JPH09256112A - 析出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶鋼およびその用途 - Google Patents

析出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶鋼およびその用途

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JPH09256112A
JPH09256112A JP8065729A JP6572996A JPH09256112A JP H09256112 A JPH09256112 A JP H09256112A JP 8065729 A JP8065729 A JP 8065729A JP 6572996 A JP6572996 A JP 6572996A JP H09256112 A JPH09256112 A JP H09256112A
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single crystal
steel
phase
austenite
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Application number
JP8065729A
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Inventor
Kazutaka Okamoto
和孝 岡本
Yasuo Kondo
保夫 近藤
Akira Yoshinari
明 吉成
Junya Kaneda
潤也 金田
Yasuhisa Aono
泰久 青野
Hideyo Kodama
英世 児玉
Takahiko Kato
隆彦 加藤
Shigeo Hattori
成雄 服部
Yasutaka Iwata
安隆 岩田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 【課題】安定な組織を有し、耐応力腐食割れ性,強度お
よび照射脆化に優れたオーステナイト系ステンレス単結
晶鋼及びそれを用いた高い放射線環境下で使用する原子
炉炉心を提供する。 【解決手段】C量が0.03% 未満であるオーステナイ
ト系ステンレス鋼の単結晶母相中に、溶体化処理により
母相の均一化を図り、急冷後の時効処理により金属間化
合物などの析出物を微細に分散させたオーステナイト系
ステンレス単結晶鋼と原子炉炉心及びその構造部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なオーステナイ
ト系ステンレス鋼に係わり、特に原子炉炉心および核融
合炉の放射線照射環境下で使用するに好適な構造用オー
ステナイト鋼とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼、特に高
クロム−ニッケル組成のステンレス鋼は、構造材料とし
て好適な特性を具備するほか、腐食環境下に対する抵抗
を有するため、原子炉内で使用する構造部品として多く
用いられている。しかし、軽水炉炉心のオーステナイト
鋼部材は使用中に被る長期の放射線照射により粒界型応
力腐食割れ(IGSCC)に対する感受性が増大する。
例えば、溶体化処理した固溶状態の該ステンレス鋼は放
射線損傷のない炉心外においては耐粒界型応力腐食割れ
を有するが、同じ材料が炉心内において高レベルの照
射、特に中性子照射量で0.5×1021n/cm2程度以上
の照射を受けた場合はそのような抵抗性が失われてい
く。このような割れは照射誘起応力腐食割れ(IASC
C)と称して近年古い原子炉で問題にされつつある。こ
の問題を解決する方法として、オーステナイト系ステン
レスの構成元素、例えば、N,P,Si,S,C,M
n,Cr,Niの含有量を調整するとともに、微量のT
i,Nbを添加する方法が特開昭63−303038号公報に開
示されている。一方、粒界型応力腐食割れを防止する方
法として、その発生源であり網目状に連結する粒界を排
除する単結晶化法がある。これには結晶構造がFCC構
造であるオーステナイト(γ)単相の単結晶鋼、母相は
オーステナイト相の単結晶であるが、結晶構造がBCC
構造である少量のフェライト(δ)相も含有する単結晶
鋼、またフェライト(α)相の単結晶中にγ相を分散し
た所謂2相ステンレス鋼の単結晶がある。これらは特願
平7−16665号,特開平3−264651 号公報および特開昭62
−180038号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭63−30
3038号公報に開示されている発明は、成分調整で粒界型
応力腐食割れを防止しようとしているが、多結晶ステン
レス鋼であり、粒界を含む金属組織であるため、照射誘
起で発生する上記の応力腐食割れを本質的に防止するこ
とはできない。
【0004】また、特開平3−264651 号公報に開示され
た発明は、Ti,Nbを添加したものも含めγ単相の単
結晶鋼あるいは少量のδ相を含有するγ相の単結晶鋼で
あるが、該鋼は粒界強化がないため、市販SUS304 ,316
鋼に比較していずれも耐力が低い。
【0005】また、特開昭62−180038号公報に開示され
た発明は、母相がBCC構造のα相である単結晶であ
り、α相はγ相に比較して照射損傷による照射脆化が最
も懸念される。
【0006】本発明の目的は、これまで多用されてきた
オーステナイト系ステンレス鋼よりもさらに安定な組織
を有するとともに耐食性,耐応力腐食割れ性,強度およ
び照射脆化に優れたオーステナイト系ステンレス単結晶
鋼および原子炉炉心のような高い放射線環境下で長寿命
を有する原子炉とその運転方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、母相の化学量
論組成が重量で、C:0.03% 未満,Si:1%以
下,P:0.040%以下,S:0.030%以下,M
n:2%以下,Ni:8〜22%,Cr:15〜26%
および0.5% 以下の不可避不純物を含むオーステナイ
ト鋼において、該母相は室温で体積率で10%以下のフ
ェライト相を含有するオーステナイト相単結晶からな
り、かつ重量でNb:0.3 〜3%,Ta:0.3〜3
%およびTi:0.3〜3%の少なくとも一種を0.3
〜3%含有し、溶体化処理およびその後の時効処理によ
りNb,Ta,Tiの添加金属のうちの一種以上を含む
金属間化合物などの化合物を微細に析出させ、室温で分
散することで220MPa以上の耐力を有することを特徴とす
る耐応力腐食割れ性,耐中性子照射性および耐食性に優
れた析出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶鋼に
ある。
【0008】本発明は、母相の化学量論組成が重量で、
C:0.03% 未満,Si:1%以下,P:0.040
%以下,S:0.030%以下,Mn:2%以下,M
o:3%以下、Ni:8〜22%,Cr:15〜26%
および0.5% 以下の不可避不純物を含むオーステナイ
ト鋼において、該母相は室温で体積率で10%以下のフ
ェライト相を含有するオーステナイト相単結晶からな
り、かつ重量でNb:0.3〜3%,Ta:0.3〜3
%およびTi:0.3 〜3%の少なくとも一種を0.3
〜3%含有し、溶体化処理およびその後の時効処理によ
りNb,Ta,Tiの添加金属のうちの一種を含む金属
間化合物などの化合物を微細に析出させ、室温で分散す
ることで220MPa以上の耐力を有することを特徴とする耐
応力腐食割れ性,耐中性子照射性および耐食性に優れた
析出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶鋼にあ
る。
【0009】上記2つの発明の析出強化型オーステナイ
ト系ステンレス単結晶鋼は、化学組成としてNを重量で
0.5%以下含むことができる。
【0010】本発明は、化合物を生成せしめるためにN
b,Ta,Tiのうち一種以上を含むオーステナイト系
ステンレス鋼を溶融し一方向から凝固させオーステナイ
ト母相を単結晶とした後、該単結晶中のフェライト相お
よび上記金属を含む化合物を分解,固溶する目的で、ま
ず1050〜1150℃の温度域で低融点の化合物、ま
た1200〜1300℃の温度域で高融点の化合物の二
段階分解熱処理を行い、その後急冷し、600〜900
℃の温度域で固溶状態から再度の析出熱処理を行い、化
合物をオーステナイト単結晶母材中に微細に析出させる
ことで強化されたオーステナイト系ステンレス鋼の単結
晶を製造する方法である。
【0011】また、溶体化および時効処理後に生成する
析出物は、面積率で5〜20%である。
【0012】一方向凝固した単結晶のオーステナイト相
を有する本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、室
温で耐力200〜400MPa,引張強さ500〜700MPaである。
【0013】本発明は、高温高圧純水にさらされ、原子
燃料の燃料棒による中性子照射を受ける原子炉炉心部材
に関するものであり、該部材は上記の化学組成を有し、
室温で体積率で0〜10%のフェライト相および残部が
全てオーステナイト相からなり、かつ該オーステナイト
相は単結晶である結晶性を有し、母相中の一層の強化の
ために該母相中に重量でNb:0.3〜3%、Ta:0.
3〜3%およびTi:0.3〜3%の少なくとも一種を
0.3〜3%含有し、溶体化処理およびその後の時効処
理によりNb,Ta,Tiの添加金属のうちの一種を含
む金属間化合物などの化合物を微細に析出させ、室温で
分散することで220MPa以上の耐力を有する析出強化型オ
ーステナイト系ステンレス単結晶鋼であることを特徴と
する原子炉炉心部材である。
【0014】本発明は、上記の化学組成を有し、室温で
体積率で0〜10%のフェライト相および残部が全てオ
ーステナイト相からなり、かつ該オーステナイト相は単
結晶である結晶性を有し、母相中の一層の強化のために
該母相中に重量でNb:0.3〜3%,Ta:0.3〜3%
およびTi:0.3〜3%の少なくとも一種を0.3〜3
%含有し、溶体化処理およびその後の時効処理によりN
b,Ta,Tiの添加金属のうちの一種以上を含む金属
間化合物などの化合物を微細に析出させ、室温で分散す
ることで220MPa以上の耐力を有する析出強化型オーステ
ナイト系ステンレス単結晶鋼であることを特徴とする部
品である。
【0015】本発明は、上記の化学組成を有し、室温で
体積率で0〜10%のフェライト相および残部が全てオ
ーステナイト相からなり、かつ該オーステナイト相は単
結晶である結晶性を有し、母相中の一層の強化のために
該母相中に重量でNb:0.3〜3%、Ta:0.3〜3%
およびTi:0.3〜3%の少なくとも一種を0.3〜3
%含有し、溶体化処理およびその後の時効処理によりN
b,Ta,Tiの添加金属のうちの一種以上を含む金属
間化合物などの化合物を微細に析出させ、室温で分散す
ることで220MPa以上の耐力を有する析出強化型オーステ
ナイト系ステンレス単結晶鋼であることを特徴とする締
結部品である。
【0016】本発明は、上部格子板および炉心支持板を
備えた原子炉炉心において、前記上部格子板の組立に使
用される締結部品および前記炉心支持板に用いられる締
結部品,燃料支持金具および周辺燃料支持金具が、上記
の化学組成を有し、室温で体積率で0〜10%のフェラ
イト相および残部が全てオーステナイト相からなり、か
つ該オーステナイト相は単結晶である結晶性を有し、母
相中の一層の強化のために該母相中に重量でNb:0.
3〜3%,Ta:0.3〜3%およびTi:0.3〜3%の
少なくとも一種を0.3 〜3%含有し、溶体化処理およ
びその後の時効処理によりNb,Ta,Tiの添加金属
のうちの一種以上を含む金属間化合物などの化合物を微
細に析出させ、室温で分散することで220MPa以上の耐力
を有する析出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶
鋼からなることを特徴とする原子炉炉心である。
【0017】本発明は、原子燃料を囲むシュラウドを備
えた原子炉炉心に関するものであり、該シュラウドの固
定に用いられる締結部品が、上記の化学組成を有し、室
温で体積率で0〜10%のフェライト相および残部が全
てオーステナイト相からなり、かつ該オーステナイト相
は単結晶である結晶性を有し、母相中の一層の強化のた
めに該母相中に重量でNb:0.3〜3%,Ta:0.3
〜3%およびTi:0.3〜3%の少なくとも一種を0.
3〜3%含有し、溶体化処理およびその後の時効処理に
よりNb,Ta,Tiの添加金属のうちの一種以上を含
む金属間化合物などの化合物を微細に析出させ、室温で
分散することで220MPa以上の耐力を有する析出強化型オ
ーステナイト系ステンレス単結晶鋼からなることを特徴
とする原子炉炉心である。
【0018】本発明は、中性子束計測案内管,チャンネ
ルファスナーおよびB4C型制御棒用ポイズン管を備え
た原子炉炉心に関するものであり、該中性子束計測案内
管,チャンネルファスナー用キャップスクリューおよび
4C 型制御棒用ポイズン管が、上記の化学組成を有
し、室温で体積率で0〜10%のフェライト相および残
部が全てオーステナイト相からなり、かつ該オーステナ
イト相は単結晶である結晶性を有し、母相中の一層の強
化のために該母相中に重量でNb:0.3 〜3%,T
a:0.3〜3%およびTi:0.3〜3%の少なくとも
一種を0.3 〜3%含有し、溶体化処理およびその後の
時効処理によりNb,Ta,Tiの添加金属のうちの一
種以上を含む金属間化合物などの化合物を微細に析出さ
せ、室温で分散することで220MPa以上の耐力を有する析
出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶鋼からなる
ことを特徴とする原子炉炉心である。
【0019】本発明は、原子炉の健全性にとって不具な
損傷部を有する原子炉炉内構造物および機器の補修施工
方法に関するものであり、該不具部の経年的成長の阻止
および該不具部を含む周辺部の強度維持のために取られ
る補修施工用ボルト締結治具に使用されるボルトが、上
記の化学組成を有し、室温で体積率で0〜10%のフェ
ライト相および残部が全てオーステナイト相からなり、
かつ該オーステナイト相は単結晶である結晶性を有し、
母相中の一層の強化のために該母相中に重量でNb:
0.3〜3%,Ta:0.3〜3%およびTi:0.3 〜
3%の少なくとも一種を0.3 〜3%含有し、溶体化処
理およびその後の時効処理によりNb,Ta,Tiの添
加金属のうちの一種以上を含む金属間化合物などの化合
物を微細に析出させ、室温で分散することで220MPa以上
の耐力を有する析出強化型オーステナイト系ステンレス
単結晶鋼からなることを特徴とするボルト締結補修法で
ある。
【0020】本発明が解決しようとするオーステナイト
系ステンレス鋼の粒界型応力腐食割れは、非照射下での
溶接熱の影響による粒界の腐食鋭敏化あるいは中性子照
射下での照射誘起鋭敏化により、粒界が存在する限り発
生する。ところが、異相間の界面が互いに連結して存在
することのない、例えばオーステナイト単相中に分散す
るフェライト相の組織では、上記応力腐食割れは発生し
ない。そこでオーステナイト鋼の単結晶化が応力腐食割
れに対し有効であるが、多結晶と同じ母相組織にした単
結晶では、粒界がないために強度は低下し、例えば締結
部材として使用した場合その役割を果たせない。本発明
が解決しようとする課題は、該単結晶鋼の強化である。
すなわち単結晶化後の熱処理により、あらかじめ該鋼に
含有させ固溶状態にしておいた添加金属を、化合物析出
反応により最適な分布状態で析出せしめることで、該単
結晶鋼の強化を図ることである。さらに、分布状態にあ
る化合物析出相は、照射下で原子のはじき出し損傷で生
成され、格子中を移動する欠陥の消滅場所としての作用
も有し、欠陥の蓄積を防ぐことで母材の経年的脆化も抑
止できる。
【0021】次に示すように、本発明者は、化合物を析
出させたオーステナイト系ステンレス単結晶鋼を検討す
るとともに、該単結晶鋼に対して、原子炉炉内の腐食環
境を模擬した高温高圧水環境下での応力腐食割れ試験を
実施し、合わせて引張試験と原子炉運転年数20年相当
の炉心での中性子照射損傷に相似する模擬照射を実施し
て、耐応力腐食割れ,強度および耐照射性に優れている
ことを発見した。
【0022】化学組成を調整したオーステナイト系ステ
ンレス鋼を一旦溶融した後、一方向から徐々に凝固させ
ることで、初め凝固面より成長する結晶粒の中から一つ
を選別し、その結晶方位にそろった結晶を成長させるこ
とで凝固終了後結晶粒界のない単結晶が作製される。
【0023】オーステナイト系ステンレス鋼の溶融は、
容易に溶解できる1500℃以上、鋳型との反応が抑制
できる1650℃以下が好ましい。さらに、大気からの
ガス元素の溶湯への混入を避けるために、雰囲気を3×
10-3Torr以下の真空またはAr等の不活性ガス雰囲気
下に保持する。また、Nを含有するステンレス鋼の場
合、窒素雰囲気とすることが好ましい。一方向凝固の条
件は、上記の理由から溶解時と同じ雰囲気を用いる。凝
固速度は、50cm/h以上では大型部材の単結晶インゴ
ットを作製することが困難であり、また1cm/h以下で
は鋳型との反応が生じ欠陥が生じるおそれがあるため、
1〜50cm/hとする。
【0024】一方向凝固後のオーステナイト相単結晶組
織は、凝固中に生成したNb,TaおよびTiなどの添
加金属元素を含むフェライト相が析出しており、高強度
化には効果がないため、再度上記フェライト相を分解,
固溶せしめる溶体化処理を施す必要がある。まず105
0〜1150℃の温度域で固溶させ、次いで1200〜
1300℃の温度域で保持し、さらに各添加元素の拡散
を促進させ、組織をより均一化させるのが好ましい。強
化粒子としてのNb,Ta,Tiの添加金属のうちの一種
以上を含む金属間化合物などを析出させるためには、さ
らに急冷後600〜900℃の温度域に保持し、時効処理
を施す。
【0025】上記時効処理により平均粒径がサブミクロ
ン以下、数密度が1ccあたり1014個以上あるいは200
×10-2個/μm2 以上のNb,Ta,Tiの添加金属
のうちの一種以上を含む金属間化合物などの化合物が析
出し、220MPa以上の耐力が得られる。また、析出化合物
は、250〜800×10-2個/μm2 が好ましく、2
70〜540×10-2個/μm2 がより好ましい。この
際析出する微細化合物は、面積率が5〜20%が適切で
ある。
【0026】以上のように、その発生メカニズムの如何
にかかわらず材料中の結晶粒界を取り除くことで結晶粒
界を起点とする応力腐食割れを防止することができる。
また、結晶粒界のない単結晶では強度の低下が起こる
が、時効熱処理で化合物を析出せしめることで、それを
補うことができる。本発明は、応力腐食割れを本質的に
防止するとともに、高強度の特性を付与したオーステナ
イト系ステンレス鋼を提供することである。
【0027】Crは耐食性を向上させ、オーステナイト
相を形成し、該相を単結晶として大型材を製造するため
には重量で15%以上が必要である。しかし26%以上
を越える多量のCrの添加は、単結晶の凝固過程でσ相
が形成されるので、材質が脆くなる。とくに、オーステ
ナイト相の安定化を考慮し、Ni量に依存したオーステ
ナイト相の安定化の範囲内で15〜26%とし、特に、
16〜20%が好ましい。
【0028】Niは、オーステナイト相を安定にし、耐
食性を高めるために8%以上含有させる。高Ni量は、
例えば原子炉炉内に本発明が使用される時、同一の腐食
環境下では化学組成が相違することで他の部材との接触
部で電気化学反応が生じ、腐食を促進させることにな
る。原子炉炉内に多く使用されるSUS304,SUS316および
それらのL材を考慮し、Cr量との関連から判断して重
量で8〜22%とし、特に、9〜21%が好ましい。
【0029】Si,Mnは脱酸剤として添加され、さら
にMnは脱硫剤として添加される。市販SUS304,SUS316
およびそれらのL材に準じてSiは重量で1%以下、M
nは重量で2%以下含有させる。特に、Siは0.05
〜0.6%が好ましい。Mnは0.01〜1.5%が好ま
しい。
【0030】Moは一層の耐食性,固溶強化から必要な
成分である。1%以上添加する必要がある。しかし、3
%を越える添加量は必要ではなく、それ以上ではσ相の
形成要因となりうる。
【0031】Cは、単結晶を作製するためには、鋳造の
際に炭化物の生成を極力防ぐ必要があり、Cの含有は少
ないほうがよい。Cは一般に耐食性にとって有害であ
り、原子炉炉内に多く使用されるSUS304,SUS316および
それらのL材との溶接性を考慮し、重量で0.03% 未
満がよい。
【0032】Nb,Ta,Tiは、本発明の析出強化元
素として必要である。上記添加元素は、重量でNb:
0.3〜3%,Ta:0.3〜3%およびTi:0.3 〜
3%の少なくとも一種を0.3 〜3%含有する。
【0033】Nは、マトリックスに固溶し、強化に必要
であり、重量で0.5 %以下含むことができる。特に、
0.05〜0.3%が好ましい。
【0034】オーステナイト相は、環境に対して安定な
組織であり、大型の単結晶を得るために必要である。オ
ーステナイト相にフェライト相が10%以下存在するこ
とができるが、全オーステナイト相とすることが望まし
い。
【0035】本発明の鋼は、多結晶化しない範囲である
5%以下の塑性加工を加えることができる。また、この
塑性加工は、溶体化処理,時効熱処理の前に加えること
で個々の熱処理がより効果的になる場合には適用でき
る。
【0036】本発明の鋼は、室温で耐力200〜400MPa,
引張強さ500〜700MPaである。特に、室温で耐力250〜45
0MPa,引張強さ550〜650MPaの特性を持つ。
【0037】本発明の鋼は、原子炉炉心だけでなく、水
冷却環境や水素が存在する環境で使用され、放射線照射
損傷を受ける構造部材に適用され、特に核融合炉第一壁
のブランケット冷却管およびシェルに適用される。ま
た、一般的に粒界が材料劣化の主因となりうる環境下で
使用される強度部材に適用されうる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(実施例1)本発明に係わる析出強化型オーステナイト
系単結晶鋼の作製方法の一実施例を図1を用いて説明す
る。図1の装置構成は、溶湯1を作製する高周波溶解炉
2,鋳型3,本体4,セレクタ5,スタータ6を鋳込口
7を備えた鋳型過熱炉8で覆い、スタータ6は水冷チル
9の上に設置されている。水冷チル9の上に鋳型を固定
し、鋳型過熱炉8を用いて鋳型3を1560℃に過熱
し、高周波溶解炉2で、表1に示される析出強化元素を
含有するオーステナイト系ステンレス鋼を溶融して溶湯
1とした後、鋳込口7から鋳型3に鋳込んだ。
【0039】
【表1】
【0040】表1には本発明の最終熱処理した13種類
の鋼種の単結晶の分析結果を示す。鋳込み温度は156
0℃であり、鋳込み後溶湯4と1560℃に5分間保持
した後水冷チル9を下方10に下降させ、最終的に鋳型
3を鋳型過熱炉8から引き出すことで本体4中の溶湯1
を水冷チル9側より一方向凝固させた。このとき一方向
凝固が完了するまで鋳型過熱炉8は1560℃のまま保
持した。鋳型引き出し速度は、15cm/h一定とし、本
体4中の溶湯1は真空度8×10-3Torrの雰囲気に保持
した。鋳込み後は、スタータ6で多くの結晶が発生した
が、鋳型3を下方10に引き出すにつれて、漸次凝固が
進行し、セレクタ5の中を凝固が進む間に1つの結晶に
選択されて本体4中の溶湯1の部分は単結晶となった。
【0041】上記方法により、鋳型3の容積および形状
を変えることにより、直径20mm,長さ20cmの単結晶
と厚さ15mm,幅70mm,長さ120mmの単結晶を得
た。単結晶であるかいなかはマイクロエッチングにより
確認し、表1に示したいずれの鋼種についても、オース
テナイト相が単結晶である鋳物を作製できた。
【0042】この際、鋳込み温度を1650℃に設定し
ても単結晶化には問題なかった。また、雰囲気をAr不
活性ガス雰囲気としても、単結晶化には影響がなかっ
た。また、Nを含有するステンレス鋼の場合、窒素雰囲
気としても、単結晶化には影響がなかった。さらに鋼種
No.3,4および5の鋼種に対して、鋳型引き出し速度
を1および50cm/hに変化しても単結晶が同様に得ら
れた。
【0043】しかしながら、いずれの単結晶鋼において
も凝固時に形成されたと考えられる粗大化した析出相が
総体として網目状に形成される。後述するが、前記析出
相は強度にはほとんど寄与しない。
【0044】次に熱処理による鋼種の組織微細化の工程
を説明する。上記粗大化した析出相を分解,固溶させる
ために1200〜1250℃の温度域で2〜24時間焼
鈍を行った。ミクロ組織は、表1のいずれの鋼種も、2
〜5時間の焼鈍では析出相の未分解があった。6〜24
時間の焼鈍では析出相は消失する傾向にあるものの、析
出相は十分には分解しなかった。そこで、まず第1段の
溶体化処理を1050〜1150℃の温度範囲で60時
間行い、析出相を十分に分解し、さらに第2段溶体化処
理を1200〜1300℃の温度範囲で2〜5時間行
い、各添加元素の拡散を促進させ、組織をより均一化さ
せることを試みた。実質的には、この条件設定は各鋼種
により相違し、表2のように設定することで、残存析出
相を断面占有率で1%以下にすることができた。また、
作業性を考慮し、上記2段階の溶体化処理の順序を逆と
した場合、すなわちまず第1段の焼鈍を1200〜13
00℃の温度範囲で2〜5時間行い、さらに第2段焼鈍
を1050〜1150℃の温度範囲で60時間行った。
この際、残存析出相を同様に断面占有率で1%以下にす
ることができた。
【0045】
【表2】
【0046】固溶状態からの時効析出処理は、各鋼種と
もに600〜900℃の温度範囲中において50℃間隔
で16時間行った。最大の強度を与える時効温度を見い
だすために、各温度で時効した試料の硬度試験を行っ
た。鋼種No.1の鋼種に対して時効温度とビッカース硬
度の関係を図2に示す。最大硬度を示した800℃時効
の例では、結晶方向性を有する棒状のサブミクロンサイ
ズの320〜490×10-2個/μm2 の金属間化合物
がサブミクロン間隔で分布し、面積率で約12%析出金
属間化合物を有していることが確認できた。EPMAお
よびTEMによる分析から、金属間化合物は、Nb,T
a,Ti,Cr,Mn,Si等で構成されていることが
わかった。析出金属間化合物は、直径が0.5μm 以下
で、大部分が0.02〜0.3μm、長さが1μm以下
で、大部分が0.1〜0.8μmであった。また、凝固時
に生成した析出相は、面積率で約6%であり、幅0.1m
m 以下で、大部分が0.01〜0.08mm,長さ0.5mm
で、大部分が0.02〜0.25mm以下であった。
【0047】また、上記13鋼種全てに対して表2の溶
体化と最大硬度を示す時効熱処理を行い、平行部16m
m,5mm径の引張試験用試料を作製して、公称歪速度2.
1 ×10-4(/秒)で引張試験を行った。その引張試
験結果を表3に示す。*印のついた鋼種No.1*,7*
および10*は未時効処理の単結晶鋼の結果である。
【0048】
【表3】
【0049】上記のプロセスで作製した厚さ15mm,幅
70mm,長さ120mmの析出物分散オーステナイト鋼単
結晶から厚さ2mm,幅10mm,長さ50mmの試験片を準
備し、応力腐食割れ試験法として有効なCBB試験を市
販のSUS316,SUS304鋼およびそれらのL材と合わせて作
製した。これら試験片にはあらかじめ620℃,24時
間の鋭敏化熱処理が施された。図3はCBB試験方法を
示す斜視図である。試験片11にすきまを付けるための
グラファイトファイバーウール12とともにホルダー1
3間にはさみつけ、ボルト穴14にボルトを挿入し、ホ
ルダー13間にアールをつけて締めつけ、オートクレー
ブ中で応力腐食割れ試験に供した。試験条件は288
℃,85kg/cm2の高温高圧純水(溶存酸素量8ppm)中
で500時間浸漬した。その後試験片を取り出し、試験
片の断面観察から割れ発生の有無を調べた。SUS316,SU
S304鋼およびそれらのL材には1〜2mm深さの割れが多
数観察された。一方、本発明の全ての単結晶鋼には全く
割れは観察されず、高い応力腐食割れ性を示した。
【0050】(実施例2)実施例1で作製した本発明の
鋼種No.1の単結晶鋼のオーステナイト系ステンレス鋼
を上記に示した条件で熱処理した後、図4に示す沸騰水
型原子炉炉心用の各種構造部材を製造した。本原子炉は
蒸気温度286℃,蒸気圧力70.7atgで運転され、発
電出力として500,800,1100MWの発電が可
能である。各名称は次のとおりである。51…ポイズン
カーテン、52…炉心支持板、53…中性子束計測案内
管、54…制御棒、55…炉心シュラウド、56…上部
格子板、57…燃料集合体、58…上鏡スプレイノズ
ル、59…ベントノズル、60…圧力容器蓋、61…フ
ランジ、62…計測用ノズル、63…気水分離器、64
…シュラウドヘッド、65…給水入口ノズル、66…ジ
ェットポンプ、68…蒸気乾燥機、69…蒸気出口ノズ
ル、70…給水スパージャ、71…炉心スプレイ用ノズ
ル、72…下部炉心格子、73…再循環水入口ノズル、
74…バッフル板、75…制御棒案内管。
【0051】前述の上部格子板56はリム胴21,フラ
ンジ22およびグリットプレート35を有し、これらに
はSUS316鋼多結晶材の圧延材が用いられる。グリットプ
レート35は互いに交叉しているだけで互いに固定はさ
れていない。また、炉心支持板52は同じくSUS316鋼多
結晶圧延材が用いられ、一枚の圧延板により製造され、
燃料支持金具を取り付ける穴が設けられ、円周面で炉容
器に固定される。従っていずれも中性子照射を受ける中
心部では溶接部がない構造である。
【0052】図5は上部格子板の一部平面図である。図
6は図5のVII−VII切断の断面図および図7は図6のVI
II部分を拡大した断面図である。前述の本発明のオース
テナイト系ステンレス単結晶鋼を図7のボルト23に適
用した。本発明のボルト23はリム胴21と上部フラン
ジ22を固定するもので、丸棒の材料より切削加工によ
ってネジを製造したものである。
【0053】図8は上部格子板の部分拡大図、図9は図
8のXの部分拡大図および図10は図8のXI部分拡大図
である。上部格子板56のグリッドプレート31とサポ
ートプレート32を締め付け固定するボルトおよびナッ
ト、グリットプレート31とサポートプレート32およ
びサポートプレート32とグリットプレート35を締め
るボルト36およびナット37を上述と同様にオーステ
ナイト系ステンレス単結晶鋼で作製した。
【0054】図11は炉心支持板52の断面図であり、
炉心支持板には図12の燃料支持金具、図13の周辺燃
料支持金具等が取付けられ、また、図14のアイボルト
42およびワッシャ43も取付けられる。図14は、図
13のXVの拡大図である。これらの図12〜図14の燃
料支持金具,周辺燃料支持金具,アイボルト42および
ワッシャ43を前述の本発明のオーステナイト系ステン
レス単結晶鋼によって作製した。
【0055】図15は、チャンネルファスナ組立状態の
断面図である。チャンネルファスナは、燃料集合体57
の上部に取付けられ、ガード77,リーフスプリング7
8,キャップスクリュ78およびロックワッシャ80で
構成されている。ガード77およびリーフスプリング7
8は、ロックワッシャ80を介したキャップスクリュ7
9により、チャンネルボックス81上端コーナ部のチャ
ンネルクリップ82を通して上部タイプレート83のチ
ャンネルポスト84に取付けられる。これらのうち、キ
ャップスクリュ79を前述の本発明のオーステナイト系
ステンレス単結晶鋼によって作製した。
【0056】前記の本発明の方法で作製した部材を沸騰
水型原子炉中で生じる条件を模擬し、さらに中性子照射
量で1×1022n/cm2(>1MeV)まで照射した。そ
の結果、照射で誘起される応力腐食割れは、いずれのボ
ルト,ナット等にも観察されなかった。これにより、上
部格子板および炉心支持板を取り換えることなく40年
間の使用を可能にするものである。特に、前述した使用
箇所としてその中性子照射量が2×1022n/cm2 であ
る高い中性子照射を受ける部分で、ボルト,ナットの如
く高応力を受け、外部からその表面を直接観察できない
部材を耐応力腐食割れ性の高い部材によって構成するこ
とが重要である。
【0057】(実施例3)次に、本発明による補修例を
示す。
【0058】図15は沸騰水型原子炉炉心各種構造物
の、補修状態を示す。炉心シュラウド55に応力腐食割
れ等の損傷部を生じたため、機械的に保護および補強す
る補強板であるクランプ85を補修用ボルト86および
補修用ナット87で取付け、炉心シュラウド55を補修
した。この際、クランプ85,補修用ボルト86および
補修用ナット87は、本発明のオーステナイト系ステン
レス単結晶鋼を用いた。炉心シュラウド55とクランプ
85との締結は、図16に示すように、テーパ無しボル
ト88と補修用ナット87で締結した。また、図17に
示すようにテーパ付ボルト89,補修用ナット87,ス
リット付スリーブ90で締結した。
【0059】この際、クランプ85,補修用ナット8
7,テーパ無しボルト88,テーパ付ボルト89および
スリット付スリーブ90は、本発明のオーステナイト系
ステンレス単結晶鋼を用いた。
【0060】本実施例によると、耐応力腐食割れ性に優
れた補修用部材を用い、沸騰水型原子炉炉心各種構造物
の補修を行ったことで、原子炉の長寿命化をはかること
ができ、さらにこれらの補修部材は周囲の材質と類似し
た組成であるので、高温純水中での電位を同等とする。
また本発明の方法で作製した単結晶材には微細に分散し
た析出物が存在しており、これら析出物と母相との界面
は結晶粒界と同様に照射欠陥の消滅場所として働きうる
ことから、母相中の照射による欠陥の蓄積がより抑えら
れ、いわゆる照射脆化,照射下クリープ等の抑制効果も
大きい。
【0061】本実施例では、ボルト,ナットおよびクラ
ンプを単結晶としたが、上部格子板のグリッドプレート
35,炉心支持板52,サポートプレート32および中
性子束計測案内管53を同じ材料の本発明のオーステナ
イト系ステンレス単結晶鋼で使用することも非常に有用
である。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、原子炉炉心のごとき放
射線照射環境下で使用されるオーステナイト系ステンレ
ス鋼で製造された構造部材に、照射で誘起される粒界型
の応力腐食割れを防止できるので、原子炉炉心構造部品
や核融合炉の第一壁、ブランケット構造部品を長寿命化
でき、原子炉としては40年間使用できるようにし、さ
らに核融合炉においては安全性,信頼性の向上に顕著な
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である析出強化型オーステナイ
ト系ステンレス単結晶鋼の製造装置の構成を示す断面
図。
【図2】本発明の実施例である鋼種No.1の時効温度に
よるビッカース硬度変化。
【図3】応力腐食割れ試験方法を示す斜視図。
【図4】本発明のオーステナイト鋼を用いた一実施例を
示す原子炉炉心を示す部分断面斜視図。
【図5】原子炉炉心の上部格子板の部分平面図。
【図6】図5のVII部分の切断断面図。
【図7】図5のVIII 部分の拡大図。
【図8】原子炉炉心の上部格子板部分拡大図。
【図9】図8のX部拡大図。
【図10】図8のXI部拡大図。
【図11】原子炉炉心の炉心支持板の断面図。
【図12】原子炉炉心の燃料支持金具の斜視図。
【図13】原子炉炉心の周辺燃料支持金具の断面図。
【図14】図11のXV部拡大図。
【図15】チャンネルファスナ組立状態の断面図。
【図16】本発明による原子炉炉心のシュラウド不具合
部の補修方法。
【図17】本発明の実施例であるテーパ無しボルトを使
用した補修部断面図。
【図18】本発明の実施例であるテーパ付ボルトを使用
した補修部断面図。
【符号の説明】
1…溶湯、2…高周波溶解炉、3…鋳型、4…本体、5
…セレクタ、6…スタータ、7…鋳込口、8…鋳型過熱
炉、9…水冷チル、10…下方、11…試験片、12…
グラファイトファイバーウール、13…ホルダー、14
…ボルト穴、21…リム胴、22…上部フランジ、2
3,33,36…ボルト、31,35…グリットプレー
ト、32…サポートプレート、34,37…ナット、4
2…アイボルト、43…ワッシャー、44…周辺燃料支
持金具、45…炉心支持ピン、51…ポイズンカーテ
ン、52…炉心支持板、53…中性子束計測案内管、5
4…制御棒、55…炉心シュラウド、56…上部格子
板、57…燃料集合体、58…上鏡スプレイノズル、5
9…ベントノズル、60…圧力容器蓋、61…フラン
ジ、62…計測用ノズル、63…気水分離器、64…シ
ュラウドヘッド、65…給水入口ノズル、66…ジェッ
トポンプ、68…蒸気乾燥機、69…蒸気出口ノズル、
70…給水スパージャ、71…炉心スプレイ用ノズル、
72…下部炉心格子、73…再循環水入口ノズル、74
…バッフル板、75…制御棒案内管、76…燃料棒、7
7…ガード、78…リーフスプリング、79…キャップ
スクリュ、80…ロックワッシャ、81…チャンネルボ
ックス、82…チャンネルクリップ、83…上部タイプ
レート、84…チャンネルポスト、85…クランプ、8
6…補修用ボルト、87…補修用ナット、88…テーパ
無しボルト、89…テーパ付ボルト、90…スリット付
スリーブ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21C 5/00 G21C 5/00 C (72)発明者 金田 潤也 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 青野 泰久 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 児玉 英世 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 加藤 隆彦 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 服部 成雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 岩田 安隆 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量で、C:0.03%未満,Si:1%
    以下、P:0.040%以下,S:0.030% 以下,
    Mn:2%以下,Ni:8〜22%,Cr:15〜26
    %および0.5% 以下の不可避不純物を含むオーステナ
    イト鋼において、該鋼は体積率で10%以下のフェライ
    ト相を含むオーステナイト−フェライト相または全オー
    ステナイト相からなり、かつ該オーステナイト相は単結
    晶であり、時効熱処理で形成された析出物が微細に分散
    していることを特徴とする析出強化型オーステナイト系
    ステンレス単結晶鋼。
  2. 【請求項2】重量で、C:0.03%未満,Si:1%
    以下,P:0.040%以下,S:0.030% 以下,
    Mn:2%以下,Mo:3%以下,Ni:8〜22%,
    Cr:15〜26%および0.5% 以下の不可避不純物
    を含むオーステナイト鋼において、該鋼は体積率で10
    %以下のフェライト相を含むオーステナイト−フェライ
    ト相または全オーステナイト相からなり、かつ該オース
    テナイト相は単結晶であり、時効熱処理で形成された析
    出物が微細に分散していることを特徴とする析出強化型
    オーステナイト系ステンレス単結晶鋼。
  3. 【請求項3】重量で、C:0.03%未満,Si:1%
    以下,P:0.040%以下,S:0.030% 以下,
    Mn:2%以下,Ni:8〜22%およびCr:15〜
    26%と、Nb:0.3 〜3%,Ta:0.3〜3%お
    よびTi:0.3〜3%の少なくとも一種を0.3〜3%
    と、0.5%以下の不可避不純物を含むオーステナイト
    鋼において、該鋼は体積率で10%以下のフェライト相
    を含むオーステナイト−フェライト相または全オーステ
    ナイト相からなり、かつ該オーステナイト相は単結晶で
    あり、時効熱処理で形成された析出物が微細に分散して
    いることを特徴とする析出強化型オーステナイト系ステ
    ンレス単結晶鋼。
  4. 【請求項4】重量で、C:0.03%未満,Si:1%
    以下,P:0.040%以下,S:0.030% 以下,
    Mn:2%以下,Mo:3%以下,Ni:8〜22%お
    よびCr:15〜26%と、Nb:0.3〜3%,T
    a:0.3〜3%およびTi:0.3〜3%の少なくとも
    一種を0.3〜3%と、0.5% 以下の不可避不純物を
    含むオーステナイト鋼において、該鋼は体積率で10%
    以下のフェライト相を含むオーステナイト−フェライト
    相または全オーステナイト相からなり、かつ該オーステ
    ナイト相は単結晶であり、時効熱処理過程で形成された
    析出物が微細に分散していることを特徴とする析出強化
    型オーステナイト系ステンレス単結晶鋼。
  5. 【請求項5】重量で、C:0.03%未満,N:0.5%
    以下,Si:1%以下、P:0.040%以下,S:0.03
    0% 以下,Mn:2%以下,Ni:8〜22%,C
    r:15〜26%および0.5% 以下の不可避不純物を
    含むオーステナイト鋼において、該鋼は体積率で10%
    以下のフェライト相を含むオーステナイト−フェライト
    相または全オーステナイト相からなり、かつ該オーステ
    ナイト相は単結晶であり、時効熱処理で形成された析出
    物が微細に分散していることを特徴とする析出強化型オ
    ーステナイト系ステンレス単結晶鋼。
  6. 【請求項6】重量で、C:0.03%未満,N:0.5%
    以下,Si:1%以下,P:0.040%以下,S:0.03
    0 %以下,Mn:2%以下,Mo:3%以下,Ni:
    8〜22%,Cr:15〜26%および0.5% 以下の
    不可避不純物を含むオーステナイト鋼において、該鋼は
    体積率で10%以下のフェライト相を含むオーステナイ
    ト−フェライト相または全オーステナイト相からなり、
    かつ該オーステナイト相は単結晶であり、時効熱処理で
    形成された析出物が微細に分散していることを特徴とす
    る析出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶鋼。
  7. 【請求項7】重量で、C:0.03%未満,N:0.5%
    以下,Si:1%以下,P:0.040%以下,S:0.03
    0% 以下,Mn:2%以下,Ni:8〜22%および
    Cr:15〜26%と、Nb:0.3〜3%,Ta:0.
    3 〜3%およびTi:0.3〜3%の少なくとも一種を
    0.3〜3%と、0.5%以下の不可避不純物を含むオー
    ステナイト鋼において、該鋼は体積率で10%以下のフ
    ェライト相を含むオーステナイト−フェライト相または
    全オーステナイト相からなり、かつ該オーステナイト相
    は単結晶であり、時効熱処理で形成された析出物が微細
    に分散していることを特徴とする析出強化型オーステナ
    イト系ステンレス単結晶鋼。
  8. 【請求項8】重量で、C:0.03%未満,N:0.5%
    以下,Si:1%以下、P:0.040%以下,S:0.03
    0% 以下,Mn:2%以下,Mo:3%以下,Ni:
    8〜22%およびCr:15〜26%と、Nb:0.3
    〜3%,Ta:0.3〜3%およびTi:0.3〜3%の
    少なくとも一種以上を0.3 〜3%と、0.5%以下の
    不可避不純物を含むオーステナイト鋼において、該鋼は
    体積率で10%以下のフェライト相を含むオーステナイ
    ト−フェライト相または全オーステナイト相からなり、
    かつ該オーステナイト相は単結晶であり、時効熱処理で
    形成された析出物が微細に分散していることを特徴とす
    る析出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶鋼。
  9. 【請求項9】重量で、C:0.03%未満,Si:1%
    以下,P:0.040%以下,S:0.030% 以下,
    Mn:2%以下,Mo:3%以下,Ni:8〜22%お
    よびCr:15〜26%と、Nb:0.3〜3%,T
    a:0.3〜3%およびTi:0.3〜3%の少なくとも
    一種を0.3 〜3%と、0.5%以下の不可避不純物を
    含むオーステナイト鋼の製造方法において、前記鋼を溶
    解後一方向凝固を行い、オーステナイト相を単結晶と
    し、1050〜1150℃の温度範囲で溶体化処理及
    び、1200〜1300℃の温度範囲で溶体化処理を施
    した後、600〜900℃の温度範囲で時効処理をするこ
    とを特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた析出強化型オ
    ーステナイト系ステンレス単結晶鋼の製造方法。
  10. 【請求項10】高温高圧純水にさらされ、中性子照射を
    受ける原子炉炉心部材において、該部材は請求項1から
    8のいずれかに記載の析出強化型オーステナイト鋼より
    なることを特徴とする原子炉炉心部材。
  11. 【請求項11】締結部材により結合された上部格子板お
    よび炉心支持板,原子燃料を囲み締結部材によって固定
    されるシュラウド、該燃料を支持する燃料支持金具,中
    性子束計測案内管,チャンネルボックスを燃料体に固定
    するチャンネルファスナーおよびB4C型制御棒用ポイ
    ズン管を備えた原子炉炉心において、前記上部格子板の
    締結部品,前記炉心支持板の締結部品,前記燃料支持金
    具,前記中性子束計測案内管,前記チャンネルファスナ
    ー用キャップスクリューおよび前記B4C型制御棒用ポ
    イズン管の少なくとも一つが請求項1から8のいずれか
    に記載の析出強化型オーステナイト系ステンレス単結晶
    鋼からなることを特徴とする原子炉炉心。
  12. 【請求項12】原子炉炉内構造物および機器の損傷部を
    補修する補修施工方法において、前記損傷部に請求項1
    から8のいずれかに記載のオーステナイト鋼よりなる部
    材を当接し、該部材を前記構造物および機器に請求項1
    から8のいずれかに記載のオーステナイト鋼よりなるボ
    ルトおよびナットによって固定することを特徴とする補
    修施工方法。
  13. 【請求項13】中性子照射量で、0.5×1021n/cm2
    以上の放射線が照射される原子炉炉心用構造部材および
    機器において、析出化合物を有するオーステナイト相が
    単結晶からなり、室温における耐力が220MPa以上である
    ことを特徴とする原子炉炉心用構造部材および機器。
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JP (1) JPH09256112A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102747302A (zh) * 2011-04-21 2012-10-24 江苏星火特钢有限公司 高强韧超低碳控氮奥氏体不锈钢
CN102747297A (zh) * 2011-04-21 2012-10-24 江苏星火特钢有限公司 高强韧超低碳控氮奥氏体不锈钢的制造方法
JP2015178651A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 オーステナイト系ステンレス鋼
CN114351043A (zh) * 2021-11-29 2022-04-15 中国科学院金属研究所 一种用于第四代钠冷快堆的316kd奥氏体不锈钢及其制备与应用
CN115852237A (zh) * 2021-09-24 2023-03-28 宝武特种冶金有限公司 一种奥氏体不锈钢棒材及其制备方法

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