化量
ΔAと電流変化波形パターンSの2つのパラメータを用
いる構成としたが、そのうちいずれか一方のパラメータ
を用いないようにしてもよく、その場合には、RAM2
5bに格納するデータも、電流変化量ΔAと電流変化波
形パターンSの2つのパラメータのうちいずれか一方の
パラメータとすることができる。
【0077】また、本実施形態で採用した、レアショー
トやリークの検出時にメインリレー23aを開放させる
ための構成は省略してもよいが、この構成を設けること
で、レアショートやリークが発生したハーネス7,1
1,13a〜13d,19a1,19a2 〜19eをバ
ッテリ3から確実に遮断し、これらハーネス7,11,
13a〜13d,19a1 ,19a2 〜19eを、過熱
や発火等の損傷という不測の事態の発生から確実に守る
ことができる。
【0078】さらに、本実施形態では、電流センサ23
bをメインリレー23aよりも負荷17a1 ,17a2
〜17e側の基幹ハーネス7箇所に配置したが、メイン
リレー23aよりもバッテリ3側の基幹ハーネス7箇所
に電流センサ23bを配置する等、電流センサ23bの
配置は、基幹ハーネス7上であればどこでもよい。ま
た、本実施形態では、マイコン25をR/B23内に配
置したが、マイコン25の配置は、例えば、イグニッシ
ョンスイッチ5内やJ/B15内、或は、イグニッショ
ンスイッチ5、J/B15、並びに、R/B23のいず
れの内部でもない他の箇所とする等、任意である。
【0079】また、本実施形態において、レアショート
やリークの発生を検出するための判別基準のパラメータ
の基準データとしてRAM25bに収集、格納したり、
この基準データと照合する実測値として用いる、各負荷
17a1 ,17a2 〜17eに関する電流変化量ΔAや
電流変化波形パターンSは、温度変化によるバッテリ3
の電圧変動による間接的な影響を受けるだけでなく、温
度変化の影響を直接受けて、それら自体が変動すること
がある。
【0080】そこで、前記基準データのRAM25bへ
の収集、格納の際に、収集した各負荷17a1 ,17a
2 〜17eに関する電流変化量ΔAや電流変化波形パタ
ーンSをそのままRAM25bに格納するのではなく、
温度センサにより周辺温度を検出し、収集した基準デー
タを検出温度と共にRAM25bに格納して、実測した
各負荷17a1 ,17a2 〜17eに関する電流変化量
ΔAや電流変化波形パターンSとの照合を行う際に、照
合時点で検出された周辺温度と、RAM25bに格納し
た基準データ収集時の検出温度との差に応じて、基準デ
ータと実測値とのうちいずれか一方を補正するように構
成してもよい。
【0081】或は、基準データ収集時の検出温度と基準
温度との差に応じて、収集した各負荷17a1 ,17a
2 〜17eに関する電流変化量ΔAや電流変化波形パタ
ーンSを補正し、基準温度における値とした基準データ
をRAM25bに格納して、実測した各負荷17a1
17a2 〜17eに関する電流変化量ΔAや電流変化波
形パターンSも、RAM25bに格納した基準データと
の照合の際に、実測時の周辺温度と基準温度との差に応
じて補正し、基準温度における実測値として、RAM2
5bの基準データとの照合を行うように構成してもよ
い。
【0082】さらに、本実施形態では、レアショートや
リークの発生を検出した際に、バッテリ3と各負荷17
1 ,17a2 〜17eとの電気的接続をメインリレー
23aの開放により遮断する電装系21を例に取って説
明したが、本発明は、レアショートやリークの発生を検
出した際の、バッテリ3と各負荷17a1 ,17a2
17eとの電気的接続の遮断をS/Bにより行う電装系
にも適用可能であることは言うまでもなく、その場合、
レアショートやリークの発生検出時には、溶断特性を越
える電流をS/Bに意図的に流す等することで、S/B
を強制的に溶断させ、S/Bの交換により復帰させるよ
うにすればよい。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載した
本発明の車両用ワイヤハーネスの異常電流検出方法によ
れば、車両のバッテリと複数の負荷とをそれぞれ接続す
る電力供給用の複数のワイヤハーネスにおける異常電流
の発生を検出するに当たり、前記バッテリの電流を計測
し、前記計測したバッテリの電流が変化した際に、該計
測したバッテリの電流の変化を、前記各負荷の作動に伴
い該負荷が接続された前記ワイヤハーネスに正常時に生
じる電流の変化のデータと照合することにより、前記複
数のワイヤハーネスのうちいずれかに異常電流が流れて
いるか否かを判別するようにした。
【0084】また、請求項6に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出装置によれば、車両のバ
ッテリと複数の負荷とをそれぞれ接続する電力供給用の
複数のワイヤハーネスにおける異常電流の発生を検出す
る装置において、前記バッテリを流れる電流を計測する
バッテリ電流計測手段と、前記バッテリ電流計測手段の
計測電流を基に、前記バッテリを流れる電流の変化を検
出するバッテリ電流変化検出手段と、前記各負荷の作動
に伴い該負荷が接続された前記ワイヤハーネスに正常時
に生じる電流の変化のデータを記憶、保持する負荷電流
データ保持手段と、前記バッテリ電流変化検出手段の検
出した前記バッテリを流れる電流の変化が、前記負荷電
流データ保持手段の保持する前記各負荷が接続された前
記ワイヤハーネスに正常時に生じる電流の変化のデー
タ、及び、前記各負荷に対応する前記電流の変化のデー
タを少なくとも2つ以上足し合わせた合成データのうち
いずれかと合致するか否かを判別する電流変化照合手段
とを備え、前記バッテリ電流変化検出手段の検出した前
記バッテリを流れる電流の変化が、前記負荷電流データ
保持手段の保持する前記データ及び前記合成データのい
ずれにも該当しないと前記電流変化照合手段が判別した
際に、前記複数のワイヤハーネスのうちいずれかに異常
電流が流れていると判別する構成とした。
【0085】このため、複数のワイヤハーネスを介して
複数の負荷が接続された車両のバッテリに流れる電流の
変化が、ワイヤハーネスにレアショートやリークといっ
た異常がない限り、複数の負荷のうち少なくとも1つが
作動することによるものであることを利用し、バッテリ
に流れる電流が変化した際に、その変化が、負荷が作動
したことによるものか、それとも、ワイヤハーネスにレ
アショートやリークといった異常が発生したことによる
ものかを、各負荷及びこの負荷が接続されたワイヤハー
ネスに実際に流れる電流を計測しなくても、確実に特定
することができる。
【0086】さらに、請求項2に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法によれば、あらか
じめ定められた期間において、前記各負荷の作動に伴い
前記バッテリに生じた電流の変化を前記データとして収
集し、前記期間の終了後、前記収集したデータを基に、
前記複数のワイヤハーネス中に異常電流が流れているか
否かの判別を行うようにした。
【0087】また、請求項7に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出装置によれば、学習期間
を設定する学習期間設定手段と、前記学習期間中に、前
記各負荷の作動に伴って前記バッテリ電流変化検出手段
が検出した前記バッテリを流れる電流の変化を、前記デ
ータとして前記負荷電流データ保持手段に記憶させる負
荷電流データ学習手段とをさらに備え、前記電流変化照
合手段が、前記バッテリ電流変化検出手段の検出した前
記バッテリを流れる電流の変化が、前記負荷電流データ
保持手段の保持する前記データ及び前記合成データのう
ちいずれかと合致するか否かの判別を、前記学習期間後
に行う構成とした。
【0088】このため、あらかじめ定められた期間にお
いて実際に各負荷を作動させた際のバッテリに生じた電
流の変化を、各負荷の作動に応じてその負荷及びこの負
荷が接続されたワイヤハーネスに正常時に生じる電流の
変化のデータとして収集することで、各負荷の作動に伴
う電流変化のデータをあらかじめ構築しておく手間を省
くことができる。
【0089】さらに、請求項3に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法によれば、前記計
測したバッテリの電流の変化の量が、前記各負荷の作動
に伴い該負荷が接続された前記ワイヤハーネスに正常時
に流れる通常電流のデータと、前記各負荷に対応する前
記通常電流のデータを少なくとも2つ以上足し合わせた
合計通常電流のデータとのうちいずれかに合致するか否
かにより、前記複数のワイヤハーネスのうちいずれかに
異常電流が流れているか否かを判別するようにした。
【0090】また、請求項8に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出装置によれば、前記負荷
電流データ保持手段の保持する前記データが、前記各負
荷の作動に伴い該負荷が接続された前記ワイヤハーネス
に正常時に流れる通常電流の値であり、前記電流変化照
合手段が、前記バッテリ電流変化検出手段の検出した前
記バッテリを流れる電流の変化の量が、前記負荷電流デ
ータ保持手段の保持する前記各負荷の作動に伴う前記通
常電流、及び、少なくとも2つ以上の前記負荷に対応す
る前記通常電流を組み合わせた合成通常電流のうちいず
れかと合致するか否かを判別する構成とした。
【0091】このため、各負荷が接続されたワイヤハー
ネスに異常電流が流れているか否かの判別基準を、前記
各負荷の作動に伴い該負荷が接続された前記ワイヤハー
ネスに正常時に流れる通常電流のデータや、その通常電
流のデータを少なくとも2つ以上の負荷分合成した合成
通常電流とすることで、レアショートやリークといった
異常の発生を確実に判別するために必要となるデータ
を、各負荷に対応する通常電流のデータのみで済ませ、
複雑な判別基準とせず、しかも、少ない量のデータで、
負荷が接続されたワイヤハーネスに生じるレアショート
やリークといった異常を確実に検出することができる。
【0092】さらに、請求項4に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法によれば、前記計
測したバッテリの電流の変化を示す波形パターンが、前
記各負荷の作動に伴い該負荷が接続された前記ワイヤハ
ーネスに正常時に生じる電流の変化を示す波形パターン
と、前記各負荷に対応する前記波形パターンを少なくと
も2つ以上合成した合成波形パターンとのうちいずれか
に合致するか否かにより、前記複数のワイヤハーネスの
うちいずれかに異常電流が流れているか否かを判別する
ようにした。
【0093】また、請求項9に記載した本発明の車両用
ワイヤハーネスの異常電流検出装置によれば、前記負荷
電流データ保持手段の保持する前記データが、前記各負
荷の作動に伴う該負荷が接続された前記ワイヤハーネス
の電流の変化を示す波形パターンであり、前記電流変化
照合手段が、前記バッテリ電流変化検出手段の検出した
前記バッテリを流れる電流の変化の波形パターンが、前
記負荷電流データ保持手段の保持する前記各負荷の作動
に伴う前記波形パターン、及び、少なくとも2つ以上の
前記負荷に対応する前記波形パターンを合成した合成波
形パターンのうちいずれかと合致するか否かを判別する
構成とした。
【0094】このため、各負荷が接続されたワイヤハー
ネスに異常電流が流れているか否かの判別基準を、各負
荷の作動に伴いその負荷が接続されたワイヤハーネスに
生じる電流変化の波形パターンや、その波形パターンを
少なくとも2つ以上の負荷分合成した合成波形パターン
とすることで、負荷がモータである場合等、レアショー
トやリークといった異常が発生していなくても、その負
荷が接続されたワイヤハーネスに生じる電流変化が時間
の経過と共に変わる場合であっても、その負荷の作動に
伴うワイヤハーネス上での正常な電流変化を、レアショ
ートやリークといった異常の発生によるものと確実に区
別することができる。
【0095】さらに、請求項5に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出方法によれば、前記複
数のワイヤハーネス中に異常電流が流れていると判別し
た際に、前記バッテリと前記複数の負荷との間の電気的
接続を遮断するようにした。
【0096】また、請求項10に記載した本発明の車両
用ワイヤハーネスの異常電流検出装置によれば、前記バ
ッテリと前記複数のワイヤハーネスとの間に介設され、
該複数のワイヤハーネスを流れる電流の正常時に導通状
態とされるリレー23aと、前記バッテリ電流変化検出
手段の検出した前記バッテリを流れる電流の変化が、前
記負荷電流データ保持手段の保持する前記データ及び前
記合成データのいずれにも該当しないと前記電流変化照
合手段が判別した際に、前記リレー23aを開放させる
リレー開放手段25Dとをさらに備える構成とした。
【0097】このため、従来、デッドショートの発生時
にしか行えなかったバッテリと複数の負荷との間の電気
的接続の遮断を、レアショートやリークといった異常が
発生した際にも実行し、レアショートやリークといった
異常に起因するワイヤハーネスの損傷の発生を確実に防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用ワイヤハーネスの異常電流検出
装置の基本構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る異常電流検出装置を
備える車両電装系の説明図である。
【図3】図2に示すマイクロコンピュータの電気的構成
のブロック図である。
【図4】図3に示すRAMのメモリエリアマップであ
る。
【図5】図3に示すROMに格納された制御プログラム
に従いCPUが行う処理を示すメインルーチンのフロー
チャートである。
【図6】図5の学習処理を示すサブルーチンのフローチ
ャートである。
【図7】図5のデッドショート検出処理を示すサブルー
チンのフローチャートである。
【図8】図5のレアショート、リーク検出処理を示すサ
ブルーチンのフローチャートである。
【図9】従来技術に係る車両電装系の説明図である。
【符号の説明】
3 バッテリ 6A〜6N ワイヤハーネス 17A〜17N 負荷 23a リレー 23b バッテリ電流計測手段 23c ドライバ 25 マイクロコンピュータ 25a CPU 25b RAM 25c ROM 25bA 負荷電流データ保持手段 25A バッテリ電流変化検出手段 25B 電流変化照合手段 25C 負荷電流データ学習手段 25D リレー開放手段 26 学習期間設定手段

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のバッテリと複数の負荷とをそれぞ
    れ接続する電力供給用の複数のワイヤハーネスにおける
    異常電流の発生を検出するに当たり、 前記バッテリの電流を計測し、 前記計測したバッテリの電流が変化した際に、該計測し
    たバッテリの電流の変化を、前記各負荷の作動に伴い該
    負荷が接続された前記ワイヤハーネスに正常時に生じる
    電流の変化のデータと照合することにより、前記複数の
    ワイヤハーネスのうちいずれかに異常電流が流れている
    か否かを判別するようにした、 ことを特徴とする車両用ワイヤハーネスの異常電流検出
    方法。
  2. 【請求項2】 あらかじめ定められた期間において、前
    記各負荷の作動に伴い前記バッテリに生じた電流の変化
    を前記データとして収集し、前記期間の終了後、前記収
    集したデータを基に、前記複数のワイヤハーネス中に異
    常電流が流れているか否かの判別を行うようにした請求
    項1記載の車両用ワイヤハーネスの異常電流検出方法。
  3. 【請求項3】 前記計測したバッテリの電流の変化の量
    が、前記各負荷の作動に伴い該負荷が接続された前記ワ
    イヤハーネスに正常時に流れる通常電流のデータと、前
    記各負荷に対応する前記通常電流のデータを少なくとも
    2つ以上足し合わせた合計通常電流のデータとのうちい
    ずれかに合致するか否かにより、前記複数のワイヤハー
    ネスのうちいずれかに異常電流が流れているか否かを判
    別するようにした請求項1又は2記載の車両用ワイヤハ
    ーネスの異常電流検出方法。
  4. 【請求項4】 前記計測したバッテリの電流の変化を示
    す波形パターンが、前記各負荷の作動に伴い該負荷が接
    続された前記ワイヤハーネスに正常時に生じる電流の変
    化を示す波形パターンと、前記各負荷に対応する前記波
    形パターンを少なくとも2つ以上合成した合成波形パタ
    ーンとのうちいずれかに合致するか否かにより、前記複
    数のワイヤハーネスのうちいずれかに異常電流が流れて
    いるか否かを判別するようにした請求項1、2又は3記
    載の車両用ワイヤハーネスの異常電流検出方法。
  5. 【請求項5】 前記複数のワイヤハーネス中に異常電流
    が流れていると判別した際に、前記バッテリと前記複数
    の負荷との間の電気的接続を遮断するようにした請求項
    1、2、3又は4記載の車両用ワイヤハーネスの異常電
    流検出方法。
  6. 【請求項6】 車両のバッテリと複数の負荷とをそれぞ
    れ接続する電力供給用の複数のワイヤハーネスにおける
    異常電流の発生を検出する装置において、 前記バッテリを流れる電流を計測するバッテリ電流計測
    手段と、 前記バッテリ電流計測手段の計測電流を基に、前記バッ
    テリを流れる電流の変化を検出するバッテリ電流変化検
    出手段と、 前記各負荷の作動に伴い該負荷が接続された前記ワイヤ
    ハーネスに正常時に生じる電流の変化のデータを記憶、
    保持する負荷電流データ保持手段と、 前記バッテリ電流変化検出手段の検出した前記バッテリ
    を流れる電流の変化が、前記負荷電流データ保持手段の
    保持する前記各負荷が接続された前記ワイヤハーネスに
    正常時に生じる電流の変化のデータ、及び、前記各負荷
    に対応する前記電流の変化のデータを少なくとも2つ以
    上足し合わせた合成データのうちいずれかと合致するか
    否かを判別する電流変化照合手段とを備え、 前記バッテリ電流変化検出手段の検出した前記バッテリ
    を流れる電流の変化が、前記負荷電流データ保持手段の
    保持する前記データ及び前記合成データのいずれにも該
    当しないと前記電流変化照合手段が判別した際に、前記
    複数のワイヤハーネスのうちいずれかに異常電流が流れ
    ていると判別する、 ことを特徴とする車両用ワイヤハーネスの異常電流検出
    装置。
  7. 【請求項7】 学習期間を設定する学習期間設定手段
    と、前記学習期間中に、前記各負荷の作動に伴って前記
    バッテリ電流変化検出手段が検出した前記バッテリを流
    れる電流の変化を、前記データとして前記負荷電流デー
    タ保持手段に記憶させる負荷電流データ学習手段とをさ
    らに備え、前記電流変化照合手段は、前記バッテリ電流
    変化検出手段の検出した前記バッテリを流れる電流の変
    化が、前記負荷電流データ保持手段の保持する前記デー
    タ及び前記合成データのうちいずれかと合致するか否か
    の判別を、前記学習期間後に行う請求項6記載の車両用
    ワイヤハーネスの異常電流検出装置。
  8. 【請求項8】 前記負荷電流データ保持手段の保持する
    前記データは、前記各負荷の作動に伴い該負荷が接続さ
    れた前記ワイヤハーネスに正常時に流れる通常電流の値
    であり、前記電流変化照合手段は、前記バッテリ電流変
    化検出手段の検出した前記バッテリを流れる電流の変化
    の量が、前記負荷電流データ保持手段の保持する前記各
    負荷の作動に伴う前記通常電流、及び、少なくとも2つ
    以上の前記負荷に対応する前記通常電流を組み合わせた
    合成通常電流のうちいずれかと合致するか否かを判別す
    る請求項6又は7記載の車両用ワイヤハーネスの異常電
    流検出装置。
  9. 【請求項9】 前記負荷電流データ保持手段の保持する
    前記データは、前記各負荷の作動に伴う該負荷が接続さ
    れた前記ワイヤハーネスの電流の変化を示す波形パター
    ンであり、前記電流変化照合手段は、前記バッテリ電流
    変化検出手段の検出した前記バッテリを流れる電流の変
    化の波形パターンが、前記負荷電流データ保持手段の保
    持する前記各負荷の作動に伴う前記波形パターン、及
    び、少なくとも2つ以上の前記負荷に対応する前記波形
    パターンを合成した合成波形パターンのうちいずれかと
    合致するか否かを判別する請求項6、7又は8記載の車
    両用ワイヤハーネスの異常電流検出装置。
  10. 【請求項10】 前記バッテリと前記複数のワイヤハー
    ネスとの間に介設され、該複数のワイヤハーネスを流れ
    る電流の正常時に導通状態とされるリレーと、前記バッ
    テリ電流変化検出手段の検出した前記バッテリを流れる
    電流の変化が、前記負荷電流データ保持手段の保持する
    前記データ及び前記合成データのいずれにも該当しない
    と前記電流変化照合手段が判別した際に、前記リレーを
    開放させるリレー開放手段とをさらに備える請求項6、
    7、8又は9記載の車両用ワイヤハーネスの異常電流検
    出装置。
JP8061525A 1996-03-18 1996-03-18 車両用ワイヤハーネスの異常電流検出方法及びその装置 Pending JPH09257859A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2831272A1 (fr) * 2001-09-14 2003-04-25 Valeo Equip Electr Moteur Procede et dispositif de detection de court-circuit resistif dans un reseau electrique automobile bi-tension
US9613471B2 (en) 2014-11-12 2017-04-04 Hyundai Motor Company Apparatus and method for diagnosing actuators in vehicle
US10971920B2 (en) 2017-11-27 2021-04-06 Denso Electronics Corporation Overcurrent protection device estimating a wire thermal characteristic
DE102019216852A1 (de) * 2019-10-31 2021-05-06 Zf Friedrichshafen Ag Ermittlungseinrichtung zur Ermittlung wenigstens eines Parameters wenigstens einer Einrichtung eines Kraftfahrzeugs

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